2015年のヨーロッパ旅、親友と一緒に訪れたフランスの首都パリ。
美しい街並みと歴史的な建物が立ち並ぶこの都市で、私たちの旅はどんな思い出を作り上げたのだろうか。
街を歩きながら感じたこと、出会った人々、そして忘れられない出来事を振り返りながら、あの日々の思い出をつづっていこうと思う。
前回の記事はこちら。
2015年のヨーロッパ旅、親友と一緒に訪れたベルギーの首都ブリュッセル。美しい街並みと歴史的な建物が立ち並ぶこの都市で、私たちの旅はどんな思い出を作り上げたのだろうか。街を歩きながら感じたこと、出会った人々、そして忘れられな[…]
とりあえず有名観光地を巡ったパリ滞在記
筆者はこのブログの中で何度も言っているが、改めてもう一度言う。
市内のマップを写真に撮ることは意外に重要である!!
もちろん、ポケットWi-Fiを持っている人には関係ない。Google Mapsも使えるし、何の問題もないだろう。しかしWi-Fiにお金をかけたくないと思っているあなたにとって、市内の地図というのはまさにGoogle Mapsそのものなのだ。
「いや、Wi-Fiないとどうしようもないじゃん」と思うかもしれないが、ちょっと待ってほしい。現地の地図を撮っておくことで、街を歩きながら「ここを右に曲がればいいんだな」と確認できる。
もう、街の中で迷子になる心配もなくなる。
「もしも充電切れやWi-Fi圏外になっても、これでバッチリだ!」
自分がいつも頼りにしているGoogleマップが使えなくなる可能性もあるから、備えあれば憂いなし。地図をちゃんと保存しておけば、安心して街を歩ける。
現在ではGoogle maps一択だが、当時は
- 迷ったら人に訊く
- 市内地図の看板を見る
が『二大迷子になった時の対処法』だったのである。
ブリュッセルを出てパリに向かったのだが、驚くことにわずか1時間くらいで到着してしまった。
そう、TGV(フランスの高速列車)に乗ったおかげである。
TGV、ほんとすごい。まるで時速300kmくらいで移動している感覚が味わえる。目の前を流れる風景がものすごいスピードで過ぎ去っていく。途中で一瞬、隣の席の人と目が合うくらい。まさに「速さが命」の列車だった。
しかも、車内の快適さも半端ない。座席の広さやクッションの柔らかさも抜群で、まるで空を飛んでるかのように快適。
「これがヨーロッパの列車の力なのか…日本の新幹線とはまた違った感動を覚えてしまった。」
男2人で一つのベッド?
パリで予約していたホステルに到着したものの、またしても親友との「あるある」が発生した。
そう、毎回どこかの宿で必ず起こる問題。それがカップルベッドに男2人という状況だ。
もう、部屋に入ってみてびっくり。広めのベッドが一つだけ、
「な、なんでこうなるんだ?」と二人で静かに突っ込みながら、「まあ、ここで寝なあかんのなら、しょうがないか…」と、微妙に気まずい気持ちを押し込めつつ、荷物を広げる羽目になった。
正直、めちゃくちゃ気持ち悪い。
人生の親友!!とは言ってもセミダブルベッドに男2人は無理。キツイ。しかも2晩も・・・。
パリ市内の割に結構安く清潔で、部屋にはキッチン付き、果てはエレベータまであるホステル。
最後にこの落とし穴。
こうして、パリでもまたカップルベッド問題が解決することなく、二人でギリギリの距離感を保ちながら寝ることになったのだった。
予約内容を確認すると、2人用一室…
なるほど、見事にはめられた。
と思いながらもじゃんけんでベッドの右か左かを決めた。
スーパーなどで写真を撮るのはやめましょう
その後、とりあえず自炊できるって事で近くのモールに食材を調達しに行った。
