日本の住宅では「第一種換気」と「第三種換気」のみ!
先ほど、第一種換気から第四種換気まで4種類紹介しましたが、一般的な住宅で使われる換気方法は第一種と第三種のみなんです!!!
後ほど軽く説明しますが、第二種換気システムは手術室やクリーンルームに使われますし、第四種換気はもう今後は使われない(※)でしょう。
では、第一種換気と第三種換気のメリット・デメリットをお伝えします↓
第一種換気のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
機械で給排気するので換気効率が良い | 機械で給排気するので初期費用もランニングコストも高い |
熱交換器のおかげで冷暖房負荷が低い | こまめなメンテナンスが必要 |
第一種換気は、給排気を機械でするので➀初期費用と②ランニングコスト、③フィルターの定期的な交換代など、(第三種換気と比べて)お金はかかります!!!!
しかしそのぶん換気効率は高い(機械なので確実)ですし、第一種換気を導入する方は給排気に熱交換器を通すことがほとんどなので(後述します)、不快な外気を屋内に入れないので冷暖房負荷が低い(つまり光熱費が安い)です。
将来的な省エネ住宅には遅かれ早かれ必ず熱交換器付きの第一種換気システムが導入されると筆者は思います。
第三種換気のメリット・デメリット
第三種換気はその真逆です↓
メリット | デメリット |
初期費用もランニングコストも安い | 排気だけ機械でするので換気効率が悪い |
メンテナンスがほぼ不要 | 外気を直接室内に入れるので冷暖房負荷が高い |
第三種換気は排気のみを機械で行うので、給気の際には外気の不快な温度のまま給気されることになります。
夏はジメジメした蒸し暑い熱気が涼しい室内に、冬は乾燥した冷気が暖かい室内に侵入しますΣ(゚Д゚)
エアコンでいくら室内を快適な環境にしても、給気の際に熱交換していない外気が室内に入るので、やはりエアコンは常に頑張らないといけません(=つまり光熱費は高くなります)
しかし(第一種換気と比べて)➀初期費用や②ランニングコスト、③フィルターの交換代がとにかく安いです。
現在最も主流となっている換気システムがこの第三種換気です。
第二種換気の使い道は?
第二種換気は手術室やクリーンルームで使われる。
業界素人の筆者は、どれだけ頭をふり絞ってもその理由がわかりませんでしたが、調べてみるとあっけなく解決しました(笑)
興味がある方はその理由をご確認ください。
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①機械で強制的に室内に給気される。
②室内が正圧になる。
③つまり、室内の気圧が上がり、室内の空気は常に外に出ようとする。
④扉を開けた途端に室内の空気が外に出る。
⑤つまり扉を開けてもホコリやウイルスが室内に入り込まない。
⑥安心安全衛生的♡
手術室やクリーンルームはとにかく衛生的にする必要があるんです!!!
ドアの開閉と同時に余計な物質を室内に入れないための換気システムなんですね。
これが第三種換気の場合どうなるでしょう?
➀強制的に屋外に排気される。
②室内が負圧になる。
③つまり室内の気圧が下がり、室外の空気は室内に入り込もうとする。
④扉を開けた瞬間にホコリやウイルスが室内に入り込む。
⑤めっちゃ不衛生
こういった理由から、第二種換気システムはクリーンルームや手術室など衛生管理が必要な部屋において採用されているのです。
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ダクト式とダクトレス
ここまで、4種類の換気システムを紹介しましたが、実はさらに各換気方式は「ダクト式」と「ダクトレス」に分けられるんです。
ダクト式 | ダクトレス | |
メリット | 各部屋の換気をコントロールしやすい | メンテナンス不要で安い! |
デメリット | ダクトのメンテナンスを怠った場合、 ダクト内にカビや埃が溜まる | 家全体を換気するのが難しい |
ダクト式は天井裏とかに給気と排気のダクトが張り巡らされており、各部屋を効率よく換気できます。
ダクトレスはよくある壁付けの換気扇を指し、家全体を換気するのは難しいです。
(出典:第三種排気型換気システムの種類)
下の画像は一条工務店の熱交換器付き第一種換気システムのイラストです、ご覧ください↓
(出典:熱交換換気システム「ロスガード 90」)
こちらはどう見てもダクト式ですよね。
各部屋に給気口と排気口が付いており、確実に家全体を換気してくれる仕様になっています。
ダクトレスの場合、家の壁に換気扇を付けて、その換気扇から家中の空気を引っ張って換気しないといけいないので、実際に家中が換気されているかはかなり疑問です。
参考ブログ↓
気密と換気効率
さて、では気密性と換気効率の関連性を紐解いていきたいと思います!
