ローマ建築

超わかりやすい!【ローマ建築】ヨーロッパを旅する前に知っておくべき知識

RYOです

各建築様式の少し詳しい部分まで掘り下げようという狙いで、今回はローマ建築について説明します。

※明言しますが、西洋建築の勉強をしてからヨーロッパに行けば無学で行くより100倍楽しめます。5回にわたってヨーロッパ30ヵ国以上を完全無学で周ってきた僕が言うので間違いありません(笑)

参考文書:「西洋建築の歴史~美と空間の系譜~」

↓こちらを前提に話を進めますので、まずはこちらを読んでください↓

【西洋建築】建築様式の種類と風土による建築様式の違い

※「この部分がわかりにくいです」とか「これはどうなんですか?」などの質問やコメント等ありましたら遠慮なく下部のコメント欄からお問い合わせください!

では始めます。

ローマ建築

まずはローマ建築の概要を説明します。

ローマ建築は、史上最強帝国であるローマ帝国で展開され、ギリシャ建築を受け継いでアーチやドームなどを用いた公共建築を発展させた建築様式

です。

ギリシャ建築とローマ建築

実は、ローマ建築単体を上手く説明するのは結構難しいのです。なぜならローマ建築は

ギリシャ建築を受け継いでいるから

です。

古代ローマ人は、ギリシャ建築を「芸術的模範」としながらもギリシャ建築には無かったアーチドームを創造して公共施設を次々に造っていきました。

Q. 公共施設を建設しようと考えたのはなぜか?

その答えは簡単です。

A. ローマ帝国は支配領域も非常に広く、帝国内にはとても多くの民衆がいたからです。

民衆に寄り添った政策(公共施設の建設)でないとどうなるかわかったもんじゃありません。

ということで、ローマ人はギリシャ建築のような精密加工を諦めて、公共施設というより多くの人民のためにギリシャ建築の技術を応用しようと考えました。

ギリシャ建築→神殿建設→神様のため

ローマ建築→公共施設→民衆のため

なので、ローマ建築の基本はギリシャ建築なので、ギリシャ建築編を読んでからこっちに戻ってきてもらった方が10倍理解しやすいのです↓

【図解でわかるギリシャ建築】~調和と精度を究めたギリシャ人~

公共施設とは

そもそも公共施設とはどんな施設か、もちろん説明するまでも無いかもしれませんが一応説明します↓

公共施設

公衆浴場、劇場、闘技場、戦車競技場など都市に居住する圧倒的多数の大衆を治めるための娯楽施設

ローマ人は各地に道路網や上下水道も整備しました。

古代ローマの遺跡は北はスコットランドから南はアフリカ大陸、東は中近東にまで及んでいます。

オーダーと石造建築の矛盾

しつこいですが、オーダーとは水平の梁を柱が支えるという構造方式です。

しかしギリシア建築やローマ建築を見て「いや、柱多すぎるやろ!!」って思ったことはありませんか?

柱が多いのにはちゃんと理由があります。

» 以下ギリシャ建築編からのコピペです。読まれた方はすっ飛ばして下さい↓

なぜなら、

本来この構造方式は石造建築には向かないからです。

たとえば、長い板を両端で支えただけの単純なベンチを想像して下さい。

※柱と梁のイメージ図

このベンチに人が腰を下ろすと(重さがかかると)、板は下方にしなります。重い人が腰掛ければ、湾曲が大きくなって板が折れてしまうかもしれません。

ではこれが石のベンチならどうでしょうか?

一瞬「え、石の方が丈夫でしょう?」と思ったあなた、違います。

板が下方に湾曲する際には上側では圧縮、下側では引っ張りの力が働いています。

石は圧縮には非常に強いですが、引っ張りには非常に弱いという性質があり、

逆に木は圧縮も引っ張りも同程度に強いという性質があります。

石の重さは木の6倍なので、石のベンチというのは自分自身の重さで潰れるという危険性を潜在的にはらんでいるのです。

これがギリシア建築やローマ建築の場合、梁の上に載る石材は全部で数十トンあるんですよ?

