ハウルの動く城のモデルの町、コルマール旅行記【7/15】

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2017年12月20日から2018年1月10日まで、カタール航空のモニター募集に合格し、ヨーロッパを無料で旅する機会を得た。

今回はその旅の中から、フランスのコルマールでの滞在についてお伝えする。

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このモニター旅は、書類審査でヨーロッパ旅行にかける思いを綴るところから始まった。

そこから、カタール航空の関係者との面接までをクリアし、数々の制約もすべて了承した上で、ヨーロッパ行きが実現した。

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モニター募集 合格

最もつらかったのは何だったか。

正直に言えば、「1日2回、指定されたハッシュタグ付きでSNSに近況報告を投稿する」という義務だった。

しかし、そのおかげで、今回の旅では全ての滞在地に自分の正直な感想が残されている。

それらの記録も参照しながら、本記事を書き進めていくことにする。

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ということで、モニターとしてヨーロッパに入った。

それでは、コルマール訪問記をお楽しみいただきたい(∩´∀`)∩

ハウルの動く城のモデルになった街「コルマール」

コルマール。

ハウルの動く城のモデルになったと噂される、あの絵本のような街である。

筆者も長らく憧れ続けてきた町で、今回ようやくその夢が現実となったわけだ。

しかし、問題が一つ。

ストラスブールで一泊する予定だったのだが、ここがまあ物価が高い。

値段設定がシャンゼリゼ通りなのである。

そこで筆者、閃いた。

「ん? ここ、ドイツ近いやん?」

というわけで、物価の安い隣国ドイツへスッと越境。

カップ麺とチョコレートを両手に抱え、再びフランスに戻るという荒技をキメた。

ちなみに、今回は一等車のユーレイルパスが支給されていたため、電車代はタダ。

「俺、旅のプロかもしれん」と錯覚した瞬間であった。

やはり一等車は格が違った

パリからストラスブールへ向かう際、フランスが世界に誇る高速列車TGV(ティージーヴィー)に乗車した。

日本で言うところの新幹線である。

しかも今回は、例の「ユーレイルグローバルパス一等・連続22日間」という、旅人にとっては夢のようなチートアイテムを所持していたので、もちろん一等車である。

着席してまず思った。

「お、おれ王族か?」


※筆者が予約した一等席

通常の車両なら知らないオッサンとヒザ小僧がぶつかりそうになる四人席だが、一等車は違う。

完全なる独立型の窓際シート。

誰にも邪魔されないこの空間、もう飛行機のビジネスクラスである。

TGVのシートに体を沈めながら、

「いや〜、これが文明の利器ってやつか」

と無駄に頷いてしまった。

ちなみに、ストラスブールから国境を越えてオッフェンブルクへ行く時は普通列車に乗るのだが、こちらは一等も二等もほぼ関係ない仕様。

つまり、地味。


奥にうっすら筆者の青いバックパックが見える

そのため筆者、遠くの荷物棚に置いたバックパックを常に警戒し続けるという、戦場モードに突入した。

何せここは欧州である。

気を抜いたら最後、5秒後にはバッグが「au revoir(さようなら)」である。

筆者の旅の心得はこう。

「信じられるのは自分とリュックだけ。」

オッフェンブルグが美しかった

フランスとドイツの国境沿い、ドイツの街・オッフェンブルグに到着した。

ストラスブールから近いというだけの理由で降り立った街である。

ぶっちゃけ期待はゼロ。
というか、「オッフェン…何それ、おいしいの?」という状態だった。

だが、到着して驚いた。

思わずこう呟いた。

筆者「え、ここって、ヨーロッパじゃね?(いやドイツやけど)」

石畳の道に、尖塔が空を突き刺す教会。

ゴシック様式とバロック様式が肩を並べて、通行人を睨んでくる。

建物がイケメンすぎて、通りすがりにウインクされそうな勢いである。

この街を一言で紹介するならばこうだ。

「美の暴力」

だが悲しいかな、当時の筆者は建築音痴だった。

「柱?へぇ〜」「尖ってる屋根?へぇ〜」の二連コンボ。

当然、写真など撮っていない。
いや、撮っていても「建物の一部を指さす自分」とかだった可能性が高い。

よって、ここで大事な教訓を述べておこう。

筆「ヨーロッパ行くなら、西洋建築の基礎ぐらいは頭に入れておけ」

これはガチである。

勉強せずに行ったらどうなるか?

