さて、遂にこの単元にやってきたかという感じです。
世界を周るうえで必ず知っておくべき知識の一つ、それは宗教の基礎知識で宗教上のルール違反等を勉強せずに世界を旅することは危ないし勿体ないです。
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教はそれぞれ同じ神を信仰し同じ聖地を持っています。
これを聞いても、
え、そうなの?
ぜーんぜん知らなかった!
という方はもう少し説明をご覧ください↓
» ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の関係性について
世界の三大宗教と言えば
- キリスト教
- イスラム教
- 仏教
になります。
しかし今回のシリーズでお話するのは、
・ユダヤ教
・キリスト教
・イスラム教
の3つです。
なぜか。
後で出てきますが、この3つの宗教は同じ神、同じ聖地を持つからです↓
ちなみにこの3つは三大一神教と呼ばれています。
日本だと八百万の神々と言われるくらい神様の種類は多いですよね。
七福神もいれば風神雷神もいて、天照大御神がいれば素戔嗚尊(スサノオ)もいます。
しかしこれから紹介する一神教では神は唯一1つだけなんです。
多くの日本人は「宗教=コワイ」というイメージがあると思います。
賛否両論ありますがぼく的には間違ってはいないと思います。
なぜなら古代から世界の紛争/戦争のほとんどは宗教戦争と言えるからです。
と言えるくらい、宗教と戦争/紛争はセットで考えられます。
» 折りたたむ
先にユダヤ教の成り立ちを理解した方が圧倒的にキリスト教の理解も早くなると思うので、まずはこちらをどうぞ↓
さて、遂にこの単元にやってきたかという感じです。 世界を周るうえで必ず知っておくべき知識の一つ、それは宗教の基礎知識で宗教上のルール違反等を勉強せずに世界を旅することは危ないし勿体ないです。 今回はユダヤ教の歴史をわかり[…]
ということで、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の大体の関係性をつかめたところで、いざ解説に移りたいと思います!
では始めます(”◇”)ゞ
メシアが現れた『キリスト教』
なるべく簡単に流れを説明します。
ストーリーとして大まかに理解してください!
ディアスポラ前後のおさらい
ユダヤ教編で言いましたが、ユダヤ人は神から与えられた約束の地「カナン」(現在のパレスチナ)へやっとのことで到達し、そこでヘブライ王国を建国するもしばらくして他国との戦いで分裂・消滅しました。
紀元前1000年頃に建国されたヘブライ王国、すぐに分裂し消滅する。
そして世界最強のローマ帝国に目を付けられ、パレスチナで弾圧+隷属されながら遂に紀元後132年にユダヤ人はパレスチナから追放されました。
ローマ帝国「てめーら、もう2度と、、、もう2度とこの地に戻って来るなーーーーー!!」
こうしてユダヤ人は父祖伝来の地(パレスチナ)を追放され、世界に散り散りになってしまったのでした。
このユダヤ人の乱離拡散をディアスポラと言います。
イスラエルのお話はこちらで↓
西暦132年、当時ローマ帝国に虐げられていたとある民族が故郷を奪われ世界中に散り散りになった。 その民族は約1800年もの間世界中で迫害され続けたが、1948年に父祖伝来の地パレスチナに集い、様々な苦難の末に晴れて国家を建国することができ[…]
キリスト教の物語は、このディアスポラ以前、ローマ帝国に弾圧されている当時のパレスチナの地にいる一人の女性マリアの懐妊から始まります。
神に選ばれた女性『マリア』とその子
キリスト教の物語はここから始まります。
大天使ガブリエル(神の言葉を伝える大天使)は、ローマ軍に虐げられていたパレスチナに住むユダヤ人女性マリアの元にある日突然現れこう言います。
これは神のお告げです、あなたのお腹に子供を宿しました。
生まれる子は神の子ですので、イエスと名付けるように。
しかしマリアは処女、男性経験のない彼女は初めは疑いましたがすぐに「主の仰せのままに」と事実を受け入れました。
聖母マリア様の誕生です。
ちなみに画像生成AIの"Stable Diffusion"に「新約聖書に登場する、13歳の聖母マリアを描いて」と命令したら、、、
こんな容姿の少女が生成されました。
リアル過ぎてコワイ…
ちなみに「新約聖書に登場する、18歳の聖母マリアを描いて」と命令したら、、、
少し大人っぽくなったマリアが生成されました。
遊びはこれで終わりにします…すみません
性行為を行って懐妊するのが人類、しかし性行為を行わずして懐妊した子は普通の人間ではない=神の子
この一連の流れを受胎告知(じゅたいこくち)と言います。
イエス・キリスト誕生という最も重要な場面の一つで、大天使ガブリエルがマリアの元に訪れ懐妊を告げるシーンのことです。
ちなみにイエスが生まれたのは12月25日ではありません。
イエスが生まれた時に、当時パレスチナで野宿をしていた羊飼いが星が輝くのを見て、
「この世に素晴らしい人物が生まれたようだ」と驚いたと言われています。
真冬のパレスチナで野宿、あり得ません。
神の子『イエス』がユダヤ教に疑問を抱く
ここで知っておいて欲しいのが、マリアもイエスもどちらもユダヤ人という事です。
という事はユダヤ教徒です。
» ユダヤ人の定義を確認↓(クリックで開く)
インド人は全員ヒンドゥー教徒、タイ人は全員が仏教徒、アメリカ人は全員がキリスト教徒?
