本記事は、2017年に行ったヨーロッパ一人旅の記録を振り返るものであり、フランスの首都パリでの滞在を中心に、当時の思い出をゆるりと綴っていく。
ディズニー映画の「ラプンツェル」のモデルとなったモンサンミッシェル、次はもっと美しい写真を撮ろうと誓った瞬間である。
旅の期間は2017年初頭、およそ1か月。
東欧・バルト三国・アイスランドなど、これまで訪れたことのなかった国々を巡る冒険だった。
今回の旅には、
- 旅仲間(以下「エリ」)との同行
- 初めてのレンタカー運転
- 人生初のテント泊
という3つの大きな挑戦があり、まさに忘れがたい出来事の連続であった。
本記事では、その旅の始まりから順に振り返っていきたい。
- 1 パリとモンサンミッシェルを駆け抜けた話
- 2 シャルル・ド・ゴール空港からパリ市内へ(RER B線)
- 3 chartierという超人気レストラン
- 4 ケバブも美味しいよ♡
- 5 凱旋門は登れる(※ただし階段)
- 6 エッフェル塔へ
- 7 宿に到着
- 8 さて翌朝、洗濯という一大儀式へ
- 9 待ち合わせの約束、は・・・?
- 10 絶望の果てに…
- 11 モンサンミッシェルへ
- 12 ヨーロッパのバレンタインは日本と違う!?
- 13 フランスの法定速度が神
- 14 モンサンミッシェルの夜景
- 15 モンサンミッシェルのふわふわオムレツ
- 16 ベネルクス三国へ ~希望と若干の疲労を乗せて~
- 17 ユーレイルパスを日本から送ってもらった
- 18 ベルギーの首都ブリュッセルへ
パリとモンサンミッシェルを駆け抜けた話
過酷を極めたアイスランドの4日間。
風と氷に揉まれ、心まで霜焼けになりかけた筆者は、ついに北欧を脱出。
ノルウェーの首都オスロ、そしてデンマークの首都コペンハーゲンというヨーロッパのお洒落中枢を経由し――
ついにたどり着いたのがここ、華の都パリである。
ああ、もうお洒落の最終地点。鼻血が出そうである。
ここから筆者は、パリとモンサンミッシェルという2大観光地を一気に駆け抜ける。
時に迷子になり、時にパンをかじりながら、時に「え、そこ右だったの?」と突っ込まれながら――
スピード感とアドリブで走り抜ける怒涛のフランス編である。
先に断っておくが、今回はあっという間に終わる。
なぜなら筆者自身が「なんかレンタカー旅書くこと無さすぎるな…」と思っているからである(←本音)。
というわけで、華やかでカオスなフランス編、サクッと、だが濃密に、お届けする。
ボンジュール、そしてご武運を。
シャルル・ド・ゴール空港からパリ市内へ(RER B線)
ようやく着いた。
夢にまで見たパリ――だが、着いたのは夕方過ぎである。
街並みを楽しむ暇もなく、まずやるべきことは一刻も早く市内へ移動することである。
空港からパリ市内までは、意外と財布に厳しい。
筆者のように「オシャレはしたいが節約もしたい」という煩悩まみれの旅人には、移動手段の選定が運命を分けるのだ。
案内所のお姉さんに勧められたのは、「RER B線」という電車。
やや面倒だが、比較的安いとのこと。
ちなみに最安は"Easy Bus"である。
なんと2ユーロという破格。
しかし「安い・遅い・治安がやばい」の三拍子そろった乗り物らしく、旅慣れた人でも警戒対象とのこと。
筆者「それ、当時知ってたら普通に使ってたと思う(震え声)」
さて筆者はというと、結局RER B線を利用。
さらに賢く節約するため、「カルトドット(回数券)」を購入。
11枚つづりで、市内バス・メトロ・RERなどにバラで使える便利なやつである。
だが、ネット上に詳しい情報があまり出てこない。
※追記(2020年7月現在)
Googleで「カルトドット パリ」と調べても検索結果に出ないので、一応わかる範囲で説明しよう。
カルトドットとは「回数券」のことで、例えば「空港から市内 カルトドット3枚」「市内間バス カルトドット1枚」「市内間地下鉄 カルトドット1枚」という風に、11枚の回数券を利用する交通機関ごとにバラで使っていく。
重要なのが、RER B線は「快速」に乗ること。
間違って各駅停車に乗ると、「治安がノーガード戦法の駅」にもれなく停車するという罠が待っている。
ということで、無事にパリ北駅に到着。
さあ、次はメトロに乗り換えて、光と芸術の街パリを堪能する準備だ!
