さて今回のテーマはズバリこれだ!!!!!
自慢だが、筆者は人生初のモニター募集に見事当選しタダでヨーロッパに行ってきたのである。
今回はそんなモニター募集に挑み、当選までに気を付けるべきポイントを惜しみなく教えよう。
手順?説明?そんな退屈な話は飛ばして、すぐに「当選の秘訣」だけ知りたい性急な君のために、ワープ用リンク(こちら)も用意してあるぞ(^ω^)。
これで君もタダで海外旅行できるかもしれない…
いや、間違いなくできるはずだ!
モニター募集とは?
さて、「モニター募集」と聞いて皆は何を思い浮かべるだろうか?
たぶん多くの人はこう思うはずだ。
「無料でシャンプーとか筋トレマシーンとかヨーグルトとか使わせてもろて、感想をちょろっと書くアレやろ?」
そう、それで合っている。
でもな、世の中甘くない。
企業は「はい、タダで使ってください」だけでは満足しないのだ。
感想を書くのは当たり前。
SNSでバンバン宣伝せえよって魂胆である。
ところがだ。
最近はその「商品」にまさかの『海外旅行』が登場しとる。
これぞタダで行ける海外旅行の真髄。
旅行会社「お金は出すから、遠い海外の現地で『うまいもん食った』『景色サイコー』とか教えてくれや」
ということなのである。
つまり、モニター募集は「無料で旅しつつ、ついでに企業の宣伝も頼むで」というスパルタな契約なのである。
旅が好きなら、これを使わん手はないわけだ。
筆者が当選した「カタール航空」のモニター募集について
筆者が実際に当選した、夢と希望が詰まった「旅のモニター」案件——その提供元は、あの中東の空を優雅に舞う王者、カタール航空であった。
(出典:Aviation Wire)
しかもこの情報、偶然の産物などではない。
筆者は日頃から「無料で海外行ける系アンテナ」をピンと張っており、旅好き界隈で有名なTABIPPOという団体のLINEをちゃっかり友達登録していたのである。
ある日、何気なくスマホを見ると通知が。
……♡?
いや、♡どころの騒ぎではない。
これはもう愛とか夢とかロマンとか希望とか、そういうすべてを詰め込んだ神からの啓示だった。
筆者「ヨーロッパにタダで行けるチャァァァァァァンス!!!!」
通知を見た次の瞬間には、何の躊躇もなくエントリーフォームに突撃。
速さ的にはたぶん「秒」だったと思う。
もはや反射神経だけで応募していた。
なお、カタール航空の公式サイトはこちら↓
http://qrauthor.qatarairways.com.qa/editor.html/content/glob…
実際に筆者がカタール航空を使って感じた「中東の底力」についてはこちらでチラ見せ中↓
2017年12月20日から2018年1月10日まで、カタール航空のモニター募集に合格し、ヨーロッパを無料で旅する機会を得た。今回はその旅の中から、カタールの首都ドーハでの滞在についてお伝えする。[show_more more[…]
応募条件
さて、ここで筆者が命をかけて(?)応募したモニター募集の応募条件を、当時のTABIPPO公式ページから引用してみよう。
- 日本在住で、応募時点で満18歳以上の方(職業は問いません)
- ヨーロッパ4か国以上を訪問して頂ける方
- 2017年12月までに渡航可能な方
- 旅行中は、ご自身のTwitter, Facebook, Instagram, ブログといったSNSによる動画、および写真の公開を1日2回以上投稿できる方
- (関連ハッシュタグ:#レイルヨーロッパ、#ユースホステル、#ヨーロッパ、#鉄道、#カタール航空、#HanedaTogether、#NaritaTogether、#A350)
- 帰国後は、TABIPPO.NET、カタール航空サイト、レイルヨーロッパサイトにて旅行体験記事を作成頂ける方
- 渡航先の報告レポートをご提出頂ける方で、レポート掲載時にご自身のお名前(ペンネーム可)と顔写真を出せる方
- 報告レポートの提出(MS Word 4ページ以上、写真10点以上)
- 撮影物(動画、写真など)の納品
