自己紹介
ほとんど自己紹介をしていなかったので、まずは相手の情報を聞き出す。
敵を知り己を知れば百戦危うからず、だ。
彼女の名前はNina(可愛い名前)
生まれも育ちもスロヴェニア(え、どこ?)
瞳の色は緑(初めて見た)
年齢が同じで誕生日は一ヵ月違い(まじ?)
テントや寝袋、バーナーを持って旅をしている(ん、、、?)
ハルシュタットでも宿を予約していないので、テント場を探さないといけない(は、、、?)
年齢が同じで誕生日もめっちゃ近いとあってさすがに向こうも驚いていたようだった。
しかしそれ以上に彼女が
という話はまさに目から鱗、寝耳に水、瓢箪から駒だった。
噂には聞いていたが、よもや身長155cmの小柄な美人さんがそのような旅をしていることが信じられなかった。
確かに、澄み切った青空と心地良い春の風がハルシュタットを包み込み「こんな自然の中で星を見ながら寝れたら最高だろうな」とは漠然と思っていた。
宿に荷物を置き散歩
そして明日何か予定ある?と聞かれたので、二つ返事で

(明日も君と一緒に過ごしたい)
という、少し不気味なくらいの中学英語で返事する。
とりあえず明日も会える事は間違いなさそうだ。
これでこそ旅である。
義務教育を終えた世の中のみんなに伝えたい!

世の中は中学英語で回っている!!!!
恐れずに今すぐ海外へ出ろ!
ずっと話していた例のベンチから俺の宿まで歩いて5~10分だった事、二人とも重いバックパックを背負っていた事もあり、俺が予約してたホテルに荷物を仮置きし散歩を開始する。
お土産屋さん寄ったり湖畔で話したり公園で遊んだり、そして今夜彼女がテントを張るためのテン場探しにかかる。

とテン場は無事に確保。
これでテン場もスーパーマーケットも見つかり、お互いの顔には安堵の表情が浮かぶ。
しかし同時に「2人でいれるのも残りわずか」と、少し淋しくもなる。
恐らく向こうもそう思ったのだと今になって思う↓

なんと嬉しい言葉ではありませんか!
「そうしよっかな」なんて話しながらお互い帰途につく。
と、その時は突然やってきた。
突然の嵐

そう思い始めたまさにその時、突然の嵐がハルシュタットを襲う(←これマジです)
そう、まさに嵐である。
つい先ほどまでの青空はどこへ?
「春はあけぼの、やうやう白くなりゆく山ぎわ・・・」などという言葉がつい出てしまうほど気持ちの良い天気。
しかし突然の、
おれが知る全ての表現を用いてもまだ足りない自然の猛威、嵐が来た!
これでいいのだ!
傘なんてもちろん持っていない二人は大雨の中、宿まで走る。走る。走るうぅぅぅ!!!(←カイジ風)
どこかの店の看板が風の力に押され引きずられ、目の前を通り過ぎ道の向こうへ消えていく(←マジです)
しかし二人は笑顔だった。
大雨の中、宿に着くまで5~10分ずぶ濡れになって走り続けた二人は笑いながら叫び合っていた。
これでこそ旅だ!!!
と。
トラブルがあってこそ旅
お互いに苦労を分かち合い、一緒に笑い合える人間と出会ってこそ旅!
旅と旅行では明らかに質が違う
と思っている。
軟球と硬球くらい違う(ちなみに筆者は野球歴0年)
まあ暇だったら一読して感想を聞かして欲しい↓
こんにちは、常に旅人であり続けたいと思っているRYOです。筆者今回は「旅」と「旅行」の違いについて考えていきたいと思います!本トピックは皆さんが明確な答えを持っていないと思いますし、筆者自身誰もが納得でき[…]
(最終日に撮影)
そしてとりあえず雨が止むまでの緊急避難という事で2人で(ぼくが予約した)ホテルの部屋に入る。

1人部屋に男女2人
よく考えてみるとトラブルはどこにでもある、まさにこの時がそうだった。
Ninaと初めて荷物を置きに宿に行ったとき、宿の受付の女性にはこう説明した。

この子はテント泊するって事なんで、一時的に荷物だけ置かしてもらってまた帰って来ます。
もちろんこの子は僕の部屋に泊まらないんで安心してください。
女性は笑顔で了解し、
「そういう事情なら分かりました、ぜんぜんOKですよ!受付は19時には閉まるのであとは渡した鍵で勝手に入って来てください」
と言われていた。
つまりNinaが俺の部屋に泊まるとなると、Ninaも部屋代を払わないといけない。
確か1泊60€(約7,800円)、3日泊まる予定で180€払っていた。

Ninaは一泊60€と聞いて目が飛び出すほど驚き、
「やっぱり日本人はお金持ち」「RYOはヒルズ族だね」
と言わんばかりの顔をしていたのを今も思い出します(笑)
Ninaも十分にそれを理解していて