(財布の紐は引き締めたままで)
chartierという超人気レストラン
ついに到着した。
Chartier(シャルティエ)の最寄り駅である。
テンションはすでにエッフェル塔のてっぺん並みである。
説明しよう!
Chartier(シャルティエ)とは——
外食=高級というイメージが支配するこのパリにおいて、
「良心価格で王道フレンチが食べられる」奇跡のような食堂である。
1896年創業、レトロで風情ある内装、地元民から観光客までに愛され続けるフランスの胃袋代表。
しかも料理はシンプル、かつ、旨い。
そう、それはまさに――
筆者「王道のフレン…」
「えっ、人気店とはいえこんな行列できるの!?」
※注意事項(というより警告)
昼過ぎ(12:30以降)に行ってはいけない。
なぜなら、もはや戦場と化しているからだ。
筆者が「お、行列あるな。どこの店だ?」と思って近づいたら、全部シャルティエの列だった。
しかも、店の外に列、玄関から中にも列、列、列…。
思わず口がぽかーんである。
「ここ、ディズニーランドのアトラクションだったっけ?」と一瞬現実を疑ったほど。
[教訓] 絶対に予約してから行くこと。
フラッと入ってフレンチを優雅に楽しむつもりが、3時間の立ちんぼ修行になる可能性大である。
レトロな雰囲気と美味しい料理は確かに素晴らしい。
だが、並びすぎて料理の味を忘れる前に、スマートに予約しておこう。
A bouillon in Paris? So come to Bouillon Chartier, Bouillons…
ケバブも美味しいよ♡
Chartierの大行列を見て心が折れた筆者は、潔く予定を変更。
そのまま近くのケバブ屋さんへと急ハンドルを切ったのである。
「王道フレンチレストラン」→「ケバブ屋」という、まるでF1のシケインのようなカーブだったが、結果的には大正解だった。
筆者「フレンチでもケバブでも、美味けりゃ全部OKってことで!」
ケバブをひと口、そしてまたひと口。
…うまい。
あまりの美味しさに、気付けば2個注文していた。
お値段はたぶん15ユーロくらい。
お腹も財布も、まあまあ満足である。
余談だが、ドネルケバブの発祥はトルコではない。
詳しくはこちらで。
ドネルケバブの発祥はトルコではなくベルリンだった!!筆者は大学時代、カヌー部に所属していた。この部活、なぜか個性の大洪水のようなメンバーが揃っており、毎回飲み会の度になにかしらの事件が起きていたのだが、その中でもとびきり[…]
凱旋門は登れる(※ただし階段)
2年前にも訪れたが、やはり凱旋門は見逃せない。
再び向かうことにした。
ちなみに、ルーブル美術館から凱旋門へ行くならシャンゼリゼ通りをひたすら真っすぐ歩けばたどり着ける。
迷う余地すらない一本道である。
このあたりの一本道っぷりは、人生にもあってほしいものだ。
シャルルドゴールエトワール駅到着
そしてもう一つ、声を大にして言いたい。
凱旋門はてっぺんまで上ることができる。
あのドッシリと構えた威厳たっぷりの門の、てっぺんまで。
ただし、ロープウェイやエレベーターなどという文明の利器は登場しない。
階段である。
さて、入口だが…これが実にわかりにくい。
よく地下鉄の入り口と間違えるほどで、「ここから登ってくれたまえ」と門がしゃべってくれないかと願ったくらいである。
正解は、オッシュ通りとワグラム通りの間にある広場の地下。
そこに地味に存在する階段を下ると、チケット売り場が現れる。
料金は13ユーロ。
チケット購入後はセキュリティチェックを受け、いよいよ門の足元へ。
そして、いざ…!
