本記事では筆者がアルメニアで見たこと感じたことを紹介している。
アルメニアについてより詳しく知りたい方は、一問一答形式で100問用意したこちらの記事をお読み頂きたい。
今回はアルメニアに訪れる前に知っておくべき基本知識を一問一答形式で100個紹介しようと思う。これから「アルメニアに行こう」もしくは「アルメニアで暮らそう」と思っている方は是非参考にして頂きたい。そんな筆者は何者なのか[…]
本記事は筆者の主観的な経験談、言い換えれば旅行記みたいなものである。
今後アルメニアの首都エレバンに旅行を考えている人は是非参考にして頂きたい。
今回は地元民のリリーちゃんにエレバンを案内してもらった。
前回の記事を読んでいない方は先にそちらを読んで頂きたいので下に貼り付けておく。
日本の常識は世界の非常識である。これは日本では非常に一般的な表現であり、概ね正しいと思う。これから筆者がアルメニアで見たこと感じたことを紹介していこうと思う。アルメニアについてより詳しく知りたい方は、一問一答[…]
では始めよう。
外務省の注意喚起の内容を再確認する
まずは外務省がアルメニア訪問に際して注意喚起しているその内容をおさらいしたい。
ざっくりまとめるとこうだ。
- 交通量が多く再開発の工事のせいで排気ガスや埃がひどい。
- 空気の乾燥と埃のため、鼻やのど、眼のトラブルを起こしやすい。
- 狂犬病は国内どこでもリスクがあり、エレバン市内を歩く際には野犬に注意が必要。
- 交通量が多いわりに運転マナーが悪く、交通事故死者数は近年増加傾向。
- 水道水は歯磨きや調理には使えるが、飲用にはミネラルウオーターが無難。
- 首都エレバンは標高約1,000mの高地に位置するため晴天時には紫外線対策が必須。
- 外食産業の食品衛生については一定していない。
- アルメニアには数種類の毒蛇が生息しておりエレバン郊外や地方での屋外活動時にはヘビに注意が必要。
- アルメニアは過去に大地震(1988年、死者約25,000名)を経験しており、長期滞在の場合は水と食料の備蓄を推奨。
- 公の救急車サービス(電話番号103)もあるが到着までに時間がかかり、地方都市ではエレバンと同様の医療サービスは期待出来ない。
(出典:外務省公式HPアルメニアより抜粋)
筆者が経験した項目について説明していこう。
野犬がわんさかいる
エレバンを訪れるうえで絶対に無視できないのが野犬の存在である。
外務省もアルメニアにおいて狂犬病のリスクと野犬の存在を注意喚起している。
いやいや、狂犬病と野犬て(笑)
と完全にナメていた筆者だが…。
狂犬病は日本では既に撲滅されているが、エレバンには、いやアルメニアには、いやジョージアやトルコを含むコーカサス地方には本当に狂犬病がまだ存在しているようだ。
リリーちゃん曰く、野犬は狂犬病などを発症しないための予防接種や人間に噛み付かないための鎮静剤を打たれており基本的には安全なようだ。
そういった安全な犬は耳にタグが付けられているので一目瞭然である。
地元民はあたかも野犬が存在しないかのように生活をしており、まさに野犬が空気のように扱われている。
完全に共存しているようだ
逆に言えば耳にタグが付いていない犬は狂犬病リスクありのモノホンのヤバい犬(以降モノホンと呼ぶ)である。
後述するが、リリーちゃんが市内から車で40分ほど離れたガルニ神殿や世界遺産エチミアジン大聖堂に連れて行ってくれたのだが、そこにいた野犬はモノホンであった。
見た目は軟弱そうで可愛らしいが、モノホンなので要注意
呑気に寝ているが奴はモノホンなので絶対に近づかないように
ちなみに狂犬病を発症した際の致死率はほぼ100%で、狂犬病は症状が出てしまったあとではもう手遅れという恐ろしい病気であり、同時に症状が出る前に診断するというのも極めて困難な激ヤバな病気なのである。
また狂犬病の潜伏期間は通常1〜3ヶ月と長いので、肉眼で感染しているかを判断するのはほぼ不可能である。
なのでモノホンには絶対に近付かないように。
市内(首都)にもたまーにモノホンがいるが、エレバン市内を4日間歩いて2〜3匹見かけた程度である。
筆者は耳にタグが付いていた犬に付きまとわれひたすら吠えられ続けたが。
外観で狂犬病かどうかを判断するのは不可能なため、モノホンにはマジで近づかないように。
