本記事は、2017年に行ったヨーロッパ一人旅の記録を振り返るものであり、デンマークの首都コペンハーゲンでの滞在を中心に、当時の思い出をゆるりと綴っていく。
「世界初の歩行者天国」としても知られるコペンハーゲンのストロイエ通り、なんかトンデモナク楽し気な広場だった
旅の期間は2017年初頭、およそ1か月。
東欧・バルト三国・アイスランドなど、これまで訪れたことのなかった国々を巡る冒険だった。
今回の旅には、
- 旅仲間(以下「エリ」)との同行
- 初めてのレンタカー運転
- 人生初のテント泊
という3つの大きな挑戦があり、まさに忘れがたい出来事の連続であった。
本記事では、その旅の始まりから順に振り返っていきたい。
コペンハーゲン街歩き
2017年2月10日(日)、ノルウェーの首都オスロから、デンマークの首都コペンハーゲンに到着した。
……にしても、「コペンハーゲン街歩き」というタイトル、急に普通すぎやしないか。
今までの旅のタイトルに比べると、えらく腰が低い。
いや、別にいいのだが、我ながら他のタイトルが思い浮かばなかった自分にちょっと拍子抜けした。
さて、「北欧」と一括りにされる国々は大体以下の通りである。
- デンマーク(王室のある落ち着き系)
- フィンランド(ムーミンとサウナの国)
- スウェーデン(家具とミートボールの本拠地)
- ノルウェー(フィヨルド&物価暴力団)
- アイスランド(名前は冷たいが温泉天国)
この5カ国がいわゆる「北欧ファイブ」。
※「神セブンみたいに言うな」とツッコんで欲しい
この5カ国、気候は寒いが物価はアツい。
特にノルウェーに至っては、マクドナルドのセットが「え、これフレンチのフルコース?」みたいな値段で出てくる。
そんなノルウェーから、わたしは今回デンマークに舞い降りた。
このときの筆者の金銭感覚は、もはや「壊れている」というより「初期化済み」。
サンドイッチが90デンマーククローネ? 安いじゃん! とか言いながら買っていたが、あとで換算して1,500円と知り、膝から崩れ落ちたのは言うまでもない。
デンマークから知らん間にスウェーデンに入国してた話
北欧の玄関口、コペンハーゲン空港に到着。
「お〜、ついに来たか…北欧のオシャレ代表、デンマーク!」
テンション高めで到着し、まずは宿への移動。
今回はAirbnbで見つけた、「コペンハーゲン市内まで○○分!」という、実に親切な書き方をされた宿に予約を入れてある。
Googleマップ先生(スクショ)に導かれるままに空港駅へ向かい、電車に乗車。
座席に腰を下ろし、少しほっとしたくらいに車窓から夕日が差し込む。
電車はゴトゴトと進み、やがて景色が開ける。
見渡す限りの海。
どこまでも続く水平線。え、えっ?
何か橋、渡ってない?
海の上、爆走してない??
筆者(心の声)
「でもコペンハーゲン、めっちゃええやん…夕日もオシャレ。全部インスタ映え……もうここ住もうかなぁ」
などと思っていたが、その時点で筆者はすでに国外にいた。
地理的違和感を一切察知しないまま、電車はスピードを緩めず、ゴリゴリに国境を突破。
筆者「ヨーロッパすげぇ…インフラ発達してんな…」
違う。
お前が気付かない間にスウェーデンに入国していただけだ。
信じがたいことに、スウェーデンに入国していたと気付くのはずっと先の話である。
筆者はずっと「コペンハーーゲーーーン!!!!♡」と思っていたのである。
予約した宿へ
電車で海を渡り、たどり着いた最寄り駅
――Triangeln(トリアンゲルン)駅。
筆者「よし! 宿の最寄り駅、着いたー!」
駅の改札を抜け、階段を上がって地上へ出た瞬間――
\ドーーーーン!!/
筆者「うわっ、なんだこのオシャレ街は!? 街全体が北欧インテリアショップやん!!」
石畳、洗練された建物、空の広さ、通りすがりの人々の服まで全部オシャレ。
スカンジナビアの「美」が大渋滞している。
筆者「やっぱコペンハーゲンって、美しいなぁ……来て良かった……!」
\いや、そこスウェーデンな/
(でもまだ気づいてない)
さて、旅人あるある、「Wi-Fi難民問題」。
筆者も例にもれず、駅前のマクド(北欧にもある)にダッシュで避難。
「ありがとう、マクド……君のWi-Fiが、今の俺の全てだ……」
Google Mapsで現在地を確認。
宿はすぐ近く。あと数百メートル!
