この記事では、中国の空飛ぶチャレンジャー企業「四川航空」について紹介する。
「中国の航空会社?」と聞いて、思わずパスポートを握りしめて一歩引いたあなた。
その反応、正解である。なぜなら――
機内には堂々と貼られた「これより監視区域です」というステッカー。
機内には「これより監視区域です」という謎のステッカーが…
え? 監視されるの? どこから? 誰が誰を監視しているの?
情報がゼロなだけに威圧感だけは100点満点だ。
というわけで、今回は筆者がローマから関空まで四川航空で生還…じゃなかった、帰国した時の貴重な(?)体験をシェアしようと思う。
- 四川航空ってぶっちゃけ安全なのか?
- スタッフの対応はどんな感じ?
- 他の航空会社と何がどう違うの?
このあたりが気になる人は、あと3分だけ人生の時間を投資して読んでみてほしい。
四川航空の謎とロマンが、きっと垣間見えるはずだ。
では、先に総評を述べておこう。
機内食は決して「美味」というカテゴリには属さないし、スタッフの安全教育も「今後に期待」といった仕上がりだが、料金が格安であれば選択肢にはなる。
国際基準の研修を終える前に、勢いで国際線に飛び出してしまった印象は拭えないが、安ければ許すという心の広い旅人には選ばれても不思議ではない。
では、四川航空のメリット・デメリットについて、もう少しディープに掘っていこう。
四川航空のメリット
たまには窓際に座るのも悪くない。
地上から約1万メートル、謎の航空会社とともに旅をする――そんな非日常が始まる。
筆者が実際に四川航空を利用して感じたメリットは、以下の3つである。
- 路線によっては安い
- 他の中国系航空会社よりは比較的安全
- アットホームな雰囲気(良くも悪くも)
➀路線によっては安い
まず正直に言うが、「四川航空をぜひ利用したくて選びました!」という奇特な読者は、この記事を読んでいないと思われる。
おそらく、こう思って検索してきたのではないか。
「有名航空会社より3万くらい安いけど、大丈夫かこの会社…?」
その疑問、わかる。痛いほどわかる。筆者もそうだった。
そう、とにかく安いのである。
ローマから関空への帰国便を探したとき、検索結果に並んでいたのは以下の航空会社たちだった。
- 中国東方航空
- 中国南方航空
- 中国四川航空
- 中国海南航空
なんというか、「世界を股にかける大手企業たち」の影も形もない。
ANA?JAL?エミレーツ?カタール?
検索画面には一切登場せず。
代わりに、知らない中華人民共和国の地名っぽい会社ばかりが並んでいる。
これはもう“旅”というより“賭け”である。
しかし、文句を言っても空は飛べない。
予算とスケジュールに背中を押され、筆者夫婦が最終的に選んだのが四川航空だった。
だが、これが意外にも悪くなかったのである。
少なくとも価格以上の驚きはたくさん用意されていた。
良い意味でも、悪い意味でも。
②他の中国系航空会社よりは比較的安全
筆者が四川航空を選んだ理由の2つめがこれである。
「他の中国系航空会社よりは、まだ比較的安全」という消去法的メリットだ。
調べてみたところ、世界の航空会社を安全性を基に7段階で評価したランキング(2023年版)が存在する。
世界の航空会社を過去の事故事例などをもとに安全度をランキングにしました。2023年度のものを掲載しています。…
そこには各社の安全度が、数字でバッサリ格付けされていた。
現代の空の世界は、数字で生き残りをかけたリアルバトルロワイヤル状態である。
さて四川航空はどうだったかというと……
なんと、ANAやJAL、カタール航空などと同じ 最高ランク7 に属していた。
おい、まさかの表彰台か。
「本当に?四川が?あの“監視区域”ステッカーを貼ってる四川が?」と目を疑ったが、ランキングの基準を見ると以下のような評価項目があった。
- 過去10年で墜落など死亡事故を起こしてない
- パイロットが関係するインシデントの発生歴。オーバーランなど
