本記事は、高性能住宅を購入するにあたって「家は性能」を謳う一条工務店を漠然と選んでしまった筆者が感じた「事前に知っていたら契約しなかったであろう6つの重大な不満点」を一つずつご紹介していきます。※一番最後に、まだ未確定ですが6つ目の不満点候補も載せています。
このシリーズでご紹介する不満は下記の6つです↓
本記事ではその5つ目、気密性能の基準をもうちょっと上げてくれません?というお話をします。
筆者の主張はこれです。
これから新築住宅を建てようと思っておられる方でなおかつ、一条工務店がその選択肢に入っている方は是非参考にして下さい。
「家は性能」を謳う一条工務店の気密性能
C値0.7以下は基準として十分なのか!!?
⑤気密性能の基準が不十分
そして気密のお話です。
気密(きみつ)を一言で表現するなら、密閉です。
空気が出入りしないので気密、水が出入りしないのは水密と呼ばれます。
気密性能は気密測定によって測定され、C値という値で表されます。
測定方法は至ってシンプル!
(引用:〈現場の風景〉気密測定でした。)
➀送風機を使って屋内の空気をどんどん外に出していくと家の中は真空状態に近づいていきます、そのまま室内にいたら窒息しますよね。
しかしそのぶん外の空気はなんとかすき間を見つけて➁すきま風として家の中に入ろうとしてくるので、結果として窒息はしません(笑)
C値が0.1を切るような超高気密の場合は本当に息苦しくなるかもしれません。
その家の外と中の圧力差から、とても優秀な③測定器くんが家のすき間の大きさを算出するのです。
家全体のすき間の面積が小さい=屋内外の圧力差が大きい。
「気密性能が高いとなにがいいの?」と思いますが、気密性能が高いと家の外に蔓延る様々な不快要素を家の中に入れさせません。
たとえば花粉やPM2.5、黄砂、排気ガス、騒音、悪臭、害虫(害獣)などです。
気密とはこういう不快要素から住宅を守るシールド、つまり住宅業界のミラーフォース(※遊戯王カードより)なのです!
実際に高気密住宅に住み始めてから「花粉症が治まった」とか「小学校が横にあるのに遊び声が一切聞こえない」など高気密の効果を実感している人が多いのも事実です。
また気密性能が高いと壁内結露のリスクも低く、住宅の耐久力(寿命や耐震性)もアップします。
※これは少し難しいお話なので本記事では割愛します。
住宅の最大の敵は「シロアリと結露」だと言われます。
シロアリ被害については皆さんもよくご存知だと思います、木材を食べまくってボロボロにしちゃうんですよね↓
(出典:白蟻被害に遭いにくい家とは?素材や対策法について解説します!)
シロアリ被害に遭った住宅は耐震性能も当然落ちます、こんなボロボロの木材では強度もなにもあったもんじゃありませんからね。
※シロアリ被害を防ぐには気密性能よりも木材の防蟻処理や床下換気が有効なようです。
耐震性能低下については、実は結露でも全く同じことが言えるのです。
壁の中で結露した場合、柱や構造用合板といった木材は腐っていき、徐々にボロボロになっていきます。
(出典:【新築を建てる前に】結露は窓ガラスやコーヒグラスだけじゃない。意外と怖い住宅の湿気・結露の話。)
木材が結露によってジメジメした状態にさらされると木材腐朽菌(もくざいふきゅうきん)が増殖し、木材の成分を分解していく(=腐らせる)のです。
シロアリも壁内結露もそうですが、普通に生活していると気付かないというのがコイツらの最も恐ろしいポイントです。
気付かずに耐震性0の住宅に住んでいる可能性もある
またC値が低い(=スキマが小さい)ということは「丁寧な家作りをしてくれた」という目安にもなるので、精神的な満足感も得られます。
※ちなみにすき間が大きいと換気効率も下がり、それだけ汚染物質が屋内に留まり、結果的に健康に悪い住宅になります。
長々と書きましたが要するに、気密性能は高ければ高いほど良いということなんです。
さて、一条工務店の話に戻ります。
高性能住宅と呼べるC値の最低限は1.0と言われており、筆者の住宅のC値は0.6でした。
C値はスキマの大きさを表す指標なので、C値が低いほどスキマが小さい=気密性能が高い。
中間気密測定時の屋内の様子
床下点検口に送風機を設置し測定
気密測定の結果はレシート状の印刷物で確認できます↓
気密測定結果
一条工務店の住宅では、気密性能C値は最低でも0.7以下と定められており、(高気密化を行いやすいパネル工法を採用している商品の中では)全棟平均のC値が0.59らしいのです↓
最高レベルの気密性、と書かれていますwwwうそつけぇ
筆者の住宅は「掃き出し窓なし」「引違い窓1箇所」となっており屋内の9割以上がFIX窓(はめ殺し窓)という開閉不可能な気密最強窓で、そもそも窓の数もそんなに多くは無いので普通の住宅に比べれば非常に気密を取りやすいと思うのですが…それでもC値が0.6。
こんなにFIX窓多いのに平均以下の気密性能ですか?
