耐震等級ごとの耐震性能の違い
では先ほどから口酸っぱく言っている耐震等級ですが、耐震等級1~3がどれくらい耐震強度があるのかを軽く説明します↓
耐震等級1:建築基準法で定められている最低限の耐震性能を満たす水準(震度7でも倒壊しないレベル)
耐震等級2:耐震等級1より1.25倍の耐震強度をもつ(災害時の避難所レベル)
耐震等級3:耐震等級1より1.5倍の耐震強度をもつ(警察署や消防署レベル)
気付きましたか?
耐震等級1というのは、震度7を一発食らっても倒壊せずに持ちこたえられる性能なんです。
この耐震等級1が耐震の最低基準として規定されている理由は、逃げる時間を確保できるようにってことです。
→ キャーーー(大パニック)
→ 家が倒壊
→ 避難する前に家に押し潰されてお亡くなりに…
という災害を無くすために建築基準法で耐震強度の最低基準を設けたのです。
現行の建築基準法通りに建物が建築された場合、一度目の震度7でご自宅が倒壊することはおそらくありません。
が、決して「震度7を食らってもその後も安心して住み続けることができる」わけでは無いということを忘れないようにしましょう。
建築基準法の意義
ではここで改めて、建築基準法という法律が存在する意義を改めて確認しましょう!
Wikipedia先生に訊いてみました↓
建築基準法(けんちくきじゅんほう、昭和25年5月24日法律第201号)は、国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低基準を定めた、日本の法律である。
(Wikipedia 建築基準法より引用)
つまり、
ってことですが、本当にそうでしょうか?
ここで、熊本地震における木造住宅の損傷比率を示した以下の表をご覧ください↓(クリックで拡大)
(出典:耐震等級3のススメ [PDF])
上の図をご覧ください、旧耐震基準の建物は震度7を食らった時に約3割が倒壊します、つまり逃げ遅れたら倒壊に巻き込まれて死んじゃう可能性が高いってことです。
大規模半壊以上なら「もう建て替えた方が安いんちゃいますのん(笑)」というような金額&手間になると思います(まず家自体が傾いていますからね(笑))
ボロボロの家を頑張って直すより、完全に壊して建て替えた方がどう考えても楽でしょう( ˘ω˘ )
ですので半壊までであればセーフ(多少の補強工事で元の耐震強度に戻るレベル)としましょう。
そうなると、耐震等級3だけ抜群の成績をおさめているように見えませんか?
※耐震等級3住宅の母数自体が少ないこともお忘れなきように。
なんか"耐震等級3の安全性をアピールするために、セーフゾーンを恣意的に設定した"と読者の方には思われてそうですが、皆さんはどうお感じになったでしょうか。
え、いや~皆さんの気持ちはスゴイわかります、ほんまにわかります!
これですよね↓
耐震等級3だけ大規模半壊の件数が0件と区別されてるけど、耐震等級1の大規模半壊が何パーセントかわからねーじゃねーか。
仮に耐震等級1の大規模半壊が1%とかやったらどうすんの?
このデータ自体が"耐震等級3をアピールするためかい"と、かなり悪意を感じるんですけど
はい、筆者もそう思いました。
かなり悪意を感じるデータ整理になってる、と言われればそんな気もします。
これでは説得力に欠けるので、もっと別の証拠が無いかを調べました。
そこで、くまモンからの、大切なお知らせです。木の家のはなし[PDF]の中でもう一つ面白いデータを見つけました↓(クリックで拡大)
(出典:くまモンからの、大切なお知らせです。木の家のはなし[PDF])
↑耐震等級1と耐震等級3の建物をどちらも震度7で2回揺らした実験結果でした。
また、動画で観たい方はこちらを一度ご覧ください↓
さすがにこちらの動画をご覧頂ければ、もう耐震等級3の有効性を疑う余地無しです。
我々はこれから数千万円という買い物をするわけでして、正直震度7に一発耐えられる(倒壊しない)耐震性能で良いわけがないんです。
震度7を2回食らっても変わりなく住み続けられる耐震性能を備えておくべきだと思うんです↓
ちなみに「耐震等級1住宅より、耐震等級3住宅の方が先に倒壊した」という大きな誤解について、興味がある方はこちらの動画を一度見てください↓
筆者も初めて見た時は「耐震等級3の方が弱かったのかぁぁぁぁ!!!??」と大パニックになりました。
もう一度だけ訊きます。
あなたは耐震等級1で十分だと思いましたか?
