本記事では、筆者がジョージアの首都トビリシで見たこと、感じたことを忖度なしで存分にお届けする。
ジョージアなう
トビリシへはアルメニアの首都エレバンからバスで約6時間。
運賃は40AMD(約1,600円)と、なかなかのコスパ旅だった。
その道中のエピソードは、ぜひこちらの記事をご覧いただきたい。
本記事では筆者がアルメニアで見たこと感じたことを紹介している。アルメニアについてより詳しく知りたい方は、一問一答形式で100問用意したこちらの記事をお読み頂きたい。[sitecard subtitle=関連記事 ur[…]
本記事は、筆者の主観たっぷりの経験談――
いわば、旅の記録である。
ガイドブックには載っていないリアルな体験を通して、トビリシの魅力を伝えたい。
ジョージアの隣国アルメニアでは地元の友人リリーちゃんにおんぶに抱っこ状態で助けてもらったが、これからはまた筆者一人でサバイバル生活を続けなければならない。
エレバンに住むリリーちゃん
これからジョージア旅行を考えている人はもちろん、「ちょっとトビリシの空気を感じてみたい」という人もぜひ最後まで楽しんでほしい。
それでは早速始めよう!
- 1 宿に到着
- 2 なんだこの朝食は…!!!??
- 3 時刻表という概念が…ない!!!??
- 4 自動車ばかり狙う変態が…!!!??
- 5 バスでタッチ決済はスゴイ…!!!??
- 6 反ロシア色が強い…!!!??
- 7 街中の落書きがおもしろい…!!!??
- 8 旧市街は見どころがたっぷり…!!!??
- 9 ほんで野犬もしっかりいる…!!!??
- 10 欧米人は犬のフンを拾わないのか…!!!??
- 11 街中の分電盤がオシャレ…!!!??
- 12 手数料0の両替所…!!!??
- 13 ニーハオ…!!!??
- 14 レストランを探すが…
- 15 トビリシ大聖堂…スゴイ
- 16 ジョージアはスターリンの生まれ故郷
- 17 クレカの普及率がスゴイ…!!!??
- 18 これが名物か…!!!??
- 19 空港から市内も安くて早い…!!!??
- 20 トビリシ国際空港、小さい!!
- 21 空港職員までもが親ウクライナ、なのか?
- 22 トルコ共和国へ
- 23 おわりに
宿に到着
2025年2月2日(日)、夕方17時過ぎにアルメニアの首都エレバンを出発し、紆余曲折を経てジョージアの首都トビリシ市内のAvlavari駅に到着したのが23時15分。
約6時間のバン旅を経て、たどり着いたホテル。
ハアハア、フウフウ( ;´Д`)
駅を出て少し歩き、右折すると坂道。
さらに登り続け、左折しても坂道。
延々と坂、坂、坂。
気づけば背中にじんわりと汗が滲んでいた。
ようやく坂の上にあるホテルに到着。
もうほとんど日が変わるくらいの時間である。
ホテルの名はそう”hotel HOME”。
ホテルと言っても、広い自宅を改造したようなアットホームな作り。
玄関のベルを鳴らすと、もう0時近いのにおばあちゃんが出てきた。
おばあ「チーノ?(中国人?)」
筆者「え、あ、ジャポーネ!」
第一声からなんなんだ、よくわからんが胸を張って答えた。
しかし、問題発生。宿は現金オンリー。
筆者、ラリ(ジョージアの通貨)を一銭も持っていない。
ダメ元でユーロ払いが可能か聞いてみると、おばあちゃんは「ユーロならOK」と即答し、電卓でカタカタと計算し始めた。
このババアの言うことを鵜呑みにしてはいけない、こういう場面では高確率でぼったくられるからだ。
ババア「(…約17ユーロか。)えーっと、22ユーロよ!現金でね」
こういうことが普通に起こるのが海外であり、筆者は数えきれないほどこの手のボッタクリ被害に遭ってきた。
結果、おばあちゃんが換算した金額はジャスト20ユーロ。
きっちりキリの良い20ユーロの時点で非常に怪しい。
しかし、そこは旅慣れている筆者。
「さて、本当にそのレートで合っているのか……?ぼったくってやがったらこのババア、タダじゃあ済まさねえぜ」
筆者はそのババアを睨みつけながら、右手のスマホを使って即座に最新レートをチェック。
換算結果、20.34ユーロ。
—むしろ0.34ユーロ割引してくれていた。
え、海外でこんなことあるの…?( ゚д゚)
いやいや、よく見るとこのご婦人、信頼の化身のようにも見えてきた。
その穏やかな表情の奥底には、計り知れぬ慈愛と凛とした気品が満ちあふれており、会った者の心を一瞬で掴んで離さない。
人を欺くなどという下劣な行為は、彼女の気高い魂には最初から存在し得ないのだろう。
そんなわけで気持ちよく20ユーロ紙幣を渡し、無事チェックイン。
案内されたのは、まさかの一人部屋。
この広さの部屋に朝食付きで20ユーロ?安すぎる。
だが、筆者は2014年にポーランド・クラクフで一泊500円の宿に泊まっていた男だ。
驚きはしない。
一応リリーちゃんに生存報告をしてからシャワーを浴び、歯を磨き、着ていた服を即洗濯。
明朝のチェックアウトまでに乾くよう段取りを組む、というかひたすら祈る。
そしてふと考える。
リリーちゃんと過ごしたエレバンでの4日間、シャツとズボンは二日に一度、下着は毎日シャワー室で石鹸を使って洗っていた。
もしや筆者は知らぬ間に異臭を放っていたのでは……と、今さらながら気になってきた。
たとえ臭かったとしても「RYOくん、ちょっと臭うわ。ちゃんとシャワー浴びてる?」などとは絶対に聞けまい。
なんかめちゃくちゃ心配になってきた:(;゙゚’ω゚’):
いや、20cm×30cm×40cmという極小のカバン一つに全てを詰め込み旅をする人間の宿命である。
そんなことを考えながら気持ちよくベッドに横になると、心地よい眠気が襲ってくる。
目を閉じるたびに次の目的地への期待が膨らみ、もうすぐ新しい一歩を踏み出す自分にワクワクしている。
「こんなにも自由に過ごせることが、どれだけ幸せか」と心の中で思い、深呼吸をする。
また、生後5ヶ月の赤ちゃんを預かって筆者に10日間も自由に旅をさせてくれた奥様にもう一度礼を言おう。
GRAZIE!!
奥様はイタリア人のため
そうして心地よい疲れが全身を包み、外の街の音が遠くから聞こえる中、目を閉じてゆっくりと眠りについた。
今日もまた、最高の一日だった。
なんだこの朝食は…!!!??
おはようございます(∩´∀`)∩
眠い目をこすりつつ、「たった一日しかないトビリシを全力で楽しむぞ!」と意気込んで、なんとか8時半前に起床。
と言うのも、例のおばあちゃんから「朝ごはんは9時から11時までよ」と言われたからである。
……朝9時から朝食って遅過ぎんか、おい!!!??
朝食は早ければ6:30、遅くても7:30くらいには用意しとくもんだろ!!
9時から朝食始めたら午前中ほぼ無駄になっちゃうじゃねーか、ったく。
とは言え24時間対応のフロントで相手はおばあちゃんである、それに0.34ユーロの恩もある。
まあ大目に見てやるとするか。
まずはベッドの上でゴロゴロしながら、昨晩洗濯した衣類の乾き具合をチェック。
結果は……乾いてた!!
そしてシワくちゃのTシャツを手に取り、「まぁ、シワも旅の勲章ってことで」と自分に言い聞かせ、服を着てスリッパを履く。
昨日は深夜だったので気が付かなかったがこのホテル、一応のオシャレ感と清潔感はある。
部屋を一歩出るとこんな感じ(ここは2F)
さて、いよいよお待ちかねの朝食タイムだ。
このホテルは朝食付きということで、何が出てくるのかワクワクしながら階段を降りる。
一階のリビングに大きなダイニングテーブルがドーンと鎮座しており、先客がいれば挨拶などもする必要があるので(←めんどくさい)コッソリと2Fから下階を覗く。
|д゚)チラッ
よし、誰もいない。
まさかの筆者が一番乗り。
筆者が適当な席に座って一息つくと、おばあちゃんが奥からゆっくり登場し、まるで「おっはー!」と言わんばかりのテンションで朝食を並べ、各メニューの紹介をしてくれる。
おばあちゃんは英語を話せない、筆者はジョージア語を話せない。
なので説明は全くわからなかったがなんとなく言いたいことはわかった。
「ジャムのパンとコーヒーはおかわり自由だから、遠慮なくお腹いっぱい食べてね」と、ありがたいお言葉。
うむ、これは期待できるぞ……!
いざ実食──そして試練の幕開け
まずは、油で炒めたナスの上にマヨネーズとトマト、そして何かよくわからん物体が載った料理。
一口もぐもぐ……
もぐもぐ…
もぐ…もぐ…
美味しい!
