さて、遂にこの単元にやってきたかという感じです。
世界を周るうえで必ず知っておくべき知識の一つ、それは宗教の基礎知識で宗教上のルール違反等を勉強せずに世界を旅することは危ないし勿体ないです。
今回はユダヤ教の歴史をわかりやすく図解多めでお伝えしていこうと思います!
- 1 ユダヤ教・キリスト教・イスラム教
- 2 宗教の元祖『ユダヤ教』
- 2.1 神が世界を作った
- 2.2 神がアダムとエヴァを楽園から追放する
- 2.3 ノアの箱舟で一度人類をリセットする
- 2.4 バベルの塔がまたしても神の怒りに触れる
- 2.5 アブラハムが神と契約をする(紀元前17世紀くらい)
- 2.6 アブラハムの信仰心を試すヤハウェ
- 2.7 神がソドムとゴモラを滅ぼす
- 2.8 神がヤコブに「イスラエル」という称号を与える
- 2.9 イスラエル人がエジプトで奴隷になる
- 2.10 モーセがイスラエル人と共に奇跡を起こしてエジプトを脱出する(紀元前13世紀くらい)
- 2.11 神がモーセに十戒を授ける(紀元前13世紀くらい)
- 2.12 約束の地「カナン」への到達とダビデ王(紀元前10世紀くらい)
- 2.13 モーセの十戒を祀った神殿をエルサレムに建造(紀元前960年)
- 2.14 モーセの十戒を祀った神殿をエルサレムに建造(紀元前538-515年)
- 2.15 ユダヤ人が世界に離散する(西暦132年)
- 2.16 『タナハ』とメシア(救世主)を待ち続けるユダヤ人
- 2.17 ユダヤ人の国家が現在のイスラエル
- 3 タナハと旧約聖書は同じもの?
- 4 おわりに
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教
そもそも、ユダヤ教/キリスト教/イスラム教はそれぞれ同じ神を信仰し同じ聖地を持っています。
これを聞いても、
という方は、もう少し基礎からお勉強する必要があるので以下の説明をご覧ください↓
» ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の関係性について(クリックで開く)
世界の三大宗教と言えば
・キリスト教
・イスラム教
・仏教
になります。
しかし今回のシリーズでお話するのは、
・ユダヤ教
・キリスト教
・イスラム教
の3つです。
さてそれはなぜか。
後で出てきますが、この3つの宗教は同じ神、同じ聖地を持つからです↓
言語が違うだけで全て「神」を表している。
ちなみにこの3つは三大一神教と呼ばれています。
そうなんです。
- ヤハウェ→ヘブライ語で「神」
- ゴッド→英語で「神」
- アッラー→アラビア語で「神」
という風に、全て「神」という漠然とした存在を表しているのです。
わかりますか?
なので、七福神・貧乏神・風神雷神など日本の八百万の神々という概念は全くありません。
神は1つの存在だけなのです。
多くの日本人は「宗教=コワイ」というイメージがあると思います。
賛否両論ありますが筆者も間違いではないと思います。
なぜなら古代から世界の紛争/戦争のほとんどは宗教戦争と言えるからです。
と言えるくらい、宗教と戦争/紛争はセットで考えられます。
» 折りたたむ
ということで、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の大体の関係性をつかめたところで、いざ解説に移りたいと思います!
