本記事は、2017年に行ったヨーロッパ一人旅の記録を振り返るものであり、ハンガリーの首都ブダペストでの滞在を中心に、当時の思い出をゆるりと綴っていく。
橋の下でこっそりテント泊してみた。
旅の期間は2017年初頭、およそ1か月。
東欧・バルト三国・アイスランドなど、これまで訪れたことのなかった国々を巡る冒険だった。
今回の旅には、
- 旅仲間(以下「エリ」)との同行
- 初めてのレンタカー運転
- 人生初のテント泊
という3つの大きな挑戦があり、まさに忘れがたい出来事の連続であった。
本記事では、その旅の始まりから順に振り返っていきたい。
金ぴかすぎる街、ブダペスト
というわけで、スロヴァキアの首都ブラチスラバからバスでハンガリーの首都ブダペストに帰還。
道のりとしては、普通車ならおよそ2時間半。
バスなら4時間弱といったところだろうか。
着いた頃には夜。
旅の終盤はいつも夜に始まる、そんな気がしてきた。
さて、まず紹介したいのがこちら――
「世界一美しいマクドナルド」である。
場所はブダペスト西駅(Nyugati pályaudvar)。
その駅構内にマクドナルドが入っている……のだが、これがもうマクドとは思えないクラシカル建築の極みである。
「どこが美しいって?」「全部だよ。」
という雑な返しが許されるレベル。
ちなみに、このブダペスト西駅は名前に反して、実質的にはブダペストで一番デカい駅である。
筆者の素朴な願い
「頼む、ブダペスト駅と名乗ってくれ。」
「主要駅なのに”西駅”とつけるセンス」――
これはおそらく、ヨーロッパ全土に広がる鉄道界のミステリーである。
「パリ東駅」「ベルリン中央駅」「ウィーン西駅」……
方向に全振りのネーミングセンスに、何度旅人が混乱したことか。
テント泊に危険はつきもの
海外ではたまにこういうのを見かける。
「なんちゃって日本風」の店。
一見それっぽい雰囲気を醸し出しているが、実際はそれっぽいだけの外国製和風居酒屋である。
これはまだ本物っぽさが残っているからいいが、過去にデンマークの首都コペンハーゲンで見かけた「WAGAMAMA(わがまま)」というレストランには脱帽した。
さて、ここはブダペストの大きな橋、マーガレット橋である。
今日の宿は……その橋の下の公園だ。
そう、テント泊である。
右下にうっすら見えるのが筆者のテント
我がテント。
性能は良い。
耐久性は抜群。
タイヤで有名なDUNLOP社製。
辺りは暗く、人の気配もポツポツとある。
思った以上に夜でも人がいる。むしろ多い。
「これは……ホームレス狩りに遭う流れでは?」と身構えるも、まだその時ではなかった。
この公園は、1カ月前の下調べで「まぁまぁ安全」と判断したスポットだ。
事前の情報収集、大事である。
テントからはブダペスト名物・金ピカの国会議事堂が見える。
美しい。
だが落ち着かない。
「さすがに警察が来たら終わりだな」
と思いつつ、深呼吸しながら寝袋に入る。
おやすみ、世界。
ーーーーーー数時間後ーーーーーー
ふう。
何事もなく朝を迎えた。
よし、テントから出てぐーーーっと伸びを………
めっちゃトレーニーがいる!!!!(;゚Д゚)
どうやらこの公園、早朝から筋トレガチ勢が集まるスポットだったらしい。
この異物(=筆者)を誰も通報しなかったあたり、ブダペスト市民の心の広さに感謝である。
テント泊、意外と安全……かもしれない。
いや、やっぱり気をつけるに越したことはない。
空港近くの宿泊所
川を眺めると、流木の上に三羽の鳥がちょこんと佇んでいた(^ω^)
――ああ、旅の終わりを感じる光景である。
約1か月前(1月23日)に同じ場所を通ったときは川が凍っていたが、今はその氷もすっかり溶けている。
1ヶ月前のドナウ川
時間の流れは残酷で、かつ静かだ。
朝のブダペスト西駅に到着。
かつて金ぴかに輝いていた夜景の記憶はもはやどこへやら。
朝の駅はいたって質素で、むしろやや冷たい雰囲気すら漂っている。
この日はブダペスト空港近くのホステルに宿泊する予定で、事前に予約を済ませておいた。
・・・。
……名前が長すぎる。てか読めない。
とりあえず「トスカン カフェ」でオッケ
ということで、安さに惹かれて予約したが、アクセスには難あり。
なんせバスの本数が少なく、乗り継ぎがなかなかにシビアだった。
たどり着いた先は、想像以上にしっかりした施設で驚いた。
1階はカフェ → 到着後すぐケーキを注文
※もちろん有料
部屋は清潔感あり
おしゃれな内装
まさかのバルコニー付き
これで1人分、1泊2,400円(素泊まり)。
コスパ、非常に良し。
夜は、近くのスーパーまで15分ほど歩いて食料を調達。
久々に「日常の買い物」をする感じが、どこか落ち着いた。
トスカンカフェ、やるじゃないか。
Toscan Panzió is situated in Gyál, Pest megye, Hungary. We o…
バスの運転手に声をかけておくのが一番
翌日、再びブダペスト空港に向けて出発。
バスを2回乗り継ぎ、所要時間はおおよそ1時間。
計画通りに行けば問題ない……はずである。
しかし、見知らぬ土地でのバス移動ほど不安なものはない。
そういう時は――
バスの運転手に話しかけておけ!