なんだこれ、ナスがジューシーで、マヨがいい感じに絡んでいる。
ポン酢を少し垂らしても美味しそうだ。
「おれ、意外にジョージア料理好きなんじゃね?」
勢いに乗って、添えられているパンをもぐもぐ……
グハァ…、油っこい。
なんじゃこれ。
噛めば噛むほど気味の悪い油がジュワッと染み出してくるではないか…
もはやパンというより、食用のスポンジでは?というレベルで油を吸っている。
うむ、これは一旦置いておこう。一旦な。
次に、二切れのチーズ……
ウギャアァァァァァ((((;゚Д゚)))))))
これは塩辛すぎる!
というか塩の塊レベル。
もし海に投げ込んだら、ブラックシー(黒海)がデッドシー(死海)になるんじゃないかという濃厚さ。
これは無理だ。
ただでさえ高血圧気味の筆者をマジで殺す気か?
気を取り直してジャムパンを……
うん知ってた、これは不自然に甘すぎる!(砂糖の暴力かよ)
こんなジャムパンを食べ放題にされても困るのだが(´・ω・`)
壁際に食べ放題コーナーがある
結果、完食できたのはナスだけ。
他の料理はすべて一口かじったところでギブアップ。
用意してくれたおばあちゃんには申し訳ないが、これは病人を大量生産する食事である。
筆者は世界一健康な食事を食べるジャポン出身である、こんな塩辛い&甘すぎる食事は残念ながら口には合わない。
アルメニア料理は、ほぼ全ての料理にパクチー(別名コリアンダー=カメムシの臭いがする植物)という異物が混入していたが。
アルメニア料理はマジでパクチーだらけ
塩分過多・糖分過多のジョージア料理の方がはるかに嫌いだ。
「初対面だが、俺はすでに君のことが嫌いだ。」
ジョージア料理という上弦の鬼に筆者はボソリとつぶやいた。
ただのカメムシ臭い草であるパクチーはまだギリギリ「健康にはよい、かもしれない…」と自分を納得させられるが、塩分過多・糖分過多はもはやテロである。
逃げるが勝ち
ほぼ全ての料理を残すという気まずさを感じながらも、おばあちゃんが席を外した瞬間を狙い、サッと2階へ撤退。
まるで隠密行動のプロ・ゴキ**のようにサササッと音も立てずに階段を上がる。
チェックアウトの準備を整え、いざトビリシ観光へ!
身軽に動きたいので、大きく重いフルサイズのミラーレス一眼はカバンの中へしまい、荷物をまとめる。
……しかし、最後に問題がひとつ。
おばあちゃんと顔を合わせるのが気まずい。
ここで筆者の頭に浮かんだのは、某スパイ映画のワンシーン。
ミッションはただひとつ、「おばあちゃんに見つからずに玄関を突破せよ」。
荷物を持って一階に降りるとドアの向こうからはおばあちゃんの気配。
ここで物音を立てるわけにはいかない。
靴を履く音すら極限まで抑え、まるで空き巣かのように忍び足で玄関へ向かう。
カチッ(鍵を開ける音)
ギィ……(扉がゆっくり開く)
パタン(扉を閉めた)
……よし、クリア!
こうして筆者は、後ろ髪を引かれる思い(と胃のムカムカ)を残しながら、静かにホテルを後にしたのだった。
さあ、いざトビリシの街へ!
時刻表という概念が…ない!!!??
トビリシの観光名所についてはほとんど下調べしていなかったが、とりあえず「ナリカラ城」という丘の上にある城へ行くことにした。
Google Mapsによると、宿のすぐ横にバス停があり、そこからバス一本で約10分。
これは楽勝だな、と思いながら時刻表を確認すると……
「はぁ!?!??」
画面に表示されたのは 「44分遅れ」 の文字。
バスが44分も遅れていたら、その間に本来の時刻表通りのバスが2~3本は通り過ぎているはずである。
いや、むしろバス会社の運転手たちが「今日の勤務、もう終わった?」とコーヒーでも飲んでいる可能性すらある。
このブログでは何度も言っているが、筆者は世界一時刻表に正確な国ジャポンから来ている。
そもそもこの時刻表、本当に合っているのか?
Google Mapsもたまに誤った情報を提供することがあり、100%妄信してはいけない存在である。
そう思ってバス停の時刻表を確認しようとしたが……
ない。
時刻表がない。
それどころか、このバス停にどの系統のバスが止まるのかすら書かれていない。
ただ「ここにバス停ありますよ〜」というアバウトすぎる表示のみ。
いやいや、これは不親切すぎるだろう。
日本なら最低でも「〇〇行き」「〇〇分おきに運行」といった情報が書かれているものだが、ここにはただのポールが一本立っているだけ。
まるで、「この辺でバス止まるんじゃね?」みたいなノリで設置された感がすごい。
これはもう一旦ホテルに戻って、30分くらいのんびりした方がいいか……
と考えたその瞬間、
「ゴオォォォォォ!!」
坂道の向こうから、緑色のバスがこちらに向かって突進してくるではないか!!
まさか、いや、まさかとは思うが……
「おれが乗るやつ!?!?」
筆者がバス停に到着してまだ 1分も経っていない のに、ドンピシャのタイミングでバス登場。
10時32分着のバスが44分遅れで、ちょうど今来たってことか。
奇跡的すぎる♡
まるでジョージア流のドキドキサプライズ。
「ふっ、朝一から存分に楽しませてもらったぜ。」
そうして筆者は、まるで運命の出会いを果たしたかのような気持ちでバスに乗り込んだのだった。
自動車ばかり狙う変態が…!!!??
バスの乗車時間はわずか10分。
読者諸君にはスマホをポチポチやるのではなく、せっかくの機会なので車窓の景色をじっくり眺めて、トビリシの文化や国民性をじっくりと観察してみてほしい。
さすれば驚愕の光景が目に飛び込んでくることであろう。
コーカサス名物オンボロ車
まず筆者が目を奪われたのは、ボロボロの車たちである。
これは以前書いたアルメニアの首都エレバン編でも散々触れた話だが、ジョージアの首都トビリシにも例の廃車予備群が大量に存在している。
まるで深夜に「俺たちは自由だ!キャッホー」と叫びながら自動車修理工場を脱走してきた反逆のボロ車軍団。
凹み、サビ、割れた窓、外れかけのバンパー。
見た目はスクラップ、でも心は現役。
コイツら、実はさっきまで全力でリズボンの坂道を上っていた猛者どもである。
廃車待ちのリストに並ぶどころか、「今日も元気に出勤中♪」とでも言いたげな顔で、信号待ちをしているのだ。
もはや命の危機すら感じる迫力。いや、貫禄?
ちなみにアルメニアの首都エレバンで見つけたスクラップ集団がこちら↓
ここまで来ると「もはやコーカサス地方の文化では?」と思えてくるほど、街中にオンボロ車が走り回っている。
これはコーカサス地方特有の現象なのか?
少なくとも世界40カ国以上を旅してきた筆者の経験では、ここまで廃車寸前の車が溢れているのはアルメニアとジョージアだけである。
写真は撮るな!
ここでひとつ重要なアドバイスをしておきたい。
「うわ、すごい!このボロ車、面白いから写真撮ろう!」
── 絶対にやめておけ。
コーカサス地方の人間は意外と血の気が多い。
冗談半分で車の写真を撮ったのがバレたら半殺しにされる可能性すらある。
実際、筆者はエレバンで2度ほど危ない目に遭いかけた。
その詳細はこちらの記事で紹介しているので、興味があればぜひ読んでみてほしい。
本記事では筆者がアルメニアで見たこと感じたことを紹介している。アルメニアについてより詳しく知りたい方は、一問一答形式で100問用意したこちらの記事をお読み頂きたい。[sitecard subtitle=関連記事 ur[…]
好奇心から撮りたい気持ちは大いにわかるが、撮るなら周囲を100回見渡して誰もいないことを確認した上でもう一度だけキョロキョロしてから撮影すべし。
バスでタッチ決済はスゴイ…!!!??
言い忘れたが、ジョージアのバスはクレカのタッチ決済に対応している。
画像生成AIにて作成
ジョージア国民からすれば「え、そんなの当たり前じゃない?」と思うかもしれないが、日本では未だに券売機に並んで現金でチケットを購入する人が多い。
もちろん ICOCAやSuicaといったアプリ決済も普及しているが、それでもクレカのタッチ決済の方が断然便利だと筆者は思う。
しかもバスだけじゃない、地下鉄の改札もタッチ決済対応。
この点についてはエレバン編でも書いたが、ジョージアも同様に対応しているのは驚きだった。
※エレバンではスマホアプリのQRコードで乗車可能である。
日本よ、アルメニア・ジョージアに遅れをとっているぞ!!