では始めます(”◇”)ゞ
宗教の元祖『ユダヤ教』
なるべく図解多めで簡単に流れを説明していきます。
ストーリーとして大まかに理解されるのが良いと思います(^ω^)
神が世界を作った
そう、一番最初はこれです。
神が世界を創造します。
神(=ヤハウェー)はまず初めに「光あれ」と言い、6日間で世界の全てを創造したとされています。
まず一番初めに光と闇を分けました↓
その後6日間の間に空、海、太陽、月、動植物などこの世にある全てを造り、それらを支配(管理)する自分の化身として人間(アダムとエヴァ)を神(=ヤハウェー)の形に似せて造りました↓
※「アダムとイブ」とも言いますが、ヘブライ語でイブはエヴァと言います。ただそれだけです。同じ人です。
余談ですが聖書ではアダムの肋骨からエヴァが作られたと言われていますが、実際には男性と女性の肋骨の本数に違いはありません。
そこで聖書解読者のZiony Zevit氏は「肋骨ではない別の骨からエヴァを作ったのでは?」という説を提唱しました。
そこで第一候補に挙がったのが、男性器(陰茎)だったんです。
ギリシャ神話で天空神ウラノスの切り落とされた陰茎の一部から美の女神ヴィーナス(=アフロディーテ)が生まれたように、世界的に見て生命力の象徴である陰茎から生命が誕生する神話は珍しくありません。
そして一般的に他の哺乳類では陰茎に骨が存在していますが、人間の男性だけは陰茎に骨が存在していません。
一般的に肋骨と翻訳されるヘブライ語"tsela"は文脈によって様々な意味に変化するため、性的禁欲を是とするユダヤ教の中で自然に当たり障りのない「肋骨」という認識に変わっていったのではないか、と言われています。
もう一つ余談ですが、喉仏は英語で"Adam’s apple"と表記され、アダムが禁断の果実を飲み込んだ時に木の実が喉に引っかかったことに由来していると言われています。
まあ禁断の果実はリンゴだったという記述は聖書にはないんですがね!
そして7日目に神は自分の仕事に満足して休みを取り、これが1週間が7日である起源と言われています。
1日目:光
2~5日目:天と地、水、鳥、動物
6日目:男と女
7日目:安息日
神がアダムとエヴァを楽園から追放する
恐らく皆さんも耳にしたことがあると思います。
禁断の果実
これは「善悪の知識の木の実」という神が決して食べてはならないと言っていた果実のことで、ずっと自然と共存しながら平和に暮らしていたアダムとエヴァは、ヘビに化けたサタンに騙されてつい食べてしまいました(=神への裏切り)
THE END !!
「善悪の知識の木の実」を食べたアダムとエヴァは、裸でいることが恥ずかしくなってイチジクの葉で股間を隠し始めます↓
写真右側の2人がアダムとエヴァ(股間を隠している)
(/ω\)イヤン
それを見て、禁断の果実を食べたと理解した神(=ヤハウェー)はそんな2人を天上の楽園から追放しました(つまり地上に降ろされた)。
この、神との約束を破った罪深きアダムとエヴァの子孫が我々人類ということになります↓
より詳しい情報はこちらの記事をご参照ください↓
さて、本記事ではユダヤ人の聖書(=物語)である旧約聖書をなるべくわかりやすく解説してみました。 [show_more more=前置き(クリックで開く) less=折りたたむ color=#0066cc list=»]大まかな[…]
ノアの箱舟で一度人類をリセットする
アダムとエヴァから始まった人類は、時が経つにつれどんどんと人間臭くなってきました。
人類は嘘もつくし、人を陥れ誹謗中傷もするし、殺人もするしと・・・
というか、アダムとエヴァの息子カイン(兄)がアベル(弟)を嫉妬から殺しちゃいます。
より詳しい情報はこちらの記事をご参照ください↓
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そしてそのずーーーーっと後(10代後)の子孫である真面目で働き者のノアの元に大天使ガブリエル(基本的に神の言葉を伝えるのがガブリエルの仕事)が舞い降りて言いました。
嘘をついたり殺し合いを続けるしょーもない人類を一度リセットするために神がノアに箱舟を作らせました。
その間、周りの人間は
と相手にしませんでした。
ノアは神(=ヤハウェー)に命じられて、木材で箱舟を造り、世界中の動物のつがいを一組ずつ乗せて大洪水から守り、箱舟に乗ったもの以外の全ての生き物は死滅しました。
つまり人類の再スタートです ٩( ”ω” )و
この箱舟は洪水が収まった後にアルメニア(トルコのお隣の国で美人が多い国でもある)のアララト山に不時着したと言われています↓
アルメニア人の友人がいるので宣伝がてら余談をはさみました(笑)
より詳しい情報はこちらの記事をご参照ください↓
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バベルの塔がまたしても神の怒りに触れる
なんとか洪水から生き残ったノアが再び清く正しい人類を目指しますが、ノアの5代後の子孫(ペレグ)が再びやっちゃいます。
おいみんな!
