本記事は、2017年に行ったヨーロッパ一人旅の記録を振り返るものであり、スロベニアでの滞在を中心に、当時の思い出をゆるりと綴っていく。
世界最古のワインの木と呼ばれている
旅の期間は2017年初頭、およそ1か月。
東欧・バルト三国・アイスランドなど、これまで訪れたことのなかった国々を巡る冒険だった。
今回の旅には、
- 旅仲間(以下「エリ」)との同行
- 初めてのレンタカー運転
- 人生初のテント泊
という3つの大きな挑戦があり、まさに忘れがたい出来事の連続であった。
本記事では、その旅の始まりから順に振り返っていきたい。
スロヴェニアの位置
スロヴェニア
その名前を聞いて、「ああ、あのスロ…スロ…どこだっけ?」となる人も多いかもしれない。
だが安心してほしい。
筆者も最初はそうだった。
だが今は違う。
なぜなら行ったからである(ドヤァ)。
そして何を隠そう、スロヴェニアにはヨーロッパ・アルプスの最東端が伸びてきている。
つまり、「アルプスの端っこ、ちょっと貸して」と言わんばかりにアルプス山脈が顔を出しているわけである。
この地には「アルプスの瞳」という中二病すら炸裂しそうな異名を持つブレッド湖が存在し、旅人たちは「うわ、美しすぎてバグった」と口々に言うとか言わないとか。
マリボルへ、夜を超えて
ハンガリーの首都・ブダペストにてレンタカーを借りたのは、夜の21時。
真っ暗な中、ヨーロッパ旅の新たな章が、エンジン音とともに静かに幕を開けた。
ところで、ここでひとつ豆知識を提供したい。
ヨーロッパの日付表記は日本とまるっと逆なのである。
ヨーロッパの日付表記
たとえば、車内ディスプレイにはこう表示されていた。
車内の画面
現在時刻:21時24分
外気温:-6.5℃
日時:24.01.2017
画面一番下の「24.01.2017」は勿論「2017年1月24日」を表し、ほとんどのヨーロッパは日本と逆で「日→月→年」の順に表記する。
「なんだ、わかりやすいやん」と思った読者よ、油断するでない。
場合によっては「05.01.11」のような、パズルかよという表示が現れることがある。
このとき、筆者の脳内はこうだ:
えーっと…これは2011年1月5日?
それとも2005年1月11日?
まさかの2011年5月1日説?
いやいやいや、どっちやねん(焦)
…と軽く思考がフリーズする。
大抵の国では「日→月→年」の順だが、全てがそうとは限らない。
旅人たちは注意されたし。
いざ、車中泊の世界へ
レンタカーを借りたブダペストから、スロヴェニア第二の都市・マリボルまでは、実に363km。
おおよそ3時間半のドライブである。
このマリボルには、筆者が心密かに再会を願っていた女性、Nina(ニーナ)がいる。
ニーナとは、2016年にオーストリアのハルシュタットで出会った。
同い年、誕生日も近く、しかも超かわいい(←ここ大事)。
互いに一人旅という境遇もあり、すぐに意気投合。
その出会いがなければ、今回のスロヴェニア旅は実現しなかったと言っても過言ではない。
Ninaとの出会いの経緯はこちらで。
3度目のヨーロッパ、2度目の独り旅(2016年)の思い出を振り返る。今回はオーストリアのハルシュタットでの滞在をサクッと要約し、印象的な出来事をシェアしようと思う。筆者が初めてヨーロッパを独りで旅したのは2014年の初旬。あ[…]
約束の再会場所は、マリボル駅近くのモール。
時間は翌日の正午である。
深夜のPAと、はじめての車中泊
走って、走って、気づけば深夜0〜1時ごろ。
とあるPAのような場所で車を停め、周囲の様子を探る。
奥に見えるトイレは、言うなれば「ギリ我慢できる昭和の公園トイレ」のような雰囲気。
周囲に怪しげな連中はいないようだ。
おそらく、ここで車中泊しても問題はないと思われる。
なんせ初めてのレンタカー
初めての車中泊
初めてのハンガリー..
