【新約聖書③】洗礼者ヨハネによる「洗礼」と宣教活動のスタート

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ユダヤ教 旧約聖書 歴史

さて、本記事ではユダヤ人の聖書(=物語)である「旧約聖書」の続き、新約聖書についてなるべくわかりやすく解説してみました。

新約聖書は旧約聖書の続編として書かれているので、先に旧約聖書の内容をチラ見したい方はこちらからご覧ください↓

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旧約聖書 まとめ わかりやすく
参考書は【眠れないほどおもしろい「聖書」の謎】【常識として知っておきたい世界の三大宗教】です。

では始めます(”◇”)ゞ

本記事に用いるイメージはほぼ全て画像生成AIで作成したものです。
新約聖書編では趣向を変えて漫画風のイラストで進めていこうと思います。

どうぞお楽しみください!

洗礼者ヨハネによる「洗礼」と宣教活動のスタート

さて、前回の記事では神の子として産まれたイエスが様々な災難に遭いながらもその天才っぷりを発揮するエピソードをご紹介しました。

ところで、イエスが生まれるほんの数カ月前に、イエスに洗礼を施した洗礼者ヨハネが誕生しています。


父は祭司ザカリアで、母はマリアの親戚のエリザベト

つまりヨハネとイエスは一応親戚ということですね。

若き頃の洗礼者ヨハネはヨルダン川の西方の荒野でたった一人、過酷な修行を行っていましたが、神の言葉を受け、預言者として民衆に

「悔い改めよ、神の国は近づいた」

と終末論を説き聞かせ、洗礼を行っていました。

※この説教の意味は「もうすぐ神が悪を駆逐する時代がやって来る、悪人は神の世界にはいられない。今一度自分自身の行いを正し真っ当な人生を歩め」という意味

新約聖書 ヨセフ 救世主 イエスキリスト

ちなみにこの頃の洗礼は、罪を告白し洗い流す「悔い改めの象徴」としての行為で、現在のキリスト教でみられるような、信者になるために行う「洗礼」とは少し意味合いが違うようです。

ヨハネの洗礼は、預言者を待ち望む民衆たちから大変な支持を受けました。

民衆A「ってか、もはやヨハネ様が救世主なんじゃね?」

民衆B「確かに、神々しさとか半端ないもんね(゚Д゚;)」

当時、救世主を待望していたユダヤの人々から「ヨハネこそ救世主ではないか?」と尋ねられていたほどです。

そこに現れたのが神の子イエスでした。

ヨハネは洗礼を施して欲しいと言うイエスを見て「彼こそが救世主だ」と気付き、洗礼を授けることをおこがましいと一度は固辞しました。

イエス「ヨハネ様、私に洗礼を施してください」

ヨハネ「(まさかこのお方は…)いえ、私にはとてもとても…」

イエス「ヨハネ様、どうか、どうか私に洗礼を!」

イエスの懇願もあり、ヨハネは結局イエスに洗礼を施すことになりました。

この時のシーンを描いたのが、ヴェロッキオ工房の「キリストの洗礼」です!


ヴェロッキオ工房作「キリストの洗礼」

レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた左端の天使を見て、師であるヴェロッキオは筆を折り、その後2度と絵を描くことはなかったという逸話もありますが、あれはガセらしいです。

ヨハネがイエスに洗礼を施すや否や、突然天が開け、神の霊が鳩のように地上に降りてきて

「これは私の愛する子、私の心にかなうもの」

という声が響き渡っていたと言われています。


白い鳩は世界的にも平和の象徴とされている。

名作『サロメ』を生んだ洗礼者ヨハネの最期

イエスに洗礼を施したヨハネですが、まるでそれだけが彼の使命であったかのような最期を遂げます。


バカ息子のヘロデ・アンティパス

イエスに洗礼を行って間もなく、亡き父ヘロデ大王の後を継いだヘロデ・アンティパスに捕らえられて、投獄されてしまったのです。

罪状は反逆罪。

ヘロデ・アンティパスは弟の妻であったへロディアと結婚したことをヨハネに厳しく糾弾され、強い不満感を抱いていたのです。(←え、不倫で逆ギレ?(゚Д゚;))


ヘロデとへロディアの不倫現場

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筆者
自分の弟の妻と結婚しようとするドラ息子、最悪…

「まあ紀元前やから不倫とかの概念もないのか…」

と一瞬思いましたが、ユダヤ教の十戒でしっかりと書かれています。

他人の妻を欲しがるな」と。

もちろん日に日に高まるヨハネの名声と影響力に恐怖を覚えたことも要因の一つなのでしょう。

へロディアもまた、結婚に反対したヨハネを恨んでいたため、さっさと殺せばいいと考えていました。

この項の登場人物ヤバいやつしかいねぇ( ゚Д゚)

しかし夫のヘロデは民衆の目もあり、なかなか手を下せませんでした。

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筆者
なんせヨハネは市民からの人望が厚い尊いお方ですからね。