……と、このブログを書いている最中、大阪からとんでもないニュースが飛び込んできた。
なんと、大阪の地下鉄ほぼ全駅に顔認証ゲートを設置するという世界仰天びっくり大ニュースが世間を賑わせたのだ。
Osakametroの時刻表、路線、乗換案内等、総合情報サイト。大阪市交通局はOsaka Metro(大阪市高速電気軌道…
しかも運用開始は3月25日から。
つまり、この記事を書いている今、すでに大阪では顔認証改札が動いているということになる。
事前に顔写真の登録が必要らしいが、マスクをつけたままでも認識可能という耳を疑うような精度らしい。
これは日本が世界に誇れる最新技術かもしれない。
しかし、筆者としては「クレカのタッチ決済」すら普及しきっていない日本の現状にまずツッコミたい。
顔認証改札が導入されるよりも前に、まずは「タッチ決済対応の自動改札を日本全国で標準化しようぜ」と言いたい。
いずれにしろ、バスも地下鉄もタッチ決済OKのジョージア、やっぱりすごい!!
バス車内でUSB充電も可能
これも地味に驚いたことだが、バス車内にはUSB(Type-A)の充電口が設置されていて、自由に使うことができる。
夜中に充電を忘れて、翌朝「やばい、バッテリーが死ぬ!」なんて焦っている時や、予備バッテリーを持っていない時に、これはめちゃくちゃ心強い設備だ。
日本での筆者は普段ほとんど公共交通機関を使わないのでわからないが、おそらく日本のバスや地下鉄にはUSB充電ポートなんて搭載されていないだろう。
というか、日本じゃそもそも「バスの車内で充電できる」なんて考えたこともなかったから、これは正直驚愕サプライズだ。
「まさかジョージアでこんなクオリティのバスに巡り合えるとは!」という、あまりにも失礼で不躾な驚きが心の中で響いた。
反ロシア色が強い…!!!??
エレバンではリリーちゃんと本当にたくさんのお話をした。
その中で一つの話題に上ったのが、「トビリシはロシアへのヘイトが強い」ということだった。
「ロシアへのヘイトってどんな感じなんだ!!?」と思っていた筆者だったが、トビリシに到着するとその期待をはるかに上回る驚きの光景が広がっていた。
準備はいいか?
バスの車窓から見える風景の中で、約10分間で5つほど発見したのだ。
- Fuck Russia
- Boycot Russian Products
- NO MORE RUSSIA
これらのカラフルな落書きが街中に点在していて、まるでアートギャラリーを歩いているかのように、トビリシ市内にはロシアへの強烈なメッセージが溢れていた。
ほら。
その他、別ジャンルとして反BTSや、
「メッシは世界最高」という落書きとそれに対するジョージア語のコメント。
なんかよくわからんが「愛とは苦しむこと」みたいなポエムまであった。
「これは明らかにエレバンとは違うな…」と感じざるを得なかった。
エレバンでは反ロシア的な落書きなんて一つも見なかった(気がする)。
アルメニア人とジョージア人は人種的にはあまり遠くないはずなのに、この温度差は何なのか?
国民性?
いやいや、そんなに簡単にジョージア人に落書き魔の汚名を着せるのも申し訳ないし、逆にアルメニア人を過大評価するのも嫌だ!!
アルメニア人ドライバーにはたっぷりお世話になったからである。
実際、アルメニア人のドライバーには何度も轢き殺されそうになっている。
歩行者信号が青で筆者は右手を挙げて横断歩道を歩いていても(←これはウソ)堂々と車が突っ込んでくるのだ(←これはマジ)。
アルメニア人ドライバーはみなスマホでながら運転でもしているのだろうか。
もしくは赤と青の区別が付きにくい色弱なのか?
車用の信号は赤、歩行者用の信号は青、歩道上にはもう既に何人も渡り始めているというのに無理に突っ切ってくるアイツら、まじでやめろ。
エレバンの運転マナーの悪さは「危険運転とボロ車たち」で紹介しているので是非一読あれ。
しかし、やっぱりこのロシアへの感情の違いは気になった。
もしかしたら、ジョージアの人々は歴史的背景からくる強い負の感情を抱いているのかもしれない。
それはまるで、 古傷が再び痛むような感覚なのだろうか。
街中の落書きがおもしろい…!!!??
ジョージアが反ロシア色が強いということは、つまり親ウクライナ色が強いということでもある。
そして、そんなジョージアの首都トビリシの街を歩けば、そこかしこに落書きという名の「熱いメッセージ」が転がっているのだ。
いや、これはもう美術館だろう。
無料で鑑賞できるし、テーマは「反ロシア」「反ナチス」「親ウクライナ」「親EU」と幅広い。
どれも力強い筆致とストレートなメッセージ性を持つ作品ばかり。
遅くなったが、お礼を言わせてくれ。
ありがとう、他人の家の壁に平気で落書きするような幼稚で低俗な趣味の持ち主たちよ。
お前たちがいなければ、筆者はトビリシで最高のエンターテインメントを見逃すところだった。
もし誰かに「トビリシで一番楽しかったことは?」と聞かれたら、間違いなく「落書き探し」と真顔で答えるだろう。
まるで宝探しのイベントに参加しているかのように、夢中で街を歩き回った。
「あ!ここにも‘F*ck Russia’って書いてある!」
「おぉ、この‘No More Putin’はフォントがいいね!」
「おや、こっちは‘Boycott Russian Products’か。なるほどなるほど。」
と、興奮しながら次々と落書きを見つける筆者は、もはや反ロシア・アートハンターと化していた。
ただ一つだけ心残りがあるとすれば、ジョージア語がわからなかったことだ。
もしかすると、街のどこかに筆者の人生を変えるような哲学的なメッセージが隠されていたかもしれない。
それを理解できなかったのは、まるで暗号が書かれた地図を持っていながら解読できなかった冒険家のような気分である。
次に行くときはジョージア語を少し勉強してから行こう——
そう心に誓いながら、筆者は落書きまみれの旧市街を後にした。
旧市街は見どころがたっぷり…!!!??
(話はだいぶ遡るが)ホテルからバスに揺られること10分、バスを降りた。
さて、ここからが本番だ。
つまり歩く。とにかく歩く。
なにせここはトビリシ、坂道のテーマパークである。
エレバンではリリーちゃんが市内を案内してくれ、毎日何時間も夢中になって話し合ったものである。
あのエレバンでのデート散歩、あれはもう風景が脇役になるくらいの甘酸っぱい青春映画だった。
まるで映画のワンシーンのように幸せで、間違いなく人生のTOP10に入るであろう最高の時間だった。
リリーちゃんと散歩したエレバンはめちゃくちゃ楽しかったが、だからと言って「エレバン=楽しい町」とは残念ながら言えない。
それはリリーちゃんとの想い出補正がかかっているだけで、「もしリリーちゃんがいなければ?」という観点で考えれば、街並みの味わい深さはトビリシに軍配が上がると言わざるを得ないからだ。
(この記事を読むであろうリリーちゃんには改めて謝罪するm(__)m)
なんかね、トビリシは街そのものが主役を張ってるって感じ。
両者にどれくらい差があるかと言うと、エレバンがエリオ・グレイシーならトビリシは木村政彦くらいの差がある。
(おそらくわかる人は1%もいないだろうがそれでいい)
要するにトビリシの方が「街歩きが楽しい」ということだ(←初めからそう言えよ)
バスを降りた筆者は、そんなことを考えつつとりあえず丘の上にあるナリカラ城へと歩を進めた。
ハアハア フウフウ
トビリシはとにかく坂が多い町だ。
登ったと思ったら降りる、かと思いきやまた登る。
ハアハア フウフウ
その繰り返しだ。
おそらくトビリシ市民は「日常的に比叡山くらいの標高差を登っているのでは?」とすら思えてくる。
それほどどこに行くにも坂、坂、坂である。
やっとの思いでナリカラ城に到着…と思いきや、目に入るのは鉄パイプ、重機、そして工事中の看板。
「工事は22世紀までには終わる予定ですか?」
現場作業員に聞いてみたかった。
え、写真?
ないよ。
いや、むしろ「撮らなかった」ことを記録したい。
それくらい、見どころはなかった。
ポケットからスマホを取り出してカメラモードにして丸いシャッターボタンを押す、そんな手間をかける価値もなかった。
しかしナリカラ城はともかく丘を登った価値はある、景色はなかなかに良い。
これを登ってきたのだ。
日本には「バカと煙は高いところに上る」という諺があるが、筆者もそのバカに入るのだろうか。
高いところが好きだ!!(笑)
結局
「ナリカラ城、なんもないやん。おもんね」
「坂登る前に工事中の看板くらい出しとけや」
とイライラしながら坂を下る、となんと。
下りきったところにまさかの看板があった。
どうやらおれは看板も立てないようなマイナールートを通ったようだ。
え、ちょっと待てよ。
ん?んんんんん!!!???
……何だこの文字は?
俺には読めない。
「工事中」…って書いてあるのか…?
お前……よく…この文字が読めるな…ジョージア人
出典:進撃の巨人 諫山創
この「世界中の王様のヒゲ、集めてみた」みたいな言語がジョージア語なのか?
