本記事では筆者がアルメニアで見たこと感じたことを紹介している。
アルメニアについてより詳しく知りたい方は、一問一答形式で100問用意したこちらの記事をお読み頂きたい。
今回はアルメニアに訪れる前に知っておくべき基本知識を一問一答形式で100個紹介しようと思う。これから「アルメニアに行こう」もしくは「アルメニアで暮らそう」と思っている方は是非参考にして頂きたい。そんな筆者は何者なのか[…]
本記事は筆者の主観的な経験談、言い換えれば旅行記みたいなものである。
今後アルメニアの首都エレバンに旅行を考えている人は是非参考にして頂きたい。
今回は地元民のリリーちゃんにエレバンを案内してもらった。
前回の記事を読んでいない方には先にそちらを読んで頂きたいので下に貼り付けておく。
日本の常識は世界の非常識である。これは日本では非常に一般的な表現であり、概ね正しいと思う。これから筆者がアルメニアで見たこと感じたことを紹介していこうと思う。アルメニアについてより詳しく知りたい方は、一問一答[…]
本記事では筆者がアルメニアで見たこと感じたことを紹介している。アルメニアについてより詳しく知りたい方は、一問一答形式で100問用意したこちらの記事をお読み頂きたい。[sitecard subtitle=関連記事 ur[…]
では始めよう。
乗合バスでトビリシへ🚌
さて、長い長いエレバン旅行記もようやくフィナーレに差し掛かってきた。
アルメニアの首都エレバンからジョージアの首都トビリシへ向けて出発である!
と言ってもここからの話も非常に長いのだが。
まずエレバンからトビリシへの移動は大きく分けて3つの方法がある。
- 飛行機(最安値8000円ほどで30分で着く)
- 乗合バス(約1600円と値段も安く約6時間で着く)
- 電車(最安値5000円ほどで約10時間かかる)
筆者がもし、時間を持て余した暇人バッパーだったなら、迷わず一番時間がかかる電車旅を選び、ローカル線に揺られながら「次はどんなカオスな出会いがあるのか」とワクワクしたことだろう。道中で謎の旅人と意気投合し、気づけば見知らぬ町の居酒屋で「なんでこうなった?」と笑い合う、そんな展開も期待できる。
しかし、現実は甘くない。
今回はタイムイズマネー。限られた予算・時間の中で最大限の効率を求めた結果、筆者は約6時間かかる乗合バスを選ぶことにした。電車旅のロマンは一旦封印である。
それにしても、バスの予約がまた一苦労だった。英語が通じるかどうかも怪しい現地の予約サイトと格闘するのは骨が折れる。そこで救世主となったのがリリーちゃんだ。
前日の夜、「お願い、助けて」とカフェでコーヒーを飲みながら泣きついたところ、「OK、まかせて!」とスマホをサクサク操作し、ものの数分で予約完了。いやもう、リリーちゃんがいなかったら筆者、未だにバス停で右往左往していたかもしれない。
リリーちゃんが予約を取ってくれたのはHAYRENIQ TOURという名前のバス会社である。
(出典;HAYRENIQ TOUR)
サイトをチェックしてみると、Yerevan↔︎Tbilisiだけかと思いきや様々な目的地に行っているようだ。
Yerevan – Tbilisiを選ぶ
自分でも簡単に予約できそうなのでコーカサス地域を旅行の際には是非チェックしてみては?
ジョージアは反ロシア色が強い?
最終日、リリーちゃんは「せっかくエレバンに来てくれたんだから」ということでバス乗り場まで約4kmの道のりを一緒に散歩してくれた。
散歩中、本当にいろんな話をしたが特に筆者の印象に残っているのが2つ。
- ジョージアはかなり反ロシア色が強く、街中にはロシアに対する落書きがたくさんあること
- 隣国アゼルバイジャンとの紛争で大勢の若者が戦死したこと
である。
ジョージアの反ロシア色についてはトビリシ旅行記で書きたいが、リリーちゃんの言う通り街中にはこんな感じの落書きだらけだ。
正直な話、筆者はこういった落書きを探すのがトビリシでの楽しみになっていた。
わざわざ遠回りして落書きがありそうな小道を歩いたりするのが非常に楽しかった(=´∀`)
ナゴルノ=カラバフ紛争
そして2025年3月現在、アルメニアは隣国アゼルバイジャンと休戦中である。
2020年に勃発したナゴルノ=カラバフ地域をめぐる紛争(通称ナゴルノ=カラバフ紛争)では大勢の若者が戦地に赴き戦死した。
ナゴルノ=カラバフ地域は、アルメニア領にも拘らずアゼルバイジャンの領土に飛び地として存在している。
(出典:3分で分かる「ナゴルノ・カラバフ」 旧ソ連の隣国同士で泥沼の争い)
飛び地として存在している理由はザックリ説明するとこうだ。
- ナゴルノ=カラバフ地域は、歴史的にはアルメニア人が古代から多く住んでいた地域(アルメニア王国の一部でもあった)
- ソ連時代にスターリンの政策によってアゼルバイジャンの一部に組み込まれた(分割統治が目的)
- ソ連崩壊後にアルメニアとアゼルバイジャンが争い、ナゴルノ=カラバフの支配が変遷。
- 2023年、アゼルバイジャンが完全に武力制圧し、アルメニア人住民が避難
ということで、現在はアゼルバイジャンが同地域を実効支配している。
②の分割統治というのは、対立している両者のうち片方だけを優遇して両者を更に深く対立させる方法で、ルワンダでベルギーがツチ族とフツ族を対立させるためにも使ったやり方であり、後に勃発するルワンダ大虐殺の要因となった。
詳しくはこちらで紹介している。
ルワンダ国内の様子本記事では「アフリカ史上最悪の虐殺」と呼ばれるフツ族とツチ族の争いについて紹介しています。ルワンダ国内の様子図解多めでなるべく面白くわかりやすくまとめようと心がけました( ˘ω˘ )※一[…]
兎にも角にも、ナゴルノ=カラバフ地域を巡ってのア・ゼ紛争はまだまだ終わりそうにない。
友人リリーちゃんがアルメニア人だからという理由で筆者のような部外者がアルメニアを擁護することはできないので、どちらに正義があるのかは各自ネットでググって欲しいのだが、それにしても悲しい話である。
日本人はいい意味でも悪い意味でも平和に慣れており、「日本が戦争に巻き込まれることなんてありえなーいよー」とタカをくくっている人間が多いと思う。
しかし2014年にはロシアは武力を以てウクライナの領土(クリミア半島)を奪い取り、2020年2月に再びロシアはウクライナに侵攻し、この5年でさらにウクライナの領土を奪っている。
2025年現在でもイスラエルはガザ地区やレバノンを空爆し一般人まで大量虐殺しており(逆もあるが)、中国はチベット仏教とウイグル人に対して絶賛ジェノサイド進行中で台湾も統一したい、北朝鮮は朝鮮半島(韓国)を統一したいと考えている。
生後5ヶ月の娘を持つ身として、戦争で若者が死ぬのは本当に痛ましいことである。
戦争するならまずは老人たちと政治家の関係者が優先的に戦場に送り込まれるべきだ、という意見もあり筆者も否定はしない。
リリーちゃんにお別れ、そして…
そんな話をしながら散歩をすること1時間、バスセンター直前の公園でリスを発見したリリーちゃん。
リスを見るのは初めてらしく発見した時の反応がかわいかった(笑)
筆者はアメリカのコロラド州デンバーで既にファーストリスを奪われていた。
そんなプチサプライズもありながら、とうとうバスセンターに着いてしまった。
もうお別れの時間が近づいている。
いろんな表情を見せてくれたリリーちゃん(仕事も連休取ってくれてマジでありがとうやで)
筆者は感極まってなにから話せばわからなかったが、頭の中ではさまざまな言葉が浮かんでいた。
「思えばぼくたちが初めて出会ったのは2017年の夏ごろだね。あれから今日まで約7年半、本当にいろんな話をしてきたよね。
ぼくは君と出会ってなければアルメニアに来ることも無かっただろうし、一人の尊敬できる大切な友達を持つこともなかったよ。
3年半にわたって🇨🇭🇸🇮🇫🇷の女性に立て続けに片想いした際にも君はずっと支えてくれたよね。
最初はお互いに知らないことだらけで、どうなるんだろうって思ってたけど、気づけばお互いに支え合って、笑い合って、泣いたりもして。でも、そのすべてが今となっては大切な思い出だよ。」
みたいな、日本のドラマではよくありそうなカップルの感動的な決別のセリフが頭に浮かんだが、我々にそんな感動のスピーチは必要ないと直前に思った筆者。
4日間の感謝の気持ちを述べ、心からの温かいハグをした後にリリーちゃんは自宅に戻るバスに乗って行ってしまった。
バスを見送る筆者
リリーちゃん、4日間本当にありがとう!