三拍子が揃えば、そりゃ不安にもなる。
そこで筆者はひとつの策を講じる。
「顔が見えたら旅行者感MAXで狙われやすいのでは?」
というわけで、寝袋で顔を隠して防御力を上げる作戦を発動。
シュラフの中でじわじわと温まりながら、ブダペストの冷たい空気とスリルに包まれつつ、筆者はそっと目を閉じたのであった。
スロヴェニアで高速道路を利用する前に~ビニェッタ~
おはようございます(´ω`)
無事に朝を迎え、顔を洗い、音楽をかけて次なる街へ。
耳に流れてきたのは、あの名曲:
♪いつもいつでも うまくいくなんて~ 保証はどこにもないけど~♪
そう、まさにこの旅のテーマソングである。
なお、たった1日半前にはエンジン始動とエンストをひたすら繰り返していた筆者。
ミッション操作は完全に「検定10級」レベルだったが、今や自称「2級」まで成長した気がする(当社比)。
…と、ちょっと浮かれていたその時。
筆者はとある重大な事実に気づき、戦慄したのである。
そういえば……ヴィニェッタ、買ってない。
筆者(心の声)
「やばい。マジでやばい。詰んだかもしれない。」
というのも、スロヴェニアの高速道路を使うには「ヴィニェッタ(Vignette)」が必要なのだ。
このヴィニェッタとは、いわば通行料を前払いするシステム。
紙のステッカー形式で、フロントガラスに「しっかり貼って」おく必要がある。
ただ「持ってるだけ」じゃダメ。
貼ってなければ即アウト。
これはもう、スロヴェニア交通界の鉄の掟である。
もしビニェッタ取り締まり所で有効なビニェッタを貼り付けていない場合、
「うっかりしてました」では済まされない。
一応その場で支払えば150ユーロ(約24,000円)で済むケースもあるらしいが、旅先で急に24,000円が飛んでいくのはダメージがでかい。
あるウェブサイトにもこう書かれていた:
有効なヴィニェッタの貼付がないとして摘発されると、300~800ユーロの罰金が科されます(その場で支払う場合は150ユーロとなります。)。
高額な罰金ですから、必ず購入してから、高速道路を利用して下さい。
※ヴィニェッタを購入していても、摘発にあったら見せればいいや、というのは駄目で、フロントガラスに貼付していないと違反となります。
レンタカーを含め、必ず貼付して下さい。
そういえば、ブダペストのレンタカー屋「BeeRides」の兄ちゃんも言っていた気がする。
「スロヴェニア行くならヴィニェッタ、忘れないように!」
……って、言われてたやん自分!!!
にもかかわらず、筆者はガソリンスタンドを探すのに夢中になり、そのままスロヴェニア国境近くまで来てしまったのである。
筆者(脳内再生)
「ウフフ、国境まで来ちゃった♡」
いやいや、笑ってる場合ではない。
ヨーロッパの高速道路使用料が安すぎる件
国境ギリギリのところで、なんとかガソリンスタンド横の売店にて、1週間分のヴィニェッタ(ビニェッタ)を無事ゲット!
(´꒳`) ふぅ……ギリッギリだった……。
というわけで、このタイミングで「ヨーロッパ高速道路事情」について語っておこう。
日本では、高速道路を使うたびに料金所で距離分の通行料を徴収される。
「○○ICから△△ICまで、1,800円です〜」というあれだ。
が、ヨーロッパでは事情がまるで違う。
多くの国では、「期間制パス制」になっている。
つまり、こういうことである:
1日パスを買えば、その日は何時間乗っても追加料金なし
1週間パスなら、その週は無限に乗り放題
国によっては1年間有効のパスなんてのもある(たとえばスイス)
しかし筆者は思った。
真相やいかに……。
驚異のコスパを見よ!
もちろん国によって値段は違うが。
▷ ハンガリー:
1週間パス → 9.99ユーロ(税金込み)
=日本円で約1,500円弱
▷ スロヴェニア:
1週間パス → 15ユーロ(約2,500円弱)
▷ スイス:
1年有効パス → 40CHF(約5,000円)
▷ ドイツ:
無料
(国家が誇るアウトバーン、まさかのタダ)
いやいやいや、めちゃくちゃ安かったあぁぁぁぁ!!!!