「もうすぐ着くし、ちょっと写真でも撮りながら歩くか〜!」
と、その辺をパシャパシャ撮っていたら――
\景色がずっと同じ問題/
石畳
赤レンガの建物
石畳
カフェ
石畳
北欧デザインの自転車
「いや、どこも全部オシャレすぎて逆にどこか分からん!!」
完全に北欧建築の罠である。
美しすぎて目印にならない。
宿はここらへんにあるのはわかるが、ドドーンと看板が出ているわけではないので正直ぷち迷子になってしまった。
似たような建物ばかりでよくわからん
筆者、とうとう諦めてその辺で遊んでる子供に声をかける。
「ねーぼくぅ?(やさしめの声で)」
「(スマホ見せながら)この近くにあるこのアパート、知ってる〜?」
「お兄ちゃんさっきから探してるんだけど、全然わかんないのよ〜(旅人全開)」
しかし筆者はスウェーデン語もデンマーク語も話せない。
相手は英語もわからない少年。
意思疎通、不可!
なんの返事もなくスッとアパートに入っていった。
「無視された…おわた。これからどうしよう」
しかし、しばらくして少年がおじさんを連れて戻ってきた。
このおっちゃんが――
\ホスト本人だった。/
「いや、めっちゃピンポイントやないか!!笑」
北欧キッズの対応力、そしてホストの神タイミングにより、無事チェックイン成功。
ちなみに、その宿はこちら。
筆者が勝手にスウェーデンまで来てしまった記念すべき宿、今はもう幻となっている。
スウェーデン・クローナしか引き出せないATM
無事にアパート到着!
アホみたいに重かったバックパックを放り投げ、ホストに
「トイレはこっち、シャワーはこっち、キッチンはまあ見たらわかるっしょ!」
みたいな説明を受け、荷物を置いて身軽になった筆者は近くのCOOP(コープ)へ出かけることに。
庶民の味方、コープ!
スイスみたいな物価ヤバ国家にもある安心ブランド。
ここ北欧でも救世主に違いない!
COOPの前にATMがあった。
ここから筆者とATMの闘いが始まった。
筆者(心の声)「お、ここでデンマーク・クローネ引き出しとこ〜♪」
ピッ、ピッ、ピピッ。
ATM「お引き出しはSEK(スウェーデン・クローナ)のみです」
筆者「……ん?」
何回やっても、出てくるのはスウェーデンクローナ一択。
筆者「(小声で)いやいや、こちとら今デンマークにおるんやが……?」
ATM「・・・。(知らんがな)」
筆者「デンマークやのにスウェーデンの通貨で払えってこと?」
ATM「・・・。(おまえいまスウェーデンにおるやんけ)」
筆者「え、どういうこと?」
ATM「・・・。(やから知らんがな)」
一国2通貨制度?