- IATAやFAAに認可された航空会社/国か
- コロナ対応が国際基準に達しているか。搭乗時のソーシャルディスタンスや機内清掃の頻度など
なるほど。これらの基準を四川航空は一応クリアしているようである。
あくまで数字上は。
ただし誤解してはいけない。
四川航空がカタール航空と並ぶ、とは思わない方がいい。
ランキングに名前が載ったからといって、実際に同じ高さを飛んでいるわけではない。
そこはあくまで「紙の上での奇跡」である。
ちなみに中国東方航空はランク3。
さらに筆者は、この記事を書いている途中で「そういえばトルコで乗ったあの格安航空、ペガサスエアーってどうだったんだろう?」と調べてみた結果――
まさかのランク2。
2て。
死ぬか生きるかみたいな数字じゃないか。
筆者は知らず知らずのうちに“空のスリル満点ジェットコースター”に搭乗していたようである。
実はランク2という恐怖のペガサスエアーだった件
無知は怖い。
だが、知ってしまった後の事実もけっこう怖い。
➂アットホームな雰囲気
四川航空のメリット、3つ目はこのアットホームすぎる空気感である。
筆者は今回、5ヶ月の娘と奥様を連れてのフライトだった。
不安がゼロだったとは言えない。
むしろ「帰国できれば御の字」くらいの構えで搭乗した。
しかしここで、予想外の展開が待っていた。
中国人の乗務員たちが、うちの娘に対して異様なまでの親しみを見せてきたのだ。
それはもう、ビジネスライクとは真逆の、昭和のおばあちゃん的包容力。
「抱っこしていい?」から始まり、そのまま赤ちゃんを抱えたまま機内を軽快にパトロール。
他の乗務員を呼び、「ちょっとこの子とのツーショット撮って~!」と即席撮影会が始まる。
筆者が世界一の美女だと信じて疑わないNastya Kusakinaちゃんにも少し似てなくてもない…。(←普通のバカ)
いや、乗務中だよね?
セキュリティチェックとかより赤ちゃんのほっぺに夢中になってない??
親としてはほほ笑ましいことなのだが、あまりにも愛が深すぎて、正直ちょっと怖かった。
「このサービス風景をキンペー主席に写真付きで報告すれば、臨時ボーナスでも出るのか?」
と本気で考えてしまったレベルである。
だがこの人間味あふれる“過剰な親切”、嫌いではない。
むしろ、どこかホッとした。
少なくとも「マニュアル対応を完全に無視した親しみ方」という意味では、ANAやJALでは絶対に体験できない“人間力MAX”な接客である。
四川航空のデメリット
さて、夢から醒めよう。
どんな航空会社にも表と裏、光と影、メリットとデメリットがある。
四川航空も例外ではない。
むしろ、デメリットの味わいが非常に濃い。四川だけに。
筆者が実際に体験して感じた四川航空のデメリットは以下の5点である。
- 機内食がマズい
- HPが中国語しかない
- 英語を話せるスタッフが非常に少ない
- 安全に対する認識が甘い
- 赤ちゃんが優先されない
➀機内食がマズい
まず機内食がマズい。
本当に、マズい。
いや、正確に言おう。
「マズい」と断言すると語弊があるかもしれないので、言い換える。
全く美味しくなかった。
筆者はこれまで、海外旅行歴10年以上、訪れた国は40カ国を超える。
アメリカ4回、ヨーロッパ8回、その他オーストラリアやキューバ、カタール、トルコなど――様々な航空会社を経験してきたが、一度たりとも「機内食がマズい」と感じたことはなかった。
「機内食=不味いはウソ」みたいなタイトルで電子書籍でも出そうかとうっすら思い始めていた頃に、ついに現れた不味い機内食。
その甘い幻想を木っ端微塵に打ち砕いたのが、四川航空の機内食である。
肝心の中身は?
選択肢はありがちな チキン or ビーフ。
筆者はビーフを選択した。
「まぁどうせいつもの感じやろ」と油断していたところ、機内食の蓋に「合格証」と書かれているのを発見。
…合格?誰に?何に?どんな基準で?