「へー、ヨーロッパにもユニクロあるんや!ちょっと見てみようかな~」と思いながら、スマホを構えてパシャっと写真を撮った瞬間、近くにいた警備員に肩を叩かれた。
「はぁ?(゚Д゚)ノ」という顔で警備員を睨みつけると、「NO PICTURES HERE !!」と怒鳴られた。
「え、まさか写真だけで怒られるとは…」と心の中で焦りながら、即座にスマホをポケットにしまう。店内は撮影禁止だったようだ。これも、ヨーロッパあるあると言えるだろう。
それから、スーパーマーケットに寄って30分ほど食材を吟味。
「これでいいか、これで!」と意気揚々と選び、会計前に少し商品をこっそり撮影。
この時点で、ヨーロッパ滞在もすでに2週間目に突入し、何かと「肉が食べたくて食べたくて仕方ない」という気持ちが爆発していた筆者。旅行中、野菜やパンに飽きて、思わず厚切りカット肉を買ってしまった。
「これ、いけるやろ!どうせ焼くだけやし、フランスパンと一緒に食べれば満足できるやろ」と、完全に浅はかな計算で購入。
「ま、いいか!安く済ませるにはこれが一番や!」と、結果的にサイコロ肉とフランスパンの組み合わせが「肉食系男子」ならぬ「肉食系旅行者」の胃袋を満たすことになる。
口に入れた瞬間、硬さにびっくりした筆者。あんなに期待していたのに、噛み応えがまるで岩のように硬くて、一瞬「これはステーキどころか、鉄板で焼いたサンダルの底か?」と思ってしまった。
頭を抱えながらも、焼き上がった肉を無理やり噛んでみる。しかし、噛めば噛むほど固さが増していき、口の中でダンスを踊る硬いサイコロ肉。
「やっぱり、酒に浸けておけばよかったかもしれない…あー、1日くらい寝かせておけば、もう少し柔らかくなったんだろうか?」と後悔しつつ、次回からは肉の下ごしらえに少し工夫をする決意を固めたのであった。
旅行者はぼったくりに注意
次の日は、まず凱旋門まで足を運び、そこからエッフェル塔まで優雅にパリの街並みを散歩するという、まさに「これぞ観光!」な王道ルートを踏破する予定であった。
だがその前に――我々には腹ごしらえという極めて重要なミッションが残されていた。
そう、パリといえばパスタ(←全イタリア人、ここで憤死)
特にパスタの中でも筆者が魂を捧げるメニューがある。
それが、カルボナーラである!!!
パリの街角で見つけた、ちょっとオシャレで陽気なレストランに突入し、筆者と親友それぞれ別々のパスタをオーダー。
ちなみに筆者は当然カルボナーラ一択。信頼と安定の黄金ソース。
筆者のカルボナーラ28ユーロ(約4,500円)、親友のトマトソースパスタ27ユーロ(約4,300円)。
で、いざ食後。満腹で「おいしかったな~」とほっこりした空気のままレジに向かうと――
店員「お二人とも28ユーロです(にっこり)」
筆者「(あれ?あいつのメニュー、確か27ユーロって書いてなかったか・・・?)」
親友「ちょっと待って」
親友の目が光る。まるで伝説のポケモンを発見したトレーナーのように。
そして静かに口を開いた。
さわ「は、ありえんやろ。おれ闘うで?」
キターーーー(゚∀゚)ーーーー!!!!
彼は臆することなくレジに直談判。1ユーロの違いを問い詰める。
普通の旅行者なら泣き寝入りする場面。
むしろ「海外旅行ってこういうもんだよね~」と苦笑いで済ませてしまいがちだ。
だが、ヤツは違った。
彼のその瞳はこう語っていた――
「たとえ1ユーロでも、うちの冷蔵庫には何か買えるんや……」
店側は最初こそ「いやいや」とごまかそうとしていたが、彼の粘り強さと、根拠ある主張により最終的には「やっぱ27ユーロでいいわ」という結果に。
ちなみに筆者の予想では、あの1ユーロは完全に観光客価格として上乗せされた「なめプ税」であった。
油断してたらいつの間にか財布から抜かれる、パリの洗礼である。