神に近づくために塔を建設しようぜヾ(≧▽≦)ノ
と、バベルの塔の建設を始めます。
すると神が、
これ以上わしを怒らすでない!(ビッシーー)
と塔を破壊し、人類の言語や民族を分裂させました。
より詳しい情報はこちらの記事をご参照ください↓
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アブラハムが神と契約をする(紀元前17世紀くらい)
さて時は経ち、ノアの11代(アダムとエヴァの20代)後の子孫アブラハムは当時遊牧民としてウル(現在のクウェートくらい。諸説あり)にいました↓
すると大天使ガブリエルが降臨しこう言いました。
カナン(現在のパレスチナ)へ行きなさい
と。
「いきなりカナンへ行けなんて、ほんまかなんわ~」と言っていたかもしれませんね。
※「かなん」とは関西弁で「嫌だ・大変だ」を表す。
迷ったあげくに仕方なく家族を引き連れてカナンの地に向かい、幾多の困難を乗り越えてなんとか無事に到着しました↓
と思っていると再び大天使ガブリエルが降臨します。
と、遊牧民だったアブラハムが神から自分達の居場所を与えられたのです。
と思いますが、当時のアブラハムは非常に喜びました↓
今から4,000年前の話です。
より詳しい情報はこちらの記事をご参照ください↓
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この、アブラハムが神から与えられたカナン(現在のパレスチナ)という地域の中心にある都市がエルサレムです。
↑絶対に覚えておいてください。
世界地図からエルサレムまで拡大してみました↓
つまりこのカナンの地「パレスチナ」が【約束の地】と呼ばれ、パレスチナは神がユダヤ人に与えた地(←超重要)なのです。
※このお話が現在のイスラエルとアラブ諸国の争いの元になっています↓
西暦132年、当時ローマ帝国に虐げられていたとある民族が故郷を奪われ世界中に散り散りになった。 その民族は約1800年もの間世界中で迫害され続けたが、1948年に父祖伝来の地パレスチナに集い、様々な苦難の末に晴れて国家を建国することができ[…]
アブラハムの信仰心を試すヤハウェ
神からは同時に、
とも言われていましたが、アブラハム夫婦はずーーっと長い間、子供に恵まれませんでした。
跡取りがいないのを心配したアブラハムは妻サラの同意を得て、奴隷のハガルとの間に子供イシュマエルを授かりました。
「奴隷のハガル」って表現が少し気になりますが。
ぼくらが思ってる奴隷とは少しニュアンスが違うんでしょうかね
このイシュマエルがアラブ民族の祖と言われています。
また、高齢だったにも拘わらず実子を諦めていたアブラハムと妻サラの間にも子供ができ、名前をイサクと名付けました。
このイサクがユダヤ民族の祖と言われています↓
そして神はアブラハムが本当に信仰心を持っているか確かめるために、事もあろうにアブラハムの一人息子イサクを生贄に捧げるように言います↓
するとアブラハムは悩みに悩んだ挙げ句、イサクを丘の上に寝かせてナイフを突き立てようとします。
※息子を生贄にして神に捧げる様子
その時に絶対的な信仰心を確認した神は、
その子に手を下すな。
そなたの信仰心、しかと確認したぞ!