前述したように、気密性能が高いということはそれだけ大工さんが丁寧な仕事をしてくれたという証です。
測定後に「C値0.6かぁ~残念だなぁ…」とボソッと呟いたところ、気密測定の現場責任者がこんなことを言いました。
それに完成時にはクロスも張られるので、今よりもう少し気密性能は上がりますからご安心ください(笑)
いやいやいやwww、全然慰めになっていません、なぜならクロスは仕上げ材であり気密専用部材ではないからです( ˘ω˘ )
「日本の家を暖かく」というフレーズでお馴染みの気密&換気のプロ、日本住環境株式会社の釣本氏は自身のYoutubeチャンネル「家のサプリ」でこんなことを仰っています。
ですから、クロスを張ったことで一時的に気密は少し上がるかもしれませんがそれだけです、永続性が無いのです。
「C値0.6なんかで満足しやがって、マジふざけてんのか」と言いたくなる気持ちを抑えてその日は解散しました。
「高気密住宅と呼べる最低限がC値1.0で一条工務店基準が0.7以下なら、そんなに悪く言わなくてもいいんじゃない?」
と思った心の優しい方、それが違うんです(T ^ T)グスン
先ほども紹介した気密測定のプロである釣本氏が、「高気密住宅のその後」として数年後にC値に違いは出るのかという検証をした結果、なんと数年後にだいたいC値が(平均で)0.3ほど高くなっていたんです。
つまりスキマが増えていた!!!
もちろん平均値なのでC値が0.6上がった住宅もあれば全くC値に変化が無かった、という住宅もあります。
とは言え、釣本氏曰く「新築直後の5〜10年は、どうしても木材が乾燥収縮を繰り返すので建物が一時的に歪んだりします。そのせいでC値が少し悪くなるんでしょうね」と仰っていました。
大地震を経験することで建物のスキマが大きくなることもあります。
つまり、10年後のC値まで考慮すると1.0をギリギリ切れるか切れないかくらいの、最低限の気密性能しか有していないギリ気密住宅レベルになるのです。
ちなみに日本最高峰レベルの超高性能住宅を建築することで有名なウェルネストホームさんは、標準仕様で平均C値0.2です。
(出典:標準仕様(一部抜粋))
ちなみにウェルネストホーム創業者の早田社長も気密性能の重要性についてYoutubeで紹介しています↓
ウェルネストホームの平均C値0.2ですよ!!!???
C値0.2って、、、C値0.6の新築に住む予定の筆者からしたらまさに神業とも思えるレベルなんですが、実は高性能住宅を売りにしている建設会社や工務店の中ではC値0.2ってそこまで桁外れな値では無いのです。
それこそC値0.3〜0.4の住宅なんてそこら辺にゴロゴロしています。
平均C値0.2やて?こらエライことやで。
アンビリーバブルや〜!!!!
その中で一条工務店の合格基準は0.7以下です。
はっきり言って、合格基準が低過ぎます。
筆者宅のC値は0.6、非常に落ち込みます(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
筆者は今後、簡易的なサーモカメラ・フォグマシーン・風速計の三種の神器を購入してどこからすきま風が入り込んでいるかを見つけ出してやろうと思っています(笑)
これをセルフ気密リカバリーと呼びます(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎
ということで、一条工務店への不満点5つ目は気密性能の基準が不十分でした。
おまけ
これは不満点というよりは一条工務店に対する提案またはお願いなんですが、気密測定の際には
- サーモカメラ
- 風速計
- フォグマシーン
ぐらい用意してくれませんか?
