【ヨーロッパ旅行記】チェコの首都プラハ【1/10】

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2015年のヨーロッパ旅、親友と一緒に訪れたチェコの首都プラハ

美しい街並みと歴史的な建物が立ち並ぶこの都市で、私たちの旅はどんな思い出を作り上げたのだろうか。

プラハの街を歩きながら感じたこと、出会った人々、そして忘れられない出来事を振り返りながら、あの日々の思い出をつづっていこうと思う。

2015年の旅には大きく2つの懸念点が筆者の頭を悩ましていた。

➀イスラム過激派テロリストによるシャルリー・エブド紙襲撃事件

ちょうど日本を出発する一ヵ月ほど前に、ISILがシリアで日本人を監禁・殺害するという事件が発生。

ISIL「このナイフは後藤だけでなく、どこであろうと日本人を殺し続けるだろう。日本にとっての悪夢の始まりだ」

という恐怖の声明が出された中、親友とは

もしテロリストに捕まりそうになったら、自分の命優先で!逃げれるなら自分一人で逃げること、な!
下手にお互いを助けようとするのは無し。

という誓いをしてから日本を発ったのである。

②大学留年の可能性

テロリストの話と比べるとかなりしょーもないのだが、今回の日本出国日はちょうど先輩の卒論発表会にあたっており(筆者は当時大学3年生)、これに出席してレポートを提出しないと留年する可能性があったのだ。

(飛行機のチケットを取った後に)研究室の教授に一応ヨーロッパ旅の相談をしたのだが、「そんなん君の都合やろ?ぼくは知らんよ」と突き放され、結局「航空券をキャンセルするか留年覚悟でヨーロッパか…」という、まさに人生の重大選択を迫られる羽目に。

筆者、迷わず卒論発表会ぶっちしました!!

結局、帰国後に教授たちの前で一世一代の大謝罪会見を開きなんとか留年回避、卒業までこぎつけたものの、ヨーロッパにいる間、心の中で「本当にこれでよかったのか?」という葛藤と戦いながら旅を続けていた。

毎回「あ、今日も留年のことを思い出しちゃった…」って感じだったのだ。

まぁ、それでも、最終的には「ヨーロッパ行っておいて良かった!」と心の底から思えたので、この冒険を通して得たものは大きかったと言えるだろう。

それでは、筆者のヨーロッパ滞在記、どうぞお楽しみくださいませ(∩´∀`)∩

プラハ滞在記

プラハはチェコ共和国の首都で、地理的にはオーストリアやポーランドとともに「中欧」に位置する都市である。

中欧という言葉が指すのは、ヨーロッパの中心部にある、歴史的にも文化的にも重要な地域で、プラハもその例に漏れず、長い歴史と深い文化を持つ街です。

街の美しい風景や歴史的な建造物に触れるたびに、この都市の持つ独特の魅力に引き込まれていくこと間違いなし。

さあ、そんなプラハに足を踏み入れる準備はできただろうか?

日本出国

勝手に卒論発表会を休むという、留年の可能性を秘めながらも、2月23日の夜には親友と関空近くのカラオケで盛り上がり、翌未明には関西空港に到着した。

目的地はチェコの首都、プラハ!!

さあ、出発の時が来た。

背中に重たい卒論のことを抱えつつも、とりあえず心は自由。

1ヶ月間のヨーロッパ旅が始まろうとしている。

とはいえ、去年のバックパッカー旅で痛感した、日本食のありがたみを思い出し、少しだけその「恋しさ」に思いを馳せながら、出発直前にふと1年前の自分の投稿が頭の片隅に蘇った。

世間「ヨーロッパ行ってまで日本食食べてんじゃねーぞ!
たった一ヶ月くらい白米なしでもいけるっしょ( ̄Д ̄)ノ」

…はい、僕もこういう時期がありました。

ドイツ ミュンヘン

(2014, 5th Feb)