- ※上記、条件にご同意いただいた上でご参加頂くこととなります。条件が満たされなかった場合には、航空券、鉄道パス、ユースホステル宿泊補助費を全額ご負担頂きます。
- ※なお現地で撮影した動画や写真は、レイルヨーロッパに帰属し、今後のプロモーションで使用する場合があります。
長い。実に長い。読んでるだけで1カ国分の移動時間が消費されそうである。
だが、ここまでの文字数をギュッと一言にまとめるならこうだ。
である。
つまり、「あちこち回って、写真と動画をパシャパシャ撮りながら、SNSで毎日レポートして、帰ってきたらWordでレポート書いて納品ね!」という話。
これが全部タダでヨーロッパを旅できる代わりの任務だったわけである。
まさに『タダより高いものはない』精神が詰め込まれていた。
しかし、旅好きにとってはそれすらもご褒美でしかなかった。
ハッシュタグ地獄も、レポート提出も、「それでも俺はヨーロッパを歩きたいねん!」という情熱の前ではひたすら霞んでいたのである。
特典
「モニターって何かすごそうだけど、実際何がもらえるの?」という、読み手の脳内に今ごろふわっと浮かんでいるその疑問。
結論から言おう。
筆者の場合、提供されたものは大きく分けて以下の3つであった。
- 往復航空券
- ユーレイルパス
- ユースホステルの宿泊費の一部
それぞれ説明しよう。
往復航空券(カタール航空)
なんと往復航空券が支給されるのである。
これにはさすがの筆者もテンションがグイーンと上がった。
「え、まじで? タダで? 乗っていいの? 空飛ぶやつやで?」と小躍りしたのは言うまでもない。
冬のヨーロッパはオフシーズンで、航空券は比較的安めとはいえ、それでも10万円前後はする。
それが無料である。
しかもただの航空券ではない。
後から知ったのだが――
「出入国の空港が自由に選べる」仕様だったのである。
これは、旅人界隈では「神設定」と呼ばれているものである。
筆者はヨーロッパの地図(グーグルマップ)を広げて、毎日真剣に悩んだ。
「どこから入国してどこから出国しようかな…パリ? ミラノ? それともマドリードから攻める?」
妄想が加速し、夜しか眠れない日々が続いた。
地図とにらめっこしているうちに、ヨーロッパ各国の空港コードを自然と暗記していた。
もはや職業病である。
ユーレイルパス(レイルヨーロッパ ジャパン)
ヨーロッパを旅する者なら、一度はその名を耳にしたことがあるであろう――ユーレイルパス(Eurail Pass)。
この鉄道パスこそ、旅人たちの最強装備である。
筆者「これまで何度も使ってきたが、これはマジで便利すぎる。
特に初心者にとっては”生命線”と言っても過言ではない。」
だが、それはあくまで上級者編である。
初心者にはユーレイルパス一択なのである。
理由は簡単。
「乗りたいときに電車に乗れる」。
この自由度の高さが旅のストレスを激減させるのだ。
「次の街、どうやって行こう…」と地図を見ながらうなだれる時間がゼロになる。
パスの種類は豊富だ。
乗車クラス(1等か2等)、訪問する国の数、有効期間などによって細かく分かれている。
このあたりの話を始めるとEurailパスの教本が一冊書けてしまうので詳細は省くが、ひとことで言うとこうだ:
二等車が「バックパッカーの戦場」だとしたら、
一等車は「余裕ある大人の楽園」である。
広々シート、静かな空間、妙にやさしい車掌。
一等車に乗った瞬間、なぜか「紅茶を頼まなきゃいけない気分」になるのだ。
不思議である。
しかも、今回モニター旅で提供されたのは…
なんと「一等車クラス」であった。
ありがたや。
筆者はこのパスを握りしめ、ヨーロッパ中を走り回った。
「今日はミュンヘンでソーセージ」「明日はチューリッヒでチーズ」と、胃袋の欲望のままに。
ヨーロッパを鉄道で旅したい方は、まずこのリンクを覗いてみるといい。
ユースホステル宿泊費の一部(日本ユースホステル協会)
そして「ヨーロッパで旅人が集まる宿」と言えば、これしかない。
そう、ユースホステル(Youth Hostel)である。
- 安い
- 清潔