余談だがリリーちゃんは狂犬病云々ではなく単純に犬自体を非常に怖がっており、犬が近付いてきたら早歩きになって逃げたりたまに筆者の後ろに隠れたりするのが筆者の胸キュンポイントであった。
リリーちゃんを恐怖に陥れたお犬様
自分でも気付かなかった萌えポイントをまた一つ発見した瞬間であった。
ちなみにリリーちゃんの口癖を一つ挙げるなら「近くに野犬がいなければいいけど…。」である(笑)
その言葉を聞くたびに、バイオハザードで出てくるあの狂犬が脳裏に浮かぶ。
狂犬病持ちかを外見で判断できないのが最大の恐怖である
なんせ狂犬病の致死率はほぼ100%、冗談でもモノホンには出会いたくない。
恐怖の早朝ジョギング
筆者はエレバン滞在中、毎朝夜明け前にジョギングをしていた。
薄暗い中、公園で腕立てなどの筋トレをしていると一匹の野犬がそっと背後にいて思わず声が出てしまった。
おれのうしろに音もたてずに立つようなまねはするな。
タグ付きかどうかは確認できなかったが、どちらにしろ心臓に悪い。
翌朝からは公園での筋トレを自粛し大通り沿いのジョギングに変更した。
危険運転とボロ車たち
アルメニアは運転マナーが非常に悪い。
市内ではクラクションがしょっちゅう鳴りっぱなしで、あおり運転や危険運転も非常に多い。
※画像はイメージ
そのせいかアルメニアの交通事故死亡者数は年々増加傾向にあり、外務省が注意喚起をするほどである。
青信号の歩道でも左右をしっかり確認しないとうかうか歩けない、筆者も4日間で10回は青信号の歩道上で交通事故ギリギリの非接触型スリルを経験した。
撮影する直前に赤信号に変わってしまったが、青信号でもこんな感じだった
いやいやいや殺す気か!!おまえ思いっきり信号無視やぞ!!!!
と心の中で叫んだことが多々ある。
先述したエレバンで知り合った日本人男性Tさんの話によると、アルメニアでは他人の運転免許を違法に売買することも多いらしい。
なので運転方法も交通ルールもロクに知らないヤツらが運転していることも多々あるのである。
アルメニアの交通マナーの悪さを物語っているのが、自動車の外観である。
百聞は一見に如かず、まずはご覧頂こう。
これらは自動車修理工場に入庫された車たちではない、普通に公道を走っている車である。
日本ではまずあり得ないと言っていい、少なくとも筆者は32年間の人生で一度も目撃したことはない。
筆者のざっくり割合では30台に1台くらいがこんな感じだったと思う。
非常に物珍しい光景なので写真を撮りたい気持ちもわかるが、撮影の際には注意が必要だ。
写真撮影には細心の注意を払って
筆者はこれらのボロボロ車の写真を撮ろうとして2度ほど危険な目に遭った。
一度目はリリーちゃんとの散歩中、ボロボロ車の写真を撮った直後にクラクションをプププッと鳴らされ、運転席の窓から
Հե, ովն է քեզ տվել իմ մեքենայի լուսանկարներ վերցնելու թույլտվությունը, չէ՞!
(ワレ、誰に許可取って車の写真撮っとんじゃ、コラァ!)
と叫ばれたのだ。
筆者はすぐにその男性の元に近寄り、ソーリーソーリーと謝りながらカメラのデータを削除した。
相手は英語を理解できていなかったがリリーちゃんが上手いことその場を収めてくれた。
どうやら車の写真というより、ナンバープレートを撮影されたことに何かしらの不安を感じたようだった。
そして二度目は別日に一人で散歩していた時だった。
画像はイメージ
お、ボロ車発見。
しかし迂闊にカメラは構えない、まずは運転席をさり気なく覗き誰も乗っていないことを確認する。
そして周りをさり気なく見渡し通行人がいないことも確認する。
筆者の頭脳がリスク0%と弾き出したところでカメラを構え写真を撮ろうとした。
画像はイメージ
しかしカメラがマニュアルモードだったのでSSやF値の設定に少し手間取っているとガチャッという音が聞こえた。
嫌な予感は的中し、なんとイカつい若い兄ちゃんが後部座席から降りてきた。
Հե, հին արար, լսիր: ես տեսա, թե դու կանգնեցիր իմ մեքենայի առջև, շրջվում և լուսանկարներ էլ վերցնում, չէ՞: Ես կդժամարեմ քեզ, դու կռքապ: Տես տուր ինձ քո կամերան!