「そりゃ毎回こんなん食べてたら嫌になるわ」、と今でも思い出す。

その時の投稿を見返すと、まさに日本食への渇望が溢れ出ている自分がいたわけで、そんな自分に向かって「本当に毎日これを食べてたんだな?」って感じだった。

まあ、旅先では日本食がなかなか手に入らないのも仕方ないし、ヨーロッパで自分の食欲を満たすためには現地の料理に慣れるしかない。でも、そんな中でもどうしても恋しくなるのが、あの香ばしいご飯や味噌汁たちである。

プラハに到着する前に、心の中で「今回は一ヵ月乗り切るぞ!最後の最後まで日本食は食べないぞ!」と心に誓った筆者であった。

セキュリティエリアでゴツイ保安官数人に囲まれた親友

チェコ プラハ

とりあえず関空から飛行機に乗り、数時間後、中継地のドイツ・デュッセルドルフ空港に到着。

親友が「ちょっと外に出たい!」と言い出したので、なんの前触れもなく空港の外にGO!

ヨーロッパ初のセルフィタイム(←22歳、こういうのにはこだわりがある)。

空港の自動ドアを出ただけで、まるで世界一周してきたかのように満足気な顔をしている親友。

まあ、何も特別なことはないけど、ちょっと嬉しそうである。

しかしここからが本番!

次はプラハ行きの便に乗るためにセキュリティゲートで再チェック!

セキュリティゲートなんて「いつもの流れ」と思っていたのだが、なんとここで予期せぬハプニング発生!

筆者は「セキュリティゲートで荷物チェック~♪」と自信満々に荷物をベルトコンベアに流す。ところが、筆者の後ろから聞こえてきたヴィィィィィィィという奇妙な音。

まさかの展開!振り返ると、親友がセキュリティゲートで引っかかっていた…。

親友は何も悪いことはしていないと思ってる様子で、軽く「あれ?」って感じで立ちすくんでいる。
どうやらポケットの中に怪しげなものを隠し持っていた模様。

筆者「え、ポケットになに入ってんの?」と普通に聞くが、周囲にはもちろん日本語は通じない。そして親友が「なんか入れてたっけ…」と言いながらポケットをゴソゴソ触り始め、突然、「え!!ヤバいヤバいヤバい!」とパニック気味になったのである。

謎のアジア人2人が意味不明な言語でゴニョゴニョ話していたのが怪しいと思われ、ゴリラみたいなセキュリティが3~4人集まり、逃亡阻止のため親友を取り囲み始めた…!

もう、完全に映画のワンシーン。セキュリティが「おおー!こいつ、何かやらかしたな!」って感じで騒ぎ始め、周りのスタッフも乗客も親友のポケットに目が釘付けに。

セキュリティが再び検査をすると、やはり探知機がピーーーっと親友のポケットに反応した。

初海外でパニックになった親友がそのポケットの小物をあろうことか、筆者に渡そうとしてきたのだ。

その瞬間である。

セキュリティの一人が(ドイツ語で?)何か大声で叫び出したのだ。

雰囲気的には

セキュリティ
おおーーい、犯罪者捕まえたった!!おっしゃー、麻薬の密輸かなんか知らんけどこいつ危険人物やーーー!

みたいな感じある。

世にも恐ろしいことに、ゴリラみたいなセキュリティがさらに3~4人も集まってきて親友を取り囲んだ。

筆者「いや、マジでおまえ何持ってんの?」

結果から言うと奴のポケットにあったのは大人のエティケット『妊娠予防アイテムの近藤さん』だった。

※なぜ持っていたかの詳しい説明は省略するが、ドイツには『FKK』という有名な施設(=男性にとっての楽園)があり、そこで使う予定のものを楽しみ過ぎて日本出国からポケットに入れていたようである(爆笑