ぐるぐる階段チャレンジ!
エレベーターなし、ただただ己の脚力を信じて登るのだ。
足がプルプルしてきた頃、視界がパッと開ける。
そこに広がるのは、まさに絶景。
真正面にシャンゼリゼ通り、そして少し右にエッフェル塔。
高いところが苦手な人も、これは登る価値があると断言できる。
現地でのチケット購入でもOKだが、事前に時間予約だけはしておくのがベスト。
料金はかからず、ただ時間枠を押さえるだけ。
予約してから行かないと、大渋滞に巻き込まれる可能性がある。
つまり、凱旋門に入る前から凱旋できない人になりかねない。
エッフェル塔へ
凱旋門をあとにし、次なる目的地はもちろん——
エッフェル塔である。
パリに来てエッフェル塔を見ずに帰るなど、まるでラーメン屋に行って水しか飲まずに帰るようなもの。
許されない所業である。
なお、凱旋門からエッフェル塔まではのんびり歩いて20〜30分程度。
これがちょうどよい距離感であり、パリの街並みを眺めながらの散歩にうってつけだ。
途中、カフェのテラス席にいるパリジャンの横を通るたびに、なぜか自分が映画の主人公になったような気がしてくるから不思議である。
2年前にはエッフェル塔に登った筆者であるが、今回は時間が遅すぎた。
まさかの到着時刻=営業終了という観光あるあるに見事ハマってしまった。
塔よ、なぜ君は閉まってしまうのだ…
なお、エッフェル塔は18時以降からライトアップが始まる。
それはもう、「はいこれぞパリ!」といった感じの風景が広がる。
イルミネーション前の静かなエッフェル塔がこちら。
筆者「光らないエッフェル塔もまた良きである」
宿に到着
宿に着くなり、あまりの疲労に即就寝。
毎度のことながら、なぜか「若者」という属性が理由か、4階か5階の部屋ばかりに案内される筆者である。
エレベーター? そんな文明はなかった。
パリの建物において、若さとはエレベーター不要の印である。
今回泊まった宿はこちら。
さて翌朝、洗濯という一大儀式へ
人類の文明の証、それが「洗濯」である。
というわけで、ヨーロッパに来てから3週間分の汚れた歴史を清算すべく、近所のコインランドリーへと出発した。
目的はただ一つ。服を清めること。
が、しかし。
店内の表記はすべてフランス語。
「Lavage」「Essorage」「Sécher」
何を言っているのかさっぱりわからん。
筆者「ぼ…ぼんじゅーる……(語彙力:0)」
冬のヨーロッパは確かにあまり汗をかかない。
だが、洗ってない服は洗ってない服である。
この3週間、筆者の服は空気と気合だけで清潔を保ってきたのだ。
そろそろ限界である。
粉末洗剤持参の女子(笑)
ん、洗濯で一つ思い出したことがある。
今回一緒に旅をすることになった友人エリが、チェコの首都プラハで筆者にこんなことを言ってきた。
エリ「わたしの荷物けっこう重いんですよ。マジ大変です。」
筆者「へー、なに入ってんの?」
エリ「生活必需品だけですよ~。衣類でしょ、衛生用品でしょ、充電器に、パスポートに…」
筆者「え、これは?」
エリ「え、粉末洗剤ですよ?1kgあります(笑)」
筆者「・・・。(これはいらんやろ)」
エリ「え、持って行った方がいいって書いてたんですけど…」
筆者「・・・。(どのウェブサイト見たんや…)」
これぞ本気の旅装備。
誰がなんと言おうと、粉末洗剤1kgは最強に無駄な装備である。
パリ洗濯機ミッション 〜救世主はフランスのおばちゃん〜
洗濯機の前で立ち尽くすこと数分。
使い方がまるで分からず、完全にお手上げ状態だった。
洗濯機はまるで近未来型コックピットのようにボタンだらけで、説明文はすべてフランス語という暗号で書かれている。
「もはや祈るしかない」
そう思い始めたそのとき、運命の女神が現れた。
大量の洗濯物を両手に抱えた、小太りのおばちゃんである。
筆者「もろた!!!(確信)」
この人についていけば、きっと洗濯の神髄に辿り着ける——!
