【ヨーロッパ旅行記】オーストリアの首都ウィーン【22/24】

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本記事は、2017年に行ったヨーロッパ一人旅の記録を振り返るものであり、オーストリアの首都ウィーンでの滞在を中心に、当時の思い出をゆるりと綴っていく。

旅の期間は2017年初頭、およそ1か月。

東欧・バルト三国・アイスランドなど、これまで訪れたことのなかった国々を巡る冒険だった。

今回の旅には、

  1. 旅仲間(以下「エリ」)との同行
  2. 初めてのレンタカー運転
  3. 人生初のテント泊

という3つの大きな挑戦があり、まさに忘れがたい出来事の連続であった。

本記事では、その旅の始まりから順に振り返っていきたい。

ザルツブルグからウィーンへ

ザルツブルクで10日ぶりのシャワーとケバブに出会い、もう思い残すことは何もない。

というわけで、次なる目的地は音楽の都ウィーンである。

目指すは――音楽の都・ウィーン!

電車の出発は……えーっと……

ザルツブルグを12:52に出て・・・あ、違う。ん?合ってるか

もはや恒例の自己確認ツッコミをしつつ、ザルツブルク中央駅12:52発→ウィーン西駅行きの電車に乗り込んだ。

【ドイツの電車】"ab"と"an"の違い

電光掲示板に表示されていたのは「12:52 ab Salzburg Hbf」。

この“ab”という表記に見覚えがない人は、もれなく数秒間フリーズするはずである。

ドイツ語圏の電車に乗る場合、電光掲示板には"ab"と"an"と表記される。

「abって何だ?血液型か?」「いや、“an apple”の“an”じゃないか?」

残念ながらどちらも不正解。ドイツ語において、

ab(アプ)=出発(Abfahrt)

an(アン)=到着(Ankunft)

というルールが存在する。

簡単な単語だが、駅のホームで初見だと地味に混乱する。

筆者のように「anってことはここに来るのか、でもabだったら…え、じゃあどっち?電車どこ?」とパニックになる前に、覚えておくべきである。

そして到着、ウィーン。だが恥をかく

ザルツブルクからウィーンまでは約3時間。
特急列車であれば快適そのものである。

しかし、到着してから再びやってくる言語の壁。

そう、ウィーンと言っても、英語では「Vienna(ヴィエナ)」と書く。

筆者はそのことを知らず、英語圏の旅人に「I’m going to Wien!」とドヤ顔で話しかけたが、相手の顔が完全に「???」で埋め尽くされていた。

これはマジで恥ずかしかった。

「え、ヴィエナのことかな?」と言われても、「え、ヴィエナ?どこそれ。違う違う、ウィーン!ウィーーーン!!!」と言っていた。

帰国後に気付いた。
「ウィーン」はドイツ語読みで、英語ではViennaなのだと。

まったく、旅というのは知識の浅さを容赦なく暴かれるイベントでもある。

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ウィーン 英語 ドイツ語

やはりユースホステルは優秀

まず最初に言わせてくれ。

上の写真、左下の車がまるで“ビーム”を発射しているようにしか見えないのは俺だけか?

austria-wien-vienna-2.jpg
ピッカーーー

ヘッドライトの位置に絶妙に車線が被っていて、完全に「フォース解放中」の様相である。

これがウィーンの近未来感だとでも言うのか――いや、ただの偶然である。

さて、話を本題に戻そう。

ウィーンでもお世話になったのは、そう、ユースホステルである。

高級ホテル?バスタブ付きの個室?そんなのは金持ちの遊びである。

バックパッカーはユースホステルで十分なのだ。

この宿泊施設、清潔で、安くて、しかも朝食付き。

正直、もうこの時点で拍手喝采ものである。


40kgを超える筆者の荷物

自分で言うのもなんだが、ほとんど移動式倉庫である。

登山装備、缶詰、水、カメラ機材、シリアルと牛乳、そして「旅のロマン」。

それらすべてがリュックに詰まっている。
詰まりすぎである。

もはや背負うというより、背負われているレベルの重量だ。

これで階段を登るのは筋トレではなく、修行である。

また、ヨーロッパの物価はうっかり外食すれば一撃で財布が爆散するほど高い。

そんな中、ユースホステルの存在はオアシスそのものだ。

良いユースホステルを見つける6つのポイント

では、そんな中でも「これはアタリ!」というユースホステルを見極めるための基準を以下に示そう。

  1. 安い(朝食付きでこの価格?神か?)
  2. 朝食付き(朝から優雅にパンとコーヒーをキメれば、昼までは生きられる。)
  3. 清潔(シャワールームに謎の毛が落ちていない、それだけで感動。)
  4. 24時間(夜行バスで着いても大丈夫。人権がある。)
  5. セキュリティ(パスポートがなくなると、人生ゲームリセット。)
  6. 部屋にロッカーがある(命の次に大事なカメラやノートPCを守ってくれる頼もしいヤツ。)