Ninaとの再会
再びエンジンをかけて走り出す。
看板には「Maribor(マリボル)まで74km」とある。
目的地が近づくにつれ、胸が高鳴る。
なにせ今日は、9カ月ぶりにあのNinaに会える日なのだ。
モールとWi-Fiと筆者
午前11時、無事マリボルのモールに到着。
ここでまず最初にするべきはNinaとの連絡である。
筆者は旅するWi-Fi難民。
Wi-Fiの電波があるところに引き寄せられる様は、もはや渡り鳥に近い。
前日にブダペストで見つけたFree Wi-Fiを最後に、Ninaには
「12時にマリボル駅前で」
とだけ伝えて以降、完全に音信不通になっていた。
もちろん、ポケットWi-Fiなんてハイテク装備はない。
Ninaは待ってくれているのか?
筆者(脳内)
「Nina…心配してるだろうな…
でも大丈夫、俺は今ここにいるぜ。」
か、可愛すぎる♡
Wi-Fiが繋がると同時に音が鳴る。
ピーン♬
美しい音だ、FBメッセンジャーの通知音にこれだけ感動したのは初めてだろう。
メッセージの受信時刻は午前8:26。
いよいよそのメッセージを開くと、そこには英語でこう書かれていた——
その時歴史が動いた
we can stay a day in mb. and start really early tomorrow to go to lj. because my friend she is graduated from uni and she invited me to be there for her:)
and unfortunatly im really busy with paching and movieng so you will have to discover a little bit of maribor on your own and i in afternoon i can show you my favourite spots?
im really sorry but is many things on my mind i can do it faster.. im really sorry my dear friend
卒業式をひかえた友達が自分にも出席して欲しいと言ってるから、今日1日は一緒にいれるけど、明日の朝一でリュブリャナ(首都)へ行かなくちゃいけないの…
そのための準備が忙しくて、、、だからまずは自分で色々と散策してもらって、、、午後からとっておきの場所を案内できると思うわ。
本当にごめんなさい。
つまりこういうことだ。
「午前中は無理だけど、午後から会えるわ!」
……ま、仕方ない。
むしろ、ちゃんと会えるってわかっただけでも大収穫である。
筆者(悟りの境地)
「別に時間がズレるくらい、何の問題もないさ。
どうせ俺には時間なんて無限にある(←※旅人特有の感覚)」
それにしても……Nina、やっぱりかわいい。
20kgのバナナたち─非常食という名の筋トレ装備
Ninaとの再会は午後までお預けと決まった。
じっとしていても始まらない。
筆者は早速、モール内の食料品売り場へと足を運んだ。
目的はただ一つ——残り6日間の旅の食糧確保である。
バナナ、それは完全食
目に留まったのは、黄色く輝く栄養の王者——バナナ。
- エネルギー◎
- 腹持ち◎
- 価格◎
- 加工不要◎
- 調理技術ゼロでOK◎
筆者はその瞬間、確信した。
「これだ…この旅を支えるのはコイツしかいない…!」
買った量が完全に狂っていた件
気づけば筆者の手元には20kg分のバナナが積まれていた。
20kgである。
念のためもう一度書いておく、20kgである。
しかもこれは冗談でも誇張でもなく、きちんと秤で測ったガチの20kgである。
ビニール袋は何重にも重ねたが、重量に悲鳴を上げて今にも裂けそうだった。
よろよろと駐車場へ戻り、なんとか車のトランクに搬入。
この瞬間、筆者は買い物ではなく筋トレをしていたことに気づく。
保存環境:自然の冷蔵庫
だが心配はいらない。
この日は2017年1月25日。
ここはスロヴェニア。
つまり、外気温は軽く氷点下。
冷蔵庫に入れるまでもなく、バナナたちはキリリと冷えきっており、保存環境としては申し分なかった。
バナナのことなど今はどうでもいい(今だけ)
何より大事なのはNinaとの再会。
バナナにかまけている場合ではないのだ!!!!
20kgのバナナたちは車中で静かに眠る。
彼らの運命がどうなったか?