ATMの後ろには3人ほどの現地の人が並んでいた。
もう限界。
勇気を出して、うしろの人に質問。
「あの〜、このATMってスウェーデンクローナしか引き出せないんですか?」
「それって……このCOOPでは、スウェーデンクローナで支払えるってことですか?(※デンマークなのに?)」
すると、その人は優しくこう言った。
現地人「ええ、スウェーデンクローナで大丈夫よ〜」
筆者(心の声)「ああ、なるほど……!」
\完全に勘違いスタート/
ここで筆者の脳内に革命が起こる。
筆者(心の声)「そうか……!」
筆者(心の声)「デンマークって、通貨が2種類あるんや……!!」
筆者(心の声)「スイスに言語が4つあるように、デンマークには通貨が2つあるのか……!」
筆者「北欧すげえ……!」
\いや、スウェーデンだって。国ごと違うんだって。/
筆者は完全に納得し、500SEK(=約6,500円)をATMから引き出す。
明日の分も含めてどーんとね!
筆者「これでしばらく安泰やな!」
(↑そもそも間違った国の通貨なのだが)
COOPで無事にお買い物。
スウェーデンクローナでスイスイ決済。
筆者「さすがダブル通貨制国家、懐が深いぜデンマーク……!」
そして、何も知らずに宿に帰宅。
今夜は自炊だ!
筆者「えーと、今日のメニューは……ミートスパゲッティ」
I’m in Sweden now.
旅人(筆者)はアパートに戻り、慣れた手つきでパスタを茹でていた。
筆者「塩入れて……火加減は中火で……ふふふ、北欧で自炊とか旅慣れてる感すごくない?」
トマトソースにオレガノ、謎の調味料まで買って完全再現。
\完ッ☆璧/
北欧オーガニック・エレガント・シェフ系バックパッカー、ここに誕生。
食後のゆったりタイム。
そこに、ホストのおっちゃんがキッチンに現れる。
おっちゃん「いや〜今日は暖かかったね。で、明日はどこに行く予定なの?」
筆者「うーん、やっぱ人魚姫像とか見たいすかね。ここからぶらぶら歩いて行ってみようかと」
おっちゃん「……海、泳ぐつもりなの?笑」
筆者「……え?(これが噂のデンマークジョークか?)」
おっちゃん「いやいや、ここスウェーデンだよ?コペンハーゲンから橋、渡って来たでしょ?」
「あれ、『国境』越えたのよ?地図見る?」
筆者「え、ここコペンハーゲンじゃないんすか?」
おっちゃん「マジで勘違いしてたの!!!???」
\\\地図、ドーン///
え、おれいま、スウェーデンにいんの・・・?\(゜ロ\)(/ロ゜)/
◆ 衝撃の4連発 ◆
➀ コペンハーゲンを一歩も歩いてない事実
→ おれ、まだコペンハーゲン市の土を踏んでなかったのか…
② 人生初スウェーデンを無意識で達成
→ 記念スタンプどころか、気づかず観光してた…
③ 財布の中、スウェーデンクローナのみ
→ デンマークじゃ使えない未来通貨状態
④ 換金しようにも手数料で半分くらい消える未来が確定
→ 北欧通貨、ちょっとした呪いか?
急いでマルメの町を散策する
「明日の朝はゆっくりマルメを歩こう♪」
……なんて思ってたのに、明日は本物のコペンハーゲン遠征の日。
筆者「え、じゃあいつマルメ歩くの?」
今でしょ!(全力)
というわけで、夕暮れのマルメをダッシュで散策開始。
マルメはスウェーデン第3の都市。
街には歴史とアートと、ケバブ屋さんの香りが混ざっている。
ちなみに、移民比率3割以上。
ネットには「治安がヤバい」なんて情報も。
マルメの治安について調べていると、「ロマ(ジプシー)の人も多く治安は最悪」というような書き込みもあったが、個人的にはめっちゃ安全だと感じた。
筆者「むしろ平和!猫とおばあちゃんしかおらん!」
美しい街並みにうっとりしながら、時には迷いながら、
ちゃっかりお土産屋で「I ❤️ Malmö」的なマグネットを購入しようとも考えたが、やめておいた。
そして夜。
「ただいま〜」
いつの間にかホーム感すら出てきたスウェーデンの宿へ、無事帰還。
パリで再会(する予定)
ホステルのWi-Fiを捕まえ、ようやく繋がった文明の波。
筆者はスマホを握りしめながら、ある人物に連絡を試みていた。
その名も――エリ。
エストニアの首都タリンで別れてから約1週間、
お互い自由気ままに旅をする相棒である。
そして一応約束はしていた。(一週間前に)
「2月13日、パリで会おう!」
以上。
場所も時間もディテールも、全て空白。
筆者「いや、さすがにこれだけじゃ再会できんやろ(笑)」
というわけで、ついに連絡を取る。
明後日は昼の12:00にCDG空港(シャルル・ド・ゴール)でレンタカーやから!