初めは身構えていたものの、合格証のシールに一瞬ガードを緩めてしまう。
開けてみた結果――
見た目は、牛肉とキャベツの炒め物っぽい何か。
だがご飯とおかずのバランスがおかしい。
米が多いのか、おかずが少ないのか、どちらにしても“うーん”な構成。
そして、問題の味。
ひと口で悟る。
あ、これはアカンやつだ。
味が薄いとか濃いとかではない。
方向性が間違っている。
セットで付いてきた飲み物にも疑問が湧く。
紙パックの「牛乳」と思しきものを口に含むと…
一口飲んでみると、これは牛乳ではなくただの美味しくない発酵し損ねた何か、もしかすると「飲むヨーグルト」のつもりなのかもしれない。
味は謎。喉ごしは違和感。気持ちは困惑。
そして極めつけは、デザートのように添えられた謎の果物。
見た目は梨かリンゴだが、正体は不明。
フルーツに目がない奥様が一口かじったその顔を見て、筆者は即座に手を引っ込め、匂いだけで断念した。
ちなみに次のフライトでも出てきた焼きそばっぽい何かと、パスタらしき物体も、例外なくハズレであった。
これはもう、四川航空の料理長が 「旅に出るなら味は置いていけ」 という哲学を持っているとしか思えない。
②HPが非常に使いにくい
そして四川航空のもうひとつの刺客、それが公式ホームページ(以下、HP)である。
筆者がこれまで利用してきたあらゆる航空会社の中で、UI(ユーザーインターフェース)が最も絶望的だったと言っても過言ではない。
まず第一に、スマホで見ると泣けてくるほど見づらい。
レスポンシブデザインとは何か、四川航空の開発陣は知らされていないのかもしれない。
PC画面をそのままスマホに押し込んだようなレイアウトで、ボタンは小さく、文字は詰め込み気味、スクロールは謎のひっかかり。
次に、日本語ページが存在しない。
まぁこの点については「そんなもんやろ」と割り切ることも可能だが、英語表示に切り替えても航空券検索ページに飛ばされるという罠が待っている。
「ちょっと予約内容を確認したいだけなんですけど」
→ デフォルトが中国語
→ 言語で英語を選択
→ チケット買う?(ドヤ顔)画面に飛ぶ
→ いや、買ったって言ってんだろ!
という堂々巡りが始まる。
さらに、「マイページ」的なものが見当たらない。
あるのかもしれないが、筆者が見つけられなかった以上、それは“存在していない”のとほぼ同義である。
最終的に筆者夫婦はGoogle Chromeの翻訳機能を駆使し、「翻訳 → 意味不明 → 推測 → 再翻訳 → 疲労」という壮絶なデジタル格闘を繰り広げながら、ようやく情報にたどり着いた。
ページを翻訳してかろうじて使用できた
預け入れ荷物の制限なども、すべてが中国語。
イタリア人奥様には「まあ中国語=漢字やから、翻訳しなくても日本人はなんとなく内容を理解できるんだぜ」とドヤってしまったが、想像以上に何もわからない。
とにかく、使いにくい。
機内食は“味”の問題だったが、こちらは“設計”の問題である。
四川航空のHPは、ユーザーの忍耐力と検索スキルを試すサバイバルフィールドであると心得よう。
➂英語を話せるスタッフが非常に少ない
これは、国際線としてはなかなかスリリングなポイントである。
筆者はローマの空港でチェックインした際、当然ながら英語またはイタリア語を話せるスタッフに対応してもらった。
ここまではごく普通。何も問題はない。
むしろ「スムーズな旅の幕開けだ」とすら思っていた。
しかし。機内に一歩足を踏み入れた瞬間、その「言語の快適空間」は突如として崩壊する。
機内のフライトアテンダント(以下FA)は、ほぼ全員が中国人、そして英語が話せない。
いや、正確に言えば、「話そうとする意志は感じるが、内容が入ってこないレベル」である。
それはビジネスクラス担当のFAですら例外ではなかった。
これが四川航空流・ホスピタリティである。
こちらはほぼジェスチャーと表情だけで乗り切る国際線。
まさにサバイバル。
気分としては、「異世界転生して最初に出会った村人と頑張って意思疎通を図る勇者」に近い。
機内のモニター情報も中国語である
さらに、機内モニターの表示もすべて中国語。
英語の設定も一応あるにはあるが、デフォルトが中国語のため「これはなんだろうな…?」と首を傾げながら旅をすることになる。
安全に関するしおりは英語も併記されていた
筆者夫婦は赤ちゃん連れだったこともあり、FAが何かと気にかけてくれたのだが、すべて中国語で話しかけてくる。
「あの〜すみません、日本語でも英語でもないんですが…?」
→ にこやかな笑顔&流暢な中国語のまま赤ちゃん抱っこ
それにアジア人は全員中国人だと思っているようで、初回は必ず中国語で話しかけられる。
筆者の後ろに座っていた日本人男性も中国語でペラペラ話しかけられ、「オー アイムジャパニーズ」と何度も訂正していた。