バスを見送っている最中、進撃の巨人でシガンシナ区奪還作戦の際にハンジ分隊長がミカサ・アッカーマンにかけた言葉がなぜか急に頭に浮かんできた筆者であった。
(出典:進撃の巨人 21巻)
でも…わかっているだろ?
誰にだっていつかは
分かれる日が来るって
とてもじゃないけど受け入れられないよ
正気を保つことさえままならない…
辛い…辛いよ…わかってる
…それでも
前に進まなきゃいけない…(出典:進撃の巨人 21巻)
ハンジさんの言葉、響きました(つД`)ノ
また進撃の巨人のアニメ観よっと。
さて、ようやく一人旅の再開である。
バスの座席は早い者順
バス受付所の中に入り、名前を名乗る。
リリーちゃんが予約のために連絡を取ってくれた男は、まるで「俺か、俺以外か。」とでも言いたげな態度の無礼なヤツだったが、運賃4,000AMD(約1,600円)を払うと、ちゃんと受付はしてくれた。金には正直なようだ。
バスの待合所にはさまざまな国籍の人間が集まり、どの乗客もなかなかの大荷物を抱えている。スーツケースにバックパック、果ては段ボール箱を抱えた人まで。どう見ても、夜逃げ集団のような光景になっていた。
おっと、そんなことを考えているともうバンが来やがった。
バスの座席は早い者勝ち!
こういう時に得をするのは、遠慮を知らない図太いヤツらだ。
案の定、乗客たちは後部座席へと我先に殺到。気がつけば、筆者の目の前の座席は運転席の真後ろだけがポツンと空いていた。
「まぁ、仕方ないか…」と腰を下ろすと、あれ?意外と悪くない!
並びの2席を独占できるし、前には木製の足置きまであるではないか。
「残り物には福がある」とはよく言ったものだ。
この席、かなり快適じゃないか!まるでビジネスクラス……はさすがに言い過ぎか。
あとは出発を待つばかりの筆者。
しかし、ここでふと気づく。エレバンに過ごした4日間、リリーちゃんにおんぶに抱っこだったため、結局アルメニア語を一言も話さないままアルメニアを去ることになった(笑)
「シュノラカルツュン(ありがとう)」くらい言えばよかったか?まぁ、今さら後悔しても遅いのだが。
そしてこれから6時間、英語が話せない運転手たちとのコミュニケーションにマジで苦労することになる・・・。
いや、ほんと、マジで。
使えそうで使えないWi-Fi
バスに乗ってすぐ、筆者はバス車内のWi-Fiステッカーに気付いた。
お、まじか!バス車内でWi-Fi使えんのか!!!
SIMを持たずに旅をする筆者にとって、無料Wi-Fiは嬉しい大誤算である。
早速Wi-Fiを繋いでみよう🎶
チーン…。
あれっっ!!???
そもそもWi-Fiが見つからん、なんじゃこれは。
しかし目の前の運転手に聞く勇気もない。
「は、Wi-Fi無いんかい…釣りかよ」と思って半ば諦めたところに、5分くらい経ってから一人旅と思しきロシア系の女性がわざわざ前方まで来て運転手に質問してくれた。
女性「Excuse me, does this bus have Wi-Fi?」
筆者「(うむ、よくぞ聞いてくれた!!ナイスファイト!)」
運転手「Ну, я не понимаю английский, что ты говоришь?」
筆者「(え、ロシア語…。ガーーーーン(´・Д・)」おわた。。。)」
女性「В этом автобусе есть Wi-Fi?」
筆者「(うぉーーロシア語話せるんすか!スゴイっす!!)」
運転手「Ой, Wi-Fi не работает? Ну, тогда ничего не поделаешь, извини.」
女性「Вот это да, серьёзно?.. Ну, ладно, понял…」
女性、不満げに立ち去る…。
筆者「(ガーーーーーン(´・Д・)」やっぱりおわた。。。)」
ということで、ロシア系女性が聞いてくれたものの結局Wi-Fiは使えなかった。
筆者たちはまさに、Wi-Fiをエサに釣られてしまった哀れな魚たちであった。
車窓を眺めるのも意外に楽しい
ということで、このバスにはフリーWi-fiがない。
「イギリス人はおかしい」というタイトルの本を持って来ていたが、最近車酔いが激しいため読書もできない。
もちろん読書もできない。
やることね〜
と思いきや、意外と車窓を眺めるのも楽しかった。
こういう田舎にあるローマ建築風の建物がたまらない。
なんせアルメニアは世界で初めてキリスト教を国教化した国、さらにガルニ神殿のおかげでギリシャ・ローマ風の文化(ヘレニズム文化)がアルメニアに到達していたことまで確認されている。
エレバン市内の立派な建築物も見どころがあったが、こういった田舎の建築物も大好きな筆者である。
フリーWi-fiなくて逆に良かった、のかもしれない。
Wi-Fiがあればおそらく進撃の巨人を観…(以下略)
失恋と失恋と失恋
夕焼けに映えるローマ建築物を眺めながら、筆者はふと過去の恋愛ーーいや、登山歴を振り返っていた。
リリーちゃんのような可憐な女性と過ごすたび、これまで挑んできた恋の山々が思い出される。
なにを隠そう、筆者の趣味は登山である。
日本の山々はもちろん、ヨーロッパアルプスなども何度か登山したこともあるくらいだ。
恋愛という険しい登山も基本的にはヨーロッパが多い。
どの山も一筋縄ではいかず、登頂目前で吹雪に見舞われたり、そもそも登山口すら見つからなかったりと、まさに試練の連続だった。
特に、2015年のスイス・ツェルマットでの出来事は「一目惚れのミステリー」として、未だに記憶に刻まれている。
ツェルマット🇨🇭のホステルで受付をしていたスイス人女性を見た瞬間、まるで雷に打たれたような衝撃を受けた。隣にいた親友も「人が一目惚れする瞬間を初めて目撃した」と驚愕したほどだった。しかし彼女から離れた途端、その美しい顔が思い出せなくなり、まるで幻を追いかけるように一年間も悩まされた。
登山で言えば、登頂したはずなのに、頂上の景色がぼんやりとしか思い出せないような感覚だった。
筆者と同様の現象に苦しむ人間は意外に多いようだ。
今回はちょっと真面目な話です。皆さんは好きな人の顔が思い出せないという経験をされたことはありますか?好きな人の顔こそいつでも思い出して苦難を乗り越える原動力にしたいところではありますが、筆者は好きな人の顔だけが思い出せないと[…]
もちろん、これが初めての失恋ではない。
スロベニア🇸🇮では、美しい緑の瞳の彼女に片想いし、登頂すら許されずにベースキャンプで撤退。
フランス🇫🇷では、ついに互いに手を取り合って頂上に立つも、ビザの期限という吹雪に阻まれ、下山を余儀なくされた。
そして逆にドイツ人🇩🇪・スペイン人🇪🇸・ベルギー人🇧🇪・別のフランス人🇫🇷・スウェーデン人🇸🇪の女性たちには登山許可は得たものの、こちらの心はすでに別の山脈を眺めていた。
片想いはしたものの、なぜか欧米人にはモテる傾向がある。
アルメニアからジョージアに向かうバンに揺られ、筆者はふと思った。
- 日本では恋愛市場の底値を這っている筆者も、欧米ではなぜか“掘り出し物”として扱われるらしい。
- 日本では恋愛レースのスタートラインにも立てないのに、欧米ではなぜか特別枠で決勝進出してしまう不思議。
- 日本では透明人間の筆者も、欧米では“エキゾチック”という魔法の言葉で意外と需要があるらしい。
そして、数々の恋の山々を越え、最終的に辿り着いた現在の奥様はイタリア人。長い道のりの末に、ようやく登るべき「運命の山」を見つけたのだから、人生とは不思議なものである。
アルメニアの夕焼けの中、筆者はしみじみと思う。
「結局、俺の恋愛遍歴ってヨーロッパアルプス縦走ツアーみたいだったな」と。
それにしても昔から好きになった相手には振り向いてもらえず、興味がない相手にはモテるというのは一体なんでなのだろうか。
気になったので、ChatGPTに
「好きになった相手には振り向いてもらえず、興味がない相手にはモテるのは一体なんで?