結局セキュリティに囲まれて、周りの人も

「あいつ、なに隠し持ってたんや((((oノ´3`)ノザワザワ」

とヒソヒソと話している中、ポケットの中身を「ほら、これっす…」とそっと出したのである。

モノ自体はセキュリティしか見ていなかったので、何が出てきたかはその場の人々にはわからず、少しの沈黙が続いた後、ようやくセキュリティが一言。

「よし、行け。」

どうやら近藤さんのジェル状成分が水分として反応してしまったのだろう。

初日から野宿

なんやかんやあったが、16時頃にプラハに到着したヾ(≧▽≦)ノ

懐かしのプラハ!
そう、1年前にも訪れたあの美しい街、あの石畳の道を踏みしめたあの感動を再び味わえるなんて、もう胸アツ過ぎる。

出国前、目的地を決める際に親友に、

「大丈夫、おれはプラハの地理も完璧にマスターしてるから!」

と、まるで自分がプラハ市内の観光ガイドでもやってるかのように自信満々で言い放ったことが、まさかのフラグ立てになるとは。

一年前にたった2~3日滞在しただけの外国人が…。

16時過ぎにプラハ空港に到着し、順調に進んで17時には中心地に到着。

ホステルのチェックインは23時、

「まだ6時間もあんのか~、これ余裕でしょ。歩きながらプラハの美しさを満喫しつつ、ホステルも秒で見つけたるわ」

と完全に調子に乗っていた筆者。

まさか23時までホステルが見つからず野宿するなんて微塵も思っていなかった我々である。

結局ホステルの受付終了時間に間に合わなかったのだが、その理由は大きく分けて3つあると思われる。

  1. 筆者が写真を撮り過ぎていた(25%)
  2. 親友がタバコ吸うのがとにかく多かった(20%)
  3. ホステル自体、看板が出ておらず非常にわかりにくかった(55%)

友人や恋人と海外旅行をする人は是非気を付けて頂きたい。

筆者が写真を撮り過ぎていた(25%)

この当時、まだ一眼カメラなんて高嶺の花。

そんな中で筆者が頼ったのが、スマホに入れた「プロカメラ」なるアプリ。しかも無料版では満足できず、まさかの課金。

「これで俺も今日からプロや!」と謎の自信を抱えて日本を出た。

さらに、某ネット通販で買った気色悪いタコ足三脚。くねくね自由に曲がって、どこにでも巻きつけられるアレ。
「これさえあれば夜景も余裕やろ」と、なぜか満面のドヤ顔でスーツケースにIN。

ただ、色々バタバタしてて、日本での事前練習はゼロ。
おれは実践主義なんや」と謎に自分に言い聞かせながら、現地でいきなり本番突入。

プラハの街で筆者はひたすら手すりに巻きつけたり、石畳の上に置いたり、銅像の膝の上にそっと乗せたりと、まるで撮影に命を懸ける男みたいなムーブを連発。

が、しかし。

チェコ プラハ

努力とセンスは必ずしも比例しないことを証明するかのように、出来上がった写真がこちら。

なんというか…
暗い!ブレてる!謎のフレア!

旅先で「練習は大事」ってことを痛感した瞬間だった。

親友がタバコ吸うのがとにかく多かった(20%)

親友、当時の筆者にとっては「ヘビースモーカー界の頂点」に君臨する存在だった。

今でこそ本物のチェーンスモーカーを何人も見てきたので「あぁ、あれはまだ前哨戦だったな」と思えるが、当時はほんまに衝撃だった。

「は?またぁ??いやいや、さっきも吸うてたやん!どんだけタバコ休憩すんねんワレコラァ!!」

と思わず関西弁強めになるくらい、宿探しの合間も吸う、坂道上ってゼェゼェなったら吸う、橋渡って吸う、信号待つ間に、信号渡ってから吸う。

まるで「地球が回るたびに一本吸ってます」みたいなリズムで、タバコを吸っているのだ。

「いやお前ほんまに登山好きなんか?坂道で即タバコって、体力の自己破壊してるやん(呆)」

とツッコミたくなるのだが、まあそこは親友である、口には出さず写真撮って時間を潰していた。

この頃にはもう、「親友がタバコ吸い出したら3分の自由時間」と脳内で割り切っていた。

旅って、歩くより立ち止まる方が多かったりするんです(主にニコチンのせい)。

ホステル自体、看板が出ておらず、めっちゃわかりにくかった(55%)

いやもうほんまこれですわ。

一番の原因?そんなもん、「写真撮り過ぎ」でも「タバコ吸い過ぎ」でもない。

ホステルが隠れミッキー並みに見つからへんかったことっすわ。

プラハ城のふもと、ド真ん中の観光エリアにあるくせに…看板なしってどーゆーこと!?