いや、そんなことあり得ません。
インド人とはインドの国籍を持っている人、アメリカ人とはアメリカ国籍を持っている人をそう呼びます。
○○人とは国籍の帰属先を指します、が、ユダヤ教徒は違います。
「ユダヤ人とはユダヤ国籍を持っている人」とは言えません、なぜならユダヤ国なんて無いからです。
なので一般的に『ユダヤ人=ユダヤ教徒』なのです。
日本人でもユダヤ教徒であればユダヤ人と呼べます。
» 折りたたむ
ユダヤ教徒の考えでは、神の教え(十戒)をしっかり守れる人間だけがユダヤ人として唯一神ヤハウェーに救われるのです。
そのユダヤ人として生きている中で、イエスはある疑問を持つことになります↓
厳しい戒律を守った者、しかもユダヤ人だけが神に救われる?
世界はユダヤ人だけでは無い、ユダヤ人にならなければ救われないなんて不自由でけち臭くない?
心から神を信じる者はみんな救われるべきではないのか?
と。
しかしこれはユダヤ教の戒律(十戒)のうちの「ヤハウェーの他に何者も神と呼ばないこと」という教えに背いています。
イエス、あうとー
当然イエスを中心として賛否両論が巻き起こり、ある者はイエスを厳しく批判し、ある者はイエスの教えに従うようになっていきます↓
イエスには自分の考え(福音=ふくいん)を伝えるために選んだ12人の弟子がいました。
イエスの死後、彼らが周辺地域へイエスの教えをどんどん広めていきました。
『最後の晩餐』で裏切り者に告げる
↑ど真ん中に座るイエスを囲んでいるのが12使徒と呼ばれる者たちです。
ここであの有名な言葉が発せられます。
はっきり言っておく。
あなた方のうちの一人がわたしを裏切ろうとしている。
↑レオナルド・ダヴィンチが描いた『最後の晩餐』は、裏切り者について議論するその時の慌てふためく弟子たちの様子を描いたと言われています。
わたしと一緒に手で鉢に食べ物を浸した者が、わたしを裏切る。
人の子は、聖書に書いてあるとおりに、去って行く。だが、人の子を裏切るその者は不幸だ。
生まれなかった方が、その者のためによかった。
と言い、ユダがイエスを裏切るのを予言し、
と言うとそっとユダが席を立って部屋を出て行ったと言われています。
諸説ありますが、晩餐中にみんなの前でユダを裏切り者だとバラす説もあれば反対にユダの名前を一切出さなかったという説もあります。
しかし一つ間違いなのは「イエスはユダが裏切り者だと知っていた」という事です。
ユダヤ教を否定するイエスの存在が邪魔な人間も多くいたのでしょう、その人間に銀貨30枚で買収された(一説では自分から売り込みに行った)とも言われていますが真実は不明です。
イエスが十字架で磔刑に掛けられるも復活する
そしてユダヤ教の祭司長たちはイエスを捕えて、ローマ帝国に引き渡しました。
当時のローマ帝国では、手を釘で打ち付けて十字架に磔(はりつけ)て両脇を槍で刺すという処刑方法が至って一般的でした。
ちなみにイエスの処刑は、2人の盗人と同じ時に行われたと言われています。
このイエスが葬られた丘がゴルゴダの丘で、そのイエスの墓がある場所(エルサレム)に建てられた建物が聖墳墓教会(せいふんぼきょうかい)で、全世界のキリスト教徒の聖地になっています。
そしてイエスが処刑されてから三日後、各地でイエスが復活し奇跡を起こしているという目撃情報が寄せられます↓
そしてイエスが葬られた墓を確認してみると、そこにイエスの死体はありませんでした。
これは大天使ガブリエルがイエスを復活させたと言われています↓
このイエス復活を受けて「イエスこそがメシア(救世主)だったのだ!」と考えられるようになりました。
キリストとはメシアのギリシャ語訳の「クリストス」を日本語表記したものなので、
メシア(ヘブライ語)
=クリストス(ギリシャ語)
=キリスト(日本語)
=救世主
という感じで、全部同じ意味なんです。
つまり初めは「イエス」と呼んでいたのが、イエスが磔刑にかけられるも復活して各地で奇跡を起こしたという話を聞いて「イエスこそキリストだ」と思った人々が「イエス・キリスト」と呼んだのです。
また、未だにメシアの登場を待ち続けているユダヤ教の人にとっては、イエスはユダヤ教を改革しようとしたただの神を信じぬ裏切り者なので特別な感情は無いそうです。
キリスト教の成立
ここまでみてきたように、キリスト教とは「イエス・キリストの考え(教え)を弟子が徐々に世界各地に広めていっていつしかそう呼ばれるようになったもの」なので、イエス自身が、
みんな!
