本記事は、2017年に行ったヨーロッパ一人旅の記録を振り返るものであり、ノルウェーの首都オスロでの滞在を中心に、当時の思い出をゆるりと綴っていく。
「叫び」を見たいがために入ったオスロのムンク美術館、実は叫びは違う場所に展示されていた(; ・`д・´)ナンデヤネン
旅の期間は2017年初頭、およそ1か月。
東欧・バルト三国・アイスランドなど、これまで訪れたことのなかった国々を巡る冒険だった。
今回の旅には、
- 旅仲間(以下「エリ」)との同行
- 初めてのレンタカー運転
- 人生初のテント泊
という3つの大きな挑戦があり、まさに忘れがたい出来事の連続であった。
本記事では、その旅の始まりから順に振り返っていきたい。
世界一物価の高い国ノルウェー
エストニアの首都タリン、そして極寒の試練アイスランドを経て、ようやくノルウェーの首都オスロへとたどり着いた。
2017年2月10日(金)のことである。
筆者としては、まさにこの瞬間、「やっと文明に戻ってきた……」という安堵のため息を漏らしたくなった。
アイスランドでは、本当にひどい目に遭った。
2017年2月7日〜10日の4日間、筆者は火と氷の国・アイスランドを旅した。そう、あのアイスランドである。火山あり、氷河あり、温泉あり、物価バカ高し──という、“絶景と絶望”が同居する北大西洋の孤島国家である[…]
嵐、トラブル、金銭の損失、空腹、臭い──まるでサバイバル番組のロケでもしていたかのようであった。
超お得な航空券の裏側
ところで、アイスランド編の最後で「今からパリに行きます」と書いていたのに、なぜオスロに着いているのか?と疑問に思った読者もいるだろう。
その理由は、航空券の経由地にある。
筆者が検索してヒットしたのは以下のようなルートだった。
つまり「アイスランド→パリ」という航空券を検索した筆者だったのだが…。
アイスランド(レイキャビク)
→ノルウェー(オスロ)
→デンマーク(コペンハーゲン)
→フランス(パリ)
つまり、「アイスランド→パリ」という一見シンプルなルートに見えて、なぜか北欧をジグザグに経由して3日後にやっと到着するという航空券を発見したのである。
しかし、これがまた驚くほど安かった。
こういう航空券、ほんと神である。
しかも、経由地を増やせば増やすほどなぜか料金が下がっていくという謎仕様。
さらに、預け荷物は全行程で自動的に乗り継いでくれる(=重たい荷物を引きずり回さずに済む)ので、バックパッカーにとっては極めて都合が良い。
この航空券の魅力をまとめると以下の通りだ:
- 複数の都市(国)を経由できて旅情アップ
- 経由地が増えるほど航空券が安くなる謎現象
- 重たい荷物としばしのお別れ(ただし再会できる保証はない)
まさに、一石三鳥どころか四鳥五鳥の航空券であった。
そんなわけで、アイスランドから一気にノルウェーの首都オスロへ。
まだまだ旅は続く。次なる地でも新たなトラブルと発見が、筆者を待ち受けていた──。
さすが北欧、寒い!!
オスロ空港に到着した。
人生初の北欧である。
この地図を見てほしい。
オスロと北海道の緯度差は、沖縄と北海道のそれに匹敵する。
つまり、常識の範囲を超えた寒さが待っているというわけである(´っ・ω・)っ
空港からは市内直結の電車に乗り込んだ。
およそ30分でオスロ中央駅に到着。
とにかく早い。
北欧の効率性を実感した。
そして一言──
寒い!!
