今回はちょっと真面目な話です。
皆さんは好きな人の顔が思い出せないという経験をされたことはありますか?
好きな人の顔こそいつでも思い出して苦難を乗り越える原動力にしたいところではありますが、筆者は好きな人の顔だけが思い出せないという経験を数多くしています。
ネットで調べてみると予想以上にヒット件数が多くて驚きました。
「大好きな旦那の顔が思い出せない」
「中学時代に好きだった子の顔だけ思い出せない」
「ほんまに好きな彼女の顔が思い出せない」
など、皆さん同じような経験をしている方が多く安心しました。
と言うのも15年来の親友にその話をした時に、
「好きな人の顔を忘れる(=思い出せない)なんて、実は好きちゃうってことやろ?笑」
という完全にデリカシーに欠けた無神経なことを言われたのです。
「え、おれってほんとはあの人のこと好きじゃないのか?このモヤモヤした気持ちはなんだ…」
と悩む時期もありました。
たとえばですが↓
※これはサンプルです。
こんなに大好きなのに、いざ顔を思い出そうとすると
↑頭の中ではここまでしか出ないのです。
この女性の場合はスマホに写真があるのでいつでもそれを見返せばいいのですが、相手の写真がない一目惚れなどの場合はまさに悲惨の一言に尽きます。
こういった経験が筆者も人生で何度かあるのです。
今回はそれが何故なのかをフロイトの心理的抑圧理論と共に考察していこうと思います
先に筆者が出した結論をお話しますと、好きな人の顔が思い出せない理由は、
です(実例を後に示します)。
フロイトの説明などを飛ばして結論だけを知りたい方はこちらを。
では始めます!
フロイトとは
フロイトを一言で言うと
です。
中学・高校の頃に保健の授業でフロイトの名前が出てきた気がしますし、「抑圧」とか「退行」とか「昇華」とか何やら色々やった気もしますね。
そして、彼の研究の一つに無意識研究というものがあり、後に彼の娘が防衛機制(ぼうえいきせい)という概念を提唱します。
防衛機制
この、保健の授業で耳にした事があるけど完全に聞き流していたワード【防衛機制】を簡単に説明すると
人間は受け入れがたい状況、または潜在的な危険な状況に晒された時に、それによる不安を軽減しようとする無意識的な心理的メカニズム
(Wikipediaより)
精神的安定を保つための無意識的な自我の働き。自己を防衛するため,心のなかの不安,恐怖,欲望,衝動などを抑え,しずめる働きもさす。
(コトバンクより)
です。例えば、
➀あの時計が欲しい、けど高いから買えない。くっそー
➁もっと仕事を休みたい、けどわがままと言われそう。どうしよう
③あの子に話しかけたい、けど冷たくされるかも。あーーー
などの心理的葛藤は日常の様々な場面で誰にでもあると思います。
そういう悩みというか葛藤というのは結構な心理的ストレスらしいですね、頭では意識してなくても。
なので脳は無意識にそういう葛藤を取り除こうとします。
つまり上の例で言えば
➀あの時計が欲しい、けど高いから買えない。くっそー
→多分そのうちにもっと良いのが出てくるし、まあいっか
➁もっと仕事を休みたい、けどわがままと言われそう。どうしよう
→うーん、でもおれって普段結構頑張ってる方やし今回くらいは大丈夫か!
③あの子に話しかけたい、けど冷たくされるかも。あーーー
→あーでもあの子彼氏おるやろし、どうせ無理か!うん、しゃーない
など自分で勝手に理由をつけて行動を正当化したり、逆に不当化したりすることです。
こういうのってみんなしてると思います。
これが防衛機制(自分をストレスから防衛するための働き)なんですね。
簡単に言うと、心理的圧迫を和らげるシステムです。
好きな人の顔だけ思い出せないのはなぜか?