13日にCDG集合でいけるやろww
はい、爆速で決まりました。
パリの空港で人探すって、どこの映画だよってレベル。
そして送信。
……既読、付かん。
筆者「……まあ、ローミングだし?電波悪いだけよな?」
筆者「ま、いいか。届いたはずやし。」
(これが後にトンデモナイことになる…)
ようやくコペンハーゲンへ
翌朝――
パリ再会ミッションの要、「LINE」を確認。
筆者「まあさすがに既読ついてるやろ。昨日の夜20時に送ってるし。」
……(確認)
既読が付いていない!!
( ゚Д゚)マジカ
筆者「……ま、まぁ大丈夫っしょ?丸2日あるし(←このセリフ、後で絶望のBGMとともに回想される)」
気を取り直して、本日のメインイベント!
本物の!正真正銘の!デンマーク・コペンハーゲンへ!!
朝のマルメも美しい。
早朝、マルメの駅に到着。
朝焼けが街を黄金色に染めている。
この太陽の角度を見ても、早起きしたことは想像に難くないだろう。
いざ、再びの橋越え!
筆者「これが鉄橋2回目の人間の余裕か…」
(前回は無自覚に国境を越えてた)
そして到着!
✨コペンハーゲン中央駅✨
駅からしてもう北欧の重厚感。オーラが違う。
筆者「ついに…ついに……本物のコペンハーゲン来たぁぁぁ!!(感動2割、安堵8割)」
世界最初の歩行者天国「ストロイエ通り」
コペンハーゲン中央駅からスタートし、市庁舎前に立った時点で、すでにテンションは最高潮であった。
なぜなら、ここが世界で最初に車をシャットアウトして歩行者の楽園にしてしまった通り、ストロイエ通りの起点だからである。
ストロイエ通りは、全長約1km。
つまり東京ドーム約○個分……ではなく、徒歩で15分もあれば端から端まで歩ける距離である。
しかし油断してはならない。
この通り、誘惑が多すぎる。
今回はコペンハーゲン中央駅からストロイエ通りを通って人魚姫像まで歩こうと思っていました↓
よくわからんがとりあえず大通りを歩くのが吉とみた。
道中には日本でも人気の「なんとかタイガー」も見かけた。
まさかデンマークのど真ん中で出会うとは思っておらず、思わず「なんでおるん?」と呟いてしまったほどである。
また、「琥珀(KOHAKU)」という名の謎ブランドも見つけたが、何の店かは不明。
店構えがあまりに奇妙すぎて、うっかり庶民が入ると自動的に通報されそうな気配があったため、断念した。
このストロイエ通り、単なるショッピングストリートと侮るなかれ。
道ばたでは音楽家が演奏を始め、街並みの建築美は歩くだけでアート鑑賞。
カフェのテラスではおしゃれな人々がコーヒーを飲みながら哲学的な顔で天気を見つめていた。
レゴ本店
そして目に飛び込んできたのが、北欧が世界に誇るレゴ本店。
あの「ただのブロック」を世界的ブランドに育て上げた、夢とピースの集大成である。
さすがレゴ本店だけあって、店内にはレゴで作った大きな作品がいくつも確認できた。
が、店内には入っていない。
入れば最後、出る頃にはなぜか大人の財布が軽くなっている。
Explore the world of LEGO® through games, videos, products a…
ロイヤルコペンハーゲン vs ジョージジェンセン
レゴ本店から歩いていすぐ、再び目に飛び込んできた2つの重厚な建物がある。
そう、それが――
ロイヤルコペンハーゲン本店(手前・茶色)
ジョージジェンセン本店(奥・白)
この2つ、ただのご近所さんではない。
なんと、デンマークが世界に誇る高級ブランド界の巨頭たちなのである。
ロイヤルコペンハーゲン
デンマーク生まれ、世界が認める陶磁器ブランド。
繊細なブルーの模様と、すべて手描きという手間と魂のこもった食器たちは、
「これ、落としたら死ぬ(経済的に)」と思わせるオーラを放っている。
「Royal Copenhagen ロイヤル コペンハーゲン」の公式サイト。オンラインストアには新作をはじめ、引出物・内…
ジョージジェンセン
こちらも同じくデンマーク発祥。
シンプルかつエレガントな北欧デザインで、ジュエリーからシルバー製品まで幅広く展開。
「なんでこんなに無駄がないのに、こんなに高貴なんだ…」と謎の敗北感を与えてくる凄腕ブランドである。
では、この2社はライバルなのか?