この6つ、全部揃っていればその宿は間違いなく「神」。

バックパッカーに必要なのは「贅沢」ではない。

「快適さ」と「安心感」、それだけである。
(あとWi-Fiも欲しいけど、それは声を大にしては言わない)

ウィーンの国立オペラ座

これがかの有名なウィーン国立オペラ座(Wiener Staatsoper)である。

名実ともに世界最高峰のオペラハウス――のはずなのだが、筆者にはそこまでの芸術的教養があるわけでもない。

とはいえ、ウィーン少年合唱団もここで実際に公演を行っているという情報を耳にし、「ああ、本物なんだな」と思わされる。

国立オペラ座の目の前で突如現れたのは、赤いナポレオン風の衣装をまとった男性である。

ウィーン ブログ

完全に戦場からタイムスリップしてきた感がすごい。

そして、満面の笑みでこう叫ぶ。

「ヘーイ!ウィーンの夜を一生モノの思い出にしてみたくないかい!?✨」

…あやしい。
とても、あやしい。

さらに追い打ちをかけるように、謎の出演者たちの名前がズラリと並ぶチラシを渡される。

これが本当に今夜の「特別ゲスト」らしい。

筆者、心の声

誰やねん。

一人として知らない。
むしろ日本で言うなら「阿佐ヶ谷あたりの無名劇団のフライヤーを渋谷で配られてる」くらいの感覚である。

しかも、知らないと言ったところで相手は引かない。

むしろ「知らないなんて、人生損してるよ兄弟!」みたいな目で見てくる。

いや、君が誰かの人生を損得で測るんじゃない。

ふと心の中でこうつぶやく。

「ん、なんだ?この出演者たちを知らなきゃ、ウィーンに来ちゃいけないってのか…?」

音楽の都ウィーンとはいえ、すべての演目や出演者を把握していなければいけないわけではない。

ましてや、ナポレオンの仮装に騙されて高額なチケットを買う義理など微塵もない。

クラシック初心者だって、観光客だって、ウィーンの空気を楽しむ権利はあるのだ。
(それにしても、あのナポレオン、営業力だけはプロだった)

興味がある人は公式サイトで演目をチェックして、ちゃんと正規のルートで買うことをオススメする:

Opera and Ballet at one of the most famous houses in the wor…

ヨーロッパの外食はやはり高い

ここがウィーン屈指の繁華街――ケルントナー通りである。

まさに「人」「人」「観光客」「人」「お土産屋」「人」という密度。

コペンハーゲンのストロイエ通りを歩いたことがある者なら、あの賑わいを思い出すに違いない。

旅も終盤。

財布に残るユーロを見つめながら、ふと思った。

「余らせても仕方ない。全部使ってしまっても良いのでは?」

これがいわゆる「余りユーロ使い切り理論」の誕生である。

入店、そして狂乱の宴へ

心の奥底で「やめろ、ヤバいってそれ高いから!!」と絶叫する声を華麗にスルーし、筆者は堂々とレストランへ足を踏み入れた。

どうしてこうなったのかは分からない。空腹は判断力を奪う。

まずはソーセージコンビとスープ。

それぞれ12.50€(約1,600円)と4.20€(約550円)。

合計2,150円程度。

ここまでは「まぁ観光地価格だし…」と自分に言い聞かせることができた。

しかし食べ終わった直後、こう思ってしまった。

「まだ、肉が足りない」

その瞬間、何者かが頭の中で叫んだ。

「やめろおぉぉぉおおぉぉぉ!!!」

だが、もう筆者の耳には届いていなかった。

肉を追加。

12.30€(約1,600円)なり。

この時点でトータル29€。

当時のレートで1€=130円とすると、

29×130=3,770円。

ここでようやく現実に戻ってくる。

「一食で3,770円……だとぉ?」

心の声がようやく戻ってきたその刹那、別の声が囁いた。

「せっかくオーストリアにいるんだし、ザッハトルテ食べなきゃ嘘でしょ?」

ああ、これはもう抗えない。

オーストリア発祥の代表的スイーツ「ザッハトルテ」を注文。

確か5€(約650円)。

結果、こうなった。

合計支払額:34€(約4,420円)


