【ヨーロッパ旅行記】麻薬と売春が合法なオランダ旅【12/24】

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本記事は、2017年に行ったヨーロッパ一人旅の記録を振り返るものであり、オランダの首都アムステルダムでの滞在を中心に、当時の思い出をゆるりと綴っていく。

オランダ 風車 麻薬 売春
第二次世界大戦中にユダヤ人のアンネ・フランクが実際にナチスから身を隠してアンネの日記を執筆していた建物

旅の期間は2017年初頭、およそ1か月。

東欧・バルト三国・アイスランドなど、これまで訪れたことのなかった国々を巡る冒険だった。

今回の旅には、

  1. 旅仲間(以下「エリ」)との同行
  2. 初めてのレンタカー運転
  3. 人生初のテント泊

という3つの大きな挑戦があり、まさに忘れがたい出来事の連続であった。

本記事では、その旅の始まりから順に振り返っていきたい。

麻薬と売春が合法な国、オランダ街歩き

さて、いよいよヨーロッパ北上ルートの終盤。

ついにオランダに突入である。

国境を越えた瞬間、空気に“合法感”が漂う。…気がする。

オランダといえば、なんと言っても合法の宝庫である。

麻薬、売春、チーズ、風車、木靴、チューリップ。

合法かつ観光資源になり得るモノを、片っ端から国策にしてしまった感すらある。

オランダの自由は、世界中の男たちを惹きつける。

特に「目的がはっきりしている連中」には、まさに天国のような国である。

つまり逆に言うと、女性が一人で歩くにはそれなりの警戒心が必要ということだ。

「自由=安全」ではない。

自由すぎると、人はだいたい変な方向へも自由になる。

カウチサーフィンって危険?