(おいおっさんこら、なんかわしの車の前で立ち止まってキョロキョロしてると思たら写真撮っとったやないかい。いてまうぞおどれコラ。カメラ見せろや)
瞬間的に後部座席にいるとか反則やろ!!!!と思ったが、その若い兄ちゃんは筆者の目の前に立ちカメラを取り上げる素振りを見せた。
画像はイメージ
筆者は慌てて撮影履歴(データ)を見せたが写真はなかった。
そう、カメラの設定に手間取っておりまだ撮影できてなかったのである。
その兄ちゃんは当てが外れたため、ばつが悪そうに「Չէ՛զ, գնա՛!!」と筆者に言い捨て、蚊を追い払うような仕草で逃がしてもらえたのである。
ふぅ、間一髪だったぜ。
このようにアルメニアには意外と血の気が多い人間が多くトラブルに巻き込まれる可能性もあるので、あからさまに写真を撮るのはやめた方が賢明だ。
エレバンの噴水は水が出っ放し
エレバンの水道水は飲用にはリスクがある、と外務省からお達しが出ている。
と言うのもエレバン市内にはたくさんの噴水があり、ついつい飲んでしまいそうになるからだろう。
筆者は結局4日間で一度も水道水を飲むことはなかったが、リリーちゃんは「普通に飲用可能だし飲んでも大丈夫」だと言っていた(気がする)
まあやはり慣れなのだろう。
それよりも筆者が気になったのは、噴水の水が出っ放しであることだ。
どこもかしこも、水が流れっぱなしなのである。
日本的な感覚で言うとMOTTAINAIと思うが、これには理由がある。
どうやらアルメニアは水資源が豊富であり、水を常に流すことで停滞を防ぎ汚れや藻類の発生を抑えることができているらしい。
つまり噴水自体を清潔な状態に保つための政策の一環なのである。
MOTTAINAIとは?
日本が大好きなリリーちゃん、しかし世界的な流行語になった日本語「MOTTAINAI」について知らなかったのには正直驚いた。
世界的な流行語になった理由は非常に単純明快、海外ではモッタイナイという文化が珍しく日本のMOTTAINAI文化が世界中の人々に新鮮な驚きと共感を呼んだからである。
ちなみに筆者が欧米で驚いたことのひとつに食事残しすぎ!!!がある。
ポルトガルの首都リズボンのタイムアウトマーケットにて
トリノのケバブ屋の食べ残し
日本では「食事は残さず全て食べろ」という教育が現代でも一般的で、筆者も「食べ残し0=正義」だと思っている。
しかし欧米では全くそんなことはない、「無理して食べるくらいなら遠慮なく残せ」という感覚が一般的である。
これは筆者の回顧録であるが、2017年2月にスロベニアの友人女性と一緒にレストランに行った際、前菜もメインも半分ほど食べたら手を上げて給仕にお皿を下げてもらっているのを見て「え、まじか。それくらい食べれるやろ。もったいない!!」と思ったことがある。
後でその子にやんわりと聞いたところ
「大丈夫よ、基本的にヨーロッパでは無理して食事を食べきることはしないの。食事を残すっていう事は決して悪いことでは無いわ。まだデザートが残っているわよね、デザートも美味しく食べれるようにお腹を調整するのもヨーロッパでは大事なことなのよ」
と言われたことがある。
日本人で「もったいない」を知らない人間はもちろんいないだろうが、一応説明しておく。
このブログは一応リリーちゃんも見てくれると思うのでアルメニア語でも説明しておこう。
«MOTTAINAI» նշանակում է այն զգացումը, որ արժանի բաները չփչեցնելը ցավալի է: Օրինակ, մնացած սնունդը, որը դեռ կուտակելի է, չհակահարելը և խելացի կերպով օգտագործելը, կամ կոտրված բաները վերանորոգելը և կրկին օգտագործելը, այսպիսի գործողությունները ներկայացնում են «MOTTAINAI»-ի ոգին, որը վերաբերում է սահմանափակ ռեսուրսների պաշտպանությանը:
首都エレバンは標高1,000m近い
画像はイメージ
外務省の注意喚起にもあるように首都エレバンの標高は約1,000mあるようだ。
夏は紫外線が強くなるので日焼け対策をしっかりするように、とのお言葉である。
またこれはジョギング中に感じたことだが、普通の散歩くらいでは全く違和感は感じなかったがこれが早めのジョギングくらいになると少し呼吸に違和感を感じた。
体力はまだまだ残っているのに、呼吸が浅くなって酸素が体に回っていないような感覚である。
皆さんも激しい運動には気をつけて欲しい。
これは完全に余談であるが、山好きな後輩夫婦がネパールにある標高5,000mを超える村に何泊か宿泊したそうだ。
目的はもちろん、エベレスト(8848m)やK2(8611m)などといった世界に14座しかない8,000m峰を視るためである。
そこでなにを思ったか、色々とチョメチョメしてしまったようで彼氏が高山病を発症したのである。
頭はズキズキするし吐き気はヒドいしということで、宿の管理人に高山病の薬をもらいにいったところマジ説教で
「HIGH PLACE, NO SEX !!!!!」
と怒られたそうだ。
普通の人間は少しでも呼吸が乱れると酸素不足で高山病になるらしい、なんとも恐ろしい場所である。
もちろん標高1,000m足らずのエレバンで高山病になることはない。
海賊版トムとジェリー
エレバンのとあるスーパーマーケットに入った時のことだ。
馴染み深いとあるキャラクターが筆者の視界に入った。
おお、トムじゃないか!!アルメニアでも元気にして…ん!!?