そんな折、ヘロデの誕生日がやってきて盛大な祝宴が繰り広げられました。

宴を最も盛り上げたのは、へロディアの連れ子である娘の優雅な踊りでした。


パリピな連れ子

気分をよくしたヘロデは娘に言い放つ。

「欲しいものがあれば、何でも好きなものを与えよう」

困り果てた娘は、母へロディアに何を願ったらいいのか相談しました。
おいおい大丈夫か、この流れ…

母へロディアはここぞとばかりに娘に「ヨハネの首を!」と答えさせたのです。


「ヨハネの首を持って来てちょうだい」ザワザワ

娘に告げられたヘロデ・アンティパスは(さすがに)困惑しましたが、大勢の客人の前で約束したこともあり(←え?(;・∀・))、へロディアの願いを叶えます。

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筆者
そこで娘を叱っていればヘロデの名声もちょっとは回復していたでしょうに…
(と思いましたが、コイツの父親も2歳以下の男子を全員殺せとか言うキチガイな勧告を出していたのを今思い出しました)

こうしてヨハネは執行人の手によって斬首刑に処され、その生涯を終えたのでした。


聖ヨハネの不遇な人生でした…


この物語は聖書の中でも特異なストーリー性を持つことから、多くの芸術作品のモチーフになっています。

イタリアのティツィアーノやドイツのデューラーの絵画でも有名ですが、最も世に知らしめたのは19世紀の劇作家オスカー・ワイルドの作品『サロメ』でしょう。


オスカー・ワイルド(出典:Oscar Wilde

物語は、へロディアの娘サロメ(ただし聖書にはサロメという名は出てこない)がヨハネに恋心を抱くという設定で進行します。

コトバンクによると、「サロメ」という名はヨセフスの『ユダヤ古代誌』(Josephus, Flavius “Ioudaikē Archaiologia”)の17巻によるらしい。

そして、自分に振り向いてくれないヨハネを手に入れるため、サロメは父に首を所望するのです。


ヨハネの首を持つサロメ(出典:MEISTERDRUCKE

洗礼者ヨハネの死にまつわるエピソードとして、特に首を盆にのせるというショッキングな事件が有名です。

手に入れた首を愛おしそうに抱き、キスをするサロメを見て恐怖を感じた王は、娘も処刑してしまいます。

このワイルドの物語は、オーブリー・ビアズリーが挿絵を担当し、現在も熱狂的なファンを持っています。

さらにギュスターヴ・モローの絵画や、R・シュトラウスのオペラなど、影響を受けた芸術家は数多いのです。

"悪魔の誘惑"は実は「神からの試験」だった?

さて、ヨハネから洗礼を授かったイエスは、布教活動に入る前に死海の北に位置するクムラン周辺のユダの荒野に向かいました。

四十日間の断食に入るためです。

かつてモーセは、シナイ山で四十日四十夜、神のもとで飲まず食わずの修行をしましたが、イエスの断食はこの故事に基づいたものとされています。

モーセのお話はこちらで↓

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旧約聖書 モーセ 出エジプト

ちなみに断食のギネス世界記録は当時27歳のスコットランド出身の青年で、記録は382日でした。
※医学的には砂糖と水だけで生きれるのは最長でも30日程度だと言われていた。

ちなみに、水も食べ物も一切取らない完全な断食の最長記録は、18歳のオーストリアの少年が打ち立てた18日間です。

やがてイエスが空腹を感じ始め、それに耐えていると、悪魔が現れました。

悪魔は、

「グヒヒヒヒ!!神の子なら、これらの石がパンになるように命じたらどうだぁ?」

と挑発します。

するとイエスは旧約聖書の神の言葉を引用し、

「人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる」

とはねのけたのです。

次に悪魔はイエスをエルサレムの都まで連れ出し、神殿の屋根の端に立たせて挑発しました。

「ギャハハハ神の子なら飛び降りたらどうだぁ?神は天使たちに命令してお前を助けてくれるだろ?」

イエスはまたしても旧約聖書の言葉から、

「聖書には、あなたの神を試してはならないとある」

と退けたのです。

それでも悪魔は諦めません。

イエスを山の頂上まで連れて行き、この世の栄華を見せ、


「なんじゃこの世界は…」←約2,000年前の話ですからね

「もしひれ伏して私を拝むなら、これをみんなお前に与えよう。」

とそそのかしたところ、イエスはこう言い放ちました。

「退け。『あなたの神である主のみを拝み、ただ主に仕えよ』と聖書に書いてある」

悪魔は去って行きました。

悪魔「ちくしょう…コイツの信仰心はただごとじゃねーぜ」

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宮本武蔵のような立ち姿、相当な剣豪の悪魔だったようです

この悪魔は、神がイエスを試すためにわざと使わせたのではないかとも考えられています。


では次ページでは「なぜ「山上の説教」は人の心を一瞬でとらえたのか」についてご紹介します。

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