ロッテルダム中央駅(Centraal Station)に到着した。

オランダ語はやたら母音が多く、「aa」だの「oo」だのが連発される。

看板を見るたびに、つい顔が伸びる。

さて、一緒に旅をしていた旅友エリとテント泊でもしようかと思っていたが、彼女はカウチサーフィンで宿を確保したとのこと。

筆者「まじかエリ、よく決断したな…」

「カウチ=ソファ」つまり、”誰かの家のソファで寝る”を世界規模でやるマッチングサービスである。

世界を旅するバックパッカーの宿泊費節約手段のひとつだが、これはもう文化レベルでのギャンブルである。

ホストが神対応の聖人君子 → 天国
ホストが“泊め男”系ヤベェ奴 → 地獄
ホストがただのパンがゆ好き → なぜか落ち着く

と、振れ幅がとにかく大きい。

正直に言おう。

「無料で女の子を家に泊めてあげたい」って男の99%は、理由が“善意だけ”ではない。

つまり、あれだ。

家出少女をいたずら目的でタダで泊めてあげる『泊め男』みたいな輩が世界中に山ほどいる。

もちろん例外もいる。
全員が下心ありとは言わない。

しかし「無料」というワードに隠れたコストには、十分注意する必要がある。

特に、「今晩泊めて」みたいな緊急避難先としては最悪だ。

筆者も過去にベルギー人女性を京都の自宅に1週間泊めたことがあったが、半年以上前からメールのやり取りをしていた。

なのでせめて、女性は女性ホストのカウチを探すのが最低限の対策である。

「別に今まで危険な目には一度も遭わなかったよ」というのは理由にならない。

筆者は30年間交通事故の被害者になったことはない、だからと言って明日からも事故に遭わないという保証は全くないのと同じである。

泊め男の元へ消えるエリ

筆者はテントでの夜食のためのスーパーマーケットを見つけ安堵。

そして翌朝、世界遺産キンデルダイクに向かうため、ロッテルダムのエラスムス橋で集合しようとエリと約束した。

なぜなら、そこから風車の町へ向かうボートが出ているからである。交通も風情も文句なしだ。

そして旅を共にしてきたエリとはここで一旦別行動となった。

彼女はカウチサーフィンで見つけた現地在住の男の家に向かって颯爽と歩き出す。

エリ「じゃあまた明日ね~ バイバーイ!」

筆者(心の声)
「いや、知らん男の家に一人で行くって、冷静に考えて怖ない?
大丈夫なんかほんまに」

と、思いつつもそれを止められるほどの関係性でもなく、まあ旅とは自己責任の連続であることを再確認しただけだった。


ハッキリ言っておくが、これは嫉妬ではない。
断じて嫉妬などというものではない。

「おれとの二人きりのテント泊より知らん男の家で泊まりたいのかぁぁぁ(泣)」などという、中学生じみた感情ではない。

単に筆者は泊め男を全く信用しておらず、旅友エリの身を案じているだけである。

長く旅をすれば分かり合えるとは限らない

気づけばエリとはもう2週間以上一緒に旅をしている。
途中で別行動も取っていたが。

その間にわかったのは、お互いめちゃくちゃ頑固だという事実。

「この子と喧嘩したら、普通にそのまま喧嘩別れする未来しか見えん…」

次第にそう思い始める筆者。

ただ、それも旅で生き延びるには必要な資質だ。

海外では優柔不断な方が危険な目に遭う。

頑固とは、ある意味、旅人の鎧なのだ。

テントは正義、そして缶詰はぬるい

さて、筆者はというと、約束の集合場所・エラスムス橋のそばにテントを張った。

アウトドア派の究極系、それが待ち合わせ場所にテントである。

この合理性、近代文明もびっくりだ。

とりあえず、独り寂しく先ほどスーパーマーケットで買った缶詰を食べ始める。

アウトドアメーカー”SOTO”のバーナー、コイツはマジで優秀だ。

ガス缶と違い、燃料はガソリンなので家でいくらでも補充でき、なにより一回のコスパが最強なのである。

ただし注意点もある。

  1. 初期費用がそこそこ高い
  2. 使用前に自力でポンプをシュコシュコして圧をかけなきゃいけない

この“シュコシュコ”作業が結構面倒で、使い方を誤ると火炎放射器と化す危険性すらある。

この商品を勧めてくれた筆者の親友は、「このシュコシュコの時間が最も楽しい」と言っていたが。

ちなみに筆者はヨーロッパ滞在中、レンタカー給油時に勝手に燃料補充していた(※日本では法律違反です、良い子は真似するな)。


SOTOのバーナー及びソールが剥がれた瀕死の革靴

余談だが、この1週間後にバーナーがぶっ壊れる。
後で調べたら、ヨーロッパのガソリンは微妙に成分が違うっぽい。

テント泊の魅力と悲哀

肝心の夕食はというと…

温めが中途半端だったせいで、ぬるいラビオリという地獄飯が完成した。

筆者「いや、あれマズかったわ。はっきり言って、拷問食。」

だが、海外に出て2週間も経てば、日本食が恋しくなることなど想定済みである。

筆者は万が一に備え、ライスヌードル(謎のアジア麺)を購入していた。

これがあるだけで、心の安定度がまるで違う。

精神的インフラだ。

テント泊の最大の利点は、なんといっても宿代がゼロであることだ。

もちろん都市部では法的にも衛生的にもハードモードだが、場所を選べばこんなにも快適(←強がり)。

筆者「誰にも文句を言われず、景色が良くて、宿代タダ。これ、勝ちじゃない?」

風が気持ちよく、街灯に照らされる橋の影を眺めながら、ぬるいラビオリを食う。

ある意味これが、旅の贅沢なのである。

朝から世にも奇妙な物語が始まる。

翌朝。

テントを畳み、持ち物をリュックにぶち込み、エラスムス橋で約束の時間を律儀に守る筆者。

風車の町キンデルダイクへ向かう、希望に満ちた爽やかな朝――になるはずだった。

…が。

向こうからやってきたエリ。
その隣に、まったく知らん男を連れて。

「ほう……ほうほう、これは昨日の“泊め男”やな。
いや、別にええけどな?エリがよければな?(←疑念MAX)」

ここから、何の打ち合わせもしていない筆者とエリの間で、まるで運命に導かれるように、不可解な会話の幕が上がる

netherlands-kinderdijk (1)

筆者「あ、おはよー(横にいる男、誰だ?)」

エリ「あ、おはようございます。」

そのテンション、朝の挨拶というより職質された人の返事である。
なんか様子がおかしい。元気がない。

すると、なぜか隣のその男が喋り出した。

男「Huh?  Eri?  You said you wanted to go to Kinderdijk, but you never mentioned ‘meeting up with a guy.’ Is he your boyfriend? Or just a friend?」

筆者「(ん、なに言ってんだコイツ?おれは一緒に旅している旅友だが?)」

エリ「I-I mean… no…」

筆者「え?」

この時点でエリの顔色は豆腐のように白い。

男がこちらを見る。

男「Oh? Then… who exactly are you?」

筆者「……え、いや……その…」

エリがたった今、筆者の目の前で「んー…いや…」と言った手前、「は?おれら旅友やん!?」とも言いにくい空気になっていた。

エリ「うん、日本でちょっとね。…まあ、知り合い。かな?」

筆者(心の声)(「知り合い、かな?…って、“かな?”って何やねん!
おれの存在、疑問形で片付けられとるやないか!)」

しかしこの瞬間筆者は全てを察したのである。

エリの気持ちはエリ本人にしかわからないという大前提の上で、ここからは筆者の100%憶測で考察する。

彼女もまた、「独り旅」に憧れる一人の女性だったってことさ。

彼女の表情、男の苛立ち、そして筆者の立場。

その全てが、一つの真実を浮かび上がらせていた。

「独り旅がしたい」

――ああ、わかる、その気持ち。
めちゃくちゃよくわかる。

エリは当時、「独り旅」という名目でヨーロッパを歩き回っている。

その背中には、「私は一人で旅してる女なんです!」という自立系旅人のプライドがぎっしり詰まっていた。

しかしその「独り旅」の背後には、「娘をよろしく」というエリのお母様からの依頼を受けた、俺というサポートスタッフが同行していたわけである。

netherlands-kinderdijk (3)
ハッキリ言っておくが、実際のエリはこんなに歯が主張しておらず、上の女性よりはるかに美人である。

筆者「そりゃもう、見守ってましたとも。物理的に。背後から」

たまに放置したり別行動してたくせに今だけ保護者面してんじゃねぇ、というエリの声が聞こえてきそうだが。

で、そんな筆者を置いて、昨日の晩、彼女は一人で現地の男の家に泊まりに行った。

netherlands-kinderdijk (2)
これは筆者の脳内イメージ(また歯が…)

