気密性能が低いと結露しやすい?
と、住宅会社の営業マンから聞いたことありませんか?
これは本当なんですが、「なぜ結露しにくいのか」はあまり説明されません。
実は住宅の寿命を大きく左右するのが「結露」と「シロアリ」でございます(・ω・)ノ
その結露を防止するのも気密性能の大きな役割です。
ということで、本ページでは「結露の仕組みとヤバさ」について解説したいと思います。
結露のメカニズム
まずは結露のメカニズムについて少し説明させてください。
結露のメカニズムをご存知の方は下の「続きを読む」をクリックせずに読み進めてください。
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我々が一般的に言う「湿度○%」というのは「相対湿度」のことで、ある温度で空気中に含むことができる水分量(=飽和水蒸気量)というのは絶対的に決まっています。
例えば気温20℃の場合の飽和水蒸気量は17.2gとなります↓
つまり気温が20℃の場合は、空気1㎥中に17.2g以上の水分量を含んだら差分は全て液体の水として結露するってことです。
ということで、さっきの図の青い線より上の領域は全て結露します↓
例えば、気温が0℃なら空気1㎥に含むことができる水分の限界量は4.8gで、気温が35℃なら限界量は39.2gになります↓
図示するとこうなります↓
ここで(めっちゃ極端ですが)湿度100%で外気温0℃室温35℃の場合を考えてみましょう↓
室内と室外の間にある窓ガラスの表面温度は限りなく0℃に近いですよね(0℃の外気と触れ合っていますから)
室温は35℃で湿度100%なので空気中に含む水分量は39.2g/㎥ありますが、窓ガラス表面温度は0℃で0℃の飽和水蒸気量はわずか4.8gです。
35℃の空気は窓表面で冷やされて0℃になります。
もともと35℃で39.2gの水分を含んでいた空気が、0℃に冷やされて飽和水蒸気量4.8gになると、差分の34.4gは液体として結露します。
では、室内の湿度が50%の場合の結露の量を考えてみましょう。
35℃の飽和水蒸気量は39.2gですが、湿度が50%なので空気中に含まれる水分の量は39.2の半分の19.6gです。
さっきと同様に計算すると、窓表面に結露する水分量は14.8g(=19.6-4.8)です。
というわけで、「温かい空気が冷やされた時に結露する」というわけです、簡単にですが結露のメカニズムを解説致しました!
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では、気密性能と結露の関連性について解説しますd( ̄  ̄)
気密性能と結露の関連性
ここで吹雪の中に立つ低気密住宅をイメージしてください↓
室内は暖房を焚いているので当然暖かい、外は吹雪なので当然寒い。
低気密住宅はすき間が多いので、そのすき間から冷たい空気が暖かい室内に入ろうとします。
そのすき間周辺が暖気と冷気の交差点になるので、そこで温度差が生じて結露することになります↓
では壁の構造をもう少し詳しく見てみましょう↓
結露する部分を拡大したのがこちらです↓
こうして、長年結露が繰り返されていくと、壁に張った面材や断熱材がカビだらけになったり腐ってボロボロになったりするのです↓
(出典:2×4でも土壁でも同じ 壁の中の結露)
(出典:セルロースだから壁内結露しないは間違い)
このように、気密性が低いと壁内結露(=内部結露とも)などを起こす可能性も高いので、こういった理由からもすき間はなるべく少ない方がいいのです!!
余談ですが、高断熱編でもお話した通り、室内の熱損失は夏も冬も窓が最大です↓
(出典:窓が住まいの中で熱の出入りが一番大きい)
つまり、窓周りが最も結露しやすい場所と言えますので、窓が低断熱の場合は窓のサッシ周りもガッツリ結露し、内部の木材などが結露でボロボロになる可能性があります。
つまり高気密高断熱はセットで行わないといけない、ということも忘れないようにしましょうね(”ω”)ノ
低気密過ぎると結露は起きない?
これまためっちゃ余談ですが低気密過ぎる住宅の場合、ほとんど結露は起きません。
外気温が0℃で室内が5℃の住宅は基本的に結露しないからです(`・ω・´)ゞ
中程度の気密住宅のように「すき間は多いがエアコンをガンガン付ければ室内は快適な温度になる(つまり内外の気温差が激しい)」というのが一番危ないんです。
目指すなら、低気密過ぎる住宅か高気密住宅かにしましょう!
気密測定
ここで気密測定のお話もしておこうと思います。
断熱性能値(UA値)は断熱材の種類と厚みで算出できるので、いわば実測値ではなく計算値なんです。
しかし家のすき間の量(C値)というのは完全に実測値なので、気密測定をしないとその家のC値というのは算定できないのです。
つまり何が言いたいかと言うとですね。
と言いながら、気密測定をしていないなんて論外なんですよ!!
しっかりと気密測定をしたうえで、C値が少なくとも1.0を切るくらいでないと高気密住宅なんて口が裂けても言ってはいけないんです(゚Д゚;)
以下、気密測定時の様子です↓
(出典:気密測定って 本当に必要なの?)
気密測定は、上のようにバズーカ砲みたいなので家の空気をドンドン抜いていき、屋内外の圧力の増減を機械で測定して算出されます。
イラストで言うとこんな感じです↓
(出典:住宅の気密測定試験)
ではここで気密測定の大体の流れをお伝えします↓(^ω^)
➀バズーカ砲(送風機)を準備する。
②屋内の換気口や給気口を目張りする。
③玄関や窓をしっかり施錠する。
④バズーカ砲(送風機)を始動し、家の空気をドンドン外に排気する。
⑤すると屋内が減圧されるので、圧力を保とうと家のすき間から外気が流入する。
⑥屋内外の気圧差や温度差、風量をからすき間の面積が算出できる。
って感じです。
では次に、測定時に目張りしてはいけない箇所を説明します!