2017年12月20日から2018年1月10日まで、カタール航空のモニター募集に合格し、ヨーロッパを無料で旅する機会を得た。
今回はその旅の中から、カタールの首都ドーハでの滞在についてお伝えする。
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このモニター旅は、書類審査でヨーロッパ旅行にかける思いを綴るところから始まった。
そこから、カタール航空の関係者との面接までをクリアし、数々の制約もすべて了承した上で、ヨーロッパ行きが実現した。
さて今回のテーマはズバリこれだ!!!!!どうやったら海外にタダで行ける『モニター募集』を勝ち抜けるのか自慢だが、筆者は人生初のモニター募集に見事当選しタダでヨーロッパに行ってきたのである。今回はそんなモニター募集に挑[…]
最もつらかったのは何だったか。
正直に言えば、「1日2回、指定されたハッシュタグ付きでSNSに近況報告を投稿する」という義務だった。
しかし、そのおかげで、今回の旅では全ての滞在地に自分の正直な感想が残されている。
それらの記録も参照しながら、本記事を書き進めていくことにする。
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ということで、モニターとしてヨーロッパに入った。
それでは、ドーハ滞在記をお楽しみいただきたい(∩´∀`)∩
カタール航空でカタールの首都ドーハへ
ということで、人生初のカタール航空を利用する運びとなった。
かつて筆者が初めてヨーロッパへ旅立った際は、誰もが知る日本の誇るフラッグキャリア、ANAを使用していた。
サービス良し、機内食良し、CAさんの笑顔もまぶしい、まさに優等生の航空会社である。
だが、年を重ね、財布事情が露骨に逼迫するようになった筆者は、「航空券は安けりゃ正義」という思想に染まり、ついには「安かろう悪かろう」の境地へと至った。
そんな筆者の目には、カタール航空など“ANAの下位互換”くらいの印象でしかなかった。
正直な話をすれば、
ANAに比べたらカタール航空なんて圧倒的に格下でしょ(笑)
おめーらは砂漠だけ行き来してりゃーいーんだよ!!!!!
そう思っていた。
今となっては土下座モノである。
だが、いざ搭乗してみたところ――驚いた。
良い意味で裏切られた。
めちゃくちゃ快適だったのだ。
まず機内が異常に清潔。ホコリひとつ見当たらぬ。
これは筆者が前方の広い席(足伸ばし放題)を予約したということも大きい。
なお、この席は「緊急時に英語で避難誘導ができる人向け」とのことだったが、そこは気合でカバーする所存である。
任せろと言いつつ、内心は「マジで誘導とかあったらどうしよう」と冷や汗モノであった。
そして、機内食が普通に美味しい。
冗談抜きでうまい。
以下がそのメニューである ↓
いや、本当に美味しかった。
しかも驚くべきは、エコノミークラスでも無料で提供されるアメニティ5点セットである。
ラインナップは以下の通り。
- アイマスク
- 耳栓
- 歯ブラシ
- 歯磨き粉
- 靴下
「えっ、これ本当に無料?詐欺じゃない?夢?」と、機内で一人うろたえるレベルであった。
このセット、正直めっちゃ使える。
ありがたすぎて泣ける。
そのままアイマスクと耳栓装備で爆睡モードに突入。
すると到着2時間前、機内が再び明るくなり、モゾモゾと動き出す乗客たち。
そして、やってきたのが――朝ごはん。
これまた美味。もう言うことはない。
カタール航空の感想
初めて乗ったカタール航空――正直な感想を言うと、「めちゃくちゃ良かった」である。
筆者の中では、「中東の航空会社=ラクダと一緒に飛んでる」くらいのステレオタイプなイメージがあったが、すぐさまその偏見はぶち壊された。
特に印象的だったのは機内食の美味さ。
「航空会社の機内食には期待するな」はもはや過去の話である。
カタール航空のそれは、空の上で味わうレストラン。
しかも味だけでなく、サービスも上等であった。
さらに驚いたのが、預け荷物が30kgまでOKという太っ腹仕様。
日本の大手航空会社では、通常23kg(もしくは22kg)の制限があるため、今回荷物が25kgだった筆者は、普通なら「服と土産、どっち削るか会議」に入らねばならなかったところである。
高品質・低価格の代表格と言っても過言ではない。
さらに特筆すべきはトランジット中の観光ツアーである。
乗り継ぎ時間が5時間以内であれば、ドーハ市内を巡る格安ツアーに参加可能。
