【ヨーロッパ旅行記】ラトビアの首都リガ旅行記【5/24】

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本記事は、2017年に行ったヨーロッパ一人旅の記録を振り返るものであり、ラトビアの首都リガでの滞在を中心に、当時の思い出をゆるりと綴っていく。

ラトビア リガ
初めてヨーロッパを独り旅した3年前の2014年に出会ったラトビア人のマリス、今回はこいつにトンデモナイ目に遭わされた。

旅の期間は2017年初頭、およそ1か月。

東欧・バルト三国・アイスランドなど、これまで訪れたことのなかった国々を巡る冒険だった。

今回の旅には、

  1. 旅仲間(以下「エリ」)との同行
  2. 初めてのレンタカー運転
  3. 人生初のテント泊

という3つの大きな挑戦があり、まさに忘れがたい出来事の連続であった。

本記事では、その旅の始まりから順に振り返っていきたい。

各国1日ずつのバルト三国旅 ~ラトビア~

さて、ついにこの地までやって来た。

ラトビアである。

バルト三国とは何ぞや

バルト三国とは、バルト海のほとりにちょこんと並んだ三兄弟──リトアニア、ラトビア、エストニア──のことを指す。

チェコ プラハ ブログ

中世の頃から、ドイツ騎士団、ポーランド、スウェーデン、そしておなじみソ連などに代わる代わる支配されてきたという、なかなかの苦労人たちである。

それでも彼らはめげなかった。

第一次世界大戦後の1918年に、見事に独立を果たす。おめでとう!

……が、しかし。

1940年、「あっち入っといて」とばかりにソ連に組み込まれ、第二次世界大戦後には十数万人がシベリア送り(=氷点下の絶望)というハードモード突入。

だが時は流れ、1980年代後半。

ゴルバチョフ書記長の「ペレストロイカ(立て直し)」の風が吹き、再び独立運動が活発化。そして1991年8月、ついに再独立を成し遂げたのだ。

おかえり、ラトビア。

翌月にはソ連も独立を承認。

つまりバルト三国は、ソ連が「うん」と言った最後の彼女というわけだ。

今ではEUにもちゃっかり加入し、首都リガを筆頭に「世界一美しい街並み」とも称されるバルト三国。

小国ながら、実に味わい深い。

男女比が世界一アンバランスな国、ラトビア

ところで、である。

ラトビアと聞いて、あなたは何を想像するだろうか?

筆者は、あるひと言を友人マリスから聞いて以来、もうそれしか思い浮かばなくなった。

その言葉がこちらである。

「ラトビアは世界一美人が多くて、しかも親日。しかもだ、男性に対する女性の比率が世界一高い。お前みたいな東洋人が行けばモテモテ。間違いなく誰かと結婚できるから、絶対に来い。」

この言葉が妙に説得力を持って耳に残っていたのは、彼が(旧西ドイツの首都)ボンのユースホステルで筆者に堂々と語っていたからだ。

その時の彼の表情は、嘘をつく男の顔ではなかった。


実際に調べてみると、確かにラトビアの男女比は世界でも屈指の差がある。

男性に対して女性の数が圧倒的に多い。

つまり、女性たちは日常的に熾烈な競争を強いられているのだ。

しかも、ラトビア女性は総じて美人である。

筆者が世界一美しい女性と信じてやまない、ロシア人モデルのナスティア・クサキナちゃん(Nastya Kusakina)

nastya-kusakina (1)

このレベルの美人が、しかも向こうから声をかけてくれるなんて…

ラトビア、なんて国なんだ。(妄想)

ラトビア人の多くはブロンド、スタイル抜群、高身長、そして美人。

加えて親日家が多いとくれば、モテ要素のオーケストラである。

世界雑学ノート

ラトビア美人女性を12名ピックアップして画像と一緒に紹介していきます。また、ラトビア女性にまつわる信じられない話にも触れ…

Jason Shin Blog

ヨーロッパをバックパックしていた時に友達になったラトビア人が日本へ遊びに来てくれました。ラトビアは女性の割合が世界で最も…

これはマリスが誇張して言っているわけではなかった。

事実、カメラマンの八木虎造氏もラジオでこう語っていた。

「リトアニアにいた時、ブロンド美女が向こうからどんどん声をかけてくる。正直、ウハウハだった。チョメチョメに関しても…(以下省略)」

リトアニアでその調子なら、お隣のラトビアではどうなってしまうのか――。

幻の祭り「Go Blonde Festival」

そして極めつけは、ラトビアの首都リガでかつて開催されていた「Go Blonde Festival」である。

なんとこれは、“ブロンド女性のみ”が参加可能な祭りで、見学だけなら無料だったらしい。

だが、現在は中止されているとのこと……。

うほっ

うほほーー

むふふふふふ

だっひゃあああああ

こんな我々にとって得しかない祭りが世界のどこにあるだろうか?いや、無い!