科学的もしくは理論的に説明して」
と聞いた答えを以下に載せておく。
「好きな人に振り向いてもらうためにはLINEの返信を遅らせよう」みたいなペラい助言もあるが、興味のある方は一度読んでみては?
» 続きを読む(かなり長いので注意)
科学的・心理学的な観点から詳しく解説します。
科学的・心理学的な観点からこの現象を説明するには、主に5つの理由があります。
⸻
✅ 1. **「好意の返報性」の逆効果
(Reciprocity of Liking)**
どういうこと?
本来、人間は「自分を好きだと言ってくれる相手を好きになりやすい」という心理があります。これを**「好意の返報性」**と呼びます。
しかし、好きな相手に対しては:
• 「なんとか振り向いてほしい」と思いすぎて、無意識に媚びるような態度をとってしまう
• 必死に好意をアピールすることで、相手が「重い」「追われている感覚」を持つ
結果として、相手は逆に引いてしまうことが多いです。
✅ なぜ逆効果になるのか?
人間は「欲しいものが簡単に手に入ると、その価値が下がる」と感じる生き物です。
つまり、「この人は私を好きなんだな」と確信すると、興味を失いやすいのです。
⸻
✅ 2. **「手に入りそうで入らない心理」
(Scarcity Effect)**
興味がない人にはモテる理由
逆に自分が興味のない相手に対しては:
• 気を使わず自然体でいられる
• 相手に執着しないため「追いかける雰囲気」がない
• あなた自身が「高価値」に見える
すると相手は、**「この人、私に興味なさそう…でも魅力的…」**と感じ、逆に惹かれるわけです。
✅ なぜ自然体だとモテるのか?
人間は「自分を優先してくれない人」を手に入れたくなる本能があります。
特に恋愛においては、
• 手に入りにくいもの=価値がある
• すぐ手に入るもの=価値が低い
と無意識に感じてしまう心理が働くのです。
この現象は、心理学で**「希少性の原理(Scarcity Effect)」**と呼ばれています。
⸻
✅ 3. **「自己効力感の崩壊」
(Self-efficacy Collapse)**
好きな人に振り向いてもらえない理由
あなたが「好きな人」を前にすると:
• 失敗したくないというプレッシャーが生まれる
• いつも通りの自分が出せなくなる
• 緊張して挙動不審になる
すると相手は「ん…なんかこの人、居心地悪い…?」と感じ、恋愛感情が生まれにくくなります。
✅ 対して、興味がない相手には
• 気を使わず、自然体で接する
• 自信を持った態度で会話する
• 相手に合わせず、自由に振る舞う
結果的に**「堂々とした魅力的な人」**に見えるため、モテやすくなるのです。
これを心理学では**「自己効力感(Self-efficacy)」**と言います。
⸻
✅ 4. **「自己価値の錯覚」
(Perceived Value Illusion)**
なぜ好きな人は冷たくなるのか?
好きな人に対しては:
• **「私なんか好きになってもらえるはずがない」**と感じやすい
• **「私より他の人の方が魅力的だろうな…」**と自己評価を下げる
この自己評価の低さが、無意識に相手に伝わります。
結果、相手は「この人ってあまり自信なさそう…」と感じ、魅力を感じにくくなります。
✅ 対して、興味のない相手には
• 自分を良く見せようとしない
• 必死にアピールしない
• 自信満々でいる
結果的に、**「この人は人気があるのかも…?」**と錯覚し、モテやすくなるのです。
⸻
✅ 5. **「狩猟本能」の逆転現象
(Hunter Instinct Reversal)**
生物学的な理由
人間は生物学的に**「手に入りにくいものを求めたくなる本能」**があります。
特に恋愛において:
• 簡単に手に入るもの → 「大した価値がない」と感じる
• 手に入りにくいもの → 「貴重である」と感じる
これを**「狩猟本能(Hunter Instinct)」**と呼びます。
つまり、あなたが好きな人に対して:
• 好意を見せすぎる=「簡単に手に入りそう」と思わせてしまう
• 興味がない相手には自然体=「手に入れたい」と思わせる
これにより、興味がない人からモテやすくなるのです。
⸻
✅ 【まとめ】
状況 あなたの行動 相手の心理 結果
好きな人 必死にアピール、媚びる 「簡単に手に入りそう」 興味を失う
興味ない人 自然体、追わない 「この人、手に入りにくい…」 追いかけたくなる
⸻
✅ 💡 【じゃあ、どうすれば好きな人にモテる?】
好きな人の前でも「興味がないふり」をする
具体的には:
• LINEの返信をあえて遅らせる
• 他の異性の話を少し混ぜる
• 100%相手に合わせない
これにより、好きな人の**「狩猟本能」**を刺激できます。
⸻
✅ 💡 【科学的に恋愛を有利にする裏技】
①「即レス」をやめる
LINEなどの返信は、少し遅らせる方が相手の興味を引きやすいです。
②「好きバレ」を避ける
好きな人に対して、あまり好意を見せない方が追いかけられます。
③「他の異性の影」を作る
例えば「今日、◯◯さんとご飯行ってたんだ〜」と軽く言うと、相手は焦ります。
⸻
✅ 💡 補足:「興味を持たせる技術」
もしさらに「科学的にモテる方法」を知りたいなら:
✅ 「ザイオンス効果」 → 会う回数を増やすだけで好きになる原理
✅ 「フレーミング効果」 → わざとミステリアスな部分を残す
これらを使えば、好きな人から追われる側になれますよ。
⸻
💎 【結論】
恋愛は「価値の錯覚」で決まる
• 好きな人には追わせる
• 興味ない人には普通に接する
• 結果、モテる人間になる
もし「もっと詳しく恋愛心理学を知りたい」「モテたい」と思ったら、すぐに解説しますので言ってくださいね! 😉
» 折りたたむ
ふむ、なかなかおもしろい考察であった。
筆者がまだ独身なら実践したいことがたくさんあったが(笑)
バスの車内でフリーWi-Fiさえ使えていれば…。
シートベルトせずに電話しながら運転するドライバー
さて、そんなことを考えながら何気なく目の前の運転席に目をやったところ、
シートベルトの上に座っているのが明らかである
運転手、シートベルトしてない!!!!(←違法)
いやいや、ちょっと待て。お前がしないのかよ。
ちなみに車内を見渡したところ、シートベルトをしているのは筆者だけ。まるで優等生が一人だけ宿題を提出しているような、あの微妙な疎外感である。
前回の記事でも紹介したが、アルメニアでは後部座席のシートベルト着用義務はない。しかし、それは「しなくていい」というだけであって、「しないのが普通」とは言ってない。にもかかわらず、ここでは筆者が異端者扱いである。
しかも運転手、スマホ片手に電話しながら運転している(←これも違法)
「え、もしかしてこれ、バスじゃなくてテーマパークのアトラクションだった?」と思うほどのスリル。安全装備の整ったジェットコースターより、こっちのほうがよっぽどスリリングだ。
とりあえず、筆者はシートベルトをさらにギュッと締め直した。これが唯一の生命線である。
ルームミラーを拡大してみよう。
もう少し拡大してみよう。
おまわりさん、コイツです。
前述のとおり、アルメニア人の運転は日本と比べてかなり荒い。いや、「荒い」というよりも「F1ドライバー気取りの一般人」が路上に溢れている感じだ。信号無視、急ハンドル、無理な追い越し…まるで公道がリアル版「マリオカート」と化している。
そんな中で、運転手がシートベルトを締めず、スマホ片手に電話しながら運転しているのだから、もはやカオスである。彼らはこれがどれほどヤバいことなのか、本当にわかっていないのだろうか?
