超わかりやすい!【ローマ建築】ヨーロッパを旅する前に知っておくべき知識

はじめに

RYOです

各建築様式の少し詳しい部分まで掘り下げようという狙いで、今回はローマ建築について説明します。

※明言しますが、西洋建築の勉強をしてからヨーロッパに行けば無学で行くより100倍楽しめます。5回にわたってヨーロッパ30ヵ国以上を完全無学で周ってきた僕が言うので間違いありません(笑)

参考文書:「西洋建築の歴史~美と空間の系譜~」

↓こちらを前提に話を進めますので、まずはこちらを読んでください↓

【西洋建築】建築様式の種類と風土による建築様式の違い

記事中の線の色について↓

 超重要なワードは赤線

重要なワードは緑線

一般的な強調は
文の場合:黄色線
単語の場合:太字

で表しています。

では始めます。

ローマ建築

まずはローマ建築の概要を説明します。

ローマ建築は、史上最強帝国であるローマ帝国で展開され、ギリシャ建築を受け継いでアーチやドームなどを用いた公共建築を発展させた建築様式

です。

ギリシャ建築とローマ建築

実は、ローマ建築単体を上手く説明するのは結構難しいのです。なぜならローマ建築はギリシャ建築を受け継いでいるからです。

古代ローマ人は、ギリシャ建築を「芸術的模範」としながらもギリシャ建築には無かったアーチドームを創造して公共施設を次々に造っていきました。

ローマ人はギリシャ建築のような精密加工を諦めて、公共施設というより多くの人民のためにギリシャ建築の技術を応用しようと考えました。

ギリシャ建築→神殿建設→神様のため

ローマ建築→公共施設→民衆のため

なので、ローマ建築の基本はギリシャ建築なので、ギリシャ建築編を読んでからこっちに戻ってきてもらった方が10倍理解しやすいのです↓

【図解でわかるギリシャ建築】~調和と精度を究めたギリシャ人~

公共施設とは

公衆浴場、劇場、闘技場、戦車競技場など都市に居住する圧倒的多数の大衆を治めるための娯楽施設。

ローマ人は各地に道路網や上下水道も整備しました。

古代ローマの遺跡は北はスコットランドから南はアフリカ大陸、東は中近東にまで及んでいます。

オーダーと石造建築の矛盾

ギリシャ建築編でも散々言いましたが、↓のように水平の梁を柱が支えるという構造方式(まあ鳥居みたいな形の構造)を建築用語でオーダーと呼びます。

ギリシャ建築

実例で示すと以下のようになります。「柱と梁」に注目↓

ギリシャ建築

ギリシャ建築

皆さんはギリシャ建築やローマ建築を見て「いや、柱多すぎるやろ!!」って思ったことはありませんか?

柱が多いのにはちゃんと理由があります。なぜなら、本来この[柱-梁]の構造方式は石造建築には向かないからです。

以下「ギリシャ建築編」からのコピペなので、読まれた方はすっ飛ばして下さい。

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たとえば、長い板を両端で支えただけの単純なベンチを想像して下さい。

※柱と梁のイメージ図

このベンチに人が腰を下ろすと(重さがかかると)、板は下方にしなります。重い人が腰掛ければ、湾曲が大きくなって板が折れてしまうかもしれません。

ではこれが石のベンチならどうでしょうか?

一瞬「え、石の方が丈夫でしょう?」と思ったあなた、違います。

板が下方に湾曲する際には上側では圧縮、下側では引っ張りの力が働いています。

石は圧縮には非常に強いですが、引っ張りには非常に弱いという性質があり、

逆に木は圧縮も引っ張りも同程度に強いという性質があります。

石の重さは木の6倍なので、石のベンチというのは自分自身の重さで潰れるという危険性を潜在的にはらんでいるのです。

これがギリシャ建築やローマ建築の場合、梁の上に載る石材は全部で数十トンあるんですよ?