なぜ中止されたのか?
それだけが今もって、解せぬ。

ラトビア――それは旅人にとって夢と現実が入り交じる国である。

リガ到着

チェコの首都プラハからリトアニアの首都ビリニュスまではバスで約20時間だったが、ビリニュスからラトビアの首都リガまでは、バスでだいたい3時間半ほど。

実際に乗ってみると、「え、もう着いたの?」という感じであっさり到着してしまった。

直行便は快適で早い。

バスターミナル到着、マリスと再会……のはずが?

到着は2017年2月4日(土)、予定より少し早めの15時ごろ。

予定では15時45分着予定だったので、マリスとの集合時間もそれくらいに設定していた。

つまり45分の待ち時間があった。

まあ、その程度ならカフェでも探せば良い。

旅人にとって45分は誤差である。

……のはずだった。

それが、まさかの地獄の始まりだったとも知らずに。

信じられない話だが、この後結局4時間待たされて、挙句この日は会えなかった。

待合室で、友人のエリと一緒に座って雑談していた。

交代で外をぶらぶらしたり、荷物番をしたりと、防犯意識も高めである。

「おれ、やはり旅慣れてるな」と自画自賛していた頃、マリスから1通のメッセージが届く。

Freand I have some problems at work.

A coud see you just in 2h

誤字だらけだが意図は伝わる。

(※補足:Freand→Friend、A→I、coud→could)

つまり仕事で手間取っててあと2時間かかる、とのこと。

つまりこういうことだ。

仕事でちょっとトラブってて、あと2時間くらいかかる。17:30集合で!

・・・。

「あのな、45分待つつもりが、いきなり2時間半待ちに延長ってどういうことや。」

「いや、別にええねん。久々の再会やし、仕事なんやろ?しゃーない。」

【悲報】マリス、現れず。

マリスから、

「ごめんフレンド、あと2時間遅れるよ〜(スペル間違い満載)」

という泣きのメッセージが来たのが、午後3時15分。

その時筆者とエリはバスターミナルの待合室で、金属製のカチコチのベンチにしなびた人参みたいになって座っていた。

で、エリに伝えたところ――

筆者「集合時間2時間半後やって。」

エリ「・・・じゃあ向こうにあった市場でも行きましょうか。」

筆者(内心)
「えっ!もしかして!ちょっとキレてます???」

いや、わかる。

会ったこともない外国人のために、寒空の下2時間半待たされる旅って、なかなかない。

しかもこの日はマリスの家に泊まる予定だったので、宿はもちろん予約していない。

つまり!

マリスが来なかったら、我々はそのままリガで野宿である。

とりあえず市場へ

とりあえず時間も潰さんといかんので、バスターミナルから川を渡ってすぐのところにある「リガ中央市場」へ向かうことに。

ラトビア リガ

写真で見ると超レトロでいい感じの巨大倉庫群。

左側がマーケット、右側がバスターミナル。

まさにお隣さんの距離である。


(出典:The Best Things to Buy at Riga’s Central Market

まずは屋外のマーケットを物色してみる。

ラトビア リガ

その後中に入ってみた。

魚コーナーに近付いた瞬間、ぐおぉぉぉぉぉぉ(魚臭)!!!

筆者「嗅覚がしぬぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

筆者は魚介類が大の大の大の苦手!!!

「寿司でギリ食べれるのはマグロとサーモンだけ。それ以外?無理無理。ナマコとか見たら昇天する。」

干物とか、謎の魚の丸焼きとか、見たことない貝とか、

「これ何の生物やねん」ってやつらが容赦なく並んでくる。

でも、ここで出るわけにもいかない。

なぜならエリは魚大好き民で(←知らんけど)、市場を満喫していたからだ。

バルト三国はバルト海に面しているので魚介類がよく獲れるよう。

そんな感じで、お土産屋を冷やかしたり、エリに付き合って「これ美味しそうじゃない?」って言われたものに笑顔で「ほんまやな」と答えながら、心では絶叫しつつ魚から逃げ回るという謎プレイを続けていた。

怒涛の4時間待ち

気付けば、時刻は17時30分。

さて、再びバスターミナルへ。

そう、ついにマリスとの再会時間である。

「ついに来るか、マリス!3年ぶりの再会やで!」

・・・と思った筆者。

しかし!!!