――だが今回は違った。
やつが勝ったのだ。
「ちくしょう、立派になりやがって(´;ω;`)」
店を出る時に筆者がポツリ。
「ジャパニーズをナメるなよ。」
エッフェル塔は自分の足で登る
さて、パリに来たら絶対に外せないスポット、そう――エッフェル塔である。定番中の定番である。もはや「行ってない」と言えばパリに行ったことを取り消されそうなレベルである。
ということで、我々もまずは遠近法ごっこを一通りこなす。塔をつまんだり、押さえたり、抱きしめたり。もう修学旅行生かと言わんばかりのノリである。
そしていよいよ塔の足元へ。するとそこには、まるでディズニーランドの新アトラクションかと思うような行列が。
「ちょ、おま、これチケット買う列、塔の一本の脚から始まって、対角線の反対側の脚まで続いてるやん……」
文字通り、塔を半周する大行列である。もう見ただけで体力を吸われる。
(出典:ビール好き女子が海外を行く!!ぷはぷは旅行ブログ – FC2)
↑まさにこんな列が対角線の端っこまで伸びている。
エッフェル塔の価格リストを見てほほ笑む筆者。
「え、自分の足で登ったら安いん?…よし、それなら登る!11.50ユーロで自力登頂コースや」
もちろん「2階」といっても、あなどってはいけない。
これは日本のマンションで言うところの「2階」などではなく、地上116メートルまで自力で登る本気の2階である。つまり、階段で東京ドームを登るような感覚である。
だがしかし、いざ登ってみれば案外イケる。そんな時は「笑顔でフランスを登ってるんや」とポジティブに脳内変換することをおすすめする。
上からの景色はもう絶景。パリ市内を一望できるこの感動は、苦労して登った者にしか味わえないご褒美である。
ちなみに、パリ市内を見下ろす中で、ひときわ異彩を放つ高層ビルがあった。
そして心の中で叫ぶ。
「あれやん、あの背高いやつ、ほんまはあそこに泊まる予定やったんやって!!!
いや、ほんまやって!!信じて!!!」
一棟だけずば抜けたパリのハイアットリージェンシーを直前でキャンセルした
2015年に入って間もない頃のことだった。我々はパリ滞在中の宿を探していた。
例によってBooking.comを開き、滞在地検索ボックスに「パリ」とだけ打ち込み、検索ボタンを押す。パリのホテル相場など知らない我々は、とにかく「安くて良さげ」に全振りして画面をスクロールしていた。
その時、画面の中に異彩を放つ68%割引の文字が飛び込んできた。目を疑った。パリという街で68%オフ。普通に考えてこれは詐欺か地雷のにおいがする。
しかし、タップして表示されたホテルの名前を見て驚愕した。
『ハイアット リージェンシー パリ エトワール』――世界的高級ホテルチェーン、あのハイアットである。
さらに言えば、「ハイアットリージェンシー・パークハイアット パリ・ヴァンドーム」なんて超絶ラグジュアリーホテルも系列にはある。そこと比べれば確かにランクは下がるが、それでも我々のような旅するチンピラにとっては、まさに夢のような話だった。
しかもそのお値段、割引後でなんと一泊60ユーロ、日本円で約7,800円。しかも素泊まりとはいえ部屋はキングサイズ。
うぉぉぉぉぉぉぉ、キングサイズやてぇぇ!!!パリでハイアットやでぇぇ!!!
もうその日のテンションはマックスである。地上数十階からパリの夜景を眺める自分を脳内で再生しながら、即予約。
だが、夢には必ず終わりが来る。
覚めない夢などこの世にない。
数日後、親友から衝撃の一言。
「やっぱその値段払うなら、違うことに使いたい……キャンセルしてええ?」
ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?!?!?
