【ロマネスク建築】教会堂の2つの形式【3/5】

こちらは西洋建築のロマネスク建築を理解するために必要な、教会堂の2つの形式を解説している記事です。

教会堂の2つの形式って、バシリカ式と集中式やっけ?

はい、そうです!(コイツ先に初期キリスト教建築編読んでるな)

教会堂の2つの形式

この章の特に重要な点を挙げると以下の2点になります↓

この記事のPOINT

➀集中式

②バシリカ式

それぞれ解説します。

↓こちらで詳しく書きましたが(別タブで開きます)

この時代の人々は、キリスト教の普及とともに大聖堂や教会堂や修道院の建設に最も力を注ぎました。

※信者を統一してまとめるために教会堂などが必要だったからですよね

キリスト教では「洗礼」や「結婚」などの儀式をミサと呼び、教会堂で行います。

その教会堂の中心となる卓を「祭壇」(さいだん)と呼び、祭壇が教会堂の核となる最も重要な部分です。

そんな教会堂ですが、実はその形状から主に

➀円形/正方形/正多角形にドームが付いた集中式

②長方形や十字形のバシリカ式

の二つに分けられます。

初期キリスト教建築編がこの章の予習の内容になっているので、まだの方は先にそちらを読んで頂いた方がより理解しやすいと思います↓(別タブで開きます)

➀集中式

(↑トルコの首都イスタンブールにあるハギア・ソフィア)

基本的に「集中式」は宇宙と人間の完全性を具現化したもので、礼拝堂などではよく用いられましたが、参列した大勢の信者と聖職者が祭壇を挟んで対面するミサの形態に適さなかったので教会堂の形式としては少数です↓

※バシリカ式の方も勉強すればより理解が深まりますので、とりあえず読み進めてください。

集中式の特徴は、平面では円、正方形、正多角形が基本となり、中央部の屋根にはドームが採用されています↓

こちら↓はエルサレムにある岩のドームで、イスラム教の聖地ですが、やはり集中式となっています。

しかし主にヨーロッパのキリスト教世界では次に紹介するバシリカ式が主流でした。

集中式はキリスト教のミサの形式には合わないのでバシリカ式が主流になった!

②バシリカ式

これから説明する用語はどれも非常に重要なので、漠然とでもいいので頭の片隅に保存して下さい。

↑バシリカ式とは、ヨーロッパの教会堂に多く用いられる形式↑で東西に長い長方形の平面をもち、西側の端部に教会堂への入り口(扉口)をもつ教会堂です。

POINT

中世に建てられた教会は基本的に東西に長く、西側に玄関口があり、東側に祭壇があります。

バシリカ式の多くは上から見ると「十字架形」をしています↓

(↑シャルトル大聖堂。ちなみに双塔の足元に玄関があり、十字架の頭側にアプスがあるので、上の写真からだけで東西南北がわかります。)

キリスト教世界の中世ヨーロッパでは、祭壇に向かう長軸方向の動きを重視するミサの現実的要求に沿わない集中式の礼拝堂は流行りませんでした。

意味わかりますか?

つまり教会側としては、玄関から入ってきた信者をなるべく奥の祭壇まで長く歩かせたいんです。

なぜならその方が厳かでありがたい感じがするから(笑)

集中式だと、玄関から入ってすぐに祭壇なのでまだまだ現実的な感じがしますもんね。

この西側の正面(玄関)を特に西正面と言います。

※以降、こちら↓の図に沿って説明していきます(何度も何度も見てください)

(↑西側に玄関口があります)

【解説】身廊と側廊

バシリカ式教会堂の内部には、幅の広い中央の部分「身廊(しんろう)」とその両側にある幅の狭い部分「側廊(そくろう)」からなり、身廊と側廊は列柱で分けられています↓

身廊に面したアーケードを大アーケード↑と呼びます。

【解説】クリヤストリーとアプス

身廊は側廊よりも天井が高く、列柱の上方には壁(身廊壁)が立ち上がっています。

この壁の上部にアーチ形の窓クリヤストリー(高窓)をあけて、身廊への採光を確保しています。

(↑採光確保のための身廊壁上部のクリヤストリー)

身廊の東端部は通常、半円形の窪み(アプス↓)となって終わります。

初期はアプスに聖職者席を配置し、その前面に主祭壇を置きましたが、のちに聖職者席と主祭壇の位置が入れ替わりました。

↑確かに主祭壇の奥に聖職者席があると「聖職者は神よりエライ」ともとれますもんね

(聖職者席の奥に主祭壇)

アプスと主祭壇を含む東側の部分は聖職者の専用空間(内陣(ないじん))であり、一般信徒に解放される部分(外陣(げじん))と分けられています。

【解説】袖廊と周歩廊

内陣(ないじん)と外陣(げじん)の間に、身廊に直交して短い廊がとられることがり、この廊をトランセプト(袖廊(そでろう))と呼び外陣に含まれることが多いようです。

また、ロマネスク建築以降では巡礼者が聖堂内陣の周辺を一周できるような回廊(周歩廊(しゅうほろう))が設けられている聖堂もあります。

掲載できるフリー写真が見つからなかったので、気になる方は「周歩廊」で検索してください↓(別タブで開きます )

周歩廊のGoogle画像検索結果

【補足】アプスの東西の変化

なお、(ローマ帝国での)キリスト教公認直後の教会堂では礼拝形式が定まっておらず、ローマの旧サン・ピエトロ大聖堂のように西側にアプスを、東側に入り口をとる教会堂も存在しましたが、6世紀には東側にアプスをとる配置が定式になりました。

この他にも、側廊をもたない単廊式教会堂や側廊と身廊の天井の高さがほぼ同じホール式教会堂なども存在します。

※ここでは言及していませんが、縦軸と横軸の長さが等しい+形の「ギリシア十字」はビザンツ建築(東ヨーロッパ)で用いられました↓

(聖シメオン教会)

ギリシア十字形の教会↑、こんな感じです。

ぼくらが良く知る十字架の形は「ラテン十字」と呼ばれます。

バシリカ式の方が信者をまとめるのに都合が良かった!

では次に、古典系建築との大きな違いについてお話したいと思います。

【ロマネスク建築】古典系建築との大きな違い【4/5】

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