一食で4,420円。
これはもう高級ディナーの領域である。

だが、ウィーンの中心街にあるレストランで食事をすれば、この金額はむしろ普通。

日本の感覚で「定食1,000円でいけるっしょ」などと考えていると、胃袋以上に財布がショック死するので注意が必要だ。

また2025年6月現在だと、現地価格も為替レートもどちらも上がっているので、同じ内容でもザックリ3割ほど高いと思っておいた方がいい。

クラシックコンサート

そして本日、筆者はついにクラシックコンサートという未知の世界に足を踏み入れることとなった。

場所はケルントナー通りから少し外れたモーツァルトハウス。

もう名前からして音楽の神様が出てきそうな場所である。

会場に近づくにつれ、自問自答が始まる。

「おれなんかが入って大丈夫なのか?」
「服装、これで良かったのか……?」

外見からは高貴オーラがダダ漏れ。

入場前から気後れした筆者は、ドアの前で一度深呼吸をした。

受付を済ませ、中に入る。

うわ、これはガチだ。
本物のやつだ。

軽い気持ちで入って良い空気感ではない。

「え、大丈夫?(;・∀・)」
「いま退室すれば間に合うか……?」

と、心の声が叫ぶが、チケット代すでに払ってるので退路は断たれた。

会場には荘厳な静けさが漂っていた。

観客たちの背筋もピンと伸びており、「本物」感がすごい。

演奏が始まった瞬間、それまでの緊張が一気に洗い流される。

筆者は音楽に関してド素人である。

楽譜なんて見ても「なんか点々がいっぱい並んでるな」としか思わない。
だが、それでも分かった。

「これはスゴイ」と。

バイオリン、チェロ、ピアノ…

数名のアンサンブルが織りなす音の洪水に、完全に浸された。

途中、バイオリニストのソロもあり、筆者の耳は完全に洗浄された。

耳掃除してくれたレベルじゃない。
耳が脱皮した。

「クラシックに詳しくないから…」
「服装が心配で…」
「眠くなりそうで…」

と、迷っている諸君に言いたい。

「迷うくらいなら、行っとけ」

クラシックコンサートは体感する芸術である。

知識ゼロでも、魂は震える。

チケットはこちらから予約できる。

Konzerte im Mozarthaus

ウィーンのモザルトハウスで忘れられないコンサートの夕べ! 優れた音響による親密なコンサートの雰囲気|月セキュアチケット今…

コンサートを終え、外に出るとウィーンの夜がしっとりと広がっていた。

国立オペラ座がライトアップされており、まるで夢の続きを見ているかのようだ。

…が、現実はホステルまで徒歩一時間。

「耳は洗われたが、足は死んだ」という名言を残しつつ、ゆっくり帰路についた。

スロヴァキアの首都ブラチスラバへ

翌朝、筆者はオーストリアの首都ウィーンを離れ、スロヴァキアの首都ブラチスラバへ向かうこととした。

ちなみにブラチスラバとは、あの「スロヴァキア」の首都である。

「え、どこそれ?」
「それ国?」

と、かつての自分も言っていたが、今ではその魅力に取りつかれた中毒者のひとりである。

これがまた驚きなのだが、ウィーンからブラチスラバはめちゃくちゃ近い。

地図を見ればわかるが、東京と川崎くらいの感覚である。

電車なら約1時間半。
バスでも1時間ちょっと。
ボートで川をゆったり下るという優雅なプランもある。

ただしボートツアーは筆者の財布が即座に却下した。

「ボートツアー? けっ、こちとら貧乏旅なんだよ…!」

ということで筆者はバスを選択。

これが一番コスパが良い。

さて、ここで筆者の旅における最大の敵が現れる。

それは「バスの集合場所が分かりにくい問題」である。

Googleマップ? あてにならん。
案内板? そんなもんウィーンには無い。
勘? 毎回外れる。

何度も言うが、集合場所は事前確認が必須である。

1時間前に現地入りし、集合場所を探す時間を確保せよ。
でなければ筆者のように毎度毎度

「え?ここじゃなかったの????」
「うわああああああ時間ないィィ!!」

と駅前で叫ぶことになる。

こうして、ウィーンの喧騒とザッハトルテの記憶を胸に、筆者はバスに乗り込んだ。

たった1時間ちょっとの移動だが、そこには全く異なる文化と雰囲気が待っている。

それでは、スロヴァキアの首都・ブラチスラバへ。

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