あまりの衝撃にエッフェル塔のてっぺんから落とされた気分である。
こうして幻の「ハイアット・リージェンシー パリ・エトワール」は、まさに幻のまま――泡のように消えていったのである。
押し売り
ヨーロッパ、特にパリやローマといった大都市では、「押し売り」という名の伝統芸能に出くわす機会が非常に多い。
これは差別でも偏見でもなく、単に筆者の目と耳と肌で実際に体験した事実であるが――その大多数を占めるのは黒人の男性たちである。
エッフェル塔の下では、そんな黒人のおっちゃん達が鉄の丸いリングにエッフェル塔のレプリカをびっしりぶら下げ、さながら歩くエッフェル塔ショップと化して観光客に近づいてくる。
押し売りのおっさん
「Hey, three euro each!! Two for five euro!! Three for seven euro!!!」
……うるさい。どこから持ってきたんだその価格設定。
我々が「No thanks」と断ってもお構いなしに、ずーーーっと横に張り付いてついてくる。エッフェル塔の高さに比例してしつこさも比例しているのではと思うほどだ。
そこでこっちも遊び半分で反撃してみた。
筆者「OK OK、3 for 7 euro? Hmm… How about… 3 for 5 EURO!!Come on!!」
おっさん「No no no, come ooooon~~~!」
てめえらの言い値では買わなねーよ。
そんなやり取りを何回か楽しんだ後、帰り際に地べたでまったりと営業していた、押し売らない系のおっさんからちょいと値切って購入。ちなみに彼は無言で首を振ったあと、そっと1ユーロ値下げしてくれた。プロである。
おそらくこのブログを読んでいる中に、「え、私これもらったやつかも…?」と思い当たる人もいるだろう。そう、それだ、それである(↓参照)。
筆者「裏側ばらさん方が良かったかな……(笑)」
とはいえ、ちゃんとしたお土産屋さんで買えば1個8~10ユーロは下らない代物。3個で6ユーロでゲットできたなら、むしろ「優良押し売り案件」とすら言える。
これからパリに行く予定の諸君には、ぜひ一度体験してみてほしい。押し売りのおっさんとの値段交渉は、異文化交流の一種である(※ただし自己責任で)。
※ちなみにスペインのバルセロナにあるサグラダファミリア前で風呂敷を広げてマグネットを1ユーロで売っていたおじさんがおり、筆者がそのマグネットを手に取りどれを買おうか迷っていたところ、突然「ヘーイ、ポリース」と叫ぶ男が現れ、全て没収されていた。
筆者はスルーされたが、売っていた男は私服警官2人にどこかに連れ去られていった。結局そういう違法に小金を稼ぐ奴らは税金を払わないので周辺住民にとっても大迷惑なのである。
温かいシャワーは・・・?
エッフェル塔からの帰路。心地よい疲労感と共に、我々は宿に戻った。
「また同じベッドで寝るのか」と鳥肌が立つのを必死に抑える。
そしてまず親友が先にシャワーを浴びる。鼻歌でも聞こえてきそうなご機嫌な様子で、のぼせ気味にバスルームから出てきた。
「ほな次おれ浴びるわ〜」
なんの疑いもなくシャワールームに突入。
そして――
「…ん? ちょ、冷たっ!!!!」
そう、お湯が出ない。完全なる氷の抱擁である。
まるで冬の北欧サウナ後の川ダイブの如き冷水。むしろこれはパリジャン流の冷却スパなのか?
親友に文句を言うと、笑いながらこう言った。
親友「いや〜、おれがお湯使い切ったかもしれん(笑)」
はぁぁ???
大都市パリにおいて、まさかのお湯切れである。都市インフラの限界か、それとも宿の節約モードなのか、真相は闇の中。
結局、筆者はパリの夜風に震えながら、歯をガチガチ鳴らしつつ冷水シャワーを浴びる羽目になった。
「3月初旬でこれは試練やろ……」
海外に来ると、こういう旅の洗礼みたいなことが本当に起きる。
不思議と記憶に残るのは、こうしたトラブル系だったりする。
無学のルーブル美術館=行く意味無し
翌朝は、パリ名物・フランスパンとスクランブルエッグ(我が家ではぐちゃたまと呼ぶ)でささっと朝食を済ませ、戦闘態勢を整えてルーブル美術館へと突撃した。
あのルーブルである。あの、世界最大級の美術館である。
……が、率直に言おう。
どう楽しんだらええんや、この美術館。
一応調べてみる。カチカチポチッと。
ルーブル美術館
フランス,パリにある国立美術館。正式には Grand Louvreといい,ルーブル宮殿の大部分を占める。フランス王室のコレクションが中心で,フランス・ルネサンスの父と呼ばれたフランソア1世の時代に基礎がおかれ,ルイ13世,ルイ14世,宰相ジャン=バティスト・コルベールらによって積極的な収集活動が行なわれた。これらのなかにはイングランド王チャールズ1世のコレクション,イタリア美術の最高の収集品とされたマントバ公のコレクションも含まれている。フランス革命後すべての王室コレクションは没収されてルーブル宮殿に移され,1793年国立美術館として一般に公開された。ナポレオン1世も美術品の収集に関心を示し,征服した国々から多くの名品を戦利品として持ち帰り,そのためにルーブルは一時「ナポレオン美術館」と呼ばれたほどであった。これらの戦利品は・・・
(コトバンクより抜粋)
・・・。
(これわかる人いんのか?)
