【行く前に知っておきたい!!!】アイスランドの基本情報

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※アイスランド国旗

アイスランドでの思い出話を語る前に、まずはこの国の基本情報を押さえておこう。

地理や気候を知っておけば、話の深みも増すというものだ。

アイスランドの位置

アイスランドは、北大西洋に浮かぶ孤高の島国である。

日本と同じく島国だが、「あっちの方の島」と言ってもピンとこない人が多い。

なので、まずは下のGoogleマップを見てもらいたい↓

いろいろ試してみたが、この位置関係が一番わかりやすい。

アイスランドの存在感が一目瞭然である。

驚くべきは、グリーンランド(北西の真っ白い大陸)との近さだ。
もはや隣人レベルである。

フェンス越しにおすそ分けできそうな距離感だ。

この地図を見て、「うわっ、寒そう……。氷の世界に違いない」と思った方。
残念、それは半分ハズレである。

実際は思ったほど寒くない。

とはいえ、半袖短パンで外をうろついたら即ゲームオーバーなので誤解なきよう。

アイスランドがなぜそこまで極寒じゃないのか?

それには地球規模の暖流が関わっているのだが、詳しくは別記事に譲ることにする。

気になる方は以下のリンクをどうぞ。

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グリーンランドはデンマーク領

ちなみにグリーンランドは国ではない。

デンマークの領土である。

アイスランドは独立国家、グリーンランドはデンマークの所属島。

この違い、意外と知られていないのでドヤ顔で語ってもよいだろう。

首都はレイキャビク(REYKJAVIK)

アイスランドの首都はレイキャビク。

地図で言えば島の左下、つまり南西部に位置している。

名前だけ聞くと呪文のようだが、立派な首都である。

当然ながら国内最大の都市であり、約30万人の国民のほとんどがこのレイキャビクに住んでいる。

つまり、ほぼ全国民が「ご近所さん」状態というわけだ。

人口30万人と聞いてピンと来ない人のために補足しておこう。

ちょうど福岡県久留米市と同じくらいの人口である(笑)。

久留米が国だったらアイスランドと肩を並べるスケール感になる。

アイスランド語とアイスランドクローナ

アイスランドの公用語はアイスランド語で、通貨はアイスランド・クローナ(ISK)と言う。

おおよそ1ISK ≒ 1円なので、旅行者にとっては換算がしやすい。もちろん物価は円換算で見ると高めなので油断は禁物だが。

アイスランドは西ノルウェー出身のヴァイキングが9世紀に初めて入植したので、アイスランドで話されている言葉というのはヴァイキングの母語である「古クルド語」と呼ばれる昔の北欧言語である。

時代とともに言葉は変わるもの。

北欧の他の国々では言語がどんどん進化・変化していったのだが、アイスランド語はほぼそのまま。

なぜか?

  1. 絶海の孤島という地理的条件
  2. 国家としてこの言語を維持していこうという努力

この二つが奇跡の保存状態を実現させたのだ。

1,000年以上前から文法構造の骨格がほとんど変化していない化石のような言語だと言われている。

つまり…1,000年以上前の文書を難なく読むことができるのである!!!

これはつまり、日本人が辞書なしで『源氏物語』や『枕草子』をスラスラ読んじゃうようなもの。
ちょっと信じがたい。

ためしに源氏物語の一節を抜粋してみよう。

「内裏の上の源氏の物語人に読ませたまひつつ聞こしめしけるに この人は日本紀をこそよみたまへけれまことに才あるべし とのたまはせけるをふと推しはかりに いみじうなむさえかある と殿上人などに言ひ散らして日本紀の御局ぞつけたりけるいとをかしくぞはべる」

(Wikipedia 源氏物語より抜粋)

……うん、なんとなく読めるけど意味はまったく入ってこない。

アイスランド語がどれだけ「言語の化石」として貴重なのか、おわかりいただけただろうか(・ω・)ノ

驚くべき再生可能エネルギー事情

アイスランド――この小さな島国は、再生可能エネルギー大国でもある。

アイスランドの一次エネルギー消費のうち、71%は地熱発電と水力発電の再生可能エネルギーなのである!!!

