【旧約聖書➀】世界一有名な神話「天地創造」と「アダムとエヴァ」

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ユダヤ教 旧約聖書 歴史

さて、本記事では、ユダヤ人の“聖なる物語”――そう、旧約聖書という名の一大叙事詩を、なるべく分かりやすく、そしてちょっぴり笑える感じで解説していく所存である。

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全体のざっくりストーリーについては、すでに別記事で語り尽くしているので、「旧約って何だっけ?」という方は、まずはそちらをご一読あれ↓

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ユダヤ教 歴史
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旧約聖書 まとめ わかりやすく

本書では、その記事で触れた内容をさらに掘りに掘って、スコップが折れる寸前まで深掘りした構成となっている。

読む際には、その覚悟を持って臨んでいただきたい。

参考文献は『眠れないほどおもしろい「聖書」の謎』。タイトルだけでもう面白そうである。

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ではさっそく、神と人類の濃すぎる関係史をのぞいてみようではないか(”◇”)ゞ

※なお、本記事に登場する写真のほとんどは画像生成AIによる産物であり、「あれ?この人見たことある!」と思っても、たぶん気のせいである。
実在の人物とは無関係なので、そこんとこよろしく。

世界一有名な神話「天地創造」と「アダムとエヴァ」

ユダヤ教 旧約聖書 歴史

初めに、神は天地を創造された。

地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が木の面を動いていた。

神は言われた。光あれ

旧約聖書は、まさにこの一文(創世記1章1~3節)から幕を開ける。

冒頭からいきなり「光あれ」である。

開始3秒で世界に光が灯るインパクト。
なんとも神々しいオープニングである。

筆者もいつか、会議室で「光あれ」と言って照明をつけてみたいと思っている。

神、序盤からだいぶテンション高めである。

神は世界をカラフルに彩ろうと、7日間というスケジュールを組み、見事に天地をクリエイトしていく。

その手際の良さと構成美には、神ながら拍手を送りたい。

以下に、その7日間の創造の記録をざっくりまとめておいた。

まあ、長いので、サーッとスクロールしてもらっても誰も怒らない。

神もたぶん許してくれるはずだ。

  1. 一日目に生み出したのは光。
    創造した全てを見渡すことができるよう、またこれから創り出すものが闇に迷うことが無いよう、神は光と闇を分け、昼と夜とした。
  2. 二日目に着手したのは天を創り出すこと。
    世界を覆いうごめく水を、上下の二つに分離し、上の水を空とした。空と水の間には空間ができた。
  3. 三日目、神は下の水を一つに集め、海を創り、乾いた大地を出現させた。
    そしてその上に青草と種を持つ草、実をつける果実を生やす。
  4. 四日目には昼と夜を照らす太陽と月と星をそれぞれ配置し、生物が生息しやすい環境を整えた。
  5. 五日目には水に生息する生き物・魚と、天の屋根の下を飛び交う生物・鳥を生み出した。
  6. 六日目には大地に生きる様々な生き物や家畜、獣を誕生させ、自分の創りあげた世界を見渡した。
    そして最後に、自分の代わりに「ありとあらゆる生き物を統治すべきもの」として、土の塊から自らの姿に似せた人間を創り出した。
  7. こうして全てに満足した神は、七日目に休息をとる。

これが、いわゆる「天地創造」の物語である。

旧約聖書 わかりやすく ユダヤ人

この物語、ただの神話と侮ることなかれ。

  • 「自分たちはなぜ生まれ、なぜ死ぬのか」
  • 「昼と夜はなぜあるのか」
  • 「地球はどうやってできたのか」
  • 「草や木、魚や鳥、その他の生き物はいつから存在するのか」

…こういった素朴で深い疑問は、人生で一度くらいは脳内に浮かぶものである。

創世記は、そんな“人類の根源的モヤモヤ”に対して、ひとつの神話的アンサーを提示してくれる。

つまり、神が全てを創ったということである。

もちろん、こうした「創造神話」は旧約聖書だけの専売特許ではない。

世界各地の神話にも、それぞれご当地テイストのクリエーター神が登場する。

たとえば――

  1. インド神話なら、創造担当は「ブラフマー」
  2. 日本神道では「イザナギ・イザナミ」コンビ
  3. エジプト神話には「アトゥム」
  4. ギリシャ神話では、大地ママの「ガイア」が最初の主役だ

