今回はヨーロッパのウクライナやベラルーシを周るうえで必ず知っておいて欲しい知識、チェルノブイリ原発事故について簡単にまとめました。
原発事故自体が規模に拘らず最悪の事態ではありますが、日本では2011年3月11日に発生した東日本大震災、そしてそれに伴う福島第一原子力発電所の事故で大きな被害が出ましたよね。
そして世界中のメディア(特にヨーロッパ、フランスとかドイツとか)が
「日本にいるとヤバい、今すぐ脱出しなければ((((;゚Д゚)))))))」
と、過剰とまでいえる反応を示しました。当時の筆者は
「なんで東北で起きた原発事故で、関西から九州地方まで危ないって思われてるん??」
と思っていました。
そんな過剰な外国勢の大騒ぎ、しかし調べていくうちにそれは1986年4月26日にウクライナで起きたチェルノブイリ原発事故の恐怖・トラウマがそうさせたのだとわかりました。
(出典:チェルノブイリ原発事故の実相解明への多角的アプローチ–20 年を機会とする事故被害のまとめ–)
本当に恐ろしい事故でした。
チェルノブイリってどこ?
まずはチェルノブイリの場所です↓
チェルノブイリという町はウクライナ共和国にあり首都キエフから北へ100kmほどの町ですが、位置的には
ウクライナとベラルーシのほぼ国境くらい(←重要)
にあります。
なぜ重要なのかと言うと、当時の風向きの関係で死の灰のほとんどがベラルーシに降り注いだからなんです。
チェルノブイリ原発はベラルーシとの国境付近に存在する
ですのでチェルノブイリ原発事故で実際に大きな被害を出したのはベラルーシなんです。
いつ起きたのか
事故が起きたのは1986年4月26日です。
当時のウクライナ共和国はまだソヴィエト連邦の一部で、情報公開されなかったからです。
なんて言えるわけもなく、何とか秘密裏に事を済まそうと思っていたのです。
放射線が目に見えないのをいいことに・・・。
(出典:チェルノブイリ原発事故の実相解明への多角的アプローチ–20 年を機会とする事故被害のまとめ–)
当時のソ連ではゴルバチョフ書記長が指導者になり、それまでの秘密主義から一転して情報公開政策を行っていたばかりだったので、旧態依然として末端の人間は秘密主義でした。
ペレストロイカじゃーーーい!!!
もう隠し事は無しにするんじゃーー
しかし残念ながらチェルノブイリ原発事故には間に合わなかったんですね。
初めにチェルノブイリ原発事故を察知したのはスウェーデン?
これまたおかしい話ですが、世界で初めてチェルノブイリ原発事故を察知したのはスウェーデンです。
正確に言えばスウェーデン南部にあるフォルスマルク原子力発電所です↓
その距離なんと、直線距離で1,280kmです。
日本で言うと関東の「埼玉県」から九州の「大分県」が大体1280kmくらいです。
めっちゃ遠いっすね…
スウェーデンが一番最初に原発事故に気付いた理由
チェルノブイリ原発で事故が起き、放射性物質を含むキノコ雲が上空2,000mまで舞い上がった。
上空1,500m付近には北西の風が吹いていたので、必然的に放射性物質がバルト海を超えてスカンジナビア半島(ノルウェーとスウェーデンが大部分を占める半島)へ飛散した。
放射性物質を感知したスウェーデンのフォルスマルク原発は「原発事故発生\(゜ロ\)(/ロ゜)/」と大騒ぎしたが、どこをどう調べても異常は無い。
その放射性物質を感知した気象台が風向きから計算し、
うん?
風向きから判断するにソ連領内から飛んできたやつちゃうか!!
おいこらソ連どーゆーことや、あぁ?
何が起きてんのかちゃんと情報公開せんかいこのドアホ!
となり、世界中が一斉に圧力をかけたのでしぶしぶソ連はチェルノブイリの原発事故を認めた。
ということらしいのです。
しかも実際に被曝していた人たち(チェルノブイリの人たち)の反応がとても恐ろしいのです。
プリピャチ市(人口5万人)の住民のほとんどは、その日のうちに原発で事故が起きたことを知ったが、多くの人はふだん通りの土曜日を過ごした。
店には買い物客がいっぱいで、ホールでは結婚式が行われ、なかには煙を吐く4号炉を眺めながらアパートの屋上で日光浴を決め込んだ人もいた(いつになく日焼けしたらしい)。
被曝をおそれて、窓を閉めて家にこもったのは一部の人だけだった。
(引用:チェルノブイリ原発事故の実相解明への多角的アプローチ–20 年を機会とする事故被害のまとめ– 今中哲二 http://hdl.handle.net/2433/227260)
原発の仕組み
ではここで軽く原発の仕組みを説明します。
下図のように、
ポンプによって冷却水が原子炉に送られ、高音を発する燃料棒と接した水が蒸気となり、タービンを回して電気を発電するのが一般的に知られている原子力発電の仕組みです。
Q. もし電気が止まったらどうなるの?
A. ポンプが止まると水が送られない
→そのうち水が全て蒸発して燃料棒がむき出しになる
→どんどん核分裂が起こり高温のために原子炉を溶かして大事故になる
まあ要するに、
ってことです。
チェルノブイリ原発はいわゆる黒鉛型
何となくチェルノブイリ原発事故の基本情報が分かったところで、チェルノブイリ原発について簡単に見ていきたいと思います。
先に言っておくと、チェルノブイリ原発で使われていた原子炉は「ハイリスク・ハイリターン」型の原子炉で、
ということなんです。
ハイリスク・ハイリターンの原子炉の構造を以下に示します↓
筆者もよくわかりません(笑)
(Wikipedia 黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉より引用)
チェルノブイリ原発4号炉ではウランの燃料棒を1661本も同時に運用していたらしく、黒鉛型と呼ばれるのは核分裂を制御する制御棒が黒鉛でできているからです↓
筆者作成、これはなんとなくわかる(笑)
核兵器を作るには、ウラン235を核分裂させてできる副生成物プルトニウムが必要なので(あ、なんか聞いたことある)、早い話チェルノブイリ原発は、
ソ連製原爆用プルトニウム大量生産型
と言えるのです。
黒鉛型の利点(ハイリターン)
➀運転しながら(※運転を停めることなく)燃料棒を引き上げ、プルトニウムを取り出せる
②(燃料棒の数が多いので)大量のエネルギーを取り出すことができる
黒鉛型の問題点(ハイリスク)
➀制御が複雑(1661本もあるから)
②少しのミスが大規模な暴走に至る(1661本もあるから)
では次ページから実際に事故に至ったヤバい経緯をストーリー仕立てでお伝えしようと思います。
是非お楽しみに(‘◇’)ゞ
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