こんにちは、寝袋に関しては自称プロであるRYOです。
本記事は前編(【シュラフの買い方】購入前に知っておくべき寝袋の基礎知識➀)の続きです。
前編記事より引用
前編では、
- 寝袋の中身の違い
- 寝袋の暖かさの秘密
- 使用温度域
- FP(フィルパワー)
などを説明しました、後編では⑤生地の厚さから始めたいと思います!
前編を確認されていない方はこちらから↓
こんにちは、寝袋に関しては自称プロであるRYOです。今回は"人生の良き友"である、寝袋のお話をします。寝袋を購入する際、理解できないくせに一応スペック表に目を通しますよね(笑) 表面はボックス構造採用 […]
では早速やっていきましょう(・ω・)ノ
⑤生地の厚さ
寝袋の生地の厚みはデニール(D/DN)で表されます↓
10Dは10デニールの意味
デニールは繊維の太さを表し、その定義はめっちゃヘンテコです。
9000mで1gの糸=1デニール
例えば10D=「9000mで10gの糸」という意味です。
つまりデニール数が大きいほど繊維が太いってことですね(о´∀`о)
ちなみに40~60デニールが最も美脚で脚が細く見えるのだとか↓
めっちゃ美脚(;゚д゚)ゴクリ…
どうでもいいですがこのサンプル画像の人、めっちゃキレイな脚してますね
これがデニールマジックか…
さて、前編(【シュラフの買い方】購入前に知っておくべき寝袋の基礎知識➀)の➀寝袋の中身の違いでもご紹介しましたが、デニールの数値が低い(生地が薄い)と封入されているダウンによっては生地を突き破って飛び出ることがあります。
復習ですがダウンは大きく以下の3種類に分けられます↓
お高いダウン製品はふわふわダウンの含有率が高く、安いダウン製品はフェザーの含有率が高いです↓
フェザーは重いし鋭いし大きいので、携帯性(コンパクトさ)が求められる寝袋やダウンウェアには不向きです。
逆にベッドにずっと置きっ放しの羽毛布団の場合はコンパクトさは要らないので、フェザーの封入量を多くしたりします。
と言うより、羽毛布団サイズをフェザー無しのダウンオンリーで製品化した場合、もう一般人では手が出せない金額になります(笑)
つまり、生地を薄くすればするほどダウンの質も高くしないといけないのです。
仮にですが、ジーパンみたいな分厚い生地で包む場合、ダウンじゃなくてフェザーばっかりでもいいですよね?
筆者が注文した"AURORA 900 DX"は生地の厚みが40DNですが、使用温度域が同じの上位互換製品である"AURORA LIGHT 900 DX"は生地の厚みが15DNとなっています↓
↑表からもわかる通り、生地が薄いとより軽量でよりコンパクトにすることができます。
生地が薄い:軽量、コンパクト、薄いぶん生地の耐久力は雑魚(なのでダウンを使う必要あり)
生地が厚い:重い、大きい、厚いぶん生地はまじタフ(ダウンよりフェザー多めでも大丈夫)
つまり、高いダウンシュラフにはそれなりの理由があるってことなんです。
㋐格安な雑魚シュラフを買う→フェザーが多く使われる→フィルパワーが低いので寒い→生地が薄いと突き破られるので生地を厚くする→小さくできず重い
㋑高品質なシュラフを買う→高品質なダウンが多く使われる→フィルパワーが高いので暖かい→生地を突き破る心配が無いので生地を薄くできる→小さく収納できるし軽い
⑥内部構造
では次に生地の内部構造の説明に入ります。
実は生地の構造は大きく以下の3つに分かれます↓
他にも「ディファレンシャルボックスキルト構造」だとか「オフセットキルト構造」など様々あるらしいんですが、とりあえず上記の3種類を知っていれば大丈夫です(・ω・)ノ
『シングルキルト構造<ボックスキルト構造<台形ボックスキルト構造』の順で良い構造と言って良さそうです。
ではそれぞれの特徴を軽く紹介します。
シングルキルト構造
シングルキルト構造の場合、表と裏を直接縫い付けるので作業的にはめっちゃシンプル、つまり安く仕上がります↓
(出典:驚愕のロフト。ダウンシュラフの完全冬用モデルが2万円アンダーで登場!)
しかし構造的に弱く、縫い付け部分はダウンが全く入っていないので冷気がダイレクトに寝袋内側に入ってきます↓
(出典:サーモキーパーであたたかい)
ですので、
シングルキルト構造は中華製のクソ雑魚シュラフにしか使われません!