なのでギリシア建築の神殿には驚くほどの狭い間隔で柱が建てられているのです。

そしてこの圧縮の強さを逆手に取って発展させたのが、ローマ建築のアーチ構造ドーム構造です。

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石造建築に有利な『アーチ構造』

石やレンガなどのブロック状の材料を組み合わせて積み上げる構造を組積造↓(そせきぞう)と言い、組積造は壁を作ったりアーチを架ける方式に適しています。

前項の【オーダーと石造建築の矛盾】でも書きましたが、石は圧縮には非常に強いのでギリシャ式の「柱=梁構造」より「アーチ構造」の方が石造建築に向いています↓

アーチでは石が互いに相手を押し合って落下を妨げていますが、しかし当然アーチが横に広がって平になろうとする力(推力)も働きます。

この支持体を横に押し倒そうとする力(推力)を支えるには柱のような細長い支持体では不十分です。

柱が細いと、石の重さに耐えられずに崩壊するか↓

石の重さに耐えられず、柱が折れてしまいます↓

そこでローマ人は壁体によってアーチを支持する方法を編み出しました。

アーチは二次元的な構造なので、これを立体的に拡張した(トンネル状の)局面構造をヴォールト↓(後述します)、とくに半球状のものをドームと呼びます。

【解説】アーチ構造

さて、アーチは説明する必要も無いと思う一般用語ですが一応説明します。

アーチとはこのように石の圧縮力を利用した半円状の開口を指します。

ギリシャ建築ではアーチが用いられず、もっぱらローマ建築から登場した技術です。

【解説】ヴォールト

さて、次はヴォールトです。

この言葉は聞いたことのない人が多いのではないでしょうか?

ヴォールトの英語"Vault"を辞書で調べると「アーチ形天井」とありました。

そうなんです、アーチをもっと引っ張って伸ばした構造を難しい言葉でヴォールト天井と呼ぶのです。

こんな感じで、二次元的なアーチを三次元的に拡張したものがヴォールトです。

まあ難しく考えないで、半球状の屋根くらいのイメージで結構です。

【解説】ドーム構造

さて、ドーム構造も詳しい説明はいらないと思います。

ローマ人が編み出したものの一つにドームも挙げられます。

ドームも結局はアーチ構造を応用してできたものです。


ローマ人は闘技場や劇場の床、水道橋を支える不可欠の構造としてアーチやヴォールトを用い、公共建築や宮殿などの天井を覆うためにヴォールトやドームを大々的に用いて、ギリシャ建築には無かった独創的な空間を創造しました。

ローマ建築の二大柱『組積造とコンクリート』

ではローマ人が行った重要な革新を2つ紹介します。

それが組積造コンクリートです。

ギリシャ人が用いた架構式と比べて、ローマ人は組積造を用いました。

また、ギリシャ人が接合材を用いずに空積みしていったのに対し、ローマ人はコンクリートを用いて大きな強度を実現させました。

組積造を選んだローマ人

ギリシャ建築では切り整えられた大きな石材を正確に積み上げていく切石造を用いて神殿などを作り上げていきました。

モルタルなどの接合材を用いずに空積みするため、石材は接合面がぴたりと合うように厳密に加工されました。(↑上の写真)

しかしローマ人は公共建築事業を遂行するにあたり、ギリシャ建築のような労力と熟練さを要する方法を捨て、適当な形と大きさの石材やレンガをモルタルで接合しながら積み上げていく、より実用的で経済的な方法である組積造を用いました。