「中心地やし余裕やろ~。目立ってるやろ~。」と完全に舐めていた。どんなトラップ?

しかも、上のストリートビュー(2021年6月9日現在)では確かに「HOSTEL」って書いた看板が出ているが、2015年当時はそんなもん1ミリも無かったのである!!

壁も無口、ドアも無言、何ひとつ語りかけてこないのに、そこが目的地。

「おまえ…本当に宿なんか…?ただの石造りの建物ちゃうんか…?」

疑心暗鬼の中、近くの通行人にも英語で聞きまくり。

ある韓国人の二人組なんて、なんと15分くらい一緒に探してくれたのに結局見つからずである。

「もうあかん…親切な人の時間までムダにしてしまった…」

って罪悪感すら芽生えてきた頃。

欧米って、

「通りの名前が住所そのままやから、番号さえわかれば簡単に見つけられるよ~」

って、誰かのブログで読んだ。

「はいはいヨユーっしょ。数字追ってけばええんやろ?GPSもあるし」

って思ってた自分を5時間前にタイムスリップして殴りたい。

Hostel Little Quarter、マジで一筋縄ではいかぬ…!

あれはもう、ロールプレイングゲームの隠し扉みたいな存在だった。

Cosy hostel located near the Prague Castle…

トラブルは旅の醍醐味

結局、ホステル発見したのは23時05分。

はい、受付終了5分オーバー。アウト。

「いや、5分くらい待ってくれててもええやん…人情とかないん…?」

そう思いながら、扉をガンガン叩いていた。

筆者、半泣きで叫ぶ

「イズ エニワン ゼアーーーーー!!!(魂のシャウト)」

返事なし。受付は真っ暗。完全に無人。

「え、無人島ってこういう気分…?」

とりあえず30秒ほど叫び続けても誰も来ないので、一旦冷静に。

そしてその場に座り込んで落ち込む筆者。
その横で親友は相変わらずスパスパやっている。

「…ほんまにこいつ肺あるんか?」(もう呆れすぎて心の声もカラカラ)

しかし、旅はトラブルがあるから面白いのである。

落ち込んでいるばっかりではダメだ!前を向いて歩きださないと!

トラブルは旅の醍醐味!

これを待っていた!

ホステルで寝れない?それがどうした!

24時間営業のレストランか何かに入って朝の7時まで過ごせばそれでいいんじゃないのか?

よし決まった、疲れているだろうが歩け

自分を鼓舞する。

「歩け、歩くんや俺たち。寝床より今は、椅子!」

と、2人で夜のプラハを彷徨い始めました。

レストランはほとんど閉まっていたが、奇跡的に一軒見つけることができた。

そして運命のレストラン、奇跡的に1軒だけ営業中の店を発見!

