2017年12月20日から2018年1月10日まで、カタール航空のモニター募集に合格し、ヨーロッパを無料で旅する機会を得た。
今回はその旅の中から、ドイツの歴史的都市ハンブルクでの滞在についてお伝えする。
» モニターのお話(クリックで開く)
このモニター旅は、書類審査でヨーロッパ旅行にかける思いを綴るところから始まった。
そこから、カタール航空の関係者との面接までをクリアし、数々の制約もすべて了承した上で、ヨーロッパ行きが実現した。
さて今回のテーマはズバリこれだ!!!!!どうやったら海外にタダで行ける『モニター募集』を勝ち抜けるのか自慢だが、筆者は人生初のモニター募集に見事当選しタダでヨーロッパに行ってきたのである。今回はそんなモニター募集に挑[…]
最もつらかったのは何だったか。
正直に言えば、「1日2回、指定されたハッシュタグ付きでSNSに近況報告を投稿する」という義務だった。
しかし、そのおかげで、今回の旅では全ての滞在地に自分の正直な感想が残されている。
それらの記録も参照しながら、本記事を書き進めていくことにする。
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ということで、モニターとしてヨーロッパに入った。
それでは、ハンブルク滞在記をお楽しみいただきたい(∩´∀`)∩
マクドナルドでクリスマス
スウェーデンの首都ストックホルムから、ドイツの都市ハンブルクへはおよそ13時間の長旅である。
途中、デンマークの首都コペンハーゲンで一度電車を乗り換える必要があるのだが──
その道中、忘れられない出会いがあった。
出会いは旅の醍醐味
本日は12月24日、つまりクリスマス・イブ。
朝9時発の列車に乗り込み、これからひたすら南下する予定であった。
ところが車内で事件(?)が起きた。
筆者の隣(通路を挟んだ席)に、信じられないほど可愛いヨーロッパ系女子が座っていたのだ。
年の頃はおそらく20歳前後。
そのルックスたるや、まさに理想の女性を3Dプリンタで具現化したかのような完成度であった。
ちなみに筆者が有史以来最も美しい女性だと公言しているのが、ロシア人モデルのナスティア・クサキナちゃんである。
有史以来の美女クサキナちゃん
話をもとに戻そう。
正直、25歳の男がこんなにも動揺するとは思わなかった。
寝るつもりだったのに心臓がバクバクしてまったく眠れず、7時間が秒速で過ぎていった。
筆者はこういう状況を”crush”(一時的な一目惚れ)と呼ぶと知っている。
「これはcrushだ、間違いない」と、胸の奥で確信した。
もちろんナンパする勇気など無い。
しかし「このまま何もせず終えるのは後悔する」と思い、筆者は勇気を振り絞った。
──紙とペンを取り出し、Facebookのアカウントと一言メッセージ(正確には十言くらい)を書いた。
「もし彼女がコペンハーゲンまで一緒だったら渡そう。途中駅で降りたら縁がなかったと思おう」と決意した。
彼女の表情筋が本気を出した件
そして列車はコペンハーゲン中央駅に到着。
彼女は降りた。
筆者も降りた。
タイミングを見て、「Excuse me?」と声をかけ、手紙を手渡した。
「あとで読んでね」とだけ伝えた。
ここまでは順調だった。
しかしその後の展開は、筆者の淡い期待を優しく──いや、容赦なく打ち砕いた。
彼女はその場で封を開け、(後で読んでねって言ったのに!!!!!!)
