【サバイバル知識】応急処置の基礎知識

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今回はサバイバルで使われる、応急処置の基礎知識を紹介します。

ナショナルジオグラフィック監修の「世界のどこでも生き残る完全サバイバル術」という本の一節から抜粋しました。

応急処置

生き残るためには、健康維持が最も大切だ。もちろん、サバイバルの状況ではある程度の危険を犯す必要はあるが、必要以上に危険な行動やケガをするような行為は避ける。とはいえ、健康上でのリスクを避けられない場合もある。

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極寒地帯では常に低体温になる危険性があり、砂漠では脱水症状や熱中症になる恐れがある。でこぼこした土地を歩いて捻挫をしたり、足首を骨折したりすることもあれば、鋭い枝や岩で切り傷をつくることもある。また、動物にかまれたり虫に刺されたりして、ショック反応を引き起こす可能性もあるのだ。

自然の中に足を踏み入れる場合は、必ず全員が応急処置の知識を身に付けること。応急処置に詳しい人が1グループに1人しかいないと、その人に治療が必要になった場合、困るためだ。救急車に救助を求められないことが多いので、ケガの程度を確認し、治療する知識が必要なのだ。文明を離れるときは常に救急キットを携帯することで、軽いけがの手当てに役立つ。サバイバルは状況の中で、思いがけず健康上の問題が発生した場合には応急手当てが必要になるが、まずは冷静に問題に対処することが、回復への第一歩となる。

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ここでは、サバイバルな状況の中で、ケガの予防と治療に関しての適切な判断を下し、専門家の治療を受けるまで生き延びるための対処ができるように、基本的な情報を提供している。

応急処置の基礎

赤十字など信頼できる機関で、応急処置や心臓マッサージなど、心肺蘇生法の手ほどきを受けよう。そして、さらに詳細が載っている文献を読むことを薦める。特に、サバイバル時のケガを主に扱うレッスンや指導書を探してみよう。捻挫や骨折、かみ傷や虫刺されは珍しいことでは無い。どのケガも深刻ではないが、アレルギー反応やショック反応、低体温症や脱水症状を引きおこす可能性があるのだ。そのため、これらの症状は迅速な処置が必要になる。辺境地に赴く場合は、グループのメンバー全員が応急処置について基本的な知識を持っていなければならない。病気やケガの手当てを誰か一人に任せていたら、その当人の身動きが取れなくなることもあり得るからだ。

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応急処置は文字通り「応急」的なものだ。
もし辺境地で救急医療が必要になった場合、選択肢は2つ。できるだけの処置をするか、ケガ人が苦しんで、場合によっては死んでいくのをただ見守るかだ。応急処置後はなるべく早く、医師による本格的な治療を受けることが不可欠となる。ケガの程度について最良の判断が下せ、最良の処置ができるのは医師だけであることお忘れなく。また、他人に応急処置を行うためには、自分自身の体に気を配ることも大切だ。足にマメができるなどちょっとしたケガが原因で、身動きがとれなくなる可能性もあるからだ。

POINT

状況が許されるのなら1日に1回は歯を磨く。歯ブラシがない場合は、小枝の先端をかみ砕き「チューイング・スティック」を作り歯を磨く。また、布を指に巻いて歯をこすり、食べかすを取り除く。サバイバルな状況では自分で健康を維持し、常に病気を予防する心構えが必要だ。