腐ったのか、凍ったのか、それとも完食されたのか——
それはまた、後編にて明かされることになる。
乞うご期待である。
9か月間学んだスロヴェニア語、実戦投入の瞬間──そして玉砕
Ninaからの「何時に会えるのか?」という返信を待つあいだ、筆者はモールの中をフラフラとさまよっていた。
Wi-Fiが切れたらメッセージを受信できないので、外に出るわけにもいかない。
この時間、ハッキリ言って人生の無駄遣いである。
「誰かの返信を待ちながらスーパーを徘徊する」という行為、もう二度とやりたくない。
ハウルの動くレンタカー
ぶらつきながら筆者は食材やら調味料やらを大量に購入し、再び車に戻った。
その様子はまさに備蓄戦争である。
筆者のレンタカーは今やただの車ではない。
寝れる・食べれる・走れる。
つまりもうこれは「ハウルの動く城」である。
遂にきた、スロヴェニア語デビュー戦
さて、ついに来た。
9か月間、あれだけ真剣に学び続けたスロヴェニア語の出番である。
この時は調味料のコショウを探していたので"Where is a Pepper?"のスロヴェニア語バージョンを、筆者は意を決して、近くを通った女性店員に問いかけた。
※意味:「コショウはどこですか?」
完璧だった。発音も、トーンも、態度も。
字面でみると超アホみたいだが、今にもスロヴェニア語ペラペラの外国人認定を受けそうなほど真剣な表情で発した。
店員の表情がすべてを物語っていた
その瞬間の女性店員の顔——
は、おちょくってんのか?(; ・`д・´)
という無言の圧がビリビリ伝わってきた。
筆者は一瞬、時が止まったかのような錯覚に陥った。
「今の、スロヴェニア語、通じてない…?」
もしかしたら発音が悪かったのか?
それとも聞き慣れない訛りだったのか?
いや、そもそも「ぽぺーる」なんて単語が存在しない可能性すらある。
欧米人の塩対応についての考察
ちなみに欧米人の接客対応は、日本人のそれとはかなり異なる。
これは筆者の経験上言えることだが、ロシアの軍事専門家である小泉悠先生の著書にも同様の文言があったので紹介する。
欧米人の舌打ちなどは、その人に向けてではなく、その状況に対してしているとのこと。
つまり、気にするだけ時間の無駄なのである。
しかし傷つく…。
スロヴェニア語、即封印
まあそういう経緯もあり、筆者は急いで英語に切り替えた。
「Where is a pepper?」
すると彼女は無言のまま、無表情で「ついてこい」とジェスチャー。
ついていくと、すぐ隣の通路にあった。
日本のごま油発見
その後、Ninaからのメッセージによると——
近くにあるPohorje(ポホーリェ)というスキー場(というか山?)が超おすすめ。
そして、Sarajevo(サライェボ)という店で食べられるBUREK(ブレック)というスロヴェニア料理もぜひ!
とのこと。
というわけで、バナナ20kgを一旦放置し、筆者は再び旅路へと足を踏み出すのであった。
ラウンドアバウト
モールを出発した筆者は、いくつものラウンドアバウト(円形交差点)を通り抜け、スロヴェニアの名所Pohorjeへと向かった。
ちなみにラウンドアバウトとは、信号を用いずに交通を円滑に流す交差点のこと。
日本では「環状交差点」とも呼ばれているが、残念ながらその普及率は極めて低い。
この日、筆者は気づいてしまった。
筆者はラウンドアバウトに恋をしていたのだ。
もはや信号交差点には戻れない。
ストレスフリーの極致
もう円形交差点(環状交差点とも)の良い部分を話し始めればキリが無いのだが、とにかくノーストレスなのである!!!
ちょっと想像してみてほしい。
あなたは夜道を走っている。
辺りには誰もいない。
交差点に差しかかると、赤信号。
仕方なく停車。
当然、反対車線にも車は一台もいない。
1分ほど待たされたのち、ようやく青になって発進。
……と思った瞬間、視線の先にある次の信号が青から黄、そして赤に。
「チッ!」
この舌打ち、筆者だけではあるまい。
これが日常的に続くと、じわじわと心を削られるのである。
ラウンドアバウトはDAOである(?)
ラウンドアバウトには信号が無い。
あるのは、「ルール」だけだ。
- 時計回りに進入
- 右側優先(または中の車が優先)
たったこれだけのシンプルなルールによって、信号機すら要らない交通秩序が維持されている。
これはまるで最近話題のDAO(自律分散型組織)やブロックチェーンのようではないか。
筆者のラウンドアバウト動画紹介
以下に、筆者がスイスの首都ベルンで撮影した円形交差点の動画を貼っておく。
信号なし、渋滞なし、ストレスなし。
まるで時計仕掛けのように車が流れていく様子は、ちょっとした芸術作品である。
また、2022年夏にイタリアからスイスへドライブした際の映像もある。
途中から高速を降りて、下道のラウンドアバウト祭りが展開されている。
筆者は声を大にして言いたい。
日本にももっと円形交差点を!!!!!