後悔して帰国してから「ネオ・ゴシック」とか検索しはじめる羽目になる。

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バロック建築とは

言葉が通じない相手

筆者のバックパッカーライフにおいて、筆者はテント泊という原始的な手段に出た。

これが意外と快適。


奥にうっすら光っているのが筆者愛用のテント

ただし心得として、「バレにくい場所」かつ「他人の邪魔にならない場所」に張るのが流派の流儀である。

ゲリラ戦と同じだ。

テントを張って落ち着いたころ、隣のベンチでワイワイしているドイツ人っぽい三人組がいた。

陽気である。

と言うより、ベンチにしては騒ぎすぎである。

彼ら、筆者に話しかけてくる。

筆者、笑顔で応じる。
旅とは一期一会。
たとえ相手がゾウでも笑顔は大事。

友達を作るのも旅の醍醐味である。

だが、ここで問題が発覚。

彼ら、ドイツ語オンリー。
英語もダメ、日本語など夢のまた夢。

これは完全に「詰み」の予感。

しかし筆者には伝家の宝刀がある。そう、大学時代に履修していた第二外国語・ドイツ語(単位は奇跡的に取れた)だ。

脳内で埃をかぶっていたドイツ語フォルダを開く。

「ヴィーゲーツディアー?(元気?)」
「ヴィーハイセンジー?(お名前は?)」
「ヴァス・マハストゥ・ドゥ・ゲアーン?(趣味は何?)」
「ヴァン・ヴィスト・ドゥ・ゲブアツターク?(誕生日はいつ?)」
「ヴォーヘアー・コメン・ジー?(どこから来たの?)」

筆者の頭はフル回転。
しかし、会話は回らない。

ダメだ、会話の成立どころか、動詞の活用も怪しい。

そんな危機的状況の中、彼らが救世主を召喚した。

Google翻訳である。

これにより、「単語のキャッチボール」くらいの会話が可能となった。

結果、なんとなく理解できたのは、

「明日の朝9時にまたここで会って、騒ごうぜ!」

というありがたきお誘い。

筆者、満面の笑みで「ヤー!(はい!)」と答えた。

しかし翌朝、筆者は7時半に出発していた。

ドイツ人三人組よ、すまない。

あの笑顔に嘘はなかったが、朝の移動がすべてを奪ったのだ。

やはり自炊は安い

ドイツに来た理由は何か?

観光? 文化? 美しい街並み? いや、違う。

フランスの物価から逃げるためである。

とにかく高いのだ、あの国は。
水すら有料。
空気も課金制ではないかと疑いたくなるレベル。

そんな中、物価が優しい国、ドイツに到着した筆者は思った。

「今夜こそ、肉を食う」

そう、フランスでは遠い存在だった肉。
特に牛肉。

脂身の輝きが財布の涙を誘う存在であった。

だがここドイツでは違う。

牛肉も白ソーセージもホットドッグのパンも、全部手が届く。

colmar-france (1)