しかし、ここで注目すべきは、旧約聖書の神が“最初から最後まで全部一人で創った”という点である。

他の神話では、神々が分担制で世界を管理していることが多い。

たとえばギリシャ神話を見てみよう。

旧約聖書 わかりやすく ユダヤ人
ゼウスは最高神、ポセイドンは海の神、ハデスは死者の国の神、アレスは軍神、アフロディテは美と愛の女神…

…とまぁ、それぞれ部署が割り振られているのだ。

言ってしまえば“神々による多国籍企業”である。

ところが旧約聖書の神は、なんと一人で全セクションを兼任するスーパー単独経営者なのである

光から海、空から鳥、そして人間までもワンオペで創造してしまった。
しかもたった6日間で。

神、ブラック労働の最前線。

つまり天空も大地も海も生物も全て「唯一神」が創造したというのは結構特殊なのである。

さらには、その人間に「この地球の管理、君に任せたぞ」と、権限委譲までしてくるというから驚きだ。
まだ人間、靴も履いてない状態なのに。

他の神話ではあまり見られないこの大胆さ。

この点において、旧約聖書の創世記は、かなりユニークで、かつ哲学的な神話体系だと言ってよいだろう。

――まさに“唯一無二”の唯一神による、唯一の物語である。

アダムとエヴァの登場

さて「創世記」の中で神が人間に対し最初に「絶対的な権力」を見せつけるのが、アダムとエヴァの物語である。

エヴァ英語読みでイブとも言うが、筆者は原語であるヘブライ語を尊重してエヴァと呼んでいる。

神は自らの代理として創り出したアダムを、「エデンの園」なる楽園に住まわせた。

旧約聖書 わかりやすく ユダヤ人
まずはアダム一人が創られた

神「アダムよ、エデンの園で心ゆくまで暮らすがよい」

アダム「わたくしめがこの園の管理を?ありがたきお言葉m(__)mヘヘー」

こうしてアダムは、園内に住むあらゆる生き物に名前を与え、園の管理人としての日々をスタートさせる。

しかし、どれだけ自然が豊かでも、どれだけ動物がいても――
人間、ひとりぼっちはやはり寂しい。

アダムには、向き合い、語り合い、肩を並べる“誰か”がいなかった。

そんな様子を見た神は「これはマズイ」と判断し、アダムを深い眠りに落とし、肋骨を抜き取ってそこから女性「エヴァ」を創り出した。


アダムに続いてエヴァが創られた

エヴァの登場により、アダムのソロプレイは終了し、デュオ生活がスタート。

二人はエデンの園でのんびり木の実を食べつつ、平和な日々を送っていた。

神も時折園を訪れ、二人に声をかけていた。

神「善い行いをするのじゃ、さすれば一生幸せであろう」

アダム&エヴァ「はい!善きことをします!神様大好きです!!」

当時の彼らはまだ“善悪の知識”を持っておらず、神の言葉をそのまま純粋に受け入れていた。

しかしある事件をきっかけに、アダムとエヴァは神にぶちギレられるのである…。

エヴァはアダムの性器から作られた?

その事件の詳細に入る前に、ここで一つ、神話マニアにはたまらない“豆知識”を紹介しておこう。

「アダムの肋骨からエヴァが作られた」と書いたが、冗談じゃなくこの世の中には「エヴァはアダムのおちんちんから作られた」という強力な説がある。

詳しく読みたい方はこちらをクリックしてくれ。

» エヴァはアダムの性器から作られた?(クリックで続きを読む)

聖書ではアダムの肋骨からエヴァが創られたと言われているが、実際には男性と女性の肋骨の本数に違いはない。

そこで聖書解読者のZiony Zevit氏は「肋骨ではない別の骨からエヴァを作ったのでは?」という説を提唱した。

そこで第一候補に挙がったのが、男性器(陰茎)だったのである。

ギリシャ神話で天空神ウラノスの切り落とされた陰茎の一部から美の女神ヴィーナス(=アフロディーテ)が生まれたように、世界的に見て生命力の象徴である陰茎から生命が誕生する神話は珍しくない

そして一般的に他の哺乳類では陰茎に骨が存在しているが、人間の男性だけは陰茎に骨が存在しない

一般的に肋骨と翻訳されるヘブライ語"tsela"は文脈によって様々な意味に変化するため、性的禁欲を是とするユダヤ教の中で自然に当たり障りのない「肋骨」という認識に変わっていったのではないか、と言われている。

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したがって、「エヴァはチンチンから生まれた」は、まったく荒唐無稽な話ではないのである。