- 朝食付き
この三拍子そろった奇跡の宿泊施設が、ユースホステルなのだ。
だがユースホステルなら、たった500〜3,000円で泊まれてしまうのである。
しかも、朝にはパンとチーズと「よくわからん謎のハム」まで付いてくる。
ビュッフェ形式なので、空腹を抱えて食堂に行けば、そこはもう小さな天国。
コーンフレークをかきこみ、オレンジジュースをがぶ飲みしている隣で、なぜか全裸で上半身を鍛えているドイツ人もいたりする。
そういう混沌も、ユースホステルの魅力の一つである。
筆者はこの一万円を握りしめ、「一泊1,500円の宿を狙えば、6泊はイケるぞ…!」と、計算機を片手に宿泊地を選び抜いた。
さらにありがたいことに、ユースホステルの会員証(割引を受けるために必要なアレ)も無料で発行してもらえた。(通常は有料)
この会員証を持っているだけで、なぜか「旅人ランクが一段階上がった気がする」から不思議である。
「安く、快適に、世界中の旅人と語らいたい」というあなたは、まずこちらをチェックすべし。
世界最大級のホステルネットワーク「ユースホステル」の情報をお届けします。…
当選までの大まかな流れ
「タダでヨーロッパ行けるだと?そんなウマい話があるか!」と疑ったそこのあなた。
あるのだ。
しかも、ちゃんと手順を踏めば、誰でもチャンスはある。
ここでは、筆者が実際にたどった当選までのロードマップを紹介しよう。
さあ、タダ旅への階段を上る準備はできているか?
1. TABIPPOのページからモニターの応募フォーム画面に移行、必要事項を記入し送信
2. 書類審査後、一次審査合格者には連絡が来るので、インタビューの日程を決める
3. 東京のカタール航空の事務所でインタビューを受ける
4. 二次審査合格後、じっくり旅程を吟味し提出。
今回の募集は10名だった。
5. あとは計画通りに旅を始める
6. 旅が終わったらA4で四枚以上のレポートを提出する
7. 問題なければここで終了
以上である。
ではそれぞれ説明する。
最も重要な書類審査
ハッキリ言おう。
この書類審査こそが、すべてのモニター選考のラスボスである。
冷静に考えてみよ。
当然だが、審査員はあなたのことを何も知らない。
あなたがどれだけ熱い人間で、どれだけ優秀で、どれだけSNSフォロワーが多くて、どれだけ人間性が良くても、それが伝わらなければ意味がないのだ!!!
あなたの魅力が書類で伝わらなければ、秒速で不採用通知が舞い降りる。
この場面、例えるならば「初対面の合コンで何もしゃべらずに帰る人」だ。
どれだけ内面がイケてようが、沈黙ではどうにもならん。
だからこそ、たった数百文字で「おっ、この人、連れて行ったら面白そうだな!」と思わせなければならない。
さて、今回のカタール航空×TABIPPO案件で実際に問われた質問は以下の通りである。
読むがよい。答える準備をせよ。
1. 旅のテーマ ※行ってみたい都市、体験したいことなど(400字程度)
2. 自己PR(400字程度)
3. 今回、応募したきっかけを教えてください(400字程度)
書類審査は、ただの記入作業ではない。
それは「あなたという人間を旅の広告塔にふさわしいか?」という審査なのだ。
熱く、でも客観的に。
誠実に、でもちょっと笑えるくらいユニークに。
読んだ相手が「この人、面白いぞ」とニヤッとするような、そんな文章を目指すべし。
次は、それぞれの質問に対する筆者の実際の回答例を紹介しよう。
旅のテーマ
数ある質問の中でも、もっとも重要視されるのがこの「旅のテーマ」だろう。
なぜなら、ここで個性が見えないと、その他大勢の旅好きの中に埋もれて終了である。
筆者、まず考えた。
「どうやって他人と違うことを書くか?」
ここが勝負の分かれ目だと直感した。
ぶっちゃけた話、以下のようなテーマは即・脱落候補である。
- フランス料理食べ歩き
- パリでウィンドショッピング
- ベネチアの運河めぐり
- ドイツのロマンチック街道を巡る
- ヨーロッパのクリスマスマーケット巡り
筆者が審査員なら、3人目で寝る。
なぜダメか?
