【ヨーロッパ旅行記】スイスのジュネーブ【12/12】

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3度目のヨーロッパ、2度目の独り旅(2016年)の思い出を振り返る。

今回はスイスのジュネーブでの滞在をサクッと要約し、印象的な出来事をシェアしようと思う。

筆者が初めてヨーロッパを独りで旅したのは2014年の初旬。あの時の驚きや発見は今でも鮮明に覚えている。

今回の旅では、ヨーロッパの面白さや基礎知識に絞ってお届けする。無駄な話は極力省いて、ガイドブックには載っていないこと、実際に見たものや感じたことに焦点を当てる。

前回の記事はこちら。

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シャモニーモンブラン フランス 旅行記

スイス、ジュネーブ滞在記

ジュネーブ

スイス西の果て、フランスと肩組んで暮らす国際都市。

もはや「Bonjour」と「Grüezi(スイスドイツ語のこんにちは)」の間で揺れる言語アイデンティティ。

街を歩けば、スーツ姿のビジネスマンと、チーズフォンデュを頬張る観光客が共存している、そんな不思議な空間。

…といっても、写真があまり残ってないので今回は記憶の断片と妄想を織り交ぜつつ、ざっくりお届け!

ジュネーブは、まるで「国連のラウンジ」かと思うほど、多国籍な人々が行き交い、耳をすませば英語・フランス語・ドイツ語・時々イタリア語も混ざって飛び交う、音声多国籍サラダボウル。

しかも湖(レマン湖)が街の中心にドーンと構えていて、「いやもう鏡か?」ってくらい空と山を映す美しさ。

湖の真ん中からビヨーンとジェッドーの大噴水が立ち上がっていて、「なんでそんなに元気なん?」と突っ込みたくなる。

ちなみに、ジュネーブにいるときだけ謎に「知的になった気」がするのは、たぶん気のせいではない。

レンタサイクルはパスポート預けるのが普通です

ジュネーブ滞在も残すところあと2、3日。

さすがに名残惜しい気持ちもあり、「風を感じようキャンペーン」を自発的に発動。

ということで、レンタサイクルを決行した。

「レマン湖をレンタサイクル」

…この語感のよさは、もはや五・七・五の域である。

カタカナが多いと何となくヨーロッパ感が増すのは、我々の脳の仕様だろうか。

さて、レンタルの受付でパスポートの提出を求められ、やや動揺。

「え、これで国外逃亡されたらどうすんの?」と心の中で叫ぶ。

だがこれは、どうやらヨーロッパの当たり前らしい。

パスポートを出すのも、もはや慣れた。

もはや身分証明書というより自転車引換券”である。

自転車があるだけで、移動範囲が10倍、風の量が100倍、自由度が無限になる。

歩き旅では見えなかった景色も、自転車があるとちゃんと見える。

これはもう、将来バックパッカーする際には折りたたみチャリを相棒にすべきという確信を得た。

いや、マジでチャリ最強。

チャリ is 正義。

ジュネーブ市内を走り抜け、爽やかな風を背中に受けつつ、「世界一オシャレなツーリングやな」と思いながらも、帰ってきた。

そして、サイクリングの後は筋トレタイムである。

宿の裏にある筋トレ公園へと向かう。

一か月前にもお世話になったあの鉄棒との再会だ。

筆者が泊まったホステルがこちら。

清潔、安価、朝食付き、筋トレ環境完備という、もはやホテル界の理想郷に泊まりつつ、ジュネーブの風を背負いながら、旅の終盤戦へと突入する。

初めてのマッスルアップ

その日の夜、一か月前の自分に向けて一通の手紙を書くという奇行に及んだ。

対象は他人ではなく、過去の自分である。

もう手紙ではなくタイムカプセルである。

(前略)

手紙 〜拝啓 旅行2日目の君へ〜

とうとう明後日の朝には帰国。

お前はこれから数々の素晴らしい出逢いが待っている。

Hallstattに着く前にジェルを買え。

そして各地で公園を見つけて毎日30回は懸垂するんだ。

そして旅行終了間際、再びこの公園で…

28日前は全くできる気がしなかったマッスルアップ…成功。

ひょーーーーーー(((o(*゚▽゚*)o)))’