よって今宵のメニューは以下の通り。

  1. 白ソーセージのホットドッグ
  2. 牛肉のステーキ

早速、携帯コンロで湯を沸かし、白ソーセージを茹でる。

ステーキは「焼く」というより「焦げる寸前」で止めた。

サバイバルには火加減など贅沢な話だ。

そして完成した筆者特製ホットドッグがこちら。


※お手製のホットドック

見た目 : 雑
味   : 未知
衛生  : たぶん大丈夫

もはや小学生の家庭科実習でももう少し整った見た目になるであろう。

筆者の感想
「おいしいかどうかより、生き延びられるかが重要なのだ」

なおここで大事なポイントを一つ。

鶏肉と豚肉は絶対に生で食べてはならない。
細菌という名のラスボスが待っている。

ちなみに、牛肉は表面さえ炙れば食べられる。

ただし健康な牛に限る。

海外の肉は自己責任が基本ルールである。

ヨーロッパの冬は陰鬱

ヨーロッパの冬を甘く見てはいけない。

寒さや雪よりも、闇との戦いである。

こちらの写真をご覧いただきたい。

「夜明け前ですか?」「いや、深夜1時?」

そう思われるかもしれない。
だが、実際はこうだ。

午前8時すぎである。

もう一度ご覧頂こう。

コルマール フランス
これが午前8時とは…

…なんでこんなに暗いのか。

「そろそろ朝やろ」と思ってカーテンを開けたら、夜だった。

「今日天気悪いな~」と思っていたら、いつの間にか夕方だった。

というより、昼がどこに存在していたのかすらわからない。

ヨーロッパの冬の朝は、明るくなる気がない。

そして夕方4時にはもう「また夜か」と思わされる暗さである。

「明るい時間に観光を!」なんて考えていると、気づけばチェックアウトの時間を迎えている。

まさに陰鬱。

心まで暗くなりそうだが、これが冬のヨーロッパの日常風景である。

それはそうと、朝早くからパン屋を開けている店主には感謝しかない。

colmar-france (2)

colmar-france (3)

コルマール

さて、オッフェンブルグから国境を越え、ついにやってきた。

colmar-france (4)

そう、ここがコルマールである。

ジブリファンなら一度は耳にしたことがあるはず。

この町は、「ハウルの動く城」のモデルになった場所と言われている。

…のだが、筆者は映画を一度しか観ていないため、内容がほとんど頭に残っていない。

colmar-france (5)
「クリスマスマーケットはこちら」の看板

「たしか…ソフィーが町を歩いてた…ような…?
でもそれって大体どのジブリ映画でもあるやつでは?」

などと曖昧な記憶で町並みを鑑賞していた。

それでも、13〜15世紀に建てられた聖堂や木組みの家々が立ち並ぶこの町は、歴史の重みと風情が確かにあった。

いや、あったのだが…。

筆者は当時、「ロマネスク?ゴシック?なにそれおいしいの?」状態で、建築様式の魅力をスルー。

つまり、「古そうな建物やな〜」と思いながら歩くだけの旅となった。

ここで声を大にして言いたい。

ヨーロッパ旅行を予定している者よ、建築様式の予習は必須である。

それを知らずに旅すると、

「すごい建物!……で?これ何?」

という小学生の社会見学レベルの感想しか出てこない。

そしてコルマールの町を歩いていると、不思議な標識が目に入った。

なんとそこには、石畳に刻まれたスタバの自由の女神のマークが。


なんですか、これは?

「……これは何のメッセージだ?」

「この先にスタバがあるよ」という親切心なのか。

はたまた「アメリカはあっちだよ、君帰れるよ」と言っているのか。

深読みするほどに混乱する。

だが一つだけ確かなのは、中世ヨーロッパの街並みの中に突如現れるスタバの存在感がえげつないということだ。

時代も国も超越する、それが資本主義の象徴スターバックスなのである。

スイスの首都ベルンへ

コルマールの町並みは確かに美しかった。

色とりどりの木組みの家、石畳の道、絵本の中に迷い込んだかのような街並み。

だが――天気が最悪だった。

終日どんより。

まるで空まで「お前一人やろ?テンション上がらんやろ?」とでも言わんばかりのグレーっぷりである。

しかも、完全ソロ行動。

「え?バックパッカーって孤独を愛する種族じゃないの?って?
いや、ムリ。誰か話し相手おってくれ。」

というわけで、コルマールの滞在は短めに切り上げ、次なる目的地スイスの首都ベルンへ向かうことにした。

スイス ベルン

なお余談だが、「スイスの首都はジュネーヴでしょ?」と答える人が未だに多い。

違う、ベルンである。

理由は…筆者もよく知らないが、たぶん真ん中にあって便利だったとか、そういう政治的アレである。

というわけで、テンション低めの筆者は、ベルンという名の癒しを求めて電車に乗り込んだ。

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