なのでギリシャ建築の神殿には驚くほどの狭い間隔で柱が建てられているのです。

そしてこの圧縮の強さを逆手に取って発展させたのが、ローマ建築のアーチ構造ドーム構造です 

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石造建築に有利な『アーチ構造』

石やレンガなどのブロック状の材料を組み合わせて積み上げる構造を組積造↓と言い、組積造は壁を作ったりアーチを架ける方式に適しています。

前項の【オーダーと石造建築の矛盾】でも書きましたが、石は圧縮には非常に強いのでギリシャ式の「柱=梁構造」より「アーチ構造」の方が石造建築に向いています↓

アーチでは石が互いに相手を押し合って落下を妨げていますが、しかし当然アーチが横に広がって平になろうとする力(推力)も働きます。

この支持体を横に押し倒そうとする力(推力)を支えるには柱のような細長い支持体では不十分です。

柱が細いと、石の重さに耐えられずに崩壊するか↓

ゴシック建築

石の重さに耐えられず、柱が折れてしまいます↓

ゴシック建築

そこでローマ人は壁体によってアーチを支持する方法を編み出しました。

アーチは二次元的な構造なので、これを立体的に拡張した(トンネル状の)局面構造をヴォールト↓(後述します)、とくに半球状のものをドームと呼びます。

【解説】アーチ構造

さて、アーチは説明する必要も無いと思う一般用語ですが一応説明します。

西洋建築まとめ

アーチとはこのように石の圧縮力を利用した半円状の開口を指します。

ギリシャ建築ではアーチが用いられず、もっぱらローマ建築から登場した技術です。

【解説】ヴォールト

さて、次はヴォールトです。

この言葉はなかなか聞いたことのない人が多いのではないでしょうか?

ヴォールトの英語"Vault"を辞書で調べると「アーチ形天井」とありました。

そうなんです、アーチをもっと引っ張って伸ばした構造を難しい言葉でヴォールト天井と呼ぶのです。

ゴシック建築

ルネサンス建築

【解説】ドーム構造

さて、ドーム構造も詳しい説明はいらないと思います。

ローマ人が編み出したものの一つにドームも挙げられます。

ローマ建築

ドームも結局はアーチ構造を応用してできたものです。


ローマ人は闘技場や劇場の床、水道橋を支える不可欠の構造としてアーチやヴォールトを用い、公共建築や宮殿などの天井を覆うためにヴォールトやドームを大々的に用いて、ギリシャ建築には無かった独創的な空間を創造しました。

ローマ建築の二大柱『組積造とコンクリート』

ではローマ人が行った重要な革新を2つ紹介します。

それが組積造コンクリートです。

ギリシャ人が用いた架構式と比べて、ローマ人は組積造を用いました。

また、ギリシャ人が接合材を用いずに空積みしていったのに対し、ローマ人はコンクリートを用いて大きな強度を実現させました。

組積造を選んだローマ人

ギリシャ建築では切り整えられた大きな石材を正確に積み上げていく切石造を用いて神殿などを作り上げていきました。

モルタルなどの接合材を用いずに空積みするため、石材は接合面がぴたりと合うように厳密に加工されました。

しかしローマ人は公共建築事業を遂行するにあたり、ギリシャ建築のような労力と熟練さを要する方法を捨て、適当な形と大きさの石材やレンガをモルタルで接合しながら積み上げていく、より実用的で経済的な方法である組積造を用いました。

ギリシャ建築:柱を立てて梁を架ける架構式

ローマ建築:壁を組み上げていく組積造

ヨーロッパの建築は石やレンガなどブロック状の材料を用いて作られたので、架構式よりは壁を組み上げる組積造の方が安定しており作りやすかったんです。

コンクリートを発明

ローマ人が行ったもう一つの重要な革新が、コンクリートの発明です。

ローマやナポリの近郊にはポゾラナと呼ばれる火山性の土が産出され、この土を用いて古代ローマ人は水によって硬化し大きな強度を発現するコンクリートを発明しました。
(基本的に現代のコンクリートと同じ)

このコンクリートは建築・土木工事において非常な威力を発揮し、ローマ人はコンクリートを組積造と組み合わせて用いました。

まさに革命です。

ローマのオーダー

ギリシャ人は3つのオーダー「ドリス式/イオニア式/コリント式」を発展させましたが、ローマ人は更に2つ「トスカナ式」と「コンポジット式」を創造しました。

『ギリシャ建築の三つのオーダー』についてまだ読まれていない方は先に読んでください↓

※読まれた方はすっ飛ばしてください、ご存知の通り長いので(笑)

ギリシャ建築の三つのオーダー

ギリシャ建築、ローマ建築、ルネサンス建築などの古典系建築にはある共通の構造があります。

それがオーダーと呼ばれる、(床から屋根までの)柱と梁を中心とした秩序ある一連のセットです。

» 長めなので好奇心からクリックはしないようにお願いします(笑)

ギリシャ建築

要するに柱があってその上に載っている棒(梁)を合わせてオーダーと呼びます。

古典系建築と中世系建築

ギリシャ、ローマ、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロックなどの西洋建築は大きく2種類に分けることができます。

それが古典系建築中世系建築です。

その中でもオーダーの有無は古典系建築と中世建築を区別する最も特徴的な要素です。では、古典系建築と中世系建築を外観だけでも、ひとまず比較してみました!!