わたくし、イエス・キリストを信じなさい。
私に連いてきなさい。
私の言う事を信じれば必ず救われます
と宣言してできた宗教では無いのです(←重要
キリスト教がローマ帝国の国教になり、そこから世界中に拡散する
当時のローマ皇帝はネロ、暴君として有名です↓
『ローマ皇帝ネロ』は母や妻を暗殺し、暴政を敷き、気に入らない国民はどんどん処刑していました。
また西暦64年には7日間に渡ってローマで起こった大火災((ローマ大火)を起こしながらもその責任をキリスト教徒の陰謀として処理し、簡単な裁判を経てキリスト教徒を大虐殺しました。
つまり、暴君ネロは歴史上初めてキリスト教徒を厳しく弾圧したのです。
そしてこの処刑した中にはイエスの12使徒の一人で当時のキリスト教の最高指導者でもある「ペテロ」もいたと言われます。
しかし西暦392年に遂に歴史が動きます。
弟子たちが中東地域やヨーロッパに広めたキリスト教は「神を信じる者は全員救われる」との教えなので、日々の生活にすら苦しんでいた市民の幅広い支持を得てみんながみんな「キリスト教いいねー」という状態になりました↓
国民全体がキリスト教を支持し始めたので、ローマ皇帝としては「あかん、今さらキリスト教を批判できひん空気なってきた・・・」と考え始めます。
そこで史上最強帝国であるローマ帝国が、(迫害から一転)キリスト教を唯一の国教として認め、それ以外の宗教や宗派を禁止しました。
ここからヨーロッパや中東地域のみならず世界中にキリスト教が爆発的に普及し始め、現在では世界中で22億人以上(2024年4月現在)が信仰する世界最大の宗教になりました。
旧約聖書と新約聖書の違い
さて、ここまで話してある程度の流れは理解して頂けたのではと思います。
ユダヤ教編も読まれた方はもうわかると思います↓
旧約聖書(=タナハ)
神とユダヤ人との間のお話
ユダヤ民族と神との間に結ばれた契約(歴史)が書かれたユダヤ教徒のための経典で、やがて世界の終わりが近付くと救世主が現れユダヤ人を救う(まだ現れていない)
新約聖書
イエスのお話(イエス=救世主=神の子だから)
旧約聖書のラストシーン、ユダヤ人を救う救世主は実はイエスであり、ユダヤ人だけでなく世界中の「神を信じる者」は全員救われる
新約聖書は旧約聖書ありきのお話です。
旧約聖書の「旧」というのはキリスト教目線の言い方なので、ユダヤ人の前で「旧約聖書」と言ったら機嫌を損ねるかもしれません。
ユダヤ人の聖書、正しくは「タナハ」と呼びましょう。
おわりに
さて、これでキリスト教編も終わりになりました。
キリスト教を完全に理解するのは、実際にキリスト教にならないと無理な気もします、なっても無理な気もしますが(笑)
旧約聖書も新約聖書も読んでみると面白いし、世界中の時事ネタもより深く理解できるようになりました。
次はイスラム教編です↓
初めまして、RYOです! 今回は、日本から出る前に知っておくべき「宗教」の知識をご紹介します。 皆さんご存知の通り、日本人の宗教観はかなりあいまいです↓ 「え、私の家?うーん、浄土宗...かな?ん、真言宗やった[…]