答えは……微妙である。
まず、片や「食卓を美しく彩る器たち」。
一方は「首元や手元を美しく輝かせるジュエリー」。
客層が被っているようで被っていない、けれど美しいものが好きという本質的な嗜好は一致していそうという、絶妙なポジションである。
この強豪ブランドがなぜか隣同士という現象、実は日本でも見覚えがある。
例えば――
京都・上桂駅近くには、交差点を囲むように3つの角にローソン、ファミマ、セブンイレブンが競合している。
さらに烏丸五条では、定食チェーン「やよい軒」と「街角や」が隣り合い、どちらも白ごはんがおかわり自由というシステムまで丸かぶり。
もはや友情か、奇跡か、仁義なき戦いかである。
筆者はこの不思議な「ライバル隣接構造」に、深い謎とロマンを感じずにはいられない。
「人間は比較したがる生き物だ」と聞いたことがあるが、
もしかすると「選ばせるために並べる」というのが、商売の基本なのかもしれない。
ギネス博物館
ストロイエ通りをふらふらと歩いていると、突如として目の前に現れるギネス博物館。
「世界一○○な人たち」が集結した、記録と狂気の殿堂である。
その入り口前に、なにやらデカすぎる人影が立っていた。
いや、正確には人影ではなく、世界一背の高い男の等身大フィギュアだ。
彼の名はロバート・ワドロー。
身長はなんと272cm。
これはもう巨人というより建築物に近い。
(出典:なぜロバート・ワドローは、永遠に最も身長が高い人であり続けるのか)
筆者(182cm)が横に並んでみた結果、肩にも届かず、ちょうど上着の第3ボタンあたりが視線の高さだった。
つまり彼は、筆者の頭を胸ポケットのペン感覚で扱えるレベルのサイズ感なのだ。
しかもこれはフィギュアではなく、実在した人物であるというのだから驚愕である。
「史上最も身長の高い人間」という記録は、およそ80年間破られていない。そして今後も破られることはないと見込まれている。そ…
こちらの記事によると、わずか6歳で身長が170cmを超えており、慎重272cmは二足で立ったハイイログマよりも高い数字らしいのだ。
いやはや、世界にはスゴイ人がいるものだ。
Records galore at the only Guinness World Records museum in …
Nyhavn(ニューハウン)
ニューハウン。
聞き慣れない言葉だが、ひと言でいえば「なんかおしゃれな港町」である(←雑)。
だが筆者もさすがに「港っぽい雰囲気」だけで語るのはまずいと思い、真面目に調べてみた。
ポチポチ…(5分後)
では調査結果を報告する。
ニューハウンとは世界中から集まる舟を泊める係留場で、この辺りは常に船乗りや女性が溢れかえっておりパブやレストランなども多い、と。
そして童話作家で有名なハンス・クリスチャン・アンデルセンもこの係留場沿いの両端に建ち並ぶビルの一室を借り、そこで作品を書いていた、と。
ふむふむ、クリスマスの時期には地域総出で昔通りのクリスマス感を演出するので絶対に行った方がいい、と。
今ではインスタ映えとチュロスが渦巻く夢の桟橋であり、アンデルセン界隈の聖地巡礼地であるようだ。
The colourful houses of Nyhavn are one of the most iconic sp…
チュロスはデンマーク発祥?
