はじめに
RYOです。
このシリーズでは世界遺産検定1級合格のために、まずは日本の世界遺産を全て勉強しようという企画です。
今回は「法隆寺地域の仏教建造物群」についてです。
法隆寺地域の仏教建造物群(1993年登録)
聖徳太子ゆかりの地である奈良県生駒郡斑鳩町にある法隆寺の47棟と、法起寺の1棟が世界遺産に登録されています。
607年に聖徳太子と推古天皇によって建立された若草伽藍(がらん)を起源とする法隆寺は、(大きく分けると)境内を西院と東院のふたつの伽藍群によって構成されています。
伽藍(がらん)
伽藍とは寺院の建築物の総称
西院の金堂や五重塔は現存する世界最古の木造建築として知られています。
法隆寺式伽藍配置
西院伽藍には、東に金堂、西に五重塔が並び、この伽藍配置(がらんはいち)を「法隆寺式伽藍配置」と呼びます。
高さ31.6mの五重塔は、上に行くほど屋根が小さく塔身も細くなっており、視覚的にも安定感があり、デザイン性に対する評価も高いのです
また、五重塔の中心を通るヒノキの「心柱」(しんばしら)は、屋根から独立しており、揺れに強い耐震設計となっています。
心柱(しんばしら)
心柱とは、力学上のバランスを整えるための仏塔などの中心の柱
現存最古の力士像
西院の入り口にあたる法隆寺中門の左右には、口を開けた阿形(あぎょう)と口を結んだ吽形(うんぎょう)の2体の金剛力士像が置かれており、阿形像は塑像(そぞう)による現存最古の力士像として知られています。
塑像(そぞう)
塑像とは、粘土や石膏を材料として作られた像
エンタシス
また西院の金堂や五重塔には、視覚的な安定感を与えるために、柱の中ほどを太くするエンタシスという技法が用いられています↓
これは、パルテノン神殿やギリシャ建築にも多く見られる技法で、飛鳥時代の日本にヘレニズム文化が伝わっていたとも考えられます。
ヘレニズム文化
ヘレニズム文化とは、紀元前330年頃のアレクサンドロス大王の時代に東洋と西洋の文化が混ざった文化。例えばヘレニズム文化のガンダーラ美術では鼻の高い仏像が作られた↓
法起寺
一方、聖徳太子の遺言で建立された寺院を起源とする法起寺の境内には、706年に創建された日本最古の三重塔が、創建当時のままの姿で残されています↓
法起寺の伽藍配置は、金堂と塔の配置が法隆寺の伽藍配置と東西逆になっています。
この地域の建造物群は、日本に仏教が伝わって間もない飛鳥時代の建築様式を示しており、中国や朝鮮の影響を受けながらも独自に発展した日本の仏教文化の発展過程を知るうえでも貴重な史料となっています。