本記事は中国の四川航空について紹介している。
中国の航空会社と聞いて一瞬戸惑う方も多いはず。
機内には「これより監視区域です」という謎のステッカーが…
そこで今回は、ローマから関空まで四川航空で帰った時の感想を共有しようと思う。
- 四川航空って安全なの?
- スタッフの対応はどんな感じ?
- 普通の航空会社となにが違う?
など、四川航空を利用する可能性がある方は是非最後までお読み頂きたい。
先に総評を述べる。
では先に四川航空のメリット・デメリットを紹介する。
四川航空のメリット
たまには窓際に座るのも良きですな
筆者が感じた四川航空のメリットは以下の3つ。
- 路線によっては安い
- 他の中国系航空会社よりも安全
- アットホームな雰囲気
路線によっては安い
まず、中国の四川航空をわざわざ指定して予約する人はいないでしょうから(←失礼)、この記事を読まれている方は「他の有名な航空会社と比べて格安なんだけど大丈夫?」と思ってるんですよね。
そう、とにかく安いのである。
筆者の場合も、ローマから関空の航空便を調べたところ、、、
- 中国東方航空
- 中国南方航空
- 中国四川航空
- 中国海南航空
など、中国系の航空会社ばっかり出てきて驚いた。
ANAとかJALとかカタールとかエミレーツとか出てこんかい(ーー;)
と思ったが、文句を言っても仕方ないので結果的に中国四川航空を選んだ。
他の中国系航空会社よりも安全
四川航空を選んだその理由が2つ目のメリット、他の中国系航空会社よりも安全だからである。
世界の航空会社の安全度を7段階で評価したランキング(2023年版)があり、そちらを確認したところ四川航空は一応ANAやJALなどと同じく最高ランクに位置していた(最高ランクが7)。
こちらのランキングは、
- 過去10年で墜落など死亡事故を起こしてない
- パイロットが関係するインシデントの発生歴。オーバーランなど
- IATAやFAAに認可された航空会社/国か
- コロナ対応が国際基準に達しているか。搭乗時のソーシャルディスタンスや機内清掃の頻度など
などを評価基準としており、2023年版ではあるが確認する価値はある。
ちなみにこちらのランキングでは中国東方航空はランク3で、筆者は気付かずにトルコの航空会社ペガサスエアー(ランク2)も2〜3週間前に使用していたことが判明した。
実はランク2という恐怖のペガサスエアーだった件
無知は恐ろしい。
アットホームな雰囲気
そして四川航空のメリット3つ目がアットホームな雰囲気である。
筆者は5ヶ月の娘と奥様と3人でのフライトだったのだが、中国人の乗務員が非常に赤ちゃんを可愛がってくれたのだ。
ビジネスライクと言うよりはおばあちゃん的な優しさで「赤ちゃん抱っこしていい?」と聞かれたり抱っこしたまま機内を歩き回ったり、赤ちゃんとのツーショットを別の乗務員に撮ってもらったり、赤ちゃんへの対応が優しすぎて逆に怖いくらいであった。
「この対応の様子をキンペー国家主席に写真付きで報告すればお手当でももらえるのか?」
と本気で疑っているほどだ。
四川航空のデメリット
筆者が感じた四川航空のメリットは以下の5つ。
- 機内食がマズい
- HPが中国語しかない
- 英語を話せるスタッフが非常に少ない
- 安全に対する認識が甘い
- 赤ちゃんが優先されない
機内食がマズい
まず機内食がマズい。
マズいと言うと語弊があるかもしれないので言い方を変えると、全く美味しくなかった。
2013年に初めてアメリカへ海外旅行をした時から「機内食は不味いってよく聞くけど、普通に美味しいですやん」とずっと思ってきた。
あれからヨーロッパへ8回、アメリカへ4回、その他オーストラリアやキューバやトルコ、カタールといった国々を国際線で訪れてきたが「ここの航空会社の機内食は美味しくないな〜」と思ったことは一度もなかった。
「機内食=不味いはウソ」という本まで書こうかとうっすら思い始めていた頃に、ついに現れた不味い機内食。
肝心の中身は?
基本的に機内食はチキンかビーフかを選ぶ、筆者はビーフを選択。
初めは身構えていたものの、機内食の蓋には「合格証」なる表記があり一瞬ガードを緩めてしまう。
開けるとこのような内容である。
牛肉とキャベツの炒め物的な感じだが、まずご飯とおかずのバランスがおかしい。
それに味も…お察しの通りである。
セットで付いてきた牛乳もよくわからん。
一口飲んでみると、これは牛乳ではなくただの美味しくない「飲むヨーグルト」だった。
もう一つセットで付いてきた梨っぽい果物。
梨かリンゴかと思ったらどちらでもない、ただただマズい果物だった。
これは奥様がかじったもので筆者は臭いをかいだだけで一口も食べていない。
その次のフライトで出てきた焼きそばもパスタもそうである。
申し訳ないが、やはり美味しくなかった!!!