そう信じて、筆者は果敢に声をかけた。
英語で。
筆者
「Hello! Can you help me with the washing and drying? I don’t know how to use this machine!!」
…しかし。
彼女は英語が通じないという鉄壁のガードを誇っていた。
意思疎通バトル in Paris
それでも諦めきれない筆者は、持てる語彙を総動員して訴えかける。
「ボンジュール…センタク…ランドリー…マイクローツ…クサイ…タスケテ…ツカイカタ…ハウトゥー…アイドンノウ…!!!」
この奇跡的な言語のミックスアピールが通じたのか、おばちゃんは無言で筆者の洗濯物を受け取った。
そして…
無表情のまま、「バサバサッ!」と荒々しく洗濯物を洗濯機に投入。
まるで職人のように手早く、ボタンをピピピッと押し、最後にコイン投入口を指差し、こう言い放った。
"Ça commence quand tu mets de l’argent."
意味不明。
しかも表情はまるで能面。
そこに感情は一切なく、慈悲も笑顔もなかった。
しかし、筆者は感じた。
この人は、無愛想に見えて、根はめちゃくちゃ優しい人だと。
筆者「意味はまるで分からないが…信じるしかない」
筆者は、彼女の操作した洗濯機に運命のすべてを託した。
そして機械はウィーンという音とともに、静かに動き出した。
1時間の待ち時間 → パン屋へ
洗濯機、起動。
MISSION COMPLETE。
洗濯機の表示を確認すると、洗濯+乾燥で約1時間。
この時間を有効活用するため、近くのパン屋で朝食を調達。
店先はどこを見ても絵になる。
何気ない街角の一枚ですら、映画のワンシーン。
Restaurant PAUL。
「Restaurant PAUL」などと堂々と掲げているが、実態はどう見てもパン屋である。
いや、美味しいから文句はない。
筆者「レストランって名乗ったもん勝ちなのか……?」
待ち合わせの約束、は・・・?
洗濯も終わり、ホステルに戻って荷物をパッキング。
これから再び、シャルル・ド・ゴール空港へ向かう。
なぜか?
モンサンミッシェルへ行くからだ。
レンタカーで。
CDG空港(シャルル・ド・ゴール)からモンサンミッシェルまでは、なんと約400km。
所要時間はおよそ4時間半。
日本なら東京から名古屋を超えて大阪に届く距離である。
海外での音信不通
……とここで、重要なことを思い出した。
筆者「……あれ? 待ち合わせって、今日やんな?」
そう、1週間前に別行動となった友人エリと、再び合流する日だった。
しかもその待ち合わせ場所と時間までちゃんと決まっていた。
ターミナル2F
8番出口に
お昼12時に集合
幸いなことに、こないだ買っておいたカルトドット(回数券)が数枚余っていた。
というわけで、今回はバスを使って空港へ向かう。
筆者は11時50分ごろ、待ち合わせ場所に颯爽と到着した。
パリのシャルルドゴール空港に到着
パリのシャルル・ド・ゴール空港はフリーWi-Fi完備。
これはもうLINEチェックタイムだ。
ここで驚愕の事実を知る。

まだ既読ついてへんやん!!
え?どーいうことだ?LINE送信から丸2日以上経過しているのに未読って、いったいどういうスキルや、エリちゃんよ…
約束の時間まであと10分、なのに未読のままって、逆に新しいレベルの放置プレイか?
え、これ…ヤバいんじゃないか?
まさに驚愕である。
あと10分で約束の時間なのに、エリのLINE画面にはまだ既読すら付いていないのだ。
ちなみに集合場所はSortie8(8番出口)。
Sortie8(8番出口)
ここで待つ筆者、心はもう最大限のソワソワと戦っている。
時は過ぎて、気づけばもう12時ジャスト。

えーっと、12時ぴったり、正午か。
だが既読はまだ付かない。
これは完全にイギリスでなにかあったな。
どうするよ、俺?