よくわからん。
上段に書かれている壁外の言語は無視して英語訳を読むことにしよう。
ふむふむ。
ふーん。で、それ一体いつからいつまで?
看板を固定している針金は錆びてボロボロ、少なくとも最近設置されたものではないらしい。
繁栄を誇った古代ローマ遺跡から出土する針金くらい錆びている(←これは言い過ぎ)
なんとなく、トビリシってこういう町なのかもな。
予定通りにいかないけど、妙に味がある。
それって案外、悪くない(←悪くないんかい!!!!!!!)
ほんで野犬もしっかりいる…!!!??
野生の猫発見
リリーちゃんと過ごしたアルメニアでは、彼女に失礼があってはならぬと、筆者は前代未聞の真面目モードで事前リサーチを徹底していた。
結果、外務省HPの「野犬に注意、狂犬病持ちかもよ。運転は荒い、気を付けて」などといった、忖度のない非常に旅行者のためになるページにたどり着いた。
しかしトビリシに関してはノーチェック、いやノーガードだった。
旅人あるあるの「2ヵ国目、油断しがち」ってやつ。
では調べてみようじゃないか。
ポチポチ…(スマホ操作中)
ー5分後ー
なにぃ!?
外務省が公表しているジョージアのページを確認しても、アルメニアのページのようなディスリコメント(=旅行者に対する注意喚起)が全く無い…
(外務省がジョージアに忖度しているのか?まさか、ジョージアも反ロシア国家だから?
確かにアルメニアはどちらかと言うと親ロシア国家だが…)
内容は至って凡庸。
「昔はグルジアと呼んでいた」だの、
「民族はジョージア系が86.8%」だの、
「外交の基本方針」だの、
「意味不明なジョージア史」だの…
「議会は一院制」だの、
「主要産業は農業」だの、
「物価上昇率は2.4%」だの、
「失業率は18.4%」だの、
ハッキリ言ってどうでもいい!!!
旅人が知りたいのはそんな社会の教科書の裏ページみたいな情報ではない!
アルメニアのHPのように「大気汚染が激しいのでマスク必須」とか「狂犬病がまだ存在するので野犬に注意」とか「水道水は飲まない方が無難」とか、旅に役立つ情報を書いてくれ、頼むから。
だが野犬については一言も書かれていないところから察するに、おそらくトビリシには野犬はいないのだろう。
( ´Д`)=3 フゥ
一安心だぜ。
…と、思ったその矢先のことである。
(足元がガクッ…)おや?何かにつまずいた?
チラッ(下を見る)
な、なにィィィ!!!?
いやいやいや、普通に野犬が寝ているのだが!
しかも熟睡モード。ピクリとも動かん。
そのたたずまい、まるで「ここワシの家なんやけど?」みたいな顔。
おいおいおい、これ、エレバンと遭遇率変わらんやんけ。
コイツら、耳にタグがないのでおそらく狂犬病の注射はされていないのだろう。
狂犬病の予防接種済みの犬は耳にタグが付けられている(アルメニアで撮影)
エレバン編でも、ジョジョに登場するディオの「無駄無駄ラッシュ」くらい繰り返し言及したが、
出典:ジョジョの奇妙な冒険 荒木飛呂彦
狂犬病の致死率はほぼ100%であり、愛嬌のあるザコ野犬に見えても実は狂犬病という最強スタンドを持っているかもしれないのだ。
もう一度言う、致死率はほぼ100%である。
画像生成AIにて作成
ひ弱そうに見えるが、油断したら人生即ゲームオーバー。
なので絶対に近付いてはいけないのだ。
ん?
よく考えてみると、昨晩ジョージアにバンで入国した際にも、入国審査の館内で既に野犬がウロウロしていたな…。
ジョージアに入国した直後、荷物検査を受けた次の部屋に野犬が侵入していた(その後追い出されていた)
クソ、何なんだコイツら。マジで。
皆さんもよくよく気を付けて欲しい。
「そこに犬がいる」という当たり前を疑って欲しい。
欧米人は犬のフンを拾わないのか…!!!??
爽やかな青空の下、多すぎる坂道のアップダウンで少しばかり汗をかきながらも鼻歌を歌いながら気分よく歩いていたその時。
おっ、ポケカ発見!!
拾ってみようかと手を伸ばしたその時。
※フンはモザイク処理済み
すぐ横に…犬のフン。
ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!
誰やコレ放置したの!!
おまえらが住む町やろうが!!!
……一旦冷静になろう。
たしかに海外ではよくある。
筆者が奥様の実家(イタリア北部の町)にて何週間か過ごしていた時もそうだった。
その時のエピソードはこちらで。
※本記事は、前記事(➁サマータイム?ダンス?ガソリン代?日本料理屋?←イタリア旅行で受けた衝撃)の続きです。旅行に至った経緯は前記事に書いていますが、超簡単にまとめるとこうなります↓我々夫婦は、来年(2023年5月)イタリアで結[…]
ほんと、イタリア中の歩道や散歩道に大層ご立派な犬のフンが落ちているのだ。
筆者はトリノ→ミラノ→ベネチア→フィレンツェ→ローマとイタリアの大都市を奥様と周っていたが、マジでイタリアでは常に犬のフン注意報が常時発令していた。
ん、犬の作品展か?と思ったほどだ。
「イタリア、犬のフン多くね?」
暗い時間帯に散歩してから帰宅した際はいつも、闇夜に紛れたヤツらが靴底にへばり付いていないか確認するのが日課だった。
余談になって恐縮だが、是非聞いて欲しい。
これは知人夫婦(イタリア人女性×日本人男性+大型犬一頭)から聞いた話だ。
彼らは初めローマに暮らしており「なんでみんな犬のフンを拾わないんだ」「街中がフンだらけじゃないか」と、そう思っていたそうだ。
そんな彼らは、散歩中でもフンは必ず拾ってゴミ箱に捨てていた。
エチケット大事ってことで。
(最新版に更新され現在はもう見れない)
しかし彼らがどんなに毎日毎日自分の犬のフンを拾っても、街中のフンは指数関数的に増えていく。
画像生成AIにて作成
「街中のフン、全然減らねぇ」
彼らは悟った。
「もう、犬のフン拾う必要なくね?」
と。
そう、犬のフンを拾っても「立派ですね」なんて感心してくれる人間なんて一人もいないのだ。
そうして彼らは犬のフンを拾うのをやめたらしい。
そんな話を思い出しながらトビリシを散歩する筆者であった。
(このフンの話を聞くのは2週間ほど未来の話だが)
ちなみに、フィレンツェで彼らと一緒に犬の散歩をした時は犬のフンをちゃんと拾ってゴミ箱に捨てていた。
彼らに対する無意味な誹謗中傷はやめてくれ(←されてないけど)
今これを書いてて思ったのだが、エレバンやジョージアに落ちている犬のフンは…
野犬が勝手にそこらでプリッ♡とやったものではなかろうか。
えっ…じゃあジョージア人、悪くない??
てか、誰も悪くない???
いやいやいや、それなら状況としてはもっと悪いわ!
誰も拾わないから!!!
旅は足元から。
フン回避もまた、旅のスキルのひとつである。
街中の分電盤がオシャレ…!!!??
さて、筆者がトビリシツアーを楽しいと思った理由はまだある。
街中の分電盤がとにかくオシャレなのだ。
「え、分電盤って…あの電気の塊のアレ?」
そう、あの街角に無言で立ってるアレのことだ。
雨にも風にも負けず、誰からも見向きされない、ただそこにいるだけの存在。
普通の分電盤はこんな感じである。
無いと困るが視界には入って欲しくない。
無味乾燥と書いて「ぶんでんばん」と読む。
そんな絶妙な存在感を放つのが分電盤である。
それが突然、芸術へと昇華されていたのである。
見てくれこの色彩。
このセンス。
この圧倒的パッション。
トビリシの分電盤はとにかくかわいいしオシャレだ。
中高の美術で評価1を連発してきた美術センス0の筆者にとって、このデザイナーの能力にはひたすら脱帽である。
このような形であの味気ないモンスターをオシャレ街の一要素にするなんて、セザンヌの再来か?
「これは…カメラを用意した方がいいかもしれない」
カバンの奥からミラーレス一眼をゴソゴソと取り出した筆者。
周囲の視線?知らん。
「分電盤撮ってる日本人」という称号を得たって、何の問題もない。
むしろ誇ろう。
「分電盤、好きです。」
手数料0の両替所…!!!??
