ヨーロッパを旅する前に知っておくべき西洋建築の知識として、今回はルネサンス建築について説明します。
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※明言しますが、西洋建築の勉強をしてからヨーロッパに行けば無学で行くより100倍楽しめます。

※「この部分がわかりにくいです」とか「これはどうなんですか?」などの質問やコメント等ありましたら遠慮なく下部のコメント欄からお問い合わせください!
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ルネサンス建築で学ぶポイントは以下の7つです↓
・ルネサンス建築とは
・ルネサンスの意味と背景
・初期ルネサンス
・中期ルネサンス
・盛期ルネサンス
・マニエリスムと後期ルネサンス
・ドーム形の天井と屋根
全ての内容を書くとかなり長くなりますので、各章ごとに図解入りの詳細記事を用意していますので理解を深めるために是非お読みください!
今まで各章ごとに記事を分けていましたが、逆に何記事もまたいで読みにくいかと思い、試しに1ページに全てまとめました。
読みにくいようなら改めて記事を分けるので、その際はコメント欄をご活用ください。
ルネサンス建築とは
まずルネサンス建築の概要を説明します。
ルネサンス建築は、15~16世紀に古代ローマ建築を模範としてイタリアで発祥しヨーロッパ全土に普及した均衡や形態美を追求した建築様式
です。
ルネサンス建築では、約1,000年前に滅亡した古代ローマ帝国時代のローマ建築の造形法を再発見しようとし、建築の本質は哲学と数学にあるとみなされて「比例」の概念をローマ時代よりいっそう精緻に理論化しました。
ギリシア建築編、ローマ建築編を読んでいない方は「オーダー」とか「イオニア式」とか「エンタブラチュア」というワードでパニックになると思うので先にそちらについて説明している記事をご覧ください↓
【図解でわかりやすい】ギリシャ建築の3つのオーダー【4/7】
※でないと、そのまま読み進めてもいずれバタンキューです。
以降、ある程度これらを読んで頂いている前提で話を進める部分もありますので悪しからず。
ルネサンスの意味と背景
では次にルネサンスの意味と背景を解説します。
ルネサンスの背景
ルネサンスとは「再生」を意味するフランス語で、もともとは古代文芸の復興を指しましたが、その本来の目的は「人間の価値の再発見」でした。
中世ヨーロッパの人々は、教会の権威に護られた狭い宗教的世界のなかに安心を見出していました。
つまり「信じる者は救われる」というキリスト教の教えにどっぷり浸かっているということですよね。
とりあえず教皇様の言うことに従って、とりあえず教会でのミサにも真面目に出席していれば、多少面倒で理不尽なルールはあるけど、とりあえずは一生安泰一生安心。
しかし中世末期になると、そういうキリスト教会のピラミッド構造を「束縛」と考え始める人々が現れ始めました。
彼らは人間が教会の庇護下に入る以前の、つまり
人間が自由に感情や思想を表現できていた古代
への回帰を強く望みました(古代がそんな時代だったかは不明ですが)
キリスト教の支配下にいるのが当然の中世ヨーロッパで、ある時からこういう人間が出てきました↓
キリスト教って結構ピラミッド社会だよねー。
毎日曜日、教会に行かないと「信徒失格」とか言われるし。
こっちも毎日色々と忙しいからキリスト教会が決めたルールを100%守るってのも難しいんだよね
このような一群の人々が初めて現れたのは、古代ローマの伝統が(1,000年経っても)完全に途絶えることなく存続していたイタリアの、なかでも商人が力をもち自由闊達な雰囲気が溢れていた都市フィレンツェにおいてでした。
ルネサンス建築の課題
この時代、古典建築を模範とするなかで最も重要視されたのがオーダーでした。
いわゆる「柱」と「梁」の建築ですよね↓
オーダーは美の根源として神聖視されていました。
「オーダー?ペディメント?コリント式?意味不明過ぎワロタww」
という方!
ギリシャ建築編とローマ建築編を読まずにこの記事に辿り着かれましたね?
ルネサンス建築をしっかりと理解するには、↓を先に読まれる方が圧倒的に近道です↓
ルネサンス建築の課題は、ローマ建築の造形法を再発見し、それを都市の新しい実力者たちの邸宅であるパラッツォ(邸館)や郊外のヴィラ(別荘)、または新たに意味づけし直された教会堂などに適用することでした。
ここである疑問が湧きましたよね?↓
古典建築=ローマ建築と考えられていた時代なんです。
先ほど紹介した古典建築の記事(ギリシア建築とローマ建築)の内容を理解している人にとっては、ルネサンス建築はそんなに難しくありませんよー
ルネサンス建築の時期による分類
ルネサンス建築と一口に言っても、実際には(本書では)大きく以下の4つに分けられています。
・初期ルネサンス建築
・中期ルネサンス建築
・盛期ルネサンス建築
・後期ルネサンス建築(マニエリスム)
それぞれの概要を簡単に説明していますが、もう興味ない方はここまでで結構です(笑)
» 各時期の特徴を一言で表現↓
・初期ルネサンス建築
→基本中の基本、オーダーの大原則を外した完全なオリジナル
・中期ルネサンス建築
→古典建築に敬意を払いながらも、自分たち独自の新たな建築様式を模索している途中
・盛期ルネサンス建築
→オーダーの大原則である円柱を用いずに、古典系建築風を非常に醸し出した傑作
・後期ルネサンス建築(マニエリスム)
→オーダーを分解・融解する過激な傾向が現れる
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さて、難しい話ばっかりで嫌気がさしてくる頃なので、そろそろ写真と共に一つずつ見ていきましょう。
では初期ルネサンス建築の解説に移ります↓