エリは当時まだピチピチの20歳。若さって怖い。
だからエリのご両親は「娘を危険に晒すわけにはいかない」と言い放ち、ヨーロッパ行きに猛反対していたのだ。
結局、筆者はエリのお母様とお会いし、
「ヨーロッパで頼れるのはRYOさんだけです。なにとぞ!!!うちの娘をお願いします!!!」
と、こんな無責任な筆者に全てを託したのだ。
筆者は当時、エリがどこに泊まっているのかも、誰といるのかもサッパリ知らない。
LINEが通じなければ、完全に音信不通。
こんな状況でできることと言えば、
という、完全にご両親を不安にさせるLINEを送るしかない。
(;゚д゚)ゴクリ…
絶望の果てに…
とりあえず、何度LINE電話をかけても全く繋がらない。
まるでブラックホールにでも吸い込まれているのかというレベルで既読も反応もゼロである。
しかしここでのんびり待っていても、エリから連絡がない限りどうせできることはない。
レンタカー貸出の時間も迫っている。
筆者は、完全にエリを置いていく決心をし、
もう約束の時間やし、おれはこれから移動するけど、明日の昼にパリに戻ってくるから――その時に会おう!
と、完全にエリを現地に置き去りにする覚悟を決め、空港からレンタカー屋へと向かおうとした――その、まさにその瞬間!
ピコピコッッ!とLINEの通知音が鳴った。
すかさずメッセージを確認すると、
(筆者の脳内の記憶=盛っている可能性もある)
と、まさかのパニックモードなLINEが返ってきたのである。
この時の筆者の心情を表すなら、まさにこれである。
良かった、無事で・・・ε-(´∀`*)ホッ
いや本当、未読無視っていう名のジェットコースターに乗せられてた気分である。
ついでに胃もシートベルトなしで振り回されていた。
無事で良かった、マジで。
モンサンミッシェルへ
とにかく、無事にエリと合流し、レンタカー屋に突撃。
無事、車をゲットすることに成功したのである。
ルートは、地図で見ると一番上を通るルート。
ザ・王道。
筆者「400kmを4時間半で…?
平均時速……
あ、これ言わんほうがええやつや(笑)」
※ちなみに後述するが、フランスの法定速度はガチで神である (゚Д゚;)
とりあえず腹が減っては旅はできぬ。
近くのスーパーマーケットに突入し、クロワッサン、牛乳、コーンフレークを戦利品として大量購入。
これにて準備完了、いざ、モンサンミッシェルへ突撃である!
しかも、左ハンドル・右手シフト。
つまり、日本のMT車とは操作が真逆。
日本の感覚でクラッチ踏んでギアをガチャガチャやろうものなら、手も脳も混乱すること請け合いである。
でないと、観光どころか発進すらできないという地獄が待っている。
ヨーロッパでレンタカーを選ぶ際の注意点はこちらで詳しく解説している。
はじめまして、RYOです。今回はヨーロッパでレンタカーを借りる方法、そして必ず知っておくべき注意点について詳しくまとめました。筆者は6年前(=2017年)にハンガリーで、フランスで、ドイツで、そしてアイスランドでレンタカーを[…]
ヨーロッパのバレンタインは日本と違う!?