ギリシャ建築:柱を立てて梁を架ける架構式

ローマ建築:壁を組み上げていく組積造

ヨーロッパの建築は石やレンガなどブロック状の材料を用いて作られたので、架構式よりは壁を組み上げる組積造の方が安定しており作りやすかったんです。

コンクリートを発明

ローマ人が行ったもう一つの重要な革新が、コンクリートの発明です。

ローマやナポリの近郊にはポゾラナと呼ばれる火山性の土が産出し、この土を用いて古代ローマ人は水によって硬化し大きな強度を発現するコンクリートを発明しました。
(基本的に現代のコンクリートと同じ)

このコンクリートは建築・土木工事において非常な威力を発揮し、ローマ人はコンクリートを組積造と組み合わせて用いました。

まさに革命です。

ローマのオーダー

ギリシャ人は3つのオーダー「ドリス式/イオニア式/コリント式」を発展させましたが、ローマ人は更に2つ「トスカナ式」と「コンポジット式」を創造しました。

『ギリシャ建築の三つのオーダー』についてまだ読まれていない方は先に読んでください↓

※読まれた方はすっ飛ばしてください、ご存知の通り長いので(笑)

ギリシャ建築の三つのオーダー

ギリシャ建築、ローマ建築、ルネサンス建築などの古典系建築にはある共通の構造があります。

それがオーダーと呼ばれる、(床から屋根までの)柱と梁を中心とした秩序ある一連のセットです。

» 長めなので好奇心からクリックはしないようにお願いします(笑)

» 折りたたむ

要するに柱があってその上に載っている棒(梁)を合わせてオーダーと呼びます。

古典系建築と中世系建築

ギリシア、ローマ、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロックなどの西洋建築は大きく2種類に分けることができます。

それが古典系建築中世系建築です。

その中でもオーダーの有無は古典系建築と中世建築を区別する最も特徴的な要素です。では、古典系建築と中世系建築を外観だけでも、ひとまず比較してみました!!

古典系建築で注目するのはズバリ、円柱です。

全ての建物に丸い円柱が使われているでしょ?

これらは全てギリシア建築の「柱」に由来しています。

ギリシア建築に由来している、(他にも古典系の特徴はいくつもありますが)だから「古典系」なんです。

中世系建築で注目するのはズバリ、とんがった塔です↓

※ロマネスク建築のみ例外で、まだ新しい建築様式を模索している途中なので中途半端な感じです。

逆に中世系建築には円柱は使われておらず、「柱ー梁」という構造方式が確認できません。

こうしてみると「古典系」と「中世系」の外観の違いは明らかだと思います。

オーダーはめちゃくちゃ重要で、中世系建築と区別されるもっとも特徴的な要素です。

当然、特徴のわかりやすい建物で比較していますがオーダーの有無はとても大切なんです。


さて、ギリシア建築のオーダーの話に戻ります。

ギリシア建築の発展過程で発明されたのが

・ドリス式

・イオニア式

・コリント式

の3つのオーダーです↓↓

※オーダーは床から屋根までの一連のセット、と言いましたが主に「柱と梁」を表します。

※ローマ建築時代ではあと2つ「トスカナ式」と「コンポジット式」が加わって計5つのオーダーになります。

・・・。

大丈夫。ちゃんと説明します。

各部分を説明する際に聞いたことのない専門用語が頻出しますが、今後の全ての建築様式に出てくる言葉なので覚えた方が得です。

【解説】ドリス式オーダー

ドリス式(ドーリア式とも呼ばれる)はパルテノン神殿にも使われている最もシンプルなオーダー(円柱と梁のセット)で、紀元前7世紀頃にギリシア本土で発明されました。

まずは円柱の頭の部分、キャピタル(柱頭)と呼ばれる部分を見ていきましょう。

そもそもキャピタル(柱頭)と言ってもドリス式の場合、詳しくは三つの部分に分けられます。

それが

・シャフト(柱)