内容を確認してから「うわ、キモッ」という表情を浮かべ、(え?(゜.゜))
無言で筆者を睨みつけ、(たぶん気のせいではない)
そのままスタスタと改札へと去っていった。(オワタ…)
筆者はその背中を、ただ呆然と見送るしかなかった。
悲しいというより、とにかく恥ずかしかった。
その後、しょんぼりと駅の売店で軽食(パンのないケバブのようなもの)を購入。
味など覚えていない。
「やらずに後悔するより、やって後悔した方がマシ」とはよく言うが──
あの彼女の「キモいおっさんを見る目」だけは、たぶん一生忘れられない。
コペンハーゲンからハンブルクへ
それでも、あの瞬間、勇気を出した自分にだけは拍手を送りたい。
トレインシップ
さて、コペンハーゲンでの失恋未遂事件を終えた筆者は、コペンハーゲン駅でハンブルク行きの列車を待っていた。
コペンハーゲン駅
お、電車が来たようだ。
そして静かに乗り込みハンブルクへと向かった筆者であった。
しかし、その道中で再び事件が起きた。
「ウィーーーーン……」という重々しい機械音とともに列車が停止。
続いて聞こえてきたのはドイツ語のアナウンス。
\\ ピンポーン♪ //
"Sehr geehrte Fahrgäste, bitte verlassen Sie den Zug und folgen Sie den Schildern zum Oberdeck. Wir befinden uns nun an Bord der Fähre nach Deutschland."
実は筆者は大学時代にドイツ語を専攻していた。
そしてアナウンスの後、無意識に一言こうつぶやいていた。
「うむ、なるほど。全くわからん。」
ただ、乗客たちが一斉に立ち上がり、列車を降り始める。
「えっ、ちょっと待ってくれ。ハンブルクにはまだ着いてないはず……」
みんな降りていく、筆者は不安に駆られる
そう思いながらも、流れに身を任せて筆者も降車。
しかし降り立った場所は、どう見ても地下のトンネルのような空間であった。
不穏な空気を感じつつ階段を上ると──
そこは、まさかのフェリーの甲板だった。
筆者「え、何コレ、いつの間に列車ごと船に乗った!?」
周囲を見渡すと、確かに列車はまるごとフェリーの船底に収納されていた。
そう、コペンハーゲンからハンブルクまでの間のどこかで、列車は丸ごと船に乗せられ、海を渡っていたのだ。
あまりにも唐突だったため、筆者はしばらく状況を理解できなかった。
以前、真冬のスイスのフルカ峠を越える際にレンタカーごと電車に乗ったことはあるが、まさか電車がフェリーに乗るとは…
※これは車ごと貨物電車に乗り、トンネルをくぐる様子
地図を見返しても、どの地点でフェリーに乗ったのかすら曖昧である。
免税(Tax Free)の売店まである充実ぶりで、軽食を買って甲板へ。
北欧の寒風に吹かれながら、ひとときの海の旅を楽しんだ。
なんか知らん間に船乗ってた。
とはいえ、今日はクリスマスイブのデンマークである。
風の冷たさは冗談抜きで肌を切るようだった。
しばらくしてアナウンスが入り、再び列車へと戻るよう指示された。
乗客たちは再び列車に乗り込み、筆者もそれに続く。
気がつけば、列車はすでにフェリーを降り、陸上を走っていた。
そして無事、目的地ハンブルク中央駅に到着。
「知らぬ間にフェリーで国境越えしていた」という、ある種ヨーロッパらしい大らかな旅のかたちであった。
トレインシップ。
これもまた旅の思い出である。
ヨーロッパのトイレは有料
ヨーロッパの駅には基本、改札がない。
現在の時刻は12月24日、つまりクリスマスイヴの20時半。
次の電車は朝6時ごろ。
つまり、ここハンブルク中央駅で筆者は約10時間の「駅泊」を強いられているのだ。
(電車がないのだから仕方ない)
駅構内をフラフラしていると、なぜか妙にシュールなオブジェを発見した。
ここで10時間をどう過ごすか真剣に考えねばならぬ。
テントは持っているが、さすがに駅構内でテントはダメだろ。
筆者は約1年前にベルギーの首都ブリュッセルのグランプラスという世界遺産の広場でテントを張ったことがある。
この時ですら、酔っ払いにテントを蹴られるわ警察にモーニングコールされるわと散々であった。
しかしあれはまだ屋外だったからよかった。
冒険が大好きな筆者と言えども、さすがに駅構内でテントがヤバいことは理解している。
仕方なく外に出て、冬の夜風で頭を冷やす。
寒い。寒すぎる。
脳みそが凍りそうだ。
「公園にでもテント張るか…しかし野宿で寒さに震える俺の未来図がもう見える」
そんな折、トイレに行こうと思い駅に戻った。
しかし筆者は思い出してしまった。
「ヨーロッパのトイレは有料である」という事実を──!