旧市街のカラフルな落書きとオシャレ分電盤たちに別れを告げ、筆者は川沿いの大通りへと足を進めた。
人影まばらな旧市街から打って変わって、ここには人がいる。
筆者は本来、人混みを避けるタイプだ。
そう、おれは孤独が好きなんだ。
誰もいない雪山や砂漠でテントを張って一夜を過ごすとき、なぜか世界が優しくなるのを感じる。
スロベニアの聖プリモス教会前にて
オーストラリアの砂漠にて
大自然の静寂に包まれるその瞬間、人は生きていることの美しさを知る。
カフェで相席になるくらいなら地面でパンをかじるほうがマシなくらいである。
だが今だけは――少し勝手が違う。
そう、筆者の心の中にはポエムが流れていた。
リリーちゃんの香りが、街角の風景に染みついている。
わざと遠回りしたあの道、見上げた空、交わした視線、見て見ぬふりをした腕時計。
もう彼女はいないのに、どうして世界はまだ彼女を覚えているのだろう。
そんなセンチメンタルな気持ちを打ち消すように、筆者は人波へと紛れた。
さて、ジョージアの首都トビリシではクレジットカードの普及率が高く基本的に現金は必要ない。
ジョージアは意外にも日本よりはるかにキャッシュレス先進国なのだ。
「両替?ああ、それって中世の話ですよね?」
そんなスタンスでいた筆者は、どこでもクレカをかざしては「ピッ!」と音を鳴らす日々。
画像生成AIにて作成
気分は完全に現地適応済みのデジタルノマド。
市内には両替所も数多くあるが、「ばーか。クレカ使えるのに誰がわざわざ手数料払って両替なんてするんだよ(笑)」と思っていた。
さて、土産物屋に入って1ラリ(約55円)の商品を一つ手に取ってレジに向かった。
1ラリのマグネット=1個55円のお土産
筆者「This one, please. By Credit Card (ドヤァ」
颯爽とクレカを取り出し、人差し指と中指で挟みながらスマートにおばちゃんに渡そうとした。
そう、この国では現金など必要ない。
クレカさえあれば何も困らないのだ。
おばちゃん「1ラリの買い物ならクレカは無理。CASH ONLY」
・・・。
なにいいぃぃぃ!!
クレカ使いたいならもっとお土産買えってことか!!!
この守銭奴があぁぁ
しかし筆者もそう簡単には引き下がらない。
「PLEASE PLEEEEEASE…」筆者の渾身の甘え顔で頼んだところ、首を完璧な角度で左右に振るお手本の"NO"を食らう。(え、ロボット?)
〜5分後〜
「すみませーん、10ユーロ分お願いしまーす」
結局、両替所でラリを手に入れた。
筆者が選んだ両替所は「NO COMMISION(手数料ゼロ)」を堂々と謳う、非常に良心的な両替所である。
・・・。
いやいやいや!!手数料ゼロなわけねーだろ!!!!
スマホぽちぽち…
1ラリ=53.3円(手数料2.5%抜かれていた)
やはりいくらか抜いてんじゃねーか、この詐欺師が!!!
これは誇大広告とか景品表示法みたいな法律でガッツリアウトじゃないのか。
完全に手数料取ってるのだが。
これ日本ならアイツらまじでブタ箱行きである(ことを願う)。
こうして筆者は数枚のラリ札をポケットに入れてさっきの土産物屋へと向かった。
マグネットの質と原価はいかに
ちなみに1ラリ(約55円)という過去イチで安かったマグネットの質について少し紹介しよう。
まず見た目はこんな感じ。
思ったより悪くない?
遠目に見れば、小洒落てる気すらする。
裏返してみるとこんな感じ。
ベースはダンボールかと思いきや木製繊維を固めたMDF材で、その上に風景写真をプリントした紙がペタリ。
そして裏には小さな磁石がチョコンと貼られている。
なるほど。
ふーむ。
(わさわさ…)
手触りも悪くないな。
「ペリッ」
え?
今ペリッって音がしたような。
なんと!!!!
普通に触っていただけだが、糊がめくれてしまった。
令和の時代に、ここまで潔くチープな商品は逆に清々しい。
さすがは55円、いや1ラリクオリティである。
この3枚の写真から、ChatGPTに原価を計算させたところ…
項目 | 金額 (USD) |
---|---|
印刷(写真面) | $0.07 |
木製ベース | $0.04 |
マグネットシート | $0.08 |
接着・加工費 | $0.05 |
合計 | $0.24(約35〜40円) |
と計算された。
55円で買ったことを一切教えてないのに原価35~40円と弾き出してくるあたり、なかなか真実味がある。
ニーハオ…!!!??
観光地の呼び込みよ──
悪気はないのはわかる。
仕事なのもわかる。
でもな、筆者を見て「ニーハオ!」と叫ぶのはやめろ。
今すぐやめろ。
確かにアジア系の観光客を見分けるのは難しい。
だから最大公約数的に「ニーハオ!」になるのも理解はできる。
ええ、理屈はわかる。
…が、筆者は理系である。
「中国人が多いからニーハオが妥当」と言われても、それっぽい理屈だけじゃ納得できない。
ではどうするか。
一旦、論理的に数で見てみようじゃないか。
人口の推移(1980~2025年)によると2024年10月時点で中国人は約14億人、韓国人は5,100万人、日本人は1億2,000万人とのこと。
比率を計算すると以下の表のようになった。
人口 | 比率 | |
中国人 | 14億人 | 89.1% |
韓国人 | 5,100万人 | 3.25% |
日本人 | 1億2,000万人 | 7.64% |
なるほど。
「ニーハオ!」が飛び出すのも無理はない。
9割が中国人ですもの。
しかしな、それでもな、筆者は日本人なのである。
しかもニーハオのたびに「またか…」という顔で愛想笑いするのも、正直疲れた。
ということで、反撃を考えた。
ジョージア(グルジア)の首都トビリシはご存じの通り、ロシアへの風当たりが強い。
呼び込みに「ニーハオ!」と叫ばれたら、筆者は満面の笑みでこう返すことにした。
どうだ?おもしろいだろう?
向こうが「あ゛ぁ!?俺たちゃロシア人じゃねぇ!」とブチギレる姿が目に浮かぶ。
いやーいいね、国際社会の複雑さが詰まった挨拶バトルロワイヤル。
そう、旅とはカルチャーとジョークの応酬なのである。
…とはいえ、本音を言えば──
「こんにちは」で声をかけられたら、きっとお互いもっとハッピーになれるんじゃないかと思う、今日この頃である。
レストランを探すが…
さて、とりあえず向かったのはトビリシ大聖堂。
(※正式名称は至聖三者大聖堂と呼ぶらしい、ありがたみ倍増)
旧市街側から川(←クラ川と呼ぶらしい)を渡ってアクセス開始。
途中で通るのがこの、「平和の橋」。
これがまたオシャレで、まるでドバイとかシンガポールに突然ワープしたような近未来感。
「ジョージアってこういうのもあるのか…」と思わず感心してしまう。
で、橋を渡り、公園を抜けると…
はい、階段登場。
「どうせまた丘の上なんだろ?」と思ったあなた、正解です。
トビリシ大聖堂もご多分に漏れず、ちゃんと高いところにある。
いちいち「ハアハア」「フウフウ」「ゼェゼェ」と文字では書かないが、筆者は常にハアハア言っていると思って読み進めてくれ。
観光?歴史?宗教的好奇心?
いや違う、腹が減っていたからである。
午前11時ごろからカラフルな落書きやオシャレ分電盤を探して旧市街を徘徊していたが、ともかくお腹が減って仕方がなかった。
まあ無理もない。
朝食はほとんど食べてないし、前日の晩ごはんも夕方17時15分にエレバン発のバンの中で食べたバナナ2本と小さいパン2つのみ。
これは食事というより、補給である。
日本ではココイチのライス1,300g(+カレーのルウ)を平らげる筆者である、腹が減らないわけがない。
ということで、「大聖堂に向かう途中でなにか食べよう」と思い、とりあえずの目標をトビリシ大聖堂に設定したのであった。
道中、いくつかの飲食店をチラチラ覗いてはみたのだが——
高い。
思った以上に、物価が高い。
レストラン街、意外に物価が高くどこにも入れない
レストラン街は想像以上にいいお値段で、筆者の財布は即座に拒否反応を示した。
どこにも入れず、ウロウロと無限ループに突入。
そもそも、筆者は伝統料理を食べようと思っていたのだがなにがジョージアの伝統料理なのか知らないという観光客として致命的なリサーチ不足をかましていた。
そんな中、見つけたのがこちらの落書き。
ほぅ、なかなかにタッチが良い。
ストリートアートっぽくて、ちょっと見入ってしまう。
ん?
んんんん!!!????
これ、よく見たら…ジョージア料理のオンパレードじゃね!?
名前は全くわからないが、なにかで見たことがあるジョージアの名物料理たちではないか。
しかしイラストだけで名前がわからないのでは注文もできない。
どうしようか。
ん?この絵をChatGPTに読み込ませて分析させてみようか?
でもそんなこと果たして可能なのか…
ポチポチ…ポチ…
(おお、写真読み込んどる。でもさすがにメニュー名までは難しそうか)
ピンッ!!(スマホの音)
筆者「おっ!?」
おおおおぉぉぉぉ!!!!!