まあ、部屋で盛り上がったか、映画を観て語り明かしたか、何を盛り上げたかまでは知らないが、その男は完全に「俺、彼氏気分」で翌朝エラスムス橋まで送り届けてきた。

だが、そこで目に飛び込んできたのは――

バックパックを背負い、待ち合わせ場所に立つ筆者の姿。

netherlands-kinderdijk (1)

男「Who exactly are you?」

俺「え?…俺?」

エリ「えっと、これは、その、うーん…知り合い?」

これはもはや知り合いという言葉の限界を超えた外交的表現である。

エリからすれば、ここで筆者と一緒にいるところを見られるのは、「独り旅」ブランドに傷がつく

つまり「筆者の存在」=「旅する女イメージの爆破ボタン」だったわけである。

筆者「あぁ、そういうことね。すべて察したわ」

しかしアドリブ力の無い筆者は、とっさに「いやいや一人旅同士たまたまこないだ知り合っただけの仲なんです」などといった気の利いた発言はできなかった。

気まずさを抱えて風車の町へ

3人のうち2人が乗り、1人が残された。
そして舟はゆっくりと動き出す。
空気は重い。水面も重い。

筆者とエリ、そして”何とも言えない空気”という名の第三者が、舟に同乗していた。

実は筆者、このキンデルダイクという町には2015年・2016年にも訪れている。

キンデルダイク 風車 オランダ
実は2016年にも訪れていた

そのときは正統派バックパッカーらしく、エラスムス橋からボートに乗って風車群へと向かった。

優雅な川の流れに揺られながら、「やっぱオランダって風車だよな」などと薄っぺらい感想を抱いていたものだ。

しかし今回。エリの「ここで降りましょう」の一言に従い、なぜか舟を途中下車。

そこからバスに揺られて再びキンデルダイクを目指すという、謎の遠回りルートを選んでしまった。

地図を見れば徒歩で行けたことが判明。

これはもう、旅の醍醐味と呼ぶしかない。

このバス停から陸路でキンデルダイクを目指した。

2023年5月、イタリア人の奥様とともに再度キンデルダイクを訪れた筆者。どんだけ好きやねん(笑)

究極の選択──背負うか、置き去るか

世界遺産にも登録されている風車の町・キンデルダイクに到着。

しかし空はどんより。

曇天の中、時折ぽつぽつと雨粒が落ちてくるという、完全にやる気を削ぐ天気だった。

「レンタサイクルでも借りてさーっと回るか?」という話も出たが、
どうやらエリはそこまで風車に情熱を持っていなかったようで、徒歩での散策を選択。

こうして、風車の町に熱量が合わない2人が放たれた。

しかしここで問題発生。

筆者もエリもクソ重いバックパックを背負っている。

  • テント
  • バーナー
  • 寝袋
  • 食糧
  • 着替え
  • そして粉末洗剤(なぜか1キロ)などなど

全部が全部、今この瞬間にもおんぶにだっこで圧をかけてくる。

ここで究極の選択を迫られた。

A. この荷物を背負ったまま2時間の散策を決行するか

B. 貴重品だけ取り出して、荷物本体をその辺に置いていくか

しばし沈黙。脳内会議。

筆者「いや、貴重品以外と言っても、テントも寝袋もバーナーも全て貴重品なんだよ……!!」

選んだのは「置き去り」

悩みに悩んだ末、結論はこうなった。

「もうこんな重い荷物と歩き回るのは無理」

ということで、お土産屋さんの建物の軒下に荷物一式を置いていくという、バックパッカーとしてはわりと背徳感に満ちた行動を選んだ。


荷物を置き去りにするのがどれほど怖かったか、読者には理解できまい…

筆者「もし盗られたらどうしよう…あのテント、DUNLOP製だぞ。寝袋はNANGA製だぞ。」

隣のエリはというと、さほど気にしていない様子でスキップでも始めそうなテンション。

なぜかって?

