ヨーロッパを旅する前に知っておくべき西洋建築の知識として、今回はギリシャ建築について説明します。
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※明言しますが、西洋建築の勉強をしてからヨーロッパに行けば無学で行くより100倍楽しめます。
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本記事は「古代文明の底力『究極の密着と石材運搬』」を解説しています。
究極の密着と石材運搬
この章の特に重要な点を挙げると以下の2点になります↓
➀究極の密着
②石材の運搬方法
それぞれ解説します。
➀究極の密着
↑こちらの写真は1824年にアテネのパルテノン神殿を模して建てられたドイツにあるヴァルハラ神殿です。
実は筆者も一度行きましたが、そん時は西洋建築の興味0で芝生でちょっと寝てすぐ帰りました。
モッタイナイ!!!
パルテノン神殿修復の主任建築家M・コレス博士によると、
円柱についていえばドラムの接合面は「平面から1/20mm以上の凸凹をもたず」しかも「1mmの1/100の精度」で密着している
とのことです。
専門的過ぎてイマイチぴんときませんが、要するに「髪の毛一本入らない顕微鏡的な驚くべき精度」とのことです(笑)
建築史上最高の施工精度を誇るギリシア神殿『1mmの100分の1の精度』
ではどうやって古代ギリシア人はその究極の密着を実現できたのでしょうか?
先ほどのコレス博士の説に基いて説明します。
先に文字で解説しますが、その後に筆者が頑張って作成したGIF動画を用意しました。
➀まず滑らかさを検査するための円盤を作る。
②この検査用の円盤の表面に薄く塗料を塗り、円盤をドラムの接合面に載せる。
③すると出っぱった部分に塗料が付着するので、この部分を特別な研磨剤で磨く。
④再び塗料を塗った円盤を接合面に載せる。
この方法を繰り返し行っていくのです。
しかし!!!
検査用円盤の表面も完全な平面ではない(1/30mm~1/20mmの凸凹は避けれない)ので、ドラムと検査用円盤が密着してもこのドラムと次に磨かれたドラムは密着しません。
このドラム同士を密着するために更に次のような方法をとったと考えらえています。
➀検査用円盤を2枚作り、この2枚を1/100mmの精度で密着するように作る。
②この2枚1組の円盤の片方をA、他方をBとする。
③Aで磨いたドラムの面aはAと密着し、同様にBで磨いたドラムの面bはBと密着します。
④AとBはもともと密着するように作られているので、aとbも密着することになります。
このように、完璧な密着により石材の継ぎ目は裸眼では認識できないほどに完全に消されたのです。
筆者も実際にアテネのパルテノン神殿に訪れた時は興奮が収まりませんでした。
②石材の運搬方法
ギリシア建築ではエジプトのピラミッドと同じように、切り整えられた石材を積み上げて(切石造という)作られています。
これらの石材にはセメントやモルタルなどの接合材や潤滑剤を一切用いず、ただ上から重ねるだけの空積みで行われました。
建築工事で最も労力を要するのが石材の運搬でした。
円柱は短い円筒形(ドラム)を積み上げて作られますが、そのドラム1個で5~10t、柱頭は8~9tあります。
最も重いのは円柱と円柱の間に架けわたされる梁(アーキトレーヴ)で、パルテノンでは15tもあります。
エフェソス(トルコ)のアルテミス神殿はギリシア最初の巨大神殿と言われ、そのアーキトレーヴの重さは約40tもありました。
これらの石材を運搬するには木製の大きなドラムで石材の両端部を包み込み、これを車輪として牛に曳かせたというのが一般的です。
ギリシャの神殿跡で見たドラムはどれも真ん中に丸い窪みがあったので「おそらくここに引っかけてたんだろうな~」と思って見学していました。
また石材を吊り上げたり、所定の位置に移動させたりするには、石切り場で粗く成形する際に表面に突起を残しておき、それをロープで引っかけて吊り上げたと言われています。
ということでお疲れ様でした、ギリシャ建築の解説が全て終わりました。
では続いて、ローマ建築をみていきたいと思います。
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