本日、2月14日――つまり、バレンタインデーである。
いま思えば、この日はそういう日だった。
そう、「恋」とか「チョコ」とか「義理」とか「本命」とか、世の中がなんとなくそわそわするアレの日である。
エリからチョコのひとつでももらえるかと淡い期待を抱いていたところ、まさかのカウンターパンチが飛んできた。
エリ「ヨーロッパのバレンタインは、日本とは違うんですよ?」
……なんだと!?初耳学、ここに爆誕。
要するに、欧州バレンタインの風習は「女性がチョコを渡す日」ではなく、「男性が花束やプレゼントを贈る日」なのである。
これ、常識らしいが知らなかった。
詳細が気になる諸兄は、こちらを参考にされたし↓
ヨーロッパのバレンタインデーは男性から女性に花を渡す2月14日といえば?そう、バレンタインデーである。そう、「恋」とか「チョコ」とか「義理」とか「本命」とか、世の中がなんとなくそわそわするアレの日である。[…]
ついでにホワイトデーの豆知識はこちらに詰め込んでいる。
ホワイトデーの「ホワイト」はマシュマロが語源ホワイトデーの「ホワイト」は、実はマシュマロが語源である――という話、ご存知だろうか?日本では3月14日が「バレンタインデーのお返しの日」、つまりホワイトデーとして広く認識され[…]
確かによく考えたら、日本のバレンタイン&ホワイトデーの関係って、釣り合ってない。
チョコのお返しがマシュマロとかクッキーって、どこの経済効果ロジックだよと思うが、我々はそれに乗っかって生きてきたのである。
……というわけで、2月14日、ヨーロッパでは男子が頑張る日であった。
フランスの法定速度が神
Google Mapが導き出したルートは、400kmで所要時間4時間半。
最初は「え、そんなに飛ばしていいの…?」と疑った。
だが、その計算は伊達ではなかった。
なぜなら――
フランスの法定速度が、神だったからである。
以下をご覧いただきたい。
一般道(狭くて危険と思われる場所)70km/h
一般道(広くて危険が無いと思われる場所)90km/h
高速道路 130km/h
※特に危険な場所は標識にて速度制限
これを「神」と呼ばずして何と呼ぼうか。
特に感動したのは、一般道で90km/h出しても怒られないという点である。
日本なら完全に「免停一直線」のスピードが、フランスでは合法。
普通の道路が、気づけばちょっとしたサーキットと化す。
しかも、危険なカーブや工事区間は、しっかりと標識で制限が表示される。
つまり、「安全なところは飛ばしてよし、危険なところは気をつけてね♡」というドライバーへの絶大な信頼と責任感のセット販売なのだ。
……もう最高だった。
もう帰りたくなかった。
いや、日本に帰れない。ほんとに。
そして、日本の高速で80km/h制限に遭遇したとき、ふと涙がこぼれることになるだろう…。
モンサンミッシェルの夜景
大変申し訳ない。
ここから完全に手抜きモードに突入する。なぜなら――
写真が一枚も無い。
理由は明白だ。
運転していたからである。
よって、車窓からの風景も、美しい田園も、全カット。
心のシャッターだけがパシャパシャ言っていた。
ブーーーーーン……
ブーーーーーン……
(※本当にずっとこんな感じである)
およそ5時間後――
到着したのは、すでに夜の19時か20時頃。
そしてそこにそびえ立っていたのが、あの光り輝くモンサンミッシェルである。
その荘厳な姿を見て、「観光は興味ないっす」とふてくされていたエリもさすがにテンション爆上がり。
筆者の目にも明らかだった。
テンションの波形がグラフで表示できるレベルで上がっていた。
ディズニー映画「塔の上のラプンツェル」が好きという事もお互いの共通点である。
そこで筆者は、モンサンミッシェル到着寸前にテーマソング「I see the light」をかけるという演出を施した♡
筆者はこの映画観て泣きました
And at last I see the light, and it’s like the fog has lifted ~~♬
「輝いている、未来照らす光」
「世界がまるで昨日とは違う」
――そんな歌詞が車内に響き渡り、雰囲気は最高潮に達する。
そして筆者は思った。
これはもう…ラプンツェルごっこのラストシーンに突入するしかないのでは…?