どうやら彼女の荷物には盗まれたら困る物が入っていなかったらしい。

筆者「まあ盗られるとしても、せいぜい下着か、謎の粉末洗剤1kgくらいやろ…」

果たしてこの賭けがどう出るのか。

そして風車は、曇天の下で我々をどんな顔で迎えてくれるのか。

次回、「風車、曇天に立つ」。

久しぶりのキンデルダイクは、曇天のご機嫌ナナメ

おお、久しぶりだ。

キンデルダイク。

2015年、2016年と訪れたこの風車の町に、3度目の来訪である。

ただ──今回は天気が最悪だった。

雲厚く、風も冷たい。

写真に写る色味がもう絶望的に眠たい。

当時、筆者がエリに繰り返し口にしていた呪文を紹介しよう。

「いや、ほんまに晴れてたらめっちゃ綺麗やねんて!!!」

何度も言うが、ほんまやって。
信じてくれ。
証拠もある。

ここで2016年のキンデルダイクを振り返ってみよう。


当時のキンデルダイクも相変わらず風が強かった。

自転車で回るにはなかなか過酷な環境。

というか、油断すれば吹き飛ばされるレベルである。

たまに暗雲が立ち込め、にわか雨がぱらつく。

そしてその合間を縫うように、風車たちは狂ったように回り続けていた。

当時のエピソードはこちら。

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旅行記 オランダ アムステルダム キンデルダイク

ということで、そんな過去の素晴らしい体験を背負って訪れた今回のキンデルダイク。

なのに、どんより。

風は相変わらず強いが、太陽は出てこない。

まるで心の空のようである(詩的)。

曇天の中、間近で見る風車の迫力といったら──

手を伸ばせば届く距離で、しかもあれに当たったら間違いなく死ぬ。
骨が粉々になる。

筆者「え、こんな恐ろしいもん、観光資源にしててええんやろか?」

と本気で思ったくらいである。

だがその風の力、風景の壮大さ、そして人力では太刀打ちできない自然の強さを全身で浴びる体験は、なかなか代えがたいものがある。

それにしてもあの風車の勢い。

「当たったら、死ぬで?(2回目)」

オランダと言えば木靴とミッフィー

さて、風車の町キンデルダイクをあとにする前に、ひとつ声を大にして言いたい。

オランダといえば、風車だけじゃない!

そう、「木靴」と「ミッフィー」である。

この2つ、あまりにも「オランダ」の看板を背負いすぎている。

木靴なんて現地人も今は履いていないはずだが、観光土産としての地位は鉄壁。

そしてミッフィー。

holland-miffy (1)
(出典:ミッフィー公式HP

あのシンプルすぎて「描けそう」と思わせる顔面、あれが世界を征服しているのだから恐ろしい。

え、荷物?

無事だった。
よかった、ほんとうによかった。

筆者「可愛い旅のお供たちよ、心配かけたな。(m´・ω・`)m ゴメン…」

テントも寝袋も、バーナーも。
誰一人失われなかった。

誰かが下着だけ盗むという珍事件も起こらなかった。

これぞ平和。

さて、エリはキンデルダイクにはあまりいい思い出を残せなかったと思うが、気を取り直して退散である。

ボートの出航まで時間があったので、近くのケーキ屋に立ち寄った。

昼ご飯をケーキやパンで済ますあたり、もはや旅人の胃袋は常識を超越している。

価格?思ったより安い。

特に、世界一物価が高いと言われるノルウェーを経由してきた筆者にとって、オランダの物価は庶民派にすら感じる。

筆者「ノルウェー、ペットボトルの水が500円超えてたからな(震)」

ではアムステルダムの観光に移ります。

さあ、次はアムステルダムである。

その前にひとこと。

キンデルダイクに行くかどうかは、天気次第で決めるべし。

曇天での訪問はマジで「映えない」。

風車は青空があってこそ、その魅力を120%発揮する。

くれぐれも、天気予報とにらめっこしてから向かうことをおススメしたい。

足首ぐぎぃっ!旅先の捻挫は突然に

キンデルダイクから水上バスでロッテルダムへ。

そしてこれからアムステルダムへと向かう。

まずは、エラスムス橋からロッテルダム中央駅まで徒歩移動である。

時間にして30分弱のちょっとした散歩──のはずだった。

ぐぎりぃっっっ!!!

筆者「…………ッ!?」

(無言で足元を抱える)