Apr 30, 2016, 4:02 AM

「ジェルを買え」

これはつまり、オーストリアの風光明媚な町ハルシュタットでスロベニア人女性のNinaと会うことになる、だからオシャレをしておけという未来の筆者からのメッセージである。

スロヴェニア 旅 旅行

オーストリア ハルシュタット

タイミングというものは、人生の9割を左右するのである。

加えてもう一つ、過去の自分に伝えておきたい事実がある。

それは──

「毎日平均30回の懸垂は、マッスルアップへの切符である」

これは完全なる余談だが、伝えずにはいられない。


筆者が人生で初めてマッスルアップを成功させたジュネーブの鉄棒

そして毎日平均30回の懸垂がマッスルアップを可能にするんだ!!!

マッスルアップとは、鉄棒にぶら下がった状態から懸垂を始め、途中で背筋をクッと収縮させ、さらに上体をバーの上に押し出していく動作である。

これを成し遂げるためには、背中の筋肉に神のご加護が必要とされる。

が、現実は案外シンプルだった。

毎日30回、黙々と懸垂を続けていた結果、気づけばマッスルアップができるようになっていた。

筋肉は裏切らない、という都市伝説は、どうやら本当らしい。

イスラム教の習慣

〜最後の晩餐〜

電子レンジしか無いが、豪勢に牛肉豚肉合わせて917g(((o(*゚▽゚*)o)))

Apr 30, 2016, 11:04 PM

では最後の晩餐を頂くとしよう。

食堂に向かう。

筆者の買い物の内容はこちら。

スイスでこの量の肉を食べようものなら、それなりの散財を覚悟せねばならぬ。

とはいえ、今回の買い物は牛肉354g+豚肉563gでたったの15CHF(約2,000円)。

スイスの物価を知る者にとっては、これはもはや奇跡のミートセールである。

この安さ、もはや肉の見切り品を超えて勝利である。

肉を焼きながらご満悦の状態でいると、突如としてキッチンの扉が開き、アラブ系の中年男性が風のように入室してきた。

「やあ!」

というその声に、思わず包丁を取り落としかけたが、少し話してみると意外とフレンドリーな人物であることが判明。

彼曰く、出身は「パレスチナ」。

当時の私はその地域の地理・歴史にさほど詳しくなかったが、とりあえず笑顔でうなずいておいた。

で、彼の持っていた皿を見ると──

豆。とにかく豆。

圧倒的豆。人生最大の豆率。
まるで「豆だけで構成された宇宙」みたいな一皿を手に、誇らしげにこう言った。

「明日の朝、日本に帰るんだって?
だったら──パーティーだ!
我がパレスチナ文化では、食事はすべてシェアするものなんだ!」

そう言って、持っていたすべての食料を遠慮ゼロの笑顔で半分こしてくれた。

パン、コーン、ケーキ、お茶、ビーフシチュー、バニラヨーグルト……

本当に全て半分。きっちり半分。豆も半分。気持ちも半分。

何なんだこの人。
すごくありがたくて、めちゃくちゃ豆くさい夜になった。

だが確かに感じた。

これが文化というものの温度である。

昏睡強盗には注意

何でも半分にして分けてくれた、パレスチナ出身のおじさん。

その優しさ、まるで中東のサンタクロースのようであった。

……が、しかし。

ここは異国。
そして私はバックパッカー。
油断した瞬間、スリや昏睡強盗の伝説は実際に起こり得る。

というわけで──
おじさんが「お茶を淹れるね」と言ってキッチンに向かったその瞬間から、筆者は完全に警戒モードON。

もうね、お茶を入れる様子をずっと見ていたのである。

というより、ずーーーっと横に立って監視していた。

「何か手伝うことありまっか?」という、、、

フレンドリーなオーラの仮面をかぶった関西風ボディガード状態である。

ティーバッグ入れる手の動きから、ティーポットの中に忍び込もうとする怪しい粉まで(←もちろん無い)、すべてを見届けてから、ようやく「いただきます」と口にした。

もちろん、何も起きなかった。

ただのめっちゃいいおじさんだった。

(もしくは筆者が怪しんでいたので中止したのか?)