ルーブル美術館‐名前は超一流。世界的な知名度。映画にも出てくる。だが、その実態はというと、入った瞬間から頭の中が、
(・・???????
となる。
おー
ふむ
ふむなるほど
ほう
でかい石像、なんか長い絵、でかすぎる壺。
エジプトっぽいのからギリシャっぽいの、宗教画から天井画まで、なんでもござれのカオス空間。情報量が多すぎて脳が処理を放棄する。
ルネサンス、バロック、ゴシック、ロマネスク。
……季語は無いけど俳句っぽいと思ったのはたぶん世界で私だけだ。
だがしかし、感動という名のオーラは降ってこない。
なぜなら、審美眼ゼロだからである。
今にして思えば、2019年末にようやく西洋建築の魅力を理解した私は、当時、まさにただの“無学な旅人”であった。
美術知識の予習ゼロ、ぶっつけ本番、完全なる丸腰での突入。
これはもう、東京ドームに裸で突入するようなものである(たとえが意味不明だが気にしない)。
このブログを読んでいる賢明なる読者の皆様には、声を大にして言いたい。
西洋美術館に行く前には、ガチで本を読んでおけ!!
せっかくのルーブルも、予習無しでは「高い入場料払って、ほう、でかいな〜って思って帰ってきた」だけになる。
……とはいえ、その入場料が12ユーロ(約1,800円)だったのは正直驚いた。
もっと5,000円くらいすると思っていたので、値段を聞いた瞬間、レジ前で
「え、やっす!!!」
と叫んでしまった。
さて、そんな私たちでも唯一、興奮した作品がある。
それがあの──言わずと知れたモナ・リザである。
ルーブルに入ってからずっと静かだった親友が、モナ・リザを見た瞬間、急にスイッチが入った。
なあなあ、この絵ってな、もし値段がつくとしたら、いや、値段は付かへんねんけど、そりゃもう天文学的な価値なんやで?
そもそもな、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたっちゅうてやな…
と、急に知識を披露し始めた。
(コイツ薄い知識でよう喋るわ)
と思いつつも、予習してきてるだけ立派である。無知で突入した筆者より100倍偉い。
興奮してペラペラ喋る親友を横目に、筆者は一歩引いて見ていた。
だが、ここで終わらないのがルーブルである。
次の瞬間、我々の前に現れたのは──
モ、モアイ像!?
まさかの南米代表、イースター島のあいつである。
しかも小学生の頃に教科書で読んだような、「実は顔の下に超巨大な胴体が埋まってる説」のモアイそのものである。
「え、君、なんでここに?」
完全にノーマークだったため、パリでモアイに出会った時の驚きは、フランスパンにタピオカが詰まってたくらい衝撃だった。
そう、ルーブルとは「西洋美術の粋を集めた空間」などという生易しい存在ではない。
全人類の文化遺産を豪快に詰め込んだ、もはや“芸術のコロッセオ”である。
だからこそ、行く前にガイド本を読むべきである。
さもなくば、あなたも我々のように
「おー、ほー、ふむ、なるほど〜」
と言いながら、30分ほど歩き回って、最後には
「なんかすごかったわ(←何がとは言えない)」
という感想で終わることになるだろう。
それでも、モナ・リザとモアイがいる美術館って、冷静に考えて凄すぎる。
──以上、無学なチンピラ二人によるルーブル探訪記である。
凱旋門は上に登れます!!!
ルーブル美術館を出た瞬間、筆者の頭に浮かんだのはこの一言である。
「おれらよりルーブル美術館の滞在時間短いやつ、世界に存在せんのちゃうか」
入館から退館まで、まさかの30分。
もはや入館料12ユーロは「入場したという事実」に対する課金だったと言っても過言ではない。
だが気を取り直して、次なる目的地は凱旋門。移動手段はもちろん徒歩。ここパリでは「徒歩こそが旅の醍醐味」なのである。
- エッフェル塔
- ルーブル美術館
- 凱旋門
これらは全て徒歩圏内にある。
ざっくり言えば、ルーブルから凱旋門が徒歩1時間、凱旋門からエッフェル塔がさらに30分という距離感だ。
歩く途中、シャンゼリゼ通りでクレープを買い、公園のベンチに腰を下ろしてしばし休憩。クレープ片手に深呼吸をして、こう思った。
「おいおい、滋賀の田舎もんが今、パリの一等地で鼻から空気吸ってんぞ……人生なにが起こるかわからんよな」
記憶はあいまいだが、このあたりで「将来の夢」やら「人生観」やらを語る深めのトークをしていた気がする。パリの空気がそうさせたのだろう。
ただの散歩のつもりだった凱旋門だったが、
凱旋門は上に上ることができ、上からはシャンゼリゼ通りを一望でき、エッフェル塔も見れる
という噂を聞き付けた。
ほんまかいな、行ってきます。
事前情報ゼロだった筆者と親友、「凱旋門って上登れんの?」という疑問を胸に突入。
見えてきた!!