震度7を2発食らっても、6割以上の住宅は無被害なのか٩( ”ω” )و
やっぱ耐震等級1で十分じゃん♡
と思うのか、
耐震等級3なら震度7を2発食らってもほぼ100%その後も住み続けられるのか。
耐震等級3一択やん。
と思うのか。
まあ「震度7を連続で2発食らったくせに、耐震等級1でも意外に無被害ありますやん」って思ったのも事実です(笑)
さらに言えば、旧耐震住宅でも5%は無被害です…。
しかしここで一つ質問です。
答えはNOです。
なぜなら次の地震の際は避難する前に倒壊に巻き込まれる可能性があるからです。
ザックリ言えば、耐震等級1の建物は、10年に一度来る可能性のある震度5ではほとんど壊れません。
ですが、100年に一度来る可能性のある震度6強~7の地震では倒壊はしないけれど、柱、梁、壁の主要構造部が大破して、建て直さなければいけないぐらい壊れてしまうレベルの耐震性を想定しています。
つまり、熊本地震のような大地震の後には建て替え、又は大規模修繕が必要となるレベルの耐震性、これが建築基準法の最低限度の耐震性(耐震等級1)です。
↑そう、まさにこれが言いたかった(笑)
そういった理由もあって、筆者はもしも大地震が2度来ても住み続けることができるであろう【耐震等級3の住宅】にするつもりです。(もうした。)
耐震等級1でも3でも一度目の震度7には耐えれます、大丈夫です、倒壊しません、安心してください!
2度目の震度7で耐震等級1が持ちこたえるかどうかは知りません、運です、神に祈りましょう。
2度目の震度7でも耐震等級3は倒れません、ほぼ無被害です、住み続けれます。
耐震等級1のリスク
すみません、もう一つだけ耐震等級1をディスらせてください( ̄д ̄)
上述した通り、歴史的に日本の耐震基準は徐々に厳しくなってきました。
逆に考えると、現在の耐震等級2や3が将来的に最低基準になる可能性だってあるということなんです。
逆の立場になって考えてください。
今から20年後、ある若い夫婦がマイホーム購入を考えました。
彼らは予算に余裕が無いので新築を諦めて中古戸建てを買おうと決めたのでした。
お、建物も土地も悪くない築20年の中古戸建てが見つかりました。
2024年築なのでまだまだ住めそうです、しかも安い。
ん?でも耐震等級2が最低基準の時代で、その建物は耐震等級1でした。
耐震等級1の建物は住宅ローンが下りないので、購入後に耐震補強工事をしなければなりません。
わざわざそんな手間をかけるのもめんどくさいし、結局高くつくのでその物件は諦めましたとさ。
・・・。
おまえに都合の良いストーリー作り過ぎな(^ω^)
と思いました?
2024年現在、中古戸建てを探している人の大半は旧耐震基準の建築物を条件から外して物件検索している人が多いです。
旧耐震基準の建物でも土地が良くて安ければ「建て替え(解体&新築)」をすればいいので、筆者は一応旧耐震基準の建物も検索していましたが、どちらにしろ耐震基準不適合の物件は買い叩かれます。
現行の建築基準法に満たないスペックの住宅は「既存不適格」として「リスクの代表格」として扱われます。
将来のことも考えて耐震等級いくつにするのかを熟考してください。
深く深ーく熟考した上で、耐震等級1を選ぶのなら筆者は何も文句を言いませんd( ̄  ̄)
さて、次で最後のページです(^ω^)
同じ耐震等級3と言っても実はいくつか種類があるので、それに騙されないでくださいって話です!