さて、このニューハウンで驚かされるのがチュロス屋の異常な数である。
筆者の直感が「チュロスはデンマーク発祥か!?」と騒ぎ出し、安易に断言してしまったのだが――
再び5分間の調査を経て分かったことはこうだ。
- チュロスの起源はスペイン・ポルトガル(およびモロッコ説あり)
- デンマークはまったく関係ない
- ただしなぜか英語で“Churro Denmark”と調べると、デンマークのチュロス記事が大量に出る
つまり、「デンマーク人、チュロスめっちゃ好き」という事実が浮き彫りになったわけである。
発祥ではないが、愛は本物。
そんな関係だ。
ニューハウンのチュロス屋には、以下のような構成が多い。
油で揚げられたチュロス
+砂糖たっぷり
+チョコレートたっぷり
+ソフトクリームたっぷり
この組み合わせは、いわば「デブの四重奏」。
筆者も一ついただいたが、心と舌は喜び、腹と罪悪感は沈黙した。
完全にカロリーという名の幸福に沈められた午後であった。
カラフルな家
ニューハウンを歩いていると誰しもが思う。
「なんでこんなに家の色が違うんだ?」と。
赤、黄、青、緑…まるでパレットをひっくり返したような光景である。
で、筆者は思った。
「これは船乗りたちが夜に帰ってきても自分の家がすぐ見つかるように色分けしたんじゃないか?」と。
…根拠は一切ない。
調べてもいない。
しかしこの推理、妙に説得力がある。
ということで今回は調べない!
自信満々でこの説を推していく。
人魚姫像(マーメイド)
そしてついに、あの有名な「人魚姫像(The Little Mermaid)」に辿り着く時が来た。
ここで豆知識。皆さん、この像が「世界三大がっかり名所」に数えられていることをご存知だろうか?
- シンガポールのマーライオン
- ブリュッセルの小便小僧
- そしてこのコペンハーゲンの人魚姫像
名誉なことではない。
むしろがっかりの殿堂入りである。
筆者はワクワクしながら、コペンハーゲン中央駅からストロイエ通り、ニューハウンを抜けて北上。
人魚姫像が鎮座しているのは、コペンハーゲンの北部にあるカステレット要塞の近く。
名前は要塞だが、実際は広大な芝生と遊歩道が整備された超のどかな公園である。
砲台の跡はあるが、ピクニックの方が似合う。
鳩も飛ぶし、ジョギングする地元民もいるし、「戦う気ゼロか!」と思うほどの平和空間。
カステレット要塞の概要はこちら。
The Citadel in Copenhagen was founded by Danish King Christi…
人魚姫像のお出ましだ。
筆者はワクワクしながら、コペンハーゲン中央駅からストロイエ通り、ニューハウンを抜けて北上。
ようやく現れたのは…思ったよりだいぶ小さい人魚像。
「え?これ?マジでこれ?」という感想が脳内に浮かぶ。
これはがっかりする。
だが、がっかりしに来たんだからある意味これは正解である。
人魚姫像です!!!!!!!
…と、テンション高めに宣言してみたが、載せられる写真はこの一枚だけである。
なぜかというと――観光客が多すぎるのだ。
筆者は必死に、なるべく人が写り込まない角度を探し、カメラを構えた。
粘りに粘って、ようやく撮れた一枚である。
The Little Mermaid sits on a rock at Langelinie Pier, gazing…
見に来ていた観光客の数はかなりのものだった。
実際、この小さな像とツーショットを撮ろうとする行列ができていた。
彼女(=人魚姫像)は人気者である。
アイドルさながら、お手が空く時間がまったく無い。
まさに“撮影の隙を突け”状態である。
さて、なぜこの像が「世界三大がっかり」と名高いのか?