そう、ここでまさかの人生初・足首捻挫発動。
原因はブーツの厚底+歩き疲れた足首の限界オーバーと思われる。

痛みで一瞬立ち止まる。

だが、その時点では自覚ゼロ。

「ちょっと足首ひねっちまったか。ハハハ」程度の認識だった。

holland-injury (1)
捻挫は癖になる、テーピングと湿布の持参はマストだ。

幸い、前を歩いていたエリにはギリ追いつけた。
だが、その時点で違和感はすでにMAX。

微妙に左足を引きずる筆者を見て、

エリ「え、RYOさん、どうしたんですか?」

筆者「いや…ちょっと足首、挫いてもうた。
…ちょっとだけ、休ませて?」

この一言に、旅のテンポが一瞬止まった。

道端で小休憩。
たった2分間の静かな時間。

けれど、ここから先の旅はこの足首との戦いでもあった。

実はこのあと、同じ足首をあと2回捻挫する。

スロバキアの首都ブラチスラバでの3回目に至っては、激痛でその場から15分間一歩も動けなかったという惨事にまで発展…。

足首、一度やってしまうと、緩くなってクセになる。

ほんのちょっとした段差で「ぐきっ」とくる。
その度に顔が引きつる。

筆者は実感した。

「旅の自由は、健康な足首に支えられている。」

そしてなんとかロッテルダム中央駅に到着。

アムステルダム一日観光

さて、ついに来てしまった。

麻薬と売春の都アムステルダムである。

観光パンフレットには絶対に書かれていないが、このキャッチコピーのほうが世界中の旅人の心をザワつかせるのは間違いない。

もちろん、筆者もその一人だ。

とはいえ、今回は滞在たった1日。

合法とグレーの境界線をフラフラしながら、できるだけ真っ当そうな場所をザっと巡っていく。

動くパブ

まず最初に見かけたのが、「動くパブ」なる謎の集団である。

見た目は完全に大人数用の屋根付き四輪自転車。

だが皆、楽しげにペダルを漕ぎながらジョッキで乾杯している。

これは酒飲みの夢か、悪夢か。

しかも、走行場所は歩道ではなく車道である。

隣にバスが走っている。
なぜ誰も止めない。

「漕ぎながら飲むとか地獄のジムかよ…でも一度は乗ってみたい」

なお、日本でこれをやったら、確実に白黒パトカーが後ろを追走することになる。

さすがアムステルダム、自由の概念がスモークのように拡がっている。

 アンネの家 自由の街にも深い影

ふざけたノリのまま歩いていると、突如空気が一変する場所にたどり着いた。

ナチスの迫害から逃れるため、家族や仲間と共におよそ2年間、ひっそりと隠れ住んだその屋根裏部屋。

世界で最も有名な日記が書かれた場所であり、静かな時間が今も流れている。

連日行列ができるほどの人気だが、それも納得。

歴史を知るとは、こういう場所に立つことだと思う。

アンネの日記を読んだ人間は、この家で現実の重みを知る。

旅の中でも、こういう真面目な時間が必要である。

ただし、外に出ると再びカオスが始まる。

Anne Frank Website

The official website of the Anne Frank House, with the most …

地下からマリファナの臭い

アムステルダムの街並みは整っていて美しいが、何より特徴的なのが地下の活用率である。

カフェ、バー、謎の店。全部地下。
そして、そこからたまに漂ってくるのが…

そう、マリファナの香りである。

筆者「完全に覚えてしまったこのニオイ…」

もちろん、オランダでは個人使用に限り大麻が事実上合法だが、これには盲点がある。

オランダに来て「合法なら大麻吸っていいんでしょ?」という旅人もいる。
だが、そこで待ったをかけたい。

日本には国外犯規定という便利な(そして地味に怖い)法律がある。つまり、日本国籍の人間が海外で違法薬物を所持(使用)しても、日本に帰れば大麻取締法違反で逮捕される可能性があるのだ。

SNSや動画で証拠が残れば、飛行機降りた瞬間に「おかえりなさい、逮捕です」がありえる。

やはりヨーロッパはケバブ!

ヨーロッパの大都市に来るたびに思うのだが――

やはりヨーロッパはケバブである。

本格的なレストランに入るよりも、路地裏でこっそり営業しているケバブ屋のほうがうまくて安い。

しかもボリューム満点。
貧乏バックパッカーの胃袋をがっしり掴んで離さない、それがヨーロッパのケバブである。

今回訪れたアムステルダムでも例外なく、ケバブ屋は至るところにあった。

看板にはこう書かれている――「DONER KEBAB」。

この“ドネル”とはトルコ語で「回転」という意味。

でっかい肉の塊がグルグルと回転し、表面が香ばしく焼かれる。
そこを店員が超絶手際でそぎ落とし、パンに突っ込む。

それが我々の知るケバブである。


かすかに見えるグレーのバックパックを背負った店内を歩く女性、あれがエリだ

「あれはもう、肉の万華鏡である。見てるだけで1キロ太る気がする。」

しかもケバブはだいたいどこも量が多い。
価格も良心的。
味も最高。

旅に疲れた胃袋が泣いて喜ぶレベルのありがたさである。

さて、ここで一つ問題を出そう。

「ケバブはどこの国の料理でしょう?」

ほとんどの人が「トルコ!」と即答する。
が、答えはNOである。

正解はなんとドイツの首都ベルリン。

トルコ系移民がベルリンで生み出した、いわば“トルコ風ドイツ料理”なのである。

つまり、ドイツに行けば「本場のケバブ」が味わえるというわけだ。

この情報を知っておくだけで、ケバブが3倍美味しく感じられる…気がする。

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ケバブ トルコ ベルリン

アムステルダムは迷ってなんぼ

さて、ケバブの話で盛り上がったところで、ちょっと現実の話に戻る。

アムステルダムの街、めちゃくちゃ複雑である。

こちらの地図を見てほしい。

holland-amsterdam(1)
これがオランダの首都アムステルダム

運河と橋が入り乱れ、道は斜めに走り、曲がった先にまた橋。

そもそも「真っ直ぐ進む」という概念が通用しない街づくりなのである。

アムステルダムで迷子になるのは、むしろ正しい楽しみ方だと思っている。

歩いているうちに「ここさっきも通ったな…」という場所に3回は出くわす。

しかしそれもまたアムステルダム名物。

何度も迷って、新しい店を見つけるのが旅の醍醐味である。

オランダと言えばチーズ

あ!!!

それとオランダはチーズがめっちゃ有名です↓

↓この丸いフィルムみたいなチーズも重さが一つ15~20kgくらいあるらしいですよ。

オランダは特にチューリップが有名ですが、チューリップだけじゃなく花類はめっちゃ有名です。

世界中に様々な花を輸出してます!

