ヨーロッパを旅する前に知っておくべき西洋建築の知識として、今回はギリシャ建築について説明します。
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※明言しますが、西洋建築の勉強をしてからヨーロッパに行けば無学で行くより100倍楽しめます。
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ヨーロッパを旅する前に知っておくべき西洋建築の知識として、今回はギリシャ建築について説明します。筆者もギリシャ建築の見学に、ギリシャの首都アテネにあるパルテノン神殿を見に行きましたが、それはそれはスゴかったです( ˘ω˘ )[…]
本記事は「ギリシャ建築のオーダーと調和」を解説しています。
ギリシャ建築の「オーダーと調和」
この章の特に重要な点を挙げると以下の3点になります↓
➀オーダーと調和とは?
②モドゥルス
③リファインメント
それぞれ解説します。
➀オーダーと調和とは?
(↑ギリシア建築の最高傑作と言われるパルテノン神殿)
オーダーを全体的な統一感を保ったまま完成するには、オーダー各部の寸法の釣り合いが重要です。
前回の記事を読まれた方はわかると思いますが、
柱の径と高さ、
柱礎の幅と高さ、
柱頭の大きさ、
それらを含めた円柱の全高、
アーキトレーヴとフリーズの高さ、
コーニスの高さと出、
それらを含むエンタブラチュアの全高などなど・・・。
これらが互いに調和していないと、結果こうなります↓
or
これら各部をいかにバランス良く統一感を出すか
細部と細部、細部と部分、部分と部分、部分と全体。
これらを比例の連鎖で関連付けなければならないのか・・・。
なんせ、比例が最も大事なんじゃからな
繰り返しになりますが、ギリシャの哲学者でもあり数学者でもあるピタゴラスの「万物の根源は数である」という思想がギリシャ建築の最大のテーマなんです。
これこそギリシア人が究めたものでした。
②モドゥルス
ギリシア人が用いた単位にモドゥルスがあります。
柱の底部の直径(ときに半径)を1モドゥルスとして、建物各部の寸法はその整数倍あるいは分数倍として定めました↓
例えば、スタイロベート(床)から柱頭までの全高は、
ドリス式円柱の場合:4~6.5モドゥルス
イオニア式円柱の場合:9モドゥルス
コリント式円柱の場合:10モドゥルス
を標準としました。
このようにオーダー各部の寸法は全てモドゥルスを単位として定式化され、全てが調和する(一番美しく見える)ように作られたのがギリシア建築。
しかしギリシア建築はただただ定式にしたがって量産されたのではないのです。
実際にギリシア建築の全歴史を通じて同一の形、同一の比例をもつ作品は一つも存在しないのです。
③リファインメント
(↑ドリス式ギリシア建築)
ギリシア人は理想の比例を見いだすべく洗練に洗練を重ねましたが、追究はそれだけにとどまりませんでした。
究極の調和を実現するために、彼らは独自の方法を編み出しました。
それがリファインメント(視覚的矯正)です。
ギリシア建築家はたとえば、スタイロベートを完全な水平でなく中央部分をわずかに盛り上がるように湾曲させ、外周に沿った列柱を内側にわずかに傾斜させました↓
このリファインメントはギリシア盛期のドリス式神殿に顕著に認められます。
アテネのパルテノン神殿では正面30.88mに対し約6cm、側面69.5mに対し約11cmの盛り上がりをもち、円柱の内側傾斜は、円柱の全高10.43mに対して約6cmです。
と一般的には考えられています。しかし、
と著者は言います。
リファインメントの意味
つまり実際に水平の一歩の線があるとして、果たしてこれが中央に窪んでいるように見えるのか?ということです。
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本当に中央が窪んで見えましたか?
少なくとも筆者はそう感じませんでした(著者に同意)
著者が言うには、
もし本当に中央が窪んで感じられるのだとしたら、
それはエンタブラチュアやペディメントを支えるそれ自身重厚な円柱が加える巨大な重量の感覚、
つまりスタイロベートを押し下げようとする垂直下向きの強い力の感覚によるものである
とのことなのです。
※スタイロベートとは基盤のこと(≓地面)
つまり、
窪んで見えるかどうかにかかわらず、
スタイロベートは建物の全重量をその上に載せる基盤なので、
不動の強固さを持っていなければならないのは当然だが、
さらにはそう「見える」ということが重要なのだ
と述べているのです。
つまりですね、まとめるとこうなります。
「水平の線は中央が窪んで見える→だから中央を盛り上げた」という安易な結論ではなく、
「スタイロベートは大地としての不動の強固さを持っているように見えなければならない→だから中央を盛り上げた」
そういうことなのです!!!
では次に、オーダーと石造建築の矛盾についてお話したいと思います↓
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