え!!??なんか邪悪さがなくなってしまったが、元気してるかトムよ?
そう、これは我々がよく知る「トムとジェリー」のキャラクターではない。
ChatGPTとGoogle画像検索を駆使してリサーチしたところ、これはロシアの有名なアニメシリーズ「Трое из Простоквашино(プロストクヴァーシノの3人)」内のキャラクターで、本アニメは少年・ネコ・イヌの3人がプロストクヴァーシノ村で暮らす物語のようだ。
(出典:Three from Prostokvashino (cartoon, 1978) — review)
(出典:Prostokvashino TVC’s and Print Campaign – Svyatchenko)
見た目は完全にトムである。
このアニメは1978年のソ連で誕生したようだが、本家トムとジェリーは1940年に制作されているのでやはりトムのパクリだと言えるかもしれない。
ちなみにこの海賊版トムはヨーグルトなどのパッケージにも載っていた。
別日に世界遺産エチミアジン大聖堂近くの服屋に入ったところ、
本家トムとジェリーのTシャツを発見!!!
トムの帽子にはT、ジェリーの帽子にはJと書かれているので間違いないだろう。
そもそもさっきのお話にネズミは登場しない。
しかし「Tom」「Jerry」といった表記は一切ないのでパクリか正規品かはわからない。
当時はタグの確認まで気が回らなかったが、エレバンでこのTシャツを見かけた人は是非確認して欲しい。
交通機関の利用が超便利
ここまで筆者の意に反してアルメニアのネガティブな話題が続いたが、日本より優れている点ももちろんたくさんあった。
その一つが、交通機関の利用の便利さである。
バスや地下鉄
もう日本とは比較にならないほど便利であった。
まずバスのチケット(QRコート)はスマホのアプリで購入でき、バスに乗り込んだらスマホ画面のQRをピッとすれば乗車完了。
先述したコイツである。
地下鉄や電車のチケットも同じアプリ上で購入でき、改札の読み取り機にQRをピッとすれば完了。
なんて便利なんだ!!!!!!!
日本でもICOCAやSUICAといった交通系ICカードが存在するが、そもそも別のカードを持つのもめんどくさいし、たまのお出かけの際には通勤用のカバンに忘れたりして結局現金で切符を購入したという経験も多い。
筆者が空港から市内まで500AMD余分に失った件についても、後からリリーちゃんに「私に言ってくれたら先にアプリでチケットを購入してQRコードを渡せたのに!!」と言われてしまった。
次回からはきっとそうすると思うが、それにしても現代のインフラとも言えるスマホ一台で公共交通機関に乗れるのはなんとも羨ましい。
ちなみに”Telcell Wallet“というアプリで地下鉄とバスのチケットを購入できるので、アルメニアに行く前にインストールするのがオススメ。
アルメニア国民はもっとこの制度に感謝すべきである、と筆者は日本から叫んでいる。
それにアルメニアではアプリ上でどのバスが今どこを走っているかをリアルタイムで把握できる。
容量下げるために加工しているのでかなりカクカクしているが、実際は超滑らかに動いている
世界40カ国以上周ってきたが、こんな画期的なシステム見たことないぞ!!!!