読者の皆様がもしアルメニアで車に乗ることがあれば、必ずシートベルトを締めるように。命は一つしかない。ゲームみたいに「ドガーン、ゲームオーバー。リスタートする?」なんてできないのである。
ちなみに、筆者も命を守るためにシートベルトをグッと引っ張ってみたのだが……。
重い。めちゃくちゃ重い。日本のようにスルスルーッと滑らかに伸びることはなく、まるで高重量のケーブルマシンを引っ張っているかのような感覚。やっとの思いで引っ張り出したかと思えば、今度はまったく縮まらない。完全にダルンダルン状態で、全然体にフィットしない。
「これ、事故ったらどうなるんだ……?」
想像しただけでゾッとする。間違いなく、シートベルトはその役割を果たさず、筆者は華麗に車内を舞うことになるだろう。
それでもしないよりはマシである。
ハザードランプとウインカー
筆者は運転席のすぐ後ろに座っており、スマホも使えず読書もできない状態だったため6時間ずっと運転を眺めているしかなかった。
その中で驚いたことがいくつかあった。
その一つが追い越し後のハザードランプである。
我々が乗る大型バンは一般車と比べると速度が遅いためやたらと一車線でも追い越しされるのだが、一応追い越された後はハザードランプで「すんまへんな〜」という意思表示をされていた。
ちなみに筆者はヨーロッパやオーストラリアなど海外で計6,000km以上運転してきた経験があるが、追い越し後のハザードランプを見たことは数回しかない。
もう一つ驚いたのが、追い越し時のウインカーである。
日本では追い越し時にウインカーを点けない輩も数多くいるが(←あかんことやけど)、アルメニアのドライバーは対向車線に出る時も入る時も必ずウインカーを点けるようだ。
これに関しては非常にお行儀が良いと言える。
日本を夢見る友人たち
リリーちゃんもそうだが、筆者の(海外の)友人は日本が大好きな人たちばかりである。
日本への往復航空券が約10万円くらいだとしたら、特に経済的に訪日が難しい古い友人たちにはお金なんて全然出すから日本来てよと思うことが多い。
以前(=2021年末)ギリシャの首都アテネの宿に泊まった時のことである。
アテネのパルテノン神殿、カッコ良すぎる…
受付の若い女の子と仲良くなり、筆者が日本人であることがバレた瞬間、まさかの尋問タイムが始まった。
というのも、日本人は普段意識していないが、驚いたときに発する「へ〜〜」や「え〜〜」といった相槌、あれが完全に「日本人認証システム」らしいのだ。
そのギリシャ人の女の子と話しているとき、無意識に「ほぇ〜〜」と相槌を打った瞬間、彼女の目がカッと開き、
「もしかしてあなた日本人なの?( ゚д゚)」
え、ちょっと待って、俺、パスポートも見せてないのに!?
さらに彼女は続ける。
「この前泊まってた日本人女性も、あなたと全く同じ仕草だったわ!」
「日本人のその相槌、たまらなくかわいいの!」
……まさかの展開。
そう言われて、思わず「へ〜〜、そうなんだ〜」と相槌を打ったところで、はたと気づく。
「あっ!!またやってしまった!!」
こうして筆者は無限ループに突入してしまったのだった。
「Hmm chottoooo…」と爆笑しながら何度も真似していたのが懐かしい。
いや、確かに日本人は断るのが下手だ。だが、その曖昧さが「かわいい」と評価される日が来るとは思わなかった。
さて、そのギリシャの女の子と話していると、彼女はギリシャのホステルで働きながら「いつか日本に行く」ことを夢見ているらしい。しかし、ギリシャでホステルのスタッフをやってもらえる給料からお金を貯めて日本に行くにはあと4〜5年は働かないといけないと言う。
たったの、とは言わないが、わずか10万円ちょいである。
この話をSNSに投稿したところ、すぐに知り合いのおじさん数名から本気の提案が届いた。
「その子めっちゃ可哀想じゃん、おれ1万円くらいなら出してもいいよ?」
……ちょっと待て、おじさんたち、どうした!? まるで「かわいい猫を保護する感覚」で支援しようとしてないか!?
なんなら「みんなでちょっとずつ出せばすぐ行けるやん」とクラウドファンディング的な雰囲気になりかけていた。
筆者もこれまでにヨーロッパ8回、アメリカ4回、その他オーストラリアやキューバやバハマ、今回のトルコやコーカサス地域などを旅してきたが、本当に出身国ガチャについて深く考えさせられる。
日本人にとっての10万円は、「ボーナスちょっと贅沢しちゃおうかな♪」レベルかもしれない。
しかし、彼女にとっての10万円は、「4〜5年働いてようやく貯まる命がけの大金」なのだ。
うーん、世界って広い。
そしてそんな深いことを考えながらも、筆者はまた「へ〜〜、そうなんだ〜」と相槌を打ち、例の無限ループに吸い込まれていったのであった。
前回の記事でも紹介したが、アルメニアのパスポートでビザ無しで入国できるのはわずか世界67カ国で(日本は世界190カ国の国と地域)、
あの誰でも入国できそうなイタリアですら、リリーちゃんは入国するためにA4ファイル2冊分くらいの書類を用意しなければならなかったらしい。
全ての書類を集めるとこれくらいの厚みになるよ、とわかりやすく教えてくれたリリーちゃん。
まあ詳しくは前回の記事を読んでくれ。
本記事では筆者がアルメニアで見たこと感じたことを紹介している。アルメニアについてより詳しく知りたい方は、一問一答形式で100問用意したこちらの記事をお読み頂きたい。[sitecard subtitle=関連記事 ur[…]
出身国ガチャで泣く人間が一人でも減ることを望んでいる。
実は飲食禁止だった車内
そんなことを考えながら、乗車直前に買ったバナナとパンをモグモグしていると、突然運転手が180度の超スピンターンで振り向き、ものすごい剣幕で叫び始めた。
「Эй, ты, что жрёшь там?! В салоне нельзя есть и пить! Прекрати немедленно!」
……はい、何かめっちゃ怒ってるのはわかる。でも、まさか飲食禁止とは夢にも思わなかった。
左足を木製の台に載せている
しかも、筆者が左足を置いていた木製の台も「足置き用」かと思いきや、運転手に発見された瞬間、意味不明な言語で罵声を浴びせられながら、思いっきり足をバンバン叩かれるという拷問プレイを受ける羽目に。
いやいや、もしダメならマークと共にNot footrest!!!とかNo feet!!!とか書いて🚫印のステッカーをデカデカと貼っとけや!と思いつつ、急いで足を下ろした。
とはいえ、空腹は待ってくれない。気を取り直してバナナとパンを再びモグモグ……
すると、またもや運転手が急回転し、今度は 「ノー!ノー!!ノー!!!」 とシンプルかつ圧の強い英語で絶叫。
その瞬間、ようやく飲食禁止だと悟った筆者。
なら初めから飲食禁止ってステッカー貼っとけや、6時間のバス旅で飲食禁止なんて思わんかったわこのボケが!