とアブラハムを止めたと言われています。
そしてこの息子イサクを生贄にしようとして寝かせた丘の上の岩がユダヤ教では聖なる岩として、後年に神殿が建てられることになります。
こんな素敵な言い伝えがある聖なる岩ですが、なぜかこれよりずっと後にイスラム教の開祖ムハンマドがメッカから瞬間移動してこの岩に触れたとかなんとかの理由で、理不尽にもイスラム教の聖地として上書きされてしまいました。(イスラム教編で解説)
さて、遂にこの単元にやってきたかという感じです。 世界を周るうえで必ず知っておくべき知識の一つ、それは宗教の基礎知識で宗教上のルール違反等を勉強せずに世界を旅することは危ないし勿体ないです。 今まで色んな本とか論文とか読[…]
これらから、アブラハムはユダヤ教/キリスト教/イスラム教にとって「信仰の父」「最初の預言者」と呼ばれます。
この時に、神から「子孫を天の量の半分ほど残せ」と言われたらしく、約束の印としてアブラハムとイサクは割礼(かつれい)をしました。
これ以降ユダヤ教徒は包茎を認めず、この21世紀の現代においても生後7日目に必ず割礼をするのが伝統になっています。
その理由は諸説ありますが、以下のような理由があるのではと考えられています↓
ユダヤ人はもともと砂漠の民族ですので、水は彼ら砂漠の民族としてのユダヤ人にとって生きて行く上で最も大切なものということだけではなく、「神聖」なものでした。
包茎の場合は恥垢が生じるため、その恥垢(汚れ)を神聖な水で洗い流すことになります。
このような行いは神への冒涜であり、神を汚すことになりますので、包茎手術を行い清潔な陰茎にすることを選んだと考えられます。
(銀座みゆき通り美容外科より抜粋)
なるほど、一言で言うとち○ち○を清潔な状態に保つためということですね。
神がソドムとゴモラを滅ぼす
昔々、ソドムとゴモラという町が、現在のイスラエルとヨルダンの国境にある死海周辺にありました。
ソドムとゴモラの治安は非常に悪く住民の生活も腐敗しきっていました。
ただ一人「ロト」という男のみが善良で町を正しく導こうとしていましたが、誰もロトの言うことを聞く者はいませんでした↓
みんな、収穫物は均等に分けようよ!
仮病で仕事サボるのはやめようよ!
暴力はやめて話し合いで解決しようよ!
ん、おれ様に意見してんの?(笑)
ちょっと面かせやあぁぁぁ!!!!!!!
そんな状況に神が怒り、ソドムとゴモラを滅ぼそうとしますが、ロトの叔父であるアブラハムが必死に神を説得(預言者だから)し、
と約束させました。
その試験として神は天使2人を人間の姿で町に遣わし村人たちの反応をみようとし、天使2人は善人であるロトの家に泊まらせてもらいました。
すると夜中に村人たちは「なんかよそ者の男がロトの家に泊ってるらしいぜ」と、天使たちに性的暴行を加えようとロトに天使2人を差し出すように迫ります。
いわゆる同性愛/男色です。
※これが英語で「男色」を意味する”sodomy”の語源です。
ロトは娘2人を差し出す代わりに天使2人には手を出さないように言いますが(←え?(゚Д゚;))、彼らは止まりません。
そこで天使がブチ切れます。
「この町に善人はいない」と判断した天使2人がそっとロトに、
今に恐ろしいことが起こります。
と言いました。
ロトが急いで身内を連れて町を離れようとすると、さらに天使が言いました。
そうして神は、ロト一家が町を離れたのを確認してからソドムとゴモラを滅ぼすために天から炎と硫黄の雨を降らせて町を焼き尽くしました。
当然、住人はみな死に絶えてロトとロトの妻、娘2人の4人だけが生き残りました↓
しかしロトの妻は好奇心のあまり、振り返って焼き滅ぼされた町を見てしまい、一瞬にして塩の柱に変わってしまいました。
この「ロトの妻」と呼ばれている塩の柱が死海周辺に今も残っています↓
(出典:Wikipedia「ロトの妻の塩柱」)
神がヤコブに「イスラエル」という称号を与える
ヤコブとはアブラハムの孫であり、イサクの子です。
ヤコブがヨルダン川の支流を渡ろうとしたとき、ある者と争いになりました↓
その者がヤコブに勝てないのを悟り、
あなたは以降、名をヤコブと言わずイスラエルと言いなさい。
あなたは神に勝ったからです。
と告げ、祝福を与えて名乗らずに立ち去りました。
神はヤコブに「イスラエル(神と戦って勝利したもの)」という名前(称号)を与えたのです。
え、いきなり!!?