親友、メニューをチェックしながら超真剣。

「ここで朝までおるなら、ちょっと豪勢にいったろ♡」

と、ビール、ステーキ、サラダにデザートまで頼んでお祭り状態。

「このビール、今までで一番うまい気がする(涙目)」

なかなかのお金を使ってしまった。

しかし注文から10分後、店主が静かに近づいてきて一言。

「あと10分で閉店ですけど…」

時、止まる。

「…え、うそやん?」
「閉店時間あるならちゃんと書いといてくれんと!?(また人のせい)」

レストランで豪遊して、わずか20分で追い出される日本人バックパッカー2人組。

宿も無い、レストランも追い出された、外は真冬のプラハ。

「え、これほんまに旅の醍醐味…?(震)」

地獄の1日目、ついにクライマックスを迎えるのであった。

冬のプラハで野宿を決心する

もうね、こうなったら人間ね、頭を働かすのがあほらしくなってくる。

空腹・疲労・寒さ・宿なしのコンボで、脳のリソースが完全シャットダウン。

で、最終的に出たアイデアがこれ↓

「……もう、見えへん路地裏で寝たらええんちゃう?」

ってなわけで、本気で野宿ベストスポットを探し始める2人。
入り組んだ細道に入り、ゴミ箱とレンガの隙間にワクワクし出す22歳ふたり。

「ここや!ここの隅っこやったら、風も当たらんし、誰にも見られへん!」

しかし、その時ふと視界の端に何かが。

街のインフォメーションセンター(info)。

よく見ると、室内灯がうっすら点いてて、中では誰か作業してる様子!

(……いやいや、そりゃ室内の方がええに決まってるやろ)
(てかこの寒さ、ほんまにヤバいって。ジャケットの意味ゼロやし)

意を決してインフォのドア前に立ち、声をかける。

え、えくすきゅーず みぃぃぃ

ドアの向こうのスタッフ、びっくり顔。

「We… have no hostel… no hotel… just two cold backpackers… sleep here… maybe… please… just floor… ok…?」

※通じてたのかどうかは不明


上は吹き抜けで非常に寒い

15秒後

交渉、秒で決裂。

「ノーノーノー、それはちょっとダメ。
でも、前のテーブルと椅子は使っていいよ(ニッコリ)」

(うわ…やさしい…けどちゃうねん…中に入れてほしいねん……)

こうして、人生初の「プラハのインフォ前野宿」が確定した。

その場でタバコをくゆらせる親友。
冷えた石のベンチに座る筆者。
カバンを枕に、星空を見上げてこう思った——

「これが、自由ってやつかもしれん」

ーー旅はまだ始まったばかりである。

しかしスタッフ「温かいお茶を入れたげるからこれでも飲んで元気を出して!」。

ありがとう、ありがとう、ありがとーーーー

そうして温かいお茶を入れてくれ、そのスタッフは帰った。

親友と2人で温かい緑茶を飲む、体だけでなく心まで温めてくれる美味しいお茶だった(しみじみ)

筆者の右後ろにうっすら映っているのが、あの伝説の「プラハInfo前」

まさかここが本日の宿になるとは、誰が想像しただろうか。

見た目は普通の観光案内所。でも我々にとっては、まさに命のテーブルと椅子

正直な話、クッソ寒い。

風はあんまり吹いていないが、なぜか体の芯が凍る。
なぜならここ、上が完全に吹き抜けだからだ。

もう天井っていう概念がない。空しかない。空と冷気しかない。

「宇宙って、こんな感じなんかな…(遠い目)」

まあでも、場所自体はけっこう奥まってて、通行人の目に入らないのが唯一の救い。
人目を気にせず野宿できるって、もはや贅沢なんちゃうかと錯覚すらする。

…と思ってたのだが。

当時、親友と話しながら出たこの不安。

「なあ、もしさ…こっちの不良に寝てるの見つかったら…」
「ホームレス狩り的なんで、ボッコボコにされるんちゃう?」

真夜中のプラハ、石畳の隅っこでビクビクする日本人ふたり。

旅に出るって、こういうことやで。

(このあと誰にも見つからず無事に朝を迎えた。神に感謝しよう。)

恐ろしや~恐ろしや~

ちなみに、もし現在の筆者が当時とまったく同じ状況に置かれたとしたら——さすがにもうちょっと『経験値』を活かすだろう。

まず、なるべく人通りの多い場所を選んで、堂々と野宿の準備を始める。
(←この「堂々と」ってのが意外と大事)

で、あとは警察か、親切そうな市民が近づいてきて言うわけですよ。

???
「ヘイ、ユー。お前どうしたんだ?」

そこですかさず、落ち着いたトーンで状況を説明。

「実は…ハアハア…今日の宿に…ハアハア…間に合わなかったんです…ハアハア
明日の朝には予約があるので、それまでどこか安全な場所を…(目にうっすら涙)」

そして欧米の人情に訴える。ここは情熱の演技力勝負。

すると相手はこうなる。

「チッ…しゃーねーな…おれんち来るか?」

そう、人類の優しさに全ベットする戦法。

結局、筆者は一睡もしなかったが、親友はずーーっと6時半まで寝ていた。

深夜1時くらいから5時間半ずーーーーっとである。

世間「は?スマホあったら余裕やん、朝の6時半なんて一瞬やろ(笑)」

・・・と思ったそこのアナタ。

甘い!
旅ナメすぎィ!

