本記事は、2017年に行ったヨーロッパ一人旅の記録を振り返るものであり、オーストリアの古都ザルツブルクでの滞在を中心に、当時の思い出をゆるりと綴っていく。
ザルツブルクは日本でいえば京都、つまり古都
旅の期間は2017年初頭、およそ1か月。
東欧・バルト三国・アイスランドなど、これまで訪れたことのなかった国々を巡る冒険だった。
今回の旅には、
- 旅仲間(以下「エリ」)との同行
- 初めてのレンタカー運転
- 人生初のテント泊
という3つの大きな挑戦があり、まさに忘れがたい出来事の連続であった。
本記事では、その旅の始まりから順に振り返っていきたい。
静かな大都市ザルツブルグ
ザルツブルグを紹介するなら、この一言に尽きる。
静かな大都市
オーストリア第2の都市でありながら、非常に落ち着いた雰囲気を持ち、過ごしやすい町である。
例えるならば、日本の京都のような存在である。
10日ぶりのシャワー
ザルツブルグ駅のすぐ近くにあるホステルに到着した。
ここでようやくシャワーを浴びることができたのだが、それは実に10日ぶりのことであった。
冬であったため、あまり臭いは気にならなかった(と信じたい)が、10日ぶりのシャワーはまさに極上のひとときだった。
いま思うと、旅友のエリにも「RYOさん、くっさ」と思われていた可能性がある。
最悪だ…。
しかしこの頃にはすでに「ホームレスとしても生きていけるのでは」と感じていた。
(冬限定のホームレスとして)
もっとも、たかが10日間程度ではあるのだが。
a&o Hostel Salzburg: Welcome to our cheap ✓ modern ✓ central…
ヨーロッパのケバブは安いしデカいし美味い
10日ぶりにシャワーを浴びた。
清められた身体が求めたのは、そう——ケバブである。
今回のザルツブルグ滞在はたったの1日。
明日にはウィーン行きの列車に揺られている。
つまり、ケバブに使える時間は限られていた。
これはもう、ケバブ一本勝負の夜である。
さて、ここでクイズ。
「ケバブはどこの料理でしょう?」
——はい、残念ッ!
トルコではない。
ケバブの発祥は、ドイツ・ベルリン。
トルコ移民がベルリンで生み出した屋台グルメの革命児、それが現代版ケバブである。
「ヨーロッパでケバブて…バカかコイツ」
そう思った方にほど、「ヨーロッパでケバブを食ってみろ」と言いたい。
ドネルケバブの発祥はトルコではなくベルリンだった!!筆者は大学時代、カヌー部に所属していた。この部活、なぜか個性の大洪水のようなメンバーが揃っており、毎回飲み会の度になにかしらの事件が起きていたのだが、その中でもとびきり[…]
ヨーロッパを旅するバックパッカーなら誰もが知っている、三種の神器の一つがケバブである。
安い、うまい、量が多い。
これに勝てるファストフードは他にない。
ざっくり価格比較をしてみよう:
- パリ:9〜10ユーロ(でも美味い)
- ザルツブルグ:3〜4ユーロ(コスパ最強)
- 東欧:2ユーロ(ほぼ無料か?)