だが、失礼かもしれないが──

この程度の警戒心は、海外では普通である。

現地の人の親切心に甘えつつも、常に「もしも」の可能性をゼロに近づける意識こそ、旅人に必要なスキルである。

教訓。

「優しさには全力で感謝しつつ、ティーポットからは目を離すな。」

イスラム教は豚肉を食べない

イスラム教の戒律についての詳細は知らなくとも、「豚肉は食べない」というのは、もはや世界共通の一般常識である。

にもかかわらず──

私はやってしまったのだ。

おじ「ほら、お茶作ったから飲みなよ!」

筆者「サンキューサンキュー」

この時の私はもう感謝MAXのハイテンション。

好意は倍返し、これぞ関西魂。

筆者「サンキューサンキュー豚肉美味しいんですあげます!」

自分の晩ご飯だった豚肉ステーキを差し出してしまったのである。

おじ「・・・。うちの国は豚肉食べへんねんかあああぁぁぁ」

筆者「あっ……」

この瞬間、空気が凍った。

いや、ジュネーブの冷気より冷たかった。

豚肉という言葉の重さを、人生で一番感じた瞬間であった。

パン、コーン、ビーフシチュー──

「この人、普通に肉食べるやん」と思ってしまった私のリサーチ不足。

でも、よく考えたらビーフとポークの区別、めっちゃ大事!

これは完全に宗教文化リスペクト欠如事件201Xである。

以後、旅先で肉を差し出す際には、「ハラールチェック」という儀式を忘れないようにしようと心に誓った筆者であった。

うそ?ほんと?

さて、例の豚肉事件から数十分後のこと。

キッチンで共にディナー(ハラール寄り)を楽しんだおっちゃんと、今度は部屋でまったりトークタイムとなった。

すると突然、おっちゃん、自己紹介という名の自慢トーク・インフェルノを炸裂させてきたのだ。

当時の筆者のメモがこちら。

さっき言ってたおっちゃん。。

博士号二つ持ってる弁護士で、WTOのアドバイザーとかも務めてて、こっちじゃテレビとかにも結構出てて、めっちゃ有名な王室関係者やって。笑

俺見る目なさすぎ

May 1, 2016, 4:07 AM

完全に情報過多で頭がクラッシュしかけた私は、思わず壁に貼ってあった非常口マークをガン見してしまった。

(逃げ道を探したわけではない)

筆者の心の声「いやいやいや、ちょっと冷静になって考えろ。王室関係者が、こんなユースホステル来る?

部屋のベッド、めっちゃギシギシいってるし、シャワーの水圧、蚊の涙ほどやで???

王室やぞ!?玉座からこの水圧に座る!?!?

だが、その後、彼の名前をネットで検索したところ──

なんと、本当にそれっぽい人物がニュース番組でしゃべっている動画を発見してしまった。

あれ?
もしかして、本物???

筆者「いや、知らん!!!!!!!!」

これ以上詮索するのはやめておこう。

彼が本物の王室関係者だったとしても、そうでなかったとしても、

一緒にシェアしたパンとお茶、そして気まずい豚肉の記憶だけは本物である。

それで十分や。

おわりに

これにて、2016年のヨーロッパ放浪記は終了!

スイスは確かに物価が高いけど、恐れずに行動してみればその美しい自然や街並みは、それを超える価値がある。

特にマッターホルンやアルプス山脈を間近で感じることができたのは、神道の自然崇拝にも通じる素晴らしい体験だった。

少し高くても、心に残るものを得られるなら、思い切っていくべきだと強く感じた。

さあ、次は2017年編に突入!

どんな冒険が待っているのか、楽しみにしといてやあぁぁ(←なぜ関西弁!!!??)

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