【新約聖書⑦】なぜイエスは裏切りを知りながら十字架にかけられたのか?

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さて、本記事ではユダヤ人の聖書(=物語)である「旧約聖書」の続き、新約聖書についてなるべくわかりやすく解説してみました。

新約聖書は旧約聖書の続編として書かれているので、先に旧約聖書の内容をチラ見したい方はこちらからご覧ください↓

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参考書は【眠れないほどおもしろい「聖書」の謎】【常識として知っておきたい世界の三大宗教】です。

では始めます(”◇”)ゞ

本記事に用いるイメージはほぼ全て画像生成AIで作成したものです。
新約聖書編では趣向を変えて漫画風のイラストで進めていこうと思います。

どうぞお楽しみください!

なぜイエスは裏切りを知りながら十字架にかけられたのか?

さて、前回の記事ではエルサレムに入場するやいなや、市場をぶっ壊し、ユダヤ教徒を完全に論破し、その中で徐々にイエスに反意を抱くユダの存在をご紹介しました。

そして最後の晩餐で「この中に裏切り者がいる」と告げたイエスでした。

その夜、最後の晩餐を終えたイエスたちは、祈りを捧げるためにオリーブ山のゲツセマネの園へと出かけました。

そこでイエスはこの先、弟子たちが自分を見捨てることを告げました。

ペトロが

「私は決して見捨てることはありません」

と答えたところ、さらにイエスは言いました。

「あなたは夜が明け、鶏が鳴く前に三度、私のことを知らないと言うだろう」

そして弟子たちにゲツセマネの園で待つように言いつけ、最も近しい弟子であるペトロ、ヤコブ、ヨハネの三人を連れて、さらにその奥に向かいました。

イエスは死の哀しみを感じて、悶えるように祈ったのです。

「父よ、あなたはなんでもおできになります。できることならこの私の苦しみの杯を取り除いてください。しかし、私の意志ではなく、あなたの御心のままになりますように」

イエスが苦しみに耐え、ひたすら祈りを捧げている間、三人は寝てしまいました。

イエスは三度も弟子たちを叱りつけ、起こしました。

「立て、行こう。見よ、私を裏切る者が来た」

裏切り、逮捕、死刑宣告ー全ては「預言の成就」のため!

その時、ユダが剣や棒を持った大祭司たちを連れて、イエスのもとへやって来たのです。

ユダがイエスに近づき接吻をすると、それを合図に彼らはイエスを捕らえました。

大祭司たちは、イエスを支持する群衆がいない時を見計らって計画を実行したのです。


逮捕されるイエス

この時、剣を手にしたペトロが大祭司の部下の耳を切り落としましたが、イエスは

「剣を取る者は皆、剣によって滅ぶ」

と、それを制しました。


「許せん!!!!」大暴れするペトロ

そして、この逮捕は「預言の成就」のためだと告げると、弟子たちは一目散に逃げ出してしまいました。


一目散に逃げる弟子たち(こんなに数は多くないが)

捕らえられたイエスは、大祭司カイアファに引き渡され、審問にかけられました。

もともとイエスを処刑しようと考えていた彼らは、極刑に処すためのあらゆる証拠や証言を探そうとしましたが、なかなか出てきませんでした。


粗探しする祭司たち

そこでカイアファはイエスに尋ねました。

「お前は神の子、メシアなのか?」

イエスは自らをメシアだとはっきり認めました。

それを聞いたカイアファは、

「これ以上、証人はいらない」

と死刑に処せよと喚きました。


イエスの処刑を声高に叫ぶカイアファ

当時のユダヤ教では「自分は神と等しい存在だ」とすることは、唯一の神に対する冒涜だとされていたからです。

議員たちは満場一致で死刑を可決しました。

その頃、イエスの連行と同時に逃げ出したペトロは、中庭でその様子をうかがっていました。


中庭から様子をうかがうペトロ

そして、女中や民衆に三度にわたって、

「イエスと一緒にいた人ではないか?」

と聞かれましたが、

「そんな人は知らない」

と三度答えてしまいました。

その直後に鶏が鳴き、ペトロはイエスの言葉を思い出し、激しく泣いたのでした。


イエスの予言通りになり悔しがる弟子たち

一方ユダは、イエスが死刑になるとは夢にも思っていませんでした。

そこで大祭司たちに銀貨三十枚を突き返し、なんとか判決を取り消してもらおうとしました。


「死刑になるなんて聞いてなかったぞ!!!!!!!!!!」

しかし聞き届けられるわけもなく、ユダは銀貨を神殿に投げ入れ、首を吊って自害したという。

イエスは"政治犯の罪"で磔にされた!

当時、ローマ帝国の支配下にあったユダヤ人には、死刑執行の権限がありませんでした。

そこで、夜が明けると同時に、イエスはローマのユダヤ総督ピラトに引き渡されることになりました。


尋問を受ける神の子イエス

ピラトはイエスに尋問しましたが、罪にあたるようなことは何も見つかりません。

そこで、その判断をユダヤ人に委ねることにしたのです。

ちょうどその頃、エルサレムは過越祭で、この時期には囚人一人を釈放する習慣がありました。

ピラトは殺人犯バラバとイエスのどちらを釈放するかを民衆に問いました。

当然イエスかと思いきや、民衆からはなんと

「バラバを釈放せよ、イエスは死刑だ!!」

という声が上がりました。

大祭司らが前もって民衆に根回ししていたこともありましたが、民衆もまたイエスに失望していたのです。

民衆がイエスに望んでいたのは、ローマの統治下から解放してくれるという意味での救世主であり、強いリーダーとしての働きだったのです。

バラバは釈放されましたが、イエスは紫の服を着せられ、茨の冠をかぶせられました。

そして、民衆にののしられ、兵士に鞭打たれながら処刑場のあるゴルゴダの丘へ連行されました。

その日の午前九時、イエスは二人の強盗とともに十字架に釘で手足を打ちつけられました。

十字架はローマの政治犯を見せしめとして処刑する方法で、イエスは政治犯の罪で磔にされたのです。

痛みを和らげるため、薬入りの葡萄酒が与えられましたが、イエスはそれを拒否したという…。

さらに「ナザレのイエス、ユダヤ人の王」と書いた板を頭上に掲げられ、服を引きちぎられました。

服はくじ引きで兵士らに山分けされました。

その時、暗闇がたちこめ、地震が起こった!

祭司をはじめ、その場に居合わせた人々は口々に、

「神に頼んで今すぐ助けてもらえよ」

「神に愛されているなら、救ってもらえるだろう」

とイエスをののしりました。

すると、真っ昼間にもかかわらず、突然辺りが真っ暗になったのです。

時刻は昼の十二時、その暗がりは十五時頃まで続きました。

そしておもむろにイエスが叫んだのです。

「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」

これは「神よ、なぜ私をお見捨てになったのですか」という意味で、イエスはそのまま息を引き取りました。

その瞬間、神殿の垂れ幕が上下真っ二つに裂け、小さな地震が起こりました。

それを目の当たりにした人たちは、

「この人は本当に神の子だった」

と慄いたという。


では次ページでは「「イエスの復活」によって弟子たちに何が起こったか」についてご紹介します。

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