【キリスト教】カトリック/プロテスタント/東方正教会の違い

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キリスト教の儀式や行事

キリスト教には「サクラメント」と呼ばれる『神の恩寵のしるしを与える儀式』があり、キリスト教では最も重視されます。

儀式は以下の7つからなり、主に教会で行われます。
※以下はカトリックの例です。

  1. 洗礼(せんれい)
  2. 堅信(けんしん)
  3. 聖餐(せいさん)
  4. 告解(こっかい)
  5. 終油(しゅうゆ)
  6. 叙階(じょかい)
  7. 結婚(けっこん)

それぞれの儀式の内容を1~2文で説明しているので興味がある方はどうぞ。

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洗礼(せんれい)

キリスト教徒になるための儀式

全身を水に浸すか、頭部に水を注がれる。

ユダヤ教徒によって紀元前3世紀から紀元1世紀までにまとめられた写本(=コピー)を死海文書と呼び(※現時点で約900巻見つかっている)、1946年に発見されたその文書には当時のユダヤ人共同体で行われていた沐浴の儀式について書かれているものもある。

これが初期キリスト教に現れた洗礼の起源として捉えられている。

(参考記事:死海文書には何が書かれているのか、キリスト教との関連は

堅信(けんしん)

信仰を告白する儀式

洗礼を受けた者がさらに信仰を強め、霊の恵みを得るために行う。

聖餐(せいさん)

イエスの体と血の象徴として、パンとぶどう酒を受ける儀式

イエスが最後の晩餐でパンとぶどう酒をとって「これは私の身体、私の血である」と言ったことから。

告解(こっかい)

罪の赦しを請う儀式

司祭に自らの罪を明かす行為で、最低年一回の告解と秘密の厳守が義務付けられている。

終油(しゅうゆ)

臨終の儀式

臨終時の病人に平安と恵みを受けさせるため、その体に香油を塗る。

叙階(じょかい)

聖職者の任職のための儀式

助祭/司祭/司教などの聖職位を授けることで、かなり重要な儀式。

結婚(けっこん)

婚姻を結ぶ儀式

人と人、人と神の間で交わされる契約。

カトリックは原則として離婚を認めていないのでカトリック大国フランスでは結婚せずに同棲生活を送るカップルが非常に多い。

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筆者
一度結婚すればいかなる理由があっても離婚できない、それはそれで恐ろしい…

不倫/浮気ももちろんダメ。

※筆者は奥様(ヨーロッパ人)の故郷イタリアで結婚式を挙げ、向こうのご両親のたっての願いということでカトリック式の結婚式を行いました。
お互いに無宗派なので離婚はできます(笑)

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以上の7つの儀式のうち、プロテスタントでは洗礼と聖餐の2つだけしかサクラメントとして認めていません!!

東方正教会では(多少は違えど)カトリック教会と同じようにこれら7つのサクラメントを認めています。

さて、最後にキリスト教の大まかな歴史の説明をこれからしていきますが結構長いのでここまでの内容でも十分かな~と思います。
※ここまでの内容を理解しておられる方にはそんなに難しくない内容となっています。

もしこの先も読んで頂ける方おられましたら、頑張りましょう٩( ”ω” )و

ここまでの方、お読み下さりありがとうございました!

④キリスト教の大まかな歴史

ではキリスト教の大まかな歴史をみていきましょう。

初めに簡単な流れを図式で紹介します↓

キリスト教が紀元後30年ごろに誕生してから、およそ1,000年後の1,054年にまず、(禁止されているのに)偶像(神様の像/祈る対象)を作って信者を増やしていた「ローマ=カトリック教会」に愛想をつかして「東方正教会」が分かれます。

その500年後の1,529年、免罪符を販売し始めた「ローマ=カトリック教会」に反発したルターらが宗教改革を行い新宗派「プロテスタント」が生まれ現在に至ります。

ヨーロッパ ブログ
筆者
完全に個人的な見解ですが、まあ要するに「ローマ=カトリック教会」が目先の利益に走って次々にアホなことしていき誠実な仲間がどんどん去っていったといった感じです。

キリスト教分裂の歴史を理解するうえでの大前提が2つあります↓

➀宗派が分かれるという事は必ず「意見の対立」がある

➁ キリスト教会はあくまで宗教なので武力はもたない(誰かに守ってもらう必要がある)

以上の2点を頭に入れておいてください。

ではキリスト教分裂のお話をします(´っ・ω・)っ

処女マリアが懐妊

ユダヤ教 旧約聖書 歴史

紀元前4~7年頃、パレスチナに住む女性マリアが、大天使ガブリエルから「あなたのお腹に子供を宿しました、その子は神の子です」と言われ、処女なのに懐妊しその後こども(=イエス)を産みました。

イエスの処刑と復活

ユダヤ教 旧約聖書 歴史

時は経ち、ユダヤ教徒としてすっかり大人になったイエスでしたが、

イエス 生涯
イエス
世界にはユダヤ教徒以外にも民族がいっぱいいるのにユダヤ教徒のみ神に救われるというのはおかしいのでは・・・?