その姿に筆者は深く共感。
自分も“アイム・ジャパニーズ”を10回は唱えた。
ずっと中国語で話しかけられていたのに、「へえ、誰かに話してるんだな〜」と思っていたら筆者だった。
「言葉が通じない」こと自体がデメリットではない。
しかし国際線という性質上、「せめて英語でやりとりできる環境」は整えていてほしいのが正直なところだ。
四川航空に乗る際は、英語力よりもジェスチャー力とエスパー力を鍛えておくことをおすすめする。
➃安全に対する認識が甘い
これは冗談抜きで、心の底から「えっ、それアリなの?」と何度も確認したくなった案件である。
筆者は今回、生後5ヶ月の赤ちゃんを連れての国際線フライトであった。
まともな航空会社であれば、こういったケースでは必ず赤ちゃん用の補助シートベルトが配られる。
このベルトは、大人のシートベルトに赤ちゃん用ベルトを接続し、大人と赤ちゃんを物理的に“運命共同体”にする装置である。
衝撃時の安全を確保するうえで、命綱といっても過言ではない。
ところが、である。
ローマから成都までのフライトにおいて、赤ちゃん用のシートベルトは配布されなかった。
もう一度言う、配布されなかった。
筆者夫婦はあまりに心配だったため、自前の抱っこ紐で強引に人間合体を試みるという対応でしのいだ。
四川航空側からは、特に何の説明も指示もなかった。
まさかとは思ったが、「ベルト?なにそれ?なくても平気でしょ」という世界線で生きているのかもしれない。
謎の「足元に置いていいよ」圧
これだけでも筆者夫婦からすると「は?」という感じだが、さらに離陸直前にトンデモないことを言われた。
本来、頭上の荷棚に収納すべきキャリーバッグに対し、フライトアテンダントがこう言ってきた。
「足元に置かなくていいの?置かないの?え?いいの?ほんとにいいの?」
いや、そこは「足元はダメ!必ず頭上に収納してください!」と言うべき場面である。
本来は絶対NGのはずである、緊急時に足元や通路に荷物があると避難の妨げになるからである。
(出典:飛行機内に持ち込んだ手荷物を収納できる置き場所は一般にどこか?)
もし筆者の妻が猛反対しなければ、「じゃあ…そうさせてもらおうかな」と足元に荷物を置くところだった。
危うく国際基準を下回る危険行為に巻き込まれるところだった。
抱っこしたままのアクロバット整理術
さらに驚愕のワンシーンがあった。
FAが赤ちゃんを片手で抱っこしたまま、もう片方の手で頭上の荷棚を整理し始めたのだ。
ちょっと待て、それはダメだろう。
こちらは「預けた赤子が戻ってこなかったらどうしよう」と気が気でないのに、まさか片手で命を握りしめながらアクロバット収納とは…。
もはや安全意識というより、「力技でなんとかする」という昭和の体育会系スタイルが染みついているのかもしれない。
危ない危ない!!FAさんがそれしたらダメでしょ!!!
もちろん、何も起きなければ問題はない。
実際、無事にフライトは終了した。
だが、こうした「あれ?これって大丈夫?」という小さな違和感が積もることで、安心して空の旅を楽しむことが難しくなるのは確かである。
一歩間違えば、ギャグでは済まされない。
安全性は航空会社の生命線。
そこを「うっかり」で済まされると、乗客の命が宙ぶらりんになってしまう。
どうか四川航空には、「優しさ」と同時に「安全意識」もエコノミーからビジネスクラスへアップグレードしていただきたい。
➄赤ちゃんが優先されない
最後に触れておきたいのが、赤ちゃんへの塩対応問題である。
これは、赤ちゃん連れの方には切実な話であり、それ以外の方は「へぇ~」くらいで読んでいただきたい。
筆者はこれまで、世界各国の航空会社を利用してきた。
赤ちゃんを連れて空港に入ろうものなら、まるで王族でも降臨したかのような扱いを受けてきた。
チェックインカウンターでは「VIPレーン」直行、セキュリティチェックでは「どうぞどうぞ」と誘導、搭乗時には「ビジネスクラスの次にどうぞ」など、実質“育児ビジネス待遇”である。
だが、四川航空(というか、中国系航空会社全体かもしれないが)では、それがまったくなかった。
赤ちゃん?列に並びなさい、以上!
成都空港でのことだ。
搭乗前の伝説級・安全検査大行列にぶち当たった筆者一家。
ふと頭上の電光掲示板を見上げると、そこにはこう書かれていた。
「乳児連れの乗客は、職員にお声がけください」
一応「これらに該当する方は職員に声をかけて」とは書かれているが…
よし来た、と思った。
掲示板公認である。
筆者、いざ列を突破し、最前線の職員に向かって堂々と宣言。
「赤ちゃん連れてるんですが、優先お願いできますか?」
その結果、返ってきたのはまさかの一言。
はぁ、なに言ってんの?黙って列に戻って!