だがひとつ問題があった。
凱旋門は円形の車道に囲まれているため、直行で足元にはたどり着けない。つまり、地下道を通らねばならないのだ。
ここでまさかの迷走。地下道の入り口が見つからず、凱旋門の周囲を20分ほど右往左往する事態に。
最終的に正解は「オッシュ通りとワグラム通りの間」にある地下道と判明。
覚えておいて損はない。
この地下道見つけんのに20分くらい凱旋門辺りうろうろしていた。
これ見つけんのが非常にムズかった。
なんか普通の地下鉄に続く階段も多いから、気が付けばどっかの改札前。
地下道の入り口は、
入場料を払い(いくらだったかは完全に記憶の彼方)、中の螺旋階段をひたすら登る、自分の足で。
螺旋。ひたすら螺旋。永遠に続くかと思った。
明日の朝にはモンサンミッシェルに行くので、パリの最後の夜である。
ようやくたどり着いた凱旋門の屋上から見下ろすシャンゼリゼ通りと、遠くに佇むエッフェル塔。
「あー、可愛いパリジェンヌとこの景色見れたらなぁ……」
とは、なぜか思わなかった。不思議なことに。
たぶん、それは隣に親友がいたからだ。くだらない冗談を交わしながらも、どこか心は満たされていた。
男ふたり旅、悪くない。
テロの脅威を忘れていた・・・
翌朝、パリ北駅に到着した瞬間、脳内に雷が走った。
「そうや…ここは、あの事件があった国やった」
ふわふわの旅行者気分に浸っていた我々にビンタを食らわせるような、冷えきった空気がホームに漂っていた。そう、ここは世界中のニュースを騒がせたシャルリー・エブド紙襲撃事件の余韻がまだ残る、まさに「国際都市・パリ」なのである。
イスラム原理主義組織ISILがシリアで日本人2人を拘束・殺害し、「日本人は見つけ次第殺害する、悪夢の始まりだ」と恐ろしい声明を発表してから、まだ一ヵ月も経っていない。
この現実が、パリの空気に濃く漂っていたのだ。駅の警備の厳重さだけでなく、周囲の人々の目線にも、どこか普段と違う緊張感が感じられる。私が旅行者としてここにいるということが、もはや一種のリスクであるかのように思える瞬間だった。
この旅、忘れかけていた緊張感が一気に蘇る。
パリ北駅の構内には、マシンガンを肩から下げた兵士たちが無言で佇んでいた。数人ではない、もはや軍である。しかも全員、乗客一人一人をジロジロではなく「グッ」と睨みつけるような視線で見回してくる。
「いやいや、映画か!?ここ映画のワンシーンか!?」
ちょっと小走りしただけでも「ターゲット認定されるのでは」というレベルのプレッシャー。
正直、旅行者の気楽なテンションは一瞬で氷点下まで下がった。
だが逆にいえば、この物々しい雰囲気が「守られている」という安心感にもつながる。たるみ切った気持ちがこの瞬間、一撃でリセットされたのである。
我々「パリ、やっぱりただの観光都市ではないな……」
戦う男たちの背中が、やけにかっこよく見えた朝であった。
モンサンミシェルへ
それでは、世界遺産のモンサンミッシェルへ向かうことにした。
てぃーじーヴいで!!(^ω^)(どや顔
TGVとは、フランスが誇る高速列車で、ドイツのICE、日本の新幹線みたいなものだ。正直、こういう列車に乗れる瞬間って、ちょっとしたアドレナリンが出る瞬間でもある。
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