もはや自然エネルギー依存というより、自然エネルギー満喫国家と言った方が正確かもしれない。

しかもである。
2025年の最新の情報では、アイスランド国内で使われている電気、100%が再エネ由来なのだ。

空気清浄機か!ってツッコミたくなるレベルである。

アイスランドは、ほぼ100%の電力を再生可能エネルギーから生み出しており、水力発電が73%、地熱発電が27%を占め、その電力網の基盤となっています。

(出典:Iceland’s Renewable Revolution: A Beacon for Green Investment and Geopolitical Influence

電力の約27%は地熱発電。残りのほとんどは水力発電。

要するに、火山と滝が電気作ってる国である。

火山「ブクブク…エネルギー出しとくね〜」

滝「ドバーッ!おれも電気に変わるわ〜」

人間「助かりまーす!」

っていう、自然と人間の理想的な共生関係が成立している。

地熱発電

アイスランドは大西洋中央海嶺が海の上に顔を出したような島であり、その誕生はおよそ1,000万年前。

地球の地殻変動が「よっこいしょ」と生んだ、マグマと氷のハイブリッド国家である。

面積は北海道と四国を足したくらい。
広くはないが、インパクトは大である。

早い話、国全体がマグマの上に建ってるような火山アイランド。

これを聞いて「それ、大丈夫か!?」と不安になるかもしれないが、本人(=アイスランド)はけろっとしている。

むしろそれを地熱パワーに全振りして生きているのだ。

火山と共に歩んできた歴史

火山噴火も多く、国の安全保障の基本として「いかに噴火に備えるか」が挙げられる程である。

火山があるということは、当然噴火もある。
しかも結構ガチなやつ。

ラキ火山の噴火(1783〜1784)

・国民の1/4が死亡という未曽有の災害

・噴煙と火山ガスがヨーロッパ全土に広がり、ヨーロッパ全域で飢饉が発生

・同じ年、日本でも浅間山が噴火し「天明の大飢饉」が発生

地球規模で空気読まずに火山が大暴れしていた年である。

火山って、思ったより国際派。

エイヤフィヤトラヨークトル火山の噴火(2010年)

・名前が覚えられないことで有名(※通称:エイヤさん)

・ヨーロッパの空港が1週間以上閉鎖

・周辺国は一ヵ月後にも再封鎖したレベル

・航空業界にトドメを刺す勢いで空をストップ

・死者ゼロという奇跡のフィナーレ

※ちなみに「エイヤフィヤトラヨークトル」は、「エイヤ地方の氷河の下の火山」という意味らしい。
なるほど、意味はわかっても発音はできない。

ここまで読むと「火山=厄介な存在」に思えるかもしれないが、
アイスランド人は違う。
「だったらそれ、使っちゃえばいいじゃん」精神で乗り越えてきたのだ。

  1. 地熱で発電(エコ!)
  2. 地熱で暖房(あったかい!)
  3. 地熱で料理(うまい!)
  4. 地熱で温泉(極楽!)

と、地熱四段活用で日々を満喫している。

家庭の暖房も温水も、ほぼ地熱。
スチーム調理器具なんて使わなくても、地面がすでにスチームを出している。

地熱調理場に卵を持っていけば「天然温泉ゆでたまご」が爆誕する。

これ、観光客にも人気の体験型スナックである。

水力発電

アイスランドと聞いてまず思い浮かぶのは、火山、氷河、オーロラ、そして滝!である。

実はこの「滝」、観光名所としてだけでなく、ちゃんと電気も作ってくれている優秀な存在である。

アイスランドは北極圏スレスレの極北の島国。そのうち国土の約11%が氷河に覆われている。

つまり、どこに行っても「水になりそうな氷」がゴロゴロしているのだ。

さらに、

  1. 降水量が多い(けっこう雨降る)
  2. 氷河がとけると水になる(当たり前だが重要)

このダブルパンチにより、川と滝の水量がとにかく豊富。

観光地として絶景だが、エネルギーとしても一級品というわけだ。

じゃあ、滝に発電機置いときゃいいじゃん?