オランダ人は花が大好きなんですね。

↑ユキちゃんでーす。ぺーたああああ

↑こちらの記事によりますと、世界中の6割の花がオランダに集まるそうです(゜.゜)

オランダは性にオープン過ぎる街

ついに来た、オランダの真骨頂。
その名も――

性にオープンすぎる街、アムステルダム。

この街を歩いていると、否が応でも目に入ってくる。
そう、お下劣グッズの嵐である。

アムステルダムの観光地ど真ん中にある、一見普通のお土産屋さん。

木靴のキーホルダー、ミッフィーのぬいぐるみ、チューリップの絵葉書……

…の横に置かれているのは――

性具(というか、ただのギャグ商品)。


さすがにモザイクをかけている

「え、これ観光客向けやんな?てことはこれ持って飛行機乗るのか?」

ある意味、世界一ハードルの高いお土産かもしれない。

さすがにこれ以上エグい写真はここには載せれない

当然ながら、その場には20歳なりたてのエリも一緒にいた。

店の前で堂々と見学する、どころか中に入って20分ほどお勉強をしたかったところだが。

筆者は虚勢を張る。

筆者「あー…中、ちょっと興味あるけど、まあ、ほら、時間ないしな?」
(本音:むっちゃ気になる)

男のプライドと羞恥心がせめぎ合う場面である。

そして出会った伝説の店――

その名も、

CONDOMERIE(コンドメリー)。

オランダ 風車 麻薬 売春

なんという堂々たるネーミング。

まるで「ユニクロ」や「ZARA」のようなトーンで世界最大級のコンドーム専門店が佇んでいる。

ここでは色・形・サイズはもちろん、もはや芸術品としか思えない近藤氏たちが勢ぞろい。

netherlands-amsterdam-condom (1)

「いま思えば、いくつかネタで買って帰っても良かったな…。ていうか、どんな感じなんやろ(ゴクリ)」

…と思ったその瞬間、自分の心の声にツッコミを入れる。

筆者「いや、いつ使うねん!!!」

ここで誤解してはいけない。

これは決して「ふざけた文化」ではない。

オランダでは性教育が非常に進んでおり、「恥ずかしいことではなく、学ぶこと・知ること」として性が語られている。

つまりこれは、成熟した自由の形なのである。

激突

性なる夜も徐々に更けてきた。

さて問題はどこで寝るか、である。

いつものように、何の計画も立てていない。
これはもう、旅人としての誇りと言ってもいい(いや、言えない)。

Wi-Fiが飛んでいるカフェに逃げ込み、甘すぎるティラミスをつつきながら、深夜の緊急会議が始まった。

ここから、筆者とエリの大激論が盛大に幕を開けた。

筆者「明日の朝にはルクセンブルク行かんとあかんやろ。
ほな、今日はマーストリヒトまで移動して、テント泊やな」

ドヤ顔で提案したところ――

エリ「うーん、わたしはもっとアムステルダムを堪能したいです」

筆者「……それはつまり“別行動”というやつですか?」

エリ「んー、別行動ってか。せっかくアムスまで来たので…」

筆者「おれはマーストリヒトでテント泊する予定やってんけどな」

エリ「うーん、わたしはちょっと…」

筆者「でもな、エリをアムステルダムでひとりにするのはちょっと…じゃあ一緒に泊まるホステル探そか?」

エリ「うーん、ホステルってか…。うーん、ねぇ?」

筆者「じゃあマーストリヒ…」

エリ「いや!!それはちょっと…」

生産性ゼロの話し合いはティラミス1個分の時間、約30分におよんだ。

筆者「ふぅ。えーっと、エリをアムスで一人きりにしたくないから一緒にホステルにしよう!!!」

エリ「あ、実はもうカウチサーフィンでホスト見つけてます。もう約束の時間なんです。行かなきゃ!!」

筆者「……は!? いつの間に!?」

――完全に、事後報告である。

まさかの裏で進んでいた別ルート選択肢。
しかももう出発時間。
これはRPGでいうところの「選択肢Aを選んだと思ったら、NPCが先にBルートに行ってた」状態である。

エリ「あ、でももしRYOさんが行くとこ無いなら、ホストの彼にRYOさんも泊まれるか聞いてみましょうか?」

筆者「いや、もういい。…テントあるし。
野宿とか、むしろ原点回帰ってやつやし。
…じゃあ明朝、ルクセンブルク駅で集合な。」

エリ「…はい、わかりました」

読者の皆様には、どうでもいい話で恐縮である。
だが、正直に告白しよう。

この旅の中で、この瞬間が一番エリに対して失望した瞬間である。

笑って書いているが、当時の自分は全く笑っていなかった。

日本語 日本人

とはいえ、欠席裁判をしても仕方がない。
エリにはエリなりの思いや都合があったはずだ。

筆者は怒りを鎮めるため、自己洗脳モードに入った。

「向こうのお母様にも頼まれてる。4歳下。まだ子供…」
「向こうのお母様にも頼まれてる。4歳下。まだ子供…」「……よし、許そう。(無理やり)」

一応、エリの前では平常心を装っていたつもりである。
だが彼女には、果たしてどう映っていたのだろうか。

ちなみに、これはエリに限った話ではない。
2年前(2015年)、人生最高の親友(小学校からの付き合い10年以上)と一ヵ月ヨーロッパ旅をした時も、普通にムカつく瞬間は多々あった。

他人との旅とは、そういうものである。

「気を許した人間ほど腹が立つ」とは、誰が言ったか知らないが名言である。

カウチサーフィンは危険なのか?