を合言葉にし、ミッションインポッシブルのトム・クルーズばりの慎重さを出して3階の一番奥の俺の部屋に到達した。
部屋に入るや否や、ふうっと一息ついてお互いのずぶ濡れの服を乾かし始めた。
(↑最終日に撮影、おれの部屋)
Ninaは緊急避難のつもりで入ったが、真っ白なシーツをかぶった広々としたダブルベッドと高級そうなテーブルや椅子、テレビを前に
もう一度濡れた服を着て外に出てテント泊
なんていう選択肢は完全に消え去り結局泊まることになった。

隣の部屋から聞こえてくる声
(ここから↓の話もマジです)
2人で部屋に入ってからNinaがシャワーを浴びるまでの15分くらいの間に靴や服を乾かしたり、荷物を置いて着替えを出したりしていた。
そしてNinaがシャワーを浴びる直前、隣の部屋から官能的な女性の声がanan聞こえてきた。
してる、これは絶対にしてる、テレビも付いてない静かなおれらの部屋、どうしてもかき消せない声。
俺の頭の中を様々な感情が行き交う。

人間は緊急時には様々な感情を一度に感じると言われますが、
まさに蘇ったピクルと出会った瞬間のペイン博士の助手のような感覚でした
するとNinaがおれに静かにささやく↓


え。お、おう
犬、、、?
うん、確かに犬の鳴き声、、、かな?
と自分に言い聞かせたが、完全に犬ではない。
しかし彼女は、隣の部屋から聞こえるアンアンを本当に犬のキャンキャンだと思い込んでいる。
苦しまぎれに、

と訊くと

って真面目に答えてきた。
あれが動揺を咄嗟に隠した演技だったなら、彼女はきっと女優になれる、それくらいの自然さ。
そんなこんなで一件落着
"my boy"は彼氏
彼女に「先にシャワー使ってもいいよ」と言い、おれはとりあえず心を落ち着かせた。
何の興奮から心を落ち着かせたかは未だにはっきりとはわからないが、とんとん拍子で緑の瞳を持つ可愛い白人女性と二人きりでホテルに泊まるという状況
まさかその時に隣の部屋から喘ぎ声が聞こえてきたという事実に頭がパニックになっていのは間違いなさそうだった。
↑これがその晩撮った唯一の写真である。
これは二人ともシャワーを浴びてお互いの旅の話をしている最中に撮った気がする。
机の上にはNinaが持っていた世界地図が置かれ、テレビからはドイツ語が流れ、おれはHとロゴの入ったお気に入りの比叡山高校時代の短パン(体操服)をはきながら、時にはお互いの好きな音楽を流して感想を言い合ったり、ドイツ語で簡単な会話を練習したりした夜だった。
結局おれがシャワーを浴びて出てくると

と完全にパニックになっているNina。
テレビを付けて曲でも聞こうと提案し、無事に気まずい雰囲気も回避。
話している時に一つ忘れられないNinaの言葉があった。

この"Maribor(マリボル)"というのは彼女の母国スロヴェニアで首都リュブリャナに続いて2番目に大きな都市のことである。
正直"My boy"という表現はそれまで聞いたことが無かったが、咄嗟に思いついたのが彼氏か息子。
しかしMy boyfriendではなくMy boy。
結局は彼氏だったのだが
マイボーイ=彼氏
マイガール=彼女
勉強になった、この表現は知らなかった。
さすがに寝るときは警戒したのか、ベッドの端っこで寝るNina。
それでもダブルベッドなので十分広々と寝れたようだった。
朝食バイキング
翌朝起きるとNinaも目が覚めたところだった、とりあえずの予定は朝食バイキングである。
ホテル自体の質の高さから予想できる朝食バイキングの質の高さにワクワクさせられる。
メロン?キャビア?和牛?
しかし問題はNinaが横にいるということだ。さすがに、

とは言えない。
どうしようか考えているうちに彼女の方から朝ごはんをどうするか訊いてきた。
一応このホテルには朝バイキングがあることを告げたうえで、

と尋ねると答えはNO

と、さも当たり前のことのように訊いてきた。
それが出来ないから悩んでいるんだよ?
もう二度見では全然足りない、三度見、四度見して彼女の反応をうかがう。

そういう問題ではない。そう、全くそんな問題ではないのだ。
しかし、あまりにも強く言ってくるので仕方ない。
つい昨日に受付の女性と顔突き合わして話し合ってた事も忘れ、二人で食堂へ向かう。
一応ミッションインポッシブルの気持ちは継続しており、フードをかぶって俺と時間差で食堂に降りてくる。
通路や階段でどれだけ警戒しても、当の食堂の方が100倍危ないことをわかっていない、食堂の横に受付があるからだ。
まさにハイリスク・ローリターンとはこのことだ。
予想通り食堂の内容は申し分ない。
「ご自由にお持ち帰りください」とバナナにリンゴにミカンが悠然と並べられている。
フレーク類もチョコにプレーンに色々な種類がある。
Ninaもウキウキして皿に食事を盛っている。
ようやく食事しようという間際、昨日の受付の女性が食堂に入ってきた。