と考え始めます。

しかしこれはユダヤ教の戒律「ヤハウェが唯一の神である」に背いているので、当然周りのユダヤ教徒からは忌み嫌われます。

周囲からの排斥に負けずに、徐々に「神を信じれば全員平等に救われる」との考えを広めていきますが、愛弟子の一人(イスカリオテのユダ)に裏切られ無実の罪で処刑されます↓

イエス 生涯

磔刑にかけられ処刑されたイエスですが、なんと処刑から3日後に復活し弟子たちと少し時間を過ごしてから昇天したという話が広がります。

ユダヤ教 旧約聖書 歴史

イエスが昇天した後、この頃から弟子たちが「やはりあの方こそ救世主なんだ」と布教を始め(←まあ復活してますからね(笑))、徐々に「キリスト教」と呼ばれ始めます。

なのでイエスが「キリスト教を信じなさい」と言ったわけではありません。

ユダヤ教の聖典には「世界の終わりが近付くと、救世主(キリスト)がこの世に現れる」と書いてあり、イエスの復活を知った人々は徐々にイエスこそキリストであると信じ始めました。

そしてこの頃から五本山と呼ばれる「キリスト教の神5教会」が定められ、最も地位が高い教会がローマ教会、次にコンスタンティノープル教会、他にあと3つあります。

ローマ帝国の国教化と東西分裂

西暦392年、初めは激しく迫害されていたキリスト教徒でしたが、紆余曲折あって史上最強帝国であるローマ帝国の国教になります。

これを契機にキリスト教が爆発的に世界に広がり始めます。

しかし395年、(ゲルマン人大移動によって)ローマ帝国が東西に分裂します↓

フランク王国 ヨーロッパ

ローマ帝国が東西に分かれたのと同様に、先ほど紹介した最も地位の高いキリスト教会の「ローマ教会」と「コンスタンティノープル教会」もそれぞれ東西に分かれました。

ローマ教会:西ローマ帝国側で最も位が高い教会

コンスタンティノープル教会:東ローマ帝国側で最も位が高い教会

東西に分裂したことで、「西ローマ帝国が守るローマ教会」と「東ローマ帝国が守るコンスタンティノープル教会」の派閥ができます。

しかしどちらのキリスト教会にしても、とりあえず国教として巨大帝国に守られているので一安心♡って感じでした(*´ω`*)

西ローマ帝国滅亡とローマ教会

しかし西暦476年に西ローマ帝国がゲルマン人大移動の混乱から滅亡します。

西ローマ帝国の軍事力に守られていたローマ教会は後ろ盾が無くなったことで存続の危機に陥り、一時はどうなることかとヒヤヒヤしましたがなんとか西側のローマ教会も東ローマ帝国の保護下に置かれました。

ローマ教会「ふう(゚Д゚;)敵の派閥やけどとりあえず滅亡は免れたぜ。」

コンスタンティノープル教会「おれらの派閥に守ってもらってるくせに、あいつら生意気じゃね?」

キリスト教会同士の対立とフランク王国

しかし、徐々に[ローマ教会 VS コンスタンティノープル教会]に発展していきます。

そりゃあ、同じ檻で2匹の虎を飼っているようなものですからね、考えの違いから当然争います。

キリスト教 宗派

考え方などが微妙に違ってきて、お互いに相手の存在を認められなくなってくる。

基本的にはローマ教会の方が権威は上。

こういった動きの中で、ローマ教会が新たな守護者として当時の大国フランク王国にすり寄り始めます。

フランク王国とはこの頃西ヨーロッパで発展していた王国で、後にヨーロッパを統一するほど力をもった存在です。

(正確には東フランク王国のカール大帝が統一する)

独り勝ちしたフランク王国の概要はこちら↓

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フランク王国

フランク王国:キリスト教の守護者という権威が欲しかった

ローマ教会:自分たちを守ってくれる軍事力が欲しかった

フランク王国とローマ教会はお互いにウィンウィンの関係でした。

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筆者
いやいやすり寄った東ローマ帝国も元を正せば敵方の勢力ですから、新たな後ろ盾として当時最も勢いのあったフランク王国を選んだんですね。