到着日は2017年2月10日(金)。
この時期の北欧が寒くないわけがない。
だがそれでも、初めての北欧という高揚感がすべてを打ち消すほどの興奮を呼び起こしていた。
ちなみにこの時点で筆者は、アイスランド入国から4日間、一度も風呂に入っていない。
シャワーすら浴びていない。
つまり、臭い。
自分的には「え、おれ無臭?」と思うほどなにも感じないが、おそらく臭いはずだ。
オスロ中央駅から徒歩約15分。
目的のホステルへと足を運んだ。
道中、なぜか世界展開しているセブンイレブンを発見。
物価の高いオスロにおいても、彼らはしっかり存在感を放っていた。
Anker hostel(アンカーホステル)
ついに到着した。
フロントでチェックインを済ませ、割り当てられたベッドに荷物を置いた。
筆者の寝床は、左手前の2段ベッドの上段である。
そして──ついに訪れた、4日ぶりのシャワー。
その瞬間は、筆者の旅史上に刻まれるほどの感動であった。
「ああ……人間に戻れた……」という安堵の吐息が、湯気と共に消えていった。
ホステル内では、イギリスの大学の論文発表に参加するという「Qasim(カッシム)」という青年と仲良くなり、連絡先を交換することにも成功した。
基本的に、ヨーロッパのホステルは清潔かつ安価。
たとえここが世界一物価の高い都市オスロであっても、それは例外ではなかった(ドヤ顔)。
以下、Anker HostelのHPのリンクを貼っておく。
オスロ中央駅
シャワーを浴び、再び徒歩15分かけてオスロ中央駅に戻ってきた。
表示を見ればなんとなく読める──
Oslo Sentralstasjon
すなわちオスロ中央駅である。
オスロの街並みは非常に美しく整っている。
北欧らしい静謐さと秩序が漂い、ぜひとも多くの人に訪れてほしい場所である。
この日はオペラハウスが美しいと聞き、そこへ向かうことにした。
が、その前に晩ご飯を調達する必要があった。
ノルウェー=高福祉国家
ノルウェーは「世界一物価が高い国」と称されるだけあって、あらゆる物の値段が高い。
アイスランドも高かったが、ノルウェーはそのさらに上を行く。
たとえば──
ノルウェーでは食料品に15%、それ以外の物品には25%の付加価値税(VAT)が課せられている。
これは消費税にあたるものであり、「え、ノルウェー、日本より遥かにヤバくない?」と思わずにはいられない。
ただし、それを支えるだけの所得水準と社会保障制度が存在しているのも事実である。
ノルウェー外務省発行の「ノルウェーデータ2015」によれば、2014年の全産業平均月間給与は以下の通りである。
全産業における労働者の平均月間給与(2014年)
男性:44,900NOK(約55万円)
女性:38,800NOK(約48万円)
所得税はケースバイケースではあるが、富裕税を含めると27~50%程度に達する。
この税率だけ見れば、日本と大差ないように感じるが、最低ラインが27%というのはさすがである。
高税率ゆえの高福祉制度
ノルウェーは高い税率や石油産業の成功により潤沢な財源を持ち、その結果、次のような高福祉制度が確立されている。
- 学費は事実上無料、
- 医療費も通常の診察費は年間自己負担額を超えると無料
- 入院や出産における医療費も事実上全て無料
ただし歯科診療は保険が効かず、一部対象者を除いて全額自己負担。
まさに理想の福祉国家である。
筆者のぼやき
ここからは完全に筆者の愚痴となるが──
日本も、嗜好品などの贅沢品には25%の税を課しても構わない。
だがその代わりに、医療費や学費を無償にしなければ、子どもは増えない。
子ども一人を成人まで育てるには、最低でも1,000万円以上が必要とされるこの時代。
さらに、医療費・学費の負担もある。
年金は減る一方、社会保険料は上がる。
これで「子ども3人、4人を持ちましょう」などというのは、現実を無視した暴論である。
筆者の意見としては──
一律の消費税引き上げは、累進課税とは真逆の思想である。
低所得者層により大きな負担を強いる制度にほかならない。
さらに言えば──
ジジババの機嫌取りに国家予算の35%を使いながら、教育にはわずか5%しか割いていない。
そんな国に未来があるはずがない。
子どもの教育に投資しない国家は、存在価値なし。
以上、熱くなってしまったが、そろそろ話を元に戻そう(笑)
晩ご飯とオペラハウス
2017年2月当時の為替レートは1NOK=約13.5円。
たとえばハンバーグなら2,300円/kgほど。
料理の量は少なくても500~600gくらいにはなるため、簡単に1,500~1,600円はかかる。
実際この日も、惣菜やメイン料理を合わせて約1kgほど購入したが、それでも合計で1,600円前後となった。
2025年6月現在の価格なら約2,000円強といったところか。
食事の調達を終え、次はオスロのオペラハウスへと向かう。
(出典:Oslo Opera House)
オスロ中央駅からは、わずか160mの距離である。
小藪・笑い飯のゴー傑P
オペラハウスに到着した。
♪ひとーりぼっちのよる〜
今回の旅に際し、日本であらかじめラジオ番組をダウンロードしておいたのだが、これが大正解であった。
特にダウンロードしておいたのが、『小藪・笑い飯のゴー傑P』というラジオ番組である。
これが驚くほど良かった。
というか、筆者は今でも聴き続けている。
これまでさまざまなラジオを聴いてきたが、間違いなく一番面白い。
まさに神ラジオである。
他に比較対象としては、『ブラマヨのズボリラジオ』もなかなかの面白さだが、収録時間が短いという点でやや物足りなさが残る。
その点『ゴー傑P』はボリュームもたっぷりで(約3時間)、聴きごたえがある。
あるいは『兵頭大樹のおしゃべり』も捨てがたい。
オペラハウス、実際どうだったか?
オペラハウスについては事前に調べてみたところ、想像以上におしゃれな建築であった。
が、当日は真っ暗であったため、現地ではあまり感動を覚えなかった。
……いや、見えんかったら意味ないやん!(笑)
ということで、オペラハウスの真の魅力を感じるには、日中に訪れることをおすすめする。
Please walk on the roof.…
高品質のMENY
MENY(メニー)は、ノルウェーおよびデンマークに合計300以上の店舗を展開するスーパーマーケットチェーンである。
ノルウェーにおける第一号店は1992年に開業したが、デンマークでの初出店は2015年と比較的最近の出来事である。
ところが、MENYの英語版Wikipediaには以下の記述がある。
「……2015年に119店舗も一気に開店しただと?