である。
声、デカめである。
筆者、一瞬時が止まった。
「あれ?今って2025年だよな?ここって人類が文明を築いたあとの世界だよな?」
と自分の存在を疑った。
赤ちゃんVIP神話、成都で散る
今まで、どの航空会社でも赤ちゃんは無敵のフリーパスを手にしていた。
どの航空会社でも赤ちゃん連れには「ささ、こちらへ」と紅絨毯を敷く勢いだった。
だが四川航空では、赤ちゃんはただの小さき乗客。
しかも自力で歩けない、しゃべれない、そしてチケット代も払ってない、ゼロ収益の存在である。
結果、「列に戻れ」の一言で、我が家の赤ちゃんVIP神話は粉砕されたのである。
この経験を通して、筆者はひとつの教訓を得た。
「赤ちゃん連れだからといって、どこの国でも優遇されると思うな」
四川航空、そして成都空港のスタッフたちは、平等主義の達人なのかもしれない。
四川航空に赤ちゃん連れで搭乗する際は、「我々は一般市民である」という心構えが必要だ。
世界の一部地域では赤ちゃんがVIP対応を受けられないのだと、身をもって知った。
成都空港でのおまけ情報
では最後に成都空港のおまけ情報を追記しておく。
成都空港に到着し「乗継ぎの方はこちら」的な案内に従って進む。
ここからが、ちょっとした珍道中の始まりであった。
謎の搭乗券検査、その名も「名簿めくりおじさん」
まずは意味不明な搭乗券の検査で待たされる。
もちろん赤ちゃんの優先はない。
そして空港スタッフも英語がほぼ通じない、どうなってんだこの国は。
カウンターでパスポートと搭乗券を渡すと、なにやら名前らしきものがリストアップされた紙をペラペラめくっている。
いや、これが現代中国のスタイルなのだろう。
筆者夫婦の名前を確認しているのだろうか。
程なくして検査は合格、次はセキュリティチェックに入る。
セキュリティで炸裂!「飲めば無罪」ルール発動
欧米圏なら赤ちゃん連れは華麗に行列をスルーするところだが、ここは中国。
はい、並んでください。
「赤ちゃんは関係ありません」ルール発動。
筆者一家が持っていた赤ちゃん用の液体(お湯・水・哺乳瓶)に対し、中国人の係員は無慈悲にこう言い放った。
「液体?じゃあ捨てて。」
もちろん、「ミルクが作れなくなるじゃない!!!」と奥様が猛反発。
その結果、保安官がドヤ顔でこう告げた。
なら、飲んでみせろ!ここで!今!
もちろん所詮は水やお湯なので実際に中国人保安官の前で全ての水筒の液体を少しずつ飲んで危険物ではないことをこちらもドヤ顔で証明した。
「危険物ではないですが。はい論破。もう行ってイイすか?」
これは全員勝者ということでよろしいか。
搭乗口104へ、遠すぎる件
その後、セキュリティチェックから最も遠い場所にある搭乗口104に向かった。
遠い、遠すぎるぞ…。
この場所が、空港の果てであることに気づくまで、そう時間はかからなかった。
まるで日本人を空港の端に追いやる“反日戦略”かと思ったレベルで遠かった。
そして現れる中華の誘惑
なんと搭乗口のそばには中華料理屋さんが。
この匂い、なかなか食欲をそそるじゃねーか。
ふっ、おもしろい。
本場の中華料理ってやつを味わってやろうじゃーねか。
しかしこの時筆者は人民元と日本円の為替レートを全く知らなかった。
メニューを見ると、
牛肉拉麺:42人民元
麻婆豆腐:38人民元
など、単位がわからなくて怖い。
仮に1人民元=50円ならラーメン一杯で2,000円以上する計算になる。
Wi-Fiを繋ごうにも成都空港のWi-FiはSMS受信が必須で電話番号を認証するのがなぜか怖かったのでやめておいた。
麻婆豆腐、頼めず終了
店員に日本円との為替レートがいくらかを簡単な英語で聞いても、もちろん全く理解していない。
「まあ…大丈夫やろ…。」
と謎の自信で、とりあえず麻婆豆腐大好きな筆者は「本場中国でマーボーでもいっとくかぁぁ!!」と麻婆豆腐を注文するも、
と意味不明な中国語とともに謎の拒否を食らう。
赤い!辛い!痛い!