ヤバいNina!
ひとまずトイレに避難し・・・

軽快に挨拶して食卓に着いた。
正直笑顔で話しているのが信じられない↓
入り口近くの席でゆっくり30分近く話しながら食事を終わらせ部屋に帰る。
もちろん帰りもトム・クルーズになりきって三階の部屋まで向かう。
もうわけがわからない。
プロの芸人になった友人
ちょうど食後にトイレに行きスマホを見ると、FBだったかで小学校からの友人がプロのお笑い芸人になったという報告を目にした。
暇なら是非チェックしてもらいたい↓
芸名は岡田桜井、桜井が俺の小学校からの友人だ。
色々とあって中学卒業から成人式まで絶縁状態だったが今は何とか関係が元に戻っている。
漫才は何回か観たが、正直面白い方やと思う。
こいつは小中学校で学校一のモテ男(実際オシャレで爽やかで勉強もできておまけにサッカー部で運動もできたという神に選ばれた男だった)バカもめちゃくちゃやった名友と呼べる男だった。
そんな懐かしい桜井友朗氏に一言言いたい!
関西来いよ!全然舞台観に行けへんやんけ。
原口あきまさ・オードリー・スザンヌなどが所属する芸人・タレントなどのマネジメント会社。東京都渋谷区、ケイダッシュステージ…
とにもかくにも、食後部屋に帰ると部屋のノブには「No Cleaning」の札がかかっていた、部屋にクリーニングが入ると2人分の荷物が目に入るからだ。
さすが抜け目がない、実はそこはかとなく彼女の聡明さも見え隠れする。
ハイキング
とりあえず荷物を置いたまま、市内にハイキングコースがあったのでケーブルカーを使わずに山の上までハイキングする事にした。
道中では今までにハイキングした山の名前を言い合った。
その時Ninaはスロヴェニア最高峰のトリグラウ山(2864m)にも登ったことがあるなどと話していた(←結構スゴイ)
俺が空手やっているということで、何となく空手の突きを真似するNina↓
Ninaよ
もう少し右の引手は上にした方が良いし左手も完全に伸ばし切っていると肘関節に負担がかかり怪我のリスクもある。
足ももう少し左右に開かないと前後の動きには強くても左右の動きが弱くな・・・
と思っていると、突然彼女が切り出した。

Thank youとYou’re welcomeは日本語ではどういうの?
是非教えて欲しい!!
と。様々な言葉が頭の中を行き交ったが結局選んだのがこれ↓
Thank you(ありがとう)→Arigatou
You’re welcome( ええよ、気にしんといて)→Eeyo, kini shin toite
ふむ、やはり関西人なら
ありがとう→おおきに
どういたしまして→ええよ
かとも思ったが、少し難しい方が良いかなとも思いこれにした。
正直彼女には難し過ぎたかもしれない(笑)
気にしんといてをローマ字表記にすると「Ki ni shi n to i te」となりかなりややこしい。
おれはおれで、スロベニア語のおはよう"Dobro jutro(ドブロ・ユートロ)"を何回教えられても覚えられなかった。
一応彼女のスマホのメモ帳にローマ字表記し、数回の実践練習をこなす。
結構山の上まで登ってきた。
ここで真剣に考えてみた。

(※異性としてじゃなく人間として)

違う。
このノリの良さにこそ惹かれる理由がある↓
変な洞窟に落ちていた誰が被ったかわからないヘルメットを普通にかぶれる女の子、バカになれる女の子は素敵だ。
どんなに可愛くても性格が良くても一緒にばかなことをできない女性とは共に人生を楽しめる気がしない(とひそかに読者の女性たちに話しかけていることは内緒である)
少年よ大志を抱け、そして
Girls, be stupid !!
そしてあっという間に頂上に着く。
春のハイキング、当然汗をかく。
俺はラーメン屋の兄ちゃんがごとく頭に白いタオルを巻いて登山をする。
Ninaに笑われながらも、

と言わんばかりにどや顔で恥ずかし気もなく振る舞う。
そんな汗で濡れたタオル、頂上に着くなりNinaが俺の頭から取って自分の頭に巻き始めた↓

え、ちょ待って!
そのタオル汗で濡れてんで!!
という制止を振り切り普通に頭に巻き終わり、写真を撮ろうと言ってくる↓
この状況が既に信じられないのは俺だけではないだろう。
これがもし日本人の女の子だったらどうだろうか?
俺はキャッキャッ言っているNinaの後姿を見ながら考えていた↓

きっもーい
ぜったいむりーー
うっわー
なんか濡れてるしー
まぢむりー
セクハラで訴えます
と言われておしまいだ、と思いながらタオルを取り返した。
ハルシュタットの町からハルシュタット駅へ向かうボートは毎日18時前後の便が最終だ。
もうお別れは近い。
一応最終便で去るという選択をしてくれたNinaに今更ながら感謝したい。

Hvala ‼
(スロヴェニア語でありがとう)
もう時間もないし山を下りよう。

(どういう教育を受ければこんな子に育つんだ・・・)