どんな修行僧仕様やねん!!
と心の中で何度もつっこんだ筆者であった。
しばしの休憩、のはずが…
出発から約2時間。
我々のバスは突然山中のよくわからないカフェ(?)の駐車場に停まった。
そして運転手は、後部座席まで響き渡るほどの堂々たる声とドヤ顔で、
「フィフティーン ミニッツ ブレイク!!」
と2度叫んだ。
なるほど、どうやらここで15分の小休憩を挟むらしい、乗客はぞろぞろと車を降りてカフェの中に入って行った。
それくらいの英語話せるならさっきの飲食禁止もノーフード!!!とかノードリンク!!!くらい言ってくれよ、とまたも心の中で文句を言う筆者。
後にこのカフェの場所を特定することができた。
名前もフードコート、中もしっかりとフードコートであった。
(出典:Google maps)
ぞろぞろと乗客がフードコートに入っていく。
フードコートと書いてある
筆者はと言うと、特にトイレも食事も不要だったので「15分なら…」と車内で読書をすることにした。
ようやく取り出したのは、「イギリス人はおかしい」という最高に過激なタイトルの本。
無事に読了したのだが、この本の中で特に印象深かった言葉を記そうと思う。
日本の神戸で、日本人にキリスト教の教えを説くイギリス人の牧師。しかし皮肉にもイギリス人こそがその教えから最も遠い国民性を持っていると批判する著者。
牧師「他人の親切は、ただや、当たり前のものではありません。その親切な行為には、他人の努力が入っていることを忘れてはなりません」
著者「日本人にはもういいから、その教えを西洋に持って帰って西洋人に教えなさい。」
これ、最高に笑ってしまった(笑)
「よし、読書タイムだ!」と意気込むも、車内は暗闇。
ならばと、頭上の車内灯ボタンを押してみる……
ん、なんかボタン押しても電気がつかないぞ!!
一応電気💡マークと音量マーク🔊があるのだが…
……何回押しても、つかん!!!
いや、お前、電気マーク💡ついてるやん!!!
ついでに音量マーク🔊もあるが、こっちも機能する気配ゼロ。
このバス、見た目は立派だがWi-Fiも使えず車内灯も点かない。
まあ、、、旧ソ連クオリティだと思っておこう(←負け惜しみ)
仕方ないので、外の看板の明かりを頼りに読書を続行。
〜15分後〜
ちらほら乗客が帰ってくる。そろそろ出発のはず。筆者も読書を継続。
〜さらに15分後〜(計30分経過)
バスに戻ったはずの乗客が、なぜかまたフードコートへ逆戻り。
一方、カフェにいた乗客も何人かバスに戻ってきたりしている。
筆者はチラチラ時計を気にしつつも、読書を続ける。
〜さらに15分後〜(計45分経過)
ついに運転手と乗客がゾロゾロ帰還。
つまり、休憩時間45分。
いやいや……(笑)
15分ちゃうんかい!!!
世界で最も時刻表に厳格な国、ジャポン出身の筆者をこれだけ待たせるとは、なかなかの狂気。
これは完全に筆者の憶測だが、運転手は「フィフティーン」と「フィフティ」を言い間違えたのではないか。
つまり、15分休憩じゃなくて50分休憩。
大きな声でドヤ顔で2度叫んでましたけどめちゃくちゃ間違ってますやん、おじさん…。
もし最初から50分休憩ってわかってたら、筆者もカフェ行ってたわ!!
くそぉぉぉ!!!
郊外の野犬はマジで注意
読書中、ふと開けっ放しのままのドアから外部を眺めた時のことだ。
※筆者の真横のドアが開けっ放しのまま50分間の読書、非常に寒かったことは言うまでもない。
え!!????
こんな場所でも野犬が普通に歩いているのか。
前回の記事でも説明したが、アルメニアでは野犬が普通に街中を闊歩しており、しかも狂犬病のリスクありときている。
狂犬病は一度発症すると致死率ほぼ100%というチート級の激ヤバ病であり、見た目では病気持ちか判断できない。
なのでアルメニアで野犬を見かけても絶対に近づいてはならない。
例外的に、耳にタグが付いている野犬は狂犬病予防の注射がされており比較的安全だと言える。
耳にタグが付いている野犬(比較的安全)
しかし首都の中ですら稀にタグ無しがいるというのに、郊外の野犬はマジでばいやーな奴らばかりである。
車の周りには耳にタグがない(狂犬病リスクありの)モノホンたちがウロウロしている。
基本的にヤツらは非常に大人しく一見安全に見えるが、それでも近づいてはならない。
「アルメニアの野犬」=「公園に落ちている不発弾」だと思えばいい、爆発しないかもしれないがそれは誰にもわからない。
冗談で近づくにはリスクが大き過ぎる。
「それを確認する時間も、余裕もないと思うね」
「なぜならこいつらの底力は、我々には到底計り知れないからだ」(By ハンジさん)
地元民はヤツらを空気のように扱っている(無視している)が、なにも知らない観光客は
きゃ〜かわいいーー(о´∀`о)
とか言って頭をなでなでしたりしている。
完全にアホでバカで無知だ、相手は致死率ほぼ100%の病気持ちかもしれないのに…
またこんな郊外にも拘らず、車の周りをうろちょろしている犬の一匹はタグ付きであった。
おそらく都市部からはるばる旅をしてきたヤツなのだろう。
まあ筆者はタグ付きとは言え絶対に近寄る真似はしないが。
乗客を確認せずに出発
さて、結局50分待たされた筆者であったが兎にも角にもバスは再び出発した。
筆者はずっと車内にいたわけだが、バスに帰ってきた人々の面々を見てふと疑問に思ったことがあった。
あれ、中国人夫婦乗ってる!!???
筆者のバスには中国人夫婦も乗車していたのだが、バスが出発するまで中国人夫婦の存在は確認できなかったのである。
筆者は「あれ?」と思いながらもバスは出発したのでそれ以上は深く考えずに運転の様子を眺めていた。
それから約10分後、助手席の男が何度も後部座席を振り返るようになった。最初は何気なく視線を向ける程度だったが、次第に頻度が増し、落ち着かない様子を見せ始める。そしてついには、運転席の男にゴニョゴニョと小声で話しかけた。
運転手は最初、軽く相槌を打ちながら前を見ていたが、助手席の男の言葉が次第に緊迫した調子を帯びると、突如として表情を強張らせた。そして、慌てたように後部座席を振り返る。
だが、今は夜道を走行中。山道のカーブが続くスリリングな状況の中、完全に振り返ることができない。彼は前方を確認しつつ、運転しながら何度もチラッチラッと後部座席に視線を送り、乗客の人数を数え始めた。ハンドルを握る手は少し強張り、呼吸もわずかに乱れている。
運転手「え、お前マジで言ってんの?」
それでも、前を見て運転しつつ、適度に振り返りながら人数を数えるという離れ業をこなす男。スリル満点の山道に、さらに別のスリルが加わっていく。
うっわ、中国人夫婦置いていきよった( ゚д゚)
そして運転しながら振り返って人数確認するのはやめろ!!