ちょっと話の前後関係がてきとー…。
ここからヤコブの子孫はイスラエル人でもあるという事になりました。
つまり、ヘブライ人(元々の呼び名)はパレスチナ(=エルサレム)という土地を神から与えられ、自分たちをイスラエル人と呼ぶ権利を同じく神から与えられたのです。
より詳しい情報はこちらの記事をご参照ください↓
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イスラエル人がエジプトで奴隷になる
アブラハムの孫でイスラエルでもあるヤコブには12人の子供がいました↓
そのうちの一人ヨセフは父ヤコブに偏愛されており、それを妬んだ兄弟姉妹にエジプトに売られてしまいました。
兄弟姉妹に売られるんですよ!!?
ヨセフかわいそう・・・
しかし紆余曲折を経てヨセフはエジプト王ファラオに認められて、国政を任される宰相の地位にまで上りつめました。
同時期に約束の地「カナン」では大飢饉が発生しており、ヨセフは自分を売った兄弟姉妹と仲直りして彼ら全員を当時の超大国エジプトに呼んで、農耕生活を始めました↓
どんどん増える、働き者で豊かなイスラエル人を妬んだファラオはイスラエル人を奴隷として扱うようになりました↓
「おらーてめーら働けーーこのイスラエル人どもー(ピシッピシッ」
仕上げとしてファラオは、イスラエル人から産まれた男の子は皆殺しにするように命じ、この残虐非道で奴隷的な扱いは400年も続いたそうです。
しかしある時ある母親が、産んだばかりの男の子を殺されないように籠(かご)に隠してナイル川に流したのであった。
これが後の預言者モーセです。
より詳しい情報はこちらの記事をご参照ください↓
さて、本記事ではユダヤ人の聖書(=物語)である旧約聖書をなるべくわかりやすく解説してみました。 [show_more more=前置き(クリックで開く) less=折りたたむ color=#0066cc list=»]大まかな[…]
モーセがイスラエル人と共に奇跡を起こしてエジプトを脱出する(紀元前13世紀くらい)
川に流された稚児モーセは偶然ファラオの娘に拾われそのまま成人し、そして自分の生い立ちを知りファラオを憎むようになります。
時は経ちモーセは色々あって一度は家族と共にエジプトを逃げ出しますが、逃亡先で神(=ヤハウェー)のお告げを聞きます。
エジプトに帰り、イスラエルの民を救え。
そして約束の地カナンに彼らを導くのだ!
さあ、ゆけ!
モーセは再びエジプトに帰り、イスラエルの民をエジプトからカナンの地に連れて帰る旨をファラオに話しましたが、当然反対されます↓
しかしモーセは神の力を借りて、ファラオの目の前で10個のとんでもない災害をエジプトの地に起こしました↓
» 10個の災害がこちら↓
- 血の災い
- 蛙の災い
- ブヨの災い
- アブの災い
- 疫病の災い
- 腫れものの災い
- 雹の災い
- イナゴの災い
- 暗闇の災い
- 長子皆殺しの災い
» 折りたたむ
と思うかもしれませんが、筆者は昆虫恐怖症なのでこれは地獄です(笑)
これらの災いを目の当たりにしたファラオはさすがにモーセの申し出を認めざるを得なくなったので、モーセは200万人のユダヤ人を連れてカナンの地に向かいました。
しかし諦めきれずにファラオは軍勢を率いてモーセ達を追い、遂に紅海(こうかい)に追い詰めました!