それは誰でも思いつくし、金さえあれば誰でもできるからである。
ここで必要なのは「この人、ちょっと違うぞ」と思わせる切り口。
筆者が実際に提出した【旅のテーマ】は、こうである。
ほう、と思ったあなた。
さらに深堀りしよう。
実際に筆者が申請した文章がこちら。
ヨーロッパの自然&絶景を満喫し、他の人に自然という面からヨーロッパの良さを伝える
です。
例えばスイスで一際異彩を放つ独立峰『マッターホルン』の朝焼けから夕焼けまでタイムラプスを回したり、ヨーロッパアルプス最高峰の『モンブラン』で日本にいる限り絶対に体験できない3776m以上の空間を味わったり、ノルウェーの『トロルの舌』と呼ばれる岩の上でテント泊したり、アイスランドで氷の洞窟やはたまた海に流れ込む溶岩を見ながらのキャンプなど・・・
それに加え、ドローンを用いた空撮も考えていますが今のところ十分なお金が無いので机上の空論です。笑
基本的に生活道具全てをバックパックに詰めて美しい景色を見ながらテントを張り地元のスーパーで買った食材で自炊し寝る。
最高ですし、普通の人では絶対に体験できない事だと思います。(351字)
ちなみに筆者、応募文の最後に(351字)と字数を明記した。
なんとなく几帳面で賢そうに見えるのでは?という浅はかな作戦である。
が、これが功を奏したのか、無事書類は通過した。
また同じテーマでも「スイスの山岳リゾートを巡る」とか「ヨーロッパアルプスの麓の町を巡る」などの結局お金さえあれば誰でもできることだと弾かれてしまうと思っている。
筆者の中でのポイントは普通の人ではできませんと言及したことである。
むしろ「お金があっても、知識・経験・情熱がなければ無理」なテーマこそが、審査員の目を引く。
これを読んだ審査員が、「この人の旅、ちょっと見てみたいな」と思ったら勝ちだ。
自己PR
自己PR(400字程度)はそのままだが「自分について知って欲しいこと」を書くべきである。
たとえば、
「わたしは東大理三の在学中に弁護士資格や医師資格などを取得し、同学部を首席で卒業し、ハーバード大学でMBAを取得した後に現在はテスラ社にて宇宙開発計画に携わっています」
みたいな、旅に関係ない自己紹介は必要ないと思っている。
が、「だから、現在宇宙開発がアツいオランダの○○社やポーランドの△△社などの宇宙開発施設を回りたい」などは旅に繋がっているので良しとする。
実際、筆者の自己紹介もそのような構成になっている。
初めまして。
とにかくヨーロッパと自然を愛する満25歳の男性です。
今までずっと外国というものに興味がなかった自分が、ひょんなことからアメリカで行われた空手の世界大会に出場させて頂くことになり、その試合で大怪我&手術&入院を経て大学を一年間休学する事になりました。
(今は全日本大会で優勝し、日本チャンピオンとして修業に励んでいます。)
その休学期間中にバックパッカーに強い憧れを抱き始め今では『ヨーロッパかぶれ、日本を捨てた男』などと友人に呼ばれる程です。笑
もともと他人と同じことをする事があまり好きではないので、僕だけにしか書けない記事や写真を多数発信することができると確信しています。
過去にも様々な場所でテント泊をし、普通の人ではまず体験できないようなことも多くしてきました。
また数々のトラブルも経験し(今ではトラブルも一つの楽しみです)、面白い記事、珍しい体験、美しい写真、全てにおいて他人より優っていると思います。
是非ともよろしくお願いします。(422字)
400字程度との事だったので、422字はギリセーフであろう。
まあこれも今見返すとかなり恥ずかしいが、これは上の「旅のテーマ」で述べたテント泊に関する説明を入れている。
まあやはり関西人だからか、お堅い文章ではなく、ある程度「おもしろいニュアンス」を加えているのも評価されたのかもしれない。
今回、応募したきっかけを教えてください
