犯人が人質に親近感を覚える奇妙な状態を『リマ症候群』と呼ぶ
人質監禁事件において人質が犯人に対して好意を抱くような心理状態に陥ることをストックホルム症候群と呼びます。
しかし、ふと気になる事がありました。
人質が犯人に対して親近感を覚えることはストックホルム症候群と呼ばれるとすると・・・。
犯人が人質に対して親近感を覚えることはないのか?
いや、あるはず、人間だもの。
そこで新たに調べたところありました。
その名もリマ症候群。
リマってわかる人にはわかると思いますが、南米ペルーの首都です。
ストックホルム症候群はスウェーデンの首都ストックホルムで起きた事件に因んでいるので、当然リマ症候群はペルーの首都リマで起きた事件に因んでいます。
在ペルー日本大使公邸占拠事件
それではリマ症候群とはどのような事件に由来するのか?
いやーなかなか考えさせられる事件で、かなり要約しましたが、読みたくない人はすっ飛ばしてください↓
ペルーの首都リマで発生した日本国大使公邸での人質軟禁事件から名付けられた。
1996年、ある武装部隊(MRTA)14人が爆発物や拳銃を武器に当時公邸内で天皇誕生日祝賀パーティーに出席していた700人以上を人質にし立て籠もった。
MRTA(出典:ペルー日本大使公邸人質事件 写真特集)
日を追うごとに大部分を解放するも、最終的に72人の各国知識人たちを人質に127日間にも及ぶ監禁生活を敢行する。
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(著書によると)基本的に人質達は、将棋・麻雀・オセロ・パズル・チェスなどのゲームから私語・運動・シャワー・日本食弁当などの生活必需品の手配まで、我々一般人が想像しているよりもはるかに自由度の高い生活をしていたが、それでもストレスが溜まっていたのは間違いない。
また、犯人たちの大部分は15~20歳の若者たちで構成されており人懐っこくて人情味の溢れる人柄だったようである。
インタビューに応えるMRTAメンバー
(出典:ペルー日本大使公邸占拠事件(前編)つかんでいた突入「Xデー」)
そんな中テロリスト集団は知識人である人質たちと127日間を共に過ごすうち、彼らが触れたことのない文化や慣習に興味や親しみを覚え、次第に人質たちを「自分の知見・世界観を拡げてくれる先生」として慕い始めた。
大使公邸の中では日本語講座初級編などの勉強会が開かれ、先生役の人質を慕って側を離れない者までいたという。
日本人を含む人質に敬意を抱いた手下に気づいたリーダーは、人質とむやみに会話することを禁止したがあまり守られなかった。
結局トンネル作戦によってペルー軍特殊部隊140人が現場に突入するが、テロリスト達は人質たちに銃口を向けながらも親や先生、ある種の仲間のように慕っていた人質達に危害を加えることができず(ペルー人の人質1人と特殊部隊2人の計3人が犠牲になったとはいえ)テロリスト14人全員が抹殺された。
今回の件では、目の前で銃殺される犯人を目の当たりにした人質たちの中にはPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症した者までいたという。
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このように犯人が人質に対して好意的に振る舞い態度を軟化させる現象をリマ症候群と呼びます。
ちなみに後日談がこちらです↓
人質の一人は解放後、特殊部隊員が投降した無抵抗のテロリスト三人(16歳の少女含む)に容赦ない暴行を加えた後、トンネルの中に引きずり込もうとしているのを見て「殺さないでやってくれ!」と叫んだ。
しかしその後ペルー政府は「MRTAの14人は全員邸内で死亡した」と発表した。
また、制圧完了を発表するまでに軍や警察にとって、知られたくない内容が書かれたものもついでに全て焼却したと言われている。
人質たちが「わが家に帰りたい」というフレーズの歌を合唱していた時、MRTAの女性メンバー2人のうちの1人、16歳の少女メリサもそれに加わり歌っていたこともあった。
また人質の一人である神父のウィッチは色白の少女が公邸の窓際で泣いていたのを見て声をかけると「母さんのことを思い出していた。リーダーは2週間で終わると言っていたのに、もう一ヵ月以上たった」と言っていたという。
これ、映画やったら泣くと思います。
ストックホルム症候群の話より心に響きますよね。
武装勢力=テロリスト=反社会勢力=社会不適合者=悪
単純に考えれば誰しもがそう思うと思います。
しかしそれは単に彼らが十分な教育を受けていなかったが故の結果でもあり、
もしもっと幼少期に世界の文化や慣習について知る機会があれば、
彼らはテロリストにならなかったかもしれない、
とも思えます。
やはり教育というのは大事だなと考えさせられました(日本の金融教育コラアァァァァ
あ、ついさっき楽天ブックスで「人質127日 ペルー日本大使公邸占拠事件」というタイトルの本を注文しました。
思い立ったが吉日です(笑)
追記
3日で読了しました。
※なんか今1円で売ってるみたいです(笑)
ストックホルム症候群
リマ症候群は犯人が人質に対して親近感を覚えることです。
警官隊が現場に突入した際に、普通ならやけになって人質を殺害する気もしますがリマ症候群になっている場合、普通なら人質に危害を加えることはありません。
リマ症候群と真逆の状態に陥るのがストックホルム症候群で人質が犯人に対して親近感を覚えるというものです。
人質が犯人に親近感を覚える奇妙な状態をストックホルム症候群と呼ぶそもそも、ストックホルムってどこかわかりますか?筆者そう、北欧三国の一つ、スウェーデンの首都がストックホルムですちなみにこんな所にあります↓[…]