一般的な救急キット

・ばんそうこう:切り傷からの感染を防いだり、マメを保護したりする

・包帯、ガーゼなど:傷口を清潔に保ち、傷をふさぐのに使用する。また、手足を縛ったり覆ったり、固定したりするのにも使える

・三角巾:広範囲の傷を覆い、つり包帯としても使える

・テープ:包帯を留めたり、適切な位置に固定するためのテープ

・鎮痛剤:特にケガ人を移動させなければならないときに使用する

・消毒剤:傷口の殺菌と洗浄

・せっけん:患部の洗浄と傷を手当てするための基本的な衛生管理

・針と糸:患部の縫合など

・処方薬:あなた自身やグループのメンバーが必要な場合

・はさみ:包帯や糸を切るため

・足を保護するためのもの:サポーター、うおのめパッドやマメを予防するシールなど、足にかかる負担を抑えるもの

・安全ピン:包帯を留めたり、針の代わりに傷口を縫い合わせる

子供への応急処置

子供は「小さな大人」ではない。子供は外的刺激に対して、大人とは全く異なった反応をする。このことは、子供に応急処置を行う際に大きく影響する。

子供は大人より体が小さく、脱水症状に陥りやすく、すぐに熱中症になりやすい。小さい子供がサバイバルに出るときは、脱水症状や熱中症のサインを見落とさないよう気を付けよう。そして、水分をたくさん摂取するよう心がける。子供が十分な水を飲まない場合、水のボトルに果物の味を足すなど飲みやすくする。経口補水塩を子供の水に加えると、回復が早まる。

下痢は大人でも子供でも脱水症状を加速させるが、小さな体の子供は大人に比べて症状が急激に進む。下痢の患者には、たくさん水を飲ませよう。幼児にはバナナやすりおろしたリンゴ、ベビーフードのようなものを食べさせる。もう少し大きな子供には、何も塗らないトーストやクラッカーを食べさせ、子供用の下痢止め薬を1回分飲ませよう。子供が頭痛やめまいのような症状を訴えた際は、脱水症状を起こしているサインかもしれないことを忘れずに。

しかし、子供たちは、体力的には大人よりはるかに早く弱るが、精神的には驚くほど強く、サバイバルな状況でその力を十分発揮する。

POINT

すべての外傷は肉体の損傷と血液の損失だけの問題ではない。たとえ小さな切り傷でも、病原体に感染する恐れがあり、重大な問題となる。しかし、傷を正しく治療すれば感染の恐れを減らし、治療することができる。自然界ではどんなケガでも過小評価は禁物だ。

ケガの診療と治療の優先順位

ケガをどう治療するかを判断する際は、まず最も重症な箇所を探す。以下のステップを順番に行う

➀負傷者をその場に留めておくとさらにケガをする恐れがある場合は、その場から負傷者を移動させる。しかし、脊髄に損傷がある場合、ケガ人を動かしてはならない

➁呼吸や心拍が止まっていたら、速やかに蘇生術を行う

③止血

④傷ややけどの手当て

⑤骨折箇所に添え木をあてる

⑥ショックを和らげる

捻挫と骨折

自分のケガが骨折なのかを捻挫なのか、いつもすぐに分かるとは限らない。痛みがあって腫れが引かない場合、まずは患部を添え木で固定し、それ以上のケガを未然に防ぐことも大切だ。手足を簡単に固定したら、次の事故に遭わないために、ケガ人はなるべくその現場を離れるよう努力する。捻挫をした場合、テーピングが必要だ。軽症の場合も放置してはいけない。

骨折かどうか、簡単に診断できるケースがある。たとえば、骨が肉を突き刺していたり、手足が不自然な向きで垂れ下がっていたりする場合だ。手足が腫れて動かせない場合も、骨折の可能性が高い。骨折した箇所は血液が悪くならない程度に、患部の上と下の関節を一緒に固定しなければならない。固定することで痛みを抑え、折れた骨のとがった部分が肉を傷つけるのを防ぐことができるからだ。
これにより感染症を防ぎ、ショック状態に陥る危険性を軽減できる。

安全確保のためにケガ人を移動させる場合、骨折した幹部は正しい方法で固定しなければならない。骨折した足は、骨折していない方の足に固定する。腕の骨折の場合は、胴体に固定するかⅬ字の添え木で固定し、包帯や三角巾でつる。

添え木のあて方

➀手足を動かすことができず、力を入れることができなければ骨折を疑う。すぐに病院へ行けない場合、添え木を作らなくてはならない。固くて、骨折部分の上下の関節を固定するのに十分な長さのあるものを2本用意し、それで骨折部分を挟む

➁添え木との間に詰め物を挟む

③適当な位置で添え木を固定する。ケガの箇所を支えられ、添え木が動かないようにきつく固定する。ただし、血流が悪くならない程度に余裕は残しておく。骨折や捻挫、脱臼に関しては本書の資料や応急処置のガイドブックでもっと詳しく勉強しておこう。

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