HPが非常に使いにくい
そして中国四川航空のHPはUI(ユーザーインタフェイス)が過去一で最低であった。
ウェブサイトがまずスマホに最適化しておらず非常に見にくい。
そして日本語のページもなく、かろうじて言語を英語に変更できるのだが航空券検索ページに飛ぶので既に予約したチケットを確認することはできない。
自分の予約情報を確認するための「マイページ」的なものもないし(少なくとも見つけられなかった)、預け入れの荷物の重さなども全て中国語で書かれてある。
筆者夫婦は日本語のページがないので、Google Chromeの翻訳機能を使って日本語に変換してから確認するという作業を行なっていた。
ページを翻訳してかろうじて使用できた
とにかくHPが使いにくい。
英語を話せるスタッフが非常に少ない
ローマの空港でチェックインした際は、当然イタリア語や英語が話せるスタッフが多かった。
しかし一度飛行機に乗ると機内のFAはほぼ全員が中国人で、しかもほとんど英語が話せないときている。
※FAとはフライトアテンダントのこと、CAと同義
ビジネスクラスの担当FAですら英語がカタコト、もしくは話せない。
機内のモニター情報も中国語である
安全に関するしおりは英語も併記されていた
前述したようにFAが赤ちゃんを抱っこしたりと色々あったのだが、全て中国語で話されたので全く理解できなかった。
ジェスチャーだけで会話していたようなものだ。
それにアジア人は全員中国人だと思っているようで、初回は必ず中国語で話しかけられる。
筆者の後ろに座っていた日本人男性も中国語でペラペラ話しかけられ、「オー アイムジャパニーズ」と訂正していた。
筆者も各FAに中国語で話しかけられ、最初は自分に話しかけられていると気付かなかったくらいである。
「アイム ジャパニーズ」を連呼するフライトは初めてだった。
安全に対する認識が甘い
5ヶ月の赤ちゃんと飛行機に乗ると、マトモな航空会社なら必ず赤ちゃん用のシートベルトが渡される。
赤ちゃん用のシートベルトとは、大人用のシートベルトに赤ちゃんを固定し大人と赤ちゃんを一心同体にする道具である。
これを付けずに膝の上抱っこをすると、事故の衝撃で赤ちゃんだけ前方に吹っ飛び致命傷を負うか下手をすると死んでしまう。
しかしローマ−成都間のフライトでは赤ちゃん用のシートベルトが渡されなかったのだ。
※筆者夫婦は抱っこ紐で連結したが。
これだけでも筆者夫婦からすると「は?」という感じだが、さらに離陸直前にトンデモないことを言われた。
頭の上の収納(荷棚)に置かなければならない荷物を「足元に置かなくていいの?」「本当にいいの?」と、FAが何度も聞いてきたのである。
本来は絶対NGのはずである、緊急時に足元や通路に荷物があると避難の妨げになるからである。
(出典:飛行機内に持ち込んだ手荷物を収納できる置き場所は一般にどこか?)
筆者は逆に「え、いいの?じゃあ…」という感じだったが奥様の猛反対を食らったので結局頭上の荷棚に収納した。
さらに筆者夫婦の赤ちゃんを抱っこしたはいいが、その後片手で赤ちゃんを抱えながら頭上の荷棚の整理までしていたのだ。
危ない危ない!!FAさんがそれしたらダメでしょ!!!
これは下衆の勘繰りというものだが、筆者が見ていない間に赤ちゃんをつねったりしないかなど常に目が離せなかった。
赤ちゃんが優先されない
そして最後に赤ちゃんへの対応についてだ。
これは赤ちゃん連れでないなら無視してもらってもいいが…
四川航空は赤ちゃんに対する優先がほぼゼロだった。
筆者は今まで様々な航空会社を見てきたが、(少なくとも空港では)赤ちゃんがいればほぼVIP(ビジネスクラス)と同じ扱いを受けてきた。
チェックイン時の大行列も、セキュリティチェック時の大行列も、搭乗時の大行列も全てスルー。
エコノミーでありながらビジネスクラスと同じような扱いを受けてきた。
しかし四川航空(に限らず中国系の航空会社)は赤ちゃんを全く優先しない。
一応「これらに該当する方は職員に声をかけて」とは書かれているが…
成都空港の安全検査の大行列に直面した際、頭上の電光掲示板に赤ちゃん連れは優先されると書かれていたので列をはみ出て先頭まで行き空港職員に「赤ちゃんいるんですけど優先してもらえますか?」と尋ねたところ、
はぁ、なに言ってんの?黙って列に戻って!
と大きな声で怒られてしまった。
赤ちゃん連れを優先しない国なんて初めてであった。
成都空港でのおまけ情報
では最後に成都空港のおまけ情報を追記しておく。
成都空港に到着し「乗継ぎの方はこちら」的な案内に従って進む。
まずは意味不明な搭乗券の検査で待たされる。
もちろん赤ちゃんの優先はない。
そして空港スタッフも英語がほぼ通じない、どうなってんだこの国は。
カウンターでパスポートと搭乗券を渡すと、なにやら名前らしきものがリストアップされた紙をペラペラめくっている。
筆者夫婦の名前を確認しているのだろうか。
程なくして検査は合格、次はセキュリティチェックに入る。
ヨーロッパではこの行列も完全スルーであるが、中国では「列に戻って」で終わりである。
セキュリティチェックでは赤ちゃん用の飲み物も「液体なので捨てろ」と言われたが、「赤ちゃんのミルクが作れないじゃないか」とイタリア人奥様が激しく抵抗した結果、
じゃあ全ての液体をおれの目の前で飲んでみせろ!!