余談だが、エリがどうしても「今晩はアムスに泊まりたい」と言ってくるので筆者自身もカウチサーフィンでホスト探しをしていた。
ティラミスを頬張りながら。

そのときOKをくれたのは、筋肉隆々のガチムチおじいさん。
プロフィール欄には、こんな気持ちのいい文面が踊っていた。

「先に言っておくけど、ぼくはゲイだよ(^ω^)
泊まった時点で“同意済み”と判断するね~☆
翌日のジム使用券付きだから一緒にジムに行こ~!」

――いや、そうはならんやろ。

読んだ瞬間に、野宿を決意した。

むしろ光の速さでテントの準備を始めた。


さあ、気分を切り替えてマーストリヒトへ向かう。

テントと寝袋が俺を待っている。

そう、人間よりもテントの方が裏切らない。

飾り窓地区

とりあえず、エリの無事を祈って筆者は一人、マーストリヒトへと向かう決意を固めた。

だがその前に、どうしても一目見ておきたい景色があった。

そう、アムステルダムでも特に異彩を放つ場所――飾り窓地区である。

ここは世界的にも珍しい、合法の売春地区である。

筆者
「女性が胸を張って堂々と体を売れる国。
うらやま…おとろしい……(混乱)」

ここでは下着姿の女性がガラス越しに並び、観光客に「こっちおいで」と手招きする。
その様は、もはや現代アートの展示かと思うほど完成されている。


有名な飾り窓地区

値段の交渉がまとまると、ショーウィンドウの横にある扉から客が中に入っていく。
その瞬間、ガラスにはすっとカーテンが下ろされる。

そして、そのカーテンの向こうでは――何やら非常に楽しそうな気配だけが感じ取れるのである。

筆者「何をしているのだろうか……?(棒読み)」

写真撮影は命がけ(かもしれない)

ちなみにこの飾り窓地区では、写真撮影はご法度である。

誰かがカメラを構えた瞬間、ガラスの中の女性たちは高速でカーテンを閉める。

さらにタイミングが悪ければ、スタッフにスマホをへし折られるという都市伝説もある。

人類がカメラに慣れた時代において、ここだけは見て楽しむが徹底されているのだ。

エロの聖地、密集エリア

このエリア周辺は、もう自由のテーマパークと化している。

  • 少し南に行けば「大麻博物館」
  • 少し北西に歩けば「セックスミュージアム」
  • そして通りのど真ん中には「エロティック博物館」

世界中の変態――いや、好奇心旺盛な旅人たちがこぞって訪れるのもうなずける。

TABIZINE~人生に旅心を~

運河クルーズやミュージアム巡りなどの観光から、法律では禁止されているマリファナが購入できる「コーヒーショップ」でのアング…

オランダは自転車大国

オランダといえば風車?チューリップ?ミッフィー?いやいや違う。

真のオランダ名物は――自転車である。

この国、なんと人間の数より自転車の方が多いという異常事態。

自転車過密国家として世界にその名を轟かせている。

オランダ人は自転車に乗って生まれてきた

そう言われるくらいオランダ人にとって自転車は大事なものである。

なぜこんなに自転車が多いのか?

「平地が多くて坂が少ないから」とよく言われる。

たしかにアムステルダムの街を歩いていても、坂らしい坂は見当たらない。

だが本当の理由はもっと哲学的かもしれない。

オランダ人にとって自転車とは、移動手段ではない。
生き様である。

そんな文化が根付いているからこそ、首都アムステルダムには巨大な駐輪場が存在し、通勤ラッシュの主役も電車ではなくチャリなのである。

アムステルダム中央駅 → マーストリヒトへ

さて、そんな自転車天国アムステルダムを夜遅くに出発し、向かうは南端の街マーストリヒト。


東京駅のモデルとなったアムステルダム中央駅

所要時間は約2時間半。

ここで便利なのが「ベネルクスパス」。

モニター募集 当選

オランダ・ベルギー・ルクセンブルクの電車が乗り放題という神チケットである。

最大のメリットは、なんといっても「計画を柔軟に変えられる」こと。

好きなときに乗って、好きな駅で降りて、気分次第でルートを決められるのだ。

旅において大切なのは、スケジュールよりテンションである。

オランダの電車は2階建てが多い

オランダを旅していると、あることに気づく。

電車が2階建てである。

それもたまたまじゃない。
かなりの確率で2階建て。
ほぼ標準装備だ。

他国にも2階建て列車はあるが、オランダは特に多い印象である。


車両二階に上る階段が見える

なぜだろう?