もう、口の中がケバブ待ちのホームレス状態だった。
筆者「こんなにケバブが愛おしい日が来るなんて、思ってなかった。」
ちなみにザルツブルグのケバブ屋は夜でもけっこう元気。
肉の塊が縦にグルグル回ってるだけで、人生に希望が灯るのはなぜだろうか。
ヨーロッパでの外食はオニ
旅人にとって外食とは、祝福ではない。
試練である。
まあ1日だけなのでボーっと町中を歩き回ってお腹を減らすことにした。
ヨーロッパのレストランで「ちょっと一食いっとくか〜」と軽い気持ちでドアを開けようものなら、その瞬間、財布が震える。
最低15ユーロ(約2,400円)。
ドリンクとサイドを追加すれば、軽く25ユーロオーバー(4,000円突破)。
しかもその15ユーロ、何に消えたかよく分からない。
ちょっとオシャレな木の皿に乗った謎のグリル。
量は少なめ、味は普通、見た目だけはエリート。
しかし、結局レストランに入っている自分がいる。
そう、我慢と見栄の狭間で揺れるのが、ヨーロッパの外食である。
GABLERBRAU
ザルツブルグの老舗レストラン「GABLERBRÄU」。
名前からして高級感バチバチであるが、実際メニューも容赦ない。
サラダ5ユーロ(約650円)(2017年当時)が「最低価格」ライン。
筆者「やよい軒ならごはん・味噌汁・漬物・メイン付きの定食いける値段やぞ!!」
そんな庶民の叫びは、アルプスの風にかき消されていく。
店員さんは上品、店内もクラシックで居心地は良好。
ただしメニューを開いた瞬間、胃袋より先に財布が破ける。
頼んだのは、ドイツ名物「シュニッツェル」。
薄く叩いて揚げたカツレツのような料理だが、そこに添えられたソースは…
まさかのベリー系。
「カツに甘酸っぱいソースぶっかけてくるとは……ヨーロッパの舌、どうなってんの?」
デザートにアップルパイまで頼んだ結果、会計はたぶん19ユーロ(約2,500円)。
冷たい夜風に包まれながらの帰り道。
お腹はそこそこ満たされたが、財布は無事じゃ済まなかった。
Der Ort Das GablerBräu ist eines der ältesten Wirtshäuser Sa…
筆者「こうしてまた一歩、旅人は節約の誓いを強くするのであった。」
国によって違う洗濯機の使い方
ホステルに戻って、洗濯タイム。
「今夜洗って干して、明日には出発!」
そんな完璧な旅人スケジュールが、たった一文で崩壊した。
Water outlet fault(排水異常)
え、え、ちょっと待って、何度やっても止まるやん!?
店員さん呼んでも原因わからず。
機械、完全沈黙。
「今、入れた6ユーロ(2ユーロ×3回分)は返ってこない……」
「返金ボタン……どこだ……押しても……光るだけ……」
スタッフにクレームしても、宿から30分ほど歩いた場所にあるコインランドリーを提案されただけ。
お金は返ってこなかった。
これはある種の詐欺行為だと言えるだろう。
というわけで翌朝、臭い服一式持って1.7kmのウォーキング開始。
ザルツブルグの朝。
空気は冷たい。
服は臭い。
テンションは地面スレスレ。
「なんで洗濯物抱えて宿から30分も歩かなアカンねん!!!」
しかも、前日洗う前提で服を使い切っていたため、着ている服もすでにギリギリのライン。
到着した。
到着したランドリーでは慎重に操作。
もう失敗はできない。
でもやっぱり戸惑う。
「どのボタン!?これ?あれ?変な音が鳴っている!!うわ、水出てきたぁぁぁぁぁ(洗濯物まだ入れてないのに)」
とにもかくにも、洗濯は開始された。
洗濯&乾燥の30分間、室内でじっと待っていたら、地元のおばさんにジロジロ見られる。
筆者のことを下着ドロボーだと思ったのだろうか。
だが、一言言わせて欲しい。
ブロンド美女ならともかく、お前のなんか誰が盗るねん!!!!
洗濯終了後、隣のケバブ屋で即昼食。
そして、やっぱりケバブは神だった。
洗濯地獄のあとに食べるケバブは、もはや神の救済。
旅って、こういう無駄が最高に思い出になるよね。
音楽の都ウィーンへ
ザルツブルクの静けさと白鳥たちに別れを告げ、
次なる目的地は…
音楽の都ウィーン
移動時間は電車で約3時間。
特に見どころもない車窓をボーッと眺めながら、心の中はコンサートへの期待でいっぱい。
「ウィーンではクラシックコンサートが待っている!」
「前回ミラベル宮殿でのコンサートはフォーマル過ぎて完全に浮いてたけど…今回はリベンジだ!」
果たして今回のドレスコードは!?
ビビらずにちゃんと楽しめるのか!?
次回をお楽しみに。
本記事は、2017年に行ったヨーロッパ一人旅の記録を振り返るものであり、オーストリアの首都ウィーンでの滞在を中心に、当時の思い出をゆるりと綴っていく。旅の期間は2017年初頭、およそ1か月。東欧・バルト三国・アイスランドなど[…]