…と、誰もが一度は考えるだろう。

実際、アイスランドも最初は「水あるし、これで電気作ろうぜ!」というノリでスタートした。

しかし、現実はそんなに甘くない。

水力発電の落とし穴

アイスランドの川には以下のようなクセがある:

  1. 川の流れが自由奔放すぎる(不規則)
  2. 氷河が冬になると「よっこらしょ」と溶けるのをやめる
  3. 年間で水量の波が激しい(安定しない)

つまり、季節によって水の勢いがジェットコースターなのだ。

変動が激しいことを投資用語でボラが高いとも言う。

「今日はバンバン発電できるな!」と思ったら、
「え、明日からゼロ…?」みたいな事態もザラ。

そこで、アイスランド政府&技術者たちは考えた。

「このままじゃエネルギーがジェットコースターすぎる…せめて観覧車くらいにしよう」

というわけで、現在は大規模な治水工事を行い、川の流れをある程度制御できるように整備している。

ダムや水路などを作り、発電量を少しでも安定させる努力が続けられているのだ。

アイスランドの絶景

冒頭でも述べたとおり、アイスランドは絶景のテーマパークである。
火山あり、氷河あり、オーロラあり、温泉あり。

もはや地球が本気を出して作った自然のショールームといっても過言ではない。

ではどんな絶景があるの?

その筆頭にして、日本人にぶっ刺さるスポットがこちら。

ブルーラグーン(Blue Lagoon)

〜世界最大級の露天風呂、ここにあり〜

「世界最大の露天風呂」と聞いて、心が躍らない日本人など存在しない。

そう、ここは地球の裏側にある“巨大な温泉”である。

ブルーラグーンは、地熱発電所から排出される熱水を再利用した人工温泉である。

とはいえ「人工=安っぽい」というイメージは全力で裏切られる。

むしろスケールがデカすぎて、「これは神の実験場では…?」と疑いたくなるほどだ。

湯の色は名前の“ブルー”というよりミルキーな乳白色。

気温が氷点下でも湯温は常時38〜40℃前後の極楽設定。

あまりの気持ちよさに、「このまま住める気がする」と錯覚する者が後を絶たない。

このお湯、ただの湯ではない。

  • シリカ
  • ミネラル
  • 藻類(アルゲ)

これらが豊富に含まれており、特に美肌効果があるとされる。

実際に現地でブルーラグーン産のスキンケア商品が販売されているほど。

つまり、「入るエステ」である。

間欠泉(Geysir)

〜地球がブシューッと息を吹く、天然の蒸気ショー〜

火山の国アイスランドには、「あ、地球って生きてるんだな…」としみじみ思える場所がいくつもある。

その代表格が間欠泉(Geysir)である。

要するにこれは、地球が定期的にブシューッと鼻息を噴き上げる場所である。しかもかなりの勢いで。

水が噴き出す仕組みを一言でいえば、火山の熱で地下水が温められ、最終的にブッシャアア!と空に向かって噴き出す天然の噴水である。

シンプルに説明すると:

  1. 地下に水がある
  2. その下にマグマがある
  3. マグマの熱で水が猛烈に蒸発する
  4. 蒸気の圧力がヤバくなる
  5. 地上に向かって爆発的に噴き出す

…という、まるでやかんが噴く瞬間を地球規模でやっているのが間欠泉である。

これは液体の水が気体になると体積はおよそ1,700倍になるから(状態方程式PV=nRTで出せます)とも言える。

ちなみにこの原理が制御不能になると、あのチェルノブイリ原発事故のようなとんでもない大惨事になる(詳しくは別記事へ)
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現在はストロックル間欠泉がその名を轟かせている。