誰も来ん。

しかも、駅前はバスの排ガスとよくわからん臭いで空気が重い。

ここで2時間半近く待ってんの、普通に健康に悪い。

約束の17時30分から30分待っても現れないので一度18時にメッセージしてみた。

筆者「そっち大丈夫?」
(心の声:さすがにもう来るやろ)

返事なし。15分後、再びメッセージしてみた。

筆者「ずっと待ってるからね~、心配しないでね」
(心の声:優しすぎるやろ、俺。仏かな?)

もうかれこれ、リガ到着してから、えーっと、 もう3時間15分待ってるのだが!?

そして更に30分後

18:45 もう我慢の限界。

おれ「おい、大丈夫か?」
(心の声:もはやこれは“怒りを抑えた大人の確認”)

ようやく返事が来たが・・・

その3分後、18時48分についにマリスから返信がきた!!!

マリス「No, have big problems at work」

筆者「・・・いや、そういうの先に言えや!!!」

ってか、最初のメッセージから4時間、なにしてんねんほんま。

こっちは人類史上最も意味のない4時間を過ごしてるんやぞ!

筆者、怒りながらも「What’s wrong??」(なにがあったん?)と、大人な対応。

マリス「Can’t write now」

筆者(うおおおおおおおおおおい!!!!)

おまえさっきからうだうだと言ってるけどさ、わざわざラトビアを訪れた日本人のゲストをこんなクソしょーもない場所で4時間も待たせるってどんな神経してんねん。

無理かもとわかった時点で「ごめん、今日は会うの難しいかも!悪いけど宿探してくれる?明日会おう」くらい言うのが礼儀ってもんやろ。

ハッキリ言って、おまえは常識がなさすぎる!!!

Eの怒り、頂点へ

かれこれ、約4時間待たされている我ら。


時の経過と怒りの蓄積

完全に激おこプンプンなエリちゃん。

ちなみに筆者も死ぬほどキレそうになっていた。

筆者「オーケー、じゃあどうすればいい?仕事でトラブってんだろ?会うのは明日にしようか?」

(おれ優しい)

マリス「Yes」

この時、筆者は一つの学びを得た。

絶対に謝らない人間

日本語 日本人

まぁ、なんだかんだ言って——

最終的に4時間待って会えなかった(;ω;)

いや、わかるんすよ?
仕事って、予測不能なことも起こるし、遅れるとか、キャンセルになることもある。

でもな?

でもやな?

4時間も待たせるんやったら、もっと早よ言え。

  1. 「ごめん、仕事がトラブってて……ほんと申し訳ないけど、今日は会えそうにない」
  2. 「どこか宿取ってくれる?ほんまごめん!」

とか何かフォローできたはずである。

一言あれば、こっちも動きようあるわけっすわ。

それがなーーーんも無し。

しかも!

最後まで一度も謝らない。

え、ちょ、なにそのメンタル???
どこで売ってるん???

それはラトビア人の国民性か?
それともてめぇの人間性か?