「それは助手席の男にやらせろ、もしくは停車しろ!!」と同時に「うわ、これどうすんの?」と思っていたが、なんと中国人夫婦はちゃんと乗っていたようだ( ̄∀ ̄)ホッ
運転手の男は、ハンドルを握る手の力を少し抜き、肩の緊張をほぐすように小さく息をついた。
顔にはわずかに安堵の色が浮かび、ミラー越しに後部座席をちらりと一瞥すると、低い声でロシア語を呟いた。
「Фух… Слава Богу…(ふぅ… 神に感謝だ)」
まるで独り言のようだったが、その声には明らかな安堵が滲んでいた。
そのまま彼はギアを操作し、再び前方の道路に視線を戻すと、静かにアクセルを踏み込んだ。
ガソスタ
その後真っ暗な中ずーっと走り続け、とあるガソリンスタンドに入った。
車を停めると施設からヨボヨボのおじいさんが出てきて、運転手は5,000AMD(約2,000円)分入れてもらうように頼んだようだ。
こうして5,008AMDで9.82Lを給油した。
このバンがどんな種類の燃料で動いているかは知らないがどちらにしろ日本よりはだいぶ高い。
あと日本の場合は指定の給油量で自動的に止まるが、アルメニアでは手動で止めており指定量がジャストで入るわけではないようだ。
いざジョージアに入国
こんな素晴らしい環境じゃないことは百も承知だが、いろんな国籍の人間が揃って一台のミニバスに乗っているとまるで難民となって他国に逃げているような気分になる。
北朝鮮から中国→ベトナム→ラオスを経由して韓国へ亡命した脱北者の本を読んだが、その一部を辿っているような気分だった。
この本も非常に読みやすかったので是非一度読んでみて欲しい。
さて、またもやバスが急停止。
運転手が「Так, берите ценные вещи и паспорта, все выходим!」と叫ぶと乗客たちが次々と降りていく。
「ロシア語はわからんが、また小休憩か?」と思った筆者はもはや微動だにしない。
だがその時、既に登場済みのロシア系美女が降りる直前に振り返り、
「パスポートと貴重品を持って全員降りないといけないわよ」
と親切に英語で教えてくれた。
スパシーバ!!!(←適当)
バスを見渡すと、筆者以外の乗客はすでに全員降りている。
「え、ヤバっ!!」と急いで立ち上がろうとする筆者。
だが、その瞬間――
シートベルトが外れない。
赤いボタンを押しても、押しても!!!
全然下がらない!!!
こいつは「一度締めたら最後、決して離さない」タイプの執念深いヤツなのか!?
両手の親指に全力で力を込め、
「うおおおおお!!!」
と、まるで格ゲーの必殺技ボタンのように連打。
(指、痛ぇぇぇぇぇ!!!!!)
……ようやく外れた。
もうこれ、筆者の指紋削れたんちゃうか。
外に出ると、保安官みたいな人がバスをじっくり検査中。
どうやら、ここで何かのチェックがあるらしい。
「ん?これって……?」
とりあえず遅れながらも乗客たちに必死についていく筆者。
そして目の前に現れたのは――
まさかのパスポートコントロール(=入国審査)
……
おいおい、これ休憩どころの騒ぎちゃうやんけ!!Σ(゚Д゚)
さて、ついにアルメニアからジョージアへ入国である。
パスポートコントロールの様子
筆者は最後尾、筆者の目の前には中国人の夫婦が。
パスポートをチェックするおじさん保安官は、笑顔どころか愛想のかけらもなく中国人カップルにいくつか質問しそのまま入国印をガチャっと押して終わり。
パスポートは手渡しではなく投げるようにポイされる。
別に笑顔を振りまいてくれとは思わないが、せめて
じゃあパスポート見せて!ジョージアへは観光?だよね〜(笑)
みたいなノリで対応して欲しいものだ。
現に中国人夫婦には愛想のかけらもない態度で応対しており、日本の質の高いサービスに慣れた筆者からしたら「え、なんか怒ってる?」と思ってしまう。
さて、筆者の番だ。
保安員はやはり、無愛想にまずは「パスポートを見せろ」と手を差し出してくる。
パスポートを見せた。すると、
ジャパンいいね、コンニチワーーー
と完全に陽気なおじさんに変貌を遂げた。
実際、筆者の経験上も日本のパスポートを見て態度を軟化させる外国人スタッフも多いので、決して驚くことではない。
しかし目の前の中国人夫婦との対応に落差があり過ぎて正直驚いた、と同時に日本の評価を上げてくれた過去の先人たちに心の中で感謝を述べた。
だいたい空港職員は「コンニチワー」とカタコトで言ってくるので、そういう時は「あ、こんにちは〜」とお辞儀しながらネイティブのこんにちはをお披露目するのが礼儀である(たぶん)。
筆者はこれまでに何度も日本のパスポートに助けられてきた。まるでRPGのレアアイテムのように、ピンチの場面で「これを出せばなんとかなる」的な頼もしさがある。
ヨーロッパ中をテント泊で旅していた頃、毎朝の目覚ましは決まって警官の「ヘーイ、グッモーニーン。出てこい!」の声だった。
これはスイスの首都ベルンの公園でテントを張った時の写真
テントから顔を出すと、大抵2人組の警官が待ち構えていて、「ここはテント禁止だぞ」とか「治安が良くないから今すぐ撤収しろ」と忠告される。そして恒例のパスポートチェックタイムが始まる。
確かに寝ている時にテントを蹴られたりビール瓶を投げつけられたり、ヤンキーたちがテントの周りをウロウロすることも少なくなかったが…
だが、そこで筆者が日本のパスポートを差し出した瞬間、警官の空気がガラリと変わる。
「うぉっ!!お前、日本人か!? 日本はいい国だよな〜!」
「俺、東京と広島行ったことあるぜ!」
「先週、友達が京都旅行してさ〜」
もはや職務質問というより、「日本の思い出を語る会」が始まるのである。
そして最終的には、
「次の巡回までに、まあ一時間以内に片付けて出発してくれたらいいからさ。その時もまだいたらこっちも職務上対応しなきゃだから、おれの言いたいことわかるよね?」
と、暗黙の猶予をくれることがほとんどだった。
これぞまさに、日本のパスポートが持つ「世界最強クラスの信頼力」。
筆者にとっては、さながら必殺の「困った時の奥の手」だった。
こんなにも恩恵を受けた以上、いつか日本に恩返しをしなければならない(いつか)
無事にパスポートコントロールを超えると、めちゃくちゃ小規模だがDUTY FREE SHOP(免税店)があった。
空港と同じで、その免税店を通らないと出口に行けないような配置になっている。
主にヨーロッパばかり周ってきた筆者にとって、こんなアルメニア-ジョージア間の国境くらいでパスポートを提示しなければならないのは非常に新鮮であった。
入国審査再び?
パスポートコントロールと免税店を抜けると、出口の前にバンが停まっていた。
よし、どうやら入国完了したっぽい٩( ‘ω’ )و
筆者がバンに乗り込むと同時に車は動き出した、念のため、またもやシートベルトを締める。
…が、日本の車のようにスルスルと滑らないシートベルト、
スムーズに「カチャッ」とはまらないバックル、
縮まらず全く身体のラインにフィットしないベルト。
シートベルトをするだけで、すでにひと仕事終えたような気分である。
── そんな苦労の末、ようやく着席して2〜3分。
バンはまたもや停車。
そして乗客が、なにごともないかのようにぞろぞろと降り始めた。
「……え? また降りんの???」
思わず二度見する筆者。
さすがにイライラが込み上げる。
「さっき入国したんちゃうんかい!?」
「このクソ固いシートベルト開け閉めするの、どれだけ大変かわかってんのか!」
「安全装備のメンテナンスくらいしとけや!」
──と、心の中で叫びつつも、そこは内気な日本人。
こんなブログでブツブツと文句を言うのが性に合っている。
今回ばかりは荷物も全て持って降りないといけないらしい。
仕方なく館内に入ると、目の前にはまさかの荷物検査&身体検査。
飛行機の搭乗前によくやる、あの「金属探知ゲートくぐり」が待ち構えていた。
さっき入国印ガチャンとされたのはなに?