ここで有名なシーンです。
(ドドドドドドドドド---
モーセが海に手を差し伸べるとパッカーンと海が2つに割れ、なんと道ができました↓
そしてイスラエル人が渡り終えると海は閉じられ、後ろから追ってきたエジプト軍は海に沈みました。
神がモーセに十戒を授ける(紀元前13世紀くらい)
このエジプトから紅海を渡った先はシナイ半島と呼ばれシナイ山(ェベル・ムーサー)があります↓
モーセがこのシナイ山の山頂に辿り着くと、神が再び降臨しモーセに十戒(じっかい)を授けます。
それは「神がヘブライ人に対する掟を記した2枚の石板」で、イスラエル人にとってスーパーハイパーウルトラ重要なものなのです↓
「十戒=10個の戒め」と書かれるように、この石板にはユダヤ人が守るべき10個の教えが書かれています。
これこそがユダヤ教成立の最も重要な契機とされています。
つまり、この「モーセが授かった神の教えを日常生活でも実践しよう」とした人々がユダヤ教徒というわけです。
なぜなら「十戒を守れない人間は神に救ってもらえない」と信じているからです。
これまで色々ありましたが、ユダヤ人で初めてモーセが神から啓示を受けたのです。
しかし当然ですが、モーセには両親がおりその両親には更に両親が・・・となっていくので、
より詳しい情報はこちらの記事をご参照ください↓
さて、本記事ではユダヤ人の聖書(=物語)である旧約聖書をなるべくわかりやすく解説してみました。 [show_more more=前置き(クリックで開く) less=折りたたむ color=#0066cc list=»]大まかな[…]
約束の地「カナン」への到達とダビデ王(紀元前10世紀くらい)
モーセですら成し得なかった、神から与えられた約束の地「カナン」へユダヤ人たちを導くという偉業を遂に達成したのが後継者の「ヨシュア」です。
当時、約束の地「カナン」にはペリシテ人というヤバ強民族が住んでいたので、カナン(現在のパレスチナ)征服は遥か先の話です。
ヨシュアの死後だいぶ経ってから、遂にユダヤ人がペリシテ人を倒してカナンを制圧しヘブライ王国を建国しました(首都はエルサレム)
↑世界史年表でも、紀元前1,000年頃にパレスチナ南部にヘブライ王国が建国されたのがわかります。
えーとにかく、そのペリシテ人を破滅に追いやったのが、皆さんご存知のダビデです↓
そう、あのダビデ像のモデルの「ダビデ」です。
当時羊飼いの少年だったダビデはペリシテ人の最強巨人ゴリアテを倒して、人気が高まり最終的に国王にまで上り詰めました↓
その後ダビデの息子のソロモンも国王になり、この「ダビデとソロモン」の親子2代はイスラエルを大いに繁栄させた英雄と言われています。
しかしソロモンの死後、息子のレハブアムが後を継ぎましたが内外からの反乱や攻撃により、ヘブライ王国は南北に分裂し(イスラエル王国とユダ王国)、その後歴史から姿を消しました(=滅ぼされた)
余談ですがダビデ像でダビデが左手に持っているもの、最強巨人ゴリアテを倒す時に使ったのですが、、、ダビデが何を持っているか知ってますか?↓(別タブで開きます)
ダビデ像の謎!!? 皆さんはダビデ像を見たことがありますか? ↑恐らく見たことありますよね? 名前も聞いたことありますよね? このダビデ像なんですが、左手に何か持っているのがわかると思います↓ 缶ジ[…]
モーセの十戒を祀った神殿をエルサレムに建造(紀元前960年)
ダビデの息子ソロモン王の時代にモーセの十戒を祀った神殿(ソロモン神殿)を初めてエルサレム(パレスチナの中心都市)に建造します。
しかしその400年後にバビロニア王国が神殿を破壊し、そのままユダヤ人を捕虜/奴隷としてバビロンへ強制連行します(=バビロン捕囚)(紀元前4世紀後半)
モーセの十戒を祀った神殿をエルサレムに建造(紀元前538-515年)
バビロン捕囚から時は経ち、再びエルサレムに戻ってきたユダヤ人はユダヤ王ヘロデの元で再びソロモン神殿を改築します。
しかし紀元70年に古代最強のローマ帝国軍によって再び破壊されます。
ここから、現在のユダヤ教徒の聖地『嘆きの壁』はこのソロモン神殿の一部と言われています↓
嘆きの壁
余談ですがゴルゴ13でもこうありました↓
ユダヤ人にとって、
このソロモン王とヘロデ王の神殿の残された城壁の一部を前にしての祈りは、
2,000年の流浪の果てにたどりついてやっと得ることの出来た心の支えの壁………….