そして最後に「応募したきっかけ(400字程度)」の質問があるが、これは各々思っていることを書けばよい。
実際に筆者が申請した文章がこちら。
一言でいうと「ヨーロッパの良さを他人に伝えたいから」です。
自分の周りにも「海外に行きたいけどコミュニケーションが取れるか不安」とか「犯罪に巻き込まれたら」とか「有名な観光名所は今の時代ネットですぐ見れるから」とかの理由で海外旅行を半ば諦めてる(?)人が多いことを受けて、そういう人の背中を少しでも後押しできたらというのが一番の理由です。
ヨーロッパ旅行というととてもハードルが高く思われがちですが、実際そんなことないよと言うのを実体験や美しい写真を交えて面白おかしく伝えることができたらいいなと思っています。
もちろん僕自身が楽しまなくては他人に良さを伝えることなどできませんから、そういう意味でもとても楽しみです。
異国の文化や言語と触れ合いにくい島国の日本人こそ、海外に出て世界の広さを、自分という存在のちっぽけさを改めて受け止め、今後の人生をより豊かで深いものにして欲しいと思います。(390字)
まあ「ヨーロッパのモニター募集」なるものに応募する以上、「ヨーロッパの素晴らしさを他人にドヤ顔で伝えたい!」と書くのは、もはや人としての義務である。
これを書かずにして何を書く。ヨーロッパの飯がうまい話か?
いや、それもアリだが、主旨とは若干ズレる。
ちなみに、この応募文なるもの、決して「合格するぞ!」という気合で書いたわけではない。
筆者が日々、風呂場でぼんやり考えているようなことを、つらつらと書き連ねただけである。
所要時間、おおよそカップラーメンと同じ3〜5分。
熱湯を注ぐくらいのノリで仕上がった。
情熱は熱湯並みだが、肩の力は完全に抜けていた。
無理して猫をかぶっても、読者には「この猫、なんか違和感あるな…」とバレるものである。
だから、媚びず、飾らず、腹を割って自分の思いを伝えるべし。
審査員ウケを気にして小手先のテクニックに走るより、「これが私の魂の叫びじゃい!」と胸を張って叫ぶほうが、案外ウケるかもしれないのだ。
インタビュー
そして来たるはインタビュー!
この時点でもう「最終チェック」的なノリで、ぶっちゃけ大したことないやろ、と思っていた。
油断大敵とはこのことである。
筆者は気合を入れ、京都から東京のカタール航空事務所まで、夜行バスという修行僧スタイルで向かった。
が、後から聞いたところによると「オンライン面接でも全然OKです」とのこと。
筆者の背中を襲ったのは、バス疲れと謎の徒労感であった。
さて、面接開始。
互いに軽く自己紹介を済ませたその直後、審査員が満面の笑みでこう切り出した。
審査員
「はい、初めまして。では早速ですが…ご自身のことを、2〜3分で軽く紹介してください」
突発的な対応力をみられるような質問が。
軽く。2〜3分。軽く…?
なんか今、無茶ぶりっぽい単語が聞こえた気がするのは、きっと気のせいではない。
筆者
「え…2〜3分で紹介…でしょうか?」
(※内心:うわ、やっべぇぇぇ!!! 汗が止まらん!)
審査員は優雅にうなずき、「はい、始めてください」と微笑んだ。
しかもメモを取る体勢に入り、完全に聞くぞモードである。ひえぇ。
しかしここで狼狽えては、夜行バスで旅してきた自分に申し訳が立たない。
もう驚きなどでは揺るがぬ、旅人の鋼メンタル(※内心はフル動揺中)。
筆者は開き直り、名前・年齢・性別・趣味・今までの旅の履歴・さらには空手の話までぶち込み、パワープレゼン3分弱。
完全に“持てる全力”で自分という人間を盛りに盛って紹介した。
審査員
「はい、わかりました。ありがとうございます。では本題に移ります」
──という流れで、ようやく旅の話がスタートしたわけである。
ちなみにこの時点で筆者の精神力の半分はすでに燃え尽きていた。
モニター募集の会社の情報は必ず仕入れておこう!