横にいるエリの顔色もどんどん変わっていった。

完全に無言の怒り。

あのときの空気は、完全に「え?これ、マリス来たとしても殴られるんちゃう?」レベルであった。

このとき筆者は痛感した。

時間にルーズな人間とは一生関わりたくない、と。

いやほんまに。

「相手の時間を奪ってる」って感覚が無いやつ、しんどすぎる。

京都にもいた、マリス級のやばい奴

実はね、京都に住む筆者の友人にも似たタイプがおるんすわ。

待ち合わせに連絡も無しで平気で30分とか遅刻するやつが。

筆者「遅れた理由なんなん?」

そしたら笑顔で

「え?トイレ掃除してた(^ω^)」

・・・。

筆者、その日を境にそいつとは距離を置くことにした。

HOSTEL MARIJA

我々は4時間バスターミナルで待ちぼうけを食らった。

気温は低く、気持ちはもっと冷え込んだ。

しかも、ここで新たな問題が発覚する。

そう、「宿を予約していない」のである。

ウッズショック 迷子

本来はマリスの家に泊まる予定であったため、当然ながらホテルの予約などしていなかった。

これがまさか、リガ初日最大の落とし穴になろうとは。

しかし、長年の旅経験は伊達ではない。

落ち着いてスマホを開き、手慣れた指捌きでリガ中心部の安宿情報をスルスルと検索。

ものの数分で最適解が導き出された。

その名も「ホステル・マリヤ」

予約完了。

場所もバスターミナルから徒歩10分程度。

しかもレビューは上々、料金も手頃である。

天は我らを見放さなかった。


ホステルの道中、青信号を待つエリ

筆者とエリは、荷物を担いで街中を歩き、

一つのトンネルをくぐると、そこに現れたのが「ホステル・マリヤ」である。

予想外にアタリの宿

受付は感じの良い夫婦が営んでおり、部屋とキッチンは清潔そのもの。

Booking.com

ラトビア、リガのホテルをオンライン予約で大幅割引。お得な宿泊料金のお部屋を豊富にご用意。実際の宿泊客の評価を参考に一番お…

ここまで来てホッと一息つける空間に巡り会えたのは、もはや奇跡と呼ぶべきか。

ただし、シャワー室とトイレは——うむ、これについては多くを語るまい。

“清潔の定義”というのは文化ごとに違うのだ。

問題は宿そのものではなかった


ホテルの部屋からの眺め

ここで最大の展開が待ち受けていた。

この夜、急遽予約した宿だったため、まさかの事態が起きた。

筆者とエリ、この旅の中で唯一、なんと二人きりで同室となってしまったのである。

しかもこのエリという女性、
二十歳になりたて、誰もが認める美人で元気で明るい旅のパートナーである。

筆者、静かに心の中で狼狽する。

「え……え? ちょ……マジで? 二人部屋? エリと???」

運命のイタズラか。

まあ、この宿を予約したのは筆者自身なのだが。

荷物を置き、ベッドに腰かけながら、意味のない胸の高鳴りに耳をすませてみた。

この歳にもなって、何を動揺しているのか。

己の器の小ささに苦笑いしつつ、ひとまず静かに横になる。

今思えば、前年にもオーストリアのハルシュタットという町で、緑色の瞳を持つ同い年のスロベニア人女性Ninaと同じベッドで就寝するというハッピーアクシデントがあった。

スロヴェニア 旅 旅行

あれ以来か、おれはなかなか強運の持ち主のようだ。

詳しいエピソードはこちらで。

エリと同室するうえで唯一、どうしても気になることがあった。

イビキである。

筆者は日常的にお酒も飲まないし、別に肥満体形でもないのでそんなにイビキをかくタイプではないが、それでも不安になる。

あの重低音が万が一、エリの眠りを妨げていたとしたら。

北欧での買い物はRIMIにお任せ

スーパーマーケットの「Rimi(リミ)」をご存じだろうか。

北欧の街角を歩けば、赤いロゴが目に飛び込んでくる。

それがこの旅の間、我々の胃袋を支えてくれた庶民派スーパー「Rimi」である。

物価が高い北欧において、このRimiの存在はもはやライフラインに等しい。

意外と安く、そして夜遅くまで開いているのだ。

ありがたや、ありがたや。

ヨーロッパに染まった食生活

旅中、筆者が食べていたもの——

クロワッサン、あるいはドーナツ。

朝も昼も夜も、パンパンパンの毎日である。

「さすがに野菜を摂らねば……」

などと考えたのは、Rimiの野菜売り場を通り過ぎた後だった。

日本食もあるにはあるが…

旅先でふと懐かしくなるのが、そう、「白いごはん」である。

Rimiには日本食も置いてあった。

その価格がこちら。

米(500g):3.4ユーロ(約440円)

そば(300g):1.99ユーロ(約260円)

高いのか安いのか、よく分からないが、「手に入るだけありがたい」という気持ちが勝つ。

これはもう旅人あるあるである。

自炊設備もバッチリだった件

今回泊まった宿は、キッチン設備も整っていた。

調味料、フライパン、食器、電熱ヒーター。

すべてが揃っており、あとは食材を買ってくるだけ。

唯一、水道水だけは信用できなかったので、ミネラルウォーターは購入した。


プロ感だけはあるが、味は本人しか知らない

そんなわけで、筆者が腕によりをかけて作った謎のプロっぽいパスタがこちらである。

そして例の男から連絡が来た

夜、スマホが震えた。

画面には「Maris」の文字。

マリス「明日9:30に会おうな」

……

「いやいや、その前に “ごめん” やろがあぁぁぁい!!!!」

謝罪の“し”の字もない。

もはや清々しいほどである。

それでも再会の予定は立った。

果たしてマリスは今度こそ現れるのか?