筆者の人生から信号待ちのストレスが消えた日、それはラウンドアバウトとの出会いの日であった。
欧米では縦列駐車が普通
Ninaおすすめのスポット、Pohorje(ポホーリェ)に到着。
マリボル市内からおよそ40km、車で約1時間。
うん綺麗、スロヴェニアの山!!!最高
しかし正直、単独ドライブで来るには寂しすぎる場所である。(←本音)
せっかくなので車を降りて深呼吸。
澄んだ空気を吸い込んで、「うん、自然っていいな」と一応心の中でつぶやいておいた。
だが空腹には勝てない。
ということで、市内に戻る。
再び40km・1時間。
Sarajevoにて、BUREKと戦う前の試練
目指すはSarajevo(サライェヴォ)という地元の人気店。
店の前は例によって路上駐車でギッシリ。
かろうじて空いていたスペースを見つけて、縦列駐車に挑戦。
ミッション車 × 左ハンドル × 縦列駐車 × スロヴェニア
- ミッション車:教習所以来、6年ぶり。
- 左ハンドル:人生初。
- 縦列駐車:教習所以来の再会。
- 異国の地:スロヴェニア。
この条件が重なったとき、筆者の脳内は完全にフリーズ状態である。
欧米では縦列駐車は「当たり前」
そう、欧米では縦列駐車が日常の光景である。
特に街中では、駐車場なんて甘えた設備は期待できない。
駐車したければ、自力でねじ込めという話だ。
筆者がもたもたと縦列駐車に奮闘していると、後続車が現れる。
にもかかわらず、彼らは特に焦らすこともなく、静かに待っている。
「お、優しいやん……」と筆者、少し感動。
しかし、それも束の間。
一度前に出る、バック、うーんフロント部分が当たりそう。
もう一度前に出る、バック、ピーピーピー、お、上手くいきそう、あかんあかんあかん!
後ろ当たりそう、あー見えへん!!!!
よし、もう一回前に出てーの…徐々に距離を測りーの…
ぶぅぅぅーーぶっぶっぶうううぅぅぅぅーーーーーー
後ろの車、ついに堪忍袋の緒が切れた。
そして現れた怒りのブロンド
とりあえず操作を一時中断して行ってもらう。
このクラクションに筆者、顔をしかめつつ振り返る。
「どんな奴が鳴らしとんねん……」
……と視線を向けた瞬間、そこにいたのは超美人の金髪ブロンド女性であった。
筆者、一瞬すべてを許す。
欧米女性の強さは伊達じゃない
そう、彼女たちは強い。
思ったことは顔に出すし、クラクションも容赦ない。
そして、それでいいのだ。ここはそういう文化なのだから。
筆者が体験した「欧米女性の気の強さエピソード集」については別途まとめてある。
興味のある方は、ぜひこちらも読んで頂きたい。
※本記事は、前記事(③ノーブラ?前進駐車?円形交差点?タバコ事情?←イタリア旅行で受けた衝撃)の続きです。旅行に至った経緯は前記事に書いていますが、超簡単にまとめるとこうなります↓我々夫婦は、来年(2023年5月)イタリアで結婚[…]
SARAJEVOのBUREK
苦戦の末、ようやく縦列駐車に成功した筆者。
その達成感を胸に、目指す「Sarajevo」の店内へと足を踏み入れる。
中では地元の人々が飲み、食べ、談笑している。
まるで地元民の社交場。
異邦人の筆者にとっては若干のアウェー感が漂う。
ガラスケースに並ぶさまざまな料理を見て、目的の「BUREK(ブレク)」を注文。
そしてこの瞬間、筆者はふと気づいた。
もちろん全員がそうというわけではない。
しかし、わずか数時間の滞在でも感じるのは――
- 基本的に旅行者への対応はドライ。
- 仲間意識が強く、スロヴェニア語を話せない人間には壁が高い。
- 特に、中高年の現地民は顕著。
これは1992年にユーゴスラビア連邦から独立したばっかりなので仲間意識が強くてスロヴェニア語を話せない人間にはあまり心を開かないのだと思われる。
若い世代や海外志向のある人たちは別として、「生まれてから死ぬまでスロヴェニア」という人々は、なかなか旅行者に心の扉を開けてくれないのである。
そしてBUREK(ブレク)と初対面
ガラスケース越しに輝いていたブレクが、いよいよ筆者の手元に届く。
これが、Ninaが勧めた伝統の味……!