そのスピード感、どうなっているのか理解に苦しむ(笑)
おそらくこの表現は、「2015年にデンマークで初めてオープンした店舗が119号店目であった」という意味合いなのだろう。
そうでなければ、説明がつかない。
MENY最大の特徴は、物価が高騰しているノルウェー市場において、他のスーパーマーケットが「安さ」を売りにする中、真逆の戦略を取っている点にある。
すなわち、
「圧倒的に新鮮で高品質な商品を提供する」
という方針である。
つまり……高い。
世界でもトップクラスに物価の高いノルウェーにおいて、さらにその中でも「高品質=高価格」を打ち出すスタイルなのだ。
「MENYさんよ……
高品質=体に良い、という理解で合ってますか?」
MENYについて詳しく知りたい方はこちらで。
Handle matvarer på nett og få MENY-kvaliteten, det store utv…
北欧らしいシンプルでスタイリッシュな美しいウェブサイトになっている。
オスロにあるムンク美術館
ノルウェーの首都オスロといえば、誰もが思い浮かべるのがあの名画──
エドヴァルド・ムンクによる「叫び」である。
ムンクはまさにこの地、オスロの生まれである。
ムンクは、自身の慢性的な精神疾患、遺伝的欠陥、性的自由、宗教的理想など、人間性や死に対して多大な関心を持っていた芸術家で、こうした主題を強烈な色彩や半抽象的なフォルムで、女性のヌードやセルフポートレイトを描いた。
そのオスロには、当然ながらムンク美術館(Munch-museet)が存在する。
芸術にはあまり明るくない筆者であっても、さすがにこれは心を惹かれる。
筆者「一生に一度でいいから、あの『叫び』を自分の目で観てみたい……!」
まさにグッドタイミングであった。
ムンク美術館は、オスロ中央駅から徒歩30分弱の場所に位置している。
……のだが、どうやらオスロ市内には複数のムンク展示施設があるようで、当時筆者がどの施設を訪問したのかは、正直なところ分からなかった(笑)
ムンク美術館 without "叫び"
ということで、Munch-museet(ムンク美術館)に到着した。
うむ、シンプルさとオシャレさを併せ持っているのがなんとも素晴らしい。
おー、雰囲気良し。
美術館の外に設置されたテラス席は、もちろん空席。
なぜなら本日は2月11日(土)、ど真ん中の真冬だからである(笑)
ようやくたどり着いた。
ムンク美術館!(パフパフ)
さらに、なんと館内は撮影可能という太っ腹な仕様である。
これはすごい。
よくわからんけど圧倒される作品たち
展示内容については、正直「よく分からんが、なんかスゴい……」といった印象。
以下、説明抜きのダイジェスト版でどうぞ↓
筆者「……ん?一番有名な作品『叫び』はどこだ?」
調べてみたところ、このムンク美術館には、あの有名な『叫び』は展示されていないとのこと。
……なんと!
「か、か、金返せーーー!!」
……とまでは言わないが、これは結構ショックである(Σ(゚Д゚))
筆者「俺があの顔になったわ、マジで」
このオチをもって、ムンク美術館の訪問記は幕を閉じる。
A vibrant art museum built for great experiences. Explore Ed…
大喜利コーナー
ムンク美術館からオスロ中央駅に向かって歩いている最中、不思議な銅像に遭遇した。
ではここで問題。
弟「お、おじいちゃんが向こうで僕を呼んで・・・」
兄「い、行っちゃだめだーーーー」
余談だが、後輩女子がルーブル美術館に行った時に、(筆者には意味不明な)各作品について無限に大喜利していたのがとても面白かったので真似をしてみた。
ちなみにChatGPTに画像をアップロードし「この大喜利の答えを教えて」と聞いた答えがこちら。
GPTには申し訳ないがニヤリともしなかった。
その他こんな答えもありますよ、と提案されたのがこちら。
- 「ちょ、おまえ!それ俺のメロンパンだぞ!」
- 「俺の方がリズム感あるから、見てろよ!」(ダンスバトル中)
- 「VRの世界からまだ戻ってこれてない二人」
- 「ウイルスを避ける斬新なハイタッチ」
- 「雪合戦で白熱しすぎたおじさんたち」
全くもっておもしろくない。
コペンハーゲンに向かっていざ
デンマークの首都コペンハーゲンへ向かう。
北欧ではSAS(Scandinavian Airlines)が最大の航空会社であり、基本的にどの便を予約してもSASになることが多い。
今回の旅では、アンデルセン童話で有名な「人魚姫の像」を見ることを楽しみにしていた。
しかし、「世界三大がっかり名所」と呼ばれるだけあって、たしかにがっかりしてしまった。
想像していたよりも小さく、周囲の観光客の多さもあって、やや拍子抜けだった。