とドヤ顔で言われた。
もちろん所詮は水やお湯なので実際に中国人保安官の前で全ての水筒の液体を少しずつ飲んで危険物ではないことをこちらもドヤ顔で証明した。
その後、セキュリティチェックから最も遠い場所にある搭乗口104に向かった。
遠い、遠すぎるぞ…。
成都→大阪行きなので搭乗口を決める反日中国人の嫌がらせか?などと思いながらもなんとか搭乗口に到着。
なんと搭乗口のそばには中華料理屋さんが。
この匂い、なかなか食欲をそそるじゃねーか。
ふっ、おもしろい。
本場の中華料理ってやつを味わってやろうじゃーねか。
しかしこの時筆者は人民元と日本円の為替レートを全く知らなかった。
メニューを確認しても牛肉拉麺42人民元とか麻婆豆腐38人民元など、単位がわからなくて怖い。
仮に1人民元=50円ならラーメン一杯で2,000円以上する計算になる。
Wi-Fiを繋ごうにも成都空港のWi-FiはSMS受信が必須で電話番号を認証するのがなぜか怖かったのでやめておいた。
店員さんに日本円との為替レートがいくらかを簡単な英語で聞いても、もちろん全く理解していない。
「まあ…大丈夫やろ…。」
と謎の自信で、とりあえず麻婆豆腐大好きな筆者は「本場中国でマーボーでもいっとくかぁぁ!!」と麻婆豆腐を注文するも、
抱歉,我现在不能订麻婆豆腐。
となぜか注文を断られてしまった。
仕方ないので42人民元という牛肉拉麺を注文した。
「辛いのいける?」みたいな質問があったのでYESと言って出てきたのがこちら。
ま、まじか( ̄▽ ̄;)
なんかめちゃくちゃ辛そうである。
とりあえず食べてみるか。
・・・。
え、なにこれ めちゃくちゃ辛い:(;゙゚’ω゚’):
わりと辛いもの好きな筆者だが、日本では食べたことがないくらいしっかりと辛かった。
値段は42人民元
後日、クレカに請求が来た値段は893円だった。
よかった、内容の割に少し高いがまあ一般的な値段だった。
成都空港は思っていたよりも非常に綺麗で、正直居心地は悪くなかった。
空港館内のトイレも清潔で申し分ない。
男女を示す看板もオシャレである
また、空港内の至る所に【冷水・温水・熱湯】を自由に給水できる場所がある。
しかも熱湯は98℃ときている。
セキュリティの職員も「中に98℃のお湯もあるし冷水もある」と筆者夫婦に一言言ってくれれば良かったものを。
きっと英語が話せなかったのだろう。
あとは搭乗時間まで待つだけだ。
こうして大阪の関西国際空港に到着した。
【後日談】ロストバゲージ編
今回の旅には実は後日談がある。
ローマの空港を出発する際、飛行機に乗る直前にベビーカーを折りたたんで機内の中国人スタッフに渡したのである。
そのベビーカーにも「TO KIX」(関空行き)と書かれたタグが貼ってあったのだが、中国人スタッフは
嗯,好吧,我该怎么办呢……啊,好吧,没关系。
我要送你上飞机!
(え、あ、これはどうすれば…あ、まあ大丈夫です。
飛行機に乗せます!)
と完全にどうすればいいのかわからない反応をしており、筆者夫婦は本当に大丈夫か?と心配を拭えないままいざ関空に到着したのだ。
関空に到着したら案の定ベビーカーは届いていない。
いつまでも流れてこないベビーカーをひたすら待つ筆者
余談だが隣のレーンを見ると、関空の空港職員がスーツケースを並べていた。
こんなサービスするのは世界でも日本だけである、空港職員に感謝感謝
ベビーカーの件について空港職員に問い合わせて30分ほど経った後、
「すみません、今はどこにあるかわかりません。もしかしたら中国の成都空港に置きっぱなしかもしれません。」
と言われ、別送品申告書に記入して見つかり次第大至急送ってもらうように頼んで京都の自宅に到着した。
そして帰国して3日後に佐川急便で家にベビーカーが無事届いたのであった。
電話で事情を聞くと、やはり四川航空のスタッフが成都空港にベビーカーを置きっぱなしにしていたとのことだった。
ベビーカーを預かった経験がないということなのか、非常に未熟なFAたちである。
おわりに
成都空港でも飛行機を降りたらバスで空港まで移動する
さて、中国の四川航空について紹介しました。
安くて安全ならサービスの質はともかく今後も選択肢にはなりそうです。
皆さんの感想も是非コメント欄で教えてください。
ではまた!