仕方ないので42人民元という牛肉拉麺を注文した。
「辛いのいける?」みたいな質問があったのでYESと言って出てきたのがこちら。
ま、まじか( ̄▽ ̄;)
なんかめちゃくちゃ辛そうである。
とりあえず食べてみるか。
・・・。
え、なにこれ めちゃくちゃ辛い:(;゙゚’ω゚’):
わりと辛いもの好きな筆者だが、日本では食べたことがないくらいしっかりと辛かった。
結局いくらだった?
値段は42人民元
後日、クレカに請求が来た値段は893円だった。
よかった、内容の割に少し高いがまあ一般的な値段だった。
空港設備は意外と快適だった件
とはいえ、成都空港そのものは意外にも快適だった。
空港館内のトイレも清潔で申し分ない。
男女を示す看板もオシャレである
また、空港内の至る所に【冷水・温水・熱湯】を自由に給水できる場所がある。
しかも熱湯は98℃ときている。
セキュリティの職員も「中に98℃のお湯もあるし冷水もある」と筆者夫婦に一言言ってくれれば良かったものを。
きっと英語が話せなかったのだろう。
あとは搭乗時間まで待つだけだ。
こうして大阪の関西国際空港に到着した。
【後日談】ロストバゲージ編
今回の旅には、実は“エピローグ”とも言える小さなトラブルが待ち構えていた。
発端:ローマ空港での不安なやり取り
ローマの空港を出発する際、飛行機に乗る直前にベビーカーを折りたたんで機内の中国人スタッフに渡したのである。
そのベビーカーにも「TO KIX」(関空行き)と書かれたタグが貼ってあったのだが、中国人スタッフの反応がこれ。
(え、あ、これはどうすれば…あ、まあ大丈夫です。
とりあえず飛行機に乗せます!)
・・・いや、絶対わかってない顔してるやん。
この時点で筆者夫婦の胸には「これはマズいかもしれない…」という予感がフワッと広がっていた。
不安的中、ベビーカーが出てこない
関空に到着後、荷物を受け取りにベルトコンベアへ。
スーツケースは出てくる、出てくる、周囲の荷物もどんどん流れてくる。
だが、待てど暮らせどベビーカーは来ない。
いつまでも流れてこないベビーカーをひたすら待つ筆者
やっぱり来なかったか…
完全に嫌な予感的中である。
さすが日本!隣のレーンでは奇跡の対応
余談だが隣のレーンを見ると、関空の空港職員がスーツケースを並べていた。
世界を旅してきた筆者だから断言できる。
こんなサービス、日本だけである。
この丁寧さ、マジで感謝。感動。国宝級。
空港職員もお手上げ
筆者は空港のカウンターでスタッフに事情を説明し、調査を依頼。
30分ほど待った結果、返ってきた返答がこちら。
「すみません、今はどこにあるかわかりません。もしかしたら中国の成都空港に置きっぱなしかもしれません。」
え?
あれだけドヤ顔で「飛行機に乗せます!」って言ってたやん…。
筆者は「別送品申告書」に記入し、見つかり次第京都の自宅に送ってもらうようお願いしてそのまま帰宅。
そして3日後…佐川がやってきた
事件から3日後、ピンポーンとチャイムが鳴る。
佐川急便のお兄さんが、大切にベビーカーを抱えてやってきた。
どうやら真相はこうだった:
- 成都空港にて、四川航空スタッフがベビーカーを置き去り
- そのまま気づかずロスト扱い
- すぐに発見されて日本へ発送
なんという…やはり、ベビーカーの扱いに慣れていない、あるいは教育が行き届いていないのだろう。
おわりに
成都空港でも飛行機を降りたらバスで空港まで移動する
ということで今回は、中国・四川航空の実体験レポートをお届けした。
正直、いろいろとツッコミどころは満載だったが、
- 安い
- 時間が合う
- 乗り継ぎ可能
という条件さえ合えば、使えなくもない…というのが正直なところ。
安全面やサービスの質に多少の目をつぶれるなら、選択肢としては“アリ”…かもしれない。
皆さんも四川航空に乗ったことがあれば、ぜひコメント欄で体験談や感想を教えて頂きたい!
それではまた、次回の旅レポでお会いしよう!✈️🌏
再見!さようなら!
2025年2月4日から7日まで4日間トルコの首都いや最大都市イスタンブールに行ってきたのでその時の体験をシェアしたい。※トルコの首都はイスタンブールではなくアンカラである、筆者は盛大に勘違いをしていた。「オーストラリアの首都[…]
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