これに尽きる。
「○○の停留所で降りたいんだけど~(^◇^)」と軽く伝えておけば、運転手の多くはちゃんと教えてくれる。
むしろ、こちらが油断していても、
「おーい、着いたぞー!」
と声をかけてくれる、まさに神対応な方も少なくない。
筆者の親友Sは、過去に運転手へ声だけかけてすべてを一任。
だが、その運転手がまさかの声かけ忘れ。
結果――
真冬のドイツ、わけのわからん山の麓で降ろされる
↓
徒歩でホステルを目指す
↓
ガチで生死をさまよう
……という冷えすぎるエピソードを経験している。
一方で、親切な運転手に出会うと感動モノだ。
アイドリング状態のまま運転席を離れ、
「あそこの信号を右に曲がって、ちょっと行ったとこだから!」
と渾身のガイドをしてくれる人もいる。
落とした財布の中身は諦めろ
大切なことをひとつ、忘れていた。
ブラチスラバからブダペストへ向かうバスの中――
どうやら、ヨーロッパ用100均財布をバス車内に置き忘れたらしい。
バス会社に連絡し、
「財布、ありましたよ」
と返ってきた時は一瞬ホッとしたが、次の瞬間、
「今、そのバスはチェコの首都プラハに戻ってます」
と言われて青ざめた。
筆者(心の声)
「明日帰国、今からプラハ行くのは現実的じゃない……
でも財布の中には3万円分のユーロは入っている。
よし! 国際郵便で日本の自宅に送ってもらえばいいじゃないか!
郵送費を差し引いても、中にあった約3万円が戻ってくるなら御の字だ!」
などと前向きに検討していた矢先、ふと閃いた。
そういえば――
友人のレナが現在ちょうどプラハに滞在していたはず。
すぐに連絡。
ダメ元で財布の引き取りをお願いしてみた。
するとレナは即答。
「行けますよ、ちょうど暇してたんで(笑)」
数日後レイナから報告が届く。
「財布、ありました!」
「日本に帰ったら住所に送りますね」
筆者、感激。
「ありがとう、本当に助かる!
中のお金(3万円分)は自由に使ってくれて構わんよ。
俺はレシートさえ戻ってくればそれでいい!」
レイナがプラハで受け取ってくれた筆者の財布
ここから、海外では当たり前の事態に筆者は驚愕した。
筆者「わざわざ取りに行ってくれてありがとう。
中に入ってたお金はレイナが自由に使ってくれていいよ
おれはレシートだけもらえればいいし」
レイナ「いや、使っていいって言ってもお金残って無いですやん!」
筆者「え、3万円くらい入って無かった?」
レイナ「いや、お金入って無いですよ?レシートはいっぱい残ってますけど」
筆者「はぁぁぁぁぁ!!!??」
つまり、こういうことだ。
バス会社のスタッフが財布の中身を抜き取った可能性が高い。
再度バス会社に問い合わせたが、
「いや、最初からお金なんて入ってなかったでしょ?」
という一点張り。
外国で日本と同じサービスを期待した筆者がバカだったのだ。
ヨーロッパの地下鉄ではスリに注意
数日後、無事に財布を受け取ってくれたレイナと「また日本でな」とLINEを締めたはずだった。
しかし、その後しばらくして彼女から再びメッセージが届いた。
RYOさんの財布取りに行った帰りにプラハの地下鉄でスラれて、クレジットカード、現金、スマホ、パスポートを失いました。
とりあえず新しいスマホ買って、パスポートは作り直しました。
あと3週間やっていけるかわかりません
と。
筆者「うおぉぉぉぉい!!!!!れいなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
どうやら筆者の財布を拾いに行ったその帰り道、
レイナ自身がヨーロッパ名物「地下鉄スリ」の餌食になったらしい。
しかも、被害はフルコンボ。
- クレジットカード → OUT
- 現金 → OUT
- スマホ → OUT
- パスポート → OUT
彼女はその後、何とか予定を早めて無事に帰国できたとのことだが、
この一件、筆者としては一生忘れられない「大借り」となった。
レイナ、本当にすまん……
いつか必ず、この借りは返す。
心からありがとう。そしてごめん。
(´・ω・`)
日本食の美味しさは神
無事にブダペスト空港に到着し、そのまま特にトラブルもなく日本へ帰国した。
そして、帰国して最初に食べるものは、やはり日本食である。
これはもう毎回決まっている。
ご飯、味噌汁、漬物、そして日本風のおかず。
――これ以上にほっとする食事は、世界中どこを探しても無い。
やはり、コストパフォーマンスを考慮すると、日本食は世界で最も価値ある食事だと断言できる。
(かなりの日本びいき発言だが、実感なので仕方がない)
これにて、2017年ヨーロッパ旅編は終了である。
ここまで読んでくださった皆様に、心より感謝申し上げる。
ありがとうございました。