結論から言っちゃうと、低気密な住宅では効率の良い換気はできません!
悲しいかな、これが現実です。
皆さんが思い描いている換気とはこういう感じでしょう↓
屋外の新鮮な空気が100給気されると同時に、排気口から室内の汚染された空気が100排気されると。
しかし現実は全くもって違うのです(笑)
低気密住宅の換気効率
こちらのグラフをご覧ください↓
(出典:高気密住宅の誤解を解消!)
C値が2.0(=すき間が多い)の住宅の場合、なんと給気口から給気されるのは30%にも満たないのです!!!
(C値2.0の低気密住宅の場合)100排気しても、計画通りの場所(給気口)から給気されるのはわずか30%で、残りの70%は家中のすき間から入り込みます。
いえ、皆さんのお気持ちはよくわかります。
いや、残りの70%がすきま風でも別にいいやん。
結局は100%の新鮮な外気が室内に入っているんだから
これですよね?
しかしそこにも落とし穴があるのです。
それが"Short Circuit"(ショートサーキット)という現象です。
つまり換気口と換気口周辺のすき間との非常に短い区間のみ空気が行き来し、換気が完結するってことなんです↓
皆さんの頭の中では給排気の空気の動きはこうなっていませんか↓?
しかし現実は全く違います。
排気口近くのすき間から外気が入り込み、汚染空気を押し出すこと無くそのまま排気口から排気されます(;´Д`)
上の図ではピンク色の線は1本だけですが、実際は排気口近くのすき間というすき間からすきま風がビュービュー入り込みます↓
このように、ショートサーキットを起こすと室内は全く換気されていませんよね?
例えば有害物質で充満している部屋を換気する場合、どう窓を開けますか?
以下のどちらかを選んでください↓
絶対に対角ですよね?
こんな感じで、排気口の近くにすき間が多いとショートサーキットが起きてしまうので、換気されない汚染空気が室内に残るんです。
ショートサーキットに関して、別の画像をお借りしました↓
(出典:正しい換気の為の気密性 C値が高いと生じるショートサーキットって?)
このように、低気密住宅だとショートサーキットを起こしてしまい、「室内を常に新鮮な空気にする」という換気の大原則から外れてしまうんです(´・ω・`)
ここまで話して、勘の鋭い方はこう感じたはずです↓
いや、それは第三種換気の場合やろ?
低気密住宅でも第一種換気を導入したら機械で100%給気して100%排気できるやん?
確かに先ほどの画像では第三種換気の場合を示していました↓
給気口は自然換気となっています。
しかし、やはり第一種換気にしても同じことなのです(ノД`)・゜・。
給気口近くのすき間から排気され、排気口近くのすき間から給気されるショートサーキットが起こるのです↓
第一種換気が第三種換気より気密の影響を受けにくいのは間違いありませんが、やはり気密は重要です。
換気について、とてもわかりやすかったブログがあったので紹介しておきます↓
:C値とはなにか?C値とは、住宅の気密性能を表す数値のことです。その家の大きさ(面積)に対して、どの程度の面積のスキマが…
高気密住宅の換気効率
さて、ここまで話して低気密住宅ではどうあがいても換気効率が上がらない、つまり健康に害があるということがわかりました。
では高気密住宅の場合はどうなるのでしょうか?
先ほどのグラフをご覧ください↓
実は高気密住宅の最低基準とも言われるC値1.0でも、換気効率は50%なのです(;・∀・)
第一種換気か第三種換気かに拘らず、C値はできるだけ小さくなるように気密施工を頑張りましょう!
次のページでは最後の項目「第一種換気システムと熱交換器」のお話をしようと思います。