と言いたいところなんですが、なかなかどうして一概にそうとも言えないんです(笑)
シングルキルト構造は寝袋の背中側によく使われます、なぜなら背中はどっちにしろダウンが潰れて保温力があまり発揮されないからです↓
わざわざボックスキルト構造などにしたところで、
- ダウンが潰れるので効果はあまりない
- 生地の使用量が増えるので重くなる
- 工程が複雑になり金額が上がる
など、ほとんどメリットはないので背中側は最低限の装備(シングルキルト構造)でいいんです。
だからこそです。
地面の冷気の断熱にはしっかりとお金をかけてください。
つまり、良いエアマットレスを使ってください。
スロベニアの山の中でテント泊した時の様子
じゃないと命に関わります。
たとえばナンガの製品、税込み66,000円の「AURORA light 350 SPDX」の場合、なんと表裏ともにシングルキルト構造を採用しています↓
これは夏用だからなんですね。
では続いてボックスキルト構造の説明です。
ボックスキルト構造
ボックスキルト構造の場合、断面図はこうなりますよね↓
(出典:驚愕のロフト。ダウンシュラフの完全冬用モデルが2万円アンダーで登場!)
シングルキルト構造と比べて構造的にも強く、コールドスポットも無いので同じダウン量でより暖かい寝袋になります。
しかしそのぶん生地を多く使うので少し重くなりますし、工程が複雑なので値段も上がります。
たとえばナンガの別製品、税込み88,000円の「AURORA light 450 SPDX」の場合、表面にはボックスキルト構造を採用しています↓
裏面はシングルキルト構造
これは冬以外の3シーズン対応のモデルなので、表面はより断熱性の高いボックスキルト構造を採用しています。
では最後に「台形ボックスキルト構造」の説明です。
台形ボックスキルト構造
では最後に台形ボックスキルト構造の説明です。
台形ボックスキルト構造は、ボックスキルト構造よりも構造的に強く保温性能がより高いのです↓
構造的に強いということは「潰れにくい」、つまり「ダウンのロフトを最大限に引き出せる=暖かい」ということです。
たとえばナンガの別製品、税込み110,000円の「AURORA light 600 SPDX」の場合、表裏両面に台形ボックスキルト構造を採用しています↓
表裏に台形ボックスキルト構造って、かなり贅沢な仕様ですね(*´ω`*)
ではその他の機能に移ります。
⑥その他の機能
ではその他の注目すべき機能を3つご紹介しておきます。
これらの機能が無い寝袋だと結局高いお金を払った割に満足度が低くなります⊂((・x・))⊃
ショルダーウォーマー
ショルダーウォーマーは熱が逃げやすい肩付近をしっかりと包み込み、保温性能を高める効果があります!
やはりジッパーを完全に閉めたところで、顔付近はどうしても開いてしまいますよね↓
なのでより包み込むために、ショルダーウォーマーが必要なのです。
ドラフトチューブ
ドラフトチューブは、内側に設けたダウン入りチューブでジッパーの隙間から入り込む冷気を防ぎ、保温力を向上させるものです。
ドラフトチューブが無い場合「ファスナーがある側だけ冷気が入って寒い( ゚Д゚)」となります。
フットボックス
そして最後にフットボックスです。
心臓から最も遠く寒さを感じやすい足元は羽毛を多めに封入し寒さから守り、自然な形で保温できるような設計で足元をサポートする必要があります↓
つま先部分がグッと盛り上がっていないと、つま先がダウンの膨らみを押して突っ張るのでせっかくの断熱層を潰してしまうんですよね↓
足のサイズ29cmの筆者も確かにつま先の寒さを感じることが多々ありましたが、今思うとフットボックスが小さかったのかな。
新しく注文した寝袋はロングサイズなのでもう少しフットボックスが大きいことを期待します(・ω・)ノ
⑧シュラフカバー
では次にシュラフの保温力を高めたり汚れや水濡れから守ったりするシュラフカバーの紹介です↓
(出典:もはや魔法!今シュラフカバーを選ぶならUS軍一択!?)