まず言っておきたい。
Wi-Fiが無い、つまりスマホ=ただのカメラ。

「今思えば、せめてinfoのWi-Fiのパスワードだけでも聞いとけばよかったぁぁ(震)」

そうこうしてるうちに——

\ 午前6時半 /
コケコッコーーー!!!

寒さで全く寝れなかった完徹の筆者、意識朦朧の中で再起動。
親友を起こして荷物をまとめ、目指すは昨日空振った宿!

ホステル前で門が開くのを今か今かと待ち構え、7時ちょうど——

\ガチャッ/
受付のおばちゃん(?)の登場と同時に猛ダッシュでチェックイン!

「やっと…人間に戻れる…」

部屋に入ると、すでに5人ほどが夢の中。
静か〜に荷物置いて、そっとシャワーへ。

が、

ザーーーーーー
ドンドンドンドンッ
カチャ!ドテッ!ドドドン!

音、エグい。

「いや、静かにしててもめっちゃ響くねん!これ設計ミスやで絶対!」

たぶん寝てた全員起こしたのだろうが、もはや気にしてられない。

その後、7時すぎから気絶するように寝て、目が覚めたら14時。

体の芯からあたたまり、生き返った我々はついに!

プラハの町歩きがいま、はじまる。

お土産は旅の醍醐味?

起きたのはまさかの14時過ぎ。
目覚めてからも「ここどこ?」状態だったが、ようやくプラハにいることを思い出し、のそのそと支度開始。

まずは、宿のすぐそばにある土産物屋さんをぶらぶら。

以前も書いたが、泊まっていたホステルはプラハ城のすぐふもと。つまり、観光客がわんさかいるど真ん中。

店の外に置かれた謎のマグネットや、意味不明な翻訳のTシャツたちが出迎えてくれる、あの感じ。

そして、ふと目に入ったのが…
例の「ロシアのおばはんの帽子」↓(笑)

ネタで被ってみたら、意外にもめちゃくちゃあったかい。想像の3倍は実用的だったので、笑いながらそのまま購入。

で、問題はその後。

あれから6年近く経つが、この帽子を被った回数、まさかの「片手で余裕で足りる」。
それでも2018年のある日、京都で恋をしたフランス人の女の子に貸したら、これがまあビックリするほど似合ってて、「これ最初から君のだったんじゃ…?」となった。

結論、お土産は買った本人よりも他人に似合うことがある。
旅は、そういう理不尽すら面白がれるから、やっぱりいい。

ヨーロッパの冬は陰鬱?

この日は、もはや朝食という概念は存在せず、支度してまず向かったのは土産物屋さん巡り。観光地のど真ん中なので、ちょっと歩けば怪しげなマグカップや謎デザインのポストカードがわんさか出現する。

そこからは特に予定も立てず、夕方までただひたすらぶらぶら。
とはいえ、ヨーロッパの冬の日没は日本の感覚とはズレていて、16時にはもうすっかり夜。空気も冷たいし、太陽なんてほぼ「都市伝説」レベル。

プラハ城近くにて↓

薄暗さがエモさを加速させる。

ちなみに朝は朝で、8時過ぎても平気で真っ暗。光というものが存在しないんじゃないかと思う日もある。

たまに差す陽の光は、まるでやる気のない部活の幽霊部員みたいに弱々しい。

建物すら「陰影礼賛」してるレベルの風情。

…などと歩きながら考えたのは、この寒くて暗い気候こそが、あのゴシック建築(いわゆる中世の重厚建築)を生み出したんじゃないかということ。

日が短くて暗いからこそ、教会のステンドグラスがあんなに映えるし、高く尖った尖塔が空に向かって伸びる理由にも納得がいく。

つまり——
プラハの冬は、建築好きにはたまらない天気ってこと(←負け惜しみ)