世界で最も時刻表に正確な国ジャポンから来た筆者はバスが時刻表から遅れて困ったという経験はほとんど覚えがないが、それでもリアルタイムで確認できるのいいな〜と思ってしまう。
おもしろくもなんともないが、フルの動画(35秒)を観たい方はこちら↓
めちゃくちゃ便利だぁ( ゚д゚)
LEAP FLOG現象(カエル飛び現象)と言うとアルメニアに失礼だが、日本はインフラ整備が早かったぶんこういったシステムの導入には逆に時間がかかる。
しかし国民生活向上のため、一刻も早くアルメニアのようなシステムを導入して欲しいものだ。
ちょうど2025年3月1日の京都新聞に載っていたのだが、ついに筆者の終の住処である京都市の松井市長が2027年度中に市バス・地下鉄のキャッシュレス化の実現を表明した。
スマホのQRコードを利用するデジタル乗車券や、クレカのタッチ決済を導入するようだ。
これもひとえに筆者が大声を上げ続けたからに違いない、我ながら誇らしいことである(*´∀`*)
ライドシェア(民間タクシー)
公共交通機関に続いて非常に便利だと思ったのが民間タクシー、いわゆるライドシェアである。
ライドシェアの利用には上記のggアプリをインストールしておこう
日本でも少しずつ増えつつあるらしいが、少なくとも京都市内に住む筆者は一度もライドシェアを利用したことがないし噂すら聞いたことがない。
どうやら既存のタクシー業界が反発しているらしい。
表向きは「日本でタクシーを運転するには第二種運転免許という厳しい試験の末に取得できる特別な免許を持っていないとお客様から料金を頂くことはできない。つまり我々は運転のプロであり、それを一般人がタクシー業のモノマネをやるなんて危険だ!!」と言っている。
しかし京都市に住む筆者は断言する。
京都のタクシー運転手のモラルは全国最低レベルで、道路交通法を守っていない運転手が山ほどいる。
スピード違反しかり、信号無視しかり、幅寄せしかり、あおり運転しかりである。
京都市内を暴走するタクシーのイメージ
筆者は週1〜2回のペースで深夜の河原町通りや堀川通りを車で通るのだが、タクシーの運転マナーの悪さにはほとほと呆れ返っている。
まあ話せば長くなるので割愛するが、要は「自分たちの稼ぎが減るから反対しているだけでしょ?」というわけだ。
筆者は人生でライドシェア初体験だったわけだが、めちゃくちゃ便利だった。
これは日本でも今すぐ始めて欲しい。
ライドシェアを既に利用している方には釈迦に説法だが、筆者の新鮮な感動体験を是非聞いてもらいたい。
筆者は毎日午前11時半にリリーちゃんと待ち合わせをしていた。
会うとまずは挨拶程度の会話を交わし、その後「じゃあ今から〇〇行こっか。バスで行く?タクシーで行く?」と聞かれる。
筆者はアルメニアの交通事情を全く知らないので「お任せで♡」と答える。
するとリリーちゃんはスマホをポチポチッとしてから、「ちょっと近くまで歩こっか」と言ってくる。
1〜2分歩いて近くのバス停でストップする。
「なるほど、バス移動ね!」と思っているとなんと、目の前に誰かの自家用車が停まったではないか。
え?( ゚д゚)
と思う間もなくリリーちゃんがナンバープレートを確認してから「この車ね」と言って勝手に後部座席のドアを開けて乗り込んだではないか。
これがライドシェアかあぁぁぁ((((;゚Д゚)))))))
「タクシー呼んでから2〜3分しか経ってませんけどぉぉぉ」と思いつつ車に乗り込む。
そして運転手に目的地を再確認し、あとは到着するのを待つだけ。
料金はスマホのアプリと連携しているクレカで支払いがなされ、目的地を入力して配車した時点で料金は決まっているのでメーターを確認する必要もない。
ドライバーによって金額が違うのね。
世界はこんなにも便利になっているのか
と驚きを隠せなかった。
市内なら大体どこの場所でも2〜3分でタクシーが到着するようで、筆者もggアプリをインストールし日本にいながらエレバンのタクシーの状況を監視してみた。
うむ、スゴい。
さすがIT大国のアルメニア!!
シートベルト着用義務は前部座席だけ
アルメニアではシートベルトの着用義務は前部座席だけである、高速道路でも後部座席のシートベルト着用義務はない。
なので後部座席に座ったリリーちゃんは当たり前のようにシートベルトを締めない。
後部座席はシートベルトの着用義務が無いとのことだったが、前述したようにアルメニア人の運転は非常に荒い。
速度が出せない市街地内での暴走運転なので「事故=即死亡」とは思わないが、筆者からすればうおおぉぉいい!!!!!!!!と思うような運転の荒さである。
筆者は4間で4回もライドシェアに乗せてもらったが、4回とも運転は非常に荒かった。
あおり運転、スピード違反、幅寄せ、中央線をまたぐなどめちゃくちゃ普通である。
まさに京都のタクシー運転手の…(以下略)
「郷にいれば郷に従え」とも言われるが、少なくとも筆者と同乗している時はリリーちゃんにもシートベルトを締めて頂いた(。-_-。)アザッス
筆者の要望に応じてシートベルトを締めてくれたリリーちゃん
アジア人は珍しい?