シュラフカバーとはその名の通り、シュラフをカバーする製品です。
そう思ったあなた、あなたはまだ冬のテント泊のほんとの怖さをご存知ない様子(;´Д`)
冬にテント泊をすると自身の熱でテントの内側に結露し、寝返りした時などにシュラフがテント内側に接触してべったり濡れることが往々にしてあるのです。
実際にテント内部のシートの結露が凍って雪になってる状態↓
(出典:【体験談】冬キャンプで結露が凍って大惨事!テント内の結露の原因と対策方法を解説)
前編でも言いましたが、ダウンは濡れると保温力が急激にダウンします。
つまり「ダウンシュラフは濡らさない」が鉄則なのです。
真冬で気温が低ければ低いほど結露のリスクが高まり、ダウンシュラフが使い物にならない可能性も高くなるのです。
ということで、ようやくシュラフカバーの重要さをわかって頂けたようですね(^ω^)
筆者はずっとNANGA(ナンガ)の製品を使用しており、ナンガは生地自体に防水透湿性を施しているのでシュラフカバーは不要、実は筆者は水濡れを気にした事はありません。
↑オーロラテックスと名付けた生地が防水透湿機能を持っており、「シュラフカバー不要」がナンガシュラフの売りの一つとも言われる程です。
シュラフカバーの内側で内部結露する!!?
ここまでシュラフカバーの重要性を語ってきましたが、実はシュラフとシュラフカバーの内側で結露することもあるのです!!!
ここで一度シュラフの構造をおさらいしましょう。
寝袋が暖かいのは、ダウンが膨らんで空気を含みそれが断熱層となって自身の熱が外に逃げないので暖かい、ですよね。
ここにシュラフカバーを被せるとどうなるでしょう?
シュラフカバーは水は弾きますが冷気は素通りですよね、シュラフカバーの生地はペラペラなので。
するとシュラフカバーの内外の温度差が激しくなり、結果カバー内側に結露してしまうんです。
そんな内部結露を防ぐ2つの要素を紹介します↓
㋐質の高いダウンシュラフを使う(寝袋の質が決め手)
㋑透湿性の高いシュラフカバーを使う(シュラフカバーの質が決め手)
詳しく書くと大変なので超簡単な説明に留めたいと思います。
㋐質の高いダウンシュラフを使う
質の高いダウンシュラフは熱を外側に逃がさないので、シュラフカバーの内外の温度差も少なくなり、結果的に内部結露もしにくくなります。
例えば3シーズン用の寝袋(断熱性は高くない)でシュラフカバーを使った場合、身体の熱は外側に容易に逃げるのでカバー内外の温度差が大きくなり結露します↓
㋑透湿性の高いシュラフカバーを使う
透湿性の高いシュラフカバーの場合、カバーの内側に溜まった湿気をどんどん外に出すので結果的に結露しにくくなります。
⑨シュラフのメンテナンス方法
ではダウンシュラフのメンテナンス方法に移ります。
実は筆者もそう思っていました(´・ω・`)
「どうせ"カビが生える"とか"虫が湧く"とかユーザーの不安を煽るだけ煽ってメンテナンス費用で儲ける、そんなビジネス形態なんだろ」
と、しかし全く違いました(笑)
筆者はNANGA(ナンガ)一本でここまでやってきたので、ナンガが公式に発表しているメンテナンス方法をご紹介します↓
とりあえず、自宅で自分で洗濯できます。
ダウンは熱に弱いので絶対に高温乾燥はしないように。
筆者のように数万円を熔かすことになります。
⑩シュラフの保管方法
では最後にシュラフの保管方法を紹介しておきます。
基本的に自宅で保管するときはスタッフバッグという通気性の良いメッシュの袋に入れます。
スタッフバッグ→通気性が良い
ダウン製品を痛める要素を3つ紹介します。
- 汚れ(汗など)が付いた状態で保管
- 温湿度が高い場所で保管
- 通気性が悪い場所で保管
これら3つの要素が重ならないようにくれぐれも気を付けてください。
前項でも紹介した通り、寝汗などをかいた状態で洗濯せずに保管した場合はダウンの劣化が早まります。
ダウン製品の最適な保管湿度は40%~60%の間と言われています、と言うかこの範囲は人間にとっても最適な相対湿度なんです。
下の表をご覧ください↓
(出典:ウィルス対策に有効な湿度って?)
ダウン製品は虫たちからしたらご馳走なんです。
とりあえずこんな感じで。
おわりに
ということで、後編も終わりました。
やはり良い寝袋を買うには勉強が欠かせません!
生地の厚み(デニール)も、
内部構造も、
その他の寝袋の機能も、
全て必要な知識です。
寝袋選びで失敗すると文字通り夜も眠れなくなります、寒過ぎて。
前編読んでいない方はこちらの記事も是非お読みください↓
こんにちは、寝袋に関しては自称プロであるRYOです。今回は"人生の良き友"である、寝袋のお話をします。寝袋を購入する際、理解できないくせに一応スペック表に目を通しますよね(笑) 表面はボックス構造採用 […]
ここまでお読みくださりありがとうございました。