5時間以上ある場合は、なんと専用車で行く広大な砂漠ツアーにも参加できるとのこと。
そこはしっかり財布と相談されたし。
ちなみに、最近ではシンガポール航空でもトランジット5時間以上の乗客向けに2時間半の無料市内ツアーを提供しているなど、乗り継ぎタイムの価値が上昇しているのは間違いない。
長々と語ってしまったが、カタール航空は想像以上に優秀な航空会社であった。
サービス良し、設備良し、コスパ良し。
次に海外へ行く機会があれば、ぜひまたカタール航空を使いたいと思っている。
あなたもぜひ一度、カタール航空で航空券を検索してみてはいかがだろうか。
世界が、予想外の快適さでつながるかもしれない。
ドーハ空港=清潔
成田を飛び立ち、無事カタールの首都ドーハへ到着。
目に飛び込んできたのは、なんだかよくわからない黄色いモンスター。
空港のど真ん中で異様な存在感を放っており、「あれは夢か?幻か?それともカタールの守護神か?」と思わず二度見してしまった。
空港全体としては、とにかく清潔。
トイレがピカピカ、床もテカテカ。
どこかの温泉旅館かと錯覚するレベルの磨き上げられっぷりである。
建物の中も非常に近代的で、ガラス張りの開放感あふれる設計に感動した。
「アラブ圏=砂とテントとラクダ」のような、昭和生まれ的先入観をもっていた筆者は、この近代都市ドーハにあっさり敗北を喫したのである。
空港内の両替所で、カタールの通貨「リヤル」をゲット。
これがまたかっこいい紙幣で、デザインも色味も美しい。
旅の通貨コレクションがまた一つ増えたことにニンマリである。
ドーハ暑い!!!
本日、2017年12月21日。
日本では「今日はマフラーいるか?いらんか?」などと悩む季節である。コンビニのおでんが恋しくなる頃だ。
だがしかし――
ドーハめっちゃ暑いっす!!!
いやいや、嘘やろ…と天を仰いだが、現実である。
気温はまるで真夏の日本、湿度もムシムシ、日本の7月末くらいの勢いである。
筆者「なぁ、これほんとに12月か?しかも後半入ったぞ…」
調べてみたところ、ドーハの緯度はエジプト南部と同じくらい。
日本でいえば沖縄よりもまだ南である。そら暑いわ。
一方、明日から向かうのはノルウェーの首都・オスロ。
こちらは北欧の真冬で、気温は余裕で氷点下突入。
この寒暖差よ…。
もはや服装どうすりゃいいのか、旅行者泣かせのレベルである。
だが、いま筆者はドーハにいる。
ならば、この砂漠の国の魅力を全力で味わうのみである。
……と意気込んでみたが、実際に街へ出てみると、砂漠なんかどこにも見当たらん。
道路はしっかりアスファルト、建物は高層、そして空港から市内まではバスや電車でスムーズ移動。
「なんだ、めっちゃ都会やないか」と素直に感心した次第である。
なお、ハマド国際空港から市内までは約40分。
アラビア語意味不明
旅において最も重要なのは、まず腹ごしらえである。
空腹で景色を見ても、ただの風景。
飯を食ってこそ感動できるというものである。
ということで、ドーハ市内のスーパーマーケットに突撃。
惣菜コーナーで、何かよくわからない料理を数点購入してみた。
構成はというと——
味に関してはまあまあといったところ。
中東のスーパー、なかなかやるではないか。
ただし、最大の問題は言語の壁である。
カタールの公用語はご存知のとおりアラビア語。
この文字が、もう宇宙語か?ってくらい謎である。
筆者「いや、これ本当に読んでる人おるん?フォントからして難易度バグってないか??」
一日中アラビア語の看板、説明書き、メニューとにらめっこしていたが、結果はただ一言、混沌(カオス)である。
中東モダン VS 砂漠のイメージ
さて、街の風景に目を移すと、ドーハ市内は想像以上に近代都市である。
高層ビルが立ち並び、空に向かってぐんぐん伸びている。
そしてそのデザインがまた、やたら派手で独創的。
どうやらアラブ諸国では、「シンプル?それ、何味?」というノリらしい。
これには理由がある。
地震がほぼ発生しない地域であるため、構造的な制約が少ないのだ。
つまり、ビル設計が自由すぎるので、「遊び心+石油パワー=とんでも建築」が誕生するわけである。
標識コレクター魂がうずく
そしてドーハの街中で見つけたのが、個性的な道路標識たちである。
アラビア語と絵だけの謎標識も多く、意味が分からずとも見ているだけで面白い。
筆者は世界各地の道路標識を確認するのが好きで、珍標識ハンターと化している。
例えば——
アメリカ・デンバー:「馬に注意」