世界的に見ればアルメニアはアジアに属するらしい。
と言うのもトルコのボスポラス海峡より西はヨーロッパ、東はアジアというのが通例であるからだ。
しかし我々日本人から見ればアルメニアは極東アジアならぬ極西アジア、いやほぼヨーロッパと言っても良い。
なので市内にはアジア人の顔はあまり多くない。
そのせいか知らないが多くの人から二度見三度見されることが多かった。
筆者が岡田准一のようなルックスなら「ハロー」と笑顔で微笑み返すだろうが、高校時代のあだ名がボウズ、大学ではゴリラだった筆者にはとてもじゃないがそんなことはできない。
そんな筆者を二度見三度見するのは珍しいから以外に考えられない。
確かに4日間エレバンにいてアジア人は決して多くなかった。
さて、ではそろそろ教会の聖職者に凝視された話をしよう。
筆者は西洋建築に少しばかり詳しく、世界で最初にキリスト教を公認した国家としてアルメニアには数多くの初期キリスト教建築が残っている。
エチミアジン大聖堂(キリスト教を公認した直後の301〜303年に建造された)
バロック建築やゴシック建築といった荘厳で華麗な大聖堂も素晴らしいが、地味で簡素なロマネスク建築や初期キリスト教建築も見どころたっぷりでおもしろい。
そうして我々は市内のとあるロマネスク建築の教会に入ったのである。
とあるロマネスク教会
ロマネスク建築は窓が小さく天井が低いので堂内が暗いことが特徴である。
中に入るとちょうど女性2人が洗礼を受けていたところで、我々は静かに堂内の木製の長椅子に座り洗礼の様子を眺めていた。
洗礼とはキリスト教の信徒になるための儀式であり、昔は体を全て洗って清めてから儀式に移るため洗礼と呼ばれている(と思う)
洗礼ではNEW信徒の頭に少量の水をかけて〜〜〜。
洗礼のイメージ
こんなにじっくり洗礼の様子を見たことはなかったので、筆者は興味津々にジーッと眺めていたのである。
すると洗礼中の聖職者がチラッとこちらを見たかと思うと、
え!!!!!???Σ(゚д゚lll)
と声こそ出さないが明らかに驚いた様子で筆者のことを見てフリーズしたのである。
なぜか筆者をガン見する神父
強制収容所で生き別れになった愛する息子と30年後にバッタリ再会した、みたいな表情をしていた。
相手が目を逸らすのを待っていた筆者だったがなぜか相手は目を逸らさない、体感時間4秒くらい沈黙の中お互いに見つめ合っていた。
その4秒間、明らかに洗礼は中断されていた。
え、、、どうしたの?汗
聖職者がそんな感じだったので、そのうち筆者に背中を向けて洗礼を受けていた女性2人や筆者の椅子の前に座っていた女性、洗礼の写真を撮っていたカメラマンなども彼のフリーズが気になり一斉に筆者の方を振り返ったのである。
え?(・・?)ナンデスカ?
筆者の人生で珍しそうに見られたランキング堂々の1位であった。
その後、洗礼は再開され我々は教会を出たのである。
その様子はもちろんリリーちゃんも見ており、その後もその話で思い出し爆笑をするほどであった。
日本のパスポート取得率
ところで、日本のパスポートは世界でもトップクラスに最強ということを知っているだろうか。
パスポートが最強とはどういうことか、これはつまり短期の観光なら特別な許可(通常ビザ)なく入国できることを意味する。
筆者も過去に世界40カ国をバックパッカーしてきたが、ビザを取ったことは一度もない!!
ん、何も考えずに断言してしまったが…あったかな?
いや、よく考えるとあった気がする。
キューバに入国する際は海外旅行保険の翻訳書を持参する必要があったし、アメリカ入国の際はESTA、オーストラリア入国の際はETAS、そして今回イギリスに入国する際にもETAを申請した。
ビザ申請と言っても個人情報や旅券番号を打ち込んで申請し、数時間待ってOKが出るくらいなので全く苦労はしていないが。
ちなみに2025年3月現在、日本のパスポートで入国できるのは世界190の国と地域(世界第2位)である。
(出典:The Henley Passport Index)
そういう意味で日本のパスポートは世界トップクラスの利便性を誇っている。
しかし、しかしである。
日本人のパスポート取得率はわずか17%であり(2024年版)、しかも海外旅行する日本人は年々減っているようだ。
MOTTAINAAAAI!!!!!!!!!!