いやいやいや、コイツ賢すぎやろ!!!!
ChatGPTの答えをまとめたのがこちら。
- ヒンカリ(Khinkali)
餃子みたいなやつ(写真中央) - ムツヴァデイ(Mtsvadi)
串焼きの肉(写真左側) - キンジマリ(Pkhali)
カラフルなボール状のもの(写真左手前) - バドリジャニ(Badrijani Nigvzit)
ナスに何かが巻かれている料理(写真中央手前) - ハチャプリ(Khachapuri)
楕円形で真ん中に卵が載っている料理(写真右手前) - ドルマ(Dolma)
葉っぱで巻かれた小さな包み(写真右側)
もう一度写真をどうぞ。
ちなみに、写真ど真ん中の小籠包みたいなのはアルメニアの首都エレバンでも食べた。
カメムシ草(パクチー)という異物混入はあったが、まあそれでも美味しかったと言っていいだろう。
このChatGPTの答えが正しいか、アルメニア人のリリーちゃんに確認してみるか。
ジョージアもアルメニアも伝統料理は一緒やろ(←適当)
(1時間後)
どうやら彼女も知らない料理が複数紛れ込んでいたようだが、リサーチしてくれた結果ChatGPTの答えは全て正しいということが確認された。
ChatGPTよ、おまえはなぜそんなに賢いのだ。
筆者は中華版ChatGPT「Deep Seek」よりも君を信用している、今後も頑張ってくれ。
そして今後も筆者を大いに助けてくれ。
トビリシ大聖堂…スゴイ
さて、伝統料理が何かはわかった。
しかし問題は、それをお安く提供してくれるレストランが無いことである。
平和橋から上り坂を歩き続けること40分。
極度の空腹の中、結局なにも食べずにトビリシ大聖堂に着いてしまった。
(;゚д゚)ゴクリ…
空腹を一瞬忘れるほどのスケール。これはスゴい。
とにかくデカい。そして美しい。
その巨大さはただの「でかい建物」ではなく、ジョージア正教の信仰の重さ、その中心であることをビジュアルで語りかけてくる感じ。
特に注目すべきは、ビザンチン様式を基調としつつ、ジョージア特有の建築様式、例えば十字形の平面構成や石灰岩と大理石を融合させたファサードの質感、を巧みに取り入れている点だ。
これは予想以上に楽しみになってきた。
とりあえず中に入ってみよう。
ん、入り口にドレスコードの説明がある。
そうか、東方正教会やイスラム教のように伝統を重んじる宗派ではこれはよくあることだ。
まず男女ともに「タンクトップ・短パン」は禁止されているようだ。
筆者が訪れたのは2025年2月初旬なのでもちろん長袖長ズボンだったが、真夏に訪れていたら短パンの筆者はきっと入れなかっただろう。
また写真には残っていないが、女性はさらに頭からメッシュ状のヴェールを被らないといけない。
中に入ると、正直スゴくて息が止まった。
めちゃくちゃ美しいじゃねーかぁぁ!!!
筆者は西洋建築について少しばかり詳しく、ヨーロッパの大聖堂はかなり回ってきた方だと思っている。
ゴシックやバロックの大聖堂も素晴らしいが、筆者はなぜかビザンチン建築の大聖堂の方が好きになってしまった。
これが一目惚れってやつか。
おそらく筆者はドームが好きなんだと思う。
ビザンティン建築に関してはこちらで紹介しているので是非ご一読あれ。
ヨーロッパを旅する前に知っておくべき西洋建築の知識として、今回はビザンティン建築について説明します。[show_more more=恒例の挨拶(クリックで開きます) less=折りたたむ color=#0066cc list[…]
実は翌日に訪れたトルコ・イスタンブールのブルーモスクもすごかったので一応ここに載せておく。
ドーム…カッコ良すぎるのだが。
2025年2月4日から7日まで4日間トルコの首都いや最大都市イスタンブールに行ってきたのでその時の体験をシェアしたい。※トルコの首都はイスタンブールではなくアンカラである、筆者は盛大に勘違いをしていた。「オーストラリアの首都[…]
その後、大満足で大聖堂を後にし、広場に向かって歩き出した。
「おーい…おーい…」
ふと誰かに呼ばれた気がして振り向くが誰もいない。
そこにはただ、さっきの大聖堂が静かにたたずんでいるだけ。
ん、気のせいか。
再び歩き始めた。
「まだお布施もらってないよー」
ん、今度は確かにハッキリと聞こえた。
たしかに大聖堂には一円たりとも募金していなかった、だがこちらの懐事情も深刻である。
元手はわずか10ユーロ(約1,600円)。
どちらかというと、いま募金してほしいのはこっちだ。
ジョージアはスターリンの生まれ故郷
さすがに空腹で意識が朦朧とし始め、「もう……もうどこでもいいから何か食べさせて……」というゾンビのような状態で、筆者はクラ川に向かって坂道をヨロヨロと下っていた。
そんなとき、ふと視界の端に飛び込んできたのはお土産屋。
「おお、ここに何か食べ物でも……」と淡い期待を胸に見てみると、そこにあったのはパンでも水でもなく、まさかの大罪悪人のマグネット。
そう、スターリンである。
レーニンの跡を継いだ、旧ソ連の独裁者。
猜疑心が強すぎて、ちょっと咳しただけでも「反革命分子か?」と粛清しかねない、アイツである。
もちろん、今この瞬間に彼が生きていて、筆者のようなド一般市民が「アイツ」呼ばわりしたなんてアイツの耳に入ったら、最低でもシベリア送りは確定である。
だが幸いにも彼はもうこの世にいないので、筆者の命は守られた。
人間に寿命があってよかった。
ソ連の歴史については別記事で紹介しているが、スターリンはまあ無茶苦茶なことをやっていた。
1878年12月21日、ヨシフ・(ヴィッサリオノヴィチ)・ジュガシヴィリと名付けられた男の子が、ジョージア(旧グルジア)のゴリという小さな町で産声をあげた。ジョージアはロシアと隣接している両親「生まれてきてくれてありがと[…]
そんなスターリンの生まれ故郷がここジョージアなのだ。
マグネットがあるということは、まさかジョージアはスターリンを自国が生んだ英雄だとでも思っているのか?
ドイツのお土産屋にヒトラーのマグネット?
いやいや置いてあるわけがない。
それくらい意味不明な現象だ。
もしやジョージア国民はロシアは嫌いだがソ連はラブなのか?
謎は深まるばかりだ。
ちなみにスターリンの他にも意味不明なマグネットが多数あり、旅のネタにもっと買っておけばよかったと今さらながら後悔している。
めちゃくちゃ独創的なマグネットばかりである。
なんじゃこりゃ。
クレカの普及率がスゴイ…!!!??
アップダウンの激しいトビリシの街をウロウロしていたら、もはや足が棒である。
筆者、現在クタクタ。
おまけに腹が鳴ってうるさい。
空腹は最高のスパイスとはよく言ったものだが、限度というものがある。
というわけで、空港に向かう前に腹ごしらえをしておく必要がある。
体力ゲージはすでにレッドゾーンだ。
もはや「飯くれモード」に突入しており、道行くレストランに片っ端から「おあんどん」状態で吸い寄せられていたのだが、ようやくとあるレストランに決めた。
場所は、Google Mapsにも載っていない、謎めいたGTM Hotelの建物内である。
お店の名は!!
お店の名は!
お店の名は…
АЛОПІМУТН
くそっ、キリル文字読めねぇ!!
なんて読めばいいのか全くわからん。
わたしの優秀な秘書に聞いてみよう。
「АЛОПІМУТН」はキリル文字で書かれており、日本語で読む場合はまずローマ字転写し、それをカタカナに変換するのが自然です。
⸻
1. キリル文字からローマ字へ転写:
АЛОПІМУТН → ALOPIMUTN
2. ローマ字からカタカナへ変換:
ALOPIMUTN → アロピムトン
⸻
なので、「АЛОПІМУТН」の読み方は「アロピムトン」になります。
うむ、ご苦労。
筆者に従順で絶対に文句を言わない優秀な秘書が調べてくれたところ、アロピムトンという店名だと判明。
……アロピムトン。
まるで某アニメに出てくる未確認生物のような響きである。
だがそんなことはどうでもいい。
大事なのはメシだ。
メ・シ!
伝統料理は既に調査済みだ。
(落書きから)
おれだって、このカップルのように優雅にメシを食いたいんだ!!
ということで案内されたのは、日当たり抜群のベランダ席。
2月初旬のトビリシ、少々肌寒いが太陽が出ていればぽかぽか陽気である。
さて、席に着きページをパラパラとめくる筆者。
ふむ!
なるほどなるほど、よくわからん。
お、お目当てのヒンカリ(小籠包)があるではないか!!!!