古典系建築で注目するのはズバリ、円柱です。

全ての建物に丸い円柱が使われているでしょ?

これらは全てギリシャ建築の「柱」に由来しています。

ギリシャ建築に由来している、(他にも古典系の特徴はいくつもありますが)だから「古典系」なんです。

中世系建築で注目するのはズバリ、とんがった塔です↓

※ロマネスク建築のみ例外で、まだ新しい建築様式を模索している途中なので中途半端な感じです。

逆に中世系建築には円柱は使われておらず、「柱ー梁」という構造方式が確認できません。

こうしてみると「古典系」と「中世系」の外観の違いは明らかだと思います。

オーダーはめちゃくちゃ重要で、中世系建築と区別されるもっとも特徴的な要素です。

当然、特徴のわかりやすい建物で比較していますがオーダーの有無はとても大切なんです。


さて、ギリシャ建築のオーダーの話に戻ります。

ギリシャ建築の発展過程で発明されたのが「ドリス式」「イオニア式」「コリント式」の3つのオーダーです↓↓

※オーダーは床から屋根までの一連のセット、と言いましたが主に「柱と梁」を表します。

※ローマ建築時代ではあと2つ「トスカナ式」と「コンポジット式」が加わって計5つのオーダーになります。

・・・。

大丈夫。ちゃんと説明します。

各部分を説明する際に聞いたことのない専門用語が頻出しますが、今後の全ての建築様式に出てくる言葉なので覚えた方が得です。

【解説】ドリス式オーダー

ドリス式(ドーリア式とも呼ばれる)はパルテノン神殿にも使われている最もシンプルなオーダー(円柱と梁のセット)で、紀元前7世紀頃にギリシャ本土で発明されました。

まずは円柱の頭の部分、キャピタル(柱頭)と呼ばれる部分を見ていきましょう。

そもそもキャピタル(柱頭)と言ってもドリス式の場合、詳しくは三つの部分に分けられます。

それが「シャフト(柱)」「エキノス」「アバクス」です。

ドリス式の柱頭(キャピタル)は浅い鉢のような形をしたエキノスと、その上に載る正方形のアバクスからなります。

柱(シャフト)の上に鉢、その上に正方形

この時点で【THE 元祖】ドリス式です。

今なら皆さんも見えるはずです↓ドリス式オーダーが。

もう一つ、ドリス式は後に出てくるイオニア式やコリント式とは足元も違います。

柱(シャフト)が石の床(スタイロベート)の上に直接立っています!!これもドリス式の特徴です。

そしてドリス式は溝彫り(フルート)が20本あり、

溝彫りの間は稜線を形成して接しています。

溝彫りとは、つまり、まあ、えぐれている。という感じです。

また、ドリス式の柱は上に行くほど細くなっていきます。


さあこれらを踏まえて、もう一度パルテノン神殿を見たらいかがでしょうか

三段のスタイロベート(石の床)の上には、20本のフルート(溝彫り)が刻まれているシャフト(柱)が載っており、上にいくほど徐々に細くなり、キャピタル(柱頭)はエキノス(鉢)の上にアバクス(正方形)が載っています。

ドリス式のキーワード

・キャピタル(柱頭)

・エキノス(浅い鉢)

・アバクス(正方形)

・スタイロベート(石の床)

・フルート(溝彫り)

【解説】イオニア式オーダー

イオニア式は、パルテノン神殿北側のエレクティオン神殿で使われており、ドリス式から半世紀ほど遅れて小アジア(現在のトルコ)で発明されました。

イオニア式の柱頭(キャピタル)は、左右に広がる渦巻き(ヴォリュート)が特徴です。

ギリシア建築

これはわかりやすいですね。

ドリス式から半世紀遅れただけあって趣向が凝らされています。

ドリス式と違い、エキノスアバクスも左右の渦巻き(ヴォリュート)に吸収されほとんど見えません。

渦巻きはイオニア式!

