さて、本記事では、ユダヤ人の聖典である「旧約聖書」の続編――その名も新約聖書についてなるべく噛み砕いて解説していく。
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なにせ旧約の続きである。
いきなり続編から観るのはちょっと…という慎重派の読者諸君、まずは前作をざっくりチェックしてからのほうがいいかもしれない。
以下のリンクからどうぞ↓
さて、本記事ではユダヤ人の聖書(=物語)である旧約聖書をなるべくわかりやすく解説してみました。大まかなお話は以下の記事で既に言及していますので、興味があればこちらからご覧ください↓[sitecard subtitle[…]
今回はちょっと趣向を変えて、漫画風のイラストで新約の世界を案内していくつもりだ。
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とりあえず堅苦しい話はナシ。
笑って読んで、ふと「へぇ~」とつぶやけたらそれで本望である。
では、いざ開幕。
新約の世界へレッツゴー٩( ”ω” )و
「イエスの復活」によって弟子たちに何が起こったか
さて、前回の記事では無実のまま死刑を宣告されて十字架に磔にされたイエスをご紹介した。
磔刑によって十字架の上で息絶えたイエス。
ある兵士が、本当に死んだのかを確かめるために、槍でイエスの脇腹を刺したところ、傷口から血と水がドバーッと流れ出し、「あ、こりゃ確実にお亡くなりだな」と、その場の全員が納得した。
そんなイエスの死と十字架から引き下ろされる様子を見守り続けたのは、イエスの母マリアやマグダラのマリアら、女性たちだった。
夕方になると、遺体はアリマタヤ出身のヨセフという人物に引き取られた。
ヨセフはピラト(=最終的に死刑を決定したローマ人の総督)の許可を得て、イエスの遺体に㋐没薬と㋑沈香を塗り、亜麻布を丁寧に巻いたのだ。
- 没薬(もつやく)とは:カンラン科コンミフォラ属のとげをもつ低木から分泌される赤褐色のゴム樹脂。高価な香料、香水、化粧品の原料
- 沈香(じんこう)とは:ジンチョウゲ科の常緑高木からとった香料。生木または古木を土中に埋め、腐敗させて製したもの。最優品を伽羅(きゃら)という。
そして岩に掘った新しい墓に亡骸をおさめ、入り口を大きな石で塞いだ。
イエスよ、永遠におやすみなさい。
なぜ復活したイエスは四十日間、この世にとどまったのか?
翌日は安息日であったために誰も近寄らなかったが、その二日後の明け方に、マグダラのマリアをはじめとする女性たちが、香料を持ってイエスの墓を訪れた。
ところが、である。
墓の石が動いていて、なんとイエスの遺体がなくなっていたのである!!!!
マリア「え、なんで!!!!???」
「え、ちょ、なんで!?どこ行ったのイエス様!!」と墓前で大騒ぎしていたが、よく見ると墓の中には白い衣を着た若者が座っていて、女性たちにこう告げた。
驚いた彼女たちは猛ダッシュで弟子のペトロとヨハネを呼び、報告した。
「ペトロ様ぁぁ、ヨハネ様あぁ、こっちこっちーー!!」
彼らが見たのもやはり、空になった墓の中だった。
「マジで!?これホントに復活してるかも……」と半信半疑で顔を見合わせた。
その後、墓でマグダラのマリアが泣いていると、二人の天使が現れた。
しばらくして後ろを振り向くと、なんとそこにはイエスの姿が!!!
マリアは驚きながらも喜びに震えた。
イエスはそんなマリアに、
「このことをみんなに伝えなさい」
と言い放った。
しかし死人が蘇ったなんて話を信じる者はいない。
必死でイエス復活を伝えるマリア
そのため、イエスは「しょうがないな」と言わんばかりに何度も弟子たちの前に現れ、驚く弟子たちに手のひらや脇腹に残る傷を見せて信じさせている。
そうしてイエスは四十日間、この世にとどまり神の国の教えを説くと、満を持してオリーブ山で華麗に昇天した。
イエス復活の際、最も重要な役割を果たしたのは(先ほどから大活躍の)マグダラのマリアだと言える。
そんな彼女はイエスにより、七つの悪霊を追い払ってもらったとされている。
その悪霊とは、
- 傲慢(自信過剰お姉様モード)
- 強欲(ブランドバッグ欲しがりモード)
- 淫乱(とりあえず誰かとヤリたいモード)
- 激怒(秒でキレるモード)
- 嫉妬(SNS監視モード)
- 大食(ビュッフェ無限ループモード)
- 怠惰(全力ゴロゴロモード)
のことだ。
このマグダラのマリアだが、「イエスがその奇跡により生き返らせたラザロの姉」とも、「イエスに香油を注いだ女性」などと言われているが定かではない。
また、娼婦だったという説もあるが、福音書には娼婦だったとの記述は見られない。
実はマリアは娼婦だった?え、じゃあイエスはマリアとチョメチョメな関係に…?