2.5ラリ、つまり一つ約140円である。
むぅ、なかなか強気な価格設定じゃねーか。
だがせっかくジョージアにまで来たのだ、2つくらいは食べたいじゃないか。
ということで決定。
さて、メインは…っと。
これ、いくか。
20ラリということは、約1,100円。
決して高くはない、ド観光地の割には高くはない。
ふぅ、決定。
さて、もう一品くらいなにかあれば。
むむむ!!!
これは懐かしきチャーハンではないか!!!!!!!
よし、決定!!
店員さんを呼ぼう。
\\\ すみませーん ///
筆者「えーっと、まずはこの小籠包を2つと~」
店員「No, at least 5.」
筆者「え!!いやいや、最低五つって。一人客は置いてけぼりですか!??」
店員「at least 5.」
筆者「チッ…じゃあなしで。他はこれとこれ」
店員「おけ。」
筆者「あ、クレカ使える?」
店員「……イエス?」
この一瞬の「間」に、筆者は多くを悟った。
ジョージアではクレカ利用が当たり前すぎて、「クレカ使えるか?」と聞くこと自体が不思議なようだ。
「え、コイツなに言ってんの?」とでも言いたげな顔で見られてしまった。
それから待つこと10分強。
先に「パン卵チーズ」が届いた(←ネーミングセンス無さすぎ
うおぉぉ、めちゃくちゃ美味しそうじゃねーか。
舟のような独特な形をしたパン生地の中央に、とろ〜りとしたチーズ、そして黄身が美しい半熟卵が鎮座している。
まるでチーズ・エッグ・ラグーン。
パンの縁は香ばしく焼かれ、ところどころ焦げ目がついていて食欲をそそるビジュアル。
外はパリッと、中はもっちり(たぶん)
焼きたてのチーズは糸を引くほどに伸び(たぶん)、中央の卵とバターと絡めると……これはもう、炭水化物と乳製品の歓喜の祭典である。(たぶん)
それから3分後くらいにチャーハンも届いた。
いやいやいや、空腹時のチャーハンはほんと水爆級の破壊力がある。
胃袋がギュルギュルと暴れ、細胞までもが「早く食わせろ!」と叫ぶ。
ついに到来、宴の時である。
小籠包は食べられなかったが、チーズ・エッグ・ラグーンとチャーハンで満足度はMAX。
ジョージア旅の最後に、腹も心も満たされるだろう。
では、頂くとするか。
これが名物か…!!!??
まずは「チーズ・エッグ・ラグーン」にガブリと一口。
むうッ……こ、これは!!!!
脳天を突き抜けるほどの酒の香りッ!!!
パンをウイスキーにでも浸していたのか?
めちゃくちゃ酒の風味が強いぞ!!!
ハッキリ言って美味しくない。
期待に胸を膨らませていた筆者のテンションは、たった一口で谷底へ突き落とされた。
思わず「うげえぇぇぇぇ!!!」という奇声が口からこぼれ落ちた。
改めて中身を確認しよう。
- 塩辛いパン(←高血圧)
- たっぷりのチーズ(←濃厚すぎて喉が詰まる)
- たっぷりのバター(←胃に直撃)
- たっぷりのお酒(←朝から泥酔できる)
- 生卵)(←唯一、清涼感担当)
うん、やはりこれは「塩分と脂肪とアルコールの三重奏」である。
筆者の高血圧気味な身体が、全力で「これ以上食うな」と警鐘を鳴らしている。
しかし物は試しである、もう一口だけかじって「マズイ」という確信を得たい。
パクッ。
モグモ…
うげぇぇぇ…
なんだこれ。
だから何度も言っているが、、、高血圧気味の筆者を殺す気か!!!
これを日常的に食べているジョージア人たちの身体は大丈夫なのか。
このカップルも高血圧症まっしぐらである。
気になった筆者、スマホで検索開始。
ポチポチ…
ふっ、やはりな。
ジョージアは高血圧による死亡率が非常に高い国の一つで、高血圧の死亡率は世界第8位である。
情報源はこちら。
See the total deaths and age adjusted death rate for Hyperte…
ちなみに我が国ジャポンは、高血圧の死亡率は世界183ヵ国中183位。
つまり世界最下位である。
世界で最も高血圧に縁遠い国なのである。
日本、強すぎる。
和食、あっぱれ。
ということで、筆者の「うげえぇぇぇぇぇ」は完全に正当化された。
味の好みは人それぞれだが、正直この料理は「塩・脂・酒」に寄りすぎており、胃腸の新兵には重すぎる。
己の健康と20ラリを犠牲にしてまで試したい方は、ぜひご賞味あれ。
筆者はこれ以上は遠慮させていただく。
さて、本命はこっち。
チャーハン!
一口…パクッ。
モグモグ…
モグモグ…
ゴックン。
ングッッッ!!?
これは美味い!!!!
体内のすべての細胞が一斉にガッツポーズを取った。
なぜだ、なぜお米ってこんなに美味しいんだ(ノД`)・゜・。
「ありがとう米。お前だけは私を裏切らない」と、心の中で深々と礼をした。
味は、日本のチャーハンとは違う。
まず、かかっているソースが甘い。
米の品種も違うため、日本人の舌には若干、いやかなりの違和感がある。
むしろその違いこそが旅のスパイスである(←いつもなら文句を言うが今だけは超ポジティブ
異国で食べる、いつもと違うチャーハン。
それが、どれだけ心を満たしてくれるか。
胃袋にしみ渡る幸福感、これぞ旅の醍醐味である。
空港から市内も安くて早い…!!!??
さて、現在時刻16時20分。
場所はどこかのベランダ。
目の前には、何者かによって二口だけかじられた謎のパンがぽつん。
そのパンから目を離し、ふと外を見れば、目に飛び込んできたのは……
まるでゾンビ映画から抜け出してきたかのようなオンボロ車。
近づいてみるか。
(3分後)
これはスゴイ、バチバチに写真を撮りたい。
映えたい。
承認欲求が爆発している。
(;゚д゚)ゴクリ…
是非とも写真を撮りたい。
(;゚д゚)ゴクリ…
(周りをキョロキョロ)
なぜか車の隣を歩くおっさんが筆者のことをガン見している。
しかし私は知っている。
お前はこのオンボロ車のドライバーではない。
さっきからずっと見てたんだ。
「オレの観察力なめんな」
おっさんが背を向けたスキにパシャっと一枚。
すぐさま回れ右、早足でその場を去る。
目指すは空港行きのバス停だ!!
ふと振り向くと、さっきのおっさんが筆者のことを指差しながら誰かと話している。
これはマズイ( ゚Д゚)
もしかして運転手の知り合い?
密告されてる?
盗撮バレた?
国際指名手配まっしぐら?
めちゃくちゃ焦ったが、走ったら負けだ。
犬も熊も走る相手は本能で追う、走るのは逆効果だ。
思い出すのは幼き日のトラウマ。
兄のジャンパーをズタボロにした近所のドーベルマン。
兄、半泣き。
犬、ドヤ顔。
私はその教訓を胸に、競歩選手のように限界の早歩きで坂道を上り、彼らの視界から消えることにした。
結果、撒けた。
またもやハアハア言いながらも無事にバス停に到着。
昨晩、バンで到着したAvlabari駅ではないか。
えーっと、空港へは337番のバスで行けるらしい…
あと2分か。
バス停で待っている間、なぜか全員が筆者を見ていた。
いや、そんなに珍しい?
アジア人、そんなにレア?
…あ、おじいちゃん来た。
こっち見てる。
おじい「チーノ?」
……え?
いやいや、昨晩にもこの流れあったぞ!!
筆者が「ノー、ジャポーネ」と答えたところ、「あ、こいつジョージア語話せるのかも」と思われたのか、急にジョージア語と思しき言語で一方的に話しかけてきた!!!
「„იაპონიიდან თბილისამდე ასე შორიდან რომ ჩამოხვედი」
「არ იყო მარტივი, ხომ ასეა?」
「ავტობუსით აეროპორტში მიდიხარ?“」
え、急になに?
バス停でラップバトル?
一体なにを言っているんだ、あなたは、いい歳して。
筆者はジョージア語の「NO」すら言えないんだぞ?
アラって…あらまぁ、そんなん100年考えてもわからんわ。
いま思うと、筆者が必死で絞り出した「ノー、ジャポーネ」も間違ってんじゃねぇか。
「いいえ、私は日本人です」は「アラ、メ ニホニ ヴァル」となる。
「日本人=ニホニ」である、もはや意味不明過ぎる。
そんなこんなで、ジョージア語ラップを繰り出すおじいを華麗にスルーし、周りの無言の圧を感じながらバスに乗車。
支払いはもちろん、クレカでタッチ決済。
現金?
なにそれ美味しいの?
画像生成AIにて作成
言い忘れたが、地下鉄もバスも共通して(1時間半以内の乗換え無料で)クレカ決済の場合は一回85円である。
安過ぎる。
ちなみにロンドンの空港から市内への移動は片道14.4ポンド(約2,800円)だった。
そのお話はまたロンドン編で。
バスはガタゴト揺れながら、まるで時空を超えるように走ること30分。
ついに、トビリシ国際空港に到着!