また足元もドリス式とは違い下駄を履いています。

床(スタイロベート)の上に柱礎(ベース)、そして柱(シャフト)です。

またイオニア式はフルート(溝彫り)が24本あり、溝彫りの間は平縁を残して形成されています。

溝と溝の間、平らな部分が残ってますね。

先ほどのドリス式ではこの平縁が無いので、稜線で繋がっていると書きました。

また、イオニア式/コリント式の柱は上に行くにしたがって微妙に細くなっていきますが、ほとんど見た目ではわからないくらいです。

イオニア式のキーワード

・ヴォリュート(渦巻き)

・ベース(柱礎)

【解説】コリント式オーダー

コリント式は紀元前430年ごろに、柱頭だけを置き換えるかたちでイオニア式から派生しましたが、ギリシャではほとんど受けれ入れられず、ローマ建築で盛んに用いられました。

ギリシア建築

コリント式の柱頭は、地中海沿岸地方に自生するアカンサスという多年草の葉をモチーフにした籠形で、イオニア式よりも一層装飾性が強いです。

↑アカンサス

イオニア式の渦巻きが縮小し、エキノス(浅い鉢形)の部分がアカンサスに成長した形態とも見ることができます。

足元も溝彫りも柱の太さもイオニア式と同じです。

コリント式

・アカンサス(多年草の葉)

3つのオーダーのまとめ

ではここで3つのオーダーのまとめを載せておきます。

ドリス式イオニア式コリント式
発明された年代紀元前7世紀ごろドリス式から半世紀後紀元前430年
柱頭の様子
キャピタル
鉢と正方形
(エキノスとアバクス)
渦巻き
(ヴォリュート)
多年草の葉
(アカンサス)
柱の足元
ベース
柱礎なし柱礎あり柱礎あり
柱の溝彫り
フルート
20本24本24本
溝彫りの間稜線平縁平縁

以上の3つのオーダーを用いて作られたのが、あのコロッセオです。

コロッセオは古代ローマの円形劇場で、ギリシャ建築を模範として造られました。

よく見ると、一階にドリス式、二階にイオニア式、三階にコリント式が使われています。

コロッセオの詳しいことはローマ建築編で見ていきます

【解説】エンタブラチュア

これらの他にも、「エンタブラチュア」なども是非知っておいて欲しいワードです

エンタブラチュアとは柱頭(キャピタル)の上に載る部分全体です。

下の画像を見ながら理解を深めてください。

エンタブラチュアは三層に分かれており、柱頭の直ぐ上に載るのが梁の役割を持つアーキトレーヴ(E)、アーキトレーヴの上が装飾帯のフリーズ(D)、そして屋根の軒にあたるコーニス(C)があります。

屋根はほとんど崩れてしまって確認できませんが、本当はこの上に三角形のペディメントが載ります。

※もう少し細かく各部が分けられますが、一応これくらいにしておきましょう

ここまでのキーワードまとめ

では既に出てきた、ギリシャ建築編で特に覚えて頂きたいキーワードをおさらいしますのでもう一度ご確認ください!

POINT

・オーダー(柱と梁の一連のセット)

・ドリス式(キャピタルはエキノス(浅い鉢)とアバクス(正方形)が構成されている)

・イオニア式(キャピタルは渦巻き形のヴォリュート、足元にはベースがある)

・コリント式(イオニア式とほぼ一緒、キャピタルはアカンサスの葉を模してある)

・エンタブラチュア(柱の上に水平に載る石材)

・ペディメント(神殿の上によくある三角形)