このストロックルくん、5〜10分おきに20メートルの熱水柱を吹き上げるという驚異の規則正しさ。

目の前で見ていると、「あれ、これ本当に自然現象…?」と疑いたくなるレベルで正確にブッシャァァァ!とやってくれる。

「え、待ったけど噴かないじゃん…」みたいなことはまず無い。

このストロックル、アイスランドの間欠泉界ではもはや職人レベルの安定感を誇っている。

撮影スポットとしても超人気で、スマホ片手に「そろそろ来るぞ…来るぞ…きたーー!!」とみんなが盛り上がる、天然のエンタメ施設なのである。

地球の割れ目(Gau)

〜大陸が真っ二つ!?そんな場所、歩けます〜

アイスランドに行ったら、地球が割れてる場所を実際に歩ける。
これはもはや、ちょっとしたSF体験である。

「ギャウ(Gau)」とは、アイスランドを南北にビシッと走る大地の裂け目のこと。

この裂け目、実は地球のプレートが引っ張り合ってできた地球の亀裂である。

アイスランドは、北アメリカプレートとユーラシアプレートという2つの巨大な地殻の継ぎ目にどっかり座っている。

プレートは年間約1~2cmずつ東西に離れており、アイスランドの面積も年々少しずつだが増加しているのである。

地味〜に、だが確実にアイスランドの国土は拡大中である。

なんともエコで地味な国土拡張作戦。日本も見習いたい(無理)

ギャウを歩くというロマン

アイスランドでは、このプレートの裂け目を実際に自分の足で歩くことができる。

つまり、「今、俺…北アメリカ大陸とユーラシア大陸の間に立ってる…!!」という厨二心をくすぐる体験が可能なのだ。

代表的な観光スポットがシンクヴェトリル国立公園(Þingvellir)。

ここでは断層の谷間がハッキリと見え、プレートの分裂によってできた大地のシワがそのまま露出している。

写真に収めれば「地球の割れ目を歩いた俺」シリーズが完成する。

世界で唯一の場所

このように、海嶺(大西洋中央海嶺)が陸地に現れているというレアな地形は、

なんと世界中でアイスランドだけ。

他の地域ではこの海嶺は全部「海の底」に沈んでいて、見ることも、まして歩くことなど絶対にできない。

氷の洞窟(Ice Cave)

〜氷の世界に潜入!天然のブルーワールド〜

アイスランドには、氷に囲まれた幻想的な地下世界が存在する。

その名も「氷の洞窟(Ice Cave)」。

まるでアナ雪のエルサが建てた城のような、自然がつくり出した奇跡の空間だ。

だがこの洞窟、一年中入れるわけではない。
期間限定のプレミアム体験、11月〜3月のみアクセス可能である。

氷の洞窟は毎年違う

氷の洞窟は氷河の中にできる。
気温が上がれば当然溶けるし、崩れるし、流れるし、つまり形が常に変化する。

だから、「去年行った洞窟」と「今年行く洞窟」は全くの別物である。

筆者、かつて氷の洞窟ツアーに参加したが…

「目の前で中止」という悲劇を味わった。

ガイド「今日は無理っす。洞窟、崩れるかもです」

筆者「…あっ、そうですか…(絶望)」

そう、氷の洞窟は天気が良すぎると逆に危険なのだ。

数日間穏やかな気候が続くと、洞窟が崩落したり、融けた水が洞内で川となって閉じ込められるリスクが跳ね上がる。

氷の世界は優雅で美しいが、儚くも危険なのである。

氷の洞窟が青く見える理由

〜理系の血が騒ぐ!氷の豆知識〜

さて、ここからはちょっと理科の話。

「氷って本来透明じゃないの?なんで青いの?」と不思議に思ったことはないだろうか?