国によって違うが、基本的に公衆トイレは0.2ユーロ〜0.5ユーロ。
日本円で言えば約25円〜65円だが、回数重ねれば意外とバカにならぬ額だ。
筆者
「トイレごときで小銭をせびるとは…ヨーロッパのトイレ、貴様なかなか商売上手であるな」
もちろんホステルやホテルなら無料だが、公衆トイレに関しては財布のヒモがゆるむことはない。
筆者
「トイレ代を払うか、腹をくくって公園で震えるか…まさに究極の二択である」
そう考えながらトイレの前で財布と睨めっこ。
だが、冬の夜に駅で十数時間待つことを思えば、0.5ユーロなど安いもの。
いや、安くはないが、もはや払うしかない。
さて、腹も膨らまぬ寒空の下、筆者の駅泊ライフはどうなるのか。
続きはまた次回──。
マクドは旅人のオアシス
ヨーロッパの駅で一晩過ごす──
それはバックパッカーにとって「サバイバルミッション」である。
現在地、ドイツ・ハンブルク中央駅。
時刻は夜9時。次の電車は朝6時。
駅のベンチは冷たい、床は硬い、空気は澄んでいるというかただただ寒い。
筆者
「こりゃ詰んだかもしれん…」
と、その時!
目の前に現れたのは、あの黄金のアーチ。
M
C
D
O
N
A
L
D
’
S
McDonald’s──全ての放浪者に開かれた旅人の聖域である。
筆者
「うおぉぉ…あったかい……!!!」
「イスがある!照明がある!Wi-Fiが飛んでる!!!」
「神か?マクドナルドは神なのか?」
寒さで震える指先を温めるコーヒー。
空腹を癒すポテトの香ばしい塩味。
Wi-Fiでつながる世界。
そして、トイレは無料。
※トイレが有料のマクドもある。
もうね、これ以上のオアシスって地球上に存在するんかってレベル。
しかもドイツのマクドはちょっとスタイリッシュ。
木目調の壁とか、USBポートとか、やたら機能的なんですけど?
筆者「さすが合理主義の国、ドイツやな。」
ということで、この日はハンブルク中央駅のマクドナルドで夜を明かすことにした。
いや、正確に言うと「一睡もせずに夜を過ごした」と言ったほうが正しい。
とりあえず席に座った。
なぜなら、ここはヨーロッパ──つまり「置き引き戦場」だからである。
油断すれば荷物は消え、財布は吸い取られ、心も折れる。
奇跡の大逆転。からの──
そんな寒さと眠気と戦っていた時だった。
ピロン♪
突然、スマホが鳴った。
なんと、数時間前に手紙を渡した”あの子”からFacebookメッセンジャーで返事が!!!
まさかの返事をくれた…
繰り返すが、彼女のルックスたるや、まさに理想の女性を3Dプリンタで具現化したかのような完成度であった。
筆者
「ワオ!!!!!」
「クリスマスイブの夜に奇跡キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」
ここからバラ色のウハウハタイムが始まる。
(実際は英語の会話)
美女「ハロー」
筆者
「あ、ハロー」
「え、まさかの返事くれたパターン?」
「ありがとう!」
美女
「まあ確かに驚いた(笑)」
「あの時は私もちょっとパニックになったし」
「あんなん初めてやったから」
筆者
「めちゃくちゃ緊張したよ、マジで(笑)」
「おれも初めてやったから、知らん女の子に手紙渡すとか。」
美女
「嬉しかったわ」
「あなたの名前は?」
筆者
「おら、RYOってんだ。」
「君の名は?」
美女
「初めまして、RYO!」
「わたしは○○って言うの。」
なんかクリスマスイヴにめちゃくちゃいい感じじゃねぇか!!!