ここでは危険物を持っていないかを金属探知機なとで検査されるようだ。
飛行機じゃないので、別にナイフとかの危険物持っててもいい気もするが…
※さすがに銃とか手榴弾あったらヤバいけど
筆者の前に並んでいた中国人男性には一切笑顔を見せなかった女性職員が、筆者のパスポートを見るやいなや、ニッコリ笑顔の片言で
「コンニチハー♡」
ふむ、悪い気はしない。
いや、むしろかわいいし嬉しい♡
検査を終えると、待合所で20分ほど待機。
どうやらバンの検査に時間がかかっているらしい。
筆者は各国の衛生状態を確認するとき、まず空港(じゃないけど一応入国審査があるので)のトイレをチェックするのが鉄則である。
さて、この国のトイレ事情はいかに──!?
どれどれ、覗いてみる(p_-)チラッ
むむむ、これは!
グハァ(つД`)ノ
写真ではわからないかもしれないが、汚い…。
そして小便器は破壊されており使えない。
さらに個室は臭過ぎて入れない。
読者の皆様に臭いが届かないのが非常に残念である
と言うことで、トイレは諦めて待合所で待つことにした。
(この時は何分待つのかわからなかったが)
待合所の中にはATMがあったので早速ジョージアの通貨ジョージア・ラリをゲットする、いやしなければならない。
なぜなら、このバンは夜中の23時にジョージアの首都・トビリシの地下鉄駅(Avlabari駅)に着く予定だからだ。
で、問題はここから。
ジョージアの通貨がないと地下鉄に乗れない。
→地下鉄に乗れないと宿まで歩くしかない。
→しかもその道、めちゃくちゃアップダウンが激しい。
→しかも1時間。
……そんなの、もはや深夜の「地獄の山岳マラソン」である。
いやいやいや、絶対ムリやろ!!
疲れ果てた体でそんな試練に挑むなんて、もはや拷問。
というわけで、何が何でも通貨を手に入れる必要があるのだ!
到着地はTbilisi市内のAvlabari駅
どうしても通貨ラリをゲットしなければならない。
しかし…
ダメだ、引き出せない!!!
アルメニアでも同様にATMでお金が引き出せずリリーちゃんに相談し一緒に何ヶ所かATMを周ったが「たぶん出国前に手続きせんとあかんかったっぽいよ」と言われてしまった。
そして、ATMの前で「もうラリ入手は絶望的か…?」と諦めかけていたその時。
「モウスグ クルマガ クルミタイデスヨ」
突然、横にいた中国人夫婦の奥さんが片言の日本語で話しかけてきた。
え、ちょ、なに?
普段、海外で日本語で話しかけられることはない、そして話しかけてくるやつは大抵詐欺師である(イスタンブール編を参照)
2025年2月4日から7日まで4日間トルコの首都いや最大都市イスタンブールに行ってきたのでその時の体験をシェアしたい。※トルコの首都はイスタンブールではなくアンカラである、筆者は盛大に勘違いをしていた。これからイスタンブール[…]
まさか、ここで中国人に日本語で話しかけられるとは思ってもみなかった。
この予想外の展開に、ATMの画面よりもこの奥さんの顔をガン見する筆者。
いや、一体どこで日本語習ったんすか!?
そして後ろを振り向くと…
真後ろに野犬がいる!!!!
え、ここって入国審査もしくはセキュリティチェックの場所ですよね?
お巡りさーん、なんか入管の建物の中にまで野犬が紛れ込んでいますよー。
初めは訓練された麻薬捜査犬かと思ったが、耳にタグが付いていたのと職員に外に追い出されていたので普通の野犬だったようだ。
そして結局20分ほど待ってから車も検査に通ったようで、再びバスに乗り込んだ我々一行。
野犬はずっと筆者につきまとっており、怖くはないが正直うっとうしかった。
筆者は出国4日前に愛犬の柴犬を亡くしたが、別に君は連れて帰らないよ?
どっか行って、お願いだから。
こうしてバスは無事に(?)出発した。
トビリシに到着、そして…
オフラインのGoogle mapsを駆使した結果、やはり夜中23時ごろにAvlabari駅に到着するっぽいことがわかった。
結局ラリを入手できなかったため、①23時以降に終電がありなおかつ②切符がクレカで買えるという奇跡が2つ揃ったら地下鉄に乗ろうと心に決めた筆者であった。
バンはようやくトビリシ市内に入った。
トビリシ市に入ったところにパトカーが停まっており、それが見えた瞬間にほぼ6時間ずっとノーシートベルトで爆走してたおっさんが、めちゃくちゃ急いでシートベルトを締め出した。
ワロタww
23時15分に駅に到着
こうして出発から約6時間後、ジョージアの首都トビリシ市にあるAvlabari駅に到着した。
バスを降りてそこで解散、非常にあっさりとしていた。
Avlabari駅の入り口
ゴクリ…(⌒-⌒; )
さて、緊張の一瞬である。
果たして地下鉄はまだ走っているのか、そして現金を使わずに切符は買えるのか?
地下鉄の窓口で訊いてみた。
筆者「ハロー、英語話せる?」
おばちゃん「へーい。うんまあ、少しは。」
筆者「おけ、こっから〇〇駅まで行きたいんやけど、まだいける?」
おばちゃん「あ、一駅やから今の時間ならまだまだ余裕よ!」
筆者「よしゃ。クレカ使えまっか?」
おばちゃん「クレカ?あたまえやん。改札はタッチ決済対応やし」
筆者「お、おばちゃん…好き!ジョージア好き!!」
すごい、普通にタッチ式のクレカを改札にかざしてゲートが開いた!!!
マジでこの国キャッシュいらんわ( ゚д゚)
画像はイメージ(VISAのクレカでタッチ決済でけた♡)
筆者がクレカをタッチして改札を通り、クレカを財布に直している間にトンデモないものを見た。
改札での出来事
筆者が改札を通る前から、改札横の柵の前で一人の少年が立っていた。
細身で、黒くて薄いダウンジャケットを着ており、スマホを凝視している。しかし、その指先はほとんど動いておらず、画面を見ているようで見ていない。時折、視線をスマホから離し、周囲をさりげなく見回しているのがわかった。
まるで何かを待っているかのように。
画像はイメージ
筆者は少し違和感を覚えたものの、特に気にせず自分のクレカをタッチし、改札を通った。
その直後、一人の男性が同様にタッチ決済で改札を通過した。年齢は30代後半くらいだろうか、スーツ姿に肩からビジネスバッグを提げ、スマホを片手に歩いていた。
だが、そこで驚くべき光景が目に飛び込んできた。
先ほどの少年が、ほぼ一瞬のタイミングでその男性の背後にぴたりと張り付き、まるで背後霊のように密着して改札をすり抜けたのだ。
改札機は通常通り「ピッ」という音を鳴らし、エラーも警告音も何も鳴らない。まるで何事もなかったかのように、二人は自然に通り過ぎた。しかし、通ったのは一人分の支払いである。
若者はそのままの流れで改札を抜けると、すぐに歩幅を変え、さも当然のように少し距離を取った。男性は何も気づかないまま改札を後にする。
——目の前には駅の係員のおばちゃんがいるというのに。
筆者は思わず「ほぇー……」と感嘆してしまった。いや、驚くべきはその技術の巧妙さだ。無駄な動作が一切なく、まるでプロの技。だが、だからといって感心している場合ではない。
「おまえ何しとんねんコラァ」と目で睨みつける。
しかし、その若者は筆者の視線を察知すると、ふっと一瞬だけこちらに目を向けた。挑発するわけでもなく、反省するわけでもなく、ただ「なに?」とでも言いたげな、淡々とした視線だった。
そして、何事もなかったかのように改札を抜けたまま、長いエスカレーターへと向かい、そのままホームへと消えていったのである。
筆者史上最も長いエスカレーター
筆者の経験上、チェコやハンガリーといった東欧諸国は地上から地下鉄のホームに降りるエスカレーターが非常に長いことは知っていた。
チェコの首都プラハの地下鉄のエスカレーター(2015年撮影)
ハンガリーの首都ブダペストの地下に降りるエスカレーター(2017年撮影)
日本では想像もできないくらいの距離をエスカレーターで降りるのである。
なんとなく旧ソ連圏の国々に多い気がする。
アルメニアでは地下鉄でそんなに長いエスカレーターを見た記憶はないが、ジョージアのAvlabari駅のエスカレーターはトンデモない長さであった。
それがこちら↓
ちなみに筆者の目の前に座るこの少年が無賃乗車のプロである。
もはや降り口が見えないほど下である。
この距離を降りきった先に地下鉄のホームがあるのだ。
こうして深夜の地下鉄のホームに降り立った。
トビリシは坂だらけの街だった
念のためダメ元で無料Wi-Fiがあるか確認する。
……あった!!!