オランダ:「豚に注意」
オーストラリア:「カンガルーに注意」
※オーストラリアで見つけた標識
文化によって「注意すべき動物」が違うのが面白すぎる。
おそらくドーハなら「ラクダに注意」か「フェラーリに注意」あたりが出てくるのではないだろうか。
アラビア語には撃沈したが、それすら含めて旅の醍醐味である。
「わからなさ」こそが異文化。
迷ってこそ旅なのだ。
急速な発展途上中です感
カタールの首都ドーハに数時間滞在してみたが、率直に言って、とにかく疲れた。
ビル群は確かに近代的で立派だが、空気の状態がよろしくない。
深呼吸するたびに喉が痛くなるような気がし、これは正直キツかった。
筆者「え、ここってそんなに大気汚染ひどいのか。」
筆者には、砂塵・埃の問題なのか、それとも排気ガスによる公害なのか、判別できなかった。
が、いずれにしても吸うだけでダメージありそうな空気感であることに変わりはない。
文字も相変わらず意味不明である。
どこを見渡してもアラビア語だらけで、脳が処理を拒否する。
ここで一旦、マクドナルド(ドーハ版)に避難し、Wi-Fiを確保。
イスラム教徒であるチュニジア人の友人とLINEでトークしていたところ、街を歩く黒装束の女性について話題に。
目だけが出ている黒い服装——あれが国によって違うらしい。
(出典:イランの道徳警察、女性の頭髪や服装を取り締まる理由は 警官の本音は)
同じ「顔を覆うスタイル」でも、服の形や布の使い方で出身地がバレるという。
イスラム文化、奥深すぎる。
物価は安いが、そこまでではない
アラブの国って物価が安いイメージがあったが、実際のところ、そこまで安くはない。
確かに日本よりは少し安いかもしれないが、「日本の1/3」なんて幻想である。
店の雰囲気を一言で表すなら、まるで戦時中の闇市のような空気感である。
街全体には物資不足に苦しむ混沌とした雰囲気が漂っており(あくまで筆者の想像)、その中で一部の既得権益者たちのみが自由に買い物を楽しめる空間のようにも感じられた。
トヨタ率高すぎ問題
ドーハの街中を走る車を見ていると、5台に1台がトヨタのランドクルーザーという驚きの状況。
「やっぱり世界のトヨタは強い」と改めて実感。
ちなみに、カタールは産油国。
ガソリンの価格は1リットル=約20円という破格っぷり。
これなら大排気量車もガンガン乗れるわけである。
気をつけるべきイスラム教圏のマナー
モスクには美しいモザイクタイルが使われており、観光的な価値も高い。
しかしながら、やはりイスラム圏では振る舞いに注意が必要だ。
筆者のように「何も調べずノリで訪問」は、正直おすすめしない。
中東やのにスケートリンク?
どこのショッピングモールに入っても人がまばらである。
まるで幽霊専用の高級施設かと思うほどだ。
「全然人おらんやん」
これは当時の筆者がこの日だけで32回は口にしていた独り言である。
もはや口癖に近かった。
そんな閑散としたモールをふらりと歩いていたところ、吹き抜け構造の最下階に目をやると、ドーンと鎮座するスケートリンクが出現した。
最下階はスケートリンク
…ん?リンク?まさかの氷?中東で??嘘だろ?
外の気温は26~27度はあるぞ。
砂漠の熱気が地面を揺らす勢いだというのに、モール内には冷房が効きすぎて、むしろ長袖が欲しいレベルである。
なぜ中東でスケートリンクなのか。
そこに合理性はあるのか。
いや、冷静に考えても、どうひねっても「無駄遣い」の四文字がチラつく。
もちろん、関係者にそんなことを言えば全力で怒られるだろう。
だが、心の中では叫ばずにいられなかった。
「いや、無駄やろ!」
筆者の脳内ツッコミは止まらない。
「外は灼熱の砂漠、ここは氷の世界…このギャップ、狙ってるのか?いや、狙ってないとしたら逆にすごいぞ!」
しかもスケートリンクで滑っている人間は一人もいない。
これが事実。
これぞ中東クオリティ。
灼熱の地に氷を持ち込むという、理屈を超えた豪快さ。
意味はわからないが、とりあえずスケールだけは伝わってくる。
空港内に仮眠室?まじ神
空港に仮眠室がある。
これはもう、神である。
市内をもう少し長く散策する予定だったが、想像以上に“見るところがない”というシンプルな理由で、予定を大幅に前倒しし空港へと戻ってきた。
本来の目的地はドーハではなく、今回は単なるトランジット。
言うなれば、「道端のベンチでひと休みするようなもの」だ。
そのベンチ代わりに選ばれたのが、灼熱の都市・ドーハだったというだけである。