そう叫ぶのがアルメニア国籍のリリーちゃんである。
筆者もほとんど知らなかったが、リリーちゃんにイタリア旅行の際のビザ取得について聞くとまさに壮絶であった。
ビザ取得なんて電子申請でフォームに名前とか国籍とか旅券番号打ち込んで数時間から数日待って完了、そんな感じで考えていた。
しかし現実は全く違う、リリーちゃんは散歩しながらビザ取得の難しさを語ってくれた。
アルメニアのパスポートのビザ免除国はわずか67カ国。
そしてアルメニア人がイタリア旅行に際して用意すべき書類をザックリだが紹介しよう。
- パスポート(1冊)
- ビザ申請書(1枚)
- 署名欄に署名した申請書(1枚)
- パスポートの顔写真ページ(1ページ)
- 以前のパスポート(もしあれば、コピー1~2ページ)
- ビザ申請手数料(支払い証明書または領収書(1枚))
- 航空券予約確認書(往復チケット、通常は1~2枚)
- 旅行の詳細な日程表(1枚)
- 海外旅行保険証書(1~2枚)
- 宿泊施設の予約確認書(ホテルや民宿など、通常は1~3枚)
- 招待状(友人や親戚宅に滞在する場合)(1枚)
- 滞在先の身分証明書(招待状を出す側がイタリアに住んでいる場合)(1~2枚)
- 銀行残高証明書(1~2枚)
- 給与明細書や税務証明書(1~2枚)
まだまだ筆者が知らない書類もあるようだが、これら一枚一枚を全て用意しなければならない。
たとえば銀行、職場、市役所を走り回って必要な書類を用意するのである。
ビザ申請に必要な書類を集めるとA4ファイル2冊分になるとも言われている。
全ての書類を集めるとこれくらいの厚みになるよ、とわかりやすく教えてくれたリリーちゃん。
宿泊先や銀行残高の証明をしなければならない理由は、旅行者と偽って入国し不法移民として定着する者がいるからである。
しかし、こんな可愛らしいリリーちゃんが不法滞在するような人間に見えるか!!!??
イタリア人はナンパすることばかり考えて人間性を見ていないからだ!!!
申し訳ない、これはさすがに言い過ぎた。
イタリア国民に謝罪するm(_ _)m
優雅さ、知性、そして思いやりに溢れ、外見だけでなくその内面の美しさが彼女自身をさらに輝かせており、センスの良さ、言葉遣い、そして全てにおいて洗練されたリリーちゃんの魅力に筆者は感動している!!!
えーともかく、筆者は本当に日本のパスポートの威力に感動すると同時にアルメニアに限らずパスポートランキングが低い国々の国民がもっと気軽に海外に旅行できるようになって欲しいと切に願う。
「出身国ガチャ外れた〜」と嘆く人間が一人でも減りますように。
アルメニアで「ありがとう」は「メルシー」
アルメニア語の「ありがとう」はշնորհակալություն、カタカナ表記すればシュノラカルトゥンとなる。
しかし難しいし長いので、現地の人も普通にメルシーを使う。
メルシーとはフランス語の「ありがとう」なのだが、フランスとアルメニアは友好国であり関係が深く、エレバンでは地元民も短く発音しやすい「メルシー」を使っている。
ちなみに「メルシーもいいけど、やはり現地の言葉でコミュニケーションを取るのが旅の醍醐味でしょ!!アルメニア語のありがとうはなんて言うの?」とリリーちゃんに聞いたら「շնորհակալություն」と聞き取ることも不可能な意味不明なワードを言われ、やはりメルシーでいいかなと思った筆者であった。
市内ならほぼ全ての施設でクレカが使える
日本では大都市ですらクレカが使えない施設もまだまだ多いが、なんとアルメニアでは、いやエレバン市内ではほぼ全施設でクレカが使える。
交通機関のQR決済や民間タクシー、クレカの普及率などは日本よりも遥かに先に進んでいるようだ。
ビールめっちゃ美味しい
普段アルコールはほとんど飲まない筆者だが、アルメニアのビールは美味いと聞いていたのでディナーのついでに一杯頼んでみた。
ビールの名前はアララト(Ararat)、言わずもがなユダヤ教の聖典に出てくるノアの方舟が大洪水の末に辿り着いたと言われるあのアララト山からきているのだろう。
ネーミングセンス抜群である、日本で言えば富士山から「FUJI」と名付けるようなものだ。
おっとまた話が逸れてしまった、アララトの味についてだが最高に美味しかった。
またアルメニアに行った際にはアララトで乾杯したいものだ。
パクチー多すぎ
アルメニア料理は基本的に美味しかった。
宝くじに当たるような確率で遭遇するが、一度遭遇すれば悲惨な結果になる。
一応アルメニアの伝統料理を中心に注文したが、たまに訳の分からない黒い草が入った全く美味しくないスープなどに遭遇はしたものの、基本的にはどれもこれも美味しかった。
そう、パクチーが無ければという注釈が付く。
パクチーは別名コリアンダーとも言い、カメムシの味の草と言えばわかるだろう。
筆者はパクチーが好きではない、いやリリーちゃんに忖度しなくていいのならとても嫌いだと言いたい。