そう、見つめ合うふたり。
背景には光り輝くモンサンミッシェル。
唇が近づき――
はい、現実は非ディズニー。
車を降りて、ただただ「うわーすごーい!」と言いながらスマホを構えるエリを横目に、
筆者は眠気とトイレ欲求に耐えながら、「ロマンとは、脳内で完成させるものだ」と学んだ夜であった。
モンサンミッシェルのふわふわオムレツ
車を駐車場に停めた後は、モンサンミッシェルの本体へと続くおよそ700mの橋を歩くことになる。
この橋の道中、筆者の口から繰り返し飛び出したのは、オムレツ讃歌であった。
「2年前に食べたあの“ふわふわオムレツ”、マジで人生変わる味やったからな。まじで別次元」
「モンサンミッシェル?夜景?違う違う。あのオムレツを食べに来たと言っても過言ではない」
「任せてくれ。俺が導こう、“ふわふわ”の向こう側へ」
と、己の記憶と味覚を全面的に信用し、テンションMAXで島内へ突入。
だが、事態は思わぬ方向へ進んだ。
名店「LA MERE POULARD(ラ・メール・プラール)」が閉まっていたのだ。
まさかの臨時休業 or 営業時間終了(詳細不明)。
まるで運命がふわふわオムレツを妨害しているかのようだ。
だが、ここで引き下がる筆者ではない。
急遽、島内の別のレストランを選び、そこでも「名物ふわふわオムレツ」の文字を発見。
よし、これでいける。
そして、ついに登場したその一皿。
久々のふんわりオムレツ!!!!
これが食べたくてモンサンミッシェルに来たと言っても過言ではない!!
筆者は迷わず、オムレツを一口サイズにカットし、エリに献上。
この瞬間を楽しみにしていた。
目を見開いて「なにこれ!ふわっふわ~~~♡」と言うエリの顔が、脳内シミュレーションで108回は再生されていた。
しかし――
エリ「え、これですか?ふわふわオムレツって……?」
筆者(心の声)
「……ん?今、なんと?
もう一回言ってもらっていいですか?(←動揺)」
そして自分でも食べてみて驚愕。
筆者「……全然ふわふわちゃうやんけ!!!!!!」
確かに多少の空気感はある。
だが、それは“ふわふわ”ではなく、“ややふわ”程度。
記憶の中のあのオムレツは、口に入れた瞬間に雲になって消えたはずなのに、今回のこれは……ただのちょっと気合いを入れた朝食だった。
2年前に食べたあの究極ふわふわオムレツはどこへ――。
筆者「すまんエリ……オムレツ詐欺をやらかしたようだ……」
2年前の回想
そう、あれは2年前のことだ。
筆者と親友の男二人旅でここ、ラ・メール・プラールを訪れた。
あまりのふわふわオムレツにほっぺがリアルに落ちてしまった。
美味しんぼの「至高のメニュー」の一品にも加えられるクオリティである。
ちなみに、その伝説のふわふわオムレツ、当時はあまりの衝撃に、お金の無かった親友をホテルに残して一人で翌日もう一度食べに行ったという前科がある。
皆にはぜひ本物のふわふわを食べてほしい。
全オムレツ信者に告ぐ。
モンサンミッシェルの駐車場でテント泊
食後、モンサンミッシェルを軽く徘徊する。
夜のモンサンミッシェルの島内はすっかり静まり返り、あとは駐車場へ戻るのみ。
今日一日たっぷり歩いた我々は、そのまま駐車場の空きスペースでテント泊を決行。
ちなみに――
筆者「この夜が、エリと同じテントで寝た初めての日である。」
オムレツには裏切られたが、夜空と静寂とちょっとドキドキした距離感だけは、嘘をつかなかった。
ベネルクス三国へ ~希望と若干の疲労を乗せて~
たった数時間のために、モンサンミッシェルへ片道5時間のドライブ。
しかも到着したら夜で、例のふわふわオムレツはふわふわしておらず、全体的に感動はふわっと終了。
筆者「…いや、ほんま何も残らんかった!!!!!!!!!!(涙)」
そして翌朝。
そのままモンサンミッシェルからパリに向けて運転再開。
とはいえ、ここはフランス。
日本とは標識も交通ルールも世界観が違う。
筆者「え、今の信号どこにあった??」「…あ、これ一方通行か」
と、小ミスのオンパレード。
しかも!