街中を少しぶらついただけで、十分に「ドーハ味」は堪能できた。
そして空港内をうろうろしていると、目に飛び込んできたのが「Quiet Room」──すなわち仮眠室である。
なんと、男性専用の仮眠室も存在していた。
「欧米人の金髪ねーちゃんが近くにいると、なぜかソワソワしてしまい、まったくリラックスできない」
その感覚、非常によくわかる。
隣の席にブロンド美女が座っていた日には、うっかり靴を脱いで靴下から異臭を放つなどという失態は、なんとしても避けねばならない。
そこで登場するのが、この男性専用仮眠室だ。
ここでは遠慮はいらない。
思う存分いびきをかき、遠慮なく靴下を脱ぎ、多少のにおいにも動じることなく己の疲労を回復させることができる。
なにせ全員男しかいない。
気まずさの根源となる異性の視線は一切存在しない。
そこにあるのはただ、静寂と、男たちの安堵だけである。
これはまさに、空港内のオアシス──否、男たちの聖域である。
誰もいない、最高だ。
それにしても、仮眠室がある空港というのは本当にありがたい存在だ。
空港という場所は、座る場所を見つけるだけでも一苦労で、最終的には床に座るのがスタンダード、という空気すらある。
その中で、静かで空調の効いた仮眠室が無料で使えるのは、もはや奇跡に近い。
疲れた身体を癒すにはこれ以上ない環境である。
なお、当然ではあるが女性用の仮眠室も完備されている。
安心して休んでほしい。
ドーハ空港の仮眠室情報は以下のとおりである。
清掃員が多すぎる空港のトイレ
ハマド国際空港は、筆者が訪れた当時でまだ開港からわずか3年。
新しさの残る建物には清潔感が漂っていた。
中でも驚いたのがトイレの清潔さである。
というのも、どこのトイレに行っても必ず清掃員がいる。
しかも“一人いた”ではない。“絶えず誰かがいる”のである。
まるで掃除のシフトが過密すぎるのではないかと心配になるレベルで、常に誰かが掃いているか拭いているかしていた。
筆者の地元・京都風に言えば、
「ほんま、どこのトイレ行っても掃除してはるんですわ」
とも言える。
それゆえ、当然ながらトイレは常にピカピカである。
2017年2月に訪れた、某大国RUS〇IAのハブ空港で経験したトイレの惨状とは雲泥の差である。
清掃員の多さは伊達ではない。
トイレのクオリティにおいて、この空港は世界屈指と言える。
ノルウェーの首都、オスロへ
はあ…やっとカタールを脱出できる。
まず最初に言っておきたいのは、ドーハには「猛烈に発展途上中です!」という雰囲気が漂っていた、ということである。
そのせいか、空気は常にうっすら霞んでおり、変な熱波が肌にまとわりついてくる。
街中はどこか人工的で、物価はそこまで高くないのに、人の姿がやたらと少ない。
──まあ、この暑さでは外に出ようとも思えないのも無理はないのだが、そもそも涼しい屋内ですら人がいなかったのである。
カタール航空のサービス自体は素晴らしく、フライトの快適さに関しては何の文句もない。
だが、国そのものから受けた印象は、正直に言ってあまり良くなかった。
最近ではアラブ首長国連邦やサウジアラビアといった産油国が、次々と高層ビルを建て、人工島をヤシの木の形に造成したりと、豪快な経済発展を遂げている。
(出典:Dubai Palm Islands)
確かに、それ自体はすごいことだと思う。
だが筆者としては──とにかく、暑い。
そして空気が…うん、汚い(※あくまで筆者個人の感想である)。
もっとも、過去の日本にも高度経済成長という時代があり、空が灰色に染まっていた時期もあった(はずだ)。
カタールの現状を否定する気は毛頭ない。
ただ、筆者がその文脈を十分に知らないだけの話である。
とはいえ、こうした急速発展型の都市が世界に増える一方で、地球環境が確実に疲弊してきていることも否定できない。
地球よ、いつまで耐えられるのか。
──そろそろ誰かが本気で考えるべき時代に突入している。
さて。
ここから筆者は、真夏のカタールを後にして、一路ノルウェーへ向かう。
行き先は北欧、氷と静寂の国・ノルウェー。
その首都オスロだ。
気温差はざっと25度。
体調が追いつくかはわからないが、その落差すらも旅の一興と捉えて、楽しんでこようと思う。
では、いざ出発である。
2017年12月20日から2018年1月10日まで、カタール航空のモニター募集に合格し、ヨーロッパを無料で旅する機会を得た。今回はその旅の中から、ノルウェーの首都オスロでの滞在についてお伝えする。[show_more mor[…]