大前提として氷や雪って透明である。

でも雪は白く見える場合がほとんどだ。

家で作る氷は透明な部分もあれば白い部分もあるが、市販の氷の塊は透明だ。

豆知識なので興味ない方は飛ばしてもらって構わない。

» 続きを読む

実は雪も氷も内部に気泡を含んだまま凍ってしまうと、その気泡に光が拡散して真っ白に見えるのだ。

本来氷も雪も透明ですが、家庭用の冷蔵庫のように急激に冷やされると内部の気泡が外に逃げられずに内部に留まってそれが光を拡散させて白く見えるのである。

逆に言えば内部に気泡が残留しなければ透明に見える。

市販の氷は揺らしながらゆっくり冷やしていくので気泡が逃げる時間が充分にあり、結果氷の中に気泡は残らない。

なので光を拡散させる要素がほとんど無いので透明に見えるのだ。

そしてその状態の氷は波長の長い赤い光を吸収しやすく、波長の短い青い光は拡散されやすいのである。

繰り返しになるが、氷の中に気泡などの光を拡散させる要素が無ければその氷は透明ないしは青く見える。

氷の洞窟は氷河の中にでき、氷河は長い年月をかけて堆積してくる分厚い氷に圧縮されて徐々に空気が抜けていく

それで下にある氷ほど空気が抜け青く見えるというわけなのだ。

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氷の洞窟とは、

  1. 氷河が長い年月をかけて圧縮されてできた、
  2. 気泡ゼロのスーパークリーンな氷の世界で、
  3. 自然界がつくり出す一瞬の奇跡であり、
  4. 見れるかどうかはその日次第の超レア体験である。

青く輝く氷の中を歩くなんて、人生でそう何度もできることではない。

アイスランドに行ったら、できればチャレンジしてほしい冒険のひとつである。

滝(Waterfalls)

〜アイスランド、落ちまくりの国〜

アイスランドにはとにかく滝が多い。

一説によれば「人より滝のほうが多い」とも言われている(※筆者調べ)。

いや冗談抜きで、国道1号線を走るだけで何本もの滝に遭遇する。
いわば滝ドライブ状態である。

当然だが、アイスランドの滝の水は氷河が原料。

年間通して気温が低いため、氷河はじわじわと融け続け、それが滝の水になる。

つまり、落ちている水の正体は氷河のしずく。
ロマンの塊である。

セリャラントスフォス

アイスランドで最も有名な滝のひとつが「セリャラントスフォス(Seljalandsfoss)」だ。

この滝、ただの滝ではない。

なんと裏側に回り込めるのだ!

筆者「裏に行けるってことは、つまり濡れるということですね?」

そう、全身ずぶ濡れ覚悟で挑もう。
天気が良ければ虹が出ることもあり、神秘的な景色が広がる。

地面はぬかるんでいるし、風向きによっては滝のしぶきが顔面直撃してくる。

それでも「360度滝ビュー」という貴重な体験は、他ではなかなか味わえない。

ちなみにアイスランド語で「滝」は「フォス(foss)」。

セリャラント“スフォス”=セリャラントの滝、ということになる。

オーロラ(Aurora)

~空に舞う、地球からのラブレター~

夜空にひらひらと揺れる緑や紫の光のカーテン…。

それがオーロラ。
英語では「Northern Lights(ノーザンライツ)」なんて呼ばれたりもする。

アイスランドは「オーロラベルト」と呼ばれる高緯度の帯状地域に属しており、世界的に見てもオーロラ観測に非常に適した場所である。

とくに特徴的なのは、首都レイキャビクからでもオーロラを観測できる点であり、これは他国にはなかなか見られない大きな魅力だ。

筆者

運に恵まれれば、ブルーラグーンの温泉に浸かりながら空に舞うオーロラを眺めるといった、夢のような時間を過ごすことも可能である。

地球の裏側にも同じ光が

なお、オーロラは北極に出現しているとき、南極にもほぼ同時に現れているとされている。

つまり、地球の裏側にいる誰かと、同じ光を見上げている可能性があるのだ。

この事実は、どこか詩的でロマンチックである。

オーロラを観測するための5条件

オーロラを美しく観測するためには、以下の5つの条件を満たす必要がある↓

  1. 空気が澄んでいる(大気汚染が少ない)
  2. 晴天である(雲が厚いと見えない)
  3. 周囲が暗い(光害がない)
  4. 太陽活動が活発である(太陽風やフレアの影響)
  5. オーロラベルトに位置している(地理的な条件)