返却ギリギリにレンタカーを返しに向かう途中、やらかした。
なんと、知らぬ間に――
世界で最も恐れられる“円形交差点”、凱旋門ロータリーに突入。
まさにこれ。
筆者
「うっわ!なんやここ!? ヤバいヤバいヤバい!!!!!」
「おれらインドネシアにでも迷い込んだ!!!??」
「出られへん!出口どこ!? てか車線多すぎィ!!」
完全にパニくって、よくわからんマイナー通りを右折して逃げるという、一生モノのターンライトを決めた。
さて、気を取り直して――
いよいよ次の目的地へ。
そう、ベネルクス三国である。
「え?どこそれ?」
…って人のために解説しておこう。
ベ → ベルギー
ネ → オランダ(Netherlands)
ルクス → ルクセンブルク
この3国をセットで「ベネルクス」と呼ぶ。
小さな国が肩を組んで頑張ってる感じが、なんか良い。
ユーレイルパスを日本から送ってもらった
しかし、その前に。
筆者はどうしても立ち寄らねばならぬ場所があった。
そう――
昨日泊まっていたパリのホステル。
なぜかというと…
そこにとんでもなく大事なものを忘れていたからである。
実は、一週間ほど前のことだ。
(アイスランドにいた頃か)
「ベネルクス三国をお得に旅できる“ベネルクスパス”」という神アイテムを――
日本に置きっぱなしにしてきたことを思い出したのは。
これが無いと、電車もバスも普通に高い。
つまり、旅の計画がまるごと予算オーバーになりかねない。
筆者
「せっかく出発前に入手したのに……
なんで、よりによって一番必要なモノを忘れるんだ、俺……。」
というわけで、一週間ほど前に実家にLINEで国際救援要請を送った。
「おふくろ!!!!おれの部屋にベネルクスパスが置いてあると思うんだが、それを今すぐフランス・パリのホステルまで送ってくれ!!!!!!」
母の反応はごく普通だった。
母「え、フランスの宿に荷物送るとかムリムリムリムリ(ヾノ・∀・`)」
うん、そりゃそうである。
海外どころか、日本国内の宿にも荷物を送るのをためらうレベルなのに、「パリの安宿」に特急で国際便を送るって、普通に考えてチャレンジングすぎる。
だが、我が両親。
息子のために本気を出した。
しっかりと郵便局の追跡番号付きで、パスを発送してくれたのである。
そして筆者がパリに到着し、実際にホステルで届いた荷物を受け取ろうとしたら――
スタッフ「え、そんなもの届いてないよ?」
筆者「まじかよ…!」
しかし追跡情報では"Delivered(配達済み)"と出ている。
これはもう、スタッフの記憶か対応力が怪しいと判断し、モンサンミッシェル遠征から帰還後に再突入することを決意したのだ。
そして今――
パス、ホステルにちゃんと届いていた。
筆者「ふう……(-.-) マジで心臓に悪い。」
このあたりのドタバタをエリに詳しく説明する時間も無かったので(往復10時間のドライブがあったのにww)、
「ベルギー行きのバスの時間と場所だけ教えるから、一旦別行動しよう」とだけ言って離脱。
エリはこの事実を、この記事を読んで初めて知ることになる。
ベルギーの首都ブリュッセルへ
さて、無事にパスをゲットした筆者は、約束の集合時間の前に軽く腹ごしらえ。
そう、ケバブである。
筆者「ケバブめっちゃうめー。ほんっとにおススメだわこれ」
※なお、ヨーロッパ旅行でのケバブ依存度は全体の栄養摂取の7割以上を占めていた可能性がある。
そして、ベルギー行きのバス乗り場で無事にエリと合流。
予約していたOUiバスに乗って、いよいよベルギーの首都ブリュッセルへ向かう。
この日の夜、本来は公園でのテント泊を予定していたが、疲労が限界だった。
気づけば、なんと――
世界遺産にもなっている「グランプラス」のど真ん中でテント泊をしていた。
なにしんての、おれ。
本記事は、2017年に行ったヨーロッパ一人旅の記録を振り返るものであり、ベルギーの首都ブリュッセルでの滞在を中心に、当時の思い出をゆるりと綴っていく。さすが小便小僧の生みの街、至る所に卑猥な少年がいる。旅の期間は2017[…]