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【解説】トスカナ式オーダー

トスカナ式は、紀元前8世紀頃にイタリア中央部に現れた民族エトルリア人が創造したエトルリア建築に起源を発するといわれるオーダーです。

ドリス式によく似た柱頭をもちますが、溝彫りがありません。

また、ドリス式と違い柱礎(ベース)があります。

エンタブラチュア(柱頭上部の総称)はドリス式と同じく三層に分かれますが全体に簡素でフリーズとコーニスを欠くもののあります。

↑確かにベース(柱礎)とドリス式キャピタルエキノス(鉢)+アバクス(正方形))が確認できますね。

【解説】コンポジット式オーダー

コンポジット式は、ギリシャ建築の二種類の柱頭装飾であるイオニア式オーダーの渦巻きとコリント式オーダーのアカンサスを上下に組み合わせた柱頭をもちます。

五つのオーダー

こうして五つのオーダーが出そろいました。

ギリシャ建築:「ドリス式」「イオニア式」「コリント式」

ローマ建築:「トスカナ式」「コンポジット式」

です。しかしローマ建築では既存のオーダーにも若干の変化が生じ、概して装飾的になりました。

ドリス式は全体に細身になり、溝彫りをもたないものも作られ、柱礎が加わり、柱頭は小さくなったり・・・

ローマ遺跡のケルスス図書館などがいい例です。

円柱を載せるペデスタル(柱台)もローマ建築に現れた重要な要素です。

オーダー適用のバリエーション

以下、建築作品に即してオーダー適用のバリエーション(実例)を紹介していきたいと思います。

ローマ人は「壁=アーチ構造」の表面に「柱=梁構造」の美学原理であるオーダーを、そっくりそのまま外装として貼り付けました。

例えばこちら↑

これはローマ時代に建てられたパンテオンですが、一瞬

「は?( ゚Д゚)ギリシャ人が究めた「柱=梁のオーダー」がローマ建築ではただの飾りとして使われてますやん・・・」

と思いますが、違います。

オーダーは、構造体を飾る単なる装飾として適用されたのではなく、オーダーこそが表現の主役なのです。

実際の建物を示しながら説明することで、よりローマ建築の理解が深まると信じています。

パンテオン

初めに紹介するのは、ローマ皇帝ハドリアヌスの建立によるパンテオン(AD118~135)で、下に全体像を示しています。

ローマ建築で造られた組積造の壁にギリシャ神殿の正面部分を貼り付けています。

この正面のオーダーは、えーっと、、、アカンサスの葉の文様があるのでコリント式ですね!!

パンテオンの正面にギリシャ神殿のコリント式オーダーをそのまま貼り付けています。

次に内部です。

↑天井にはローマ人が編み出したドームがあり、

↑中にも、またもやコリント式オーダーです。

【解説】ペディメント

先ほどから一、二度出てきた用語ですが、説明します。

ペディメントとは、神殿の上に載ってるでっかい三角形です。

これがパンテオンの中にも数多く使われていますが気付きましたか?

こんなとこにも、あんなとこにもペディメントが・・・

【解説】ピラスター

よく見ると円柱の他に壁と同化した角柱のコリント式オーダーっぽいのが見えますね?

あれはピラスター(壁付きの平たい柱)と呼ばれるものです。

【解説】エディキュラ

仁王像みたいなのが立っている部分をエディキュラと呼び、エディキュラの上には三角形のペディメントがあります。

エディキュラは神殿正面を小型・簡略化したモチーフを指します。

コロッセオ

次は、ローマ時代の代表的な娯楽施設コロッセオ(AD70~80)で、下に全体像を示します。

前述していますが、コロッセオは四階建てで一階から順にドリス式オーダー、イオニア式オーダー、コリント式オーダー、コリント式ピラスターという構成になっています。

※独立円柱ではなく、壁に半分埋まっている半円柱という事に気をつけてください

コロッセオ一階「ドリス式半円柱」

表面の凸凹が無いので、トスカナ式かドリス式ですが、少なくとも本書「西洋建築の歴史」にはドリス式と書いてあります。

トスカナ式オーダーの項で「ドリス式によく似た柱頭をもちますが、溝彫りがありません。」と書きましたのでトスカナ式とも言えると思います。

どうなんでしょうか・・・

コロッセオ二階「イオニア式半円柱」

これは完全にイオニア式ですね。

渦巻きも確認できますし、柱礎(ベース)も見えます。

コロッセオ三階「コリント式半円柱」

アカンサスの模様と柱礎

相変わらず表面の稜線は確認できません

コロッセオ四階「コリント式ピラスター」

明らかにピラスターですね。

それにしてもローマ人はコリント式大好きですね。

【解説】ピア

どんどん新しい用語が出てきますが頑張ってください。

ピアとは、アーチを支えている直方体の脚のことです。

コロッセオの例で言えば、アーチを支えているこの直方体の脚です。

アーチを支えているのは半円柱ではなくあくまでピアです。

【解説】アーケード

ここでまた新たなキーワード、アーケードについて説明します。

アーケードとは、背後を通廊としたアーチの連続開口のことでコロッセオには数えきれないくらい存在します。

(もちろん、黄色で囲っていない開口部も全てアーケードと呼ばれます)