小心で未熟だった弟子たちの"成長"と"殉教"
さて、イエスの処刑は紀元30年頃のことと言われている。
イエスの死後、イエスの弟子であったことを民衆に知られるのを恐れ雲隠れしていた弟子たちだったが、「復活」という奇跡を目の当たりにすると、それまでのビビり具合が嘘のように“宣教モードMAX”へとシフトチェンジする。
「俺たちはイエス様の弟子だ!神の国の教えを世界に広めるんだあああ!!」
その後、弟子たちは宣教活動に身を捧げ、イエスの教えを伝道して回った。
イエスの教えを伝道する使徒たち
しかし現実は甘くない。
当時、キリスト教は“謎の新興宗教”扱いであり、土着の宗教信者たちからは、
「何だあいつら……また変なのが現れやがったぞ」
という冷たい視線が向けられる。
さらに、為政者からも「民衆を煽って反乱を起こそうとする危険な集団」と見られていた。
そのため、徹底的な迫害を受けたのだ。
キリスト教を憎む土着宗教の信徒
弟子たちの最期が、それらを如実に物語っている。
イエスの弟子たち、ボッコボコにやられます。
結果、イエスの弟子たちはデスノートに名前を書かれたかの如く、場所・方法を問わず次々と殉教していくことになる。
- 筆頭弟子のペトロ:イエスの昇天後は初代キリスト教会の中心的人物として活躍し、異教徒にも洗礼を授けるなど布教に尽力するが、後にローマ皇帝ネロの迫害に遭い、逆さ十字架(頭を下にして十字架に架けられる)で処刑される。
- ペトロの弟子アンデレ:ギリシアを中心に宣教に従事するも、やはり十字架の上で殉教。
- 大ヤコブとも称されるゼベダイの子ヤコブ:スペインへと移ったがエルサレムでヘロデ・アグリッパの策略に遭い斬首刑に。
- トマス:インドのバラモン教徒に槍で突き殺される。
- シモン:ペルシアで魔術師にのこぎりで挽かれる。
- 小ヤコブとも称されるアルファイの子ヤコブ:エルサレムで布教中、脳天をこん棒で割られる。
- マタイ:エチオピアで暗殺される。
- フィリポ:小アジア(現在のトルコ共和国に相当する地域)で十字架に架けられる。
まさに「世界各地で公開処刑イベント開催中」と言わんばかりの悲惨さである。
唯一殉教しなかったのは、イエスから聖母マリアの世話を託されたとされるヨハネただ一人だった。
彼も教会の発展に尽くし、晩年は小アジアで過ごしたとされ、94歳という超長寿キャラとして伝説となった。
では最後にイエス・キリストの12弟子の概要を以下に記しす。
興味があればご覧頂きたい。
ペトロ | イエスの一番弟子であり、弟子たちをまとめていたリーダー的存在。のちの初代ローマ教皇とされる。ヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂は、ペトロの墓と伝えられる地に建てられたものである。 |
ヤコブ | ペトロ、ヨハネと共にイエスの「三側近」の一人。激情家であったと言われている。「大ヤコブ」とも。 |
ヨハネ | ヤコブの弟。イエスの最愛の弟子と言われ、十二弟子の中では最年少である。イエスが死に際、母マリアの世話を彼に託した。 |
アンデレ | ペトロの弟。兄ペトロと共に貧しい漁師であったが、ガリラヤ湖で漁をしていた時にイエスに声をかけられ、弟子となった。 |
トマス | イエスが死後三日目に復活した際、なかなか信じようとしなかったことから、「疑い深いトマス」とも呼ばれる。 |
シモン | 「熱心党のシモン」とも。その由来には、ユダヤ教の過激な派閥「熱心党」の党員であったという説と、文字どおり熱心な性格だったという説がある。 |
マタイ | 当時最も忌み嫌われていた徴税人であったが、イエスの訪問を受けて弟子となった。 |
小ヤコブ | 「大ヤコブ」に遅れて弟子入りしたため、「小ヤコブ」と言われる。 |
ダタイ | 小ヤコブの兄弟、あるいは子であったとする説がある。 |
フィリポ | 「フィリポ」とは「馬を愛する者」の意だが、馬好きとの記述は『聖書』にはない。 |
バルトロマイ | 知人であったフィリポの紹介で弟子入りした。 |
ユダ | 「イスカリオテのユダ」「裏切り者のユダ」とも。会計係をしていたが銀貨三十枚と引き換えにイエスをユダヤの大祭司に売ることに。 |
さて、ここから物語は「異色の使徒」へと移る。
次回は、「あれほどキリスト教を憎んでいた男・パウロがなぜ改心し、神の使徒となったのか?」を語ろう。
さて、本記事では、ユダヤ人の聖典である「旧約聖書」の続編――その名も新約聖書についてなるべく噛み砕いて解説していく。[show_more more=続きを読む less=折りたたむ color=#0066cc list=»][…]