キリスト教会のピラミッドとイスラム教

この頃からローマ教会がヨーロッパ各地に修道院を作って、聖職者を育てつつ教皇を頂点とするピラミッド支配を始めます。

カトリック ピラミッド

各地に建てた修道院で洗脳教育を行い、教皇が徐々に力を持ち始める。

そんなこんなの610年、遂にサウジアラビアのメッカでムハンマドがイスラム教を創始します。

イスラム教は一気に勢力を拡げてアラビア半島を制圧し、キリスト教国の東ローマ帝国と争い始めます↓

キリスト教 宗派

↑勢力範囲が接しているので争いが起きるのは必然ですね。

ヨーロッパ ブログ
筆者

イスラム教の始祖ムハンマドは、恐ろしいほど好戦的な人間です。

ぼくはドン引きしました。

イスラム教の成り立ちはこちらの記事で紹介しています↓

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イスラム教 歴史

聖像禁止令と東フランク王国

726年、東ローマ帝国が聖像禁止令を発布します。

当時のローマ教会は言葉の通じないゲルマン人にキリスト教を教えるために聖像を用いていたからです。

キリスト教は偶像崇拝禁止なので、神を絵に描くとか像にするとかは禁止されています。

東ローマ帝国としては、地理的にも「偶像崇拝禁止」を強烈に掲げるイスラム教徒と争いを繰り返しており、争いの種を一つでも減らしたかったという理由もあったようです。

しかしこの聖像禁止令にローマ教会が猛反発し、東ローマ帝国と絶交します。

ローマ教会、もはや宗教上の戒律は無視しています(笑)

キリスト教 宗派

そして962年、ローマ教会が当時最も勢いのあった東フランク王国(後の神聖ローマ帝国)を正式にローマ教会の後ろ盾とします。

ヨーロッパ ブログ
筆者
ここらへんから徐々にローマ教会が腐敗していきます。

聖職者の地位を金銭で売買したり、神聖ローマ皇帝が教会の聖職者を任命したりし始めます。

これが行き過ぎた結果、カノッサの屈辱が起きます。

キリスト教分裂とカノッサの屈辱

そして西暦1054年、コンスタンティノープル教会が腐敗したローマ教会に愛想をつかし、キリスト教が「西方教会」と「東方正教会」に分かれます。

ここから、より伝統的な教えを守る「東方正教会」が始まる。

ここで一度、先ほどの年表を確認しましょう↓

カトリック プロテスタント 東方正教会

つまり「ローマ=カトリック教会」と「東方正教会(元コンスタンティノープル教会)」に分かれます。

西暦1077年には、カノッサの屈辱によりローマ教皇の権威が最大になります。

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カノッサの屈辱
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筆者
カノッサの屈辱とは、キリスト教の長「教皇」が、神聖ローマ帝国の長「神聖ローマ皇帝」に大勝利した事件です。

免罪符販売と宗教改革

ここからはローマ教会をローマ=カトリック教会と呼んで話を進めます。

東方正教会はより伝統的な教えを守る集団なので、特に何もやらかしません(察し

西暦1515年、ローマ=カトリック教会は財源増収のため免罪符贖宥状(=しょくゆうじょう)とも)を販売し始めます↓

キリスト教 宗派

全ては財源確保のためです!

つまり罪を犯しても免罪符をお金で買えば罰が免れるという、子供でもわかるインチキチケット

西暦1517年、ルターが免罪符を販売するローマ=カトリック教会を批判し、宗教改革が始まります。

さらにローマ=カトリック教会が分裂

キリスト教 宗派

西暦1529年、宗教改革を経てローマ=カトリック教会が更に「プロテスタント」と「カトリック」に分かれます。

プロテスタントは「反抗する者」という意味

プロテスタントは聖書をもとに純粋に信仰を掲げる宗派

カトリックのようなピラミッド構造を嫌う

当時のイギリス国王が離婚したくてもできなかったので、ちょうど盛り上がっていたプロテスタント(離婚もOK)を支援してイギリス国教会を立ち上げました。

さて、もう一度年表をみてみましょう↓

カトリック プロテスタント 東方正教会

プロテスタントも、東方正教会のように不祥事を起こさず純粋に神と個人が契約を交わすことができます。

こうして現在に至ります。

おわりに

いかがでしょうか?

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筆者
何となくカトリック/プロテスタント/東方正教会の違いがわかりましたか?

宗教は調べてみると本当に面白いですし、訪れた国のキリスト教会を見て「あーやっぱりカトリックっぽいな」とか「あーこれはプロテスタントやな」とかをご自身でもチェックしてみてください

キリスト教についてまとめてある以下の記事を読まれたらよりしっくりくると思いますので是非↓

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