RYOです
今回は気象に関するおもしろいトリビアを書きたいと思います。
2018年の1月に初めてフィンランドのロヴァニエミという北極圏の真下に位置する町を訪れました。
こらぁテント泊したら死ぬかも(笑)と思っていました。
北極圏と聞くとそれはそれは恐ろしい生命の存在できないような凍てついた場所を想像してしまいますが、ヨーロッパ大陸の北極圏は同緯度のシベリアやアラスカに比べて遥かに暖かいのです。
今回は、その理由をなるべくわかりやすくご説明したいと思います。
北極圏とは
北極圏は、北極線と呼ばれる"北緯66度33分45秒9"の線より北にある地域の総称で、定義を超簡単に言いますと
となっています。
なぜ同緯度の北シベリアやアラスカより暖かいのか?
大きな区切りで説明すると、これには以下の2つの要素が関係しています。
- 北大西洋海流
- 偏西風
どこまで詳しく言うべきかはわからないので、いま自分の中で上手く説明できる範囲で述べていこうと思います。
つまり土地の気候は➀海流と➁風の2点が関係する、ということですね。
北大西洋海流
初めに言っておきますと、未だに世界中の海流については謎が多いです。
意外と知られていませんが、世界の気候というのは海流によって非常に左右されるのです!!
(出典:Current World Map)
海流は絶えず世界中の海を流れており、暖流か寒流かに区別されます。
世界中には親潮や黒潮、メキシコ湾海流や北(南)大西(太平)洋海流など多くの海流が存在します。
その海流はお互いに混ざったり分離したりしながら世界中を駆け巡っています。
では実際に下の地図を見ながら解説していきたいと思います↓
(地図掲載1回目)
まず大まかな流れはこうです↓
上の地図を参考にしながら読み進めてください。
- 赤道下で強烈な太陽光に温められた海水は「北赤道海流」に乗ってカリブ海に入り込む。
- ここで「メキシコ湾流」と名前を変え、アメリカ東海岸に沿って北上する。
- そのまま北東に上がりヨーロッパ北部(イギリス・アイスランド・ノルウェーなど)へと到達する。
- メキシコ湾流はヨーロッパ北部まで熱を届けて、そのまま赤道に戻る海流と北極海に向かう海流に分かれる。
超重要なので、同じ地図をもう一度載せておきます↓
(地図掲載2回目)
合わせて赤道の位置も確認してください!
オレンジ色の「北赤道海流」が、紫色の「メキシコ湾流」に名前が変わり、更に「北大西洋海流」と名前を変え、そのまま北東に上がりヨーロッパ北部(イギリス・アイスランド・ノルウェーなど)へと到達し再び南下して赤道に戻るのです。
しつこいですが、以下のような
といった流れになります。
(地図掲載3回目)
しかし実際には高密度の海水(太陽光による蒸発によって塩分濃度が高くなった表面の海水は密度が重いので下層に沈むイメージ)は北極海の水深数百メートルを流れに乗って循環するので、その熱は海氷を溶かすものにはならないらしいです。
一口に「海」と言っても、地球が自転する力(コリオリの力)や深さなど本当に多くの要因によって流れの速度や温度、方向が変わるので厳密に説明することは筆者には不可能。
近年ずっと問題になっているのが、極地の氷雪の融解ですよね?
これはつまり、氷が融けると海水の塩分濃度の差が小さくなり、海流がストップします(つまり浅部と深部の海流の密度の違いも海の流れを作り出す大きな要因とされている)
すると、温かい海流がヨーロッパに届かなくなりヨーロッパは急速に寒冷化する、と懸念されているようです。
なので現在進行中の地球温暖化では北極海の海氷や氷山の消失が懸念されていますが、それは「海上の大気が温暖になるから氷が融ける」、といったそんな簡単な話ではないようです。
偏西風
上で述べた北大西洋海流の熱がヨーロッパ北部を暖めている最大の理由ですが、海水温だけではありません。
海水温が温かいという事は、水面の空気も温かいという事ですよね。
この水面の温かい空気をヨーロッパに運んでやる「風」も重要な要素になります↓
偏西風とは北緯20°~60°を西から東に向かって常に吹いている風(※真西から真東ではない)で、この偏西風が北大西洋海流と共にやってきた温かい空気をびゅーっとヨーロッパに運んでいます。
この風が原因で、日本からヨーロッパへ行くときはフライトの時間が帰りに比べて長くなるんです。
まとめ
少し長い説明になりました。
「ヨーロッパ北部地域が同緯度の他の地域に比べて温暖である理由」を簡単に述べるとすれば
赤道付近で温められた海水が北大西洋海流に乗ってヨーロッパに到達し、また偏西風によっても海水面の温かい空気がヨーロッパ大陸に運ばれるから
と言えます。
しかし気候の決定には非常に多種多様な要因が含まれており、主な原因として考えられるのが「暖流」と「偏西風」というだけです。
今後の研究次第ではもっと別の原因も出てくる可能性もあるので要注意です。
海流や風の仕組みは調べてみるととても面白いので、皆さんも興味があればどうぞ!