・エキノス

・アバクス

です。

ドリス式の柱頭(キャピタル)は浅い鉢のような形をしたエキノスと、その上に載る正方形のアバクスからなります。

柱(シャフト)の上に鉢、その上に正方形

この時点で【THE 元祖】ドリス式です。

今なら皆さんも見えるはずです↓ドリス式オーダーが。

もう一つ、ドリス式は後に出てくるイオニア式やコリント式とは足元も違います。

柱(シャフト)が石の床(スタイロベート)の上に直接立っています!!これもドリス式の特徴です。

そしてドリス式は溝彫り(フルート)が20本あり、

溝彫りの間は稜線を形成して接しています。

溝彫りとは、つまり、まあ、えぐれている。という感じです。

また、ドリス式の柱は上に行くほど細くなっていきます。


さあこれらを踏まえて、もう一度パルテノン神殿を見たらいかがでしょうか

三段のスタイロベート(石の床)の上には、20本のフルート(溝彫り)が刻まれているシャフト(柱)が載っており、上にいくほど徐々に細くなり、キャピタル(柱頭)はエキノス(鉢)の上にアバクス(正方形)が載っています。

ドリス式のキーワード

・キャピタル(柱頭)

・エキノス(浅い鉢)

・アバクス(正方形)

・スタイロベート(石の床)

・フルート(溝彫り)

【解説】イオニア式オーダー

イオニア式は、パルテノン神殿北側のエレクティオン神殿で使われており、ドリス式から半世紀ほど遅れて小アジア(現在のトルコ)で発明されました。

イオニア式の柱頭(キャピタル)は、左右に広がる渦巻き(ヴォリュート)が特徴です。

これはわかりやすいですね。

ドリス式から半世紀遅れただけあって趣向が凝らされています。

ドリス式と違い、エキノスアバクスも左右の渦巻き(ヴォリュート)に吸収されほとんど見えません。

渦巻きはイオニア式!

また足元もドリス式とは違い下駄を履いています。

床(スタイロベート)の上に柱礎(ベース)、そして柱(シャフト)です。

またイオニア式はフルート(溝彫り)が24本あり、溝彫りの間は平縁を残して形成されています。

溝と溝の間、平らな部分が残ってますね。

先ほどのドリス式ではこの平縁が無いので、稜線で繋がっていると書きました。

また、イオニア式/コリント式の柱は上に行くにしたがって微妙に細くなっていきますが、ほとんど見た目ではわからないくらいです。

イオニア式のキーワード

・ヴォリュート(渦巻き)

・ベース(柱礎)

【解説】コリント式オーダー

コリント式は紀元前430年頃に、柱頭だけを置き換えるかたちでイオニア式から派生しましたが、ギリシアではほとんど受けれ入れられず、ローマ建築で盛んに用いられました。

コリント式の柱頭は、地中海沿岸地方に自生するアカンサスという多年草の葉をモチーフにした籠形で、イオニア式よりも一層装飾性が強いです。

↑アカンサス

イオニア式の渦巻きが縮小し、エキノス(浅い鉢形)の部分がアカンサスに成長した形態とも見ることができます。

足元も溝彫りも柱の太さもイオニア式と同じです。

コリント式

・アカンサス(多年草の葉)

3つのオーダーのまとめ

ではここで3つのオーダーのまとめを載せておきます。

ドリス式イオニア式コリント式
発明された年代紀元前7世紀ごろドリス式から半世紀後紀元前430年
柱頭の様子
キャピタル
鉢と正方形
(エキノスとアバクス)
渦巻き
(ヴォリュート)
多年草の葉
(アカンサス)
柱の足元
ベース
柱礎なし柱礎あり柱礎あり
柱の溝彫り
フルート
20本24本24本
溝彫りの間稜線平縁平縁

以上の3つのオーダーを用いて作られたのが、あのコロッセオです。

コロッセオは古代ローマの円形劇場で、ギリシア建築を模範として造られました。

よく見ると

一階にドリス式、二階にイオニア式、三階にコリント式

が使われています。

コロッセオの詳しいことはローマ建築編で見ていきます。

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