この文の意味、なんとなくわかりますよね?
ユダヤ人はこれから2,000年に及ぶ迫害の時代を経験します。
ユダヤ人が世界に離散する(西暦132年)
そして遂に、アダムとエヴァから数千年以上も続いていたユダヤ人が世界中に散り散りになる時が来ました。
今まで、様々な国と戦争をし奴隷になったり逆に他国を滅ぼしたりしながら続いてきたユダヤ人の歴史が遂に終わりを迎えます。
ローマ帝国「てめーら、もう2度と、、、もう2度とこの地に戻って来るなーーーーー!!」
この故郷を失ったユダヤ人の乱離拡散をディアスポラと呼びます。
これからユダヤ人の長きに渡る迫害の歴史が始まるのであった To be continued…
この西暦132年のディアスポラから1948年のイスラエル建国までの長きにわたる迫害を、超簡潔にまとめたのがこちらです↓
RYOです 今回はユダヤ人迫害についての歴史をなるべくわかりやすくまとめてみました。 我々が知っている最も有名なユダヤ人と言えば、物理学者アインシュタインやアンネの日記の作者アンネ・フランクでは無いでしょうか? ユ[…]
興味があればどうぞ!
おまけ
キリスト教の物語は、このディアスポラ以前、ローマ帝国に弾圧されている当時のパレスチナの地にいる一人の女性マリアの懐妊から始まります。
興味ある方はどうぞ↓(別タブで開きます)
さて、遂にこの単元にやってきたかという感じです。 世界を周るうえで必ず知っておくべき知識の一つ、それは宗教の基礎知識で宗教上のルール違反等を勉強せずに世界を旅することは危ないし勿体ないです。 ユダヤ教・キリスト教・イスラム教[…]
『タナハ』とメシア(救世主)を待ち続けるユダヤ人
今まで述べてきた一連のストーリーが記してあるのがユダヤ教の聖典タナハ(キリスト教目線で言うところの旧約聖書)になります。
つまりタナハとは、ユダヤ人の歴史なんです!!
日本でも、イザナギとイザナミや天照大御神のストーリーを綴った『古事記』や『日本書紀』がありますよね?
あんな感じです。
そしてタナハの最終章には、
もし世界の終わりが近付いたら、神から選ばれた救世主(メシア)がやがて現れる。しかしそれは未だ現れてはいない。
と書かれているようなんです。
これはエルサレムが当時の巨大勢力アッシリアやバビロニアに侵略され、
神とアブラハムの約束が破れた(´;ω;`)
今やイスラエルの命運は尽きた…
という中で、「我々が期待できるのは救世主、すなわちメシアの出現だけだ」という救世主伝説が生まれたからだと考えられています。
つまり、
ということなんです。
さて、ここでようやくユダヤ教から派生したキリスト教とイスラム教の登場です。
キリスト教の歴史を綴った「新約聖書」では、
「イエス・キリストこそがメシアである」
と考えており、イスラム教の教えを綴った「コーラン」では、
「ムハンマドこそが最後の預言者である(救世主出現の概念は無い)」
と考えています。
つまりこの3宗教の基礎の基礎はユダヤ教なんです。
ユダヤ人の国家が現在のイスラエル
そして彼らの歴史は現在も続いています。
そして1948年に、ユダヤ人国家としてパレスチナにイスラエルという国家が誕生しました。
首都はもちろんエルサレム(国際的には未承認なので対外的にはテルアビブ)で、昔々にローマ帝国やバビロニアに破壊されたソロモンとヘロデがモーセの十戒を祀るために建造した神殿のある場所です。
ここで再びゴルゴ13のワンシーンです↓
余談ですが、ゴルゴ13にはイスラエルの話がやたら多いです。
このお話は反イスラエル派の依頼シーンなので内容はこんな感じです↓
われわれは、どんな困難があろうと、父祖伝来の地、パレスチナをユダヤの手から奪回せねばならぬ!