この歯抜けのように開いている開口部、全てアーケードです。

四階はアーケードとは呼ばず、単に窓が開いているだけです。

コロッセオのすごさ

誰が見ても「スゴイ!」と思うコロッセオですが、コロッセオの本当のすごさは建て始めるまでの段階にあります。

» 続きを読む

比例の定式から寸法が決まるオーダーとアーケードの両方を統一的に整合させるのは至難の業です。

アーケードの高さは観客席の勾配などと関連し、外壁にはオーダーが貼り付けられているので、アーケードの高さの調節はエンタブラチュアの高さ、すなわちこれを支える柱の高さの変更を意味し、このことは比例の法則に従って決定されるオーダー各部の修正を意味します。

早い話、作り始めてから「あ、ここの寸法間違ってた」とかが起こってももう変更はできない、つまり統一感のない円形劇場になってしまうのです。

それに先ほどみたオーダーも半円柱なので、組積造の表層部分と一体的に造られており、一度間違えれば修正がなかなかしにくい構造なんです。

なので古代ローマ人はコロッセオを建造する際、全ての数字に矛盾がないかを何度も何度も確認してから着工を開始したのです。

また、コロッセオの平面は楕円形なので、オーダーが無くとも形態決定のプロセスは相当に複雑なものであると想像できます。

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コロッセオ荒廃の理由

西暦80年に建設されたコロッセオ、2020年現在で既に造られてから1940年の月日が経っています。

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自然環境の中で荒廃していくのは当然じゃん?( ̄д ̄)

と思った方、違います。

きわめて堅牢に造られたコロッセオが今のように荒廃したのは、ある一つの理由があります。

それがルネサンス期の人々による解体です。

ローマ建築をお手本として編み出したルネサンス建築でしたが、当時の人々は新たな教会を建てるためにコロッセオから大理石やトラバーチン(大理石の一種)、石などを切り出してしまったのです。

コロッセオだけでなくパンテオンもそうで、元はもっと豪華な作りだったんです。

逆に言えば古代ローマ時代から1000年以上経ったルネサンス時代でも建築材料として使えるほどしっかりした建造物だったのです。

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凱旋門

そして最後に、イタリアの首都ローマにある315年に建てられた古代ローマ時代の凱旋門です。パリにある凱旋門のモデルになったオリジナルです。

凱旋門は実用的な建築物では無いので、形態は純粋に美的な観点から決定されています。

【解説】ペデスタル(柱台)

オーダーはまたもコリント式オーダーがそっくりそのまま貼り付けられていますが、通常と違う点としてペデスタル(柱台)が使われている事です。

柱台(ペデスタル)とは柱の下にある背の高いベースです。もはや柱礎とは別物ですよね

この柱台は、エンタブラチュアの高さを調整するのに非常に有用らしいです。

【解説】要石(かなめいし)

さあ、これで最後です。

要石(かなめいし)とは、アーチの最上部に取り付けられた石のことで、全体を固定する役目を持っています。


さて!

以上をもって下の写真と説明を読んで頂ければ、何となくローマ建築の特徴がお分かりになると思います。

この凱旋門は中央に大きなアーチを、その両脇に半分の大きさのアーチをあけた分厚い壁体に、コリント式オーダーを貼り付けたものです。

中央アーチの高さは、要石(かなめいし)がエンタブラチュアの下端部にちょうど接するように、両側のアーチの高さは、要石が中央アーチの迫元(アーチとピアのつなぎ目部分)の下端部にぴったり接するように決められています。

おわりに

ようやくローマ建築の概要が終わりました。

エンタブラチュア、エディキュラ、ピラスター、ヴォールトなど数々の専門用語が出てきましたが、一つ一つは決して難しいものではありません。

これらの用語はギリシャ建築、ローマ建築だけでなくその後のロマネスク建築やゴシック建築、バロック建築などにも当然出てきます。

その都度、説明を入れるように努力しますがなるべく早く慣れてください!

では次はロマネスク建築編でお会いしましょう

超わかりやすい!【ロマネスク建築】ヨーロッパを旅する前に知っておくべき知識