リガ初日はこうして幕を閉じた。

マリスには会えず、宿は急遽手配、

そして20歳の女性と同室というオマケ付き。

果たして翌日、マリスと再会なるのか。

そして筆者のイビキは本当に無害だったのか。

すべては次回へと持ち越された——。

マリスと3年ぶりの再会(ついに来たぞ)

2017年2月5日(日)、午前9時30分。

約束の時間ちょうどに、モール前で待っていた筆者とエリ。

昨日の件もあり、半信半疑で立っていたその時——

現れた。

マリスである。

思えば3年ぶりの再会。

ドイツ・ボンのユースホステルで初めて出会い、互いの言語を茶化しながら語ったあの夜が懐かしい。

だが感動のハグも、熱い抱擁も、再会の涙も……写真も無い。

何もない。

あるのは気まずさと、ほんの少しの安堵である。

正直な話、4時間待たされた挙句に謝罪も一切なかったことで筆者の心は完全に冷めきっていた。

マリスガイドツアー in リガ

※ヨーロッパを周る時は事前に必ず西洋建築の勉強をすべし。

例えばこれ、なんの理由も無く撮った1枚だったが。

西洋建築をかじった今なら、この建物だけで5分は語れる自信がある。

うーむ。

ピラスター(付け柱)
エンタブラチュア(梁部のデコ)
アーチの上にはキー・ストーン(要石)

なんだこれは、古典様式じゃないか!

この構造、様式的にはルネサンス・リヴァイヴァルか?

もしかして19世紀後半のネオ・ルネサンス建築か!?

みたいな感じだ。

しかし当時の筆者はというと、「ふーん、でかいな」の一言で素通りしていた。

初期ルネサンス 建築
(ルネサンス建築の代表例)

天気が悪いとテンションも下がる

この日はご覧の通り、どんより曇り空。

晴れてさえいればテンションが30%は上がったであろうに、曇天リガはそんなに甘くない。

筆者のカメラもなんとなくテンション低めな構図で撮っていた。

その後はマリスの案内で、リガの街をぐるぐると巡る。

しかし、彼からは建物に関する情報は特になし。

「これが旧市街だよ」
「こっちが市場だよ」
「ここが川だよ」

説明、以上である。

まあ、かく言う筆者も京都人でありながら、「これは応仁の乱の頃に……」などと詳細に語れるはずもなく、「お互い様」ということで心を落ち着かせる。

伝説の男「カサイ」問題

リガの町をマリスと歩いていたときのことである。

橋の上を渡っていると、彼が急に話しかけてきた。


エリとマリスが肩を並べて歩いている様子

マリス「ジャパン レジェンド KASAI スゴイ」

……ん? カサイ?

筆者「あー、名前は…聞いたことあるような…ないような…」

するとマリスの表情が一変。

マリス「SHAME ON YOOOOUU !!!!!!(恥を知れ!!!)」

マリスが偉そうに橋の上で全力絶叫してきた。

ちなみにこの「カサイ」とは、言わずと知れたスキージャンプ界の生きる伝説・葛西紀明選手のことである。

当時の筆者はその存在をうっすらしか知らなかったが、調べてみるとビックリ仰天。

冬季五輪に8回出場し、40代半ばでなおジャンプ台に立ち続けた鉄人である。

世界のスキージャンプファンからは「カミカゼ・カサイ」とまで呼ばれ、尊敬されているという。

 

いや、そりゃ怒られるわ。
日本人として、軽く国辱レベルである。

だが、それでも言いたい。

まずは昨日の件を謝れ。

喉まで出かけたが、ぐっと飲み込んだ。

エリの冷ややかな視線が刺さる。

きっと彼女も心の中で「それな」と頷いていたことだろう。

友達に観光料?

それは出国前、筆者がマリスに何気なく送ったメッセージから始まった。

筆者「〇月〇日にラトビア行くで~。街、案内してくれる?」

すると返ってきたのは、笑顔のスタンプとともにこの一言。

「お、いいね!せっかくやから“タダで”案内してあげるよ!」

バブル 語源 由来

えっ、待てや。

なんでそこ、わざわざ「タダで」って強調してんの!?
逆に怖いやん。

こちとら、日本海越えてユーラシア大陸の果てからわざわざ来るわけですよ?

その友達に対して「タダでええよ!」とか、普通言うか?

むしろ「もちろん!大歓迎だよ!」とかやろ!!