しかもホームの頭上には何かの看板が設置されている。
しかしなぜこんな写真を撮ったのか、撮影日からほぼ一ヶ月半経ってから本ブログを書き始めた筆者は皆目見当がつかない。
なんなんだ、この案内板は。
しかもホームの端にある電光掲示板には次の電車の到着時間までしっかり表示されている。
あと1分48秒で電車が来ることがわかる
そして電車が到着した。
「マジか、この国めちゃくちゃ進んでるじゃねーか。」
そんな感動を胸に、電車に乗り込む。
電車の中も申し分ない清潔さと快適さである。
たった一駅の移動。降りる駅に到着し、ドアが開く。
さぁ降りよう——と思った瞬間、目の前の景色が変わった。
猛スピードで乗り込んでくる乗客たち。まるで洪水のように押し寄せ、誰も降りる人間のことなど気にしていないようだ。
しかし、筆者はこの程度のフィジカルでは負けない。
いや、むしろ無双モード突入である。
当たり負ける気がしない。
なぜなら、筆者はフルコンタクト空手の元世界チャンピオン。空手歴16年、身長182cm、体重79kg。この肉体が、一般人の体当たりごときで崩れるはずがない。
案の定、ぶつかってきた人々は文字通り弾かれていく。
すまんな、俺には避けるという概念がない。
無事に改札を抜け、再び長いエスカレーターを上る。
ところが、地上に出て驚いた。
——改札がない。
降りるときにクレカをタッチしなければ料金が決まらないのでは?
いや、もしかして距離に関係なく一律料金なのか?
そんな疑問を抱きつつ、宿までの道を歩く。
後日請求がきたのは85円。
つまり1ラリ=55円くらいだったので一度乗ったら1.5GEL(GELはジョージアの通貨)ということになる。
ちなみにクレカの場合は1.5ラリだが、通常運賃は1ラリらしい。
リリーちゃんから聞いていた通り、トビリシは坂道だらけの街だった。
ハアハア、フウフウ( ;´Д`)
駅を出て少し歩き、右折すると坂道。さらに登り続け、左折しても坂道。延々と坂、坂、坂。
気づけば背中にじんわりと汗が滲んでいた。
ようやく坂の上にあるホテルに到着。
“hotel HOME”という名のホテルである。
ホテルと言っても、広い自宅を改造したようなアットホームな作り。玄関のベルを鳴らすと、おばあちゃんが出てきた。
♀「チーノ?(中国人?)」
♂「ジャポーネ!」
胸を張って答える。
しかし、問題発生。宿は現金オンリー。
筆者、ラリ(ジョージアの通貨)を一銭も持っていない。
ダメ元でユーロ払いが可能か聞いてみると、おばあちゃんは「ユーロならOK」と即答し、計算し始めた。
ただし、換算レートには要注意。
このババアの言うことを鵜呑みにしてはいけない、こういう場面では高確率でぼったくられるからだ。
しかし、筆者は慎重派。おばあちゃんが換算した金額は20ユーロ。
「さて、本当にそのレートで合っているのか……?」
即座に最新レートをチェック。
結果、20.34ユーロ。
——むしろ0.34ユーロ割引してくれていた。
このおばあちゃん、信用できる。
気持ちよく20ユーロ紙幣を渡し、無事チェックイン。
案内されたのは、まさかの一人部屋。
この広さの部屋に朝食付きで20ユーロ?安すぎる。
だが、筆者は2014年にポーランド・クラクフで一泊500円の宿に泊まっていた男だ。驚きはしない。
一応リリーちゃんに生存報告をしてからシャワーを浴び、歯を磨き、着ていた服を即洗濯。明朝のチェックアウトまでに乾くよう段取りを組む。
ふと考える。
リリーちゃんと過ごしたエレバンでの4日間も、シャツとズボンは二日に一度、下着は毎日シャワー室で石鹸を使って洗っていた。
もしや筆者は知らぬ間に異臭を放っていたのでは……と、今さらながら気になってきた。
いや、20cm×30cm×40cmという極小のカバン一つに全てを詰め込み旅をする人間の宿命である。
そんなことを考えながら気持ちよくベッドに横になると、心地よい眠気が襲ってくる。
目を閉じるたびに、次の目的地への期待が膨らみ、もうすぐ新しい一歩を踏み出す自分にワクワクしている。
「こんなにも自由に過ごせることが、どれだけ幸せか」と心の中で思い、深呼吸をする。
また、生後5ヶ月の赤ちゃんを預かって筆者に10日間も自由に旅をさせてくれた奥様にもう一度礼を言おう。
GRAZIE!!
奥様はイタリア人のため
そうして心地よい疲れが全身を包み、外の街の音が遠くから聞こえる中、目を閉じてゆっくりと眠りについた。
今日もまた、最高の一日だった。
おわりに
さて、これにて三編にわたるアルメニア旅行記をようやく書き終え、筆者もひとまずホッとしている。
アルメニアのグルメ、観光地、アルメニア人の国民性、文化、ソ連を彷彿とさせるバカでかい像など、本当はまだまだ綴りたいことが山のようにあったのだが、それらは全て飛ばしてできる限り簡潔にまとめたつもりだ。
それでも書き進めるうちに思考が錯綜し、何度か「ぐはぁ、もう無理だ……」と投げ出しかけたこともあった。しかし、「アルメニアの旅行記を書くよ(*´∀`*)」とリリーちゃんに伝えていたこともあり、どうしても形に残したかった。
カスケード
ここまで長い文章となったため、最初から最後まで読んでくださった方はごくわずかだろう。それでも、少しでもアルメニアの魅力が伝われば幸いである。
途中からジョージア旅行記のようになってしまった点については、ご愛嬌ということでご容赦いただきたい。
アルメニアでの四日間は、歴史と自然、文化の奥深さに触れる貴重な旅だった。エレバンの学生通りで見かけた若者たちの穏やかな笑顔、荘厳な山々に囲まれた美しい神殿、そして悠久の時を刻む古代遺跡——そのすべてが心に深く刻まれ、忘れがたい思い出となった。
え、誰?となる銅像も
キリスト教には「右の頬を打たれたら左の頬を差し出しなさい」という有名な教えがある。
赤信号を無視して青信号を渡る筆者につっこんできた乱暴な運転手たち、狂犬病持ちかもしれない野犬たち、そして車にカメラを向けただけでブチギレてきたお兄さんたち……アルメニアでのさまざまな出来事も、旅の一部として穏やかに受け入れようと思う。
アーメン。
エレバンの服屋さんのマネキンが怖い…
最後に、何よりもこの旅において多くの時間を割き、温かく迎えてくれた親愛なるリリーちゃんに心からの感謝を贈りたい。
ジョージアの首都トビリシにはわずか一日しか滞在せず、その後すぐにトルコ・イスタンブールへと向かったため、詳しく書けることは少ない。それでも、機会があれば短編の記事として綴るかもしれない。
それではまた、次の旅の記録でお会いしましょう。