西洋建築について興味がある方は是非読んでみてください
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電車が故障、乗客全員で最寄り駅まで歩くはめに

2015年2月27日午前。
我々はプラハを離れ、次なる目的地ドイツ・フランクフルトを目指して電車に揺られていた。

がったんごっとん、がったんごっとん——
6人掛けのコンパートメントで、旅の疲れからか自然とうとうと。まるで映画のワンシーンのような静かな時間。

……だったはずが、ある時ふと目を覚ますと、なぜか電車がピクリとも動いていない。

「ん?なんか様子がおかしい……」

遠くから、車内アナウンスが聞こえる。
が、おそらくチェコ語。

まるで呪文である。

「テロ……?いや、さすがに違うか?」と半分寝ぼけた頭で考えていると、ふと窓の外に目をやり、驚く。

……え、みんな降りてるやん。

おれらだけ座ってる?取り残されてる?と焦り始めたその時、車掌がドアをガラッと開けて、大声でこう言った。

「見ての通り、故障さ!さあ降りてくれ!とりあえず、最寄りの駅まで歩いてくれ!」
(聞いたことない言語だったので真意は不明)

えっ。

えええええええ!?!?
電車って、壊れんの!?
しかも「歩いてください」って、まさかのセルフ移動指示!?

どうやら、日本ではまず経験しないであろう「電車の故障」に遭遇したらしい。

海外をなるべく安く旅する方法

それでも、ただでは転ばない我々。

親友と二人、線路をトボトボ歩きながら——

筆者「おれら……Stand by Meしてるやん!!(笑)」

(When the night has come〜 ♪)

まさかの実写版スタンド・バイ・ミーごっこ開始。
線路を歩くだけで「青春だ〜!」とテンション上がりまくりの二人。まるで中学生。

写真撮ったり、歌ったり、アホほどはしゃいでいた。

……ただし、周りを見渡すと現実はなかなか過酷なようだ。

細ヒールで線路を歩いてるお姉さん。
重たいスーツケースをゴロゴロというより「ゴリゴリ」引きずってるお婆さん。
「青春どころじゃねえなこれは……」と苦笑いしながらも、結局30分ほどで最寄り駅に到着。

旅はトラブルがあってこそ、あとで何倍も思い出深くなる。

ただ、あのヒールのお姉さんとスーツケース婆ちゃんだけは、ほんとにお疲れ様でした……。

レゲンスブルグへ

ドイツ レゲンスブルグ

実はあとから気づいたのだが、我々はプラハに3泊する予定だったところを、なぜか1泊前倒しで出発していた。
なんでそうなったのかはもはや謎。寝ぼけてたのか、ノリだったのか、とにかく「よし、今日行こっか」みたいな軽い感じだった気がする。

実を言うと、行程を管理していた筆者の勘違いで「あ、今日出発や」と勝手に一泊前倒ししてしまったのである。
親友にはそのことを説明せず、二人の責任みたいな顔して旅を続行した。

そんなわけで、当初の予定にはなかった『ぽっかり空いた1泊』。
「さて、どこで寝る?」と地図を眺め、適当に決めたのが——

レゲンスブルグ(Regensburg)

……誰?

レ、レゲ……なんて読む?みたいなレベルだった。
完全に初見殺しの名前。地味そうな響き(失礼)だが、行ってみるとこれがなかなか良い町だった。

美しいドナウ川、石畳の旧市街、小さいながらも雰囲気のあるカフェ。なんだここ、急にヨーロッパ感MAX。

しかも、この「なんとなく泊まったレゲンスブルグ」という町が、まさか1年半後に大きな意味を持ってくるとは——

この時の筆者は、知る由もなかった。

(つづく)

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