今回のテーマは数ある防衛機制の中の一つ、抑圧(よくあつ)です。
抑圧ってわかるようなわからないような微妙なワードですよね。
抑圧を一言で言うとですね↓
です。
筆者はいくつかの学説や論文を読んで「好きな人の顔が思い出せない理由」をこう結論付けました↓
脳が記憶を封印するから
筆者は、好きな相手の顔が思い出せない理由は心理的抑圧が働くからだと思っています。つまり、
という事です。
例えば自分の記憶の一部があまりにも衝撃的なもので、自分の健康状態を害すると脳が判断したような場合、「脳がその記憶を封印してしまう」ということです。
抑圧はこのような記憶(好きな人の顔)を意識の届かない(つまり思い出そうとしても思い出せない)心の深部にまで押し込めてしまいます。
と言うことです。
※一説では、そういう記憶はそもそも脳が記憶すらしない。
つまり「封印するというよりは初めから無かった事にするのでは無いか?」と考えられていましたが、現在それは間違いだと言われています。
脳が「もう思い出しても苦痛を受けないであろう」と認識した時点で(つまりその恋が一段落した時点で)、その記憶はそれ以上封印する必要は無くなるので、回復記憶として思い出せるのです。
実際に数年後に記憶が回復したというような話も多く、思い出すか思い出さないかは全ては脳次第なんですね。
【ゴルゴ13】390話 「黒い記憶」
実は最終的にこの結論に辿り着いたのは、ゴルゴ13の「黒い記憶」を読んでいるときなのです。
» 内容を3行でまとめました↓
天才脳医学者のデビッドは、子供の頃にFBIの父がゴルゴ13と撃ち合って「目の前で」敗れた(殺された)のを見てしまった。
しかし、あまりにもショックが大きいためデビッドの脳はその記憶を封印したので、デビッドは大人になっても父の本当の死因を知らずにただ「チンピラに撃ち殺された」と聞かされていた。
しかし幾度も不思議な夢(父が何者かに撃ち殺されるシーン)に悩まされ、遂にゴルゴ13に辿り着き全てを思い出す。
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その中のワンシーンにありました↓
» 2人の会話(クリックで開く)
♀「ジークムント・フロイトは"人は辛くて重要な意味のある記憶を、無意識のうちに抑圧してしまう"と語っているわ…それからすると…」
♂「フロイトか…」
♂「人類が、脳の仕組みまで解き明かそうとしているこの時代に、"夢判断"でもないだろう…」
♀「"真理"はいつの時代も"不変"よ!」
♂「…………」
♀「もし、そうだとして…デビッド、あなたの"心理的防御機能"が働いたほどの記憶に…思い当たる事はないの?」
♂「わからない!…だが、脳の壁にしまい込まれていた記憶が、今、頭をもたげようとしているのは、たしかだ!…」
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防衛機制についてわかりやすく紹介されていました。
また一例としてある事例が紹介されていました↓
» カリフォルニアに住む、二十八歳の女性の有名なケース
カリフォルニアに住む、二十八歳の女性の有名なケースがあるわ…
ある冬の晴れた午後、五歳になる自分の娘のなにげない仕草が…彼女の二十年前の記憶を蘇らせたの…
居間のブラインドから差し込む陽光に輝く赤毛とあどけないその瞳…ブルーの瞳…そしてそばかす…
遥か昔、いっしょに遊んだ幼なじみの、自分と同年齢の少女にそっくりだったのよ…
その少女は、八歳の時、他殺体で発見され、犯人不明のまま事件は迷宮入りになっていた…
しかし、彼女は娘の仕草が引き金となって、突然思い出したの、二十年の時を経て…
殺害現場にいた自分と、自分が見た犯人の顔…幼なじみをレイプし、殺したのは自分の父親だったのよ…
人生最悪のおぞましい出来事を刻んだ八歳の脳は幼い自分を守るため、あえて記憶を封印したのよ…
父親から脅され、沈黙を強要されて…
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↑こんな事例も世の中にはたくさんあるんですね(゚Д゚;)
その他の説
ネットにはこのテーマでも様々な情報があふれています。
「好きな人を見ると無意識に瞳孔が開き、常に眩しい状態になるから」
「好きな相手の前では感情が高ぶりその気持ちを抑えながらの経験は記憶に残りにくいから」
「好きな人の顔ってその時オンタイムで脳内補正してるから、実際の造形と脳内補正の整合性が取れないから『思い出せない』って感覚に陥るから」
とかまあ様々な説がありますので、他の3つの説も一応みてみましょう。
好きな人の顔ほど思い出せない…理由は瞳孔
この説は「好きな人の顔ほど思い出せない…理由は瞳孔」で紹介されています。
» 以下、本記事より抜粋(クリックで表示しますが長いので↓のまとめだけでも良いと思います)
突然ですが、アナタは好きな人の顔をはっきりと思い出せますか?
(略)
一説には「好きな人を見ると瞳孔が開いて眩しい状態になるから」ということがあるんだとか。
瞳孔は光の加減によって大きくなったり小さくなったりすることはよく知られていますが、暗いときに光を取り入れる為に開くだけでなく、
好きな人や興味があるものに対しても大きくなるのです。
ある心理学者は、光の量以外でも瞳孔の大きさが変化することに気づいて、実験を行いました。
実験は、5枚のスライド写真を1枚ずつ映写して見せ、被験者の瞳孔を毎秒2枚のペースで撮影、ここで使われた写真は
「赤ちゃん」「赤ちゃんと母親」「男性ヌード」「女性ヌード」「風景」
の5枚。
瞳孔が大きく開いたのは男女とも「異性のヌード写真」のときだったんだそう。
(略)
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つまり要約すると、
という事らしいです。
好きな相手の前では感情が高ぶり その気持ちを抑えながらの経験は記憶に残りにくい
この説は「好きな相手の前では感情が高ぶり その気持ちを抑えながらの経験は記憶に残りにくい」で紹介されています。
» 以下、本記事より抜粋(クリックで表示しますが長いので↓のまとめだけでも良いと思います)
Q. こんばんは。毎回勉強させてもらっています。
さっそくですが、数年ぶりに気になる人ができました。
もう恋の仕方を忘れてしまっているくらい化石化した心に、彼の言葉や笑顔が響いてきます。
この前初めてデートしたのですが、思い出すと何話したんだっけ?ってくらい印象がありません。
長時間一緒にいて会話が苦痛だったわけではないし、時間を忘れるくらい話しました。
そしてすごく楽しかったし幸せでした。
ですがどんな話が弾んだのか楽しかったのか聞かれたら思い出せません。
普通だったら好きな人との会話は覚えているものなのですか?