では本題に戻る。

禁断の果実

しかしある日、エヴァがひとり園内をふらふらしていると、一匹のヘビが音もなくにじり寄ってきた。

そして、いかにも含みのある声でこう尋ねてくる。

ヘビ「園のすべての木の実を食べたらいけないって、本当かい?」

神はエデンの園の全ての木から食べ物を得ることを許していた、善悪の知識の木を除いては。。。

エヴァ「善悪の知識の木の実だけは食べてはいけないの。死んでしまうから触れることすらダメだと神は仰ったんです」

それに対し、ヘビは何食わぬ顔(?)で誘惑する。

ヘビ「決して死ぬことはない。神が禁じるのは、それを食べると目が開け、神のように賢くなれるのをご存知だからだよ。だから食べてごらんよ♡」

なんという営業力。
某訪問販売員も顔負けである。

エヴァ「まあそうなの?それなら一口くらいかじってみようかしら…でも、、、うーん…」

そして――エヴァは、ヘビの言葉に負けた。

神が「絶対にやめろ」と言ったその木の実に、ついに手を伸ばしてしまう。

ひとくち。

その瞬間、エヴァの中で何かが変わった。

美味しい。
美味しすぎる。
これは果実界の革命だ。

興奮したエヴァは、アダムのもとに駆け寄り、こう言った。

エヴァ「アダム!これ食べてみて!マジで神レベルにヤバいから!」


「ほら、アダムも食べてみなよ」と禁断の果実を勧めている様子

エヴァァァァァァ\(゜ロ\)(/ロ゜)/

アダム「え、そうなん?じゃあちょっとだけ……」

こうしてアダムとエヴァは人類最初の罪を犯したのだ。

また余談だが、喉仏は英語で"Adam’s apple"と表記される。

アダムが禁断の果実を飲み込んだ時に木の実が喉に引っかかったことに由来していると言われている。
※禁断の果実がリンゴだとは聖書には一言も書かれていないが。

「原罪」と「楽園の追放」

禁断の実――すなわち「善悪の知識の木の実」を食べたアダムとエヴァは、突如として自分たちが「スッポンポン」であることに気づき、猛烈な羞恥心に襲われた。

慌ててイチジクの葉を使い、腰元を隠すという原始的DIYに取りかかる。

そこへ神が登場。
気まずさMAXの空気が流れる中、神は静かに、しかし確実に詰めに入る。

神「ん、なぜそんなに挙動不審なのじゃ?何を隠しておる?」

アダム「自分が裸なのが恐ろしくなったのです。」

神「なぜそんなことを知った?もしや、禁じていた木の実を食べたのか?」

はい、完全にバレた瞬間である。
神の怒りが空気を震わせる中、アダムとエヴァは責任のなすりつけ合いを始める。

アダム「いえ!これは全部エヴァが……彼女が実を持ってきたんです!(←おい)

エヴァ「だって、ヘビが食べろって言ったんです!(←いや、だからって…)

――見苦しい、見苦しすぎる。

自己責任という言葉がこの時代に存在していたなら、神もきっとこう言ったであろう。

神「で?自己責任じゃろ?もうよい、失せろ」

と。

神は、信頼していた人類の初期ロットが早くも裏切り行為に及んだことに深く失望した。

そこで、それぞれに“人生の重荷”を課すことにした。

㋐男には労働の義務を、㋑女には出産の苦しみを与え、老いと死の宿命を宣告したのである。

アダム「わたしには労働の義務ですと!!!!??」

エヴァ「出産の痛みって、どれくらい……え、ガチで!?」

そして神の命に背いたという原罪を背負わせ、楽園から追放した。

神「この愚か者どもめが。二度と天界へ帰ってくるでない」

これが、聖書における「楽園追放」という大事件である。

この楽園追放という聖書の重要なワンシーンを切り取ったのがこちらのステンドグラスである↓

旧約聖書 わかりやすく ユダヤ人
アダムとエヴァが楽園から全力で退場する様子を描いたもの

これはとある教会のステンドグラスだが、言葉の通じない人間に聖書のストーリーを理解させるためにこういったビジュアル教材を用いたのだ。

もちろん、ヘビもまたただでは済まなかった。

神はヘビに対し、次のように宣告する。

神「このようなことをしでかしたお前は、すべての家畜・野獣の中でもっとも呪われる存在となる。お前は生涯、地を這い、塵を食らって生きていくがよい――!」

このとき以降、ヘビは“地面を這う者”として生きることになった。
どうやらヘビ自身も“足を失う制裁”を受けたらしい。

厳しすぎる。

ちなみに、「このヘビは悪魔サタンだった」「あるいはサタンの使いだった」などという説は後世の解釈であり、創世記の聖書内にそのような記述は一切ない。

つまり、ただのめちゃくちゃ口のうまいヘビだった可能性もある。

油断ならぬ。


では次ページでは、原罪を背負った人類が初めて迎える“最悪の悲劇”――
「人類初の殺人~カインとアベルの悲劇~」を紹介する。

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