筆者なりにその理由を考察してみた。
皆さんはアンデルセンの童話を読んだことがありますか?まあ恐らく名前は聞いたことがあると思いますが、本名は「ハンス・クリスチャン・アンデルセン」です。彼はデンマーク出身の有名な童話作家および詩人です[…]
レストランの値段で物価を痛感
人魚姫像からの帰り道、ふと視界に入ったのは日本語――
いや、カタカナで書かれたレストランの看板であった。
その名も――
「ワガママ」
…なんて店名だ。
コペンハーゲンの街中で、こんな直球のネーミングに出会うとは思ってもみなかった。
しかも想像してほしい。
ブロンドの女子高生たちが夕方の街角でこう話している姿を。
ブロンドJK
「ねー、今日の晩ごはんワガママ行こー?」
ブロンドJK
「てかワガママの店長ってさ、超ワガママじゃね?」
……これはもはや哲学的メタ構造ではないか。
好奇心からメニューを覗いてみた。
日本語メニュー。
見た目は完全に日本のラーメン屋である。
だが、そこに並んだ価格は――完全に現実離れしていた。
ということで、2017年2月当時と2025年5月現在の値段を比較してみようと思う。
「安いニッポン」でお馴染み、まずは為替の違い。
2017年2月当時 | 2025年5月現在 |
1DDK=約16円 | 1DDK=約22円 |
まず為替の違いだけで、1,375倍も値上がりしている。
次に「インフレ」による現地価格の違い。
※ワガママHPより引用
2017年2月当時 | 2025年5月現在 | |
枝豆 | 49DDK | 62DDK |
野菜ラーメン | 129DDK | 152DDK |
海老カツ | 79DDK | 85DDK |
これはメニューによって値上がり率は異なるが、8%から27%値上がりしている。
これらの情報から、当時と現在の日本円での価格の違いをご紹介しよう。
2017年2月当時 | 2025年5月現在 | |
枝豆 | 784円 | 1,364円 |
野菜ラーメン | 2,064円 | 3,344円 |
海老カツ | 1,264円 | 1,870円 |
枝豆が1,364円だと…?
野菜ラーメンに至っては3,344円。
「銀座の会員制ラーメンバーかな?」
北欧の物価が高いとは以前から聞いていた。
だがこうして自分の財布に直接ダメージを与えられると、説得力が違う。(別にノーダメだが)
フランスの首都、パリへ
実を言うと、コペンハーゲン中央駅には「世界で最も美しいスターバックス25選」に選出された激レア店舗が存在しているらしい。
当時はまったく知らなかった。
知ったのは後日、プラハ編の執筆中という非常に後ろ向きなタイミング。
つまり、にわか中のにわかだ。
写真など当然無い。無念。
だが、駅そのものは美しい。
レンガ造りの構内は、クラシック建築と北欧の落ち着きを同時に感じさせる佇まい。
まさに「北欧の玄関口」にふさわしい風格であった。
というわけで、コペンハーゲン空港から「パリ・シャルル・ド・ゴール空港(CDG)」へと向かう。
ここからは一気にフランス編へ突入する。
ついに来た、華の都パリ。
うふふふふふ……(←気分が先走ってる)
ちなみにフランスの高速道路の制限速度は130km/h。
田舎道の一般道でも90km/h、都市部の混雑した一般道でも70km/hである。
筆者の心の声「ヨーロッパはスピードにもお洒落にも余裕がある」
では!
本記事は、2017年に行ったヨーロッパ一人旅の記録を振り返るものであり、フランスの首都パリでの滞在を中心に、当時の思い出をゆるりと綴っていく。ディズニー映画の「ラプンツェル」のモデルとなったモンサンミッシェル、次はもっと美しい写[…]