アイスランドは①③⑤の条件を完璧に満たしており、残る②と④についてはもはや天に運を委ねるのみである。

観測方法とおすすめツール

アイスランドでは少し郊外に出るだけで、完全な暗闇と澄んだ空気に出会うことができる。

また、アイスランド気象庁が提供している「オーロラ予報(Aurora Forecast)」を活用すれば、より高い確率で出現を狙える↓

Auroraという歌手の存在

完全なる余談であるが、「Aurora(オーロラ)」という名前のノルウェー出身の女性アーティストがいる。

その透明感のある歌声は、筆者にとってENYAと並ぶ癒し系サウンドである。

テントを張った荒野で、AuroraやENYAをBGMにオーロラを待つ――。
そんな静寂と幻想に包まれた時間は、人生の中でも特別な数時間となるだろう。

氷河(Glacier)

~想像を超える、動く氷の大地~

アイスランドには、ヨーロッパ最大の氷河である「ヴァトナヨークトル氷河(Vatnajökull)」が存在する。

その面積は国土の約8%を占め、体積においてはヨーロッパ最大級である。

筆者「このスケール感、正直笑ってしまうほどでかい。氷のかたまりで国が1割近く埋まっているって…何事だ。」

この氷河の内部には氷の洞窟(アイスケーブ)も形成されており、多くのツアーでは専門ガイドのもと、氷河の上を歩いたり、その内部に潜入する体験が可能となっている。

ただし、これらのアクティビティは安全確保のため、季節や天候に大きく左右される。

筆者のように、氷の洞窟の目の前まで行きながら結局キャンセルされるという悲劇が起きないことを祈っている。

ヴァトナヨークトルは単なる観光名所ではなく、氷河の動きや融解から地球温暖化の影響を観察する最前線の場所でもある。

まさに、自然の巨大なタイムカプセルであり、地球の歴史を語る氷の書物といえる存在である。

火山(Volcanos)

~地球のエネルギーを間近に感じる、マグマの息吹~

氷河が大地を覆う一方で、アイスランドは火山大国でもある。

とりわけ特筆すべきは、氷河の下に多数の火山が眠っているという点である。

一度これらが噴火すれば、巨大な氷を一気に溶かし、大規模な洪水(氷河湖決壊洪水=ヨークルフロイプ)を引き起こすこともある。
これは地元住民にとって、現実的かつ深刻な脅威である。

アイスランドには活火山・休火山あわせて約130の火山が存在する。
(うち、活火山は30ほど)

ちなみに2025年現在、日本の活火山数は111

活火山の数だけで見れば、日本の方が多いというのも意外な事実である。

最新の情報は気象庁HP(→こちら)でご確認頂きたい。

火山の多さには理由がある。

アイスランドは大西洋中央海嶺という海底山脈の真上に位置しており、北米プレートとユーラシアプレートの境界に当たる。

この海嶺はプレートが少しずつ広がっていく場所であり、その隙間を埋めるようにして地下からマグマが常に上昇している。

つまり、この海嶺こそがマグマの出口というわけである。

地球の「生きている感じ」が、ここアイスランドでは日常の一部になっている。

おわりに

以上、ざっとではあるがアイスランドの観光資源について紹介した。

記載内容に誤りがある場合や、「ここも紹介してほしい」といった要望があれば、ぜひコメント欄にてお知らせいただきたい。

また、筆者が実際にアイスランドを旅した際の体験記も、興味があれば以下より参照していただきたい。

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アイスランドは、自然の驚異と美しさが共存する、まさに“地球そのもの”を感じられる国である。

訪れる者を常に魅了し、忘れがたい記憶を与えてくれるこの国を、ぜひ一度その目と身体で体験してほしい。

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