筆者「初めまして、○○!」
美女「RYOは今どこにいるの?」
筆者「今はドイツのハンブルグ!マクドで徹夜せなあかん(笑)」
美女「いいわね(笑)」
筆者
「いやーほんとメッセージくれてありがとう!!」
「○○っていま何歳なの?」
美女「I’m 14 now.」
・・・。
筆者「え、お、なん・・、いや、あ、えぇぇ?」
会話の流れで自然と年齢を聞いてしまったのだが…まさかと思った。
だがFacebookのプロフィールに載っている生年月日を確認すると、確かに2017年12月当時で14歳と書かれていた。
この時、筆者の中で確実になにかが崩れ落ちる音が聞こえた。
筆者
「……………………(しばしフリーズ)」
「いやもうこれアウトー!全力でアウトーーー!!」
恋の予感から一転、国際的懲役の可能性を感じ取り、筆者は華麗に撤退。
向こうも筆者とのやり取りにちょっと興味ありげだったが、こっちは25歳。
筆者「スウェーデンの法律なんて知らん。君子、犯罪の可能性に近寄らずである」
筆者は涙ながらに決断し、だいたい1時間くらいやり取りをしてから「じゃ、じゃあねぇ…。お、おやすみぃ…ですぅ。」と自然にフェードアウトした。
とりあえずバーガーセットを頼み、ポテトを噛みしめながら静かに涙する筆者。
それにしても、「欧米人は大人っぽく見える、アジア人は若く見える」は完全に真実だ。
筆者なんて、26歳にも拘わらず髭を剃って坊主にしたら欧米人の彼女から「高校生に見える」と言われるのだ。
ちなみに当時のその女の子、どう見ても20歳超えの貫禄だった。
筆者「中学生って、あんなんやったっけ…?」
旅とは学びである。
この夜、筆者は「人は見かけによらぬもの」という、人生の真理を学んだ。
クリスマスマーケットはイブで終了?
どうやらドイツではクリスマスマーケットはイブで終了するらしい。
これは筆者にとって大きな衝撃であった。
他のヨーロッパ諸国では「年が明けてもワイワイしてる」印象が強く、1月の冷たい風の中でもホットワイン片手にソーセージを頬張る光景が広がっているものだ。
しかしここドイツは違った。
12月24日、または早ければその前日にしっかり片づけ始めるという、なんともドイツ人らしい几帳面な終わり方。
メリークリスマス!…と言いかけたその瞬間に「終了です」と閉店される、そんな哀愁が漂っていた。
ベルギーの首都ブリュッセルへ
さて、気を取り直して次に向かうはベルギーの首都ブリュッセルである。
この街にはあの有名な観光名所、いや、“世界三大ガッカリ”の一角を担うことで有名な「小便小僧」が鎮座している。
この時はクリスマスだったこともあり、もちろんサンタコス。
筆者も初めて見た時は、あまりのサイズ感と立地の地味さに「どこや?」と3回つぶやいたほどである。
だが侮るなかれ、ブリュッセルにはグランプラスというとんでもなく美しい広場が存在しており、街並みだけで飯が三杯食えるレベルである。
要するに、「小便小僧しか無い」と思っている諸君には、一度ベルギーワッフル片手に旧市街を散歩することを強く推奨したい。
ところで、ストックホルムで撃沈(通称:14歳事件)を食らった筆者であったが、このブリュッセルではロシア系カナダ人のアナという謎の美女に逆ナン(?)されるという奇跡の展開が待っていた。
筆者自身、旅とはかくも予測不可能で、ハイリスク・ハイリターンの連続であることを改めて実感した。
この続きが気になる物好きは、ぜひ以下の記事を読んでみてほしい。
2017年12月20日から2018年1月10日まで、カタール航空のモニター募集に合格し、ヨーロッパを無料で旅する機会を得た。今回はその旅の中から、ベルギーの首都ブリュッセルでの滞在についてお伝えする。[show_more m[…]