オランダ人は世界一身長が高いから?

いや、だったらなおさら1階建てで天井を高くした方が理にかなっている。

謎である。

マーストリヒトに到着

終電でマーストリヒトに着いた頃にはもう日が変わるくらいである。

マーストリヒト。

正直なところ「何があるのか知らんけど、たぶん何かあるやろ」くらいの気持ちだった。

だが、ここには一つだけ、世界的に有名な単語がある。

そう――マーストリヒト条約である。

欧州共同体(EC)の12ヵ国が、
「単一通貨ユーロつくろうぜ」
「外交も共通にしたほうがよくね?」
と話し合い、EUという壮大な組織を作るための基礎を固めた、あの歴史的条約である。

逆に言えば、それ以外に何があるのか、誰も知らない。

マーストリヒト条約が有名すぎて、「街の名前=条約の名前」みたいな状態になっているのだ。

というわけで、何があるかよく分からないけど、何かありそうなマーストリヒトにて今夜はテント泊である。

本当にあったかい寝袋を持ってきてよかったと心から思った。

テント泊は危険なのか?

これは旅人界隈における永遠の論争テーマである。

「野宿なんて怖くない?」

「いや、むしろ安上がりだしワクワクする」

「テントって安全なの?」

「そもそも寝れるの?」

筆者としてはこう言いたい。

怖いか怖くないかは自分が野生だと信じ込めるかどうかにかかっている。


この夜、マーストリヒト駅からとりあえず地図を見て、緑色になってる部分(=公園っぽい何か)を目指して歩いた。

その結果、川沿いにちょうどよさげなスペースを発見し、即テント設営。

オランダ 風車 麻薬 売春

だが、安心する間もなく背後から爆笑が聞こえる。

振り返ると、やんちゃそうな若者たちがスケボーでくるくるしながら大笑いしている。

筆者は祈った。

頼むから俺の存在には気付かないでくれ。

存在という概念を超えて、筆者のテントはそこにあった。

オランダ 風車 麻薬 売春

笑ってる理由が「え、あいつここで寝る気?ww」だったらどうしようかと本気で思った。

何の変哲もないただの川沿いである。

が、ここに命を預けて寝るという行為こそが、旅のスパイスなのだ。

街中のテント泊ももちろん不安はある。
しかし、それより何より怖いのは文明が届かない自然の中で、ガチの野生動物に囲まれる状況である。

筆者が今までのテント泊で最も恐怖を感じたのは、オーストラリアの砂漠でテント泊をしたときだ。

tent-australia-desert
とあるオーストラリアの砂漠にテントを張った筆者

ryo-yasukawa.com
オーストラリアの砂漠がマジで絶景だった

「おれ旅してるわ~」と悦に入って眠りについた筆者。

しかし真夜中にテントの周囲をうろつく足音。

薄っぺらな布地の向こうから聞こえる「ガルルルル…ヴアゥゥ」の唸り声、ディンゴ(野犬)と思しき肉食動物が数頭。

オーストラリア 危険 絶景
羊やヤギをも襲う肉食動物ディンゴ

ブログ アイコン
筆者

あのときは本気で「あ、人生終わったな」と思いました。

そして心の中で自分の人生をエンディングクレジット形式で回想しました。

詳しくはこちら。

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オーストラリア 砂漠

とはいえ、今回のマーストリヒト泊は結果的に平和そのものであった。

スケボー少年たちも、結局はいいBGMになってくれただけで、襲ってくることはなかった。

テント泊は危険か、安全か。

それは結局のところ、運と度胸と自己暗示で決まるのである。

おわり。

ルクセンブルクへ

ルクセンブルク

この夜、テントの中で心を支配していた感情は、「旅情」でも「異国のロマン」でもなかった。

そう――エリに対する苛立ちと、そして少しの悲しみと心配であった。

やはり、こちらがどれだけ心配して声をかけても、「じゃあやめときます」とはならず、自分の意思を貫くところ。

そのメンタルの強さ、尊敬すべきか、説教したいのか微妙なラインであった。

男同士の旅であれば、まあ「勝手にしろ」で終わる。

しかし今回はか弱い女子である。

しかも、筆者の元には彼女のお母様からこんな強烈な圧がLINEで届いていた。

「向こう(海外)で頼れるのはRYOさんだけです。うちの娘を是非ともよろしくお願いします」

まさに公式の保護者認定である。

それが「じゃ、わたし別行動で♪」と言われた瞬間、何とも形容しがたい敗北感が襲ってきた。

もういい。とりあえず寝よう。
寝ればスッキリする。感情もリセットされる。たぶん。

というわけで、スケボー少年たちの爆笑を子守歌にしながらテントの中で眠りについた。

さて、明日はルクセンブルクである。

どんな国なのか、どんな出会いがあるのか――その前に、

エリは本当に無事なのか?

そんな一抹の不安を抱えつつ、筆者はシュラフに包まりながらこう呟いた。

「じゃ、また明日。ルクセンブルクで会おう」

次回、ついに三ヶ国目、超絶地味と噂のルクセンブルク編へ突入――!

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