あんな全ての料理にパクチーを入れなくてもいいのに、と思うほどどの料理にもパクチーが入っていた。
果てはKhinkali(キンカリ)という蒸し餃子の中にもパクチーが入っていた。
パクチー入りの蒸し餃子(=キンカリ)
きっとアルメニア人の身体の1割はパクチーでできている。
前述したアルメニア在住の日本人男性Tさんに「またアルメニア来られたときは飯でも行きましょう!」と言われた際に「パクチー無しでお願いします!」と返したほどだ。
エチミアジン大聖堂とガルニ神殿
リリーちゃんに民間タクシーでガルニ神殿とエチミアジン大聖堂に連れて行ってもらった時の話を、かなりザックリと紹介しようと思う。
既に長過ぎるため…
エチミアジン大聖堂
エチミアジン大聖堂はエレバン市内(共和国広場)から約21km西にある世界遺産の大聖堂。
アルメニアが世界で初めてキリスト教を国教化した直後(301年)に建設を開始し303年に完成したという、正真正銘の世界最古級のキリスト教大聖堂である。
古くからアルメニアの宗教・文化・精神的な中心地であり、中央に円形のドームを持つ構造はその後のアルメニア教会建築の典型となった。
つまりエチミアジン大聖堂は、
- キリスト教最古級の大聖堂であり、
- アルメニア使徒教会の総本山としての歴史的重要性、
- アルメニア独自の建築様式、
- アルメニアの宗教文化の中心地である点が評価され世界遺産に登録された。
というわけである。
またエチミアジン大聖堂は世界遺産のくせに入場料無料なのがたまらない。
次回も絶対に行くと心に決めている。
ガルニ神殿
ガルニ神殿はエレバン市内(共和国広場)から約29km東にある神殿。
ガルニ神殿の特徴はやはり、ギリシャ神殿にそっくり!!ということである。
実はリリーちゃんはガルニ神殿の遺跡調査発掘メンバーの一人(←すみません完全にウソです)
パルテノン神殿は紀元前438年に完成し柱頭がドリス式、ガルニ神殿は西暦77年頃に完成し柱頭がイオニア式という大きな違いはあるが。
これはガルニ神殿
実はリリーちゃんはガルニ神殿の歴史的価値を著書に残している(←すみません、これも完全にウソです)
なにを隠そう、そもそも筆者が西洋建築に目覚めたキッカケはギリシャの首都アテネにあるパルテノン神殿である。
パルテノン神殿(筆者撮影)
筆者がパルテノン神殿のスゴさを語り出したら、おそらく宇宙の時間を使っても語り尽くせないだろう。
いや、さすがにそれは言い過ぎたが少なくともブログ記事をいくつか書けるくらいは知っている。
パルテノン神殿
正直な話、世界遺産のエチミアジン大聖堂よりガルニ神殿の方がはるかにワクワクした。
こっちはガルニ神殿
まあガルニ神殿のおもしろさを語り出したらただでさえ長い本記事がさらに長くなるので要点だけまとめてみた。
- ガルニ神殿はアルメニアに唯一現存するギリシャ式神殿
- 古代ギリシャの文化(ヘレニズム文化)がアルメニアにも到達していた証拠
- 当時のアルメニアには他にも数多くの神殿があったが、301年にキリスト教が国教となるとすべて壊され代わりに教会が建てられていった
- ガルニ神殿だけは周りの環境が良かったので王の夏の離宮として存続
ChatGPTは他にも、
パルテノン神殿は白色大理石を使用しており、ガルニ神殿は薄暗い玄武岩を多く使用しているのでパルテノン神殿よりも色が暗いとも言っている。
パルテノン神殿
そう、確かにパルテノン神殿に使用されている石材の方が色が明るかった。
これは盲点、さすがはChatGPTである。
そしてリリーちゃんがガルニ神殿を見てテンションが上がっているのに便乗して、筆者の趣味である写真撮影にとことん付き合ってもらった。
こんな美人をモデルにこんな写真を撮りたかった
柱の太さをお見せするつもりがリリーちゃんが主題になってしまった(笑)
自由の女神っぽくしてみた。
ちなみにガルニ神殿のすぐ近くにある廃屋に興味本位で入ろうとした瞬間、リリーちゃんがボソリと一言。
「中に野犬がいなければいいけど…。」
筆者の頭の中では完全にバイオハザードで出てくる狂犬が脳裏に浮かび、入り口を覗いただけで中に入ることができなかった。
なんせ狂犬病の致死率はほぼ100%、冗談でもあんな場所で野犬には会いたくない。
おわりに
アルメニアの首都エレバンからジョージアの首都トビリシへ、6時間の乗合バスの話も長くなりそうなので一旦ここらで一区切りとさせて頂いた。
心理的には遠く感じるアルメニアだがイタリアから5,000円くらいのフライトで行けるため、皆さんも是非訪れて欲しい。
アルメニア料理は美味しかったし、アルメニア語の意味不明な感じも非常に新鮮だった。
なにより筆者は現地の友人リリーちゃんのおかげで、普通の旅行者よりも遥かにアルメニア(エレバン)を楽しんだ気がする。
ガルニ神殿にて
言語も違う、文化も違う、タブーも違う、法律も違うなど不安はもちろんあると思うが、勇気を出して一歩踏み出して欲しい。
ではまた!