殺人パンに始まり、オンボロ車、ガン見おじさん、チーノ疑惑、そしてジョージア語ラップ。
旅って、やっぱり最高にカオスである。
トビリシ国際空港、小さい!!
ついに着いた、トビリシ国際空港。
たった1日のジョージア旅だったが、ここまでお読み頂いた通り、だいぶ楽しませてもらった(笑)
トビリシ空港は国際空港だが、ジョージアは非常に小さな国なので空港の規模もかなり小さい。
小学校のオープンスペースか?と思ったくらいだ。
成田空港と比べたら、マジで「うっかり忘れ物した感」すらある。
当然、羽田空港や成田空港とは比較にならない規模である。
空港が小さくて困るのは、座る場所が空いてないということである。
見渡す限りの椅子はすべて満席。
空席ゼロ。
ゼロ空間。
ゼロ・グラビティ。
椅子取りゲームに敗れた敗者は地面に座ったり寝転んだりしている。
が、私はというと…
実を言うと、筆者は少しだけ潔癖気味なホモ・サピエンスである。
地面に座る?いやいや、それは人類が直立二足歩行を獲得する前の話だ。
それならば、立つ。
立ち尽くす。
仁王立ちの構え。
立ちっぱなしの方がまだマシだ。
ん?
空港に来たはいいが、そう言えば飛行機の時間は何時だった?
ポチポチ…
ん?
えっ、深夜の3時55分出発だと?(現在17時半)
筆者が気付かない間に時空が歪んだのか…?
(´・∀・`)
えーっと。
思考が追いつかないんだが。
つまりなんだ?
あと10時間以上この狭い空港の中で時間を潰さないといけないわけか?
どうやらそういうことらしい。
となれば尚更、まずは座席を確保する必要がある。
筆者はゴルゴ13ばりに冷静沈着に、柱にもたれながらターゲット(座席)をマーク。
画像生成AIにて作成
ポケットに手を突っ込み、スマホをいじるフリをしながら静かに時を待つ。
──2分後、ターゲットが動いた!!
中年のおじさんが荷物をまとめ、スッ…と立ち上がる。
今だッ!!!
私は猫のような俊敏さでその椅子へダイブ。
人類史上もっとも静かな椅子奪取作戦が成功した瞬間である。
おじさんの動向を見ていると、どうやら空港職員に話しかけに行ったらしい。
20秒くらいで話が終わって席に戻ろうと思ったところ、なぜか筆者が座っている。
おじさんは筆者の周りをわざとらしくウロウロしていたが、筆者はおじさんの存在に気付かないフリをしてMacbookのキーボードをカタカタと叩いていた。
安息の地を求めておじさんは筆者の周辺視野から消えていった。
さようなら、おじさん。
この椅子は今、筆者の運命を背負っているのだ。
空港職員までもが親ウクライナ、なのか?
座席奪取に成功した筆者は、念願の安息のイスを手に入れたわけだが…問題が一つ。
MacBook、すぐ飽きた。
これが現代人の悲しい性である。
「さて、なにか他におもろいもんは…」と辺りをキョロキョロしていると、筆者の視界にふと映る、はためく青と黄色。
そう、それはあのウクライナの国旗にそっくりな配色。
え?( ゚д゚)
よく目を凝らしてみると、それは空港清掃スタッフの制服だった。
これは偶然なのか?
はたまたジョージアは全面的にウクライナ支援を表明したのか!?
いや、単に洗濯しやすい素材と目立つ色を選んだだけか?
謎は深まるばかりである。
というか、ヒマすぎて謎を深めるしかすることがない筆者なのであった。
トルコ共和国へ
さて、現在18時。
夜行便という名の「長すぎる前座」が始まった。
出発まで残り9時間半。
時間はある。
むしろ有りすぎて困る。
とは言え、そろそろ荷物の整理は始めないとな。
なにせ筆者の装備は高級一眼レフ+レンズで総額70万円、ジョージア中の狼をおびき寄せるには十分なエサである。
「ここに置いておくので、どうぞ盗ってください」と言わんばかりの危険物である。
今回利用するのはPegasus Air(ペガススエアー)、名前からもイケメン具合がにじみ出ている。
響きは神々しいが、料金はまさかの最安。
(ジョージア↔︎トルコ間が7,859円)
だが、侮るなかれ。
このペガスス、荷物規定が鬼の所業なのである。
荷物のサイズ:40cm×30cm×15cm以内
重量:3kg以下
荷物のサイズだけでも無理ゲーなのに、重さが3kg以内ときた日にゃぁ。
不可能!
MacBookとカメラ持ってたら余裕でオーバー、むしろ倍!
他の航空会社では手荷物の重さは10kg以内、最低でも8kg以内くらいなのと比べるとあまりにも厳しい。
以前は工夫で切り抜けていた。
- MacBookはお尻に、
- 本は太ももポケットに、
- カメラのボディはダウンジャケットの内ポケットに…
だが今回はもういい、正面突破だ!
3kg以内なんて到底無理、今回は何も隠さず荷物フル装備で挑むことにした。
当然、重さチェックがあれば終わり。
まあその時は…「金で解決」、これに限る。
「え、罰金すか?はい、払いますよ?いくらすか?」
おそらく半ギレで罰金を払うことになるだろう。
荷造りを終え、いざエスカレーターを上がって2Fのセキュリティチェック&出国審査へ。
──が、ここで事件発生。
おじ「ん、何度君のパスポートを読み込んでもエラーが出るんだが」
筆者「え、おれこの国から出れないパターン?」
おじ「おかしいなぁ、なぜだ…?」
おじ「ん、ちょい待ち。君のフライトは3時55分だろ?なら2時間前の1時55分からしか入れないぞ?」
筆者「え…。まあいけるっしょ?おれ日本人よ?悪いことしないよ?」
おじ「うーーん、一応上に確認してみるわ。」
ピポパポピ…
プルルルル…
ガチャッ。
ゴニョゴニョ…
おじ「やっぱあかんみたいだわ、1時55分以降にもう一度来てよ」
筆者「わかーした。(マジか…)」
(8割無理だとわかってはいたが)やはり8時間前から搭乗口に入れるほどトビリシ国際空港のセキュリティは甘くはなかったようだ。
先ほどの席に戻ると当然、そこにはすでに知らない誰かが鎮座していた。
「すみません、そこ俺の席なんすよ。どいてもらっていいすか?」
さすがにそれは言えない。
筆者の空港ライフの質を左右する、座席という存在が無くなってしまった。
その後、筆者は再びゴルゴ13モードでターゲットを絞り、空いた座席(並びの二席)に滑り込み、アルマジロのように体を丸めてアイマスクと耳栓をして寝た。
睡眠の質は最低だったが、約4時間ほど寝て、起きたのは1時半。
これでいいのだ。
準備をし、再びセキュリティチェックを受け、入国審査を経てようやく搭乗口へ。
搭乗呼び出しが始まり、列に並ぶ。
荷物検査があるとすればこの搭乗時だ。
チラッ…と横目でチェック、驚愕の光景に筆者は確信した。
荷物検査はない、と。
wizz airなどでは、少なくともこの重量&サイズ検査用網カゴを、搭乗ゲート脇でパスポートを確認するスタッフのすぐ真横まで持ってきているものである。
たとえ検査しなくても、一定の脅しにはなるのだ。
…助かった。
ありがとうペガスス、そして油断しててくれてありがとうスタッフ。
いざ、次の目的地へ。
トルコ、イスタンブール!
イスタンブールはトルコの首都であり、最大の都市でもある。
友人「アメリカの首都は?」
筆者「ニューヨーク!!」
と即答するくらい恥ずかしいミスである。
もしくは
友人「じゃあオーストラリアは?」
筆者「シドニー!!」
くらい恥ずかしいとも言える。
ま、ええんや。
知らなかった分だけ、また旅の話がひとつ増えた。
ではみなさん。
イスタンブール、行ってきます!
おわりに
さて、ということでトルコの首都…じゃなくて最大の都市イスタンブールへ行ってくる。
人生初のトルコ。
胸の高鳴りは止まらない。
いやむしろ、高鳴りすぎて若干息切れ気味である。
トルコと言えばケバブ
トルコと言えばトルコアイス
トルコと言えば…
トルコと言えば…
(ケバブとトルコアイスしか出てこんのかい!!!!!)
まあ、何はともあれ行ってくる。
まあええ、気持ちだけは満点や。
旅に出るときに大事なのは情報量より勢いである。
というわけで、行ってきます。
カオスの予感しかしないトルコへ!!
そして着いてみたら、やっぱりトルコは予想の3倍くらいカオスだった。
2025年2月4日から7日まで4日間トルコの首都いや最大都市イスタンブールに行ってきたのでその時の体験をシェアしたい。※トルコの首都はイスタンブールではなくアンカラである、筆者は盛大に勘違いをしていた。「オーストラリアの首都[…]