気密リカバリーをする施主にとっては三種の神器と呼ばれるほど重要な道具
と言うのは、気密測定の実施中が最もスキマを見つけやすいからです。
スキマを必死に探す当時の筆者
「なんとしてでもスキマを見つけてやる!!!!」と色んなところに手を当ててスキマ風を確認する筆者のような意識高い系の気密施主にとって、
住宅の構造もろくに理解していない研修生みたいな方がコーキングガンだけを持って狭い室内をうろちょろされても邪魔なだけなんです。
事実、その研修生の方は筆者が期待していたような動きは一切しませんでした。
また、気密測定の現場責任者の方もとりあえず初回の測定でC値0.7の壁をクリアしていたのを確認すると、
「よし、合格ラインだぜ♡」
と安心した様子で筆者のように必死にスキマを探す素振りは全く見えませんでした。
まあ自分が住む家じゃありませんからね、当然と言われれば当然か…
と言うか、筆者夫婦が必死で見つけたスキマをいくつか報告すると「え、スキマありましたか?あ、ほんとだちょっと入ってきてますね。ハァ…」と完全にやる気なさそうな態度だったのです!!!
(´-`).。oO(合格ライン超えてるんだけどな〜…)
と言いたいのを我慢しているような感じだったんです!!!
思い出すとドンドン腹立ってきましたo(`ω´ )o
一条工務店のキャッチフレーズは「家は性能」ですが、(これ知らない人が多いですが)企業理念は「お客様以上に、お客様の家づくりに熱心であれ」です。
お客様以上に、お客様の家づくりに熱心であれ
素晴らしいことです、これが事実なら。
こちらの画像は、一条工務店の採用ページに書かれている「求める人財」の募集要件です↓
少なくとも筆者の住宅を担当したその工事課の人間は筆者より筆者の家づくりに熱心ではなかったわけです(笑)
結局、どんなに企業理念が素晴らしくてもそこにいる人間がダメなら良い家は建ちません。
とは言え終わったことに文句を言っていても仕方ないので、気分を切り替えて上記の「三種の神器」をどう使うのかを簡単に説明します。
興味ない方は飛ばしてください。
» 続きを読む
サーモカメラは住宅内の温度差がある部分を可視化します。
(出典:大手鉄骨ハウスメーカーの家をサーモグラフィカメラで撮影してみました。)
空調機器が動かない中間気密測定時には内外の温度差があまり無いはずなので、この方法はあまり有効ではないかもしれません。
が、無いよりは100倍マシだと思います。
※先ほど紹介したウェルネストホームの場合は、工事中も室内はエアコンを設置し大工さんが真夏も真冬も快適な環境で仕事できるように配慮しています。
だからこそ平均C値0.2以下なんて丁寧な施工になるんですかね…。
ちなみに筆者はこいつを買おうと思っています↓
風速計はスキマ風の強さを可視化します。
(出典:風速計おすすめ11選|雨でも計測できるカップ式や手軽・プロペラ式なども紹介)
気密測定時に室内を減圧していくと外気はスゴイ勢いでスキマを見つけて吹き込んできますが、手を当てるだけでは正直わかりません。
※筆者が経験済み
「気流が走ってる気もするし、自分が動いた時の風って気もするし」
となりますので、定量的に数値で検証できる風速計はマストです。
フォグマシーンはスキマ風自体を可視化します。
(出典:スモークマシーンのレビュー!フォグで商品や人物撮影に挑戦してみた)
そして最後がフォグマシーンです。
これは基礎断熱の住宅には使えませんが、床断熱を採用している一条工務店では床下点検口にフォグマシーンを設置して白い煙を大量に噴射すれば、住宅内のスキマというスキマから白い煙がモクモクモク〜〜と室内に入り込むので「スキマあったーー!!!!!」とすぐにわかります。
フォグマシーンは「ANTARI」か「STAGE EVOLUTION」を選べば間違いないです。
最低限の品質を担保できる有名な(高品質な)メーカーで揃えても3つで30万円はかからないですし(※)、スキマを可視化できるので施主の満足度も大いに上がると思います。
※高品質を求めれば100万円を超える製品も普通にあります。
» 折りたたむ
このように、スキマを見つける方法は色々あるのです。
これから気密測定を行う読者の方々は、上記のような高価な道具はもったいないのでせめてペラッペラのティッシュを用意しといてください。
スキマ風があるとひらひら〜っと揺れるのでとてもわかりやすいです(笑)
と言うか、そもそも一条工務店のC値合格ラインを0.7なんかに設定せずに、「C値0.3以下を最低基準に」とかにしてくれればわざわざ施主が自らスキマを探す必要もないんですがね。
一条工務店さん、頼みますよぉ!!
おわりに
ということで、ここまでお読み下さりありがとうございました(@^^)/~~~
では6つ目の不満点「現場の養生不足がヒドイ」に移ります( ̄^ ̄)ゞ
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