筆者、思わずスマホを握りしめたまま、三度見。

もはや「有料で案内してあげるよ」と言われた方がまだ笑えたわ!

…ということで、この瞬間、筆者の中で“友情の定義”が一度リセットされたのであった。

死体と工事とラトビア警察

そんな衝撃を受けたままリガの街を歩いていると、ちょっとした土木工事の現場に出くわした。

よくある道路の掘り返しだが、ふと気づくと作業員の隣に警察官が一人、腕を組んで仁王立ちしていた。


警官は写真には写っていない。マリスが撮るなと言ったので

「おっ、あの警官も工事に興味あるんかな」

と、軽くふざけたつもりだったが、マリスの返事はこうだった。

「警察が立ち会うのは当然やろ。だって、死体埋めるかもしれんやん?

…は?

え、今なんて?
筆者、ちょっと笑いかけてた顔がそのままフリーズ。

何気ないジョークのように言っているが、顔が真剣すぎて冗談かどうかすら判断不能。

この日、筆者の中でラトビアのイメージは「死体と観光料の国」として刻まれた。

なお、エリはこの間ずっと無言。
眉一つ動かさずに、ただ地面を見つめていた。

いや、もう怖い。
この国。

マリスとお別れ

2017年2月5日(日)。

この日は14時45分発の長距離バスで、いよいよエストニアの首都タリンへ向かう。

ただし、バスターミナルまでは歩いてすぐとはいえ、荷物もあるし道も初見だ。

ということで、14時にはホステルへ一度戻らねばならない。

つまり、観光は実質13時半で終了という強制タイムアタックである。

案内係マリスによる超簡易な街歩きツアーを終え、最後に彼おすすめのレストランに連れていかれた。

なんでも「ここ、ローカルの人に人気なんだ」と自信満々で案内してくれたその店は…

ビュッフェスタイルの食堂であった。

筆者はこの手の「現地民に人気!」という響きにめっぽう弱い。

現地民に人気ということは、たいてい安くて腹にたまる、もしくは強烈にクセがある。

つまり博打である。


日本人とは感覚が違うラトビア人のマリス

一応マリスのオススメ料理を注文してみた。

よくわからん五穀米に、さらによくわからんシチュー的な液体がドバァ

…な、なんだこれは?

味の想像ができぬ。食感すら見えぬ。

マリス曰く、「このソースが美味いんだよ」とのこと。

あまりにも抽象的な感想に逆に不安が高まるが、せっかくなので素直に食してみた。

──あれ?

うん、悪くない。いや、むしろ…美味い。
クセが無く、どこか家庭の味に近い。
まさか、リガ最後の思い出が「地味ウマ飯」になるとは。

そしてデザートには、ケーキを添えるのがラトビア流らしい。

マリスに勧められるまま、見た目がちょっと地層っぽいケーキをチョイス。

甘い…が、好きだ。

自分で言うのも何だが、筆者は意外と甘党である。

分かれの時

さて、とうとうお別れの時間である。

マリスとは昨日からの怒涛のドタキャン&謎展開の2日間であったが、それもここで一区切り。

昨日の遅刻(というかすっぽかし)には最後まで触れずじまいだったが、まあいい。

これがラトビア流なのだろう。

ちなみにマリスはこれから「別れた奥さんとの間にできた子ども」と再会しに行くらしい。

やたらとワクワクしていた。

…いや、ワクワクできるんか。
いろいろ複雑やろそこ。

筆者は3年前、「奥さんと子どものためにイギリスに出稼ぎに行くんだ」と語っていた彼と、とあるユースホステルで出会った。

それが今や、バツイチ&自由人である。

時の流れとは、まったくもって残酷であり、かつ面白い。

そんなマリスに向かって、

筆者「またな!……次は4時間も待たすなよ」

と、軽くジャブを入れておいた。

バスに乗って、いざタリンへ

重たい荷物を抱えてバスターミナルへ向かう。

目指すは、バルト三国の最北端エストニアの首都タリンである。

リガは一言で言えば、クセつよ観光地だった。
街並みは美しいが、案内人はブッ飛んでいた。

まあ、今回は観光というより「マリスとの再会劇」がメインイベントだったので、次に来るときはもう少しガチでリサーチして臨みたいところである。

さあ次は、エストニア・タリン編!

果たしてまた新たなトラブルが待っているのか──

それとも、穏やかなバルト海の風に癒されるのか?

次回もどうぞお楽しみに。

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