さて、旅のモニターに応募する者として当然の心得が一つある。
それは、モニターを募集している企業の情報を事前にリサーチしておくことである。
これはもはや基本中の基本、常識であり鉄則、社会人なら当然のマナー……で、あるべきだった。
しかし、ここで思いもよらぬトラップが炸裂する。
審査員
「今回は我々カタール航空をご利用いただいての旅になりますが、カタール航空についてはお調べいただけましたか?」
ぐはっ……!
心の中で見えない何かに殴られた感覚である。
なぜなら筆者、カタール航空について一切調べていなかったからである。
笑えない、いや、笑うしかない。
ところがどっこい、ここで神がかった偶然が筆者に味方する。
インタビュー当日の少し前に、旅好きの友人女性が「カタール航空めっちゃ良かったよ~!」と語っていた内容が、脳内に突如としてフラッシュバックしたのだ。
記憶よありがとう、脳よグッジョブ。
筆者
「はい!えー、カタール航空は2017年に“エアライン・オブ・ザ・イヤー”を受賞しており、世界的にも高評価を得ている航空会社のひとつですよね。また、首都ドーハでは無料の市内観光ツアーも実施しておられるようで…」
と、旅人の演技力と記憶力をフル活用し、あたかも事前にバッチリ調べてきたかのようにプレゼンを展開。
演技賞を狙えるレベルである。
審査員
「はい、わかりました。詳しくありがとうございます。では……本題に入りましょうか」
ふぅ……!命拾いである。
航空券、まさかの珍道中プラン
ここからは旅程の具体的な話に入る。
「いつからいつまで」「何日くらい」「どこを回りたいか」「どこの空港から入って、どこから出たいか」──と、まるで旅行会社のカウンターにいるような詳細なやり取りが行われた。
とはいえ、実際のフライト手配はすべて向こうがやってくれるので、こちらは希望を伝えるだけでOK。
楽ちんである。
──と、思っていた。
が、ここでもまさかのサプライズ。
これはすなわち、ヨーロッパをぐるっと一周して帰ってこいという、旅人魂をフルスロットルで試される構成である。
(オスロとコペンハーゲンは非常に近いため)
「オスロ着、コペンハーゲン発でチケット取れました!」と報告されたとき、「あれ?」という言葉が反射的に口から漏れた。
「え、オスロ着コペンハーゲン発って、いつどこで誰がそんなこと言ったの?」
が、もう遅い。
まあ、旅程の立て方は人それぞれ。異論は認める。
先に航空券を予約されてしまったため、それに合わせて筆者が提出した行程表がこちら。
筆者はその強烈な移動プランに従い、Google Mapsに行程を打ち込み、ヨーロッパ大冒険マップを作成。
もはや旅というより軽い修行である。
オスロ着、コペンハーゲン発――
この航空券の何がヤバいかというと、ヨーロッパをグルッと一周して同じ場所に帰ってくる必要があるという点に尽きる。
もはや旅というより陸路版マリオカートである。
だが、ここで文句を言ったところで航空券が空中分解してくれるわけでもない。
旅程の立て方は人それぞれ。
直線で移動する者もいれば、円を描いて帰る者もいる。
筆者は今回、後者を担当することになったわけである。
まとめ
というわけで今回は、「航空会社が募集する旅のモニターに当選するにはどうすればよいか?」という、ちょっと夢のある話を全力で語ってみた次第である。
モニターといえど、そこには一定のルールや制約が存在する。
だが、それでもなお――その“ちょっとの不便”をはるかに上回る“お得感”があることは間違いない。
面接あり、突発質問あり、トンデモ航空券あり。
だが、それこそが旅のスパイス。
うまくいけば、旅費の大部分を航空会社が持ってくれるという夢のような話なのだ。
世の中には、航空会社や旅行会社がさまざまなモニタープログラムを展開している。これを利用しない手はない。
読者諸氏も、ぜひ一度「旅のモニター」、検討してみてはいかがだろうか?
2017年12月20日から2018年1月10日まで、カタール航空のモニター募集に合格し、ヨーロッパを無料で旅する機会を得た。今回はその旅の中から、カタールの首都ドーハでの滞在についてお伝えする。[show_more more[…]