【ウクライナ問題にも関係】冷戦中に結成されたNATOとWTOとは?

この記事を読むのにかかる時間: 3

WTOとは

じゃあ何となくNATOのことが分かった上で、次は「WTO(ワルシャワ条約機構)」について勉強しましょう。

WTO(ダブリュ ティー オー)とは

ワルシャワ条約機構

という英語(Warsawa Treaty Organization)の略で、NATO結成から6年後の1955年5月にポーランドの首都ワルシャワで締結された東欧8ヵ国友好相互援助条約に基いて結成された軍事同盟です。

要するに、

ソ連と東欧8ヵ国で互いに見守り合おう=NATOに対抗しよう

という軍隊です。

ワルシャワってどこ?

ではその「ワルシャワ」ってどこにあるんでしょうか?

筆者はワルシャワに行ったことあるので何となくの場所はわかるんですが、普通の人は「ワルシャワはポーランドの首都です」なんて言われても

ん、どこ(。´・ω・)?

状態だと思いますので地図を示します↓

ヨーロッパ ブログ
筆者

ポーランドは冷戦時代は東側諸国に入れられていました。

(一度民主化が起こるもソ連に鎮圧されたんです=ポーランド事件)

では東欧8カ国とはどの国々でしょうか?

東欧8カ国とは?

当初WTOに加盟した国々は以下の8ヵ国でした。

» 一覧↓(クリックで開く)

➀ソ連
②ポーランド
③東ドイツ
④チェコスロバキア
⑤ハンガリー
⑥ルーマニア
⑦ブルガリア
⑧アルバニア

» 折りたたむ

先ほどの図でも示した通り、

NATOとソ連の勢力図

↑青色がソ連+東欧8カ国で、赤色が当初NATOに加盟した12の国々です。

ヨーロッパ ブログ
筆者
WTOはソ連解体に伴って1991年に解散しましたが。

WTOに関する説明は外務省のページでは見つけられませんでした。

まあ解散してますからね。

現在"WTO"と言うと「世界貿易機関」を指す言葉になります。

WTOの目的は?

じゃあ結局WTOの目的とは何だったのでしょう?

一言で言うと「西側諸国が結成したNATOに対抗するため」です。

西側諸国がNATOを結成し集団的自衛権を行使すると宣言したのでソ連側は焦りました。

ソ連 歴史
スターリン

NATOなんか結成しやがって。

そっちがその気ならこっちもやるで?

と、NATOと同じようにWTOを結成し、

もしそっちが先に攻撃してきたらWTO加盟国全てで制裁報復する

という無言の圧力をかけ返したのです。

WTO加盟国も集団的自衛権をもっていた!

上でも説明しましたが、WTO加盟国はNATOと同様に集団的自衛権を持っており、たとえ一国でも西側諸国から攻撃を受ければ加盟国全員で報復するという状態でした。

これにより東西冷戦が新たな形として再び構築されました。

ヨーロッパ ブログ
筆者
「アメリカ VS ソ連」が「西側諸国 VS 東側諸国」になったんですね

どちらかの国が相手の加盟国一国でも攻撃しようものなら、NATOとWTOがお互いを総攻撃するという核戦争一歩手前の恐ろしい状況でした。

NATO加盟国「NATOに加盟すれば東側から攻撃を受けるリスクが減る!ラッキー」

ソ連「ぐむう、あんな小国がNATOに加盟しやがった。なかなか軍事侵攻に踏み切れない…よし俺らもWTOを結成してNATOに対抗しよう」

WTO出陣!チェコ事件

中東戦争 イスラエル アラブ

また、結局にらみ合うだけで冷戦終結まで一度も軍事行動を起こさなかったNATOとは違い、さすがはソ連率いるWTOです、やりました(皮肉

1968年にチェコで、

「もう共産主義や社会主義に押さえつけられているのは我慢できない!!民主化を行いチェコスロバキアを自由な国にしよう。おーーーー」

という運動(=プラハの春)が起きると、ワルシャワ条約機構5カ国(ソ連&東ドイツ&ポーランド&ハンガリー&ルーマニア)が出動してこの「民主化運動」を完膚なきまでに叩き潰しました。

つまり民主化を叫ぶチェコスロバキアの一般市民を皆殺しにして鎮圧したんです(=チェコ事件

ヨーロッパ ブログ
筆者
さすがにこれを見て、アルバニアはソ連を批判してワルシャワ条約機構を脱退しました

NATOとWTOのその後

という事で、西側諸国のNATOとそれに対抗して結成された東側諸国のWTOはその後どうなったのでしょうか。

WTO解散

先述した通り、WTOはソ連の解体に伴って解散しました。

東欧各国が社会主義から離脱する中、解散直前の最後の「ワルシャワ条約機構首脳会議」では、

1968年のプラハの春を鎮圧するために軍事介入したことは間違いだった

と最後の最後に自己批判しました。

旅 ブログ ヨーロッパ
筆者
遅すぎるわボケ!!!

ちなみにソ連解体に伴ってWTOは解散したものの、新たに独立国家共同体(CIS)という組織が結成され、ソ連時代のようにロシアは東欧各国の上に支配的に君臨しようとしました。

しかしCISの結束力は弱く、現状ではあまり機能していません。

新NATO

NATOはどうなったかと言うと、今でも活動を続けています

1990年のロンドン宣言で、

我々はワルシャワ条約機構を敵視するのをやめた!

と目的を一変させました。

ヨーロッパ ブログ
筆者

いや、そこまで公然と言っちゃうのね(笑)

現在では北大西洋地域の安全保障のみならず、世界中の民族紛争や人権抑圧、テロに対して平和維持のために軍事行動を行うようになり、世界の平和維持に一役買っている(と信じたいです)。

おわりに

調べれば調べるほど、東西冷戦というのは本当に世界の危機だったんだなと思い知らされます。

ヨーロッパ ブログ
筆者

高校の歴史の授業でワルシャワ条約機構とかNATO軍なんて言葉を聞いてもイマイチぴんとこなかったのは、当時の先生の教え方が悪かったからなのでしょうか?

それとも単に筆者が興味なかったから?

高校生の時にこういう内容に興味を持てていたら大学進学先も違っていたと思います(笑)

ソ連やベルリンの壁の歴史も非常におもしろいので是非ご覧ください↓

関連記事

さて、今回のテーマは「ベルリンの壁」です。本記事では「ベルリンの壁」とは一体なんだったのかを設立から崩壊まで図解多めでなるべく面白くわかりやすくまとめようと思います。※一応詳しく知りたい方もいると思うので、ある程度小難し[…]

ベルリンの壁 歴史
関連記事

1878年12月21日、ヨシフ・(ヴィッサリオノヴィチ)・ジュガシヴィリと名付けられた男の子が、ジョージア(旧グルジア)のゴリという小さな町で産声をあげた。ジョージアはロシアと隣接している両親「生まれてきてくれてありがと[…]

ソ連 歴史
関連記事

国や地域の象徴である国旗は、デザインからそれぞれの国の歴史や文化、宗教的背景、建国までの道のりが読み取れるものが多く、国旗を知ることはすなわちその国を知るためのきっかけともなります。筆者世界中どの国でも、国旗は、[…]

ウクライナ 国旗で知る世界の国々
NATOとWTOについて
最新情報をチェックしよう!