1,900年前この地を捨てたユダヤ人が、(=ディアスポラのこと)
今ごろになって帰って来て土地の先住権を主張しおる!(=1948年イスラエル建国のこと)
1,900年前の所有権が生きるなら、アメリカはインディアンのものだし………..
ちょっとわかりました?
これがいわゆる中東戦争の原因でもあり、イスラエルという国が大いに周辺諸国ともめている理由なのです。
中東戦争の記事でも詳しく説明しているので、もっと知りたい方はこちらで↓(別タブで開きます)
西暦132年、当時ローマ帝国に虐げられていたとある民族が故郷を奪われ世界中に散り散りになった。 その民族は約1800年もの間世界中で迫害され続けたが、1948年に父祖伝来の地パレスチナに集い、様々な苦難の末に晴れて国家を建国することができ[…]
タナハと旧約聖書は同じもの?
基本的に「タナハ=旧約聖書」と思ってもらってもいいのですが、実は少し違います。
神(=ヤハウェ)とユダヤ人との間の契約について書かれた、ユダヤ人の物語がタナハです。
もちろんユダヤ人の言葉、ヘブライ語で書かれています。
しかしキリスト教徒からみたユダヤ人の物語「旧約聖書」はギリシャ語で書かれているので、ヘブライ語とギリシャ語の間の翻訳時の差がどうしても出てきます。
例えば「乙女であった(聖母)マリア」というヘブライ語をギリシャ語にすると「処女だった(聖母)マリア」と訳されます。
この訳し方の違いで、キリスト教徒が信仰の拠り所としている「聖母マリアは処女なのに懐妊した」という奇跡のエピソードが全くのデタラメになってしまいます。
タナハ:ヘブライ語で書かれたユダヤ人と神との物語(オリジナル)
旧約聖書:ギリシャ語で書かれたユダヤ人と神との物語(オリジナルをギリシャ語に訳したもの)
ですので『旧約聖書』はあくまでもキリスト教から見たユダヤ人のエピソードで、完全なオリジナルでは無いんです。
なのでオリジナルのユダヤ教典はタナハと呼びましょう。
「旧約聖書」の呼び方はキリスト教からの視点であり不公平
旧約聖書/新約聖書と聞くと一瞬、
と思う方が多いと思います。
物語の年代だけみればその通りですが実はこの「新旧」の呼び方はキリスト教徒が一方的に世間に広めた不公平な呼び方なんです。
ここで再びおさらいですが、ユダヤ教徒は「現在も救世主(メシア)の登場を待ち望んでいる」という立場です。
これがタナハの最終章の内容です。
しかしキリスト教徒は、
イエスこそが救世主(=メシア)なので、ユダヤ人が待ち望んでいるメシアなる人物はもう出てこない。
タナハはもう完結している!
という立場を取っています。
『ユダヤ人の歴史編ー完ー』の状態です。
そこでタナハの物語は既に終わっているということを強調するために、
ユダヤ人の歴史はもう終わった→古い契約→旧約聖書
新しくイエスの歴史が始まった→新たな契約→新約聖書
と名付けたのです。
「キリスト」とは「救世主」という意味なので、「イエス・キリスト」と呼ぶ時点で「イエスが救世主」と認めていることになり、「旧約聖書」と呼ぶ時点で「ユダヤ教の話は終わっている」と認めていることになります。
なので呼称は気を付けましょう↓
〇イエス・キリスト→(ナザレの)イエス
〇旧約聖書→タナハ
おわりに
非常に長くなりましたが、以上の一連のストーリーを『ユダヤ教の歴史』とさせて頂きました。
もちろん詳しいことを話し出すとめちゃくちゃ長くなりますし、ぼくが知らない話や名前も山ほど出てきます。
諸説あるので、このストーリーが正しいとも限りませんし、他の方が書かれているストーリーが正しいとも限りません。
結局は解釈次第という部分もありますが、大筋は間違ってはいないと思います。
また興味があればご自身でも調べてみてください。
次はキリスト教編です↓
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