本来の"Gay"の意味は「楽しい」
皆さん、「Golden Gay Time(ゴールデン・ゲイ・タイム)」という言葉をご存じだろうか?
直訳すれば「黄金のゲイな時間」。
なんともアブナイ香りが漂ってきそうな名称ではあるが、実はオーストラリアではごくごく普通の言葉である。
何の隠語でもない、むしろ堂々たる商品名なのだ。
筆者がこの「Golden Gay Time」に遭遇したのは、メルボルン在住の知人宅での出来事。
冷凍庫を開けたら、そこにキラキラ輝くその名が鎮座していた。
そう、これはアイスである。
アイスクリーム。
棒付き。
パリパリ。
サクサク。
うまいやつ。
しかもパッケージの下には、こんなフレーズが踊っていた。
4 delicious chances to have a gay time !
=ゲイタイムを楽しめる4回の美味しいチャンス!
さらに、もう一発。
It’s hard to have a Gay time on you own
=自分だけでゲイタイムを過ごすことは難しい!
なかなか攻めたコピーである。
どこか哲学的ですらある。
Gayの本来の意味
さて、「ゲイ=男性同性愛者」というのが現代の一般的なイメージであるが、そもそも「gay」という言葉には、以下のような意味がある。
・幸せな(happy)
・明るい(bright)
・楽しい(joyful)
つまり「Golden Gay Time」とは、「黄金のように幸せな時間」あるいは「キラキラした陽気なひととき」とでも訳すべきなのである。
なんとポジティブなネーミング!
20世紀に入ってから徐々に定着し、現在のような用法となったというわけだ。
意外に使える形容詞「Gay」
実は「gay」という形容詞、案外いろんな場面で使える便利ワードである。
たとえば――
- gay voices:賑やかな人の声
- a gay dance:陽気なダンス
- in a gay mood:ウキウキして
- a gay dress:派手なドレス
- the gay quarters:色町、花街
- lead a gay life:自由な生活を送る
- gay color:派手な色
と、こんな具合。
明るく楽しいニュアンスを含む表現として、昔は結構ポピュラーに使われていたのだ。
では、Gay Barとは?
おしゃれなバーなのか? それとも…ゲイが集うバーなのか?
正解は――どちらも正解である。
状況と前後の文脈で判断していただきたい。
無責任なようだが、それが言葉の面白さというものである。
ということで、本来の「Gay」の意味についての紹介であった。
もしオーストラリアで「Golden Gay Time」を見かけたら、ぜひ試していただきたい。
名前に惑わされることなかれ、アイスとしての実力はなかなかのものである。
では、また会おう。
次回は「Fairy Bread」の謎に迫る…かもしれない。