さっそく一口。
口にした瞬間、広がる肉のジューシーさ。
その肉の中に潜む、ザクザクとした野菜の食感。
パリッとした外皮の香ばしさも相まって、これはかなりの完成度である。
例えるなら、スロヴェニア風ジャンボ餃子といったところか。
見た目はミートパイっぽいが、口に入れるとしっかり主食として成立するレベル。
旅の腹を満たすには文句なしの一品だ。
※美味い。確かに美味い。が、めっちゃ脂っこい。「え、これ紙ナプキン何枚で受け止めるん……?」
というくらいには、手も口もベッタベタになる。
胃が強くない人は覚悟して挑んでほしい。
世界最古のぶどうの木
腹もふくれ、脂っこいブレクを胃の底に沈めた筆者。
次なる目的地は、マリボルが誇る「世界最古のブドウの木」である。
マリボルの意外な世界一
実はマリボルには、ギネスにも認定された“世界最古のブドウの木”がある。
その名はStara Trta(スタラ・トルタ)。
意味はそのまま、「老いたブドウの木」。
樹齢はなんと400年以上。
ヨーロッパの戦乱、産業革命、そしてセルフィー文化まで見届けた、ある意味“超越者”である。
途中、景色もチラリ
川沿いを歩けば、凍った川面が広がる。
「これ、本当に流れてんの?」と思わず聞きたくなる静止画のような川。
写真奥に見える建物が「Euro Park」というモール。
筆者はこのモールのフリーWi-Fiを頼りにNinaと連絡を取り合っていた。
ある意味、マリボルでの筆者の司令部である。
天気はあいにくの曇天。
灰色の空に、雪がちらつく。
…が、ここでひとつアドバイスをしたい。
ヨーロッパを旅する者は、絶対に「西洋建築」の基礎知識を入れてから行け!
ゴシック、バロック、ルネサンス…。
「ただの古い建物」が、「歴史を背負った文化遺産」に変わる瞬間が訪れる。
これを知っているだけで、旅の満足度は10倍、いや100倍に跳ね上がる。
ヨーロッパ約30ヵ国をバックパッカーとして旅をしていたある男がいた。帰国後、その男は徐々にある大きな後悔に頭を抱えるようになった。なんで西洋建築を勉強して行かなかったんだと。西洋建築を勉強した[…]
これが400年の重み
そうして数分歩いた先に、世界最古のブドウの木「Stara Trta」が姿を現す。
世界最古のブドウの木へ。
枝ぶりこそ控えめだが、明らかに只者ではない存在感。
まるで静かに、しかし確かに時代を見守ってきた哲学者のようである。
そしてこの老木、現在もなおブドウを実らせているというから驚きだ。
一部の人間よりも圧倒的に働いている。
参考までに↓
スロヴェニアの首都リュブリャナへ
世界最古のブドウの木も、あっさりとその姿を見せてくれた。
しみじみ眺める暇もなく、その感動は秒速で終了した。
再びモールへ戻り、Wi-Fiと暖房に身をゆだねながら、Ninaからの返信を2時間ほど待つ。
しかし、何の音沙汰もない。
「afternoonには会える(´ω`)」
…と言っていたNina。
だが、現在時刻は20時。
「afternoonどころか、at nightやがな(・ω・)ノ」
多少の落胆はあったが、ここは大人の対応である。
「Ninaも忙しかったのだろう」と自分に言い聞かせ、最後に「マリボルを離れます」という旨のメッセージだけを送り、スロヴェニア第2の都市マリボルを後にした。
さあ、リュブリャナへ
次の目的地はスロヴェニアの首都、リュブリャナ。
そこでは、現地在住のKristina(クリスティーナ)が街を案内してくれる予定だ。
「今回はこっちが迎える側、ちゃんと時間通り行かねば!」
と思ったのも束の間。
今度は筆者が集合時間を勘違いしたままサウナでリラックスし、Kristinaを1時間半近く待たせるはめになりました!(;^ω^)
本記事は、2017年に行ったヨーロッパ一人旅の記録を振り返るものであり、スロベニアでの滞在を中心に、当時の思い出をゆるりと綴っていく。旅の期間は2017年初頭、およそ1か月。東欧・バルト三国・アイスランドなど、これま[…]