③【初期キリスト教建築】バシリカ式教会堂のプランと構造【3/5】

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初期キリスト教建築 バシリカ

ヨーロッパを旅する前に知っておくべき西洋建築の知識として、今回は初期キリスト教建築について説明します。

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※明言しますが、西洋建築の勉強をしてからヨーロッパに行けば無学で行くより100倍楽しめます。

キューバ 歴史
筆者
5回にわたってヨーロッパ30ヵ国以上を完全無学で周ってきた僕が言うので間違いありません(笑)

※「この部分がわかりにくいです」とか「これはどうなんですか?」などの質問やコメント等ありましたら遠慮なく下部のコメント欄からお問い合わせください!

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本記事は「バシリカ式教会堂のプランと構造」を解説しています。

バシリカ式教会堂のプランと構造

この章の特に重要な点を挙げると以下の2点になります↓

この記事のPOINT

➀基本的なプラン

②教会堂内部の構造

それぞれ解説します。

➀基本的なプラン

まずはバシリカについての復習ですが、バシリカとは初期キリスト教建築家たちが教会として代用した古代ローマの集会所のことでしたよね?

「は?(・。・;バシリカ?」状態の人は前回記事でもう一度復習しましょう↓

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初期キリスト教建築 イエス

これから出てくる「プラン」という単語は平面形式を表す用語ですので、ここで覚えましょう!

「バシリカとは何なのか」が何となくわかったところで、バシリカ式教会堂の一般的形式についてみていきましょう!

まず、基本的なプラン(平面形式)はこんな感じです↓

はい、意味わかりませんよね。

大丈夫、しっかり説明します!

以下の説明は、こちらの画像を見ながら読み進めてください。

バシリカ式教会堂の一般的形式は、まず入り口を入ると周囲に➀列柱廊を巡らせたアトリウムと呼ばれる②前庭があり、その中央には③泉亭(せんてい)があり、教会堂に入る前に体を清めるため、あるいは洗礼を授ける洗礼堂の役目を果たす場所だったと考えられています。

③の泉亭は「聖なる場所に入る前にはちゃんと体を清めてねー」ってことですよね。

神社で手を清めるのと似ています。

では次!

アトリウムを渡っていよいよ教会堂に入ると、まずナルテクスという④玄関廊があり、ここは洗礼をまだ受けていない洗礼志願者のための空間です。

キリスト教に帰依することを公に表明するまではナルテクスから先の⑤教会堂内部に入ることは禁じられていました。

初期キリスト教建築 わかりやすく

これは、キリスト教が公認されてまだ間もない時期だったので、異教徒による迫害を警戒していたからだと考えられています。

②教会堂内部の構造

(↑教会堂内部の様子)

ではここから信者にのみ入ることを許された教会堂内部の構造を説明します。

重要単語が頻出しますので、気合を入れて脳に蓄えましょう!

身廊と側廊

さて、教会堂は縦長の長方形プランを採用し、中央の一番広い廊下である身廊(しんろう)と、その左右の「天井が一段低く、幅も狭い廊下」である側廊(そくろう)で構成されています↓

※この身廊はとても重要なワードです!

身廊と側廊を理解するもう一つのヒントです↓

身廊も側廊も天井は木造で、身廊と側廊との間は円柱の列柱が並んでいますね。

ロマネスク&ゴシック建築で頻出する超重要ワードなので「身廊」と「側廊」だけは理解してください٩( ”ω” )و

クリヤストリー

身廊と側廊の屋根の段差を利用して開口部を開け採光しているのもバシリカ式教会堂の重要な特徴です↓

↑の画像に「身廊の屋根」「側廊の屋根」「段差を利用した開口部」を書き加えると以下のようになります↓

この身廊上部の高窓の列のことを「クリヤストリー(=クリア・ストーリー)」と呼びます。

(教会の内側から見たらこんな感じ↓)

ここまで、なんとなくわかって頂けましたか?

では続いてアプスです。

アプス

身廊には信徒の座席が並べられ、その東側の突端に⑥アプスと呼ばれる半円形の張り出しがあり、そこにはミサ典礼を司る司祭の座る席である⑦カテドラ(司教座)があり、アプスは教会堂の最も重要な部分なのです。

↑画像右側に⑥アプスがありますね、これが最重要ポイントです。

ロマネスク建築

教会堂に入場した全ての信徒たちの視線がアプスに集中するように考えられ、アプス上部にはイエス・キリストの復活&昇天や聖霊降臨などをテーマとして描かれた半ドームの壁画があるのが一般的です↓

司教はイエスの代理であり、その周りに座る司祭たちは使途を意味しているので、カテドラが置かれているアプスは教会堂の最も重要な部分なのです。

袖廊(トランセプト)

また、アプスと身廊の接続部分には、身廊と直交する廊下が入り、左右に張り出して洋服の袖(そで)のように伸びていることから⑧袖廊(そでろう=トランセプト)と呼ばれています↓

(ロマネスク建築編で紹介しますが)後にこの袖廊(そでろう)はもっと伸びて教会の左右に張り出し、なんと上から見たら教会の平面形式が十字架形になっていきます↓

初期キリスト教建築 わかりやすく

完全に十字架形になるのはロマネスク建築以降なので、現段階では「へー」とだけ思ってもらえば大丈夫です。

(↑ロマネスク建築以降のバシリカ式プラン)

一応今回のまとめです↓

初期キリスト教建築 わかりやすく

クリヤストリー(高窓)なども今後頻出する単語ですが、とりあえず上記3つの"○廊"とアプスについては絶対に覚えておきましょう。


では次に、実在する初期キリスト教建築の紹介をしていきたいと思います。

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初期キリスト教建築 実在

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