⑥石造建築に有利な『アーチ構造』とその応用【3/6】

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ヨーロッパを旅する前に知っておくべき西洋建築の知識として、今回はローマ建築について説明します。

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※明言しますが、西洋建築の勉強をしてからヨーロッパに行けば無学で行くより100倍楽しめます。

筆者
5回にわたってヨーロッパ30ヵ国以上を完全無学で周ってきた僕が言うので間違いありません(笑)

※「この部分がわかりにくいです」とか「これはどうなんですか?」などの質問やコメント等ありましたら遠慮なく下部のコメント欄からお問い合わせください!

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本記事は「石造建築に有利な『アーチ構造』とその応用」を解説しています。

石造建築に有利な『アーチ構造』とその応用

この章の特に重要な点を挙げると以下の2点になります↓

この記事のPOINT

➀組積造とは

②アーチ、ヴォールト、ドームとは

それぞれ解説します。

➀組積造とは

石やレンガなどのブロック状の材料を組み合わせて積み上げる構造を組積造(そせきぞう)と呼び、組積造は壁を作ったりアーチを架ける方式に適しています↓

ギリシャ建築編の【【ギリシャ建築】オーダーと石造建築の矛盾【6/7】】でも書きましたが、石は圧縮には非常に強いのでギリシャ式の「柱=梁構造」より「アーチ構造」の方が石造建築には向いているのです。

なんせ梁が自重で折れる可能性があります↓

これはギリシャ建築編で紹介しましたよね。

アーチでは石が互いに相手を押し合って落下を妨げていますが、しかし当然アーチが横に広がって平になろうとする力(推力)も働きます。

この支持体を横に押し倒そうとする力(推力)を支えるには柱のような細長い支持体では不十分です。

柱が細いと、石の重さに耐えられずに崩壊するか↓

石の重さに耐えられず、柱が折れてしまいます↓

そこでローマ人は壁体によってアーチを支持する方法を編み出しました↓

このように、ギリシャ建築の欠点である架構方式を捨て、ローマ建築ではより理に適った組積造を発展させていきました。

アーチは二次元的な構造なので、これを立体的に拡張した(トンネル状の)局面構造を「ヴォールト」(後述します)、とくに半球状のものを「ドーム」と呼びます。

②アーチ、ヴォールト、ドームとは

さて、アーチは説明する必要も無いと思う一般用語ですが一応説明します。

アーチとはこのように「石の圧縮力」を利用した半円状の開口を指します。

ギリシャ建築ではアーチが用いられず、もっぱらローマ建築から登場した技術です。

【解説】ヴォールト

さて、次はヴォールトです。

この言葉は聞いたことのない人が多いのではないでしょうか?

ヴォールトの英語"Vault"を辞書で調べると「アーチ形天井」とありました。

そうなんです、アーチをもっと奥に引っ張って伸ばしていった構造(つまりトンネル形)を難しい言葉でヴォールト天井と呼ぶのです↓

こんな感じで、アーチを三次元的に拡張したものがヴォールトです。

まあ難しく考えないで、半円筒状の天井(つまりトンネル)くらいのイメージで結構です。

【解説】ドーム構造

さて、ドーム構造も詳しい説明はいらないと思います。

ローマ人が編み出したものの一つにドームも挙げられます↓

ドームも結局はアーチ構造を応用してできたものです。

ローマ人は闘技場や劇場の床、水道橋を支える不可欠の構造としてアーチやヴォールトを用い、公共建築や宮殿などの天井を覆うためにヴォールトやドームを大々的に用いて、ギリシャ建築には無かった独創的な空間を創造しました。


では次に、ローマ建築の二大技術革新についてお話したいと思います↓

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