自分の中で、大切な思い出がなくなってしまったようで悲しいです。
どうか教えてください。
よろしくお願いいたします。
A. 人は好きな相手の前では感情が高ぶり、その気持ちを抑えながらの経験は記憶に残りにくいという習性があります
楽しみにしていたライブや旅行等も感情が高ぶれば高ぶるほど、『楽しかった!』という事実だけが記憶に刻まれ、その詳細の記憶はあまり残らないんです。
だから思い出補正として『楽しかった!』というだけの記憶を頼りに人は思い出を美化する生き物なのです
人によっては好きな人の顔も思い出せないほどその記憶に障害が出てしまうようですね
人として正常な反応なので気に病む必要はないです。
感情が落ち着けばちゃんと記憶に残るようになります。
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つまり要約すると、
らしいです。
実際の造形と脳内補正の整合性がとれないから『思い出せない』って感覚に陥るから
この説は「好きだった人の顔を思い出せない現象、 #かりそめ天国 で細かく分析されて「推しイベントの内容忘れるのこれ」とわかりみが深い」で紹介されています。
» 以下、本記事より抜粋(クリックで表示しますが長いので↓のまとめだけでも良いと思います)
これ笑える。
好きな人の顔ってその時オンタイムで脳内補正してるからな。
画像だとなんか違うことってよくあるやろ。
本当えぐいと思うわ。
実際の造形と脳内補正の整合性が取れないから『思い出せない』って感覚に陥る。
これは今は好きでない場合な。
今でも好きなら似た顔に反応しまくる
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つまり要約すると、
らしいです。
余談~筆者の場合~
筆者は、2015年3月に親友とスイスに訪れた時のこと、あるホステルの受付の女性に一目惚れしました。
筆者の一挙手一投足に笑顔を散りばめ、ノリがよく初対面なのにハイタッチを求められたり、とにかく明るく元気で美しい女性だったのです。
そんな彼女に一瞬で恋に落ちた筆者。
» 続きを読む
小学校からの親友に「おれ、人が恋に落ちる瞬間を初めて見た(笑)」と言われたくらいの一目惚れでした。
しかし、その人から離れた瞬間から顔が全く思い出せないのです(ノД`)・゜・。
それから、滞在中に3回か4回顔を合わして「あーそうそう、この人この顔!いやーほんま綺麗やわー」と、お耳真っ赤でした(*´ω`*)
余談ですが、お酒や恥ずかしさで顔が赤くなるのは英語で"Asian flush(アジア人の火照り)"と訳されます。
お酒で顔が赤くなるのが"Asian glow/flush"昨晩、とあるSNSをボーっと眺めていると一瞬目を引く広告ページが出現しました。そこにはアルコールで顔が真っ赤なアジア人男性と同じく顔が真っ赤なヨーロッパ人女性が楽しそうに[…]
しかしその町を離れた後、親友に「あの人の顔が思い出せない」と話すと「お前、一目惚れって嘘やん」と笑われました。
正直「ようやく思い出せた・・・」という気持ちでいっぱいになり涙が出てきました。
確かに、もう完全に無理な恋だったので諦めてはいましたが、なぜか泣けてきたんです。
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これこそ回復記憶だなー
と思い、それからしばらくして本当に顔を忘れてしまい、今はもう思い出すことができません。
その方との出会いはこちらで紹介しています↓
RYOです(''◇'')ゞ親友さわと一緒に周った、2015年のヨーロッパ旅の復習として、スイスの『ツェルマット』での滞在を要約して思い出の出来事をつらつら綴りました。筆者今回はおまえと一緒の旅か。ハア~[…]
さいごに
好きな人の顔が思い出せない
実は多くの方が同じような経験をしていることに驚きました。
他の方々の説を読んでもイマイチ納得はできませんでしたが、みなさんはいかがでしたでしょうか?
脳さーん、もう抑圧する必要は無いので早く記憶を回復させてくださーい(笑)
外国人ついでにこんな記事も書いていますので是非ご覧ください↓
※本記事は、欧米人女性と結婚した筆者(=日本人男性)が実際に欧米の友人たちにインタビューした内容を基に構成されています。欧米には「告白」なんていう文化はありません欧米人は告白しない初めてこれを聞いた時は「いや[…]
ご拝読頂きありがとうございました。